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特開2023-176324コントローラ、制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176324
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】コントローラ、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B67C 3/28 20060101AFI20231206BHJP
   B65B 3/26 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B67C3/28
B65B3/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088550
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】美馬 恒治
(72)【発明者】
【氏名】三輪 和矢
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 俊也
(72)【発明者】
【氏名】平川 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】人見 繁
(72)【発明者】
【氏名】秋元 幸浩
(72)【発明者】
【氏名】杉山 大貴
【テーマコード(参考)】
3E079
3E118
【Fターム(参考)】
3E079AA02
3E079AA10
3E079AB01
3E079AB02
3E079CC01
3E079CD42
3E079CD50
3E118AA02
3E118AA07
3E118AB14
3E118BA01
3E118BB02
3E118CA15
3E118DA05
3E118EA01
3E118FA03
3E118FA07
(57)【要約】
【課題】容器内の液体量のばらつきを低減する。
【解決手段】コントローラは、取得部と、予測部と、調整部と、を備える。取得部は、容器内の液体量に影響する1以上のパラメータの計測結果を示す第1データと容器内の液体量の計測結果を示す第2データとを取得する。予測部は、少なくとも1以上のパラメータの実績と容器内の液体量の実績とを示す1以上の訓練データセットを用いた機械学習によって生成された予測モデルに第1データおよび第2データを入力することによって、容器内の液体量の予測値を求める。調整部は、予測値に基づいて、充填機の動作条件を調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に液体を充填する充填機を制御するコントローラであって、
前記容器内の液体量に影響する1以上のパラメータの計測結果を示す第1データと前記容器内の液体量の計測結果を示す第2データとを取得する取得部と、
少なくとも前記1以上のパラメータの実績と前記容器内の液体量の実績とを示す1以上の訓練データセットを用いた機械学習によって生成された予測モデルに前記第1データおよび前記第2データを入力することによって、前記容器内の液体量の予測値を求める予測部と、
前記予測値に基づいて、前記充填機の動作条件を調整する調整部と、を備えるコントローラ。
【請求項2】
前記1以上の訓練データセットの各々は、第1期間における前記1以上のパラメータの各々の平均と、前記第1期間において前記液体が充填された前記容器内の液体量の平均と、前記第1期間よりも後の第2期間において前記液体が充填された前記容器内の液体量の平均とを示し、
前記第1データは、前記第1期間と同じ時間長さを有する対象期間における前記1以上のパラメータの各々の平均を示し、
前記第2データは、前記対象期間において前記液体が充填された前記容器内の液体量の平均を示す、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記1以上のパラメータは、前記充填機の動作に関するパラメータ、前記充填機の外部環境に関するパラメータおよび前記液体の特性に関するパラメータの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記機械学習は、木構造の学習アルゴリズムを用いる、請求項1または2に記載のコントローラ。
【請求項5】
容器に液体を充填する充填機を制御するための制御方法であって、
前記容器内の液体量に影響する1以上のパラメータの計測結果を示す第1データと前記容器内の液体量の計測結果を示す第2データとを取得するステップと、
少なくとも前記1以上のパラメータの実績と前記容器内の液体量の実績とを示す1以上の訓練データセットを用いた機械学習によって生成された予測モデルに前記第1データおよび前記第2データを入力することによって、前記容器内の液体量の予測値を求めるステップと、
前記予測値に基づいて、前記充填機の動作条件を調整するステップと、を備える制御方法。
【請求項6】
容器に液体を充填する充填機を制御するためのプログラムであって、
コンピュータに、
前記容器内の液体量に影響する1以上のパラメータの計測結果を示す第1データと前記容器内の液体量の計測結果を示す第2データとを取得するステップと、
少なくとも前記1以上のパラメータの実績と前記容器内の液体量の実績とを示す1以上の訓練データセットを用いた機械学習によって生成された予測モデルに前記第1データおよび前記第2データを入力することによって、前記容器内の液体量の予測値を求めるステップと、
前記予測値に基づいて、前記充填機の動作条件を調整するステップと、を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コントローラ、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビール、茶、水等の飲料に例示される液体は、容器に充填された状態で出荷される。容器内の液体量は、一定範囲に収まるように制御される。一定範囲外の液体量が充填された容器は、不良品として判別される。不良品が増加すると生産効率が低下する。そのため、特開2001-240004号公報(特許文献1)は、容器内の液体量の計測値と予め設定した値とに一定の差異があるときに、計測値に基づき演算された新たな設定値により充填バルブをコントロールする液体充填装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-240004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術では、計測値と予め設定した値とに一定の差異が生じるまで、充填バルブの動作条件が変更されない。そのため、液体量のばらつきの低減には限界があった。その結果、生産効率の低減にも限界があった。
【0005】
本開示は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、容器内の液体量のばらつきを低減することが可能なコントローラ、制御方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係るコントローラは、容器に液体を充填する充填機を制御する。コントローラは、取得部と、予測部と、調整部と、を備える。取得部は、容器内の液体量に影響する1以上のパラメータの計測結果を示す第1データと容器内の液体量の計測結果を示す第2データとを取得する。予測部は、少なくとも1以上のパラメータの実績と容器内の液体量の実績とを示す1以上の訓練データセットを用いた機械学習によって生成された予測モデルに第1データおよび第2データを入力することによって、容器内の液体量の予測値を求める。調整部は、予測値に基づいて、充填機の動作条件を調整する。
【0007】
この開示によれば、予測モデルは、液体量の計測結果を示す第2データだけでなく、容器内の液体量に影響する1以上のパラメータの計測結果を示す第1データの入力を受け、未来に液体が充填される容器内の液体量の予測値を出力する。そのため、予測モデルの予測精度が高い。その結果、予測値に基づいて充填機の動作条件が調整されることにより、容器内の液体量のばらつきを低減できる。
【0008】
上述の開示において、1以上の訓練データセットの各々は、第1期間における1以上のパラメータの各々の平均と、第1期間において液体が充填された容器内の液体量の平均と、第1期間よりも後の第2期間において液体が充填された容器内の液体量の平均とを示す。第1データは、第1期間と同じ時間長さを有する対象期間における1以上のパラメータの各々の平均を示す。第2データは、対象期間において液体が充填された容器内の液体量の平均を示す。
【0009】
1以上のパラメータおよび液体量の計測結果にはノイズ成分が含まれる。しかしながら、上記の開示によれば、対象期間における1以上のパラメータの各々の平均を示す第1データと、対象期間において液体が充填された容器内の液体量の平均を示す第2データとを用いるため、1以上のパラメータおよび液体量の計測結果に含まれるノイズ成分の変動の影響が抑制される。これにより、予測モデルの予測精度がさらに向上し、容器内の液体量のばらつきがより一層低減する。
【0010】
上述の開示において、1以上のパラメータは、充填機の動作に関するパラメータ、充填機の外部環境に関するパラメータおよび液体の特性に関するパラメータの少なくとも1つを含む。上記の開示によれば、予測モデルの予測精度がさらに向上する。
【0011】
上述の開示において、機械学習として、例えば、木構造の学習アルゴリズムが用いられ得る。
【0012】
本開示の一側面に係る、容器に液体を充填する充填機を制御するための制御方法は、第1~第3のステップを備える。第1のステップは、容器内の液体量に影響する1以上のパラメータの計測結果を示す第1データと容器内の液体量の計測結果を示す第2データとを取得するステップである。第2のステップは、少なくとも1以上のパラメータの実績と容器内の液体量の実績とを示す1以上の訓練データセットを用いた機械学習によって生成された予測モデルに第1データおよび第2データを入力することによって、容器内の液体量の予測値を求めるステップである。第3のステップは、予測値に基づいて、充填機の動作条件を調整するステップである。
【0013】
本開示の一側面に係るプログラムは、上記の制御方法をコンピュータに実行させる。これらの開示によっても、容器内の液体量のばらつきを低減できる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、容器内の液体量のばらつきを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態に係るシステムを示す概略図である。
図2】充填設備の構成の一例を示す図である。
図3】充填バルブの構造の一例を示した模式断面図である。
図4】実施の形態に係るコントローラのハードウェア構成例を示すブロック図である。
図5】実施の形態に係る学習装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図6】学習装置の機能構成の一例を示す図である。
図7】収集部の処理を説明する図である。
図8】訓練データセットを示す図である。
図9】コントローラの機能構成の一例を示す図である。
図10】コントローラの処理を説明する図である。
図11】液体量のばらつきを示す図である。
図12】画面データ生成部によって生成された画面データに基づいて表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0017】
<A.適用例>
図1を参照して、本発明が適用される場面の一例について説明する。図1は、実施の形態に係るシステムを示す概略図である。図1に示すシステム1は、コントローラ100と、学習装置200と、表示装置300と、充填設備400と、を備える。コントローラ100および学習装置200と充填設備400とは、フィールドバス4によって通信可能に接続される。
【0018】
充填設備400は、液体を容器に充填する。例えば、液体は、ビール、ビール以外の発泡性飲料、ジュース、茶、水、ビール以外のアルコール飲料、調味料、油、化学製品、医薬品、化粧品などを含む。
【0019】
充填設備400は、充填機410と、監視盤420と、液体量検査装置430と、を含む。
【0020】
充填機410は、液体を容器に充填させる。監視盤420は、充填機410の外部環境、液体の状態などを監視する。液体量検査装置430は、容器内の液体量を計測する。容器内の液体量は、「入味量」とも称される場合がある。
【0021】
学習装置200は、学習フェーズにおいて動作し、少なくとも容器内の液体量に影響する1以上のパラメータの実績と容器内の液体量の実績とを示す1以上の訓練データセットを用いた機械学習によって、予測モデル112を生成する。学習フェーズは、充填設備400の試運転の期間、あるいは、充填設備400の立ち上げ後の一定期間に設定される。
【0022】
1以上のパラメータは、例えば、充填機410の動作に関するパラメータ、充填機410の外部環境に関するパラメータ、液体の特性に関するパラメータなどを含み、充填機410および監視盤420から取得される。容器内の液体量の実績は、液体量検査装置430から取得される。学習フェーズにおいて生成された予測モデル112は、コントローラ100に提供される。
【0023】
コントローラ100は、学習フェーズ後の運用フェーズにおいて、充填機410を制御する処理として、以下のステップ(1)~(3)を実行する。
ステップ(1):上記の1以上のパラメータの計測結果を示す第1データと、容器内の液体量の計測結果を示す第2データとを取得する。
ステップ(2):予測モデル112に第1データおよび第2データを入力することによって、容器内の液体量の予測値を求める。
ステップ(3):予測値に基づいて、充填機410の動作条件を調整する。
【0024】
表示装置300は、コントローラ100と接続され、コントローラ100による制御状況を示す画面を表示する。
【0025】
本実施の形態に係るシステム1によれば、予測モデル112を用いて液体量の予測値が求められ、予測値に基づいて充填機410の動作条件が調整される。これにより、容器内の液体量のばらつきが低減する。
【0026】
<B.充填設備>
図2は、充填設備の構成の一例を示す図である。図2に示されるように、充填設備400は、充填機410と、監視盤420と、液体量検査装置430と、洗浄機440と、を含む。
【0027】
洗浄機440は、容器2を洗浄する。容器2は、例えば、缶、ビン、PET(ポリエチレンテレフタレート)ボトル、樽、紙パック、パウチである。洗浄機440によって洗浄された容器2は、充填機410に搬送される。
【0028】
充填機410は、回転駆動される回転部材414と、回転部材414の周上に等ピッチで配置された複数の充填バルブ412と、充填機410の制御盤としての制御盤416とを含む。
【0029】
図3は、充填バルブの構造の一例を示した模式断面図である。充填バルブ412は、エアーシリンダー451、流量計452、送液管453、ヘッドタンク454およびノズル部455を有する。送液管453により、ヘッドタンク454とノズル部455とが接続される。送液管453には、途中に流量計452が配設されている。ヘッドタンク454には、送液管456を介してサージタンク(非表示)から供給された液体が貯留される。ノズル部455は、ヘッドタンク454から送液管453を介して供給された液体を充填口へと通流させる流路、流路に配設されたリキッドバルブ457を有している。
【0030】
制御盤416(図2参照)は、リキッドバルブ457を開閉させる。これにより、液体は充填口から容器把持部458に把持されている容器2に充填される。制御盤416は、流量計452による計測量が予め設定された目標流量に到達したタイミングで、リキッドバルブ457を閉じる。
【0031】
制御盤416は、コントローラ100から補正値を受け付け可能である。制御盤416は、補正値を受け付けると、補正値だけ目標流量を補正する。
【0032】
液体が充填された容器2は、容器把持部458からキャンフィードチェーン(非表示)に排出され、密封装置(非表示)に搬送されて缶蓋、王冠、キャップ、その他、容器に応じた方法で密封される。
【0033】
制御盤416は、充填機410の動作に関するパラメータの値を出力する。充填機410の動作に関するパラメータには、例えば、流量計452による計測量、リキッドバルブ457を開いてから流量計452がカウントを開始するまでの時間差(「液弁開遅れ時間」)リキッドバルブ457を閉じてから流量計452がカウントを終了するまでの時間差(「液弁閉遅れ時間」)などが含まれる。
【0034】
図2に示す監視盤420は、充填機410の外部環境、液体の状態などを監視する。具体的には、監視盤420は、充填機410の外部環境に関するパラメータ、液体の特性に関するパラメータなどを計測し、計測結果をコントローラ100に出力する。充填機410の外部環境に関するパラメータには、外気温度、洗浄機440に使用するリンサー水の温度などが含まれる。液体の特性に関するパラメータには、液温などが含まれる。
【0035】
液体量検査装置430は、液体が充填された容器2内の液体量を計測する。液体量検査装置430は、容器2ごとの液体量の計測結果を出力する。液体量は、体積、重量、液面高さ等によって表される。液体量検査装置430として、従来公知の検査装置が適用され得る。例えば、液体量検査装置430は、X線ラインセンサ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ラインセンサカメラ、ウェイトチェッカーなどによって構成される。容器2が不透明の缶である場合、液体量検査装置430は、X線ラインセンサによって構成される。例えば、液体量検査装置430は、X線ラインセンサで計測された容器2内の液面高さと予め定められた基準高さとの差を液体量として出力する。容器2がビンのように透明である場合、液体量検査装置430は、デジタルカメラ、ビデオカメラなどによって得られる画像を用いて液体量を計測してもよい。
【0036】
液体量検査装置430は、充填機410によって液体が容器2に充填されてから時間Δtだけ経過した後に、容器2の液体量を計測する。
【0037】
<C.コントローラのハードウェア構成>
図4は、実施の形態に係るコントローラのハードウェア構成例を示すブロック図である。コントローラ100は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)、IPC(Industrial Personal Computer)などによって構成される。図4に示されるように、コントローラ100は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)などのプロセッサ101と、チップセット102と、主メモリ103と、ストレージ104と、フィールドバスコントローラ105と、ネットワークコントローラ106と、USBコントローラ107と、メモリカードインターフェイス108とを含む。
【0038】
プロセッサ101は、ストレージ104に格納された各種プログラムを読み出して、主メモリ103に展開して実行することで、制御対象を制御するための制御演算を実現する。チップセット102は、プロセッサ101と各コンポーネントとのデータ伝送などを制御する。
【0039】
ストレージ104には、制御プログラム111と、学習装置200によって生成された予測モデル112とが格納される。制御プログラム111は、充填設備400からの各種データの収集、充填機410を制御するための演算、充填設備400へのデータの出力などを実行するための命令群を含む。
【0040】
フィールドバスコントローラ105は、フィールドバス4を介して、制御対象となる充填設備400とのデータのやり取りを制御する。
【0041】
ネットワークコントローラ106は、上位ネットワークを介して、各種の機器とのデータのやり取りを制御する。
【0042】
USBコントローラ107は、USB接続を介した外部装置(例えば、表示装置300)とのデータのやり取りを制御する。
【0043】
メモリカードインターフェイス108は、メモリカード120を着脱可能に構成されており、メモリカード120に対してデータを書き込み、メモリカード120から各種データ(制御プログラム111など)を読み出すことが可能になっている。
【0044】
図4には、プロセッサ101がプログラムを実行することで必要な処理が提供される構成例を示したが、これらの提供される処理の一部または全部を、専用の1以上のハードウェア回路(例えば、ASICまたはFPGAなど)を用いて実装してもよい。あるいは、コントローラ100の主要部を、汎用的なアーキテクチャに従うハードウェア(例えば、汎用パソコンをベースとした産業用パソコン)を用いて実現してもよい。この場合には、仮想化技術を用いて、用途の異なる複数のOSを並列的に実行させるとともに、各OS上で必要なアプリケーションを実行させるようにしてもよい。また、ストレージ104には、データベース管理用のソフトウェアであるデータベース管理システムが格納されており、コントローラ100における情報処理のために当該データベース管理システムが利用されてもよい。
【0045】
<D.学習装置のハードウェア構成>
図5は、実施の形態に係る学習装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。学習装置200は、例えばIPC、汎用のコンピュータ装置等によって構成される。図5に示されるように、学習装置200は、CPUやMPUなどのプロセッサ201と、チップセット202と、主メモリ203と、ストレージ204と、フィールドバスコントローラ205と、ネットワークコントローラ206と、USBコントローラ207と、メモリカードインターフェイス208とを含む。
【0046】
プロセッサ201は、ストレージ204に格納された各種プログラムを読み出して、主メモリ203に展開して実行することで、制御対象を制御するための制御演算を実現する。チップセット202は、プロセッサ201と各コンポーネントとのデータ伝送などを制御する。
【0047】
ストレージ204には、充填設備400から各種のデータを収集する収集プログラム211と、モデル生成プログラム212とが格納される。
【0048】
フィールドバスコントローラ205は、フィールドバス4を介して、充填設備400とのデータのやり取りを制御する。
【0049】
ネットワークコントローラ206は、ネットワークを介して、各種の機器とのデータのやり取りを制御する。USBコントローラ207は、USB接続を介した外部装置とのデータのやり取りを制御する。
【0050】
メモリカードインターフェイス208は、メモリカード220を着脱可能に構成されており、メモリカード220に対してデータを書き込み、メモリカード220から各種データを読み出すことが可能になっている。
【0051】
図5には、プロセッサ201がプログラムを実行することで必要な処理が提供される構成例を示したが、これらの提供される処理の一部または全部を、専用の1以上のハードウェア回路(例えば、ASICまたはFPGAなど)を用いて実装してもよい。あるいは、学習装置200の主要部を、汎用的なアーキテクチャに従うハードウェア(例えば、汎用パソコンをベースとした産業用パソコン)を用いて実現してもよい。この場合には、仮想化技術を用いて、用途の異なる複数のOSを並列的に実行させるとともに、各OS上で必要なアプリケーションを実行させるようにしてもよい。
【0052】
<E.学習装置の機能構成>
図6は、学習装置の機能構成の一例を示す図である。図6に示されるように、学習装置200は、収集部21と、モデル生成部22とを備える。収集部21は、図5に示すプロセッサ201が収集プログラム211を実行することにより実現される。モデル生成部22は、プロセッサ201がモデル生成プログラム212を実行することにより実現される。
【0053】
収集部21は、充填設備400から、容器ごとに、当該容器2内の液体量に影響する1以上のパラメータの値と、当該容器2内の液体量の値とを収集する。
【0054】
モデル生成部22は、1以上のパラメータおよび容器2内の液体量の実績を示す1以上の訓練データセットを用いた機械学習によって、予測モデル112を生成する。
【0055】
モデル生成部22は、収集部21によって収集された、容器2ごとの1以上のパラメータおよび液体量の値から、1以上の訓練データセットを抽出する。
【0056】
図7は、収集部によって収集されるデータを示す図である。図7に示されるように、収集部21は、充填機410および監視盤420から、複数の充填バルブ412の各々について、当該充填バルブ412に関する1以上のパラメータの値を収集する。収集部21は、複数の充填バルブ412の各々について、当該充填バルブ412によって液体が充填された容器2の液体量の値を液体量検査装置430から収集する。図2を参照して説明したように、充填機410によって液体が容器2に充填されてから、容器2の液体量が計測されるまでの時間はΔtである。すなわち、ある容器2について、当該容器2に液体が充填されたときの1以上のパラメータの値が収集されるタイミングと、当該容器2の液体量の値が収集されるタイミングとの時間差はΔtである。そのため、モデル生成部22は、訓練データセットを抽出する前処理として、容器2ごとに1以上のパラメータの値と液体量の値とを紐付ける処理を実行する。
【0057】
図8は、訓練データセットを示す図である。複数の充填バルブ412の各々について訓練データセットが生成される。訓練データセットは、説明変数と目的変数とを示す。説明変数は、一定の時間長さT1を有する第1期間Taにおける、対応する充填バルブ412に関する1以上のパラメータの各々の平均、および、第1期間Taにおいて対応する充填バルブ412によって液体が充填された容器2内の液体量の平均を含む。目的変数は、第1期間Taの終了タイミングから予め定められた時間T3だけ経過した後の第2期間Tb(時間長さT2を有する)において、対応する充填バルブ412によって液体が充填された容器2内の液体量の平均を含む。モデル生成部22は、第1期間Taの開始タイミングが互いに異なる1以上の訓練データセットを抽出する。なお、モデル生成部22は、ある訓練データセットの第1期間Taの一部が別の訓練データセットの第1期間Taと重複するように複数の訓練データセットを抽出してもよいし、第1期間Taが互いに重複しないように複数の訓練データセットを抽出してもよい。
【0058】
時間長さT1,T2および時間T3は、充填設備400、液体の種類、容器2の種類等に応じて適宜設定される。時間長さT1は、例えば、10秒、30秒、1分、5分、10分、30分、1時間などである。時間長さT2は、時間長さT1と時間T3との和である。時間T3は、目標流量に対する補正値の決定および充填機410への反映に要する時間よりも長く、例えば、30秒、45秒、1分などである。
【0059】
モデル生成部22は、1以上の訓練データセットを用いた機械学習を実行することにより、予測モデル112を生成する。モデル生成部22は、複数の充填バルブ412に共通した1つの予測モデル112を生成する。あるいは、モデル生成部22は、複数の充填バルブ412の各々について予測モデル112を生成してもよい。
【0060】
生成された予測モデル112は、コントローラ100に送られる。例えば、モデル生成部22は、ネットワークコントローラ206またはUSBコントローラ207を介して、生成した予測モデル112をコントローラ100に送信してもよい。あるいは、予測モデル112は、メモリカードインターフェイス208を介して、メモリカード220に予測モデル112を格納してもよい。この場合、ユーザは、メモリカード220をコントローラ100に接続することにより、予測モデル112をコントローラ100にインストールすればよい。
【0061】
予測モデル112は、容器2内の液体量に影響する1以上のパラメータの計測結果を示す第1データと容器2内の液体量の計測結果を示す第2データとの入力を受けて、未来に液体が充填される容器2内の液体量の予測値を出力する。
【0062】
学習アルゴリズムとして、サポートベクター回帰、ディープラーニング、木構造の学習アルゴリズム(例えば、ランダムフォレスト)などの公知のアルゴリズムが採用され得る。予測モデル112の予測精度が良好となる学習アルゴリズムを用いれば良い。予測精度は、例えば、予測値と実測値との差の平均2乗誤差によって表される。
【0063】
液体としてビールを用いた充填設備400に関して予測精度を確認したところ、木構造の学習アルゴリズムであるランダムフォレストを用いた機械学習により生成された予測モデル112の予測精度は、サポートベクター回帰、ディープラーニンを用いたときの予測精度よりも優れていた。そのため、木構造の学習アルゴリズム(例えば、ランダムフォレスト)を用いることが好ましい。
【0064】
ランダムフォレストを用いた機械学習の場合、予測モデル112の容量は、木の数および木の深さに依存する。そのため、木の数および木の深さを制限して機械学習を実行することにより、予測モデル112の容量が削減される。その結果、予測モデル112を用いた液体量の予測に要する時間が短縮される。
【0065】
<F.コントローラの機能構成>
図9は、コントローラの機能構成の一例を示す図である。図9に示されるように、コントローラ100は、取得部10と、予測部13と、調整部14と、画面データ生成部17と、を備える。取得部10、予測部13、調整部14および画面データ生成部17は、図4に示すプロセッサ101が制御プログラム111を実行することにより実現される。
【0066】
取得部10は、容器2内の液体量に影響する1以上のパラメータの計測結果を示す第1データと容器2内の液体量の計測結果を示す第2データとを取得する。取得部10は、複数の充填バルブ412の各々について、第1データおよび第2データを取得する。すなわち、第1データは、対応する充填バルブ412によって液体が充填された容器2内の液体量に影響する1以上のパラメータの計測結果を示す。第2データは、対応する充填バルブ412によって液体が充填された容器2内の液体量の計測結果を示す。図9に示されるように、取得部10は、収集部11と平均化部12とを含む。
【0067】
収集部11は、充填設備400から、容器2ごとに、当該容器2内の液体量に影響する1以上のパラメータの計測値と、当該容器2内の液体量の計測値とを収集する。
【0068】
平均化部12は、複数の充填バルブ412の各々について、対象期間ごとに、当該対象期間における当該充填バルブ412に関する1以上のパラメータの各々の平均を算出するとともに、当該対象期間において当該充填バルブ412によって液体が充填された容器2内の液体量の平均を算出する。対象期間は、図8に示す第1期間Taの時間長さT1を有する。
【0069】
平均化部12は、複数の充填バルブ412の各々について、対象期間における1以上のパラメータの各々の平均を示すデータを第1データとして出力し、対象期間において液体が充填された容器2内の液体量の平均を示すデータを第2データとして出力する。
【0070】
予測部13は、複数の充填バルブ412の各々について、予測モデル112に第1データおよび第2データを入力することによって、容器2内の液体量の予測値を求める。具体的には、予測部13は、時間T3経過後の補正期間である未来に液体が充填される容器2内の液体量の予測値を求める。補正期間は、図8に示す第2期間Tbの時間長さT2を有する。
【0071】
調整部14は、複数の充填バルブ412の各々について、予測値に基づいて、充填機410の動作条件を調整する。具体的には、調整部14は、予測値に基づいて、容器2内の液体量が目標値に近づくように充填機410の動作条件を調整する。言い換えると、調整部14は、予測値に基づいて、容器2内の液体量が一定となるように充填機410の動作条件を調整する。図9に示されるように、調整部14は、偏差演算部15と補正値出力部16とを含む。
【0072】
偏差演算部15は、予測値と予め定められた目標値との偏差を演算する。補正値出力部16は、偏差が0に近づくように、目標流量に対する補正値を算出する。補正値出力部16は、算出した補正値をコントローラ100に出力する。
【0073】
例えば、補正値出力部16は、偏差を説明変数とし、補正値を目的変数とする関数を用いて、補正値を算出すればよい。当該関数は、実験またはシミュレーションに基づいて、予め作成される。
【0074】
画面データ生成部17は、取得部10によって取得された第1データおよび第2データの推移、予測部13によって求められた予測値の推移などを示す画面データを生成する。生成された画面データは、USBコントローラ107を介して表示装置300に送信される。その結果、画面データによって示される画面が表示装置300に表示される。
【0075】
<G.コントローラの処理例>
図10は、コントローラの処理を説明する図である。図10に示されるように、コントローラ100は、補正サイクルごとに同じ処理を繰り返して実行する。補正サイクルの時間長さは、図8に示す第2期間Tbの時間長さT2と同じである。図10に示す例では、時刻t1から補正サイクルが開始し、時刻t1から時間長さT2だけ経過した時刻t2から次の補正サイクルが開始する。
【0076】
プロセッサ101は、補正サイクルの開始タイミングから時間長さT1だけ経過するまでの対象期間において収集された1以上のパラメータの各々の平均を示す第1データを取得する。さらに、プロセッサ101は、対象期間において液体が充填された容器2の液体量の計測結果を示す第2データを取得する。図2を参照して説明したように、充填機410によって液体が容器2に充填されてから、容器2の液体量が計測されるまでの時間はΔtである。そのため、第1データおよび第2データの取得に要する時間は、時間長さT1とΔtとの和である。プロセッサ101は、複数の充填バルブ412の各々について、第1データおよび第2データを取得する。
【0077】
次に、プロセッサ101は、第1データおよび第2データを予測モデル112に入力することにより、次の補正サイクルにおいて液体が充填される容器2の液体量の予測値を求める。なお、充填バルブ412ごとに予測モデル112が生成されている場合、プロセッサ101は、複数の充填バルブ412の各々について、当該充填バルブ412に対応する第1データおよび第2データを当該充填バルブ412に対応する予測モデル112に入力する。さらに、プロセッサ101は、予測値と予め定められた目標値との偏差に応じた補正値を算出する。プロセッサ101は、複数の充填バルブ412の各々について補正値を算出する。
【0078】
その後、プロセッサ101は、補正値の出力タイミングに到達するまで待機する。補正値の出力タイミングは、次の補正サイクルの開始タイミングから所定時間遡った時刻である。当該所定時間は、補正値の出力処理および充填機410における補正値の反映処理に要する時間を考慮して定められる。
【0079】
プロセッサ101は、補正値の出力タイミングに到達すると、算出された補正値を充填機410に出力する。プロセッサ101は、各充填バルブ412を識別するバルブIDと当該充填バルブ412について算出した補正値とを対応付けて充填機410に出力する。充填機410の制御盤416は、複数の充填バルブ412の各々について、コントローラ100から受け付けた補正値に従って目標流量を補正する。
【0080】
<H.液体量のばらつき>
図11は、液体量のばらつきを示す図である。図11の上部には、調整部14の動作をオフにしたとき、つまり、目標流量の補正を行なわないときの液体量の度数分布が示される。図11の下部には、調整部14の動作をオンにしたとき、つまり、予測値に応じて目標流量を補正するときの液体量の度数分布が示される。図11に示されるように、予測値に応じて目標流量を補正することにより、液体量のばらつきが低減される。
【0081】
<I.画面例>
図12は、画面データ生成部によって生成された画面データに基づいて表示装置に表示される画面の一例を示す図である。図12には、図8に示す時間長さT1,T2がそれぞれ1分,2分であるときの画面50が示される。すなわち、補正サイクルの時間は2分(120秒)間である。図12に示されるように、画面50は、グラフ51と、選択欄52a,52bと、ボタン53a,53b,58と、状態表示ランプ群54と、表示欄55と、スイッチ56,57と、を含む。
【0082】
選択欄52a,52bには、複数の充填バルブ412のうち選択された充填バルブ412を識別するバルブナンバーが入力される。
【0083】
グラフ51は、4つの折れ線51a~51dを含む。グラフ51の横軸は時間を表す。折れ線51a~51dは、補正サイクルごとの点を結ぶ線である。折れ線51aの各点は、対応する補正サイクルについて設定された液体量の目標値(図中では、「目標液体量」と称される。)を示す。折れ線51bの各点は、対応する補正サイクルの対象期間において、全ての充填バルブ412によって液体が充填された複数の容器2の液体量の計測結果の平均を示す。折れ線51cの各点は、対応する補正サイクルの対象期間において、選択欄52aに入力された充填バルブ412によって液体が充填された複数の容器2の液体量の計測結果の平均を示す。折れ線51dの各点は、対応する補正サイクルの対象期間において、選択欄52bに入力された充填バルブ412によって液体が充填された複数の容器2の液体量の計測結果の平均を示す。なお、図12に示す例では、液体量は、容器2の液面高さと基準高さとの差を表す。
【0084】
ユーザは、選択欄52a,52bに所望の充填バルブ412のバルブナンバーを入力することにより、グラフ51において、当該充填バルブ412によって液体が充填された容器2の液体量の推移を確認できる。
【0085】
画面データ生成部17は、ボタン53aが押下されたことに応じて、選択欄52aに入力されたバルブナンバーの充填バルブ412に関する詳細な情報を含む詳細画面データを生成する。画面データ生成部17は、ボタン53bが押下されたことに応じて、選択欄52bに入力されたバルブナンバーの充填バルブ412に関する詳細な情報を含む詳細画面データを生成する。詳細画面データは、例えば、対応する充填バルブ412について、動作を示すパラメータの値の推移、補正サイクルの対象期間において液体が充填された複数の容器2の液体量の平均の推移、予測値の推移、補正値の推移などを示す。
【0086】
状態表示ランプ群54は、充填設備400の動作状態および通信接続状態を示す複数のランプを含む。表示欄55には、充填機410の品種、液体量の目標値(目標液体量)、補正サイクルが表示される。
【0087】
スイッチ56は、取得部10および予測部13の動作の有効および無効を切り替えるために操作される。スイッチ56がオン状態に切り替えられることにより、取得部10および予測部13は、動作を開始する。
【0088】
スイッチ57は、調整部14による補正値の出力動作の有効および無効を切り替えるために操作される。スイッチ57がオン状態に切り替えられることにより、調整部14は、動作を開始する。
【0089】
画面データ生成部17は、ボタン58が押下されたことに応じて、容器2の液体量に関する詳細なトレンドグラフを含む画面データを生成する。トレンドグラフは、例えば、複数の充填バルブ412について、液体量の計測結果の推移、予測値の推移、補正値の推移、容器2の液体量に影響する1以上のパラメータの推移を示す。
【0090】
ユーザは、画面50および各種のボタンを操作することにより表示される画面を確認することにより、充填設備400の状況を詳細に把握できる。
【0091】
<J.利点>
以上のように、本実施の形態に係るコントローラ100は、容器2に液体を充填する充填機410を制御する。コントローラ100は、取得部10と、予測部13と、調整部14と、を備える。取得部10は、容器2内の液体量に影響する1以上のパラメータの計測結果を示す第1データと容器2内の液体量の計測結果を示す第2データとを取得する。予測部13は、少なくとも1以上のパラメータの実績と容器2内の液体量の実績とを示す1以上の訓練データセットを用いた機械学習によって生成された予測モデル112に第1データおよび第2データを入力することによって、未来に液体が充填される容器2内の液体量の予測値を求める。調整部14は、予測値に基づいて、容器2内の液体量が一定となるように充填機410の動作条件を調整する。
【0092】
これにより、予測モデル112を用いて液体量の予測値が求められ、予測値に基づいて、容器内の液体量が一定となるように充填機410の動作条件が調整される。予測モデル112は、液体量の計測結果を示す第2データだけでなく、容器2内の液体量に影響する1以上のパラメータの計測結果を示す第1データの入力を受ける。そのため、予測モデル112の予測精度が高い。その結果、容器2内の液体量のばらつきを低減できる。
【0093】
1以上の訓練データセットの各々は、第1期間Taにおける1以上のパラメータの各々の平均と、第1期間Taにおいて液体が充填された容器2内の液体量の平均と、第1期間Taよりも後の第2期間Tbにおいて液体が充填された容器2内の液体量の平均とを示す。第1データは、第1期間Taと同じ時間長さT1を有する対象期間における1以上のパラメータの各々の平均を示す。第2データは、対象期間において液体が充填された容器2内の液体量の平均を示す。
【0094】
1以上のパラメータおよび液体量の計測結果にはノイズ成分が含まれる。対象期間における1以上のパラメータの各々の平均を示す第1データと、対象期間において液体が充填された容器2内の液体量の平均を示す第2データとを用いることにより、ノイズ成分の変動の影響が抑制される。これにより、予測モデル112の予測精度がさらに向上する。その結果、容器2内の液体量のばらつきをより一層低減できる。
【0095】
<K.変形例>
予測モデル112の生成が完了した後、学習装置200とフィールドバス4との接続が遮断されてもよい。
【0096】
学習装置200は、充填機410、液体および容器2の品種ごとに予測モデル112を生成してもよい。生成された複数の予測モデル112は、コントローラ100にインストールされる。この場合、コントローラ100の予測部13は、複数の予測モデル112の中から、充填機410、液体および容器2の品種に応じた予測モデル112を選択し、選択した予測モデル112を用いて、未来に液体が充填される容器2の液体量を予測すればよい。
【0097】
なお、学習装置200は、液体の品種にかかわらず、共通の予測モデル112を生成してもよい。この場合、学習装置200は、複数の品種の液体を用いたときの複数の訓練データセットを用いた機械学習により、予測モデル112を生成すればよい。これにより、コントローラ100は、液体の品種にかかわらず、共通の予測モデル112を用いることができる。その結果、コントローラ100のストレージ104において、予測モデル112を格納するための容量を低減することができる。
【0098】
上記の説明では、学習装置200は、収集プログラム211を備えるものとした。しかしながら、学習装置200は、収集プログラム211を備えておらず、外部のハードウェア装置に構築されたデータベースからデータ検索を行なうことにより、1以上の訓練データセットを生成してもよい。
【0099】
外部のハードウェア装置に構築されたデータベースには、学習フェーズにおいて、充填機410および監視盤420から収集された容器2ごとの1以上のパラメータの値と、液体量検査装置430から収集された容器2ごとの液体量の値とが蓄積される。データベースへのデータの蓄積は、外部のハードウェア装置によって実施される。あるいは、データベースへのデータの蓄積は、コントローラ100によって実施されてもよい。
【0100】
上記の説明では、コントローラ100は、プロセッサ101を備える1つのデバイスによって構成されるものとした。しかしながら、コントローラ100は、各々がプロセッサを備える複数のデバイス(例えばPLC,IPC)によって構成されてもよい。この場合、図4に示す制御プログラム111が複数の部分プログラムに分割され、複数の部分プログラムの各々は、複数のデバイスのうちの対応するデバイスにインストールされる。
【0101】
例えば、コントローラ100は、1つのPLCと1つのIPCとによって構成されてもよい。PLCは、第1データおよび第2データの取得することと、第1データおよび第2データをIPCに送信し、IPCから予測値を取得することと、予測値に基づいて、充填機410の動作条件を調整することと、を実行する。IPCは、予測モデル112を備えており、PLCから受けた第1データおよび第2データを予測モデル112に入力することにより、未来に液体が充填される容器内の液体量の予測値を出力する。
【0102】
上記の説明では、学習装置200とコントローラ100とが別体とした。しかしながら、コントローラ100は、学習装置200の機能を有し、予測モデル112を生成してもよい。
【0103】
<L.付記>
以上のように、本実施の形態は以下のような開示を含む。
【0104】
(構成1)
容器(2)に液体を充填する充填機(410)を制御するコントローラ(100)であって、
前記容器(2)内の液体量に影響する1以上のパラメータの計測結果を示す第1データと前記容器(2)内の液体量の計測結果を示す第2データとを取得する取得部(10,101)と、
少なくとも前記1以上のパラメータの実績と前記容器(2)内の液体量の実績とを示す1以上の訓練データセットを用いた機械学習によって生成された予測モデル(112)に前記第1データおよび前記第2データを入力することによって、前記容器(2)内の液体量の予測値を求める予測部(13,101)と、
前記予測値に基づいて、前記充填機の動作条件を調整する調整部(14,101)と、を備えるコントローラ(100)。
【0105】
(構成2)
前記1以上の訓練データセットの各々は、第1期間(Ta)における前記1以上のパラメータの各々の平均と、前記第1期間(Ta)において前記液体が充填された前記容器(2)内の液体量の平均と、前記第1期間(Ta)よりも後の第2期間(Tb)において前記液体が充填された前記容器(2)内の液体量の平均とを示し、
前記第1データは、前記第1期間(Ta)と同じ時間長さを有する対象期間における前記1以上のパラメータの各々の平均を示し、
前記第2データは、前記対象期間において前記液体が充填された前記容器(2)内の液体量の平均を示す、請求項1に記載のコントローラ(100)。
【0106】
(構成3)
前記1以上のパラメータは、前記充填機(410)の動作に関するパラメータ、前記充填機(410)の外部環境に関するパラメータおよび前記液体の特性に関するパラメータの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載のコントローラ(100)。
【0107】
(構成4)
前記機械学習は、木構造の学習アルゴリズムを用いる、請求項1または2に記載のコントローラ(100)。
【0108】
(構成5)
容器(2)に液体を充填する充填機(410)を制御するための制御方法であって、
前記容器(2)内の液体量に影響する1以上のパラメータの計測結果を示す第1データと前記容器(2)内の液体量の計測結果を示す第2データとを取得するステップと、
少なくとも前記1以上のパラメータの実績と前記容器(2)内の液体量の実績とを示す1以上の訓練データセットを用いた機械学習によって生成された予測モデル(112)に前記第1データおよび前記第2データを入力することによって、前記容器(2)内の液体量の予測値を求めるステップと、
前記予測値に基づいて、前記充填機(410)の動作条件を調整するステップと、を備える制御方法。
【0109】
(構成6)
容器(2)に液体を充填する充填機(410)を制御するためのプログラムであって、
コンピュータに、
前記容器(2)内の液体量に影響する1以上のパラメータの計測結果を示す第1データと前記容器(2)内の液体量の計測結果を示す第2データとを取得するステップと、
少なくとも前記1以上のパラメータの実績と前記容器(2)内の液体量の実績とを示す1以上の訓練データセットを用いた機械学習によって生成された予測モデル(112)に前記第1データおよび前記第2データを入力することによって、前記容器(2)内の液体量の予測値を求めるステップと、
前記予測値に基づいて、前記充填機(410)の動作条件を調整するステップと、を実行させるプログラム。
【0110】
(構成7)
前記調整部(14,101)は、前記容器(2)内の液体量が目標値に近づくように前記充填機(410)の動作条件を調整する、構成1から4のいずれかのコントローラ(100)。
【0111】
(構成8)
前記調整部(14,101)は、前記容器(2)内の液体量が一定となるように前記充填機(410)の動作条件を調整する、構成1から4のいずれかのコントローラ(100)。
【0112】
本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
1 システム、2 容器、4 フィールドバス、10 取得部、11,21 収集部、12 平均化部、13 予測部、14 調整部、15 偏差演算部、16 補正値出力部、17 提供部、22 モデル生成部、50 画面、51 グラフ、51a~51d 折れ線、52a,52b 選択欄、53a,53b,58~62 ボタン、54 状態表示ランプ群、55 表示欄、56,57 スイッチ、100 コントローラ、101,201 プロセッサ、102,202 チップセット、103,203 主メモリ、104,204 ストレージ、105,205 フィールドバスコントローラ、106,206 ネットワークコントローラ、107,207 USBコントローラ、108,208 メモリカードインターフェイス、111 制御プログラム、112 予測モデル、120,220 メモリカード、200 学習装置、211 収集プログラム、212 モデル生成プログラム、300 表示装置、400 充填設備、410 充填機、412 充填バルブ、414 回転部材、416 制御盤、420 監視盤、430 液体量検査装置、440 洗浄機、451 エアーシリンダー、452 流量計、453,456 送液管、454 ヘッドタンク、455 ノズル部、457 リキッドバルブ、458 容器把持部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12