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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176394
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 4/14 20060101AFI20231206BHJP
   A47C 4/38 20060101ALI20231206BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20231206BHJP
   A47C 9/10 20060101ALI20231206BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A47C4/14
A47C4/38
A47C7/54 D
A47C9/10 Z
A47C7/62 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088651
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】500367067
【氏名又は名称】株式会社カインズ
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】吉賀 崇之
(72)【発明者】
【氏名】深澤 潔
【テーマコード(参考)】
3B084
3B095
【Fターム(参考)】
3B084JA08
3B084JA10
3B095AA05
3B095AA06
3B095AA07
3B095AC08
(57)【要約】
【課題】本発明に係る椅子によれば、小物を効率的に配置でき、不使用時にはコンパクトに折り畳み可能である。
【解決手段】本発明に係る椅子1は、座部材3と、前脚部20と、後脚部21と、を有する脚体2と、前脚部20に連結された第一固定端部と第一軸を中心として第一軌跡上を回動する第一自由端部と第一長孔とを有するひじ掛け体50と、前脚部20に連結された第二固定端部と第二軸を中心として第二軌跡上を回動し、第一長孔を摺動可能にひじ掛け体50と連結させる第二自由端部とを有する物掛け体51と、を備え、第一自由端部と第二自由端部とのどちらか一方は、第二軸方向から見て前脚部20よりも前側において第一軌跡と第二軌跡とが交わる第一位置から後側において第一軌跡と第二軌跡とが交わる第二位置に回動すると、他方が連動して前記第一位置から前記第二位置に回動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座可能な座部材と、
左右方向の両側から前記座部材を支持する一対の前脚部と、前記左右方向の両側に備えられた一対の後脚部と、を有する脚体と、
第一長手方向に沿って棒状に形成され、前記前脚部に対して回動可能に連結された第一固定端部と、前記第一固定端部を通り前記第一長手方向に垂直な第一軸を中心として第一軌跡上を回動する第一自由端部と、前記第一長手方向に沿って延在する第一長孔と、を有するひじ掛け体と、
第二長手方向に沿って棒状に形成され、前記前脚部に対して回動可能に連結された第二固定端部と、前記第二固定端部を通り前記第二長手方向に垂直な第二軸を中心として第二軌跡上を回動する第二自由端部と、を有する物掛け体と、
を備え、
前記第二自由端部は、前記ひじ掛け体の前記第一長孔を摺動可能に前記ひじ掛け体と連結され、
前記第一自由端部と前記第二自由端部とのどちらか一方は、前記第二軸方向から見て前記前脚部よりも前後方向の一方側において前記第一軌跡と前記第二軌跡とが交わる第一位置から、前記前脚部よりも前記前後方向の他方側において前記第一軌跡と前記第二軌跡とが交わる第二位置に回動すると、他方が連動して前記第一位置から前記第二位置に回動する
椅子。
【請求項2】
前記脚体は、前記前脚部と前記後脚部とを開脚した使用状態から、鉛直方向に沿って前記前脚部と前記後脚部とを折り畳む折り畳み状態に変更可能であり、
前記座部材は、前記左右方向の前記両側に側部を備え、
前記側部は、高さ方向の突出側に向かって突出し、前記高さ方向に沿う第二長孔を備えた突出部を有し、
前記前脚部は、前記座部材を回動可能となるように連結して、前記第二長孔を摺動可能な支持ピンを有し、
前記支持ピンは、前記折り畳み状態において前記突出側に備えられた前記第二長孔の突出端部に配置される
請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記第二自由端部は、前記第二軸方向から見て、さらに前記前脚部の長手軸と前記第二軌跡とが交わる第三位置に移動する
請求項1または請求項2に記載の椅子。
【請求項4】
前記ひじ掛け体と前記物掛け体とのどちらか一方は、前記第二自由端部が前記第一位置または前記第二位置に配置された状態において、水平方向に延在している
請求項1または請求項2に記載の椅子。
【請求項5】
前記物掛け体は、前記第二自由端部に前記第一長孔に対して摺動可能な摺動ピンを有し、
前記第一長孔は、前記第一長手方向の先端側の長孔先端部に、前記第一長手方向と交差する方向の一方側に形成され、前記摺動ピンを嵌合して前記物掛け体を固定可能な凹部を備える
請求項1または請求項2に記載の椅子。
【請求項6】
前記ひじ掛け体の前記第一固定端部は、前記前脚部において前記物掛け体の前記第二固定端部よりも鉛直方向の上側に連結される
請求項1または請求項2に記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、屋外で使用する椅子として、家庭用のガーデンチェアが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような椅子は、山中、浜辺等のアウトドアでの利用やマンションのベランダでの使用等において、好適に用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-299546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の椅子には、コッヘル(クッカー)やシェラカップ等の小物を置くスペースがなく、例えば、使用者が椅子を使用する際に、別途テーブル等を用意し、小物を置くスペースを設ける必要があった。また、特許文献1に記載の椅子は、折り畳み可能であるが、左右方向に収縮させて折り畳むため、収縮時に背もたれ部や座部の部分がかさばってしまう。そのため、収納の幅に制限がある収納スペースへの椅子の収納が困難な場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、小物を効率的に配置でき、不使用時には、コンパクトに折り畳み可能な椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係る椅子は、着座可能な座部材と、左右方向の両側から前記座部材を支持する一対の前脚部と、前記左右方向の両側に備えられた一対の後脚部と、を有する脚体と、第一長手方向に沿って棒状に形成され、前記前脚部に対して回動可能に連結された第一固定端部と、前記第一固定端部を通り前記第一長手方向に垂直な第一軸を中心として第一軌跡上を回動する第一自由端部と、前記第一長手方向に沿って延在する第一長孔と、を有するひじ掛け体と、第二長手方向に沿って棒状に形成され、前記前脚部に対して回動可能に連結された第二固定端部と、前記第二固定端部を通り前記第二長手方向に垂直な第二軸を中心として第二軌跡上を回動する第二自由端部と、を有する物掛け体と、を備え、前記第二自由端部は、前記ひじ掛け体の前記第一長孔を摺動可能に前記ひじ掛け体と連結され、前記第一自由端部と前記第二自由端部とのどちらか一方は、前記第二軸方向から見て前記前脚部よりも前後方向の一方側において前記第一軌跡と前記第二軌跡とが交わる第一位置から、前記前脚部よりも前記前後方向の他方側において前記第一軌跡と前記第二軌跡とが交わる第二位置に回動すると、他方が連動して前記第一位置から前記第二位置に回動する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る椅子によれば、小物を効率的に配置でき、不使用時には、コンパクトに折り畳み可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る椅子の斜視図である。
図2】同椅子を右側からみた側面図である。
図3】同椅子を後側からみた正面図である。
図4】同椅子の折り畳み状態を示す斜視図である。
図5】同椅子のひじ掛け体の備える第一長孔の第一長手方向の先端側を拡大した図である。
図6】同椅子を左右方向の右側からみた側面図であり、外側部の第一遷移状態を示す図である。
図7】同椅子を左右方向の右側からみた側面図であり、外側部の第二遷移状態を示す図である。
図8】同椅子を左右方向の右側からみた側面図であり、外側部の第三遷移状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態について、図1から図8を参照して説明する。なお、以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0010】
[椅子1]
図1は、本発明の一実施形態に係る椅子1の使用状態での斜視図である。図2は、椅子1を右側RHからみた側面図である。図3は、椅子1を後側RRからみた正面図である。図4は、椅子1の折り畳み状態を示す斜視図である。
椅子1は、脚体2が前後方向(鉛直方向)に沿って略逆V字状に開脚した状態(以下、使用状態)で着座者(不図示)が座部材3に正規姿勢で着座可能に構成される。椅子1は、例えば、屋外で使用可能な木製のガーデンチェアである。
【0011】
ここで、椅子1は、図1に示すように、使用状態において床面G上に設置されている。以下の説明において、床面Gに対して垂直な方向を上下方向とする。上下方向において、上方は上側UPとし、上側UPと反対側は下側DWとする。また、椅子1の座部材3に正規姿勢で着座した着座者が前後を向く方向を前後方向とする。前後方向は、上下方向に対して垂直である。前後方向において、着座者が前を向く方向を前側FRとし、その反対方向を後側RRとする。また、上下方向及び前後方向に直交する方向を左右方向とする。左右方向において、一方側は左側LHとし、左側LHと反対側は右側RHとする。以下の説明における上下、前後及び左右の向きは、着座者が座部材3に正規姿勢で着座したときの着座者及び椅子1を中心とした向きと合致する向きを意味するものとする。なお、本実施形態では、椅子1の上下方向は、鉛直方向と一致する。
【0012】
ここで、椅子1は、図4に示すように、上述の使用状態から折り畳み状態に遷移(変形)可能に構成されている。折り畳み状態において、閉脚された後述の脚体2と、座部材3と、背もたれ部4と、外側部5とは、すべてが鉛直方向に沿って略I字状に折り畳まれる。なお、以下の構成の説明において、特に明記しない場合は、椅子1は、使用状態であるとする。
【0013】
椅子1は、図1に示すように、脚体2と、座部材3と、背もたれ部4と、外側部5とを備える。
【0014】
[脚体2]
脚体2は、図1から図3に示すように、使用状態において略逆V字状に開脚している。脚体2は、前脚部20と、後脚部21と、連結部23と、棒状部24とを備える。
【0015】
[前脚部20]
前脚部20は、例えば、上下方向に沿う木製の棒状部材である。前脚部20は、上下方向と前後方向とに沿う垂直面VPに対して対称となるように、左右方向の右側RHと左側LHとの両側に所定の間隔を開けて2つ備えられる。一対の前脚部20は、下側DWから上側UPに向けて後側RRに傾斜している。前脚部20は、上側UPに上端部20aと、下側DWに下端部20bとを備える。下端部20bは、床面G上に設置されている。また、前脚部20は、中央に細長の第一支持ピン201を備える。
【0016】
ここで、以降の説明において、図1から図4に示すように、前脚部20の長手方向の軸を長手軸O1とする。長手軸O1は、説明の便宜のために、一対の前脚部20のうち右側RHの前脚部20の長手軸とし、右側RHの前脚部20の長手軸O1のみを図示する。また、左右方向において長手軸O1よりも左側LHを椅子1の内側ともいう。また、左右方向において長手軸O1よりも右側RHを椅子1の外側ともいう。以降の説明においては、左右方向において右側RHの構成について主に説明し、左側LHについては、右側RHと対称の構成であるとして説明を省略する場合がある。
【0017】
第一支持ピン201は、図2に示すように、左右方向の右側RHからみて前脚部20の長手軸O1に重なる位置に配置される。第一支持ピン201は、左右方向に沿って先端を椅子1の内側に向けて後述の第二長孔311に挿入される。第一支持ピン201は、前脚部20に対して、座部材3の座体側部31を回動可能に連結する。また、第一支持ピン201は、第二長孔311を摺動可能である。前脚部20は、第一支持ピン201を介して左右方向の両側から座部材3を支持する。
【0018】
[後脚部21]
後脚部21は、例えば、上下方向に沿う木製の棒状部材である。後脚部21は、前脚部20よりも後側RRに備えられる。後脚部21は、例えば、前後方向からみて前脚部20に重なる位置に配置される。後脚部21は、前脚部20と同様に、垂直面VPに対して対称となるように、左右方向の両側に2つ備えられる。一対の後脚部21は、下側DWから上側UPに向けて前側FRに傾斜している。後脚部21は、上側UPに上端部21aと、下側DWに下端部21bとを備える。上端部21aは、前脚部20の中央部に当接する。上端部21aの当接部分は、図2に示すように、前脚部20の側面の形状に沿ってカットされ、使用状態において、前脚部20の側面に密接して当接するのが好ましい。下端部21bは、床面G上に設置されている。後脚部21の上端部21aを前脚部20に当接させて形成される脚体2の開脚角度は、椅子1の高さに合わせて任意の角度に設定されている。また、後脚部21は、上側UPに第二支持ピン211を備える。
【0019】
第二支持ピン211は、後脚部21の上側UPに備えられる。第二支持ピン211は、後脚部21に対して、座部材3の座体側部31を回動可能に連結する。後脚部21は、第二支持ピン211を介して左右方向の両側から座部材3を支持する。
【0020】
連結部23は、前脚部20と、後脚部21とを連結する。連結部23は、例えば、前脚部20及び後脚部21と同様に、垂直面VPに対して対称となるように、左右方向の両側に2つ備えられた木製の棒状部材である。連結部23は、使用状態において、前後方向の前側FRから後側RRに向かってわずかに上側UPに傾斜するように延在する。連結部23は、前脚部20及び後脚部21よりも椅子1の外側に配置されている。
【0021】
連結部23は、図2に示すように、基端側23aに第一連結ピン231を備える。第一連結ピン231は、前脚部20の中央部と連結部23の基端側23aとを連結する。また、連結部23は、先端側23bに第二連結ピン232を備える。第二連結ピン232は、後脚部21の上端部21aと連結部23の先端側23bとを連結する。連結部23は、第一連結ピン231と第二連結ピン232とを中心としてそれぞれ回動可能である。本実施形態では、第一連結ピン231は、前脚部20において、第一支持ピン201よりもわずかに上側UPに連結される。また、第二連結ピン232は、後脚部21において、第二支持ピン211よりもわずかに上側UPに連結される。
【0022】
棒状部24は、図1または図3に示すように、左右方向に延在する。棒状部24は、前棒状部241と、後棒状部242とを備える。前棒状部241は、左右方向の両端を一対の前脚部20の下端部20bに連結する。後棒状部242は、左右方向の両端を一対の後脚部21の下端部21bに連結する。この構成により、棒状部24は、上下・前後・左右のそれぞれの方向において一対の前脚部20及び後脚部21にズレが生じて椅子1のバランスが崩れないように保持することができる。なお、棒状部24は、複数備えられていてもよいし、左右方向と異なる方向に備えられていてもよい。また、棒状部24は、必須の構成ではない。
【0023】
[座部材3]
座部材3は、図1から図3に示すように、使用状態において、着座者が着座可能である。座部材3は、左右方向において、一対の前脚部20との間、及び一対の後脚部21との間に備えられる。座部材3は、座体前後部30と、座体側部31と、第一座部32、第二座部33とを備える。
【0024】
座体前後部30は、前後方向の両側に備えられた木製の棒状部材である。座体前後部30は、左右方向に沿って延在する。座体前後部30は、図1に示すように、前側FRに座体前部301と、後側RRに座体後部302とを備える。
【0025】
座体側部31(側部)は、垂直面VPに対して対称となるように、左右方向の両側に2つ備えられる。座体側部31は、使用状態において前後方向に沿う長手方向と、上下方向に沿う高さ方向(短手方向)Hと、に略板状に形成される。座体側部31の前側FRの前端部は、座体前部301の両端を連結する。座体側部31の後側RRの後端部は、座体後部302の両端を連結する。一対の座体側部31のうち右側RHの座体側部31は、前脚部20及び連結部23よりも椅子1の内側に配置されている。そのため、図3に示すように、座体側部31、前脚部20及び連結部23とは、椅子1の内側から外側に向けてこの順に構成される。なお、左側LHの座体側部31は、右側RHの座体側部31と対称の構成であるため説明を省略する。
【0026】
座体側部31は、中央部を前脚部20の第一支持ピン201によって支持される。また、座体側部31は、後側RRの後端部を後脚部21の第二支持ピン211によって支持される。座体側部31は、使用状態から折り畳み状態に遷移(変形)すると、図1から図4に示すように、後側RRの後端部を中心として前側FRの前端部を上側UPに回動させる。すると、座部材3全体が、上下方向に沿う略I字状に遷移する。また、座体側部31は、図2に示すように、垂直面VPにおいて、高さ方向(短手方向)Hに沿って突出した突出部310を備える。
【0027】
突出部310は、座体側部31の中央に備えられる。突出部310は、高さ方向Hの突出側H1に向かって突出する。ここで、高さ方向Hの突出側H1と反対側は座体側H2とする。突出部310の高さ方向Hは、図2に示すように、使用状態において、上下方向に沿う。このとき、突出側H1は、下側DWであり、座体側H2は、上側UPである。また、突出部310の高さ方向Hは、図4に示すように、折り畳み状態において、前後方向に沿う。このとき、突出側H1は、前側FRであり、座体側H2は、後側RRである。突出部310は、第二長孔311を備える。
【0028】
第二長孔311は、左右方向に貫通する長孔である。第二長孔311は、高さ方向Hに沿って延在する。具体的には、第二長孔311は、図2に示すように、使用状態において、高さ方向Hである上下方向に対して、下側DWから上側UPに向かって、わずかに前側FRに傾斜している。第二長孔311には、前脚部20の第一支持ピン201が係合している。第一支持ピン201は、第二長孔311内を摺動可能である。第一支持ピン201は、使用状態のとき、第二長孔311内において座体側H2に配置される。また、第一支持ピン201は、後述の折り畳み状態のとき、第二長孔311内において突出側H1に配置される。なお、第二長孔311は、高さ方向Hに対して、傾斜していなくてもよい。例えば、第二長孔311は、使用状態において、高さ方向Hである上下方向に対して平行に形成されていてもよい。
【0029】
第一座部32及び第二座部33は、図1に示すように、着座者が着座する部分である。第一座部32及び第二座部33は、本実施形態では、布製である。第一座部32は、両端を左右方向の両側に備えられた一対の座体側部31の前側FRに巻き付けて連結させる。第二座部33は、第一座部32よりも上側UPにおいて第一座部32と接触するように形成される。第二座部33は、前後方向において両端を座体前後部30に巻き付けて連結させる。第一座部32及び第二座部33は、十字状にクロスして形成されている。この構成により、着座者が座部材3に着座する際に下方にかかる体重(力)を支えることができ、座部材3全体の強度を高めることができる。
【0030】
[背もたれ部4]
背もたれ部4は、図1から図3に示すように、左右方向において、両端を左右方向の一対の前脚部20の上側UPに巻き付けて連結する。背もたれ部4は、例えば布製である。また、背もたれ部4は、図3に示すように、背もたれ部4の後側RRに左右方向に延在して、両端を左右方向の一対の前脚部20の上端部20aを連結する棒状部材40を備えていてもよい。棒状部材40は、背もたれ部4の強度を高め、さらに椅子1全体の強度を高めることができる。
【0031】
[外側部5]
外側部5は、着座者がひじ掛けや、小物の収容スペースとして活用できる椅子1の外枠である。外側部5は、ひじ掛け体50と、物掛け体51と、を備える。なお、外側部5は、脚体2と同様に、以降の説明においては、左右方向の右側RHの構成について主に説明し、左側LHについては、右側RHと対称の構成であるとして説明を省略する。
【0032】
ここで、後述の第一長手方向Aとは、ひじ掛け体50の長手方向である。同様に、第二長手方向Bとは、物掛け体51の長手方向である。第一長手方向A及び第二長手方向Bは、本実施形態では、どちらも垂直面VPに沿う方向である。ただし、第一長手方向A及び第二長手方向Bは、垂直面VPに沿う方向でなくてもよい。
【0033】
[ひじ掛け体50]
ひじ掛け体50は、図1または図2に示すように、第一長手方向Aに沿って延在する棒状部材である。ひじ掛け体50は、着座者が着座した際に、着座者のひじを置くことが可能である。ひじ掛け体50は、前脚部20に対して回動可能に連結される。ひじ掛け体50は、左右方向における厚みが、例えば、連結部23と略同じになるように設計されている。
【0034】
ひじ掛け体50は、第一長手方向Aの基端側A1の第一固定端部50aに第一回動ピン501を備える。第一回動ピン501は、ひじ掛け体50の第一固定端部50aと、前脚部20の中央部とを連結する。ひじ掛け体50は、第一回動ピン501を備えた第一固定端部50aを中心として回動する。このとき、第一固定端部50aを通り、第一長手方向Aに垂直な、左右方向に沿う軸を第一回転軸(第一軸)O2とする。第一回転軸O2は、図2に示すように、左右方向の右側RHからみて、長手軸O1に沿って配置される。ひじ掛け体50の第一長手方向Aの先端側A2の第一自由端部50bは、第一回転軸O2を中心として円弧状に形成された後述の第一軌跡K1(図6参照)上を通って回動する。なお、第一回動ピン501は、前脚部20において、連結部23の第一連結ピン231よりも上側UPに備えられる。また、ひじ掛け体50は、第一長手方向Aに沿って左右方向に貫通する第一長孔502を備える。
【0035】
図5は、椅子1のひじ掛け体50の備える第一長孔502の第一長手方向Aの先端側A2を拡大した図である。
第一長孔502は、左右方向に貫通した孔である。第一長孔502は、第一長手方向Aに沿って第一固定端部50aから第一自由端部50bまで延在する。具体的には、図2に示すように、第一長孔502は、ひじ掛け体50に対して、後側RRから前側FRに向かってわずかに下側DWに傾斜するように形成される。この構成により、ひじ掛け体50の角度を調整することができる。第一長孔502は、図5に示すように、第一長手方向Aの先端側A2に備えられた長孔先端部502aに凹部503を備える。なお、第一長孔502は、必ずしもひじ掛け体50に対して傾斜していなくてもよい。第一長孔502は、ひじ掛け体50と平行となるように形成されていてもよい。
【0036】
凹部503は、第一長孔502の一部であり、第一長手方向Aと交差する方向に沿って凹んで形成される。凹部503を形成する方向は、特に限定されないが、本実施形態では、図5に示すように、垂直面VPに沿って第一長手方向Aと直交する短手方向Cの一方側C1に形成される。
【0037】
[物掛け体51]
物掛け体51は、図1から図4に示すように、第二長手方向Bに沿って延在する棒状部材である。物掛け体51は、ひじ掛け体50よりも椅子1の外側に配置される。物掛け体51は、着座者がコッヘル(クッカー)やシェラカップ等の小物を掛けて置くスペースを設けることが可能である。物掛け体51は、前脚部20に対して回動可能に連結される。
【0038】
物掛け体51は、図3に示すように、第二長手方向Bの基端側B1の第二固定端部51aに軸受け部511を備える。
【0039】
軸受け部511は、物掛け体51の第二固定端部51aと前脚部20の中央部との間に配置される。軸受け部511は、連結ピン等を用いて物掛け体51の第二固定端部51aと前脚部20とを連結する。軸受け部511は、左右方向から見て、連結部23の第一連結ピン231よりも下側DWに備えられる。そのため、第一回動ピン501を備える第一固定端部50aは、軸受け部511が配置された第二固定端部51aよりも上下方向の上側UPに備えられる。軸受け部511の厚みは、左右方向において、例えば、連結部23及びひじ掛け体50と略同じになるように設定されている。そのため、物掛け体51は、連結部23及びひじ掛け体50よりも外側に配置される。ただし、物掛け体51は、上述の実施形態に限定されない。例えば、ひじ掛け体50が物掛け体51を介して軸受け部等によって前脚部20に取り付けられることで、ひじ掛け体50が物掛け体51よりも外側に配置されていてもよい。
【0040】
物掛け体51は、軸受け部511が配置された第二固定端部51aを中心として回動する。このとき、第二固定端部51aを通り、第二長手方向Bに垂直な、左右方向に沿う軸を第二回転軸(第二軸)O3とする。第二回転軸O3は、第一回転軸O2と略平行である。本実施形態において、第一回転軸O2及び第二回転軸O3は、垂直面VPに対して垂直であるが、これに限定されない。また、第二回転軸O3は、図2に示すように、左右方向からみて、長手軸O1に沿って配置される。すなわち、図2に示すように、第一回転軸O2と第二回転軸O3とは、左右方向から見て、どちらも長手軸O1に沿って配置される。また、物掛け体51は、第二長手方向Bの先端側B2の第二自由端部51bに摺動ピン513を備える。
【0041】
摺動ピン513は、図2に示すように、第二自由端部51bおいて、第一長孔502に対して摺動可能に物掛け体51に取り付けられる。摺動ピン513は、左右方向に沿って先端を椅子1の内側に向けてひじ掛け体50の第一長孔502に挿入される。第二自由端部51bは、第二回転軸O3を中心として円弧状に形成された後述の第二軌跡K2(図6参照)上を回動するとともに、摺動ピン513を介してひじ掛け体50の第一長孔502を摺動可能にひじ掛け体50と連結される。また、第一長孔502は、第一固定端部50aから第一自由端部50bまで延在する。そのため、第二自由端部51bは、摺動ピン513を介して、ひじ掛け体50の第一固定端部50aから第一自由端部50bまでを移動(回動)しつつ、ひじ掛け体50と物掛け体51とを連動させることができる。なお、摺動ピン513は、第一長孔502の長孔先端部502aまで移動すると、回動を停止する。また、摺動ピン513は長孔先端部502aの凹部503に嵌合して固定される。
【0042】
[作用]
次に、上述した椅子1の作用について、図4及び図6から図8を用いて説明する。図6は、椅子1を左右方向の右側RHからみた側面図であり、外側部5の第一遷移状態を示す図である。図7は、椅子1を左右方向の右側RHからみた側面図であり、外側部5の第二遷移状態を示す図である。図8は、椅子1を左右方向の右側RHからみた側面図であり、外側部5の第三遷移状態を示す図である。
まず、本発明の一実施形態に係る椅子1の外側部5の第一遷移状態、第二遷移状態及び第三遷移状態について、図6~8を示して説明する。なお、第一遷移状態、第二遷移状態及び第三遷移状態は、本実施形態では、椅子1の使用状態の場合において説明するが、特に限定されず、例えば、椅子1の折り畳み状態の場合であってもよい。
【0043】
ここで、図6に示すように、第一軌跡K1は、第一回転軸O2を中心として円弧状に形成されたひじ掛け体50の第一自由端部50bの軌跡である。また、図6に示すように、第二軌跡K2は、第二回転軸O3を中心として円弧状に形成された物掛け体51の第二自由端部51bの軌跡である。第二回転軸O3方向から見て、前脚部20の長手軸O1よりも前後方向の一方側において、第一軌跡K1と第二軌跡K2とが交わる位置を第一位置P1とする。本実施形態では、第一位置P1は、図6に示すように、第二回転軸O3方向の右側RHから見て、前後方向の前側FRに配置される。ただし、本実施形態に限定されず、第一位置P1は、第二回転軸O3方向から見て、前後方向の後側RRに配置されてもよい。また、第二回転軸O3方向から見て、前脚部20の長手軸O1よりも前後方向の他方側において、第一軌跡K1と第二軌跡K2とが交わる位置を第二位置P2とする。本実施形態では、第二位置P2は、図8に示すように、第二回転軸O3方向の右側RHから見て、第一位置P1の配置された前後方向の前側FRと反対の後側RRに配置される。なお、第二位置P2は、第二回転軸O3方向から見て第一位置P1が前後方向の後側RRに配置されると、前後方向の前側FRに配置される。さらに、図7に示すように、第二回転軸O3方向から見て、第二軌跡K2と長手軸O1とが交わる位置を第三位置PBとする。また、左右方向に沿う第二回転軸O3方向から見て、第一軌跡K1と長手軸O1とが交わる位置を第四位置PAとする。
【0044】
(第一遷移状態)
第一遷移状態とは、着座者が外側部5のひじ掛け体50にひじを置くことができる状態である。第一遷移状態において、図6に示すように、ひじ掛け体50の第一自由端部50bと、物掛け体51の第二自由端部51bとは、第二回転軸O3方向の右側RHから見て、第一位置P1に配置される。具体的には、第一自由端部50bと第二自由端部51bとは、第一位置P1において重なっている。また、第一自由端部50bと、ひじ掛け体50の第一固定端部50aとは、上下方向において略同じ高さにある。このとき、椅子1の外側部5のひじ掛け体50が延在している第一長手方向Aは、上下方向(鉛直方向)に垂直な水平方向と略同じ方向である。つまり、第一長手方向Aは、この状態において前後方向であり、ひじ掛け体50は、水平方向に延在する。そのため、着座者は、前後方向に延びるひじ掛け体50にひじを置くことができる。
【0045】
(第二遷移状態)
第二遷移状態とは、着座者が外側部5のひじ掛け体50にひじを置く必要がないときにひじ掛け体50を収納することができる状態である。第二遷移状態において、図7に示すように、物掛け体51の第二自由端部51bは、第二回転軸O3方向から見て、第三位置PBに配置される。このとき、物掛け体51の第二自由端部51b及び第二固定端部51aは、第二回転軸O3方向から見て、どちらも長手軸O1に沿って配置される。さらに、物掛け体51の第二自由端部51bは、第二回転軸O3から見て、ひじ掛け体50の第一固定端部50aと重なる。また、ひじ掛け体50の第一自由端部50bは、第二回転軸O3方向から見て、第四位置PAに配置される。このとき、ひじ掛け体50の第一固定端部50a及び第一自由端部50bは、第二回転軸O3方向から見て、どちらも長手軸O1に沿って配置される。すなわち、椅子1の外側部5のひじ掛け体50及び物掛け体51が延在している第一長手方向A及び第二長手方向Bは、第二回転軸O3方向から見て、どちらも長手軸O1の形成される方向と略同じ方向である。このとき、外側部5のひじ掛け体50及び物掛け体51は、第二回転軸O3方向から見て、前脚部20に重なる。そのため、着座者は、外側部5を収納してひじを置くスペースを無くすことができる。
【0046】
(第三遷移状態)
第三遷移状態とは、着座者が外側部5の物掛け体51に小物等を置くことができる状態である。第三遷移状態において、図8に示すように、ひじ掛け体50の第一自由端部50bと、物掛け体51の第二自由端部51bとは、第二回転軸O3方向の右側RHから見て、第二位置P2に配置される。具体的には、第一自由端部50bと第二自由端部51bとは、第二位置P2において重なっている。また、物掛け体51の第二自由端部51bと、第二固定端部51aとは、上下方向において略同じ高さにある。このとき、椅子1の外側部5の物掛け体51が延在している第二長手方向Bは、上下方向(鉛直方向)に垂直な水平方向と略同じ方向である。つまり、第二長手方向Bは、この状態において前後方向であり、物掛け体51が水平方向に延在する。そのため、着座者は、前後方向に延びる物掛け体51に小物等を置くことができる。
【0047】
以上のように、第一遷移状態から第三遷移状態において、椅子1の外側部5のひじ掛け体50の第一自由端部50bは、第二回転軸O3方向から見て、第一軌跡K1上の第一位置P1から第四位置PAを通り、第二位置P2に回動することができる。ひじ掛け体50は、上側UPに回転するように移動する。また、このとき物掛け体51の第二自由端部51bは、ひじ掛け体50の第一自由端部50bの回動に連動して、第二軌跡K2上の第一位置P1から第三位置PBを通り、第二位置P2に回動することができる。物掛け体51は、上側UPに回転するように連結部23及びひじ掛け体50の第一固定端部50aを通り移動する。物掛け体51の第二自由端部51bが回動する場合は、ひじ掛け体50の第一自由端部50bが、物掛け体51の第二自由端部51bの回動に連動して回動する。このように、第一自由端部50bと第二自由端部51bとは、どちらか一方が第二回転軸O3方向から見て、第一位置P1から第二位置P2に回動すると、他方が連動して第一位置P1から第二位置P2に回動する。なお、ひじ掛け体50及び物掛け体51は、椅子1の左右方向に備えられる。本実施形態では、左右方向の両側のひじ掛け体50及び物掛け体51は、それぞれ独立して回動する。
【0048】
次に、上述した椅子1の座体側部31の突出部310の作用について、図2及び図4を示して説明する。
【0049】
椅子1は、図2に示す使用状態から図4に示す折り畳み状態に遷移(変形)可能に構成されている。座体側部31は、使用状態から折り畳み状態に遷移(変形)すると、図2から図4に示すように、後側RRの後端部を中心として前側FRの前端部を上側UPに回動させる。すると、座部材3全体が、上下方向に沿う略I字状に遷移する。
【0050】
ここで、図4に示すように、折り畳み状態において、左右方向の右側RHから見た場合に、前脚部20と後脚部21とは、それぞれの側面が隣接して上下方向に沿う略I字状に配置される。このときの前脚部20と後脚部21との前後方向の幅を折り畳み幅Wとする。座体側部31は、前脚部20の第一支持ピン201を第二長孔311内で摺動させずに、高さ方向Hの座体側H2に配置された第一支持ピン201を中心に回動すると、折り畳み状態では、座部材3の前側FRが折り畳み幅Wから前側FRにはみ出てしまう。このとき、前脚部20の第一支持ピン201が第二長孔311内において、高さ方向Hの座体側H2から突出側H1に摺動して配置される。すると、座部材3は、すべてを折り畳み幅Wからはみ出さないように配置することができる。
【0051】
本実施形態では、第一遷移状態において、椅子1の外側部5のひじ掛け体50が延在している第一長手方向Aは、上下方向(鉛直方向)に垂直な水平方向と略同じ方向である。そのため、着座者は、水平方向に延在するひじ掛け体50にひじを置くことができる。
【0052】
また、本実施形態では、第二遷移状態において、椅子1の外側部5のひじ掛け体50及び物掛け体51が延在している第一長手方向A及び第二長手方向Bは、第二回転軸O3方向の右側RHから見て、どちらも長手軸O1の形成される方向と略同じ方向である。そのため、着座者は、外側部5を収納してひじを置くスペースを無くすことができる。
【0053】
また、本実施形態では、第三遷移状態において、椅子1の外側部5の物掛け体51が延在している第二長手方向Bは、上下方向(鉛直方向)に垂直な水平方向と略同じ方向である。つまり、第二長手方向Bは、この状態において前後方向であり、物掛け体51が水平方向に延在する。そのため、物掛け体51は、使用状態において、着座者がコッヘル(クッカー)やシェラカップ等の小物を掛けて置くスペースを設けることが可能である。さらに、物掛け体51を設けることで、テーブル等のスペースを有効活用することができる。
【0054】
また、本実施形態では、第二遷移状態において、物掛け体51の第二自由端部51bは、第二回転軸O3方向から見て、ひじ掛け体50の第一固定端部50aと重なる。このときひじ掛け体50の第一固定端部50aが第二軌跡K2上の第三位置PBにある。ひじ掛け体50と物掛け体51と前脚部20との連結部分を繋げて形成される形状は、略正三角形状であり、ひじ掛け体50と物掛け体51とは略同じ長さに形成されている。そのため、第一遷移状態から第三遷移状態において、着座者は、ひじ掛け体50と、ひじ掛け体50に連動して移動(回動)する物掛け体51とを容易に移動(回動)させることができる。
【0055】
また、本実施形態では、第一長孔502は、長孔先端部502aに凹部503を備える。第二自由端部51bは、摺動ピン513が長孔先端部502aに移動すると、回動を停止する。また、摺動ピン513は、長孔先端部502aの凹部503に嵌合する。そのため、摺動ピン513は、長孔先端部502aまで摺動してひじ掛け体50と物掛け体51とのそれぞれの回動を停止し、さらに凹部503によって固定する。凹部503は、ひじ掛け体50と物掛け体51とを回動を停止した後も、がたつきがないようにさらに固定することができる。
【0056】
また、本実施形態では、第一遷移状態から第三遷移状態において、第一自由端部50bと第二自由端部51bとは、どちらか一方が第二回転軸O3方向の右側RHから見て、第一位置P1から第二位置P2に回動すると、他方が連動して第一位置P1から第二位置P2に回動する。そのため、ひじ掛け体50と物掛け体51とをバラバラに移動(回動)させたり、別途取り付けたりする必要がない。また、ひじや小物等を掛けて置くスペースを効率よく確保することができる。
【0057】
また、本実施形態では、ひじ掛け体50の第一固定端部50aは、前脚部20に対して物掛け体51の第二固定端部51aよりも上下方向(鉛直方向)の上側UPに連結される。すなわち、第一遷移状態において、ひじ掛け体50は、物掛け体51よりも上側UPに備えられ、物掛け体51と前脚部20によって支持される。そのため、ひじ掛け体50に着座者の肘を置いた際に下側DWに力が加わっても、ひじ掛け体50は、物掛け体51と前脚部20によって支持された状態で略水平な状態を保つことができる。
【0058】
また、本実施形態では、第一支持ピン201を座体側部31の突出部310に備えられた第二長孔311内において、高さ方向Hの座体側H2から突出側H1に摺動させて配置することができる。座部材3は、折り畳み状態において、左右方向からみて折り畳み幅Wからはみ出さないように配置することができる。そのため、椅子1を使用しない場合に、椅子1を折り畳み状態に遷移(変形)させて、コンパクトに折り畳むことができる。また、その際に、座部材3と、背もたれ部4とは、収縮させる必要がない。椅子1は、収納に制限のある狭い収納スペースに、容易に収納することができる。
【0059】
また、本実施形態では、物掛け体51の軸受け部511の厚みは、左右方向において、連結部23及びひじ掛け体50と略同じになるように設定されており、物掛け体51は、連結部23及びひじ掛け体50よりも外側に配置される。そのため、ひじ掛け体50は、上側UPに回転するように移動する際に、連結部23及び物掛け体51に干渉せず、スムーズに移動できる。
【0060】
また、本実施形態では、左右方向の両側のひじ掛け体50及び物掛け体51がそれぞれ独立して回動する。そのため、椅子1を使用する着座者は、状況や使用用途に合わせて、適宜、ひじ掛け体50及び物掛け体51の位置を変更でき、使い勝手がよい。
【0061】
なお、上記の一実施形態により本発明が限定されるものではない。また、一実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、一実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0062】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の一実施形態及び以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0063】
(変形例)
本実施形態では、椅子としてガーデンチェアを例として説明したが、椅子は特に限定されず、種々の椅子に適用できる。また、本発明の椅子は、木製に限らず、鉄やプラスチック等のその他の材料を用いて形成されていてもよい。
【0064】
いずれの上記形態においても、本発明に係る椅子によれば、小物を効率的に配置でき、不使用時には、コンパクトに折り畳み可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係る椅子によれば、小物を効率的に配置でき、不使用時には、コンパクトに折り畳み可能であるので産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 椅子
2 脚体
20 前脚部
201 第一支持ピン
21 後脚部
211 第二支持ピン
23 連結部
3 座部材
31 座体側部(側部)
310 突出部
311 第二長孔
5 外側部
50 ひじ掛け体
502 第一長孔
502a 長孔先端部
503 凹部
50a 第一固定端部
50b 第一自由端部
51 物掛け体
51a 第二固定端部
51b 第二自由端部
513 摺動ピン
A 第一長手方向
B 第二長手方向
C 短手方向
H 高さ方向
H1 突出側
VP 垂直面
G 床面
K1 第一軌跡
K2 第二軌跡
O1 長手軸
O2 第一回転軸(第一軸)
O3 第二回転軸(第二軸)
P1 第一位置
P2 第二位置
PB 第三位置
PA 第四位置
W 折り畳み幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8