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特開2023-176377空気マイクロメータ及び自動測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176377
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】空気マイクロメータ及び自動測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 13/10 20060101AFI20231206BHJP
   G01B 13/06 20060101ALI20231206BHJP
   G01B 13/08 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G01B13/10
G01B13/06
G01B13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088631
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】391033045
【氏名又は名称】株式会社第一測範製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】阿部 浩二
(72)【発明者】
【氏名】細貝 博基
(72)【発明者】
【氏名】林 高雄
【テーマコード(参考)】
2F066
【Fターム(参考)】
2F066AA16
2F066AA22
2F066AA23
2F066FF07
2F066FF09
2F066HH01
(57)【要約】
【課題】複数の測定ヘッドに対して圧力制御部や圧力センサを同数用意する必要がなく、応答性を早くすることもできる空気マイクロメータを提供する。
【解決手段】供給される空気を、圧力制御部1及び絞り部2を介して測定ヘッド3に設けられたノズル4から被測定物Sに向けて噴出させ、前記被測定物Sの所定部位の寸法を検出する空気マイクロメータであって、圧力制御部1を有する筐体部11と、筐体部11から離れて設けられた保持部5と、保持部5に設けられた取付部9に着脱自在に取り付けられる測定ヘッド3と、保持部5若しくは測定ヘッド3に設けられる絞り部2と、一端が筐体部11の圧力制御部1と連通し他端が絞り部2と連通する第一の流路6と、一端が絞り部2と連通し他端がノズル4と連通する第二の流路7と、一端が第二の流路7と連通し他端がノズル4から噴出される空気の背圧から前記寸法を検出する検出部10と連通する第三の流路8とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される空気を、圧力制御部及び絞り部を介して測定ヘッドに設けられたノズルから被測定物に向けて噴出させ、前記被測定物の所定部位の寸法を検出する空気マイクロメータであって、
前記圧力制御部を有する筐体部と、
前記筐体部から離れて設けられた保持部と、
前記保持部に設けられた取付部に着脱自在に取り付けられる測定ヘッドと、
前記保持部若しくは前記測定ヘッドに設けられる絞り部と、
一端が前記筐体部の前記圧力制御部と連通し他端が前記絞り部と連通する第一の流路と、
一端が前記絞り部と連通し他端が前記ノズルと連通する第二の流路と、
一端が前記第二の流路と連通し他端が前記ノズルから噴出される空気の背圧から前記寸法を検出する検出部と連通する第三の流路と、
を備えることを特徴とする空気マイクロメータ。
【請求項2】
請求項1記載の空気マイクロメータにおいて、前記測定ヘッドに前記絞り部が設けられ、前記第一の流路及び前記第三の流路は前記保持部と前記測定ヘッドとに跨って設けられていることを特徴とする空気マイクロメータ。
【請求項3】
請求項2記載の空気マイクロメータにおいて、前記検出部は前記保持部の近傍位置に設けられていることを特徴とする空気マイクロメータ。
【請求項4】
請求項3記載の空気マイクロメータにおいて、前記検出部と電気的に接続され該検出部による検出結果を表示する表示部を有することを特徴とする空気マイクロメータ。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の空気マイクロメータを用いた自動測定装置であって、測定寸法が異なる複数の交換用測定ヘッドと、共通の前記保持部とを備えることを特徴とする自動測定装置。
【請求項6】
請求項5記載の自動測定装置において、ロボットアームを備え、このロボットアームに前記保持部が設けられていることを特徴とする自動測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気マイクロメータ及び自動測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気源から供給される空気を、測定ヘッドに設けられたノズルから被測定物に向けて噴出させ、前記被測定物の所定部位の寸法(例えば内径、外径若しくは厚さ等)を検出する空気マイクロメータが知られている(特許文献1等参照)。
【0003】
例えば、背圧式の空気マイクロメータは、圧力制御部(定圧機器)で圧力が一定となるように精密に制御された定圧エアーを、絞り部を介してノズルに供給し被測定物の壁面に吹き付ける。この際、絞り部(上流側の絞り)と、ノズルと被測定物の壁面との隙間(下流側の絞り)との間の圧力をセンサ(圧力を電圧若しくは電流に変換)にて検出し、その検出圧力を基準となるマスターゲージ(許容限界寸法の上限寸法用及び下限寸法用)の検出圧力と比較し換算することで被測定物の寸法を測定する。
【0004】
上述のような一般的な空気マイクロメータは、一つの測定ヘッドに、定圧機器、絞り部及び圧力センサが一つずつ組み合わせられてユニット化(一体化)された構成である。
【0005】
ところが、一つの空気マイクロメータ(測定ヘッド)の測定範囲は最大で200μm程度しかないため、広い測定範囲に対応するためには、測定ヘッドの大きさが異なる空気マイクロメータを複数台(すなわち、測定ヘッド、定圧機器、絞り部及び圧力センサ一式を複数組)用意する必要があり、非効率である。
【0006】
また、一般的な空気マイクロメータにおいては、絞り部は据え置きの表示部に設けられ、この表示部とエアチューブを介して設けられる測定ヘッド(ノズル)との距離が比較的長いことから、圧力検知までに空気の圧縮性に起因する遅れがあり、応答性の改善が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001―349719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたもので、共通の保持部に対して複数の測定ヘッドを選択して取り付けることが可能で、複数の測定ヘッドに対して圧力制御部や圧力センサを同数用意する必要がなく、また、絞り部をノズルに可及的に近づけて設けることが可能で、それだけ応答性を早くすることもできる、これまでにない空気マイクロメータ及び自動測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
供給される空気を、圧力制御部1及び絞り部2を介して測定ヘッド3に設けられたノズル4から被測定物Sに向けて噴出させ、前記被測定物Sの所定部位の寸法を検出する空気マイクロメータであって、
前記圧力制御部1を有する筐体部11と、
前記筐体部11から離れて設けられた保持部5と、
前記保持部5に設けられた取付部9に着脱自在に取り付けられる測定ヘッド3と、
前記保持部5若しくは前記測定ヘッド3に設けられる絞り部2と、
一端が前記筐体部11の前記圧力制御部1と連通し他端が前記絞り部2と連通する第一の流路6と、
一端が前記絞り部2と連通し他端が前記ノズル4と連通する第二の流路7と、
一端が前記第二の流路7と連通し他端が前記ノズル4から噴出される空気の背圧から前記寸法を検出する検出部10と連通する第三の流路8と、
を備えることを特徴とする空気マイクロメータに係るものである。
【0011】
また、請求項1記載の空気マイクロメータにおいて、前記測定ヘッド3に前記絞り部2が設けられ、前記第一の流路6及び前記第三の流路8は前記保持部5と前記測定ヘッド3とに跨って設けられていることを特徴とする空気マイクロメータに係るものである。
【0012】
また、請求項2記載の空気マイクロメータにおいて、前記検出部10は前記保持部5の近傍位置に設けられていることを特徴とする空気マイクロメータに係るものである。
【0013】
また、請求項3記載の空気マイクロメータにおいて、前記検出部10と電気的に接続され該検出部10による検出結果を表示する表示部を有することを特徴とする空気マイクロメータに係るものである。
【0014】
また、請求項1~4いずれか1項に記載の空気マイクロメータを用いた自動測定装置であって、測定寸法が異なる複数の交換用測定ヘッド3と、共通の前記保持部5とを備えることを特徴とする自動測定装置に係るものである。
【0015】
また、請求項5記載の自動測定装置において、ロボットアームを備え、このロボットアームに前記保持部5が設けられていることを特徴とする自動測定装置に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述のように構成したから、共通の保持部に対して複数の測定ヘッドを選択して取り付けることが可能で、複数の測定ヘッドに対して圧力制御部や圧力センサを同数用意する必要がなく、また、絞り部をノズルに可及的に近づけて設けることが可能で、それだけ応答性を早くすることもできる、これまでにない空気マイクロメータ及び自動測定装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施例の概略説明図である。
図2】別例1の概略説明図である。
図3】別例2の概略説明図である。
図4】本発明を多関節ロボットアームに適用した例を示す概略説明図である。
図5】本発明を多関節ロボットアームに適用した例を示す概略説明図である。
図6図5の使用状態説明図である。
図7図5の使用状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0019】
保持部5の取付部9に適宜な測定ヘッド3を取り付け、測定ヘッド3のノズル4から空気を噴出させて被測定物Sの内径等の所定部位の寸法を測定する。この際、測定ヘッド3は保持部5に対し取付部9を介して着脱自在に設けられているため、容易に交換することができる。
【0020】
したがって、例えば、広い測定範囲をカバーするため大きさが異なる複数の測定ヘッド3を用意した場合でも、共用の保持部5に複数の測定ヘッド3の中から選択した一の測定ヘッド3を適宜取り付けることで対応可能となり、複数の測定ヘッド3に対して同数の筐体部11等を用意する必要がなく、圧力制御部1や圧力センサ(検出部10)を共通化してコストダウンを図ることができる。
【0021】
また、絞り部2を保持部5若しくは測定ヘッド3に設ける構成とすることで、(据え置きの表示部から測定ヘッド3までの距離が長くても)絞り部2とノズル4との間隔を可及的に短くすることができ、それだけ応答性が良好となる。
【0022】
更に、例えば測定ヘッド3に絞り部2を設ける構成とすることで、測定ヘッド3毎に絞り部2を変更することが可能となる。すなわち、背圧式の空気マイクロメータの精度、感度及び測定範囲を大きく決定する要素は絞り部2であり、共通する保持部5に対して測定ヘッド3と共に絞り部2も交換可能とすることで、より効率的に広い測定範囲をカバーすることが可能となる。
【実施例0023】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0024】
本実施例は、図1に図示したように、空気源(図示省略)から供給される空気を、圧力制御部1及び絞り部2を介して測定ヘッド3に設けられたノズル4から被測定物Sに向けて噴出させ、前記被測定物Sの所定部位の寸法を検出する空気マイクロメータである。
【0025】
具体的には、前記圧力制御部1を有する筐体部11と、前記筐体部11から離れて設けられた保持部5と、前記保持部5に設けられた取付部9に着脱自在に取り付けられる測定ヘッド3と、前記保持部5若しくは前記測定ヘッド3に設けられる絞り部2と、一端が前記筐体部11の前記圧力制御部1と連通し他端が前記絞り部2と連通する第一の流路6と、一端が前記絞り部2と連通し他端が前記ノズル4と連通する第二の流路7と、一端が前記第二の流路7と連通し他端が前記ノズル4から噴出される空気の背圧(差圧)から前記寸法を検出する検出部10と連通する第三の流路8と、を備えたものである。
【0026】
各部を具体的に説明する。
【0027】
本実施例は、圧力制御部1及び検出部10(圧力センサ)が内蔵され検出部10による検出結果を表示する表示領域(表示部)を有する箱状の筐体部11(据え置き部)と、基端側が筐体部11に連結され先端側に保持部5が設けられる図示省略のエアチューブ(内部に第一の流路6及び第三の流路8の一部が配される)とを有している。
【0028】
筐体部11には、空気源からエアフィルター12を介して圧縮空気が供給される。この圧縮空気は圧力制御部1(レギュレータ。定圧機器)により圧力が一定に制御されて第一の流路6、絞り部2及び第二の流路7を介して測定ヘッド3のノズル4へと送出される。
【0029】
保持部5(取付部9)には測定ヘッド3が着脱自在に取り付けられる。取付部9は測定ヘッドと適宜な手段(凹凸嵌合機構、クランプ機構若しくはネジ機構等)で固定される。
【0030】
したがって、作業者は測定ヘッド3をエアチューブの可動範囲内で移動させ、例えば被測定物Sの内径を測定する場合には、作業者は測定ヘッド3及び保持部5を手で持って測定ヘッド3を被測定物Sの凹部内に挿入し、凹部内周壁に対して空気を噴出させて筐体部11の表示領域を確認することで、この凹部の内径を測定(良否判定)することができる。
【0031】
本実施例では、測定ヘッド3に絞り部2(オリフィス)が設けられており、前記第一の流路6及び前記第三の流路8は前記保持部5と前記測定ヘッド3とに跨って設けられている。したがって、第一の流路6及び第三の流路8は測定ヘッド3を取付部9に取り付けた際に保持部5側と測定ヘッド3側とが連通する。
【0032】
第一の流路6は基端が圧力制御部1と連通し、先端が絞り部2と連通し、第二の流路7は基端が絞り部2と連通し、先端が測定ヘッド3の周面に開口するノズル4に連通している。ノズル4は複数設けられている(本実施例では180°間隔で2つ設けられている。)。
【0033】
また、第三の流路8は一端が第二の流路7の途中部と連通し、他端が検出部10と連通している。
【0034】
検出部10は保持部5の近傍に設けている。検出部10と筐体部11の表示部とは電気信号線を介して電気的に接続されている。したがって、第三の流路8を可及的に短くすることができ、応答性に優れた構成となる。
【0035】
よって、本実施例は、圧力制御部1や検出部10を共通化してコストダウン、システムのスリム化を図ることができる。また、エアチューブが長くなっても絞り部2とノズル4との距離が一定となり、それだけ応答速度を向上できる。
【0036】
なお、本実施例は、検出部10を筐体部11ではなく保持部5の近傍に設けた構成としているが、図2に図示した別例1のように、筐体部11(据え置き部)に内蔵した構成としてもよい。この場合、検出部10の検出結果は、検出部10と電気的に接続された筐体部11の表示画面に表示される構成としても良いし、筐体部11において検出部10が直接視認されるようにして検出部10自体の検出結果表示部を視認できるようにしても良い。
【0037】
また、本実施例は、測定ヘッド3に絞り部2を設けた構成としているが、図3に図示した別例2のように、保持部5に設ける構成としても良い。
【0038】
この場合、第二の流路7が保持部5と測定ヘッド3に跨って設けられ、第三の流路8は保持部5内で分岐する。別例2においても、絞り部2をノズル4に可及的に近づけることができ、応答性を改善することが可能となる。また、圧力制御部1及び検出部10だけでなく絞り部2も共用化できることになる。
【0039】
また、本実施例に係る空気マイクロメータは、作業者が保持部5及び測定ヘッド3を手で持って作業可能な構成としているが、図4,5に図示した別構成例のように、多関節ロボットアームAの先端部に共通の保持部5を取り付け、順次搬送されてくる被測定物Sの寸法を、複数の測定ヘッド3の中から適宜選択した測定ヘッド3により測定する自動測定装置とすることもできる(筐体部11は保持部5から離れた適宜な位置に設ける。)。この場合、筐体部11には表示部は必ずしも必要ではなく、検出部10による検出結果をPC等に出力(保存)できるように構成すれば良い。
【0040】
この場合、例えば、測定室の多関節ロボットアームAで使用できる範囲内に、測定範囲が異なる複数の交換用測定ヘッド3や、許容限界寸法の上限寸法用及び下限寸法用の各マスターゲージを用意しておく。
【0041】
図4,5においては、保持部5は多関節ロボットアームAのアーム先端部20に設けられた筒状部20aに取り付けられている。この保持部5の先端に取付部9を設け、この取付部9の中心部に連結部21を設け、この連結部21を測定ヘッド3の基端側に設けた連結凹部22に嵌合して両者を着脱自在に連結し得るように構成されている。連結部21には突出方向に付勢される突没体23が設けられている。この突没体23は、連結凹部22挿入時に入口側の小径部を通過する際には付勢に抗して没入し、小径部を通過すると突出して抜け止め状態となるように構成されている。なお、図中符号29は空気源と接続される空気供給管、30は溝である。
【0042】
具体的には、測定ヘッド3の基端の第一の流路6及び第三の流路8の開口部に連結用管24(漏出防止管)が挿入配設されており、前記連結部21と連結凹部22とを嵌合すると共に、連結用管24を取付部9の第一の流路6及び第三の流路8の開口に挿入することで両者が連結されるように構成されている。
【0043】
また、保持部5は、アーム先端部20に堅固に固定されずフローティング状態で設けられている。具体的には、保持部5の先端部は、アーム先端部20(の筒状部20a)の先端開口部25から先端側に一部が突出するように配設され、保持部5の基端部は、アーム先端部20(の筒状部20a)の基端開口部26から基端側に一部が突出するように配設され、保持部5の外周とアーム先端部20の先端開口部25及び基端開口部26との間には適宜な間隔が設けられるように各開口部の開口径が設定されている。
【0044】
そして、一端が基端開口部26の内側周縁部に取り付けられ他端が保持部5の大径部27の基端側面に取り付けられたコイルバネ28(抗縮発条)により、保持部5は筒状部20aの先端側に付勢されている。保持部5の大径部27は先端開口部25の開口径より大径とされており、アーム先端部20の先端開口部25の内側周縁部と係止する。この保持部5の大径部27とアーム先端部20の先端開口部25とは固定されておらず、コイルバネ28の付勢により比較的緩く接触している(保持部5の軸方向と直交する方向への移動が強く規制されていない状態とされている。)。
【0045】
したがって、図6に図示したように、例えば内径測定時に、測定ヘッド3と被測定物Sとのクリアランスが極めて小さく、測定ヘッド3が被測定物Sの凹部(穴)内の未加工が原因の突起や異物等が存在することで所定の位置まで挿入できない場合でも、コイルバネに抗して保持部5が後退(退避)できる構成となり、多関節ロボットアームの損傷等を防止できる。また、保持部5の退避を検知した場合に自動的に不良と判定する退避検知機構を設けることもできる。
【0046】
また、図7に図示したように、被測定物S(凹部)がアーム先端部の軸中心からずれた場合でも、保持部5と先端開口部及び基端開口部との間の間隔分だけ測定ヘッド3の位置をずらすことができ、それだけ柔軟な運用が可能となる。
【0047】
本実施例は上述のように構成したから、保持部5の取付部9に適宜な測定ヘッド3を取り付け、測定ヘッド3のノズル4から空気を噴出させて被測定物Sの内径等の所定部位の寸法を測定する際、測定ヘッド3は保持部5に対し取付部9を介して着脱自在に設けられているため、容易に交換することができる。
【0048】
したがって、例えば、広い測定範囲をカバーするため大きさが異なる複数の測定ヘッド3を用意した場合でも、共用の保持部5に複数の測定ヘッド3の中から選択した一の測定ヘッド3を適宜取り付けることで対応可能となり、複数の測定ヘッド3に対して同数の筐体部11等を用意する必要がなく、圧力制御部1や圧力センサ(検出部10)を共通化してコストダウンを図ることができる。
【0049】
また、絞り部2を保持部5若しくは測定ヘッド3に設ける構成とすることで、(据え置きの表示部から測定ヘッド3までの距離が長くても)絞り部2とノズル4との間隔を可及的に短くすることができ、それだけ応答性が良好となる。
【0050】
更に、測定ヘッド3に絞り部2を設ける構成とすることで、測定ヘッド3毎に絞り部2を変更することが可能となる。
【0051】
よって、本実施例は、共通の保持部に対して複数の測定ヘッドを選択して取り付けることが可能で、複数の測定ヘッドに対して圧力制御部や圧力センサを同数用意する必要がなく、また、絞り部をノズルに可及的に近づけて設けることが可能で、それだけ応答性を早くすることもできる、これまでにない空気マイクロメータとなる。
【符号の説明】
【0052】
1 圧力制御部
2 絞り部
3 測定ヘッド
4 ノズル
5 保持部
6 第一の流路
7 第二の流路
8 第三の流路
9 取付部
10 検出部
11 筐体部
S 被測定物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7