(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176392
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】レンズ部品およびレンズ部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
F21S 41/255 20180101AFI20231206BHJP
F21S 41/29 20180101ALI20231206BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20231206BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20231206BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20231206BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20231206BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231206BHJP
【FI】
F21S41/255
F21S41/29
F21V5/00 100
F21V5/04 400
G02B3/00
F21W102:13
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088649
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 永治
(57)【要約】
【課題】部品点数を減らすことができ、かつ各凸レンズの光軸のずれを防ぐことができるレンズ部品およびレンズ部品の製造方法を提供する。
【解決手段】レンズ部品3は、車両用前照灯100に設けられるレンズ部品3であって、複数の凸レンズ部4と、複数の凸レンズ部4を支持するプレート部8と、を備え、複数の凸レンズ部4およびプレート部8は一体的に樹脂成型されており、プレート部8は、複数の凸レンズ部4の間に、複数の凸レンズ部4の並列方向と交差する方向に延びる筋状の変曲痕S1を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用前照灯に設けられるレンズ部品であって、
複数の凸レンズ部と、
複数の前記凸レンズ部を支持するプレート部と、を備え、
複数の前記凸レンズ部および前記プレート部は一体的に樹脂成型されており、
前記プレート部は、複数の前記凸レンズ部の間に、複数の前記凸レンズ部の並列方向と交差する方向に延びる筋状の変曲痕を有する、レンズ部品。
【請求項2】
複数の前記凸レンズ部は、形状が互いに異なる、請求項1に記載のレンズ部品。
【請求項3】
前記プレート部は、各前記凸レンズ部の中心を通る直線上に、複数の前記凸レンズ部および前記プレート部の樹脂成型時のゲート痕を有する、請求項1または請求項2に記載のレンズ部品。
【請求項4】
複数の前記凸レンズ部の形状は互いに異なり、
前記プレート部は、複数の前記凸レンズ部のうち体積の大きい前記凸レンズ部側に前記ゲート痕を有する、請求項3に記載のレンズ部品。
【請求項5】
車両用前照灯に設けられるレンズ部品の製造方法であって、
前記レンズ部品は、
複数の凸レンズ部と、
前面および後面を有し、前記前面において複数の前記凸レンズ部を支持するプレート部と、を備え、
複数の前記凸レンズ部および前記プレート部は一体的に樹脂成型され、
複数の前記凸レンズ部および前記プレート部の樹脂成型時において、前記プレート部は、複数の前記凸レンズ部の間を境に前記後面同士が近づくように折れ曲がっている、レンズ部品の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂成型時において、前記プレート部の前記後面における、複数の前記凸レンズ部の並列方向における第1端部と第2端部とをつなぐ直線と、前記第1端部または前記第2端部と前記境とをつなぐ直線とのなす角度は、0.01°~5°の範囲に含まれる、請求項5に記載のレンズ部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるレンズ部品およびレンズ部品の製造方法に関する。
【0002】
従来、車両に搭載される車両用前照灯に関する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、ハイビーム用配光パターンを形成する灯具ユニットと、ロービーム用配光パターンを形成する灯具ユニットと、これら2つの灯具ユニットにそれぞれ対応する2つのユニットボディとを備える車用前照灯が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載の車両用灯具のように、複数のインナーレンズ(以下、「凸レンズ部」とも称する。)および複数のユニットボディ(以下、「プレート部」とも称する。)を有する灯具は、部品点数が増加する傾向にある。
【0005】
一方、複数の凸レンズおよび複数のプレート部を一体化して成型する場合、材料である樹脂が硬化する際にプレート部が変形し、成型後の各凸レンズの光軸がずれてしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るレンズ部品は、車両用前照灯に設けられるレンズ部品であって、複数の凸レンズ部と、複数の前記凸レンズ部を支持するプレート部と、を備え、複数の前記凸レンズ部および前記プレート部は一体的に樹脂成型されており、前記プレート部は、複数の前記凸レンズ部の間に、複数の前記凸レンズ部の並列方向と交差する方向に延びる筋状の変曲痕を有する。
【0007】
本発明の一側面に係るレンズ部品の製造方法は、車両用前照灯に設けられるレンズ部品の製造方法であって、前記レンズ部品は、複数の凸レンズ部と、前面および後面を有し、前記前面において複数の前記凸レンズ部を支持するプレート部と、を備え、複数の前記凸レンズ部および前記プレート部は一体的に樹脂成型され、複数の前記凸レンズ部および前記プレート部の樹脂成型時において、前記プレート部は、複数の前記凸レンズ部の間を境に前記後面同士が近づくように折れ曲がっている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、部品点数を減らすことができ、かつ各凸レンズの光軸のずれを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用前照灯の構成を示す正面斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す車両用前照灯の詳細な構成を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すレンズ部品の製造時における課題を説明するための図である。
【
図4】
図4は、
図2に示すレンズ部品の製造時において樹脂が金型に充填された状態を説明するための図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す形状の金型により樹脂成型されたレンズ部品を示す側面図である。
【
図7】
図7は、レンズ部品の製造時において樹脂を充填するためのゲート位置の比較例を示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施の形態に係るレンズ部品の製造時におけるゲート位置を説明するための図である。
【
図9】
図9は、
図8に示すゲート位置から樹脂を充填した場合の当該樹脂の流れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<全体の概略構成>
本発明について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用前照灯の構成を示す正面斜視図である。
【0011】
図1を参照して、車両用前照灯100は、例えば、自動二輪車両等の車両に搭載されるロービーム用およびハイビーム用の前照灯である。車両用前照灯100は、アウターレンズ1と、アウターレンズ1が取り付けられるヒートシンク2とを備える。
【0012】
ここでは、
図1に示す矢印Fの方向が「前方」であり、矢印Bの方向が「後方」であるとする。また、
図1に示す矢印Rの方向が「右方向」であり、矢印Lの方向が「左方向」であるとする。また、
図1に示す矢印Uの方向が「上方向」であり、矢印Dの方向が「下方向」であるとする。
【0013】
図2は、
図1に示す車両用前照灯の詳細な構成を示す分解斜視図である。
図2では、
図1に示すヒートシンク2を図示していない。
図1および
図2を参照して、車両用前照灯100は、上述したアウターレンズ1およびヒートシンク2に加えて、複数の光学系を備える。
【0014】
具体的には、車両用前照灯100は、例えば、光学系として、カットオフラインを含むロービーム配光パターンを形成する第1の光学系20a、およびハイビーム配光パターンを形成する第2の光学系20bを備える。第1の光学系20aおよび第2の光学系20bは、例えば左右方向に並んで設けられる。
【0015】
より詳細には、車両用前照灯100は、アウターレンズ1およびヒートシンク2に加えて、さらに、レンズ部品3、発光素子6a,6bおよび基板7を備える。レンズ部品3は、左右方向に並んで設けられる2つの凸レンズ部4a,4bと、凸レンズ部4a,4bを支持するプレート部8とを含む。以下、凸レンズ部4a,4bの各々を「凸レンズ部4」とも称する。また、発光素子6a,6bの各々を「発光素子6」とも称する。
【0016】
アウターレンズ1、レンズ部品3、発光素子6および基板7の順で、前方側から配置される。また、基板7の後方側に、
図1に示すヒートシンク2が配置される。凸レンズ部4aおよび発光素子6aは、第1の光学系20aに含まれる。凸レンズ部4bおよび発光素子6bは、第2の光学系20bに含まれる。
【0017】
各発光素子6は、例えば、白色発光ダイオードであり、矩形状の発光面を有している。各発光素子6の発光面が前方側に設けられ、各発光素子6の各々の後方側の面が基板7に支持される。基板7は、
図1に示すヒートシンク2に支持される。
【0018】
凸レンズ部4a,4bは、形状が互いに異なる投影レンズである。より詳細には、凸レンズ部4a,4bは、互いに体積が異なり、入射面である後面が平面であり、出射面である前面が前方側へ湾曲して突出している。凸レンズ部4aは、発光素子6aからの光を屈折させ、凸レンズ部4bは、発光素子6bからの光を屈折させる。凸レンズ部4a,4bおよびプレート部8は、同じ材質であり、一体的に樹脂成型されている。
【0019】
プレート部8は、前面8aおよび後面8bを有し、前面8aにおいて凸レンズ部4a,4bを支持する。凸レンズ部4a,4bは、プレート部8の前面8aから前方側へ突出するように設けられ、凸レンズ部4a,4bのそれぞれの後面は、プレート部8の前面8aと同一平面状に形成されている。
【0020】
なお、車両用前照灯100は、自動二輪車両の車両に搭載されるものに限定されず、例えば自動四輪車両等に搭載されてもよい。
【0021】
また、レンズ部品3は、3つ以上の凸レンズ部4を備えてもよい。また、レンズ部品3における複数の凸レンズ部4は、左右方向に並んで設けられる構成に限定されず、例えば同心円状に並んで設けられてもよい。
【0022】
また、形状が互いに異なる複数の凸レンズ部4には、
図2のように互いに体積が異なる複数の凸レンズ部4だけでなく、凸面の外周面積、突出の高さ、または曲率などの値が互いに異なる複数の凸レンズ部4も含まれる。
【0023】
<課題の説明>
図3は、
図2に示すレンズ部品の製造時における課題を説明するための図である。2つの凸レンズ部4a,4bおよびプレート部8は、例えば射出成型により一体化して製造することができる。ここで、
図3の左側に示すように、射出成型に用いる金型は、当該金型に樹脂が充填された状態において、凸レンズ部4aの光軸Paおよび凸レンズ部4bの光軸Pbが互いに平行となる形状、すなわちプレート部8が直線状となる形状を有すると仮定する。
【0024】
この場合、当該金型のうち、凸レンズ部4aに対応する部分、凸レンズ部4bに対応する部分、およびプレート部8に対応する部分の各々の厚さに差があるため、これらの部分間において、材料である樹脂の充填圧力に差が生じる。この結果、当該金型からレンズ部品3を取り出した後、樹脂が硬化する際に、プレート部8が変形してしまうことがある。
【0025】
具体的には、
図3の右側に示すように、凸レンズ部4aおよび凸レンズ部4bが互いに近づくようにプレート部8が湾曲することがある。そして、このようにプレート部8が湾曲すると、凸レンズ部4aの光軸Paと凸レンズ部4bの光軸Pbとが互いに平行ではなくなり、配光パターンにずれが生じるおそれがある。
【0026】
そこで、本開示の実施の形態に係るレンズ部品3は、樹脂成型におけるプレート部8の変形量を考慮した形状の金型を用いて製造される。これにより、凸レンズ部4aの光軸Paおよび凸レンズ部4bの光軸Pbのずれを防ぐことができる。以下、詳細について説明する。
【0027】
<レンズ部品の製造方法>
[金型形状]
図4は、
図2に示すレンズ部品の製造時において樹脂が金型に充填された状態を説明するための図である。
図4を参照して、本開示の実施の形態に係るレンズ部品3は、
図4に示すような形状の金型に樹脂が充填されることにより成型される。
【0028】
より詳細には、プレート部8は、凸レンズ部4aと凸レンズ部4bとの中央の位置を境に、後面8b同士が近づくように折れ曲がった形状で樹脂成型される。凸レンズ部4aと凸レンズ部4bとの中央の位置には、わずかな誤差が含まれる。
【0029】
具体的には、凸レンズ部4a,4bの並列方向、すなわち左右方向におけるプレート部8の長さLtが300mm以下であるとする。また、プレート部8の後面8bのうち、左右方向の右側の端部である第1端部8b1と、左右方向の左側の端部である第2端部8b2とをつなぐ直線を直線X11とする。また、第1端部8b1または第2端部8b2と上記境とをつなぐ直線を直線X12とする。なお、
図4では、第1端部8b1と上記境とをつなぐ直線を直線X12としている。この場合、プレート部8は、直線X11と直線X12とのなす角度θが、0.01°~5°の範囲に含まれる角度で折り曲がった状態で樹脂成型される。
【0030】
図5は、
図4に示す形状の金型により樹脂成型されたレンズ部品を示す側面図である。また、
図6は、
図5に示すレンズ部品を示す斜視図である。
図5および
図6を参照して、
図4に示す形状の金型を用いてレンズ部品3を樹脂成型した後、当該金型からレンズ部品3を取り出すと、樹脂の硬化に伴いプレート部8が変形する。これにより、
図5に示すように、破線Dで示す折れ曲がっていた部分が直線状になり、凸レンズ部4aの光軸Paと凸レンズ部4bの光軸Pbとが互いに平行になる。
【0031】
また、レンズ部品3では、
図6に示すように、プレート部8は、凸レンズ部4aと凸レンズ部4bとの間に、凸レンズ部4a,4bの並列方向と交差する方向、すなわち車両に取り付けられた場合の上下方向(以下、単に「上下方向」とも称する。)に沿って延びる筋状の変曲痕S1を有することになる。
【0032】
なお、レンズ部品3における複数の凸レンズ部4は、互いに異なる形状であるものに限定されず、互いに同じ形状であってもよい。この場合であっても、金型における各凸レンズ部4に対応する部分のうち、先に樹脂が充填された部分ほど充填圧力が高くなるため、当該樹脂が硬化する際にプレート部8が変形することがある。このため、複数の凸レンズ部4が互いに同じ形状である場合においても、上記のように、樹脂成型におけるプレート部8の変形量を考慮した形状の金型を用いて製造されることが望ましい。
【0033】
また、レンズ部品3が3つ以上の凸レンズ部4を備える場合には、互いに隣接する2つの凸レンズ部4の間でプレート部8が折れ曲がった状態で樹脂成型されることが望ましい。これにより、例えば、3つの凸レンズ部4を備えるレンズ部品3では、プレート部8は2つの変曲痕S1を有することになる。また、例えば、4つの凸レンズ部4を備えるレンズ部品3では、プレート部8は3つの変曲痕S1を有することになる。
【0034】
[樹脂成型時のゲート位置]
(比較例)
図7は、レンズ部品の製造時において樹脂を充填するためのゲート位置の比較例を示す図である。
図7を参照して、ここでは、プレート部8のうち、凸レンズ部4a,4bの並列方向と交差する上下方向の端部であって、凸レンズ部4aの中心を通りかつ上下方向に平行な直線X21と、凸レンズ部4bの中心を通りかつ上下方向に平行な直線X22との間にゲート位置Gを設けると仮定する。
図7に示す例では、上下方向の下側の端部に、ゲート位置Gが設けられている。
【0035】
この場合、金型に樹脂が充填される際、破線の矢印で示すように、当該金型のうち、凸レンズ部4aに対応する部分と、凸レンズ部4bに対応する部分との両方に樹脂が流れ込む。このとき、凸レンズ部4bに対応する部分の方が、凸レンズ部4aに対応する部分よりも容積が大きいため、樹脂が流れ込みやすく、樹脂の流動にばらつきが生じる可能性がある。そして、このように、樹脂の流動にばらつきが生じる場合、成型後のレンズ部品3の寸法精度が低くなる可能性がある。
【0036】
そこで、本開示の実施の形態に係るレンズ部品3は、樹脂成型時におけるゲート位置Gを後述のような位置に設けることにより、樹脂成型時における樹脂の流動のばらつきを抑えることができる。
【0037】
(本開示の実施の形態に係るレンズ部品の樹脂成型時におけるゲート位置)
図8は、本開示の実施の形態に係るレンズ部品の製造時におけるゲート位置を説明するための図である。
図8を参照して、本開示の実施の形態に係るレンズ部品3では、樹脂成型時において、プレート部8のうち、凸レンズ部4a,4bの中心を通る直線X31上であって、凸レンズ部4b側にゲート位置Gを設ける。
【0038】
図9は、
図8に示すゲート位置から樹脂を充填した場合の当該樹脂の流れを説明するための図である。
図9を参照して、
図8に示すゲート位置Gから樹脂を充填した場合、金型において、破線の矢印で示すように、凸レンズ部4bに対応する部分への樹脂の充填が完了した後に、凸レンズ部4aに対応する部分へ樹脂が充填される。このため、樹脂の流動のばらつきを抑え、成型後のレンズ部品3の寸法精度を高くすることができる。
【0039】
再び
図6を参照して、このように成型されたレンズ部品3では、
図6に示すように、プレート部8は、凸レンズ部4a,4bの中心を通る直線X31上にゲート痕S2を有する。
【0040】
なお、ゲート位置Gは、
図8に示すように、直線X31上に限定されず、例えば、直線X31を中心として上下方向に15°の角度で規定される範囲内に設けられてもよい。
【0041】
また、ゲート位置Gは、直線X31上の凸レンズ部4a側に設けられてもよい。しかしながら、体積が大きい凸レンズ部4bほど、成型時において、対応する部分への樹脂の流動にばらつきが生じやすい。このため、凸レンズ部4b側にゲート位置Gが設けられる場合、金型において、凸レンズ部4bに対応する部分から先に樹脂が充填されることより、当該部分では樹脂による高い圧力を受けて樹脂の収縮によるヒケの発生を抑えることができる。これにより、複数の凸レンズ部4およびプレート部8の全体にわたって、より均一に樹脂を充填させることができる。このため、ゲート位置Gは、直線X31上のうち、凸レンズ部4b側に設けられることが好ましい。
【0042】
上記のように、本発明の実施形態に係るレンズ部品3では、複数の凸レンズ部4と、複数の凸レンズ部4を支持するプレート部8と、を備え、複数の凸レンズ部4およびプレート部8は一体的に樹脂成型されており、プレート部8は、複数の凸レンズ部4の間に、複数の凸レンズ部4の並列方向と交差する方向に延びる筋状の変曲痕S1を有する。
【0043】
このように、複数の凸レンズ部4が一体化される構成により、光学系ごとに凸レンズ部4を別体で設ける場合と比較して、部品点数を減らすことができ、意匠面の向上、コストの削減および組付けの容易化を実現することができる。また、プレート部8を、複数の凸レンズ部4の間を境に後面同士が近づくように折れ曲げて成型する、すなわち凸レンズ部4同士が離れるように折り曲げて成型することにより、プレート部8には、複数の凸レンズ部4の並列方向と交差する方向に延びる筋状の変曲痕S1が残る。このようなレンズ部品3では、材料である樹脂が硬化する際、凸レンズ部4同士が近づくようにプレート部8が変形し、樹脂の硬化後において複数の凸レンズ部4をより正確な位置関係にすることができる。これにより、各凸レンズ部4の光軸のずれを防ぐことができる。
【0044】
また、本発明の実施形態に係るレンズ部品3では、複数の凸レンズ部4は、形状が互いに異なる。ここで、複数の凸レンズ部4の形状が互いに異なる場合、これら複数の凸レンズ部4およびプレート部8の成型時において、凸レンズ部4間で樹脂が充填される圧力に差が生じやすく、樹脂の硬化時にプレート部8が変形しやすい。このため、上記のように複数の凸レンズ部4の形状が互いに異なる場合、凸レンズ部4同士が離れるように折り曲げて成型することがより有用である。
【0045】
また、本発明の実施形態に係るレンズ部品3では、プレート部8は、各凸レンズ部4の中心を通る直線上に、複数の凸レンズ部4およびプレート部8の樹脂成型時のゲート痕S2を有する。このようなレンズ部品3では、樹脂成型時における樹脂の流動のばらつきを抑えることができる。
【0046】
また、本発明の実施形態に係るレンズ部品3では、複数の凸レンズ部4の形状は互いに異なり、プレート部8は、複数の凸レンズ部4のうち体積の大きい凸レンズ部4側にゲート痕S2を有する。ここで、体積が大きい凸レンズ部4ほど、成型時における樹脂の流動のばらつきが生じやすい。このため、上記のようなレンズ部品3では、樹脂成型時において、体積の大きい凸レンズ部4から先に樹脂を充填することより、体積の大きい凸レンズ部4ほど樹脂による高い圧力を受けて樹脂の収縮によるヒケの発生を抑えることができ、これにより、複数の凸レンズ部4およびプレート部8の全体にわたって、より均一に樹脂を充填させることができる。
【0047】
また、本発明の実施形態に係るレンズ部品3の製造方法では、レンズ部品3は、複数の凸レンズ部4と、前面8aおよび後面8bを有し、前面8aにおいて複数の凸レンズ部4を支持するプレート部8と、を備え、複数の凸レンズ部4およびプレート部8は一体的に樹脂成型され、複数の凸レンズ部4およびプレート部8の樹脂成型時において、プレート部8は、複数の凸レンズ部4の間を境に後面8b同士が近づくように折れ曲がっている。
【0048】
このように、複数の凸レンズ部4が一体化される構成により、光学系ごとに凸レンズ部4を別体で設ける場合と比較して、部品点数を減らすことができ、意匠面の向上、コストの削減および組付けの容易化を実現することができる。また、プレート部8を、複数の凸レンズ部4の間を境に後面8b同士が近づくように折れ曲げて成型する、すなわち凸レンズ部4同士が離れるように折り曲げて成型することにより、材料である樹脂が硬化する際、凸レンズ部4同士が近づくようにプレート部8が変形し、樹脂の硬化後において複数の凸レンズ部4をより正確な位置関係にすることができる。これにより、各凸レンズ部4の光軸のずれを防ぐことができる。
【0049】
また、本発明の実施形態に係るレンズ部品3の製造方法では、樹脂成型時において、プレート部8の後面8bにおける、複数の凸レンズ部4の並列方向における第1端部8b1と第2端部8b2とをつなぐ直線X11と、第1端部8b1または第2端部8b2と上記境とをつなぐ直線X12とのなす角度は、0.01°~5°の範囲に含まれる。このような方法により、樹脂が硬化する際のプレート部の変形量に合わせた適切な角度でプレート部を樹脂成型することができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲およびその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0051】
1:アウターレンズ、2:ヒートシンク、4,4a,4b:凸レンズ部、6,6a,6b:発光素子、7:基板、8:プレート部、8a:前面、8b:後面、8b1:第1端部、8b2:第2端部、20a:第1の光学系、20b:第2の光学系、100:車両用前照灯、D:破線、G:ゲート位置、Lt:長さ、Pa,Pb:光軸、S1:変曲痕、S2:ゲート痕、X11,X12,X21,X22、X31:直線