(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176323
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20231206BHJP
A47L 7/02 20060101ALI20231206BHJP
B24B 55/06 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B23Q11/00 M
A47L7/02
B24B55/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088549
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】掛川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】圓谷 敏弘
【テーマコード(参考)】
3C011
3C047
【Fターム(参考)】
3C011BB03
3C047FF06
3C047HH12
(57)【要約】
【課題】作業性を向上する。
【解決手段】集塵装置1の集塵機10では、ハウジング12の吸気管12Fに、キャップ50が取付けられており、キャップ50は、吸気管12Fの吸気口12F1を開口する開口状態又は吸気口12F1を閉塞する閉塞状態に切替可能に構成されている。これにより、集塵装置1による集塵作業の終了後には、キャップ50を閉塞状態にして、キャップ50によって吸気口12F1を閉塞することで、ハウジング12(ボリュート室12C)に残留した粉塵が、吸気口12F1からハウジング12の外部に流出することを抑制できる。したがって、作業性を向上することができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口及び排気口を有する本体部と、
前記本体部に取付けられ、前記排気口から排気される空気流が流入される集塵部と、
を備え、
前記本体部は、
駆動部と、
前記駆動部の駆動力により作動し、前記吸気口から前記排気口へ向かう前記空気流を生成するファンと、
前記駆動部及び前記ファンを収容すると共に、前記吸気口及び前記排気口を有するハウジングと、
前記ハウジングに設けられ、前記吸気口を開口する開口状態又は前記吸気口を閉塞する閉塞状態に切替可能に構成された可動キャップ部と、
を含んで構成されている作業機。
【請求項2】
前記吸気口へ流入する前記空気流の通路となるホースが前記吸気口に取付けられ、
前記本体部は、地面に載置可能に構成され、
前記可動キャップ部は、導電性を有する材料にて形成されると共に、可撓性を有し、開口状態時に前記吸気口から下方側へ延出され、先端部に接地部を有すると共に、吸気口を閉塞可能なキャップ本体を有しており、
前記本体部が前記地面に載置され且つ前記可動キャップ部の開口状態では、前記接地部が前記地面に当接される請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
一端部が前記ハウジングに取付けられ且つ他端部に前記ホースが取付けられる取付筒部と、前記可動キャップ部と、を含むキャップを有し、
前記可動キャップ部の延出長さが、上下方向における前記本体部の下端と前記取付筒部との間の離間距離よりも長い請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記キャップが単一部材で構成されている請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
前記可動キャップ部が、ゴム材にカーボンを混合した材料にて構成されている請求項3に記載の作業機。
【請求項6】
前記可動キャップ部の抵抗値が10の12乗オーム以下に設定されている請求項3に記載の作業機。
【請求項7】
前記可動キャップ部は、
前記可動キャップ部の基端部を構成する板状のヒンジ部と、
前記ヒンジ部と前記接地部との間に配置された円板状の前記キャップ本体と、
前記可動キャップ部の先端部を構成する板状の前記接地部と、
を含んで構成されており、
前記ヒンジ部及び前記接地部の幅寸法が、前記キャップ本体の直径よりも小さい請求項3に記載の作業機。
【請求項8】
前記ホースの内周面が、導電性を有する材料で構成されている請求項2~請求項7の何れか1項に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の集塵装置(作業機)は、集塵機(本体部)と、集塵機に取付けられるダストバック(集塵部)と、を備えている。集塵機は、吸込口及び吐出口を有するファンケースを有しており、モータ及びファンが、ファンケースに収容されている。集塵装置では、モータの駆動によってファンが作動すると、吸込口から吐出口へ流れる空気流が発生する。これにより、例えば、切断加工時等に生じる粉塵を、吸込口に接続したホースからファンケース内に吸込み、ファンケース内に吸込んだ粉塵を、吐出口からダストバックに吐出して、ダストバックに集塵することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、集塵作業終了後では、ホースを集塵機から取外して、集塵装置を保管する。このとき、ファンケース内に残留した粉塵が吸込口からファンケースの外部に排出される可能性がある。この場合には、ファンケースの外部に排出された粉塵を、作業者によって再び集めて処理する必要がある。このため、作業性が低下する虞がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、作業性を向上することができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、吸気口及び排気口を有する本体部と、前記本体部に取付けられ、前記排気口から排気される空気流が流入される集塵部と、を備え、前記本体部は、駆動部と、前記駆動部の駆動力により作動し、前記吸気口から前記排気口へ向かう前記空気流を生成するファンと、前記駆動部及び前記ファンを収容すると共に、前記吸気口及び前記排気口を有するハウジングと、前記ハウジングに設けられ、前記吸気口を開口する開口状態又は前記吸気口を閉塞する閉塞状態に切替可能に構成された可動キャップ部と、を含んで構成されている作業機である。
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記吸気口へ流入する前記空気流の通路となるホースが前記吸気口に取付けられ、前記本体部は、地面に載置可能に構成され、前記可動キャップ部は、導電性を有する材料にて形成されると共に、可撓性を有し、開口状態時に前記吸気口から下方側へ延出され、先端部に接地部を有すると共に、吸気口を閉塞可能なキャップ本体を有しており、前記本体部が前記地面に載置され且つ前記可動キャップ部の開口状態では、前記接地部が前記地面に当接される作業機である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、一端部が前記ハウジングに取付けられ且つ他端部に前記ホースが取付けられる取付筒部と、前記可動キャップ部と、を含むキャップを有し、前記可動キャップ部の延出長さが、上下方向における前記本体部の下端と前記取付筒部との間の離間距離よりも長い作業機である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記キャップが単一部材で構成されている作業機である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記可動キャップ部が、ゴム材にカーボンを混合した材料にて構成されている作業機である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記可動キャップ部の抵抗値が10の12乗オーム以下に設定されている作業機である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記可動キャップ部は、前記可動キャップ部の基端部を構成する板状のヒンジ部と、前記ヒンジ部と前記接地部との間に配置された円板状の前記キャップ本体と、前記可動キャップ部の先端部を構成する板状の前記接地部と、を含んで構成されており、前記ヒンジ部及び前記接地部の幅寸法が、前記キャップ本体の直径よりも小さい作業機である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ホースの内周面が、導電性を有する材料で構成されている作業機である。
【発明の効果】
【0014】
上記構成の作業機によれば、作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施の形態に係る集塵装置を示す前側から見た正面図である。
【
図2】
図1に示される集塵装置の集塵機の吸気管にホースを取付けた状態を示す右側から見た断面図である。
【
図3】
図1に示される集塵装置の集塵機の右斜め上方から見た斜視図である。
【
図4】
図3に示される集塵機の前側から見た一部破断した正面図である。
【
図5】
図3に示される集塵機の内部を示す右側から見た断面図である。
【
図6】
図3に示される集塵機の上側から見た一部破断した平面図である。
【
図7】
図3に示される集塵機の後側から見た後面図である。
【
図8】
図3に示される集塵機のキャップを示す正面図である。
【
図9】
図8に示されるキャップの変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて、本実施の形態に係る作業機としての集塵装置1について説明する。なお、図面に適宜示される矢印UP、矢印FR、矢印LHは、それぞれ集塵装置1の上側、前側、左側を示している。以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、集塵装置1の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。
【0017】
図1に示されるように、集塵装置1は、本体部としての集塵機10と、集塵機10に取付けられる集塵部としてのダストバッグ70と、を備えている。集塵装置1は、例えば、集塵機10に取付けられたホース60(
図2参照)によって、丸鋸等の切断機に連結され、切断加工時に生じる粉塵をダストバッグ70に集めるようになっている。
図3~
図7に示されるように、集塵機10は、ハウジング12と、ハウジング12に収容された駆動部としてのモータ30及びファン38と、モータ30に電力を供給する電源部としてのバッテリ22と、ハウジング12に取付けられるキャップ50及びホース60と、を含んで構成されている。以下、集塵機10の各構成について説明する。
【0018】
(ハウジング12について)
ハウジング12は、集塵機10の外郭を構成している。ハウジング12は、全体として略矩形箱状に形成されている。ハウジング12は、複数のハウジング部材によって構成されており、ハウジング部材が互いに組付けられている。ハウジング12は、ハウジング12の前端部を構成するファンハウジング部12Aと、ハウジング12の後部を構成するモータハウジング部12B(広義には、駆動ハウジング部として把握される要素である)と、を含んで構成されている。モータハウジング部12Bは駆動部収容部の一例であり、ファンハウジング部12Aはファン収容部の一例である。
【0019】
ファンハウジング部12Aは、前後方向を厚み方向とし且つ前側から見た正面視で略円形状に形成されており、ファンハウジング部12Aの内部が、後述するファン38を収容するためのボリュート室12Cとして構成されている。ボリュート室12Cとモータハウジング部12Bの内部とは区画壁12Dによって区画されており、区画壁12Dには、ファンハウジング部12A及びモータハウジング部12Bを連通する連通孔12Eが貫通形成されている。
【0020】
ファンハウジング部12Aには、吸気部としての吸気管12Fが一体に形成されている。吸気管12Fは、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、ファンハウジング部12Aの前壁の略中央部から前側へ延出している。これにより、吸気管12Fの先端開口部である吸気口12F1が前側へ開放されており、吸気管12Fの内部とボリュート室12Cとが連通している。吸気管12Fの先端側の外周部には、後述するキャップ50と係合される係合溝12F2が形成されている。係合溝12F2は、吸気管12Fの径方向外側へ開放された凹状に形成され、吸気管12Fの周方向に沿って延在されると共に、吸気管12Fの全周に亘って形成されている。
【0021】
ファンハウジング部12Aには、排気部としての排気管12Gが一体に形成されている。排気管12Gは、左右方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、ファンハウジング部12Aの上端部から左側へ延出している。これにより、排気管12Gの先端開口部である排気口12G1が左側へ開放されており、排気管12Gの内部とボリュート室12Cとが連通している。排気管12Gには、ダストバッグ70が取付けられ、ダストバッグ70が集塵機10の左側に配置される。ダストバッグ70は、内部にフィルタ等を有する可撓性のバッグであり、排気管12Gから排出される粉塵をダストバッグ70に集塵する。尚、ダストバッグ70は、略矩形箱状に形成された硬質樹脂製としてもよい。
【0022】
モータハウジング部12Bは、略矩形箱形状に形成されている。モータハウジング部12Bの上下寸法は、ファンハウジング部12Aの上下寸法よりも小さく設定され、モータハウジング部12Bの左右寸法は、ファンハウジング部12Aの左右寸法と略同じに設定されている。具体的には、モータハウジング部12Bの上端部がファンハウジング部12Aの上端部よりも下側に配置され、モータハウジング部12Bの下端部がファンハウジング部12Aの下端部よりも上側に配置されている。すなわち、ハウジング12の上端部には、ファンハウジング部12Aの後側において、ファンハウジング部12Aの上端部よりも下側へ一段下がった上側段差部12Hが形成され、ハウジング12の下端部には、ファンハウジング部12Aの後側において、ファンハウジング部12Aの下端部よりも上側へ一段上がった下側段差部12Jが形成されている。モータハウジング部12Bの後壁には、略左右方向中央部において、後側へ突出したモータカバー部12Kが設けられており、モータカバー部12Kは、前側へ開放された略有底円筒状に形成されている。
【0023】
モータハウジング部12Bの下端部には、バッテリ装着部12L(
図5及び
図7参照)が設けられている。バッテリ装着部12Lは、下側から見て後側へ開放された略U字形状に形成されている。バッテリ装着部12Lには、バッテリターミナル20(
図5及び
図7参照)が設けられており、バッテリターミナル20は、後述するコントローラ36に電気的に接続されている。バッテリ装着部12Lには、電源部としてのバッテリ22が着脱可能に装着されている。具体的には、バッテリ22が、バッテリ装着部12Lの後側から前側へスライドしてバッテリ装着部12Lに装着される。バッテリ22は、バッテリターミナル20に接続されるコネクタ(図示省略)を有しており、バッテリ22によってコントローラ36及びモータ30に電力が供給される。バッテリ22の装着状態では、バッテリ22が、モータハウジング部12Bの下側に配置され、バッテリ22の上部が、下側段差部12J内に配置される。すなわち、上下方向におけるバッテリ22の配置範囲の上部が、上下方向におけるファンハウジング部12Aの配置範囲と重なる位置に配置されている。換言すると、正面視で、バッテリ22の上部とファンハウジング部12Aの下端部とが重なっている。あるいは、上下方向においてバッテリ22が配置される座標は、上下方向においてファンハウジング部12Aが配置される座標と、部分的に重なる。また、バッテリ22の下部は、ハウジング12(ファンハウジング部12A)よりも下側へ突出する位置に配置されている。
【0024】
ハウジング12の下側を構成するフレーム部14が設けられている。フレーム部14は、モータハウジング部12Bに一体に形成されている。フレーム部14は、フレーム本体部14Aと、左右一対のフレーム連結部14Bと、を含んで構成されている。フレーム本体部14Aは、平面視で、後側へ開放された略U字形状に形成されている。具体的には、フレーム本体部14Aは、前後方向に延在された左右一対のサイドフレーム部14A1と、サイドフレーム部14A1の前端部同士を連結するフロントフレーム部14A2と、を含んで構成されている。サイドフレーム部14A1は、バッテリ22の下部の左右方向外側に配置され、フロントフレーム部14A2は、バッテリ22の下部の前側に配置されている。これにより、フレーム本体部14Aによって、バッテリ22の下部を左右方向両側及び前側から囲んでいる。
【0025】
フレーム連結部14Bは、サイドフレーム部14A1の前後方向中間部から上側へ延出されてモータハウジング部12Bの左右方向両側部に接続されている。サイドフレーム部14A1の前後方向両端部には、下側へ突出した載置部14Cが形成されている。そして、集塵装置1の集塵作業時には、載置部14Cを地面GR上に載置するようになっている。また、載置部14Cは、バッテリ22よりも下側に配置されている。これにより、載置部14Cを地面GRに載置した状態では、バッテリ22が地面GRの上側に離間して配置される。また、モータカバー部12Kの後端、バッテリ22の後端、及びフレーム部14の後端における各々の前後方向の位置が略一致するように設定されている。
【0026】
モータハウジング部12Bの上側には、ハンドル16が設けられており、ハンドル16は、モータハウジング部12Bと一体に形成されている。すなわち、ハンドル16は、ハウジング12の上側段差部12H内に配置され、ファンハウジング部12Aの後側に離間している。ハンドル16は、後側から見て、下側へ開放された略逆U字形状に形成されている。具体的には、ハンドル16は、モータハウジング部12Bの左右方向両側部から上側へ延出された左右一対のハンドル連結部16Aと、左右方向に延在され且つハンドル連結部16Aの上端部同士を連結する把持部16Bと、を含んで構成されている。これにより、把持部16Bがモータハウジング部12Bの上側に離間して配置されており、集塵機10の運搬時等では、作業者が把持部16Bを把持するようになっている。ハンドル16の上端は、ハウジング12(ファンハウジング部12A)の上端よりも若干上側に配置されており、上下方向におけるハンドル16の配置範囲の大半がファンハウジング部12Aの上端部と重なる位置に配置されている。また、左右方向におけるバッテリ22の配置範囲の全体が、ハンドル16の把持部16Bの全体と重なる位置に配置されている(
図7参照)。さらに、左右方向から見て、ハンドル16がバッテリ22の前後方向の略中央部に位置するように、ハンドル16の位置が設定されている。
【0027】
把持部16Bの上面の長手方向中間部には、集塵機10を作動させるための操作パネル18が設けられており、操作パネル18は、下側へ押圧操作可能に構成されている。把持部16Bの内部には、操作パネル18の下側において、スイッチ機構部(図示省略)が設けられており、スイッチ機構部には、操作パネル18の操作時に作動するスイッチ(図示省略)が設けられている。スイッチは、コントローラ36に電気的に接続されており、操作パネル18の操作時には、スイッチからコントローラ36にオン信号が出力される。
【0028】
(モータ30について)
モータ30は、モータハウジング部12B内に収容されている。すなわち、モータ30は、バッテリ22の上側で且つハンドル16の下側に配置されている。より詳しくは、左右方向におけるモータ30の配置範囲が、ハンドル16の把持部16Bの全体と重なる位置に配置されている(
図7参照)。換言すると、平面視で、ハンドル16の把持部16B、モータ30、及びバッテリ22が、重なっている。モータ30は、前後方向を軸方向とする駆動軸30Aを有しており、駆動軸30Aの後端部が、モータカバー部12Kに保持された軸受32によって回転可能に支持され、駆動軸30Aの前端側部分が区画壁12Dに保持された軸受34によって回転可能に支持されている。駆動軸30Aは、吸気管12Fと略同軸上に位置しており、駆動軸30Aの前端部が、連通孔12Eを挿通してファンハウジング部12Aのボリュート室12C内に配置されている。モータ30は、コントローラ36(
図6参照)に電気的に接続されており、コントローラ36の制御によってモータ30が駆動する。具体的には、モータ30の駆動時には、駆動軸30Aが、自身の軸回りを回転方向一方側(
図4の矢印A方向側)へ回転するようになっている。コントローラ36は、モータ30の右側において、モータハウジング部12Bに収容されている。
【0029】
(ファン38について)
ファン38は、ハウジング12のボリュート室12Cに収容されている。ファン38は、所謂遠心ファンとして構成されている。具体的には、ファン38は、ファンベース38Aと、複数のインペラ38Bと、を含んで構成されている。ファンベース38Aは、前後方向を板厚方向とする略円板状に形成されている。ファンベース38Aの中央部には、取付ボス38Cが形成されており、取付ボス38Cは、ファンベース38Aから前側へ突出した略円筒状に形成されている。そして、駆動軸30Aが取付ボス38C内に後側から挿入され、固定ボルト40によって、取付ボス38Cが駆動軸30Aに固定されている。これにより、ファン38が、駆動軸30Aと一体回転可能に連結されている。
【0030】
インペラ38Bは、取付ボス38Cからファンベース38Aの径方向外側へ延出されると共に、ファンベース38Aの周方向を板厚方向とするプレート状に形成されている。すなわち、インペラ38Bは、ファンベース38Aから前側へ突出している。インペラ38Bは、前側から見て、ファンベース38Aの径方向外側へ向かうに従い駆動軸30Aの回転方向他方側へ傾斜すると共に、略円弧状に湾曲している。そして、複数のインペラ38Bが、ファンベース38Aの周方向に所定角度毎に並んで配置されている。
【0031】
また、ファン38は、ファンハウジング部12Aにおける排気管12Gとの接続部との下側に配置されている。そして、ファン38が、モータ30の駆動軸30Aと共に回転方向一方側へ回転すると、インペラ38Bの回転によって、ファン38の周方向一方側へ流れる空気流AR(
図4参照)が発生する。具体的には、空気流ARが、吸気管12Fの吸気口12F1からボリュート室12Cに流入され、ボリュート室12Cに流入された空気流ARが、排気管12Gの排気口12G1から排気される。
【0032】
(キャップ50について)
図2~
図6、及び
図8に示されるように、キャップ50は、ハウジング12の吸気管12Fに取付けられて、吸気口12F1を開閉する蓋として構成されている。キャップ50は、導電性及び可撓性を有する材料によって構成されている。本実施形態では、キャップ50が、導電性ゴム(ゴム材(EPDM)に、カーボンブラック等のフィラーを混合したもの)によって構成され、キャップ50の抵抗が10の12乗オーム以下(好ましくは、10の4乗オーム以下)に設定されている。
【0033】
キャップ50は、ハウジング12の吸気管12Fに取付けられる取付筒部52と、吸気管12Fの吸気口12F1を開閉する可動キャップ部54と、を含んで構成されている。取付筒部52は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。そして、吸気管12Fの前部が、取付筒部52の後部内に後側から嵌入されて、取付筒部52が吸気管12Fに取付けられている。取付筒部52の後端側の内周面には、係合リブ52Aが形成されている。係合リブ52Aは、取付筒部52の周方向に沿って延在されると共に、取付筒部52の全周に亘って形成されている。係合リブ52Aは、吸気管12Fの係合溝12F2に嵌入されて、係合リブ52A及び係合溝12F2が前後方向に係合している。これにより、前後方向における取付筒部52の移動が制限されている。また、取付筒部52の前端部の内周面には、径方向内側へ突出した固定側係合フック52Bが形成されており、固定側係合フック52Bは、取付筒部52の全周に亘って延在されている。
【0034】
可動キャップ部54は、取付筒部52の前端部に着脱可能に構成されたキャップ本体54Bを有しており、キャップ本体54Bが取付筒部52に着脱されることで、キャップ50の状態が切替わるようになっている。具体的には、キャップ本体54Bを取付筒部52に取付けることで、キャップ50が吸気口12F1を閉塞する閉塞状態(
図3~
図6に示される状態)になり、キャップ本体54Bを取付筒部52から取外すことで、キャップ50が吸気口12F1を開口させる開口状態(
図2及び
図8に示される状態)になるように構成されている。そして、集塵装置10による集塵作業時には、キャップ50を開口状態にし、集塵作業完了後の保管時等では、キャップ50を閉塞状態にする。以下、開口状態のキャップ50を用いて可動キャップ部54の構成について説明する。
【0035】
可動キャップ部54は、取付筒部52の前端側部分から取付筒部52の径方向外側(詳しくは、下側)へ延出している。可動キャップ部54は、可動キャップ部54の基端部を構成するヒンジ部54Aと、可動キャップ部54の長手方向中間部を構成するキャップ本体54Bと、可動キャップ部54の先端部を構成する接地部としての接地つまみ部54Cと、を含んで構成されている。
【0036】
ヒンジ部54Aは、左右方向を幅方向とし且つ上下方向を長手方向とする略矩形板状に形成されており、取付筒部52の前端側部分から下側へ延出している。キャップ本体54Bは、前後方向を板厚方向とする略円板状に形成されており、ヒンジ部54Aの下端部が、キャップ本体54Bの上端外周部に接続されている。キャップ本体54Bの外径は、取付筒部52の外径と略一致しており、ヒンジ部54Aの幅寸法よりも大きく設定されている。キャップ本体54Bの外周部には、嵌合筒部54B1が形成されており、嵌合筒部54B1は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、キャップ本体54Bの前側へ突出している。嵌合筒部54B1の先端部には、径方向外側へ突出した可動側係合フック54B2が形成されており、可動側係合フック54B2は、嵌合筒部54B1の全周に亘って延在されている。
【0037】
キャップ50の閉塞状態では、ヒンジ部54Aが側面視で略U字形状になるように上側へ折り曲げられ、キャップ本体54Bが、前後方向に反転した姿勢になると共に、取付筒部52の前端部に取付けられて取付筒部52の開口部を閉塞する。具体的には、キャップ本体54Bが取付筒部52の前側に隣接配置されると共に、嵌合筒部54B1が取付筒部52の前端部内に嵌入される。また、キャップ50の閉塞状態では、可動側係合フック54B2が、固定側係合フック52Bの後側に隣接配置されて、可動側係合フック54B2及び固定側係合フック52Bが前後方向に係合する。これにより、キャップ50の閉塞状態が維持されるようになっている。
【0038】
接地つまみ部54Cは、ヒンジ部54Aと同様に、左右方向を幅方向とし且つ上下方向を長手方向とする略矩形板状に形成され、キャップ本体54Bの下端外周部から下側へ延出している。接地つまみ部54Cの幅寸法は、ヒンジ部54Aの幅寸法と略同じに設定されている。そして、キャップ50の閉塞状態では、接地つまみ部54Cが、キャップ本体54Bから上側へ突出する。これにより、作業者によって接地つまみ部54Cを把持して、キャップ50の状態に切替えるようになっている。
【0039】
また、可動キャップ部54の延出長さL(
図2及び
図8参照)が、上下方向における取付筒部52とフレーム部14の下端との間の離間距離H(
図5参照)よりも長く設定されている。このため、集塵装置10の集塵作業時に集塵機10が地面GRに載置されたときには、可動キャップ部54の接地つまみ部54Cが地面GRに当接して、キャップ50が地面GRに接地されるようになっている(
図2参照)。すなわち、キャップ50が地面GRに接地されるアース部材として機能するように構成されている。
【0040】
(ホース60について)
図2に示されるように、ホース60は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。そして、ホース60の一端部が、図示しない丸鋸等の切断機に接続される。一方、ホース60の他端部は、開口状態のキャップ50における取付筒部52内に前側から嵌入されて、キャップ50に接続される。これにより、ファン38が回転することで発生する空気流ARによって、切断加工時に生じる粉塵を吸気管12Fからボリュート室12C内に吸引して、排気口12G1からダストバッグ70へ排出するようになっている。
【0041】
(作用効果)
上記のように構成された集塵装置1による集塵作業時には、キャップ本体54Bを取付筒部52から取外し、キャップ50を開口状態にする。また、ホース60の一端部を丸鋸等の切断機に取付け、ホース60の他端部をキャップ50の取付筒部52に取付ける。さらに、排気管12Gにダストバッグ70を取付ける。
【0042】
そして、作業者が操作パネル18を操作することでモータ30が駆動し、ファン38が駆動軸30Aの軸回りを回転方向一方側へ回転する。これにより、空気流ARが吸気管12Fの吸気口12F1からボリュート室12Cへ流入される。ボリュート室12Cに流入された空気流ARは、ファン38の回転によって、ファン38の周方向へ流れると共に、排気管12Gに流入され、排気管12Gの排気口12G1からダストバッグ70内に吹き出される。これにより、切断加工時等に生じる粉塵をダストバッグ70内に集めることができる。
【0043】
ところで、集塵装置1による集塵作業完了後では、集塵機10からホース60を取外して、集塵機10と丸鋸等の切断機との連結を解除する。このときには、集塵機10のボリュート室12C内に残留した粉塵が、吸気口12F1からハウジング12の外部に排出される可能性がある。そして、粉塵が吸気口12F1からハウジング12の外部に排出された場合には、作業者によって、外部に排出された粉塵を再度集めて処理する必要があり、作業性が低下する。
【0044】
ここで、ハウジング12の吸気管12Fには、キャップ50が取付けられており、キャップ50は、吸気管12Fの吸気口12F1を開口する開口状態又は吸気口12F1を閉塞する閉塞状態に切替可能に構成されている。これにより、集塵装置1による集塵作業の終了後には、キャップ50を閉塞状態にして、キャップ50によって吸気口12F1を閉塞することで、ハウジング12(ボリュート室12C)に残留した粉塵が、吸気口12F1からハウジング12の外部に流出することを抑制できる。したがって、作業性を向上することができる。
【0045】
また、キャップ50は、導電性を有する導電性ゴムによって構成されている。そして、集塵装置1の集塵作業時には、キャップ50を開口状態にし、且つフレーム部14を地面GRに載置する。このときには、キャップ50の接地つまみ部54Cが地面GRに当接する。これにより、集塵作業中に集塵機10に帯電する静電気をキャップ50によって放電することができる。すなわち、集塵作業中では、ホース60とキャップ50との間の摩擦などによって静電気が発生して、静電気がキャップ50に帯電するが、上述のように、集塵作業時には、キャップ50が開口状態になり、キャップ50の接地つまみ部54Cが地面GRに当接する。すなわち、導電性ゴムによって構成されたキャップ50がアース接地される。これにより、吸気口12F1を閉塞するためのキャップ50を活用して、集塵作業中に集塵機10に帯電された静電気を放電することができる。よって、静電気を放電するためのアース部材を別途設けることなく、静電気を放電することができる。したがって、集塵装置1のコストダウンに寄与することができる。
【0046】
また、キャップ50は、導電性ゴムにて構成されている。このため、キャップ50を比較的安価に製作することができる。これにより、集塵装置1のコストダウンに一層寄与することができる。
【0047】
また、キャップ50は、ハウジング12の吸気管12Fに取付けられる取付筒部52と、キャップ50の開口状態において取付筒部52から下側へ延出した可動キャップ部54と、を含んで構成されている。そして、可動キャップ部54の延出長さLが、上下方向におけるフレーム部14の下端と取付筒部52との間の離間距離Hよりも長く設定されている。これにより、集塵作業中に、可動キャップ部54の接地つまみ部54Cを地面GRに当接させつつ、可動キャップ部54を撓み変形させることができる。したがって、集塵作業中に、可動キャップ部54の地面GRへの当接状態を良好に維持できる。
【0048】
また、キャップ50が単一部材で構成されている。すなわち、取付筒部52と可動キャップ部54とが一体に形成されている。これにより、取付筒部52と可動キャップ部54とを別体で構成した場合と比べて、キャップ50を安価に製作することができる。したがって、集塵装置1のコストダウンを効果的に図ることができる。
【0049】
また、可動キャップ部54は、可動キャップ部54の基端部を構成する板状のヒンジ部54Aと、可動キャップ部54の先端部を構成する板状の接地つまみ部54Cと、取付筒部52の前端部に着脱可能に取付けられる円板状のキャップ本体54Bと、を含んで構成されている。そして、ヒンジ部54A及び接地つまみ部54Cの幅寸法が、キャップ本体54Bの直径よりも小さく設定されている。これにより、キャップ50の開口状態では、キャップ本体54Bの剛性を確保しつつ、ヒンジ部54A及び接地つまみ部54Cを撓み変形可能に構成できる。その結果、キャップ50の開口状態時に、ヒンジ部54A及び接地つまみ部54Cを撓み変形させて、可動キャップ部54を地面GRに当接させることができ、キャップ50の閉塞状態時に、ヒンジ部54Aを屈曲させて、キャップ本体54Bを取付筒部52に取付けることができる。
【0050】
なお、本実施の形態では、キャップ50において、取付筒部52と可動キャップ部54とが一体に形成されているが、
図9に示されるように、取付筒部52と可動キャップ部54とを別体に形成し、両者を互いに接続して、キャップ50を一体化してもよい。この場合には、例えば、取付筒部52を導電性樹脂(樹脂材に、カーボン等のフィラーを混合したもの)にて形成し、可動キャップ部54を導電性ゴムにて形成してもよい。これにより、例えば、ハウジング12に取付けられる取付筒部52の剛性を高くすることができる。
【0051】
また、本実施の形態のホース60の内周面を、導電性を有する材料で構成してもよい。これにより、例えば、キャップ50の取付筒部52に取付けられたホース60によって、地面GRに落下された粉塵を集塵するときには、ホース60の端部が地面GRに当接することで、ホース60に帯電された静電気を放電することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 集塵装置(作業機)
10 集塵機(本体部)
12 ハウジング
12F1 吸気口
12G1 排気口
30 モータ(駆動部)
38 ファン
50 キャップ
52 取付筒部
54 可動キャップ部
54A ヒンジ部
54B キャップ本体
54C 接地つまみ部(接地部)
60 ホース
70 ダストバッグ(集塵部)
GR 地面
H 上下方向における本体部の下端と取付筒部との間の離間距離
L 可動キャップ部の延出長さ