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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176313
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】船舶
(51)【国際特許分類】
   B63B 25/16 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
B63B25/16 101Z
B63B25/16 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088529
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 大士
(72)【発明者】
【氏名】塚本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】田村 浩
(57)【要約】
【課題】タンクカバーとカーゴタンクとの間のデッドスペースを削減する。
【解決手段】船舶は、船体と、船体に設けられたタンクと、板状をなし、タンクを覆うタンクカバーと、タンクカバーの外面に設けられて、タンクカバーの上方を通るように船体の船幅方向に延びる第一補強部材と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体と、
前記船体に設けられたタンクと、
板状をなし、前記タンクを覆うタンクカバーと、
前記タンクカバーの外面に設けられて、前記タンクカバーの上方を通るように前記船体の船幅方向に延びる第一補強部材と、
を備える船舶。
【請求項2】
前記第一補強部材の両端が、前記船体の上甲板に接続されている
請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記タンクカバーの外面に設けられて、前記船体の船首尾方向に延びる第二補強部材をさらに備える
請求項1又は2に記載の船舶。
【請求項4】
前記第二補強部材は、前記タンクカバーの外面に設けられている
請求項3に記載の船舶。
【請求項5】
前記第一補強部材が、前記船首尾方向に間隔をあけて複数配置され、
前記第二補強部材は、前記船首尾方向で隣り合う前記第一補強部材同士を連結している
請求項3に記載の船舶。
【請求項6】
前記第二補強部材は、前記船幅方向に間隔をあけて複数配置されている
請求項3に記載の船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
液化二酸化炭素、LNG(Liquefied Natural Gas)等の液化ガスを運搬する船舶は、液化ガスを収容するカーゴタンクを備えている。特許文献1には、船体の上甲板から上部が突出したカーゴタンクと、カーゴタンクの上部を覆うタンクカバーとを備える船舶の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-14438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、船舶においては、装備する設備や入港料に影響する総トン数が、船舶の内部空間の容積に応じて計算される。特許文献1に記載のようなタンクカバーを備えた船舶の場合、船舶の内部空間の容積には、船体内の容積に加えて、タンクカバー内の容積も含まれる。
そこで、総トン数を増加することなくカーゴタンクを大きくするために、タンクカバーとカーゴタンクとの隙間をできるだけ小さくすることが望まれている。その一方で、タンクカバーとカーゴタンクとの間には、デッドスペースが存在しており、このデッドスペースの更なる削減が困難となっている。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、タンクカバーとカーゴタンクとの間のデッドスペースを削減することが可能な船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る船舶は、船体と、タンクと、タンクカバーと、第一補強部材と、を備える。前記タンクは、前記船体に設けられている。前記タンクカバーは、前記タンクを覆い、板状をなす。前記第一補強部材は、前記タンクカバーの外面に設けられている。前記第一補強部材は、前記タンクカバーの上方を通るように前記船体の船幅方向に延びている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、タンクカバーとカーゴタンクとの間のデッドスペースを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係る船舶の全体構成を示す側面図である。
図2】本開示の実施形態に係る船舶の全体構成を示す平面図である。
図3】本開示の実施形態に係る船舶に設けられたカーゴタンク及びタンクカバーを船首尾方向から見た半断面図である。
図4】本開示の実施形態に係る船舶に設けられたカーゴタンク、タンクカバー、及び補強部材を示す側面図である。
図5】本開示の実施形態に係る船舶に設けられたカーゴタンク、タンクカバー、及び補強部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態に係る船舶を図1から図5に基づき説明する。
(船舶の構成)
図1から図3に示すように、本実施形態で例示する船舶1は、液化二酸化炭素を運搬する液化ガス運搬船である。船舶1によって運搬する運搬対象物は、液化二酸化炭素に限らず、例えばLNG(Liquefied Natural Gas)やLPG(Liquefied Petroleum Gas)等の他の液化ガスであってもよい。船舶1は、船体2と、タンク10と、タンクカバー20と、補強部材30と、を少なくとも備えている。
【0010】
(船体の構成)
船体2は、その外殻をなす、一対の舷側3A,3Bと、船底4(図1参照)と、上甲板5と、を有している。舷側3A,3Bは、左右舷側をそれぞれ形成する一対の舷側外板を有する。船底4は、これら舷側3A,3Bを接続する船底外板を有する。これら一対の舷側3A,3B及び船底4により、船体2の外殻は、船首尾方向FAに直交する断面において、U字状を成している。この実施形態で例示する上甲板5は、外部に露出する全通甲板である。船体2には、上甲板5上に、居住区を有する上部構造7が形成されている。
【0011】
船体2内には、上部構造7よりも船首2a側に、貨物搭載区画8(言い換えれば、カーゴホールド)が形成されている。貨物搭載区画8は、上甲板5に対して、上下方向Dvの下方の船底4に向けて凹み、上方に開口する開口部を備えている。
【0012】
(タンクの構成)
貨物搭載区画8内には、タンク10が配置されている。本実施形態における船体2には、船首尾方向FAに間隔を空けて、複数(例えば、二個)のタンク10が配置されている場合を示している。船体2の貨物搭載区画8内に配置されるタンク10の数、及びタンク10のレイアウトは、適宜変更可能である。
【0013】
図4は、本開示の実施形態に係る上記船舶に設けられたカーゴタンク、タンクカバー、及び補強部材を示す側面図である。図5は、本開示の実施形態に係る上記船舶に設けられたカーゴタンク、タンクカバー、及び補強部材を示す平面図である。
図4図5に示すように、タンク10は、例えば、船首尾方向FAに延びる円筒状をなしている。タンク10は、その内部に液化二酸化炭素を貯留可能である。タンク10は、筒状部12と、鏡板部13と、を備えている。筒状部12は、船首尾方向FAを長手方向Dxとして延びている。この実施形態において、筒状部12は、長手方向Dxに直交する断面形状が円形の、円筒形状をなしている。鏡板部13は、筒状部12の長手方向Dxの両側にそれぞれ形成されている。各鏡板部13は、例えば長手方向Dxの外側に向かって凸の半球状をなし、筒状部12の長手方向Dx両側をそれぞれ閉塞している。なお、タンク10が円筒状に形成される場合を一例に説明したが、タンク10は、円筒状に限られるものではない。例えば、タンク10は、球形、方形等であってもよい。
【0014】
図3図4に示すように、上下方向Dvにおけるタンク10の上部10aは、船体2の上甲板5よりも上方に突出している。図3に示すように、この上甲板5よりも上方に突出したタンク10の上部10aは、船首尾方向FAに延びるタンク中心軸Cと直交する断面視で、タンク中心軸Cを中心としたタンク10の周方向Dcに延びる円弧状をなしている。
【0015】
タンクカバー20は、板状をなしている。本実施形態のタンクカバー20は、例えば金属等の材料によって形成されている。タンクカバー20は、上甲板5上に配置され、タンク10を上下方向Dvの上方から覆っている。本実施形態の船舶1は、複数のタンク10をそれぞれ覆う複数のタンクカバー20を備えている。
【0016】
タンクカバー20は、タンク10に対し、タンク中心軸Cを中心とした径方向Drの外側Droに間隔をあけて配置されている。言い換えれば、タンクカバー20のタンク10側を向く内面20gは、タンク10の上部10aの外面と径方向Drに間隔を開けて配置されている。更に言い換えれば、タンクカバー20は、貨物搭載区画8の開口の周縁から上方に向かって立ち上がり、タンク10の上部10aを覆いつつ貨物搭載区画8の開口を上方から閉塞している。タンクカバー20は、タンク10の上部10aに沿うように、タンク中心軸Cを中心とした周方向Dcに延びている。本実施形態で例示するタンクカバー20は、図3に示すタンク中心軸Cと直交する断面視で、タンク10の接線方向に延びる複数の直線部と、これら直線部同士を繋ぐ周方向Dcに間隔をあけて形成された複数の角部20cと、を有した多角形のアーチ状に形成されている。
【0017】
本実施形態では、タンクカバー20のうち、タンク中心軸Cを中心とした周方向Dcの両側に位置するタンクカバー端部20aが、溶接等により、それぞれ上甲板5に接合されている。本実施形態では、タンク10の周囲に配置された上甲板5に、貨物搭載区画8の内方、言い換えれば、船幅方向Dw及び船首尾方向FAのタンク10側に向かって張り出す張り出し部53が形成されている。そして、この張り出し部53がタンクカバー端部20aを下方から支持している。また、本実施形態のタンク10は、上方から見て、筒状部12の船幅方向Dwの寸法を一定としたオーバル形状をなしている。そして、本実施形態のタンクカバー20のうち、上記筒状部12を覆う部分の船幅方向Dwの寸法は一定に形成され、タンクカバー20のうち鏡板部13を覆う部分の船幅方向Dwの寸法は、それぞれ船首2a側及び船尾2b側に向かうにつれて減少している。
【0018】
補強部材30は、板状をなすタンクカバー20を補強する部材である。補強部材30は、タンクカバー20に沿って設けられている。本実施形態では、補強部材30として、第一補強部材31と、第二補強部材32と、を有している。
【0019】
第一補強部材31は、タンク中心軸Cを中心とした周方向Dcに延び、船首尾方向FAに間隔をあけて複数配置されている。これら複数の第一補強部材31は、タンクカバー20に対して、径方向Drの外側Droに配置されている。より具体的には、第一補強部材31は、タンクカバー20の外面20fに沿って設けられている。本実施形態の第一補強部材31は、船幅方向Dwの一方側からタンクカバー20の上方を通り船幅方向Dwの他方側に至るように連続して形成されている。ここで、タンクカバー20の外面20fとは、タンクカバー20のうち、上述したタンク10側を向く内面20gとは反対側の外方を向く面である。第一補強部材31は、タンクカバー20の外面20fから径方向Drの外側に向かって突出するように形成されている。
【0020】
図5に示すように、複数の第一補強部材31は、上方から見て、それぞれ船幅方向Dwに延びている。本実施形態で例示する複数の第一補強部材31は、上方から見て互いに平行に配置されている。これら第一補強部材31は、タンクカバー20と同様に、タンク中心軸Cに直交する断面視で、多角形のアーチ状に形成されている。第一補強部材31は、例えば、断面H型、断面I型の鉄骨材、断面矩形の鋼管材等により形成することができる。本実施形態の第一補強部材31は、タンクカバー20の外面20fに、例えば、溶接、ボルト締結等によって接合されている。そして、本実施形態で例示する第一補強部材31は、タンクカバー20のうち、タンク10の筒状部12の径方向Drの外側の位置に設けられている。また、第一補強部材31は、タンク10の筒状部12だけでなく、鏡板部13の径方向Drの外側の位置に設けられていてもよい。なお、本実施形態では、複数の第一補強部材31が船首尾方向FAに等間隔に配置されている場合を例示しているが、等間隔に限られない。
【0021】
第一補強部材31のうち周方向Dcの両側に位置する補強部材端部31aは、それぞれ、溶接、ボルト締結等によって上甲板5に接合されている。第一補強部材31の補強部材端部31aは、それぞれ、上述した張り出し部53によって下方から支持される。
【0022】
第二補強部材32は、船首尾方向FAに延びている。言い換えれば、第二補強部材32は、上方から見て、タンク中心軸Cの延びる方向に延びている。第二補強部材32は、周方向Dcに間隔を開けて複数配置されている。これら複数の第二補強部材32は、タンクカバー20に対して、径方向Drの外側に配置されている。より具体的には、第二補強部材32は、タンクカバー20の外面20fに沿って設けられている。本実施形態の第二補強部材32は、船首尾方向FAの船首2a側からタンクカバー20の上方を通り船首尾方向FAの船尾2b側に至るように連続して形成されている。第二補強部材32は、第一補強部材31と同様に、タンクカバー20の外面20fから径方向Drの外側に向かって突出するように形成されている。つまり、本実施形態の補強部材30(第一補強部材31及び第二補強部材32)は、タンクカバー20の内面20gからタンク10側に向かって突出していない。
【0023】
第二補強部材32は、上方から見た際に、船幅方向Dwに間隔を開けて配置されている。言い換えれば、第二補強部材32は、タンク中心軸Cを中心とした周方向Dcに間隔をあけて配置されている。第二補強部材32は、例えば、断面H型、断面I型の鉄骨材、断面矩形の鋼管材、断面L型のアングル材等により形成することができる。本実施形態の第二補強部材32は、タンクカバー20の外面20fに、例えば、溶接、ボルト締結等によって接合されている。
【0024】
図4図5に示すように、第二補強部材32は、船首尾方向FAで隣り合う第一補強部材31同士を接続するように形成されている。これにより、上方から見た際に複数の第一補強部材31と複数の第二補強部材32とが格子状に組まれることとなる。本実施形態で例示する複数の第二補強部材32は、上方から見て、船首尾方向FAにおける最も船首側に位置する第一補強部材31と、最も船尾側に位置する第一補強部材31との間にて、タンク中心軸Cに沿って互いに平行に延びている。
【0025】
(作用効果)
上記実施形態の船舶1では、船幅方向Dwに延びる第一補強部材31を備えている。これにより、タンクカバー20が補強される。したがって、第一補強部材31を備えない場合に比較し、タンクカバー20自体の薄型化を図ることができる。さらに、第一補強部材31が、タンクカバー20の外面20fに設けられているので、タンクカバー20とタンク10との間に、第一補強部材31を配置するためのスペースを確保する必要がなくなる。したがって、タンクカバー20の内面20gとタンク10の外面との間隔を縮めてタンクカバー20とタンク10との隙間を小さくすることができるため、タンクカバー20とタンク10との間のデッドスペースを削減することができる。その結果、船舶1の内部空間の容積が減少し、装備する設備や入港料に影響する総トン数を小さくすることが可能となる。また、第一補強部材31を、タンクカバー20の外面20f側にのみ設けることで、強度向上のために、第一補強部材31の断面を増大させる場合に、タンク10との干渉を考慮する必要が無く、設計自由度が高まる。
【0026】
また、上記実施形態では、第一補強部材31の両側の補強部材端部31aが、船体2の上甲板5に接続されている。これにより、第一補強部材31が船体2に強固に固定されるので、第一補強部材31によるタンクカバー20の補強効果を高めることができる。
【0027】
さらに、上記実施形態の船舶1は、第一補強部材31に加えて、船首尾方向FAに延びる第二補強部材32を備えている。そのため、タンクカバー20を、より強固に補強することができる。そして、第二補強部材32も、第一補強部材31と同様、タンクカバー20の外面20f側にのみに設けられているため、タンクカバー20とタンク10との隙間を小さくし、タンクカバーとカーゴタンクとの間のデッドスペースを削減することができる。また、第二補強部材32を備えることで、タンクカバー20のメンテナンスや点検の作業を行う際の足場として利用することが可能となる。したがって、メンテナンスや点検の作業を行う際に、別途足場を組む必要が無くなり、作業者の負担軽減を図ることができる。
【0028】
また、上記実施形態の第二補強部材32は、船首尾方向FAで隣り合う第一補強部材31同士を連結している。そのため、互いに異なる方向に延びる第一補強部材31と第二補強部材32とによって、タンクカバー20を、より一層効果的に補強することができる。
【0029】
さらに、上記実施形態の第二補強部材32は、船幅方向Dwに間隔をあけて複数配置されている。そのため、上方から見て、複数の第一補強部材31と複数の第二補強部材32とが格子状の如く組まれることとなり、タンクカバー20をより一層効果的に補強することが可能となる。
【0030】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0031】
上記実施形態では、第一補強部材31と第二補強部材32との両方を備える場合について説明した。しかし、第一補強部材31と第二補強部材32との両方を備える場合に限られない。例えば、必要に応じて第一補強部材31と第二補強部材32との何れか一方のみを備えるようにしてもよい。そして、上記実施形態では、船幅方向Dwに間隔をあけて第二補強部材32を複数設ける場合について説明したが、第二補強部材32は、一つだけ設けるようにしてもよい。
【0032】
さらに、上記実施形態では、第一補強部材31が上方から見て船幅方向Dwに延びる直線状に形成されている場合を例示したが、第一補強部材31の形状は、上方から見て船幅方向Dwに延びる直線状のものに限られない。第一補強部材31の形状は、例えば、上方から見て船幅方向Dwに延びる曲線状や、直線と曲線とを組み合わせた形状、ジグザグ状等であってもよい。
【0033】
また、上記実施形態では、第一補強部材31の補強部材端部31aが、船体2の上甲板5に接続されている場合について説明した。しかし、第一補強部材31の補強部材端部31aは、必要に応じて上甲板5に接続すればよく、例えば、複数の補強部材端部31aのうち、一部の補強部材端部31aや、全部の補強部材端部31aを上甲板5に接続しないようにしてもよい。
【0034】
また、上記実施形態では、第一補強部材31が船幅方向Dwの一方側から他方側に連続して延びる場合について説明した。しかし、第一補強部材31は、船幅方向Dwの一方側から他方側に断続的に延びるようにしてもよい。同様に、第二補強部材32も船首尾方向FAの船首2a側から船尾2b側に連続して延びる場合について説明したが、船首尾方向FAの船首2a側から船尾2b側に断続的に延びるようにしてもよい。そして、第一補強部材31と第二補強部材32とを連結する場合について説明したが、第一補強部材31と第二補強部材32とを連結しないようにしてもよい。
【0035】
さらに、上記実施形態では、複数の第一補強部材31、及び複数の第二補強部材32のうちの一部は、タンクカバー20の内面20gに設けてもよい。その場合、タンクカバー20の内面20gに設ける第一補強部材31、第二補強部材32は、タンク10との干渉を避ける位置に配置するのが好ましい。例えば、第二補強部材32を、タンクカバー20の角部20cの部分で、内面20gに設けてもよい。
【0036】
さらに、上記実施形態では、タンク10とタンクカバー20との隙間が空所となっている場合について説明したが、例えば、タンク10を防熱する防熱材などが配置されていてもよい。
【0037】
<付記>
実施形態に記載の船舶1は、例えば以下のように把握される。
【0038】
(1)第1の態様に係る船舶1は、船体2と、前記船体2に設けられたタンク10と、板状をなし、前記タンク10を覆うタンクカバー20と、前記タンクカバー20の外面20fに設けられて、前記タンクカバー20の上方を通るように前記船体2の船幅方向Dwに延びる第一補強部材31と、を備える。
【0039】
この船舶1は、船幅方向Dwに延びる第一補強部材31を備えている。これにより、タンクカバー20が補強される。したがって、第一補強部材31を備えない場合に比較し、タンクカバー20自体の薄型化を図ることができる。第一補強部材31が、タンクカバー20の外面20fに設けられているので、タンクカバー20とタンク10との間に、第一補強部材31を配置するためのスペースを確保する必要がなくなる。したがって、タンクカバー20とタンク10との隙間を小さくし、タンクカバーとカーゴタンクとの間のデッドスペースを削減することができる。その結果、船舶1の内部空間の容積が減少し、装備する設備や入港料に影響する総トン数を小さくすることが可能となる。
【0040】
(2)第2の態様に係る船舶1は、(1)の船舶1であって、前記第一補強部材31の両端が、前記船体2の上甲板5に接続されている。
【0041】
これにより、第一補強部材31が船体2に強固に固定されるため、第一補強部材31によるタンクカバー20の補強効果を高めることができる。
【0042】
(3)第3の態様に係る船舶1は、(1)又は(2)の船舶1であって、前記タンクカバー20の外面20fに設けられて、前記船体2の船首尾方向FAに延びる第二補強部材32をさらに備える。
【0043】
これにより、第一補強部材31のみを備える場合よりも、船首尾方向FAに延びる第二補強部材32を備える分だけタンクカバー20をより強固に補強することができる。
【0044】
(4)第4の態様に係る船舶1は、(3)の船舶1であって、前記第二補強部材32は、前記タンクカバー20の外面20fに設けられている。
【0045】
これにより、タンクカバー20とタンク10との隙間を小さくし、タンクカバー20とタンク10との間のデッドスペースを削減することができる。また、第二補強部材32をメンテナンスや点検の作業時の足場として利用することができる。
【0046】
(5)第5の態様に係る船舶1は、(3)の船舶1であって、前記第一補強部材31が、前記船首尾方向FAに間隔をあけて複数配置され、前記第二補強部材32は、前記船首尾方向FAで隣り合う前記第一補強部材31同士を連結している。
【0047】
これにより、複数の第一補強部材31と第二補強部材32とが組まれるため、タンクカバー20をより一層効果的に補強することができる。
【0048】
(6)第6の態様に係る船舶1は、(3)から(5)の何れか一つの船舶1であって、前記第二補強部材32は、前記船幅方向Dwに間隔をあけて複数配置されている。
【0049】
これにより、上方から見た際に複数の第一補強部材31と複数の第二補強部材32とが格子状に組まれることとなるため、タンクカバー20を、より一層効果的に補強することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…船舶 2…船体 2a…船首 2b…船尾 3A、3B…舷側 4…船底 5…上甲板 7…上部構造 8…貨物搭載区画 10…タンク 10a…上部 12…筒状部 13…鏡板部 20…タンクカバー 20a…タンクカバー端部 20c…角部 20f…外面 20g…内面 30…補強部材 31…第一補強部材 31a…補強部材端部 32…第二補強部材 53…張り出し部 C…タンク中心軸 Dc…周方向 Dr…径方向 Dro…外側 Dv…上下方向 Dw…船幅方向 Dx…長手方向 FA…船首尾方向
図1
図2
図3
図4
図5