(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176386
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】ビールテイスト飲料
(51)【国際特許分類】
C12C 11/11 20190101AFI20231206BHJP
C12C 12/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
C12C11/11
C12C12/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088641
(22)【出願日】2022-05-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【弁理士】
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100158481
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勇介
(72)【発明者】
【氏名】岡島 高穂
【テーマコード(参考)】
4B128
【Fターム(参考)】
4B128CP22
4B128CP23
4B128CP29
4B128CP38
4B128CP39
(57)【要約】
【課題】よりビールらしさを感じられる新規なビールテイスト飲料を提供する。
【解決手段】3.0℃~15.0℃のビールテイスト原液、および、3.0℃~15.0℃の可食性水溶液を混合する混合工程を有する、ビールテイスト飲料の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3.0℃~15.0℃のビールテイスト原液、および、3.0℃~15.0℃の可食性水溶液を混合する混合工程を有する、ビールテイスト飲料の製造方法。
【請求項2】
下記条件式(1)を満たす、請求項1に記載された製造方法。
条件式(1):1.5≦可食性水溶液の重量(g)/ビールテイスト原液の重量(g)≦7.0
【請求項3】
前記混合工程が開放容器で行われる、請求項1に記載された製造方法。
【請求項4】
前記開放容器の容量が3L以下である、請求項3に記載された製造方法。
【請求項5】
前記可食性水溶液が炭酸を含有する水溶液である、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の製造方法で製造されたビールテイスト飲料。
【請求項7】
3.0℃~15.0℃のビールテイスト原液、および、3.0℃~15.0℃の可食性水溶液を混合して提供する、ビールテイスト飲料の提供方法。
【請求項8】
3.0℃~15.0℃のビールテイスト原液および3.0℃~15.0℃の可食性水溶液を含む、ビールテイスト飲料製造用原料液セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビールテイスト飲料の製造方法、ビールテイスト飲料の提供方法、およびビールテイスト飲料製造用原料セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、麦芽ベース原液と炭酸水などとを混合することによって、ビール飲料を製造する方法や装置が知られている。
例えば、特許文献1には、麦芽ベース発酵飲料濃縮物と炭酸液体希釈剤とを混合することによって、麦芽ベース発酵飲料を製造するビール飲料製造方法やのビール飲料ディスペンサー装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況において、例えば、よりビールらしさを感じられる新規なビールテイスト飲料が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、所定の温度範囲のビールテイスト原液と、所定の温度範囲の可食性水溶液を混合するビールテイスト飲料の製造方法、ビールテイスト飲料の提供方法、ビールテイスト飲料製造用原料セットを提供する。具体的には、本発明は、下記態様[1]~[8]を提供する。
[1]
3.0℃~15.0℃のビールテイスト原液、および、3.0℃~15.0℃の可食性水溶液を混合する混合工程を有する、ビールテイスト飲料の製造方法。
[2]
下記条件式(1)を満たす、[1]に記載された製造方法。
条件式(1):1.5≦可食性水溶液の重量(g)/ビールテイスト原液の重量(g)≦7.0
[3]
前記混合工程が開放容器で行われる、[1]または[2]に記載された製造方法。
[4]
前記開放容器の容量が3L以下である、[3]に記載された製造方法。
[5]
前記可食性水溶液が炭酸を含有する水溶液である、[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]
[1]に記載の製造方法で製造されたビールテイスト飲料。
[7]
3.0℃~15.0℃のビールテイスト原液、および、3.0℃~15.0℃の可食性水溶液を混合して提供する、ビールテイスト飲料の提供方法。
[8]
3.0℃~15.0℃のビールテイスト原液および3.0℃~15.0℃の可食性水溶液を含む、ビールテイスト飲料製造用原料液セット。
【発明の効果】
【0006】
本発明の好適な一態様のビールテイスト飲料の製造方法で得られるビールテイスト飲料は、例えば、ビールらしいビールテイスト飲料となり得る。また、本発明の好適な一態様のビールテイスト飲料の製造方法で得られるビールテイスト飲料は、例えば、嗜好度(中味として純粋に美味しいと感じる度合い)の高い飲料となり得る。さらに、本発明の好適な一態様のビールテイスト飲料の製造方法で得られるビールテイスト飲料は、例えば、スッキリした味わいを有する飲料となり得る。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の一態様のビールテイスト飲料の製造方法は、ビールテイスト原液、および、可食性水溶液を混合する混合工程を有する。
【0008】
1.ビールテイスト飲料
本発明の一態様のビールテイスト飲料はビールテイスト原液、および、可食性水溶液を混合する混合工程を経て製造される。
したがって、本明細書において、「ビールテイスト飲料」とは、ビールテイスト原液、および、可食性水溶液を混合する混合工程を経て得られる飲料であって、ビール様の風味をもつアルコール含有またはノンアルコールの炭酸飲料をいう。つまり、本明細書のビールテイスト飲料は、特に断わりがない場合、ビール風味を有するいずれの炭酸飲料をも包含する。
【0009】
2.ビールテイスト原液
本明細書において、「ビールテイスト原液」とは、当該原液と可食性水溶液を混合することによってビールテイスト飲料を製造するための可食性溶液である。ビールテイスト原液は、可食性水溶液と混合することでビールテイスト飲料を製造できる液体であれば特に限定されない。
本発明の一態様のビールテイスト原液は、可食性水溶液を混合することによってビールテイスト原液が希釈されることになるので、一般的なビールテイスト飲料に比べてエタノール濃度、香気成分(エステルや高級アルコール等)の含有濃度、オリジナルエキス濃度、色度、苦味価等が高いことが好ましい。
【0010】
ビールテイスト原液には、例えば、麦芽、ホップ、および水を原料として、これらを、酵母を用いて発酵させて得られる発酵原液だけでなく、エステルや高級アルコール、ラクトン等の香気成分を含むビール香料が添加された原液も包含する。また、ビールテイスト原液は、炭酸を含有する炭酸含有原液であってもよく、炭酸を含有しない炭酸非含有原液であってもよい。
【0011】
ビール香料に含まれる香気成分としては、例えば、酢酸イソアミル、酢酸エチル、n-プロパノール(1-プロパノール等)、イソブタノール、アセトアルデヒド、カプロン酸エチル、カプリル酸エチル、イソアミルプロピオネート、リナロール、ゲラニオール、シトラール、4-ビニルグアイアコール(4-VG)、4-メチル-3-ペンテン酸、2-メチル-2-ペンテン酸、1,4-シネオール、1,8-シネオール、2,3-ジエチル-5-メチルピラジン、γ-デカノラクトン、γ-ウンデカラクトン、ヘキサン酸エチル、2-メチル酪酸エチル、n-酪酸エチル、ミルセン、シトラール、リモネン、マルトール、エチルマルトール、フェニル酢酸、フラネオール、フルフラール、メチオナール、3-メチル-2-ブテン-1-チオール、3-メチル-2-ブタンチオール、ダイアセチル、フェルラ酸、ゲラン酸、ゲラニルアセテート、酪酸エチル、オクタン酸、デカン酸、9-デセン酸、ノナン酸、テトラデカン酸、プロパン酸、2-メチルプロパン酸、γ-ブチロラクトン、2-アミノアセトフェノン、3-フェニルプロピオン酸エチル、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-3(2H)-フラノン、ジメチルスルホン、3-メチルシクロペンタン-1,2-ジオン、2-メチルブタナール、3-メチルブタナール、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン、2-アセチルフラン、2-メチルテトラヒドロフラン-3-オン、ヘキサナール、ヘキサノール、シス-3-ヘキセナール、1-オクテン-3-オール、β-ユーデスモール、4-メルカプト-4-メチルペンタン-2-オン、β-カリオフィレン、β-ミルセン、フルフリルアルコール、2-エチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、酢酸2-メチルブチル、イソアミルアルコール、5-ヒドロキシメチルフルフラール、フェニルアセトアルデヒド、1-フェニル-3-ブテン-1-オン、トランス-2-ヘキセナール、ノナナール、フェネチルアルコール、ネロール、シトロネロール、p-トルイル酸メチル、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、酒石酸ジエチル、リンゴ酸ジブチル、ペリルアルデヒド、メチルヘプテノン、レモンマートル、シンナムアルデヒド等が挙げられる。
【0012】
また、本発明の一態様のビールテイスト原液は、酵母を用いて発酵工程を経た発酵ビールテイスト原液であってもよく、発酵工程を経ない非発酵ビールテイスト原液であってもよい。
発酵ビールテイスト原液としては、上面発酵酵母(サッカロマイセス等)を用いた発酵工程を経て醸造されたエールビールテイスト原液であってもよく、下面発酵酵母(サッカロマイセス等)を用いた発酵工程を経て醸造されたラガービールテイスト原液、ピルスナービールテイスト原液であってもよい。また、本明細書でいう「発酵」は、アルコールが生じるアルコール発酵であってもよく、アルコールが生じない非アルコール発酵であってもよい。
【0013】
加えて、本発明の一態様のビールテイスト原液は、原料として麦芽を用いた麦芽使用ビールテイスト原液であってもよく、麦芽を用いない麦芽不使用ビールテイスト原液であってもよい。麦芽使用ビールテイスト原液としては、例えば、大麦麦芽使用ビールテイスト原液が挙げられる。
【0014】
本発明の一態様のビールテイスト原液のアルコール度数(エタノールの含有量(v/v)%)は、特に限定されないが、例えば、0.0(v/v)%以上、0.0(v/v)%超、0.1(v/v)%以上、0.3(v/v)%以上、0.5(v/v)%以上、0.7(v/v)%以上、1.0(v/v)%以上、2.0(v/v)%以上、3.0(v/v)%以上、3.5(v/v)%以上、4.0(v/v)%以上、4.5(v/v)%以上、5.0(v/v)%以上、5.5(v/v)%以上、6.0(v/v)%以上、6.5(v/v)%以上、7.0(v/v)%以上、8.0(v/v)%以上、または9.0(v/v)%以上であってもよいが、飲みごたえの観点から、好ましくは10.0(v/v)%以上、より好ましくは10.5(v/v)%以上、さらに好ましく11.0(v/v)%以上であり、さらに、11.5(v/v)%以上、12.0(v/v)%以上、12.5(v/v)%以上、13.0(v/v)%以上、13.5(v/v)%以上、14.0(v/v)%以上、15.0(v/v)%以上、16.0(v/v)%以上、17.0(v/v)%以上、18.0(v/v)%以上、19.0(v/v)%以上、20.0(v/v)%以上、21.0(v/v)%以上、22.0(v/v)%以上、23.0(v/v)%以上、24.0(v/v)%以上、または25.0(v/v)%以上であってもよい。また、ビールテイスト原液のアルコール度数は、50.0(v/v)%以下、45.0(v/v)%以下、35.0(v/v)%以下、30.0(v/v)%以下、25.0(v/v)%未満、24.0(v/v)%以下、23.0(v/v)%以下、22.0(v/v)%以下、21.0(v/v)%以下、20.0(v/v)%以下、19.5(v/v)%以下、19.0(v/v)%以下、18.5(v/v)%以下、18.0(v/v)%以下、17.5(v/v)%以下、17.0(v/v)%以下、16.5(v/v)%以下、16.0(v/v)%以下、15.5(v/v)%以下、15.0(v/v)%以下、14.5(v/v)%以下、14.0(v/v)%以下、13.5(v/v)%以下、13.0(v/v)%以下、12.5(v/v)%以下、12.0(v/v)%以下、11.5(v/v)%以下、11.0(v/v)%以下、10.5(v/v)%以下、10.0(v/v)%以下、9.5(v/v)%以下、9.0(v/v)%以下、8.5(v/v)%以下、または8.0(v/v)%以下としてもよい。
また、本発明のビールテイスト飲料はアルコール度数が1(v/v)%未満のノンアルコールビールテイスト飲料であってもよく、ノンアルコールビールテイスト飲料を製造するためのビールテイスト原液のアルコール度数は、0.8(v/v)%以下、0.7(v/v)%以下、0.6(v/v)%以下、0.4(v/v)%以下、0.2(v/v)%以下、または0.1(v/v)%未満とすることが好ましい。
【0015】
なお、本明細書において、アルコール度数は、体積/体積基準の百分率((v/v)%)で示されるものとする。また、飲料のアルコール含有量は、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。
【0016】
また、本発明の一態様のビールテイスト原液のアルコール度数は、希釈水または炭酸水の添加および添加する場合の添加量、原材料(麦、麦芽、コーングリッツ、糖液等)の種類、原材料の量、酵素の種類、酵素の添加量、酵素の添加のタイミング、仕込槽での糖化時間、仕込槽でのタンパク分解時間、仕込槽でのpH、仕込工程(麦芽投入から酵母添加前での麦汁製造工程)でのpH、pH調整の際に使用する酸の添加量、pH調整のタイミング(仕込時、発酵時、発酵完了時、ビール濾過前、ビール濾過後など)、麦汁を調製する際(糖化時含む)の各温度領域の設定温度および保持時間、発酵前液のオリジナルエキス濃度、発酵工程でのオリジナルエキス濃度、発酵条件(酸素濃度、通気条件、酵母品種、酵母の添加量、酵母増殖数、酵母の除去タイミング、発酵温度、発酵時間、圧力設定、二酸化炭素濃度等)、並びに、スピリッツや醸造アルコール等の添加の有無および添加する場合の添加量等を適宜設定することで所望の範囲に調整することができる。
【0017】
本発明の一態様のビールテイスト原液は、アルコール度数を上記範囲となるように調整するために、アルコール成分として、穀物に由来するスピリッツ(蒸留酒)を含有してもよい。
本明細書において、スピリッツとは、麦、米、そば、トウモロコシ、芋、さとうきび等の穀物を原料として、麦芽または必要により酵素剤を用いて糖化し、酵母を用いて発酵させた後、さらに蒸留して得られる酒類を意味する。スピリッツの原材料である穀物としては、イネ科に属する植物が好ましく、麦がより好ましい。
なお、本発明の一態様のビールテイスト飲料は、良質な味わいを有し、ビールらしいビールテイスト飲料とする観点から、スピリッツを含有しない飲料としてもよい。
【0018】
本発明の一態様のビールテイスト飲料の麦芽比率は、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、46質量%以上、47質量%以上、48質量%以上、49質量%以上、50質量%以上、51質量%以上、52質量%以上、53質量%以上、54質量%以上、55質量%以上、56質量%以上、57質量%以上、58質量%以上、59質量%以上、60質量%以上、61質量%以上、62質量%以上、63質量%以上、64質量%以上、65質量%以上、66質量%以上、66質量%超、67質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、または100質量%であってもよく、また、100質量%以下、100質量%未満、98質量%以下、95質量%以下、90質量%以下、85質量%以下、80質量%以下、75質量%以下、70質量%以下、68質量%以下、67質量%以下、67質量%未満、66質量%以下、65質量%以下、64質量%以下、63質量%以下、62質量%以下、61質量%以下、60質量%以下、59質量%以下、50質量%以下、または50質量%未満であってもよい。
【0019】
本明細書において、「麦芽比率」とは、平成30年4月1日が施行日の酒税法および酒類行政関係法令等解釈通達に従って計算された値を意味する。
なお、麦芽比率を抑制する場合、酵母が資化可能な麦芽以外の原料(炭素源、窒素源)を増量することが好ましい。酵母が資化可能な原料の炭素源としては単糖、二糖、三糖、それらの糖液等が挙げられ、窒素源としては酵母エキス、大豆タンパク、麦芽、大豆、酵母エキス、エンドウ、小麦麦芽、未発芽の穀物、これらの分解物等が挙げられる。また未発芽の穀物としては、例えば、未発芽の大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦、米(白米、玄米等)、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、豆(大豆、えんどう豆等)、そば、ソルガム、粟、ひえ等が挙げられる。また、これらの穀物から得られたデンプン、これらの抽出物(エキス)を用いてもよい。
【0020】
本発明の一態様のビールテイスト原液のオリジナルエキス(O-Ex)濃度は、6.0質量%以上、6.5質量%以上、7.0質量%以上、7.5質量%以上、8.0質量%以上、8.5質量%以上、9.0質量%以上、10.0質量%以上、11.0質量%以上、12.0質量%以上、13.0質量%以上、14.0質量%以上、15.0質量%以上、16.0質量%以上、17.0質量%以上、18.0質量%以上、19.0質量%以上、20.0質量%以上、21.0質量%以上、22.0質量%以上、23.0質量%以上、24.0質量%以上、25.0質量%以上、または26.0質量%以上としてもよく、また、50.0質量%以下、45.0質量%以下、40.0質量%以下、35.0質量%以下、30.0質量%以下、29.0質量%以下、28.0質量%以下、27.0質量%以下、26.0質量%以下、25.0質量%以下、24.0質量%以下、23.0質量%以下、22.0質量%以下、21.0質量%以下、20.0質量%以下、18.0質量%以下、16.0質量%以下、15.0質量%以下、または13.5質量%以下としてもよい。
なお、本明細書における「オリジナルエキス濃度」は、アルコール度数が1(v/v)%以上であるアルコール含有原液においては、日本の酒税法におけるエキス分、すなわち、温度15℃の時において原容量100cm3中に含有する不揮発性成分のグラム数をいう。また、アルコール度数が1(v/v)%未満のノンアルコール原液においては、脱ガスしたサンプルをビール酒造組合国際技術委員会(BCOJ)が定める分析法(BOCJビール分析法(日本醸造協会発酵、ビール酒造組合編集、2013年増補改訂版))に従い測定したエキス値(質量%)をいう。
【0021】
本発明の一態様のビールテイスト原液のpHは、2.0以上、2.2以上、2.4以上、2.6以上、2.8以上、3.0以上、3.1以上、3.2以上、3.3以上、3.4以上、3.5以上、3.6以上、3.7以上、3.8以上、3.9以上、または4.0以上とすることが好ましく、5.4以下、5.2以下、5.0以下、4.9以下、4.8以下、4.7以下、4.6以下、4.55以下、または4.5以下とすることが好ましく、4.0以下、または4.0未満とすることもできる。
【0022】
本発明の一態様のビールテイスト原液は、原液が容器に詰められた態様であればよく、容器の例としては、例えば、樽、ビン、ペットボトル、または缶などが挙げられる。
【0023】
2.1 原材料
本発明の一態様のビールテイスト原液の主な原材料としては、水と共に麦芽を用いてもよく、また、麦芽を用いなくてもよい。さらに本発明の一態様のビールテイスト飲料は、原材料として、ホップを用いた飲料であってもよく、ホップを用いない飲料であってもよい。
その他に、保存料、甘味料、水溶性食物繊維、苦味料または苦味付与剤、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類等を用いてもよい。
【0024】
2.1.1 麦芽、麦芽以外の穀物
原材料として麦芽を用いる場合、当該麦芽とは、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦などの麦類の種子を発芽させて乾燥させ、除根したものをいい、産地や品種は、いずれのものであってもよい。
本発明の一態様で用いる麦芽としては、大麦麦芽が好ましい。大麦麦芽は、日本のビールテイスト飲料の原料として最も一般的に用いられる麦芽の1つである。大麦には、二条大麦、六条大麦などの種類があるが、いずれを用いてもよい。さらに、通常麦芽のほか、色麦芽なども用いることができる。なお、色麦芽を用いる際には、種類の異なる色麦芽を適宜組み合わせて用いてもよいし、一種類の色麦芽を用いてもよい。
【0025】
本発明の一態様で用いる麦芽は、modificationが80%以上であることが好ましい。modificationが80%未満であると麦汁の粘度が上がったり、濁度が上がったりして、麦汁濾過性、ビール濾過性などの生産効率が悪化する。そのため、modificationが80%以上である麦芽をつかうことが好ましい。後述する実施例および比較例では、modificationが80%以上である麦芽を使用した。modificationは、MEBAK Raw Materials Barley Adjuncts Malt Hops And Hop Products Published by the Chairman Dr.Fritz Jacob Self-published by MEBAK 85350 Freising-Weihenstephan,Germany 2011の3.1.3.8 Modification and Homogeneity(Calcofluor Carlsberg Method-EBC)に記載の方法で測定することができる。
なお、本発明の一態様のビールテイスト飲料においては、使用する麦芽は、所望のビールテイスト飲料の色度に応じて、適宜選択されることが好ましく、選択する麦芽は、単独であってもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
また、麦芽と共に、もしくは、麦芽に代えて、麦芽以外の穀物を用いてもよい。
そのような穀物としては、例えば、麦芽には該当しない麦類(大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦等)、米(白米、玄米等)、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、豆(大豆、えんどう豆等)、そば、ソルガム、粟、ひえ、およびそれらから得られたデンプン、これらの抽出物(エキス)等が挙げられる。
【0027】
なお、麦芽比率を抑制する場合もしくは麦芽を使用しない場合、酵母が資化可能な麦芽以外の原料(炭素源、窒素源)を増量することが好ましい。酵母が資化可能な原料の炭素源としては単糖、二糖、三糖、それらの糖液等が挙げられ、窒素源としては酵母エキス、アミノ酸含有材料(例えば、大豆たんぱく等)、大豆、酵母エキス、エンドウ、小麦麦芽、上述の未発芽の穀物、これらの分解物等が挙げられる。
【0028】
原材料として用いることができる、麦等のイネ科植物以外の植物の実・果皮・樹皮・葉・花・茎・根・種子は、適宜選択することができる。
具体的なイネ科植物以外の植物としては、例えば、柑橘類、ソフトフルーツ類、ハーブ類、スパイス類などが挙げられる。柑橘類としては、オレンジ、ゆず、レモン、ライム、ミカン、グレープフルーツ、伊予柑、キンカン、かぼす、ダイダイ、シークワーサー、すだちなどが挙げられる。
これらは、そのまま使用してもよく、粉砕して使用してもよく、水やエタノール等の抽出溶媒で抽出した抽出液の形態として使用してもよく、搾汁したもの(果汁等)を使用してもよい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
消費者の嗜好に合わせて上記を適宜使用できるが、ビールらしいスッキリした爽快な味わいを楽しむには、原材料に上記の柑橘類、ソフトフルーツ類、ハーブ類、およびスパイス類を全く使用しない、あるいは使用量を最小限にすることが好ましい。特にカシスはビール中に不適な乳様の香りがつくことから、原材料にカシスやカシス果汁は全く使用しない、あるいは使用量を最小限にすることが好ましい。
【0029】
2.1.2 ホップ
本発明の一態様でホップを用いる場合、当該ホップの形態としては、例えば、ペレットホップ、粉末ホップ、ホップエキス等が挙げられる。また、用いるホップは、イソ化ホップ、還元ホップ等のホップ加工品を用いてもよい。
本発明の一態様でホップを用いる場合、ホップの添加量としては、適宜調整されるが、飲料の原材料の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.0001~1質量%である。
【0030】
また、原材料としてホップを用いたビールテイスト飲料は、ホップに由来する成分であるイソα酸を含有した飲料となる。ホップを用いたビールテイスト飲料のイソα酸の含有量としては、当該ビールテイスト飲料の全量(100質量%)基準で、0.1質量ppm超であってもよく、1.0質量ppm超であってもよい。
一方で、ホップを用いないビールテイスト飲料におけるイソα酸の含有量は、当該ビールテイスト飲料の全量(100質量%)基準で、0.1質量ppm以下であってもよい。
なお、本明細書において、イソα酸の含有量は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集2013年増補改訂)に記載の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析法により測定された値を意味する。
【0031】
2.1.3 添加剤
本発明の一態様のビールテイスト飲料は、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、様々な添加物を添加してもよい。
そのような添加物としては、例えば、保存料、甘味料、苦味料、苦味付与剤、酸化防止剤、香料、酸味料、塩類、着色料、泡形成剤、発酵促進剤、酵母エキス、ペプチド含有物等のタンパク質系物質、アミノ酸等の調味料が挙げられる。
【0032】
2.2 炭酸ガス
本発明の一態様のビールテイスト原液は炭酸ガスを溶解していても溶解していなくてもよい。
ビールテイスト原液に含まれる炭酸ガスは、原材料に含まれる炭酸ガスを利用してもよく、また、炭酸水との混和または炭酸ガスの添加等で溶解させてもよい。
【0033】
2.3 ビールテイスト原液の製造方法
本発明の一態様のビールテイスト原液の製造方法は、特に限定されず、一般的なビールテイスト飲料と同様に製造できる。また、本発明の一態様のビールテイスト原液の製造方法は、発酵工程を経て製造する方法であってもよく、発酵工程を経ずに製造する方法であってもよい。
【0034】
3.可食性水溶液
本明細書において、「可食性水溶液」とは、水に、1種以上の可食性成分を溶解させた溶液である。可食性成分としては、特に限定されるものではなく、固体であってもよく、植物油等の液体であってもよく、炭酸ガスのような気体であってもよい。
本発明に係るビールテイスト原液と混合するために用いられる可食性水溶液としては、特に限定されるものではなく、サイダー、ラムネ、コーラ、炭酸水等の発泡性水溶液、清涼飲料、茶、紅茶等の非発泡性水溶液などを用いることができるが、発泡性水溶液が好ましく、炭酸を含有する水溶液がより好ましく、炭酸飲料がよりさらに好ましく、炭酸水が特に好ましい。
本発明の可食性水溶液の炭酸ガス濃度は、好ましくは0.30(w/w)%以上、より好ましくは0.35(w/w)%以上、更に好ましくは0.40(w/w)%以上で、より更に好ましくは0.42(w/w)%以上、特に好ましくは0.45(w/w)%以上であり、また、好ましくは0.90(w/w)%以下であり、0.80(w/w)%以下、0.70(w/w)%以下、0.6(w/w)以下、0.55(w/w)%以下でもよい。
なお、本明細書において、炭酸ガス濃度は、対象となる飲料が入った容器を時々振りながら20℃の水槽に30分間以上浸して、当該飲料が20℃になるよう調整した後に、ガスボリューム測定装置(例えば、GVA-500(京都電子工業株式会社製)等)を用いて測定することができる。
【0035】
本発明の可食性水溶液が容器詰めされている場合、その炭酸ガス圧は、上記の炭酸ガス濃度となる範囲で適宜調整すればよいが、飲料の炭酸ガス圧は5.0kg/cm2以下、4.5kg/cm2以下、または4.0kg/cm2以下であり、また、0.20kg/cm2以上、0.50kg/cm2以上、または1.0kg/cm2以上であり、これらの上限および下限のいずれを組み合わせてもよい。例えば、飲料の炭酸ガス圧は、0.20kg/cm2以上5.0kg/cm2以下、0.50kg/cm2以上4.5kg/cm2以下、または、1.0kg/cm2以上4.0kg/cm2以下であってよい。
本明細書において、ガス圧とは、特別な場合を除き、容器内におけるガス圧をいう。
圧力の測定は、当業者によく知られた方法、例えば20℃にした試料をガス内圧計に固定した後、一度ガス内圧計の活栓を開いてガスを抜き、再び活栓を閉じ、ガス内圧計を振り動かして指針が一定の位置に達したときの値を読み取る方法を用いて、または市販のガス圧測定装置を用いて測定することができる。
【0036】
4.ビールテイスト飲料の製造方法
本発明の一態様のビールテイスト飲料の製造方法は、ビールテイスト原液、および、可食性水溶液を混合する混合工程を有する。
本発明の一態様の製造方法は原液と可食性水溶液の温度を所定の範囲内に制御することによって、嗜好度、味わい、ビールらしさ等が優れたビールを提供できる。また、本発明の製造方法の混合工程は飲食店や家庭でも実施できるので、できたてのビールテイスト飲料を提供できる。
【0037】
本発明の一態様のビールテイスト飲料の製造方法は、3.0℃~15.0℃のビールテイスト原液、および、3.0℃~15.0℃の可食性水溶液を混合する混合工程を有する。
【0038】
ビールテイスト原液の温度が3.0℃未満であると得られるビールテイスト飲料の嗜好度が低下し、ビールらしさを感じにくくなる。そこで、ビールテイスト原液の温度は3.0℃以上であり、3.2℃以上、3.4℃以上、3.6℃以上、3.8℃以上、4.0℃以上、4.2℃以上、4.4℃以上、4.6℃以上、4.8℃以上、5.0℃以上、5.2℃以上、5.4℃以上、5.6℃以上、5.8℃以上、6.0℃以上、6.5℃以上、7.0℃以上、7.5℃以上、または8.0℃以上であってもよい。
また、ビールテイスト原液の温度が15.0℃超であると得られるビールテイスト飲料の嗜好度が低下し、スッキリした味わいやビールらしさを感じにくくなる。そこで、ビールテイスト原液の温度は15.0℃以下であり、嗜好度、スッキリした味わい、およびビールらしさをよりバランス良く向上させたビールテイスト飲料を製造する観点から、好ましくは13.0℃以下、より好ましくは11.0℃以下、さらに好ましくは9.0℃以下、よりさらに好ましくは7.0℃以下、よりさらに好ましくは6.0℃以下、特に好ましくは5.0℃以下であり、4.8℃以下、4.6℃以下、4.4℃以下、4.2℃以下、4.0℃以下、3.8℃以下、3.6℃以下、3.4℃以下、3.2℃以下、3.0℃以下、2.8℃以下、2.6℃以下、2.4℃以下、2.2℃以下、または2.0℃以下であってもよい。
【0039】
また、可食性水溶液の温度が3.0℃未満であると得られるビールテイスト飲料の嗜好度が低下し、ビールらしさを感じにくくなる。そこで、可食性水溶液の温度は3.0℃以上であり、3.2℃以上、3.4℃以上、3.6℃以上、3.8℃以上、4.0℃以上、4.2℃以上、4.4℃以上、4.6℃以上、4.8℃以上、5.0℃以上、5.2℃以上、5.4℃以上、5.6℃以上、5.8℃以上、6.0℃以上、6.5℃以上、7.0℃以上、7.5℃以上、または8.0℃以上であってもよい。
また、可食性水溶液の温度が15.0℃超であると得られるビールテイスト飲料の嗜好度が低下し、スッキリした味わいやビールらしさを感じにくくなる。そこで、可食性水溶液の温度は15.0℃以下であり、嗜好度、スッキリした味わい、およびビールらしさをよりバランス良く向上させたビールテイスト飲料を製造する観点から、好ましくは13.0℃以下、より好ましくは11.0℃以下、さらに好ましくは9.0℃以下、より好ましくは8.0℃以下、さらに好ましくは7.5℃以下、よりさらに好ましくは7.0℃以下、よりさらに好ましくは6.5℃以下、よりさらに好ましくは6.0℃以下、よりさらに好ましくは5.5℃以下、特に好ましくは5.0℃以下であり、4.8℃以下、4.6℃以下、4.4℃以下、4.2℃以下、4.0℃以下、3.8℃以下、3.6℃以下、3.4℃以下、3.2℃以下、3.0℃以下、2.8℃以下、2.6℃以下、2.4℃以下、2.2℃以下、または2.0℃以下であってもよい。
【0040】
嗜好度、スッキリした味わい、およびビールらしさをよりバランス良く向上させたビールテイスト飲料を製造する観点から、ビールテイスト原液の温度(tA)と、可食性水溶液の温度(tB)との差(|(tA)-(tB)|)は、好ましくは7.0℃以下、より好ましくは5.0℃以下、より好ましくは4.0℃以下、更に好ましくは3.0℃以下、より更に好ましくは2.0℃以下、特に好ましくは1.0℃以下である。
【0041】
本明細書における、ビールテイスト原液の重量に対する可食性水溶液の重量の割合(混合比)は、以下の条件式(1)で計算できる。
条件式(1):可食性水溶液の重量(g)/ビールテイスト原液の重量(g)
混合比が低くなるとビールテイスト原液に含まれる成分の濃度が濃くなって、嗜好度が高まり、ビールらしさを感じやすくなる。そこで、混合比は好ましくは7.0未満、さらに好ましくは6.5以下、より好ましくは6.0以下であり、5.5以下、5.0以下、4.5以下、4.0以下、3.5以下、3.0以下、2.5以下、または2.0以下であってもよい。
また、混合比が高くなると、ビールテイスト原液に含まれる成分の濃度が低くなって、嗜好度が高まり、スッキリした味わいを感じやすくなる。そこで、混合比は好ましくは1.5以上、さらに好ましくは1.7以上、よりさらに好ましくは2.0以上であり、2.2以上、2.4以上、2.6以上、2.8以上、3.0以上、3.2以上、3.4以上、3.6以上、3.8以上、4.0以上、4.2以上、4.4以上、4.6以上、4.8以上、5.0以上、5.2以上、5.4以上、5.6以上、5.8以上、または6.0以上であってもよい。
【0042】
ビールテイスト飲料のビールテイスト飲料の製造方法において、混合工程が行われる容器は特に限定されないが、飲食店等で実施される場合は実施の容易さの観点から開放容器が好ましい。開放容器としては、グラス、ジョッキ、コップなどが挙げられる。
容器の容量は特に限定されないが、飲食店等で実施される場合は実施の容易さの観点から、3.0L以下が好ましく、2.8L以下、2.5L以下、2.0L以下、1.5L以下、1.0L以下、0.8L以下、0.6L以下、0.4L以下、0.3L以下、0.2L以下、または0.1L以下であってもよい。
【0043】
ビールテイスト飲料のビールテイスト飲料の製造方法において、混合工程が行われる容器の温度は特に限定されないが、ビールテイスト原液および可食性水溶液の温度への影響を最小限にすることが好ましい。容器の温度は、例えば25℃以下、22℃以下、20℃以下、18℃以下、15℃以下、14℃以下、13℃以下、12℃以下、11℃以下、10℃以下、9℃以下、8℃以下、7℃以下、6℃以下、5℃以下、4℃以下、3℃以下、2℃以下、1℃以下、または0℃以下とすることができる。
【0044】
ビールテイスト飲料のビールテイスト飲料の製造方法において、混合工程が行われる容器に事前に氷が投入されてもよく、混合工程後のビールテイスト飲料に氷が投入されてもよい。
【0045】
本発明の製造方法により得られるビールテイスト飲料は、ビールであってもよい。
本明細書において、「ビール」とは、麦芽、ホップ、及び水を原料として、これらを、酵母を用いて発酵させて得られる飲料をいい、具体的には、平成30年4月1日が施行日の酒税法および酒類行政関係法令等解釈通達で定義されたものを意味する。
【0046】
また、本発明の製造方法により得られるビールテイスト飲料の色は、特に限定されないが、通常のビールのような琥珀色や黄金色、黒ビールのような黒色、または、無色透明であってもよく、あるいは着色料などを添加して、所望の色を付けてもよい。ビールテイスト飲料の色は、肉眼でも判別することができるが、全光線透過率や色度等によって規定してもよい。
【0047】
5.ビールテイスト飲料の提供方法
本発明の一態様のビールテイスト飲料の提供方法は、ビールテイスト原液、および、可食性水溶液を混合して、ビールテイスト飲料を提供する。ビールテイスト飲料の提供方法は飲食店などで実施されることが好ましい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料の提供方法におけるビールテイスト原液および可食性水溶液の温度、混合比、容器などはビールテイスト飲料の製造方法と同様である。
【0048】
6.ビールテイスト飲料製造用原料セット
本発明の一態様のビールテイスト飲料製造用原料セットは、ビールテイスト原液および可食性水溶液を含む。ビールテイスト飲料製造用原料セットには、さらに、容器、氷等を含んでもよい。
本発明の一態様のビールテイスト飲料製造用原料セットにおけるビールテイスト原液および可食性水溶液の温度、混合比、容器などはビールテイスト飲料の製造方法と同様である。
【実施例0049】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によっては制限されない。
【0050】
<ビールテイスト原液の調製>
粉砕した大麦麦芽を温水120Lが入った仕込槽に投入した後、段階的に温度を上げて保持し、ろ過して麦芽粕等を除去した。ろ過後、当該原料液およびホップを煮沸釜に投入し、所定の麦芽比率になるように糖液を添加し、温水で100Lに調整して熱麦汁を得た。得られた熱麦汁を冷却し、酸素による通気を実施することで酵母添加前の発酵前液60Lを得た。
【0051】
このようにして得られた発酵前液にビール酵母(上面発酵酵母)を添加して約1週間発酵させた後、さらに約1週間の熟成期間を経て、酵母をろ過で除去して、エキス調整水を添加しビールテイスト原液を調製した。
なお、調製した前記ビールテイスト原液のアルコール濃度は16(v/v)%であり、オリジナルエキス濃度は28質量%、pHは4.4であった。
【0052】
<ビールテイスト飲料の調製>
得られたビールテイスト原液と、可食性水溶液である炭酸水(炭酸ガス濃度:0.83(w/w)%)を混合してビールテイスト飲料を調製した。ビールテイスト原液と炭酸水の温度、およびそれらの混合比〔炭酸水の重量(g)/ビールテイスト原液の重量(g)〕は表1に記載のとおりとなるように調整した。
【0053】
<官能評価>
ビールテイスト飲料の官能評価には0.480Lのガラス製の開放容器に対象となる飲料を注いで評価した。
得られたビールテイスト飲料の評価は、同一の6人のパネラーが、各飲料の試飲をし、以下のように行った。
【0054】
ビールテイスト飲料を、各パネラーが試飲し、「嗜好度」、「スッキリした味わい」および「ビールらしさ」という評価項目について、下記のスコア基準に基づき、7.0(最大値)~1.0(最小値)の範囲で、1.0刻みのスコアにて評価し、6人のパネラーのスコアの平均値を算出した。
評価に際しては、評価項目がそれぞれ下記基準「1.0」「2.0」「3.0」「4.0」「5.0」「6.0」「7.0」に該当するサンプルを予め用意し、各パネラー間での基準の統一を図った。また、すべての実施例および比較例の官能評価においても、同じ飲料に対して、各パネラー間での2.0以上のスコアの値の差異は確認されなかった。
【0055】
[嗜好度]
・「7.0」:とても美味しい
・「6.0」:美味しい
・「5.0」: やや美味しい、どちらかといえば美味しい
・「4.0」:どちらでもない
・「3.0」:どちらかといえば美味しくない
・「2.0」:美味しくない
・「1.0」:全く美味しくない
【0056】
[スッキリした味わい]
・「7.0」:とても感じる
・「6.0」:感じる
・「5.0」:どちらかといえば感じる
・「4.0」:どちらでもない
・「3.0」:どちらかといえば感じない
・「2.0」:感じない
・「1.0」:全く感じない
【0057】
[ビールらしさ]
・「7.0」:とても感じる
・「6.0」:感じる
・「5.0」:どちらかといえば感じる
・「4.0」:どちらでもない
・「3.0」:どちらかといえば感じない
・「2.0」:感じない
・「1.0」:全く感じない
【0058】
「嗜好度」、「スッキリした味わい」および「ビールらしさ」はいずれも3.8以上を良い評価とした。また、「嗜好度」、「スッキリした味わい」および「ビールらしさ」のいずれも3.8以上である飲料を合格とし、それ以外の飲料は不合格とした。
【0059】
【0060】
表1より、実施例1~15で調製した飲料は、嗜好度、スッキリした味わいおよびビールらしさのいずれも高い評価を得ることができた。これに対して、比較例1~15は
嗜好度、スッキリした味わい、ビールらしさの1以上が高い評価を得ることができなかった。
また、2.0℃のビールテイスト原液と、2.0℃炭酸水を用いた比較例1、3、5、7、9、11および13の飲料はスッキリした味わいの評価は良かったが、いずれも嗜好度の評価が悪く、ビールらしさの評価が悪い飲料もあった。このように、原液と炭酸水が冷えすぎると、嗜好度とビールらしさに悪影響を与える場合があることがわかった。
さらに、20.0℃のビールテイスト原液と、20.0℃炭酸水を用いた比較例2、4、6、8、10、12、15は嗜好度、スッキリした味わいおよびビールらしさのいずれも高い評価を得ることができなかった。