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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176367
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】蓋ロック装置及び圧力容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 45/20 20060101AFI20231206BHJP
   F16J 13/16 20060101ALI20231206BHJP
   F16J 13/10 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B65D45/20
F16J13/16
F16J13/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088613
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】594162412
【氏名又は名称】株式会社平山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】関 隆志
【テーマコード(参考)】
3E084
3J046
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA22
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC01
3E084DA01
3E084DB14
3E084DC01
3E084FA09
3E084FD02
3E084GA08
3E084GB12
3E084GB26
3E084HA03
3E084HB08
3E084HC03
3E084HD01
3J046AA13
3J046AA20
3J046BC01
3J046BC03
3J046BC04
3J046BC15
3J046DA10
(57)【要約】
【課題】省スペース化を図り、簡単な操作で蓋のロック状態を確実に維持する。
【解決手段】容器2の開口を上方から覆う蓋3のロック装置6は、フランジ部4を外側から嵌合するクランプ10と、クランプ10の回転中心となるクランプ軸25と、クランプ軸25を介してクランプ10を回転自在に支持するクランプ軸受20と、クランプ10と一体で動くスライド部14と、フランジ部4の外周に間隔をあけて配置されるとともに容器2の周方向に移動可能であり、且つ、スライド部14の移動をガイドするガイド部31を有する平板状の周動板30とを備える。クランプ10は断面コ字状の嵌合部11を有する。周動板30は、周方向の一方に動くことでスライド部14をガイド部31の一端部31aに位置させてクランプ10を嵌合状態とし、周方向の他方に動くことでスライド部14をガイド部31の他端部31bに位置させてクランプ10を嵌合状態から解放する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の容器の開口を上方から覆う蓋のロック装置であって、
前記開口の周縁部に設けられた容器側フランジと前記蓋の外周部に設けられた蓋側フランジとが重ね合わされてなるフランジ部を外側から嵌合するクランプと、
前記容器の深さ方向に延設され、前記クランプの回転中心となるクランプ軸と、
前記容器の外側面であって前記容器側フランジの下方に固定され、前記クランプ軸を介して前記クランプを回転自在に支持するクランプ軸受と、
前記クランプ軸よりも前記容器の中心から離れた位置に配置され、前記クランプと一体で動くスライド部と、
前記フランジ部の外周に間隔をあけて配置されるとともに前記容器の周方向に移動可能であり、且つ、前記スライド部の移動をガイドするガイド部を有する平板状の周動板と、を備え、
前記クランプは、前記フランジ部の上面及び下面並びに外側面を覆う断面コ字状の嵌合部を有し、
前記ガイド部は、前記周方向に沿って延設されており、一端部が他端部よりも前記中心寄りに位置し、
前記周動板は、前記周方向のうちの一方に動くことで前記スライド部を前記ガイド部の前記一端部に位置させて前記クランプを嵌合状態とし、前記周方向のうちの他方に動くことで前記スライド部を前記ガイド部の前記他端部に位置させて前記クランプを前記嵌合状態から解放する
ことを特徴とする、蓋ロック装置。
【請求項2】
前記周動板は、その板厚方向を前記深さ方向と一致させた姿勢で配置されるとともに、前記フランジ部の前記深さ方向の寸法内に配置されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の蓋ロック装置。
【請求項3】
前記クランプは、前記嵌合部の外側に連設されて前記スライド部が取り付けられる台座部と、前記嵌合部の前記周方向における前記他方側に連設されて前記クランプ軸が取り付けられるアーム部と、を有し、
前記台座部及び前記アーム部はいずれも、前記周動板の下方に配置され、
前記台座部の上面に前記周動板が載置される
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の蓋ロック装置。
【請求項4】
前記クランプの前記嵌合部は、中実のブロック形状である
ことを特徴とする、請求項3に記載の蓋ロック装置。
【請求項5】
前記クランプ軸受は、前記容器の前記外側面に溶接固定されたブラケットに対して締結固定される固定面部と、前記固定面部から外側へ突設されて前記クランプ軸が挿通されるとともに前記クランプを支持する支持部と、を有する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の蓋ロック装置。
【請求項6】
前記クランプ軸受は、前記容器の前記外側面に溶接固定されたブラケットに対して締結固定される固定面部と、前記固定面部から外側へ突設されて前記クランプ軸が挿通されるとともに前記クランプを支持する支持部と、を有する
ことを特徴とする、請求項3に記載の蓋ロック装置。
【請求項7】
有底筒状であって、上方の開口の周縁部に容器側フランジを持つ容器と、
前記容器の開口を覆うとともに、前記容器側フランジに重ね合わされてフランジ部を構成する蓋側フランジを持つ蓋と、
請求項1又は2に記載の蓋ロック装置と、
前記容器側フランジに取り付けられ、前記ロック装置で前記蓋がロックされた状態で前記容器側フランジ及び前記蓋側フランジで挟持されるガスケットと、を備えた
ことを特徴とする、圧力容器。
【請求項8】
有底筒状であって、上方の開口の周縁部に容器側フランジを持つ容器と、
前記容器の開口を覆うとともに、前記容器側フランジに重ね合わされてフランジ部を構成する蓋側フランジを持つ蓋と、
請求項3に記載の蓋ロック装置と、
前記容器側フランジに取り付けられ、前記ロック装置で前記蓋がロックされた状態で前記容器側フランジ及び前記蓋側フランジで挟持されるガスケットと、を備えた
ことを特徴とする、圧力容器。
【請求項9】
有底筒状であって、上方の開口の周縁部に容器側フランジを持つ容器と、
前記容器の開口を覆うとともに、前記容器側フランジに重ね合わされてフランジ部を構成する蓋側フランジを持つ蓋と、
請求項5に記載の蓋ロック装置と、
前記容器側フランジに取り付けられ、前記ロック装置で前記蓋がロックされた状態で前記容器側フランジ及び前記蓋側フランジで挟持されるガスケットと、を備えた
ことを特徴とする、圧力容器。
【請求項10】
有底筒状であって、上方の開口の周縁部に容器側フランジを持つ容器と、
前記容器の開口を覆うとともに、前記容器側フランジに重ね合わされてフランジ部を構成する蓋側フランジを持つ蓋と、
請求項6に記載の蓋ロック装置と、
前記容器側フランジに取り付けられ、前記ロック装置で前記蓋がロックされた状態で前記容器側フランジ及び前記蓋側フランジで挟持されるガスケットと、を備えた
ことを特徴とする、圧力容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有底筒状の容器の開口を覆う蓋のロック装置と、当該蓋ロック装置を備えた圧力容器に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧下で高温蒸気により所定の処理が実施される圧力容器(例えば、高圧蒸気滅菌器や高温高圧調理器など)には、処理実施中に蓋が誤って開放されないように、蓋をロックする装置が設けられる。例えば、特許文献1には、複数のロックピンのそれぞれが、容器と蓋とを相互にロックする容器蓋ロック装置が開示されている。また、特許文献2には、圧力容器の缶体の開口部外周に複数のコ字形のフックが設けられた蓋ロック装置が開示されている。特許文献2の装置では、操作リングを回動させると、このリングに形成したカム孔の縁に押されてフックが回動して蓋の縁の内方に入り、蓋の縁を抑える姿勢となってロック状態としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2934811号公報
【特許文献2】特開平11-049208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓋をロックする装置には、蓋のロック状態を確実に維持できることに加え、使用者が簡単に操作できること、構成が簡素であること、省スペース化を図れることなどが求められる。しかし、上記の特許文献1の装置では、各ロックピンが容器と蓋との双方を貫通する構成であるため、蓋側にも孔が必要であること、作業時に容器側の孔と蓋側の孔とを一致させる必要があるなどの課題があり、改善の余地がある。
【0005】
一方、特許文献2の装置では、蓋側に孔を設ける必要がなく、缶体(容器)と蓋との位相(周方向位置)を合わせる必要はない。しかし、コ字形のフックが、横方向に延びる支軸を中心として回動しながら上昇したり下方に沈み込んだりする構成であるため、フックが上下に回動できるだけのスペースが必要となる。このように、コ字形のフックやピンといったロック用の部品を、アンロックするときに単に外側(蓋及び容器の縁から遠ざける側)に動かす構造では、蓋の縁から外側に大きなスペースが必要となり、省スペース化が難しいという課題がある。
【0006】
本件は、このような課題に鑑み案出されたもので、省スペース化を図るとともに、簡単な操作で蓋のロック状態を確実に維持できる蓋ロック装置及び圧力容器を提供することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)ここで開示する蓋ロック装置は、有底筒状の容器の開口を上方から覆う蓋のロック装置であって、前記開口の周縁部に設けられた容器側フランジと前記蓋の外周部に設けられた蓋側フランジとが重ね合わされてなるフランジ部を外側から嵌合するクランプと、前記容器の深さ方向に延設され、前記クランプの回転中心となるクランプ軸と、前記容器の外側面であって前記容器側フランジの下方に固定され、前記クランプ軸を介して前記クランプを回転自在に支持するクランプ軸受と、前記クランプ軸よりも前記容器の中心から離れた位置に配置され、前記クランプと一体で動くスライド部と、前記フランジ部の外周に間隔をあけて配置されるとともに前記容器の周方向に移動可能であり、且つ、前記スライド部の移動をガイドするガイド部を有する平板状の周動板と、を備える。
【0008】
前記クランプは、前記フランジ部の上面及び下面並びに外側面を覆う断面コ字状の嵌合部を有する。前記ガイド部は、前記周方向に沿って延設されており、一端部が他端部よりも前記中心寄りに位置する。前記周動板は、前記周方向のうちの一方に動くことで前記スライド部を前記ガイド部の前記一端部に位置させて前記クランプを嵌合状態とし、前記周方向のうちの他方に動くことで前記スライド部を前記ガイド部の前記他端部に位置させて前記クランプを前記嵌合状態から解放する。
【0009】
(2)前記周動板は、その板厚方向を前記深さ方向と一致させた姿勢で配置されるとともに、前記フランジ部の前記深さ方向の寸法内に配置されていることが好ましい。
【0010】
(3)前記クランプは、前記嵌合部の外側に連設されて前記スライド部が取り付けられる台座部と、前記嵌合部の前記周方向における前記他方側に連設されて前記クランプ軸が取り付けられるアーム部と、を有し、前記台座部及び前記アーム部はいずれも、前記周動板の下方に配置され、前記台座部の上面に前記周動板が載置されることが好ましい。
(4)上記の(3)の場合に、前記クランプの前記嵌合部は、中実のブロック形状であることが好ましい。
【0011】
(5)上記の(1)~(4)のいずれか一つに記載の蓋ロック装置において、前記クランプ軸受は、前記容器の前記外側面に溶接固定されたブラケットに対して締結固定される固定面部と、前記固定面部から外側へ突設されて前記クランプ軸が挿通されるとともに前記クランプを支持する支持部と、を有することが好ましい。
【0012】
(6)ここで開示する圧力容器は、有底筒状であって、上方の開口の周縁部に容器側フランジを持つ容器と、前記容器の開口を覆うとともに、前記容器側フランジに重ね合わされてフランジ部を構成する蓋側フランジを持つ蓋と、上記の(1)~(5)のいずれか一つに記載の蓋ロック装置と、前記容器側フランジに取り付けられ、前記ロック装置で前記蓋がロックされた状態で前記容器側フランジ及び前記蓋側フランジで挟持されるガスケットと、を備えている。
【発明の効果】
【0013】
開示の蓋ロック装置及びこれを備えた圧力容器によれば、省スペース化を図るとともに、簡単な操作で蓋のロック状態を確実に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る蓋ロック装置を備えた圧力容器の部分拡大斜視図であり、アンロック状態を示す。
図2図1と同じ角度から見た部分拡大斜視図であって、ロック状態を示す。
図3図1の圧力容器のアンロック状態を蓋の上方から見降ろした平面図である。
図4図3のA-A矢視断面図である。
図5図3の状態からロック状態になったときの平面図である。
図6図5のB-B矢視断面図である。
図7】実施形態に係る蓋ロック装置の要部を下から見上げた斜視図であり、アンロック状態を示す。
図8図7と同じ角度から見た斜視図であり、ロック状態を示す。
図9】実施形態に係る蓋ロック装置のストッパー機構を説明するための斜視図である。
図10】変形例に係る蓋ロック装置の自動開閉装置を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照して、実施形態としての蓋ロック装置及び圧力容器について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0016】
[1.圧力容器]
まず、本実施形態の蓋ロック装置6が適用される圧力容器1について、図1図6を用いて説明する。なお、図4及び図6の断面図では形状を単純化しており、部品や部分の縦横比(寸法比)はこの図の限りでない。
【0017】
図1図6に示すように、圧力容器1は、有底筒状の容器2と、容器2の上方の開口2A(図4図6参照)を上方から覆う蓋3とを有し、高圧下で高温蒸気により所定の処理を実施するものである。圧力容器1としては、例えば、高圧蒸気滅菌器や高温高圧調理器などが挙げられる。これらの場合、圧力容器1の容器2は、「釜」や「チャンバー」とも呼ばれる。本実施形態の蓋ロック装置6は、容器2及び蓋3のロック状態(閉鎖状態)を維持する装置である。
【0018】
容器2は、開口2Aと同一外形状の底部(図示略)と、筒状の外側面2Bと、外側面2Bの上端部(すなわち、開口2Aの周縁部)で屈曲形成されたフランジ2F(以下「容器側フランジ2F」という)とを有する。本実施形態の圧力容器1では、開口2Aが円形状であり、円筒形状の外側面2Bを持つ容器2を例示する。以下、圧力容器1の径方向において、中心側に向かう方向を「内側」といい、これと反対側(中心から離れる方向)を「外側」という。容器側フランジ2Fは、開口2Aの全周を囲み、外側面2Bから外側に向かって突設される。容器側フランジ2Fは、平面視で円環形状となる。
【0019】
また、本実施形態の容器2の外側面2Bは円筒形状であるため、中心線C(図3図5参照)を有する。容器2の深さ方向は、中心線Cが伸びる方向と一致し、圧力容器1の上下方向(高さ方向)とも一致する。以下、これらの方向を総称して「上下方向」という。なお、ここでいう「上下方向」は必ずしも鉛直方向と一致しなくてよい。例えば、圧力容器1が、若干の傾斜面に設置された場合には、上下方向と鉛直方向とは一致しない。また、容器2の開口2Aの縁に沿う方向を「周方向」という。なお、容器2の外形状は一例であり、円筒形状に限られない。
【0020】
蓋3は、容器2の開口2Aを閉塞可能な形状に形成されており、例えばヒンジ部(図示略)を介して、容器2に対し上下に開閉可能とされる。本実施形態の蓋3は平面視で円形状であり、その外周部全体にフランジ3F(以下「蓋側フランジ3F」という)を有する。蓋側フランジ3Fは、蓋3が閉鎖され、容器側フランジ2Fに重ね合わされることで、一つのフランジ部4を構成する。なお、容器側フランジ2Fと蓋側フランジ3Fとは同じ厚み(上下方向の寸法)である必要はないが、両者が重なった状態で面一の外面を形成する(すなわち、いずれか一方が外側へ飛び出さない)ように形成される。
【0021】
図4及び図6に示すように、容器側フランジ2Fと蓋側フランジ3Fとの間には、ガスケット5が挟持される。本実施形態の圧力容器1では、容器側フランジ2Fの上面にガスケット受(図示略)が形成され、このガスケット受にガスケット5が取り付けられる。蓋ロック装置6で蓋3がロックされた状態では、二つのフランジ2F,3Fによりガスケット5が挟持される。また、図6に示すように、フランジ部4は、容器2の外側面2Bから外側へ突出しており、蓋ロック装置6の後述するクランプ10により外側から把持される部分である。なお、ガスケット5は、漏れ防止のみならず、後述するクランプ10がフランジ部4をロックする際の位置調整にも寄与している。
【0022】
なお、図3及び図5に示すように、圧力容器1は、容器2を収容する筐体7と、筐体7の上部に取り付けられる平板8とを有する。本実施形態の筐体7は略矩形の有底筒状であり、平板8の外形状も略矩形状である。平板8には、その中央部分に容器2が貫通するための孔部が設けられる。容器2は、筐体7に固定されるとともに平板8に対しても固定される。なお、圧力容器1は、平板8よりも上方であって筐体7の上端に取り付けられる天板(図示略)と、蓋3が取り付けられるとともに筐体7に対して蓋3と一体で上下開閉可能とされるカバー(図示略)とを有していてもよい。
【0023】
[2.蓋ロック装置]
次に、圧力容器1が備える蓋ロック装置6について、図1図8を参照して説明する。なお、図5では、後述するクランプ10の動きを説明するために、二点鎖線でアンロック位置のクランプ10の嵌合部11を示している。また、図7及び図8では、筐体7,天板8,後述する抑え部34及び締結具35を省略している。
【0024】
図1図8に示すように、蓋ロック装置6は、フランジ部4を外側から嵌合するクランプ10と、クランプ軸25と、クランプ軸受20と、スライド部14と、周動板30とを有する。クランプ10は、フランジ部4の上面と下面と外側面とを覆う断面コ字状(アルファベットでCやU字状)の嵌合部11を有し、フランジ部4を嵌合することで圧力容器1をロック状態(図2図5図6及び図8に示す状態)とし、フランジ部4から外されることで圧力容器1をアンロック状態(図1図3図4及び図7に示す状態)とする。
【0025】
クランプ軸25は、上下方向に延設された棒状部材であり、クランプ10の回転中心となる。クランプ軸受20は、容器2の外側面2Bであって容器側フランジ2Fの下方に固定され、クランプ軸25を介してクランプ10を回転自在に支持する。クランプ10は、平面視で、図3に示すアンロック状態の位置(以下、「アンロック位置」という)から、クランプ軸25を中心として時計回りに回転し、図5に示すロック状態の位置(以下、「ロック位置」という)へと変位可能である。また、クランプ10は、平面視で、クランプ軸25を中心として反時計回りに回転し、ロック位置からアンロック位置へと変位することも可能である。つまり、クランプ10は、クランプ軸受20の上面にてその高さ位置を維持した状態で、図5中にドット模様付きの矢印で示すように、クランプ軸25を中心として円弧状に移動が可能である。
【0026】
図7及び図8に示すように、本実施形態のクランプ軸受20は、容器2の外側面2Bに溶接固定されたブラケット2Cに対して締結固定される固定面部21と、固定面部21から外側へ突設されてクランプ軸25が挿通されるとともにクランプ10を支持する支持部22とを有する。つまり、ブラケット2Cは容器2と一体化されているが、クランプ軸受20は取り付け及び取り外しが容易となっている。なお、ブラケット2Cの形状は特に限定されないが、例えば図7及び図8に示すように、固定面部21が取り付けられる平面部と、平面部を容器2の外側面2Bから離隔させる一対の壁部とを持つ台座形状とし、壁部を外側面2Bに溶接することが好ましい。
【0027】
支持部22は、上下方向に延びる中空の箱形状に形成され、固定面部21は、周方向に支持部22を挟んで一対設けられる。固定面部21には、ブラケット2Cにクランプ軸受20を締結するための締結具23が挿通される孔部(図示略)が形成される。支持部22は、固定面部21よりも外側で固定面部21と略平行に延在する外面22Aと、上下方向に直交する方向に延在する上面(図示略)及び下面22Bとを有する。支持部22の上面にはクランプ10が載置される。また、支持部22の上面及び下面22Bには、クランプ軸25が挿通される孔部(図示略)が形成される。また、外面22Aには、後述する抑え部34を取り付けるための孔部22hが形成される。
【0028】
図1図8に示すように、スライド部14は、クランプ軸25よりも容器2の中心から離れた位置(すなわち外側)に配置され、クランプ10と一体で動くものである。蓋ロック装置6は、スライド部14の動きに合わせて、クランプ10をロック位置とアンロック位置とに切り替える。本実施形態のスライド部14は、クランプ10と別体で設けられた棒状部材であり、クランプ10を上下方向に貫通して取り付けられる。なお、棒状のスライド部14の下端には、スライド部14の抜けを防止するためのピン部材(図示略)が設けられる。スライド部14とクランプ10とが別体で設けられ且つ組み付けられる構成の場合、スライド部14は、クランプ10に対し、上下方向、周方向、及びこれら双方に直交する方向のいずれにも移動不可とされる。ただし、スライド部14は、クランプ10に対して回転可能となっていることが好ましい。本実施形態の蓋ロック装置6では、スライド部14が、平面視で、クランプ軸25よりも時計回りの方向に位置する。
【0029】
周動板30は、フランジ部4の外周に間隔をあけて配置された平板状且つ環状の部材であり、容器2の周方向に移動可能に設けられる。本実施形態の圧力容器1は、フランジ部4が平面視で円環形状となるため、周動板30も平面視で略円環形状とされる。フランジ部4と周動板30の内端面との間の上記間隔は、大きすぎると圧力容器1が大型化してしまい、小さすぎるとクランプ10と干渉してしまうため、これらを考慮して設定される。例えば、ロック位置にあるクランプ10の嵌合部11と周動板30の内端面との間に僅かな隙間が形成される程度に、上記の間隔が設定される。なお、周動板30には、その内端面を外側に凹設した凹部32が設けられる。凹部32により、アンロック位置にあるクランプ10と周動板30とが干渉することが回避される。
【0030】
周動板30は、スライド部14の移動をガイドするガイド部31を有する。すなわち、周動板30がスライド部14を動かす機能を持つ。なお、周動板30自体は、手動で動くものでもよいし自動で動くものでもよい。図3及び図5では、周動板30を手動で動かすためのつまみ36が周動板30に取り付けられたものを例示している。周動板30を自動で動かす構成については、後述する変形例において説明する。
【0031】
ガイド部31は、周方向に沿って延設されており、一端部31aが他端部31bよりも中心寄り(中心線C側)に位置する。本実施形態のガイド部31は、周動板30を板厚方向に貫通した、平面視で直線状の長孔として設けられる。また、本実施形態の蓋ロック装置6では、平面視で、ガイド部31の一端部31aが他端部31bよりも反時計回りの方向に位置する。上記のスライド部14は、このガイド部31に沿ってスライド移動する。言い換えれば、スライド部14は、このガイド部31によって、外側から内側に移動させられる。なお、スライド部14がクランプ10に対して回転可能であれば、ガイド部31に沿うスライド部14の移動が滑らかとなる。
【0032】
周動板30は、周方向のうちの一方に動くことでスライド部14をガイド部31の一端部31aに位置させて、クランプ10を嵌合状態(フランジ部4に嵌合した状態)とする。この状態では、図2図5及び図6に示すように、圧力容器1はロック状態となる。また、周動板30は、周方向のうちの他方に動くことでスライド部14をガイド部31の他端部31bに位置させて、クランプ10を嵌合状態から解放する。この状態では、図1図3及び図4に示すように、クランプ10がフランジ部4から離隔し、圧力容器1はアンロック状態となる。
【0033】
本実施形態の蓋ロック装置6では、平面視で、周動板30が時計回りに動くと、スライド部14がガイド部31の一端部31aへ移動するためロック状態となり、反対に、周動板30が反時計回りに動くと、スライド部14がガイド部31の他端部31bへ移動するためアンロック状態となる。つまり、本実施形態では、「周方向のうちの一方」が平面視で時計回りの方向であり、「周方向のうちの他方」が平面視で反時計回りの方向である。
【0034】
上記のクランプ10,クランプ軸25,クランプ軸受20及びスライド部14は、周方向の複数箇所(例えば4箇所や6箇所など)に設けられてよい。一方、周動板30は一つだけ設けられる。ただし、周動板30に設けられるガイド部31は、スライド部14の個数と位置に対応して、同数だけ設けられる。このように、複数箇所でクランプ10によりフランジ部4が嵌合されることで、ロック状態がより確実に維持される。
【0035】
図4及び図6に示すように、本実施形態の周動板30は、その板厚方向を上下方向と一致させた姿勢で配置される。加えて、周動板30は、フランジ部4の上下方向の寸法内に配置される。つまり、圧力容器1を側方からみたときに、フランジ部4と周動板30とが重なるように、周動板30の高さ位置(上下方向位置)が設定される。これにより、周動板30の高さ位置は、クランプ10の嵌合部11の上下方向中央部になる。
【0036】
また、図1図8に示すように、本実施形態のクランプ10は、上記の嵌合部11に加え、嵌合部11の外側に連設されてスライド部14が取り付けられる台座部12と、嵌合部11の周方向における他方側(本実施形態では反時計回りの方向)に連設されてクランプ軸25が取り付けられるアーム部13とを有する。台座部12及びアーム部13はいずれも周動板30の下方に配置される。つまり、台座部12及びアーム部13の各上面は、嵌合部11の上下方向中央部辺りに連設される。なお、嵌合部11と台座部12とアーム部13の三つの下面は面一であってもよいし、クランプ軸受20やブラケット2Cとの位置関係やクランプ10の回転を考慮して僅かな段差が形成されていてもよい。
【0037】
クランプ10の台座部12の上面は、上下方向に直交する方向に延在する平面形状となっており、この上面には周動板30が載置される。一方、アーム部13の上面も同様に平面形状となっているが、アーム部13の上面と周動板30の下面との間には隙間が設けられる。アーム部13は、クランプ軸受20の支持部22の上面に載置される。クランプ軸25は、アーム部13及び支持部22を上下方向に貫通し、アーム部13から上方に突出する上端部と支持部22から下方に突出する下端部とのそれぞれに、抜け防止のためのピン部材(図示略)が取り付けられることで、その位置が固定される。
【0038】
クランプ10は、圧力容器1の内圧が高まった場合でもロック状態を維持する必要があるため、高い強度が要求される。そこで、本実施形態のクランプ10は、嵌合部11が中実のブロック形状となっている。なお、本実施形態のクランプ10では、台座部12及びアーム部13も嵌合部11と同様、中実のブロック形状として設けられているが、これらの部位はブロック形状に限られない。また、嵌合部11の強度をブロック形状にすること以外で(例えば、材質を工夫したり補強部材を取り付けたりすることで)高められる場合には、嵌合部11を必ずしもブロック形状とする必要はない。
【0039】
図1図6に示すように、本実施形態の蓋ロック装置6は、周動板30のがたつきを抑制するための抑え部34を有する。本実施形態の抑え部34は、クランク形状に屈曲形成された板ばねで構成される。抑え部34は、長手方向が上下方向に延びる姿勢で配置され、下方の平面部34aがクランプ軸受20の支持部22の外面22Aに締結具35によって固定され、上方且つ外側に位置する平面部34bが周動板30の外端面に当接し、周動板30を外側から内側に向かって付勢する。なお、抑え部34の上端部は、周動板30の外端面を上方から覆うように僅かに湾曲形成される。
【0040】
図3及び図5に示すように、本実施形態の蓋ロック装置6は、ロック状態であるかアンロック状態であるかを検知する検知スイッチ40を有する。本実施形態の検知スイッチ40は、周動板30の外端面の一部に取り付けられた押圧板41と、押圧板41により押圧される開放側可動接点42及び閉鎖側可動接点43と、押圧された各可動接点42,43と接触する二つの固定接点(図示略)と、図示しない配線とを有する。押圧板41は、例えば、つまみ36の根元部分に配置される。開放側可動接点42は、アンロック状態のときに押圧板41で押圧される位置に配置され、閉鎖側可動接点43は、ロック状態のときに押圧板41で押圧される位置に配置される。また、各固定接点は、各可動接点42,43の直下に配置される。
【0041】
このように構成された検知スイッチ40の場合、周動板30が回転動作し、開放側可動接点42が押圧板41に押圧されて固定接点に接触することで、「アンロック状態」であることを検知する。同様に、周動板30が回転動作し、閉鎖側可動接点43が押圧板41に押圧されて固定接点に接触することで、「ロック状態」であることを検知する。ここで検知された情報は、次に説明するストッパー機構50で用いられる他、圧力容器1のコントローラ(図示略)において用いられる。
【0042】
図3図5及び図9に示すように、本実施形態の蓋ロック装置6は、周動板30の位置を、ロック状態の位置とアンロック状態の位置とのそれぞれで止めるためのストッパー機構50を有する。本実施形態のストッパー機構50は、周動板30の下方に配置されたソレノイド51及び可動ピン52と、周動板30に形成された二つのストッパー孔53a,53bと、ソレノイド51をハウジング7や平板8に固定するためのブラケット54及び締結具(図示略)とを有する。
【0043】
ソレノイド51は、例えば直方体形状のケーシングを有し、このケーシングの上面から突出した可動ピン52を上下方向に動かす機能を持つ。ソレノイド51は、検知スイッチ40からロック状態又はアンロック状態であることを示す信号を受けると、可動ピン52を上方に動かし、当該信号を受信しなくなると、可動ピン52を下方に動かす。可動ピン52は、上下方向に長いピンであり、上昇していない初期位置では周動板30と接触しないが、上昇した状態では、可動ピン52の上面の位置が周動板30の上面と略同等の位置に来るように設定される。
【0044】
二つのストッパー孔53a,53bは、周方向に互いに離隔して配置されており、可動ピン52が下方から挿入される貫通孔である。一方のストッパー孔53aは、平面視で、他方のストッパー孔53bよりも反時計回りの方向に位置しており、図5及び図9に示すように、ロック状態のときに可動ピン52が挿通される。反対に、他方のストッパー孔53bは、図3に示すように、アンロック状態のときに可動ピン52が挿通される。なお、各ストッパー孔53a,53bは、可動ピン52の断面形状よりもわずかに大きい。本実施形態のストッパー孔53a,53bは、平面視で、楕円の短軸が周方向に沿った楕円形状となっている。これにより、周動板30の僅かな位置ずれに対応可能となっている。
【0045】
ストッパー機構50によれば、検知スイッチ40からの信号を受けてソレノイド51が可動ピン52を上昇させ、可動ピン52が二つのストッパー孔53a,53bのいずれか一方に入り込むことで、周動板30の位置を、ロック状態又はアンロック状態から動かなくすることができる。また、検知スイッチ40からの信号を受けていないときにはソレノイド51が可動ピン52を初期位置にするため、周動板30の動きを阻害することがない。
【0046】
[3.作用,効果]
上述した蓋ロック装置6では、断面コ字状の嵌合部11を持つクランプ10が、上下方向に延びるクランプ軸25を中心として回転し、フランジ部4に嵌合した状態(ロック状態)とフランジ部4から離隔した状態(アンロック状態)とに切り替えられる。クランプ10の動き(軌跡)は、図5中にドット模様付きの矢印で示すように、平面視でクランプ軸25を中心とした円弧状となり、容器2と周動板30との間の間隔(空間)内に収まる。このため、従来のような、ロック用の部品を、アンロックするときに単に外側(蓋及び容器の縁から遠ざける側)に動かす構造と比較して、省スペース化を図ることができる。
【0047】
また、容器側フランジ2Fと蓋側フランジ3Fとが重ね合わされてなるフランジ部4の上面,下面,外側面を断面コ字状の嵌合部11を持つクランプ10で嵌合するため、容器2と蓋3とのロック状態を確実に維持できる。また、クランプ10は、周動板30の動きに伴ってロック状態とアンロック状態とに容易に切り替わるため、周動板30が手動で動く場合でも自動で動く場合でも、使用者が簡単に操作することができる。
【0048】
加えて、上記の蓋ロック装置6は、容器2の外側面2Bにクランプ軸受20を固定し、このクランプ軸受20の上にクランプ10を配置し、クランプ10にクランプ軸25を通してクランプ軸受20と連結し、周動板30をクランプ10に載せ、スライド部14を使ってクランプ10と周動板30とを連結することで完成する。なお、クランプ10等を複数箇所に配置する場合には、周動板30を載置する前に配置すればよい。このような比較的簡素な構成、且つ、簡単な組み付け手順によって蓋ロック装置6を完成させることができる。なお、従来のように、蓋3に孔をあけるような加工が不要であることもメリットの一つである。
【0049】
上述した蓋ロック装置6によれば、周動板30がフランジ部4の上下方向寸法内に(すなわち、側方から見て、周動板30とフランジ部4とが重なるように)配置されるため、クランプ10の嵌合部11の中央付近に周動板30が位置することになり、嵌合部11の重心をずれにくくすることができる。クランプ10は、周動板30のガイド部31に沿って移動するスライド部14とともに回転動作するものであり、ガイド部31からスライド部14に伝わる力の作用点が嵌合部11の上下方向における中央付近であれば、嵌合部11の上下のどちらか一方に力が偏ることがない。このため、周動板30を動かすのに必要な力を小さくすることができる。したがって、周動板30の動きに合わせてクランプ10をスムーズに回転させることができ、操作性を向上させることができる。
【0050】
上述したクランプ10は、フランジ部4を覆う嵌合部11と、スライド部14が取り付けられる台座部12と、クランプ軸25が取り付けられるアーム部13とを有して構成される。台座部12は嵌合部11の外側に連設されており、アーム部13は嵌合部11の周方向他方側に連設される。クランプ10の構成を工夫し、スライド部14,クランプ軸25,周動板30,嵌合部11の位置関係をこのように設定することで、小さな力で安定してクランプ10を回転させることができ、操作性を向上させることができる。
【0051】
さらに、上述したクランプ10の嵌合部11は中実のブロック形状であることから、嵌合部11の強度を高めることができる。これにより、容器2の内圧が高まった場合でも、ロック状態を確実に維持することができる。特に、上記のクランプ10は、台座部12及びアーム部13も含めた全体がブロック形状となっているので、製造が容易である。
【0052】
上述したクランプ軸受20は、容器2の外側面2Bに溶接固定されたブラケット2Cに対して締結固定される固定面部21と、固定面部21から外側に突設されてクランプ10を支持する支持部22とを有する。このように、クランプ軸受20は容器2に対して締結固定されるものであるため、取り付け及び取り外しが容易である。また、複数箇所にクランプ軸受20を設ける場合、容器2側に取り付けられるクランプ軸受20と、周動板30との僅かな位置ずれがあっても調整が容易である。
【0053】
上述した圧力容器1によれば、上述した蓋ロック装置6を備えていることから、省スペース化を図りつつ、ガスケット5を挟持した状態のフランジ部4を嵌合部11によって外側から嵌合することができ、嵌合した状態(ロック状態)を維持することができる。また、簡単な操作でロック状態とアンロック状態とを切り替えることができる。
【0054】
[4.変形例]
上述した蓋ロック装置6は一例である。例えば、周動板30を自動で動かす構成としてもよい。この場合、例えば図10に示すように、平板8に自動開閉装置60を取り付け、自動開閉装置60のモータ61(動力源)により、周動板30を動かす構成が考えられる。図10に示す自動開閉装置60は、周動板30の外側において、回転中心が上下方向に直交する方向に延びる姿勢で配置されたモータ61と、モータ61の回転運動を直線運動に変換して周動板30に伝える伝達機構62と、モータ61及び伝達機構62を平板8に固定するためのブラケット63及び締結具64とを有する。
【0055】
モータ61は、圧力容器1のコントローラ(図示略)によって作動状態(オンオフ,回転方向,動作時間など)が制御されるものである。モータ61の回転軸(図示略)と伝達機構62の伝達軸62Aとは同軸上で連結され、モータ61の回転がそのまま伝達軸62Aに伝わる。なお、モータ61の回転軸と伝達軸62Aとが一体ものであってもよい。伝達軸62Aの外周面にはねじが切られており、雌ねじを有するスライダ62Bが螺合される。スライダ62Bは、周動板30にボルト62Cで連結されており、伝達軸62Aの回転に伴って伝達軸62Aの軸方向に移動すると、周動板30を周方向に回転させる。なお、その際、スライダ62Bとモータ61とが近づいたり遠ざかったりするため、モータ61及びスライダ62Bは平板8に対し回動自在に保持され、伝達軸62Aとスライダ62Bとの直角関係が保持される。
【0056】
このような自動開閉装置60を有する蓋ロック装置6であれば、例えば、コントローラが所定の信号を受信したらモータ61を一方向に所定時間だけ回転させ、スライダ62Bを一方向に移動させることにより、周動板30を周方向の一方(ここでは時計回り)に動かすことができる。これにより、クランプ10を自動でロック位置に動かすことができる。反対に、コントローラが別の所定の信号を受信したらモータ61を逆方向に所定時間だけ回転させ、スライダ62Bを逆方向に移動させることにより、周動板30を周方向の他方(ここでは反時計回り)に動かすことができる。これにより、クランプ10を自動でアンロック位置に動かすことができる。なお、自動開閉装置60とつまみ36とは併存させなくてもよい。
【0057】
上述したクランプ10の形状は一例であり、例えば台座部12やアーム部13がブロック形状でなくてもよい。クランプ10には少なくとも断面コ字状の嵌合部11が設けられていればよく、詳細な形状は変更可能である。また、クランプ軸受20の形状も一例であり、例えば支持部22が箱型ではなく円筒型や半円筒型であってもよいし、固定面部21がブラケット2Cに締結固定される代わりに外側面2Bに直接溶接固定されるものであってもよい。また、抑え部34を省略してもよい。
【0058】
上記のクランプ軸25とスライド部14との位置関係も一例であり、例えばクランプ軸25がスライド部14よりも時計回りの方向に配置されていてもよい。また、上述したスライド部14は、クランプ10と別体で設けられた棒状部材であったが、スライド部がクランプ10と一体で設けられてもよいし、棒状部材ではなく、例えばクランプ10の上面に突設された凸部であってもよい。また、スライド部14の移動をガイドするガイド部31も長孔に限られず、例えば溝であってもよいし、平面視で直線状ではなく曲線状であってもよい。少なくとも、周動板30の動きに合わせてスライド部がガイド部に案内されて移動し、スライド部がガイド部によって外側から内側に移動可能な構成であればよい。
【0059】
検知スイッチ40の構成も一例である。検知スイッチ40がつまみ36の根元部分に配置されていなくてもよく、押圧板41で可動接点42,43を押圧することでロック状態かアンロック状態かを検知する構成でなくてもよい。例えば、カメラや位置センサなどで周動板30の位置(位相)を検知してもよいし、クランプ10の位置を検知してもよい。
【0060】
また、ストッパー機構50も一例であり、ソレノイド51により上下する可動ピン52をストッパー孔53a,53bに挿入する構成に代えて、例えば爪部材を周動板30に引っ掛けることで動きを止めたり、ガイド部31の構成を工夫して、スライド部14が一端部31a又は他端部31bにあるときにスライド部14を係止するような構造を追加したりしてもよい。なお、自動開閉装置60を備えた蓋ロック装置6では、自動開閉装置60がストッパー機構50の機能を兼ねることができる。
【0061】
上述した圧力容器1の構成も一例である。容器2,蓋3,ハウジング7等の形状が上記のものと異なっていてもよい。本件の蓋ロック装置は、少なくとも、有底筒状の容器と、この容器の開口を上方から覆う蓋とを備えた圧力容器であり、容器側のフランジと蓋側のフランジとが重ね合わされて一つのフランジ部を構成する圧力容器に適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 圧力容器
2 容器
2A 開口
2B 外側面
2C ブラケット
2F 容器側フランジ
3 蓋
3F 蓋側フランジ
4 フランジ部
5 ガスケット
6 蓋ロック装置
7 ハウジング
8 平板
10 クランプ
11 嵌合部
12 台座部
13 アーム部
14 スライド部
20 クランプ軸受
21 固定面部
22 支持部
22A 外面
22B 下面
22h 孔部
23 締結具
25 クランプ軸
30 周動板
31 ガイド部
31a 一端部
31b 他端部
32 凹部
34 抑え部
34a,34b 平面部
35 締結具
36 つまみ
40 検知スイッチ
41 押圧板
42 開放側可動接点
43 閉鎖側可動接点
50 ストッパー機構
51 ソレノイド
52 可動ピン
53a,53b ストッパー孔
54 ブラケット
60 自動開閉装置
61 モータ
62 伝達機構
62A 伝達軸
62B スライダ
62C ボルト
63 ブラケット
64 締結具
C 中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10