(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176388
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】食品調温システム
(51)【国際特許分類】
A47J 39/02 20060101AFI20231206BHJP
A47B 31/00 20060101ALI20231206BHJP
A47B 31/02 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A47J39/02
A47B31/00 H
A47B31/02 A
A47B31/02 D
A47B31/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088643
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000116699
【氏名又は名称】株式会社アイホー
(71)【出願人】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 富和
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 勝弥
(72)【発明者】
【氏名】中原 亮
【テーマコード(参考)】
4B066
【Fターム(参考)】
4B066AA05
4B066BA01
4B066BC09
4B066BC15
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で配膳車の収容室内を容易に加湿可能な食品調温システムを提供すること。
【解決手段】食品調温システム10は、配膳車1及びステーション2を備え、ステーション2は、収容室44に横方向において面する壁状部11aと、壁状部11aに設けられて収容室44に向けて開口する空気の吐出部22と、壁状部11aに設けられて収容室44に向けて開口する空気の吸引部21と、吐出部22と吸引部21とを連通する通風路19bと、壁状部11aの内部から吐出部22に向けて空気を送るブロワ55と、空気の温度を調整する加熱冷却部19と、を有し、加熱冷却部19は、第1冷却器53と、第1冷却器53よりも通風路19bの下流側に位置する加湿機構80と、を有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を載せ置いた複数のトレイを上下方向に並べて収容可能な収容室を有し、前記収容室に収容した前記複数のトレイを運搬可能である、配膳車と、
前記配膳車との接続及び分離が可能であり、前記配膳車が接続されているときに前記上下方向に交差する横方向から前記収容室に前記食品の調温のための空気を供給可能である、ステーションと、
を備える、食品調温システムであって、
前記ステーションは、
前記収容室に前記横方向において面する壁状部と、
前記壁状部に設けられて前記収容室に向けて開口する前記空気の吐出部と、
前記壁状部に設けられて前記収容室に向けて開口する前記空気の吸引部と、
前記吐出部と前記吸引部とを連通する通風路と、
前記壁状部の内部から前記吐出部に向けて前記空気を送るブロワと、
前記空気の温度を調整する温度調整器と、を有し、
前記温度調整器は、
冷却器と、前記冷却器よりも前記通風路の下流側に位置する加湿機構と、を有する、
食品調温システム。
【請求項2】
請求項1に記載の食品調温システムにおいて、
前記加湿機構は、水を噴射するノズルを有する、
食品調温システム。
【請求項3】
請求項2に記載の食品調温システムにおいて、
前記ブロワは、前記空気の流れ方向において前記吐出部と前記ノズルとの間に配置されて、当該ブロワの中央から前記空気を吸引して、前記空気を周囲に放射状に吹き出すように構成され、
前記ノズルは、前記ブロワの中央に向けて前記水を噴射する、
食品調温システム。
【請求項4】
請求項2に記載の食品調温システムにおいて、
前記ノズルは、前記ブロワと前記冷却器とを接続するダクト部材の内部に配置される、
食品調温システム。
【請求項5】
請求項1に記載の食品調温システムであって、
前記ブロワと前記収容室との間を仕切る仕切壁を、更に備える、
食品調温システム。
【請求項6】
請求項1に記載の食品調温システムにおいて、
前記温度調整器は、前記ブロワの前記下流側に配置されるヒータを有する、
食品調温システム。
【請求項7】
請求項6に記載の食品調温システムにおいて、
前記ヒータは、
前記通風路内を通過する前記空気の流れ方向に沿うように延びる、
食品調温システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を載せ置いたトレイを収容して運搬可能な配膳車と、配膳車の収容室に食品の調温のための空気を供給可能なステーションと、を備える食品調温システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の施設(例えば、医療施設や介護施設など)での食事の提供を目的として、調理済みの食品が置かれた多数のトレイを収容して移動可能な配膳車と、食品の加熱や冷却が可能なステーションと、を備えた食品調温システムが提案されている。この種の食品調温システムは、例えば、ステーションに配膳車を接続した状態で食品の加熱や冷却を行った後、ステーションから配膳車を分離して食品の運搬及び提供を行うようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来の食品調温システムでは、配膳車の収容室に収容された食品の加熱や冷却を行うべく、ブロワ等の送風源を用いて、加熱器や冷却器を通過した空気を通風路を介して配膳車の収容室内に供給し、収容室内に供給された空気はファン等によって吸引されて加熱器や冷却器に戻される。このように熱風を循環させる場合、食材が乾きやすくなる。そのため、上述した従来の食品調温システムは、蒸気発生装置が設けられて、食材の乾きを抑制(即ち、収容室内を加湿)している。
【0005】
ここで、上述した従来の食品調温システムは、蒸気発生装置と冷却設備とが別々の場所に配置されている。そのうえ、蒸気発生装置には、一般に、ボイラや制御装置等の種々の部品が備えられているため、従来の食品調温システムはシステム全体が複雑化・大型化する傾向にあった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構造で配膳車の収容室内を容易に加湿可能な食品調温システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る食品調温システムは、下記[1]~[7]を特徴としている。
[1]
食品を載せ置いた複数のトレイを上下方向に並べて収容可能な収容室を有し、前記収容室に収容した前記複数のトレイを運搬可能である、配膳車と、
前記配膳車との接続及び分離が可能であり、前記配膳車が接続されているときに前記上下方向に交差する横方向から前記収容室に前記食品の調温のための空気を供給可能である、ステーションと、
を備える、食品調温システムであって、
前記ステーションは、
前記収容室に前記横方向において面する壁状部と、
前記壁状部に設けられて前記収容室に向けて開口する前記空気の吐出部と、
前記壁状部に設けられて前記収容室に向けて開口する前記空気の吸引部と、
前記吐出部と前記吸引部とを連通する通風路と、
前記壁状部の内部から前記吐出部に向けて前記空気を送るブロワと、
前記空気の温度を調整する温度調整器と、を有し、
前記温度調整器は、
冷却器と、前記冷却器よりも前記通風路の下流側に位置する加湿機構と、を有する、
食品調温システムであること。
[2]
上記[1]に記載の食品調温システムであって、
前記加湿機構は、水を噴射するノズルを有する、
食品調温システムであること。
[3]
上記[2]に記載の食品調温システムにおいて、
前記ブロワは、前記空気の流れ方向において前記吐出部と前記ノズルとの間に配置されて、当該ブロワの中央から前記空気を吸引して、前記空気を周囲に放射状に吹き出すように構成され、
前記ノズルは、前記ブロワの中央に向けて前記水を噴射する、
食品調温システムであること。
[4]
上記[2]に記載の食品調温システムにおいて、
前記ノズルは、前記ブロワと前記冷却器とを接続するダクト部材の内部に配置される、
食品調温システムであること。
[5]
上記[1]に記載の食品調温システムにおいて、
前記ブロワと前記収容室との間を仕切る仕切壁を、更に備える、
食品調温システムであること。
[6]
上記[1]に記載の食品調温システムにおいて、
前記温度調整器は、前記ブロワの前記下流側に配置されるヒータを有する、
食品調温システムであること。
[7]
上記[6]に記載の食品調温システムにおいて、
前記ヒータは、
前記通風路内を通過する前記空気の流れ方向に沿うように延びる、
食品調温システムであること。
【0008】
上記[1]の構成の食品調温システムによれば、吸引部と吐出部とを連通する通風路に温度調整器の冷却器及び加湿機構がひとまとめに配置されている。これにより、本構成の食品調温システムは、従来の食品調温システムに比べ、構造が簡素化され且つ小型化できる。更に、加湿機構が冷却器よりも下流側に位置することで、加湿機構によって発生した蒸気は冷却器を通過しないため凝縮されない。具体的には、冷却器には、一般に、多くのフィンが設けられているため、蒸気が冷却器を通過する際にフィンに水滴が付着し、蒸気の水分量が減少するおそれがあった。しかしながら、本構成の食品調温システムは、加湿機構が冷却器よりも下流側に位置するため、蒸気が高い湿度(水分量)を維持したままブロワによって吐出部に向けて(収容室内)に吹き出される。このように、本構成の食品調温システムは、簡易な構造で配膳車の収容室内を容易に加湿できる。
【0009】
上記[2]の構成の食品調温システムによれば、加湿機構を構成するノズルによって通風路内に水が噴射される。ノズルから噴射された水は微粒子化され、周囲(通風路を流れる空気自体)の熱で容易に蒸発させることができる。加えて、ノズルから噴射する水量を調整することで、容易に加湿量を調整できる。
【0010】
上記[3]の構成の食品調温システムによれば、ノズルからブロワの中央に向けて水が噴射されることで、ブロワに衝突した水が周囲に細かく分散・飛散(いわゆる、ミスト化)されるため、容易に水を蒸発させることができ、蒸気を収容室内に効果的に吹き出すことができる。加えて、空気を吸引するブロワの中央に向けて水が噴射されるため、ノズルからブロワに向けて効果的に噴射(散水)される。
【0011】
上記[4]の構成の食品調温システムによれば、ノズルは、ダクト部材の内部に配置されることで、ダクト部材の内部からブロワに向けて水を噴射するため、ノズルから噴射された水が収容室内へ飛散することが抑制される。加えて、噴射された水が通風路内に留まるとともに通風路内で蒸発するため、ブロワによって蒸気を効果的に収容室内へ吹き出すことができる。
【0012】
上記[5]の構成の食品調温システムによれば、ブロワと収容室との間に仕切壁が設けられることで、ブロワに衝突して周囲に分散・飛散(いわゆる、ミスト化)された水が、収容室内へ飛散することが抑制される。加えて、ブロワに衝突して周囲に分散・飛散(いわゆる、ミスト化)された水が、通風路内に留まるとともに通風路内で蒸発するため、ブロワによって蒸気を効果的に収容室内へ吹き出すことができる。
【0013】
上記[6]の構成の食品調温システムによれば、温度調整器がヒータを有することで、ノズルから噴射された水を加熱して、効率的に蒸気(過熱蒸気)を発生させることができる。更に、通風路におけるブロワの下流側にヒータが位置するため、過熱蒸気が高温を維持したまま収容室内に吹き出される。
【0014】
上記[7]の構成の食品調温システムによれば、通風路内を通過する空気の流れ方向に沿うようにヒータが延びることで、より効果的に、過熱蒸気が高温を維持したまま収容室内に吹き出される。
【発明の効果】
【0015】
このように、本発明によれば、簡易な構造で配膳車の収容室内を容易に加湿可能な食品調温システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る食品調温システムの斜視図である。
【
図2】
図2は、インサートとカートとステーションとが分離された
図1に示す食品調温システムの斜視図である。
【
図8】
図8は、インサートが格納されたカートがステーションに接続された
図1に示す状態における、
図4のD-D断面相当の断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る食品調温システム10について説明する。本例では、カート3にインサート4が格納されてカート3及びインサート4を一体として搬送可能となった構造体を、便宜上、「配膳車1」と称呼する。後述するように、配膳車1は、食品を載せ置いたトレイ5を収容室44に収容した状態で運搬可能となっている。
【0018】
図1及び
図2に示すように、食品調温システム10は、床面に静置されるステーション2と、移動可能であってステーション2と接続されるカート3と、移動可能であってカート3に格納されるインサート4と、を備える。なお、「調温」は、食品を加熱すること(例えば、調理済みの食品を喫食温度まで加熱すること)、食品を冷却すること(例えば、調理済みの食品を保管する温度まで冷却すること)、及び、加熱又は冷却した食品の温度を喫食温度に維持することを含む概念である。
【0019】
食品調温システム10は、ステーション2から吹き出される冷風又は熱風によって、配膳車1に収容された食品の冷却及び加熱が可能であり、且つ、調温された食品が収容された配膳車1をステーション2から分離して運搬できるようになっている。食品調温システム10は、例えば、医療施設や介護施設などでの食事提供を目的として用いられる。
【0020】
以下、説明の便宜上、
図1等に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。前後方向は、ステーション2へのカート3の接続方向、及び、カート3へのインサート4の格納方向と一致している(
図2参照)。
【0021】
<ステーション2>
まず、ステーション2の構成について説明する。ステーション2は、接続された配膳車1の収容室44(具体的には、インサート4の枠体内に形成されてカート3によって外部から隔離される収容室44)に熱風若しくは過熱蒸気又は冷風を供給可能な装置である。ステーション2は、
図2及び
図3に示すように、縦長の略矩形箱状の筐体11と、筐体11の上部に載置された機械室12と、筐体11の底部に設置された固定脚13と、を備えている。機械室12は、空気を冷却する後述する第1,第2冷却器53,56(
図8参照)へ冷媒を循環させる冷却装置51(
図4参照)と、熱風若しくは過熱蒸気又は冷風の供給を制御する制御部52(
図4参照)と、を内部に備えている。
【0022】
筐体11は、左右一対の側壁と後壁11aとから構成されており、上方からみて前方が開口した略U字状の形状を有している(
図8も参照)。ステーション2への配膳車1の接続時、筐体11の内部空間14(
図2参照)には、前方からカート3の後側部分が収容される(
図1参照)。筐体11の後壁11aの前面(内部空間14の後端を画成する面)には、
図3に示すように、縦長の矩形状の加熱冷却用開口部15及び冷却用開口部16が、左右方向に隣接し且つ加熱冷却用開口部15が冷却用開口部16の左側に位置するように、設けられている。加熱冷却用開口部15の周縁部には矩形枠状のパッキン17が設けられ、冷却用開口部16の周縁部には矩形枠状のパッキン18が設けられている。パッキン17の上下方向に延びる右端部分と、パッキン18の上下方向に延びる左端部分とは、兼用されている。
【0023】
筐体11の後壁11aの内部には、
図3及び
図8に示すように、加熱冷却用開口部15の後側に隣接配置され且つ加熱冷却用開口部15に連通する加熱冷却部19と、冷却用開口部16の後側に隣接配置され且つ冷却用開口部16に連通する冷却部20とが設けられている。
【0024】
図8に示すように、加熱冷却部19は、機械室12に設けられた冷却装置51(
図4参照)と接続する第1冷却器53と、ヒータ54と、ブロワ55と、加湿機構80と、を備えている。ブロワ55は、加熱冷却用開口部15に設けられた吸引部21(
図3も参照)を介して内部空間14(実際には、内部空間14に配置された配膳車1の収容室44)から吸引した空気を第1冷却器53とヒータ54に通過させて、加熱冷却用開口部15に設けられた吐出部22(
図3も参照)を介して内部空間14(配膳車1の収容室44)へ吹き出す機能を果たす(
図8の白矢印を参照)。吐出部22は、加熱冷却用開口部15の左端近傍領域にて上下方向に亘って設けられ、吸引部21は、加熱冷却用開口部15の吐出部22の右側領域にて上下方向に亘って設けられている(
図3参照)。なお、加熱冷却部19における、ヒータ54及びブロワ55並びにそれらの周辺の構成の詳細については後述する。同様に、加熱冷却部19における、加湿機構80及びそれら周辺の構成の詳細については後述する。
【0025】
図8に示すように、加熱冷却部19の内部は、吸引部21と吐出部22とを連通する通風路19bとして機能を果たす。換言すると、吸引部21を介して内部空間14から吸引され、吐出部22を介して内部空間14へ吹き出される空気の流路である。
【0026】
図8に示すように、冷却部20は、機械室12に設けられた冷却装置51と接続する第2冷却器56と、プロペラファン57と、を備えている。プロペラファン57は、冷却用開口部16に設けられた吸引部23(
図3も参照)を介して内部空間14(配膳車1の収容室44)から吸引した空気を第2冷却器56に通過させて、冷却用開口部16に設けられた吐出部24(
図3も参照)を介して内部空間14(配膳車1の収容室44)へ吹き出す機能を果たす(
図8の白矢印を参照)。吐出部24は、冷却用開口部16の右端近傍領域にて上下方向に亘って設けられ、吸引部23は、冷却用開口部16の吐出部24の左側領域にて上下方向に並ぶ複数箇所に設けられている(
図3参照)。
【0027】
第1冷却器53、ヒータ54、ブロワ55、加湿機構80、第2冷却器56、及び、プロペラファン57の運転は、機械室12に設けられた制御部52(
図4参照)により制御される。加熱冷却部19について、ヒータ54及びブロワ55の運転により、加熱冷却用開口部15(吐出部22)から熱風が吹き出され、ヒータ54及びブロワ55並びに加湿機構80の運転により、加熱冷却用開口部15(吐出部22)から過熱蒸気が吹き出され、第1冷却器53及びブロワ55の運転により、加熱冷却用開口部15(吐出部22)から冷風が吹き出される。このように、加熱冷却部19では、加熱冷却用開口部15からの熱風の吹き出し及び過熱蒸気の吹き出し、並びに、冷風の吹き出しが切り替え可能となっている。冷却部20については、第2冷却器56及びプロペラファン57の運転により、冷却用開口部16(吐出部24)から冷風が吹き出される。これにより、後述するように、1つのトレイ5(
図2参照)上に配置した複数の食品の一部を冷却しながら他部を加熱する同時調温が可能である。
【0028】
機械室12の前面のパネルには、タッチ画面等で構成されて制御部を操作する操作部25が設けられている(
図1~
図3参照)。なお、操作部25は、タッチ画面に限らず、物理的に作動するハードボタンで構成されてもよく、さらに外部端末による通信等により操作するように構成されても良い。筐体11の後壁11aの前面の上部には、カート3の接続を検知する接続センサ26が設けられている(
図3参照)。
【0029】
<カート3>
次いで、カート3の構成について説明する。カート3は、インサート4を内部に格納した状態で、インサート4の仕切壁47(
図2参照)によって左右に区分けされた加熱冷却用収容室44a及び冷却用収容室44b(
図2参照)を覆い、加熱冷却用収容室44a及び冷却用収容室44bを外部から隔離する機能を有している。カート3は、
図2に示すように、インサート4を格納する格納室33を有する矩形箱状のカート本体31と、カート本体31の底面に固定された複数のキャスター32と、を備えている。
【0030】
カート本体31は、ステーション2と接続される矩形状の後側開口部34と、インサート4が搬入出自在とされる矩形状の前側開口部35と、後側開口部34を開閉するための左右一対の開閉扉36と、前側開口部35を開閉するための左右一対の開閉扉37と、を有している。カート本体31は、断熱材を内包した断熱構造を有し、格納室33を保温するようになっている。
【0031】
<インサート4>
次いで、インサート4の構成について説明する。インサート4は、仕切壁47によって収容室44を区分けする機能、及び、食器を載せ置いたトレイ5を保持する機能を有している。インサート4は、
図2に示すように、直方体状の枠体である本体部41と、本体部41の下部に設けられた底板42の底面に固定された複数のキャスター43と、を備えている。本体部41の内部空間は、トレイ5を収容可能な収容室44として機能する。
【0032】
インサート4は、
図2に示すように、底板42から上方に突出するように収容室44の中央部に立設された支柱部45と、支柱部45に着脱可能に取り付けられる複数の棒状のトレイ保持部46と、を備えている。
【0033】
支柱部45には、複数の前後方向に延びるトレイ保持部46が、前後両側から、上下方向に沿って並ぶように取り付けられる(
図2参照)。このように支柱部45に取り付けられた複数のトレイ保持部46は、支柱部45の前後両側において、前後方向且つ上下方向に延びる仕切壁47を構成している。前後一対の仕切壁47は、収容室44を、左側の加熱冷却用収容室44aと右側の冷却用収容室44bとに区分けしている(
図2参照)。加熱冷却用収容室44aは、ステーション2の加熱冷却用開口部15に接続され、冷却用収容室44bは、ステーション2の冷却用開口部16に接続されることになる。
【0034】
上下に隣り合うトレイ保持部46間には、トレイ5が保持可能となっている(
図2参照)。より具体的には、トレイ5は、
図2及び
図8に示すように、左側の加熱冷却用トレイ部5aと、右側の冷却用トレイ部5bと、加熱冷却用トレイ部5a及び冷却用トレイ部5bを左右に連結する連結部5cと、を備えている。上下に隣り合うトレイ保持部46同士の間には、トレイ5の連結部5cが挿入され保持される(
図8参照)。このように、収容室44には、複数のトレイ5を上下方向に並べて収容可能となっている。上下に隣り合うトレイ保持部46同士の間にトレイ5が保持された状態では、
図2及び
図5に示すように、加熱冷却用トレイ部5aが加熱冷却用収容室44aに露出し、冷却用トレイ部5bが冷却用収容室44bに露出している。
【0035】
後述する作動例のように、食品を載せたトレイ5をインサート4に収容する際(上下に隣り合うトレイ保持部46同士の間に保持させる際)、加熱冷却用トレイ部5aには温めて食する食品が配置され、冷却用トレイ部5bには加熱せず冷たいまま食する食品が配置される。
【0036】
<食品調温システム10の作動例>
食品調温システム10の実際の作動の一例を以下に記載する。まず、カート3の一対の開閉扉36が開放された状態(
図2参照)で、カート3がステーション2の内部空間14に向けて後方に押し込まれる。これにより、カート3の後側部分が内部空間14に収容された状態で、カート3がステーション2に接続される。カート3の接続完了状態では、接続センサ26(
図3参照)が、カート3の接続完了を検知する。カート3の接続完了状態では、カート3の後側開口部34が、ステーション2の加熱冷却用開口部15(特に、パッキン17)及び冷却用開口部16(特に、パッキン18)、並びに、インサート4の仕切壁47の後端面と、密着して連通している(
図8参照)。
【0037】
次いで、カート3の一対の開閉扉37が解放された状態(
図2参照)で、食品を載せた複数のトレイ5が収容されたインサート4が、前側開口部35を介してカート3の格納室33に格納され、その後、一対の開閉扉37が閉じられる(
図1参照)。これにより、インサート4の加熱冷却用収容室44aと冷却用収容室44bとが、カート本体31によって覆われることで外部から隔離されると共に、ステーション2の加熱冷却用開口部15(加熱冷却部19)と冷却用開口部16(冷却部20)とにそれぞれ個別に連通する。
【0038】
以上より、ステーション2へのカート3の接続、及び、カート3へのインサート4の格納が完了し、ステーション2の運転が可能な状態となる。ステーション2の操作部25への所定の操作により、ステーション2の運転を開始すると、冷却運転が開始され、ブロワ55とプロペラファン57とが起動されるとともに、第1冷却器53と第2冷却器56とが駆動され、加熱冷却用収容室44a及び冷却用収容室44bともに冷風が循環する。これにより、加熱冷却用収容室44aに収容された食品、及び、冷却用収容室44bに収容された食品が、冷風によって冷却保存される。
【0039】
予め設定した再加熱開始時刻になると、再加熱運転が開始され、第1冷却器53が停止し、ヒータ54が起動するように切り替わり、加熱冷却用収容室44aに熱風が循環する。これにより、加熱冷却用収容室44aに収容された食品が熱風により加熱される。同様に、再加熱運転が開始されると、加湿機構80も起動するように切り替わり、加熱冷却用収容室44aに過熱蒸気が循環する。これにより、加熱冷却用収容室44a内が加湿される。このとき冷却用収容室44bでは継続して冷風が循環している。このように、食品調温システム10は、食品の一部を冷却しながら他部を加熱及び加湿する同時調温が可能である。
【0040】
所定時間経過したとき又は食事の温度が所定温度に到達したとき、再加熱運転は停止され、熱風及び冷風の循環が停止され、配膳可能な状態となる。このため、インサート4が格納されたカート3がステーション2から離脱され、カート3の一対の開閉扉36が閉じられる。これにより、カート3に格納されたインサート4の収容室44内の食品を保温しながら運搬、配膳できるようになる。
【0041】
<加熱冷却部19におけるヒータ54及びブロワ55等の構成の詳細>
次いで、
図4~
図8を参照しながら、加熱冷却部19におけるヒータ54及びブロワ55等の構成の詳細について説明する。加熱冷却部19は、
図3、
図4及び
図8に示すように、上下に延びる吐出部22の後側に隣接する上下に延びる領域(筐体11の後壁11aの内部)において、ヒータ54及びブロワ55を含む循環ユニット60を備えている。本例では、上下一対の循環ユニット60が、上下に並ぶように配置されている。上下一対の循環ユニット60の構成は略同じである。
【0042】
図5に示すように、循環ユニット60は、ヒータ54と、ブロワ55と、ブロワ室65を画成する仕切壁58と、ユニット側通風路66を画成する整流板59とで、構成される。ブロワ室65内の空気は、ユニット側通風路66を経て、吐出部22におけるユニット側通風路66に面する箇所(以下、「吐出口67」と呼ぶ)から筐体11の内部空間14(配膳車1の収容室44)へ向けて前方に吹出される。吐出口67の前方には、複数の風向調整板73が、上下方向に所定の間隔をあけて並ぶように配置されている。以下、循環ユニット60を構成する各部材について順に説明する。
【0043】
図5及び
図8に示すように、ブロワ55は、左右方向に平行に延びる回転軸55aをモータ72(
図8参照)により駆動することで、回転軸55aを中心に回転しながら空気をブロワ55の周囲に放射状に吹き出すように構成されている(
図5の白矢印を参照)。モータ72は、機械室12に設けられた制御部52(
図4参照)により駆動制御される。ブロワ55の回転軸55aが左右方向に延びていることにより、ブロワ55の回転軸55aに直交する回転面(即ち、ブロワ55の吸入面55bに平行な面。
図8参照)は、吐出口67(
図5参照)から筐体11の内部空間14(配膳車1の収容室44)へ向けて空気が吹き出す向き(前向き)と平行となっている。
【0044】
図5及び
図8に示すように、ヒータ54は、本例では、電熱線で構成されている。ヒータ54は、機械室12に設けられた制御部52(
図4参照)により温度制御される。ヒータ54は、
図8に示すように、ブロワ55が延在する左右方向範囲内の左右方向の3箇所にそれぞれ設けられている。3本のヒータ54は、同形である。各ヒータ54は、
図5に示すように、第1ヒータ61と、第1ヒータ61の下側に位置する第2ヒータ62と、第1ヒータ61の上側に位置する第3ヒータ63とで構成されている。
【0045】
第1ヒータ61は、ブロワ55の外周面に沿ってブロワ55の上方からブロワ55の前方を経てブロワ55の下方に延びるU字状の形状を有している。第2ヒータ62は、第1ヒータ61の下側の先端部(後端部)から連続して下方に延びる第1部分62aと、第1部分62aの下端部から前方に延びる第2部分62bと、第2部分62bの前端部から下方に延びる第3部分62cと、第3部分62cの下端部から後方に延びる第4部分62dとで構成されている。第3ヒータ63は、第1ヒータ61の上側の先端部(後端部)から連続して上方に延びる第1部分63aと、第1部分63aの上端部から前方に延びる第2部分63bと、第2部分63bの前端部から上方に延びる第3部分63cと、第3部分63cの上端部から後方に延びる第4部分63dとで構成されている。このように、第1ヒータ61、第2ヒータ62及び第3ヒータ63は、一体的に繋がっている。
【0046】
図5に示すように、仕切壁58は、ブロワ室65を画成すると共にブロワ室65とユニット側通風路66との間を仕切る機能を果たす板状部材である。仕切壁58は、加熱冷却部19を囲う上下方向且つ左右方向に延びる後側の内壁19aにおける第3ヒータ63より上側の位置から第3ヒータ63の上側を覆うように前方に延び且つ左右方向に延びる上板部58aと、上板部58aの前端部から第3ヒータ63及び第1ヒータ61(即ち、ブロワ55)の前側を覆うように第1ヒータ61の上下方向中央位置まで下方に延び且つ左右方向に延びる前板部58bと、前板部58bの下端部から第1ヒータ61の屈曲形状に沿って左右方向からみて円弧状に後側に屈曲しながら延び且つ左右方向に延びる屈曲板部58cとで構成されている。ブロワ室65は、仕切壁58(=上板部58a+前板部58b+屈曲板部58c)と内壁19aとで画成される空間である。ブロワ室65には、ブロワ55と、第1ヒータ61と、第3ヒータ63とが収容されている。屈曲板部58cの先端と内壁19aとの間には、隙間64が形成されている。隙間64は、ブロワ室65とユニット側通風路66とを上下に連通している。第2ヒータ62の第1部分62aは、隙間64の内部を通過している。
【0047】
図5に示すように、整流板59は、仕切壁58の屈曲板部58cとの間にユニット側通風路66を画成する板状部材である。整流板59は、内壁19aにおける第2ヒータ62より下側の位置から前方且つ下方に斜めに延び且つ左右方向に延びる平板状の形状を有している。ユニット側通風路66は、仕切壁58の屈曲板部58cと整流板59とで画成される空間であり、吐出口67に向けて前後方向に延びている。ユニット側通風路66、及び、ユニット側通風路66に連通する吐出口67は、ブロワ室65(即ち、ブロワ55)の下方に配置されている。このように、ブロワ室65とユニット側通風路66とが上下方向に並んでいるため、ブロワ室65とユニット側通風路66とが前後方向に並ぶ場合と比べて、筐体11の後壁11a(加熱冷却部19が内部に配置される壁)の厚さ(前後方向の寸法)を低減できる。仕切壁58の屈曲板部58cの屈曲向きと整流板59の傾斜向きとに起因して、ユニット側通風路66の開口面積は、吐出口67に近づくにつれて(前方に向かうにつれて)徐々に大きくなっている。
【0048】
更に、
図4に示すように、上側の循環ユニット60では、下側の循環ユニット60とは異なり、仕切壁58の上板部58aの先端(後端)と内壁19aとの間に、隙間68が形成されている。隙間68は、ブロワ室65と、配膳車1の収容室44の最上部とを連通している。隙間68の上方には、整流板69が配置されている。加えて、筐体11の後壁11aにおける加熱冷却部19の上部には、放熱用の排気筒70が設けられている。排気筒70は、加熱冷却部19(即ち、筐体11の後壁11aの内部)とステーション2の外部とを連通している。排気筒70の上端には、排気筒70の上端開口を開閉する開閉板71が設けられている。以上、循環ユニット60及びその周辺を構成する各部材について説明した。
【0049】
<加熱冷却部19における加湿機構80等の構成の詳細>
次いで、
図6~
図8を参照しながら、加熱冷却部19における加湿機構80等の構成の詳細について説明する。加熱冷却部19は、特に
図8に示すように、第1冷却器53とブロワ55との間には、第1冷却器53とブロワ55とを接続するダクト部材74を備えている。加熱冷却部19は、ダクト部材74の内部に加湿機構80を構成するノズル81を備えている。本例では、上下一対のノズル81が、上下一対の循環ユニット60に対応して上下に並ぶように配置されている(
図6参照)。つまり、ノズル81は、通風路19bにおける空気の流れ方向(
図8における左右方向)において、第1冷却器53よりも下流側(左側)に位置し、ブロワ55よりも上流側(右側)に位置している。
【0050】
ノズル81は、ダクト部材74の開口部75からブロワ55の中央(不図示のファン)に向けて水を噴射する。そのため、ノズル81は、それぞれ、配管83を介して給水口82と接続されている。給水口82におけるノズル81への水の供給・停止は、電磁弁84によって制御されている。このように、加湿機構80は、ノズル81と、給水口82と、配管83と、電磁弁84とで、構成される。なお、ノズル81から噴射される水は、ノズル81によって微粒子化(即ち、微粒子サイズに微細化)されて噴射される。
【0051】
つまり、過熱蒸気とは、ノズル81からブロワ55に向けて噴射された水が、回転軸55aを中心としたブロワ55の回転によってブロワ55の周囲に放射状に吹き出されて、第1ヒータ61による加熱や通風路19bを流れる空気自体の熱によって蒸発して発生する蒸気が、第3ヒータ63又は第2ヒータ62でさらに加熱されたものである。なお、加湿量の調整は、例えば、ノズル81における水の噴射と停止との交互サイクルを制御することで調整される。換言すると、ノズル81における水の噴射時間と停止時間とを調整することで加湿量を調整できる。このようにして、収容室44は、所望の湿度に維持される。以上、加熱冷却部19における加湿機構80等の構成の詳細について説明した。
【0052】
<作用・効果>
以上、本発明の実施形態に係る食品調温システム10によれば、吸引部21と吐出部22とを連通する通風路19bに加熱冷却部19の第1冷却器53及び加湿機構80がひとまとめに配置されている。これにより、食品調温システム10は、従来の食品調温システムに比べ、構造が簡素化され且つ小型化できる。更に、加湿機構80が第1冷却器53よりも下流側に位置することで、加湿機構80によって発生した蒸気は第1冷却器53を通過しないため凝縮されない。具体的には、冷却器には、一般に、多くのフィンが設けられているため、蒸気が冷却器を通過する際にフィンに水滴が付着し、蒸気の水分量が減少するおそれがあった。しかしながら、食品調温システム10は、加湿機構80が第1冷却器53よりも下流側に位置するため、蒸気が高い湿度(水分量)を維持したままブロワ55によって吐出部22に向けて(収容室44内)に吹き出される。このように、食品調温システム10は、簡易な構造で配膳車1の収容室44内を容易に加湿できる。
【0053】
更に、食品調温システム10によれば、加湿機構80を構成するノズル81によって通風路19b内に水が噴射される。ノズル81から噴射された水は微粒子化され、周囲(通風路19bを流れる空気自体)の熱で容易に蒸発させることができる。加えて、ノズル81から噴射する水量を調整することで、容易に加湿量を調整できる。
【0054】
更に、食品調温システム10によれば、ノズル81からブロワ55の中央に向けて水が噴射されることで、ブロワ55に衝突した水が周囲に細かく分散・飛散(いわゆる、ミスト化)されるため、容易に水を蒸発させることができ、蒸気を収容室44内に効果的に吹き出すことができる。加えて、空気を吸引するブロワ55の中央に向けて水が噴射されるため、ノズル81からブロワ55に向けて効果的に噴射(散水)される。
【0055】
更に、食品調温システム10によれば、ノズル81は、ダクト部材74の内部に配置されることで、ダクト部材74の開口部75からブロワ55に向けて水を噴射するため、ノズル81から噴射された水が収容室44内へ飛散することが抑制される。加えて、噴射された水が通風路19b内に留まるとともに通風路19b内で蒸発するため、ブロワ55によって蒸気を効果的に収容室44内へ吹き出すことができる。
【0056】
更に、食品調温システム10によれば、ブロワ55と収容室44との間に仕切壁58が設けられることで、ブロワ55に衝突して周囲に分散・飛散(いわゆる、ミスト化)された水が、収容室44内へ飛散することが抑制される。加えて、ブロワ55に衝突して周囲に分散・飛散(いわゆる、ミスト化)された水が、通風路19b内に留まるとともに通風路19b内で蒸発するため、ブロワ55によって蒸気を効果的に収容室44内へ吹き出すことができる。
【0057】
更に、食品調温システム10によれば、加熱冷却部19がヒータ54を有することで、ノズル81から噴射された水を加熱して、効率的に蒸気(過熱蒸気)を発生させることができる。更に、通風路19bにおけるブロワ55の下流側にヒータ54が位置するため、過熱蒸気が高温を維持したまま収容室44内に吹き出される。
【0058】
更に、食品調温システム10によれば、通風路19b内を通過する空気の流れ方向に沿うようにヒータ54が延びることで、より効果的に、過熱蒸気が高温を維持したまま収容室44内に吹き出される。
【0059】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0060】
ここで、上述した本発明に係る食品調温システム10の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[7]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
食品を載せ置いた複数のトレイ(5)を上下方向に並べて収容可能な収容室(44)を有し、前記収容室(44)に収容した前記複数のトレイ(5)を運搬可能である、配膳車(1)と、
前記配膳車(1)との接続及び分離が可能であり、前記配膳車(1)が接続されているときに前記上下方向に交差する横方向から前記収容室(44)に前記食品の調温のための空気を供給可能である、ステーション(2)と、
を備える、食品調温システム(10)であって、
前記ステーション(2)は、
前記収容室(44)に前記横方向において面する壁状部(11a)と、
前記壁状部(11a)に設けられて前記収容室(44)に向けて開口する前記空気の吐出部(22)と、
前記壁状部(11a)に設けられて前記収容室(44)に向けて開口する前記空気の吸引部(21)と、
前記吐出部(22)と前記吸引部(21)とを連通する通風路(19b)と、
前記壁状部(11a)の内部から前記吐出部(22)に向けて前記空気を送るブロワ(55)と、
前記空気の温度を調整する温度調整器(加熱冷却部19)と、を有し、
前記温度調整器(加熱冷却部19)は、
冷却器(第1冷却器53)と、前記冷却器(第1冷却器53)よりも前記通風路(19b)の下流側に位置する加湿機構(80)と、を有する、
食品調温システム(10)。
[2]
上記[1]に記載の食品調温システム(10)であって、
前記加湿機構(80)は、水を噴射するノズル(81)を有する、
食品調温システム(10)。
[3]
上記[2]に記載の食品調温システム(10)において、
前記ブロワ(55)は、前記空気の流れ方向において前記吐出部(22)と前記ノズル(81)との間に配置されて、当該ブロワ(55)の中央から前記空気を吸引して、前記空気を周囲に放射状に吹き出すように構成され、
前記ノズル(81)は、前記ブロワ(55)の中央に向けて前記水を噴射する、
食品調温システム(10)。
[4]
上記[2]又は上記[3]に記載の食品調温システム(10)において、
前記ノズル(81)は、前記ブロワ(55)と前記冷却器(第1冷却器53)とを接続するダクト部材(74)の内部に配置される、
食品調温システム(10)。
[5]
上記[1]から上記[4]の何れか一つに記載の食品調温システム(10)において、
前記ブロワ(55)と前記収容室(44)との間を仕切る仕切壁(58)を、更に備える、
食品調温システム(10)。
[6]
上記[1]から上記[5]の何れか一つに記載の食品調温システム(10)において、
前記温度調整器(加熱冷却部19)は、前記ブロワ(55)の前記下流側に配置されるヒータ(54)を有する、
食品調温システム(10)。
[7]
上記[1]から上記[6]の何れか一つに記載の食品調温システム(10)において、
前記ヒータ(54)は、
前記通風路(19b)内を通過する前記空気の流れ方向に沿うように延びる、
食品調温システム(10)。
【符号の説明】
【0061】
1 配膳車
2 ステーション
3 カート
4 インサート
10 食品調温システム
11a 後壁(壁状部)
19 加熱冷却部(温度調整器)
19b 通風路
21 吸引部
22 吐出部
44 収容室
53 第1冷却器
54 ヒータ
55 ブロワ
55a 回転軸
58 仕切壁
60 循環ユニット
74 ダクト部材
80 加湿機構
81 ノズル