(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176385
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】難燃性樹脂組成物とその成形体
(51)【国際特許分類】
C08L 23/02 20060101AFI20231206BHJP
C08K 5/49 20060101ALI20231206BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20231206BHJP
C08L 23/10 20060101ALI20231206BHJP
C08K 5/52 20060101ALI20231206BHJP
C08L 83/08 20060101ALI20231206BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20231206BHJP
C08K 5/3462 20060101ALI20231206BHJP
C08K 5/3492 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
C08L23/02
C08K5/49
C08L83/04
C08L23/10
C08K5/52
C08L83/08
C08K3/013
C08K5/3462
C08K5/3492
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088639
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】522216259
【氏名又は名称】フンツィオナーノ・アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】藤原 滉太
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB011
4J002BB031
4J002BB041
4J002BB111
4J002BB121
4J002BB141
4J002BB151
4J002BB161
4J002BB211
4J002CP032
4J002CP082
4J002CP092
4J002CP122
4J002DA017
4J002DA077
4J002DA087
4J002DA097
4J002DE237
4J002DG047
4J002DG057
4J002DJ017
4J002DJ037
4J002DJ047
4J002DL007
4J002EG018
4J002EN036
4J002EU136
4J002EU186
4J002EW006
4J002EW036
4J002EW046
4J002FA047
4J002FD017
4J002FD050
4J002FD060
4J002FD070
4J002FD130
4J002FD160
(57)【要約】
【課題】難燃性が優れている成形体が得られる難燃性樹脂組成物の提供。
【解決手段】(A)オレフィン系樹脂、(B)リン系難燃剤、(C)多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)を含有する、難燃性樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)オレフィン系樹脂、(B)リン系難燃剤、(C)多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)を含有する、難燃性樹脂組成物。
【請求項2】
(B)成分と(C)成分の質量比[(C)/(B)]が0.010~0.080の範囲である、請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項3】
(A)成分、(B)成分および(C)成分の含有量が、(A)成分100質量部に対して、(B)成分が20~60質量部、(C)成分が0.05~5.0質量部である、請求項1または2記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項4】
(A)成分のオレフィン系樹脂がポリプロピレンを含むものである、請求項1~3のいずれか1項記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項5】
(B)成分のリン系難燃剤が、オルトリン酸ピペラジン塩、ピロリン酸ピペラジン塩、ポリリン酸ピペラジン塩、オルトリン酸メラミン塩、ピロリン酸メラミン塩、ポリリン酸メラミン塩から選ばれる1以上のリン酸塩である、請求項1~4のいずれか1項記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項6】
(C)成分のPOSSが、官能基としてアミノ基と、飽和または不飽和炭化水素基を有しているものである、請求項1~5のいずれか1項記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項7】
さらに(D)無機充填剤を含有する、請求項1~6のいずれか1項記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項記載の難燃性樹脂組成物から得られる成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、難燃性が優れている成形体が得られる難燃性樹脂組成物とその成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
多面体オリゴマーシルセスキオキサン(Polyhedral oligomeric silsesquioxane:POSS)は、難燃剤として使用することが知られている。
【0003】
特許文献1には、アクリル、アクリルガラス、ポリ(メチルメタクリレート)、アクリル樹脂、プラスチックまたはこれらの組み合わせである主ポリマー。POSSであるナノ構造フィラー、少なくとも1種の架橋剤を含む透明難燃性材料の発明が記載されている。
【0004】
特許文献2には、a)a1)9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(DOPO)及び/又は核置換されたDOPO誘導体と、a2)少なくとも1種の不飽和二価若しくは多価カルボン酸又はそのエステル若しくは無水物と、の付加物から選択される少なくとも1種のリン含有モノマー;b)少なくとも1種の二級ジアミン;並びにc)任意選択的な他のモノマー;の重縮合によって得られるポリマーの発明が記載されている。段落番号0064には、難燃剤としてPOSSを含有できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2020-514491号公報
【特許文献2】特表2021-500468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、難燃性が優れている成形体が得られる難燃性樹脂組成物とその成形体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、(A)オレフィン系樹脂、(B)リン系難燃剤、(C)多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)を含有する、難燃性樹脂組成物とその成形体を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の難燃性樹脂組成物から得られる成形体は、(B)成分のリン系難燃剤と少量の(C)成分のPOSSを組み合わせることで、同じリン系難燃剤を含む組成物から得られる成形体と比べると、機械的性質と熱的性質は同程度であるが、難燃性を大きく高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<難燃性樹脂組成物>
(A)成分のオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのオレフィンモノマーのホモポリマー、前記エチレンモノマーと共重合可能な他のモノマーとのコポリマーを使用することができる。
これらの中でもプロピレン系樹脂が好ましい。プロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体であってもよく、プロピレンと他の共重合性単量体との共重合体であってもよい。
他の共重合性単量体としては、オレフィン系単量体(エチレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテンなどのα-C2~20鎖状オレフィン、環状オレフィンなど)、ビニルエステル系単量体(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、(メタ)アクリル系単量体[(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル系モノマーなど]、ジエン系単量体(ブタジエンなど)、不飽和多価カルボン酸またはその酸無水物(マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸またはその酸無水物など)、イミド系単量体[マレイミド、N-アルキルマレイミド(N-C1~4アルキルマレイミドなど)などのN-置換マレイミド]などを挙げることができ、これらの共重合性単量体は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
より詳細には、ポリプロピレン系樹脂としては、単独重合体であるホモポリプロピレンの他、共重合体として、例えば、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体などのプロピレン含有量が80質量%以上のプロピレン-α2~20鎖状オレフィン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体など)などを挙げることができる。
これらのポリプロピレン系樹脂のうち、ホモポリプロピレン、不飽和多価カルボン酸またはその酸無水物で変性されたポリプロピレンまたはそれらの組み合わせが好ましい。
【0010】
(B)成分は、リン系難燃剤である。
(B)成分のリン系難燃剤としては、有機リン酸化合物、有機リン酸塩化合物を挙げることができ、これらの中でも有機リン酸塩化合物が好ましい。
有機リン酸塩化合物としては、例えば、特開2017-43707号公報に記載のものを使用することができる。
有機リン酸塩化合物としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ビスフェノール-A-ビスジフェニルホスフェート、レゾルシノール-ビスジフェニルホスフェートなどの有機リン酸エステル化合物、ポリリン酸アンモニウム塩、ポリリン酸メラミン塩、ポリリン酸ピペラジン塩、オルトリン酸ピペラジン塩、ピロリン酸メラミン塩、ピロリン酸ピペラジン塩、ポリリン酸メラミン塩、オルトリン酸メラミン塩、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどのリン酸塩化合物、またはこれらの混合物などを挙げることができる。
【0011】
上記リン酸塩化合物の例示において、メラミン、ピペラジンの代わりに、N,N,N’,N’-テトラメチルジアミノメタン、エチレンジジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、N,N’-ジエチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-ジエチルエチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7-ジアミノへプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9ージアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、trans-2,5-ジメチルピペラジン、1,4-ビス(2-アミノエチル)ピペラジン、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、アクリルグアナミン、2,4-ジアミノ-6-ノニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-ハイドロキシ-1,3,5-トリアジン、2-アミノ-4,6-ジハイドロキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-メトキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-エトキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-プロポキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-イソプロポキシ-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-メルカプト-1,3,5-トリアジン、2-アミノ-4,6-ジメルカプト-1,3,5-トリアジン、アンメリン、ベンズグアナミン、アセトグアナミン、フタロジグアナミン、メラミンシアヌレート、ピロリン酸メラミン、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、1,3-ヘキシレンジメランミン等を置き換えた化合物も同様に使用することができる。
市販品としては、株式会社ADEKAのアデカスタブFP2000、FP2100、FP2200、FP2500(リン酸塩を含む混合物)やポリリン酸アンモニウムなどを挙げることができる。
【0012】
(C)成分のPOSS自体は公知のものであり、例えば、特表2019-537506号公報、WO2018/016367、特開2014-196494号公報に記載されており、下記構造式で示されるものである。
【化1】
【0013】
(式中のRは以下のとおりに定義されるが、これらに限定されるものではなく、公知のPOSSにおけるRと同じものが含まれる。
それぞれのRは、同一のものでもよいし、異なっているものでもよい。
Rは、アルキル基、アリール基、またはシクロアルキル基を示し、例えば、1~50の炭素原子、または2~30の炭素原子、または4~18の炭素原子を有するものであり、例えば、置換または非置換脂肪族炭化水素基もしくは芳香族炭化水素基を示す。
炭化水素基は、環状、分枝または直鎖とすることができる。
炭化水素基は、飽和とすることができ、または不飽和を含んでもよい。
炭化水素基は、置換または非置換とすることができる。
炭化水素基が置換基を有しているときは、環状、分枝または直鎖の炭化水素基の一部に置換基として、ハロゲン、メチル、エチル、イソブチル、イソオクチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビニル、スチリル、トリメチルシロキシル、トリクロロシリルエチル、トリクロロシリルプロピル、ジクロロシリルエチル、クロロシリルエチル、フェニル、クロロベンジル、シアノエチル、シアノプロピル、ノルボルネニル、フルオロ、シラノール、ジメチルシラン、アルコキシ、メタクリレート、シラン、アニリン、アミン、フェノール、およびアルコールからなる群より選択される1つもしくは複数の基を有していてもよい。ある実施形態では、炭化水素基は部分的にフッ素化され、または過フッ化される。
Rの好ましい例としては、アミノアルキル基、p-アミノフェニル基、p-ニトロフェニル基が挙げられる。POSSのRは、通常の方法により極性官能基で官能化することができる。
【0014】
(C)成分のPOSSとしては、官能基Rとしてアミノ基と、アルキル基を有しているものが好ましい。
アルキル基は、炭素数3~10のアルキル基が好ましく、プロピル基、オクチル基がより好ましい。
(C)成分としては、アミノ-プロピル-POSS、アミノ-オクチル-POSS、アミノ-フェニル-POSS、アミノ-ビニル-POSSが好ましい。
【0015】
本開示の難燃性樹脂組成物中の(B)成分と(C)成分の[(C)/(B)]は、難燃性を高めるため、0.010~0.080が好ましく、0.015~0.075がより好ましく、0.020~0.070がさらに好ましい。
【0016】
本開示の難燃性樹脂組成物中の(A)成分、(B)成分および(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、
(B)成分は20~60質量部が好ましく、30~55質量部がより好ましく、35~50質量部がさらに好ましく、
(C)成分は0.05~5.0質量部が好ましく、0.1~4.5質量部がより好ましく、0.5~4.0質量部がさらに好ましい。
【0017】
本開示の難燃性樹脂組成物は、さらに(D)成分の無機充填剤を含有することができる。
(D)成分の無機充填剤は、難燃性樹脂組成物から得られる成形体の用途に応じた機械的性質、熱的性質などを付与するために必要な種類と量を含有することができる。
無機充填剤としては、繊維状充填剤、粉末状充填剤を使用することができる。
繊維状充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、石膏繊維、セラミック繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウールなどを挙げることができる。
粉末状充填剤としては、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどを挙げることができる。
【0018】
本開示の難燃性樹脂組成物は、必要に応じて、例えば特開2020-66737号公報に記載の炭化促進剤、難燃助剤、発泡剤、酸化防止剤、滑剤などを含有することができる。
【0019】
本開示の難燃性樹脂組成物は、難燃剤としては(B)成分のリン系難燃剤のみでよいが、用途に応じて少量の他の難燃剤を含有することもできる。
他の難燃剤を含有するときは、(B)成分のリン系難燃剤と他の難燃剤の合計量中、他の難燃剤の含有量が10質量%以下になるようにすることが好ましい。
【0020】
本開示の難燃性樹脂組成物は、難燃性を高めるため、さらに金属酸化物を使用することができる。
金属酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化スズ、アルミナ白、酸化鉄、酸化銅などを挙げることができる。
難燃性樹脂組成物中の金属酸化物の含有量は、0.5~5質量%が好ましい。
【0021】
本開示の難燃性樹脂組成物は、必要に応じて、その他の添加剤として、安定剤[熱安定剤(亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸やこれらのエステルなど)、酸化防止剤(ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類、リン系酸化防止剤等など、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤)など]、離型剤[ワックス類(ポリエチレンワックス、高級脂肪酸エステル、脂肪酸アミド)、シリコーンオイルなど]、帯電防止剤、着色剤などを含有することができる。
【0022】
本開示の難燃性樹脂組成物は、例えば、
(i)混合機(タンブラー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサー、リボンミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機など)で各成分を予備混合して、溶融混練機(一軸又はベント式二軸押出機など)で溶融混練し、ペレット化手段(ペレタイザーなど)でペレット化する方法、
(ii)所望の成分のマスターバッチを調製し、必要により他の成分と混合して溶融混練機で溶融混練してペレット化する方法、
(iii)各成分を溶融混練機に供給して溶融混練してペレット化する方法、
等により製造することができる。
【0023】
<成形体>
本開示の成形体は、上記した難燃性樹脂組成物からなる成形体であり、例えば、用途に応じた形状および大きさに成形されたものである。
成形方法は、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、真空成形法などの公知の樹脂成型法を適用することができる。
【0024】
本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。
各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせなどは一例であって、本発明の開示の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。本開示は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例0025】
(使用成分)
(A)成分:
ホモポリプロピレン:サンアロマー社製PMB02A
酸変性ポリプロピレン:マレイン酸変性ポリプロピレン,三菱ケミカル株式会社モディックP908
(B)成分
リン系難燃剤:株式会社ADEKA製ADEKA STAB FP2100JC
(C)成分
POSS:アミノ-プロピル-POSS,Funzionano製SF453
(D)成分
ガラス繊維:日本電気硝子社製ECS03 T-480
(その他)
フェノール系酸化防止剤:BASF社製 Irganox1010
リン系酸化防止剤:BASF社製 Irgafos 168
ステアリン酸カルシウム:堺化学工業社製SC-100
【0026】
実施例1、2、比較例1
表1に示す(A)成分、(B)成分、(C)成分、その他の成分をドライブレンドした。
その後、二軸押出機((株)日本製鋼所製「TEX30α」、230℃)のホッパーから供給し、さらに(D)成分はサイドフィーダーから供給して、溶融混練および賦形して、難燃剤樹脂組成物のペレットを得た。
前記ペレットを使用して、射出成形機(ファナック(株)製 FANUC ROBOSHOTα-S150iA、金型50℃、成形温度235℃)に投入して成形体を得た。下記の各試験を実施した。結果を表1に示す。
【0027】
(1)難燃性試験
UL94のバー型試験片(125mm×13mm)の20mm炎垂直燃焼試験(V試験)にて、実施例および比較例の難燃性樹脂組成物から作製した厚さ1.5mmの試験片(樹脂成形体)にて試験した。
【0028】
(2)引張強さ(MPa)
ISO527に準拠して測定した。
【0029】
(3)シャルピー衝撃強度(kJ/m2)
ISO179/1eAに準拠して、ノッチ付きシャルピー衝撃強さを測定した。
【0030】
(4)荷重たわみ温度(℃)(1.8MPa)
ISO75に準拠して測定した。
【0031】
【0032】
表1から明らかなとおり、実施例1、2では、(B)成分のリン系難燃剤に対して非常に少量の(C)成分を配合することで、難燃性を著しく高めることができた。
本開示の難燃性樹脂組成物は、難燃性が要求される樹脂部品、例えば、住宅設備、電気・電子機器、OA機器、センターコンソール、インストルメントパネル、グローブボックス、センタークラスター、ドアポケット、キッキングプレートなどの自動車の内装部品用などに利用することができる。