(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176399
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 5/00 20060101AFI20231206BHJP
F24D 3/18 20060101ALI20231206BHJP
F24D 3/02 20060101ALI20231206BHJP
F24D 3/00 20220101ALI20231206BHJP
【FI】
F24F5/00 101Z
F24D3/18
F24D3/02 Z
F24D3/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088657
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】小川 英朗
【テーマコード(参考)】
3L054
3L070
【Fターム(参考)】
3L054BF02
3L054BF06
3L054BF08
3L054BG02
3L054BG08
3L070AA07
3L070BB03
3L070BB14
3L070BB16
3L070BC02
3L070DE09
3L070DF07
3L070DG05
3L070DG06
(57)【要約】
【課題】空調システムに設けられた熱交換器を収容する箱体に発生する結露を防止する。
【解決手段】冷房運転時に第1熱源10により第1熱媒を冷却して空調装置3に供給する場合、第1熱源10を流通した第1熱媒が熱交換器31に流入せずバイパス回路41eを流通するように弁装置44を作動させるとともに、循環ポンプ53を作動させて、第2熱源20と熱交換器31との間で第2熱媒を循環させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1熱媒を加熱及び冷却可能な第1熱源と、
第2熱媒を加熱可能な第2熱源と、
第1熱媒と屋内空間との熱交換を行うことで屋内空間の暖房及び冷房を選択的に実行できる空調装置と、
第1熱源と空調装置との間で第1熱媒を循環させる第1熱媒回路と、
第1熱媒回路の第1熱源の下流側且つ空調装置の上流側の位置に接続された熱交換器と、
第2熱源と熱交換器との間で第2熱媒を循環させる第2熱媒回路と、
第2熱源と熱交換器との間で第2熱媒を循環させる循環ポンプと、
熱交換器の上流側と下流側の第1熱媒回路を接続して、熱交換器をバイパスするバイパス回路と、
第1熱源を流通した後の第1熱媒が熱交換器に流入せずバイパス回路に流入するように熱交換器の上流側または下流側の少なくとも一方側で熱交換器内の第1熱媒回路を遮断する弁装置と、
熱交換器の少なくとも一部及びバイパス回路の少なくとも一部を収容する箱体と、
制御装置と、を備え、
制御装置は、第1熱源により第1熱媒を冷却して空調装置に供給する場合、第1熱源を流通した第1熱媒が熱交換器に流入せずバイパス回路を流通するように弁装置を作動させるとともに、循環ポンプを作動させて、第2熱源と熱交換器との間で第2熱媒を循環させる空調システム。
【請求項2】
請求項1に記載の空調システムは、さらに、
箱体内の内部温度を検出する箱体内温度検出手段を有し、
制御装置は、箱体内の内部温度が所定温度以下になると、循環ポンプを作動させて、第2熱源と熱交換器との間で第2熱媒を循環させる空調システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の空調システムにおいて、
制御装置は、循環ポンプを作動させて、第2熱源と熱交換器との間で第2熱源で加熱されていない第2熱媒を循環させる空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システムに関する。特に、本発明は、空調システムの熱交換器を収容する箱体の結露の防止に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートポンプ式の熱源と、燃焼式の熱源と、屋内空間の暖房及び冷房を行う空調装置と、ヒートポンプ式の熱源と第1熱交換器との間で冷媒を循環させる冷媒回路と、燃焼式の熱源と第2熱交換器との間で熱媒を循環させる熱媒回路と、第1及び第2熱交換器と空調装置との間で循環液を循環させる循環路とを備える空調システムがある(例えば、特許文献1)。この空調装置では、ヒートポンプ式の熱源と第1熱交換器との間で冷媒を循環させることにより、第1熱交換器で循環路を流れる循環液を冷却して、屋内空間の冷房を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、熱源や空調装置などの複数の機器が接続されて構成される空調システムでは、熱交換器を箱体内に収容した熱交換器ユニットを床下空間に設置する場合がある。特許文献1のように第1熱交換器と第2熱交換器とが循環路によって接続されている場合、冷房を行うときには冷却された循環液が第2熱交換器にも流入するため、第2熱交換器を収容する熱交換器ユニットの箱体内の内部温度が低下する。その結果、夏季において外気温が高いとき、箱体の外表面が露点温度以下になると、結露が発生し、床下空間にかびが発生するという問題がある。
【0005】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、空調システムの熱交換器を収容する箱体に発生する結露を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
第1熱媒を加熱及び冷却可能な第1熱源と、
第2熱媒を加熱可能な第2熱源と、
第1熱媒と屋内空間との熱交換を行うことで屋内空間の暖房及び冷房を選択的に実行できる空調装置と、
第1熱源と空調装置との間で第1熱媒を循環させる第1熱媒回路と、
第1熱媒回路の第1熱源の下流側且つ空調装置の上流側の位置に接続された熱交換器と、
第2熱源と熱交換器との間で第2熱媒を循環させる第2熱媒回路と、
第2熱源と熱交換器との間で第2熱媒を循環させる循環ポンプと、
熱交換器の上流側と下流側の第1熱媒回路を接続して、熱交換器をバイパスするバイパス回路と、
第1熱源を流通した後の第1熱媒が熱交換器に流入せずバイパス回路に流入するように熱交換器の上流側または下流側の少なくとも一方側で熱交換器内の第1熱媒回路を遮断する弁装置と、
熱交換器の少なくとも一部及びバイパス回路の少なくとも一部を収容する箱体と、
制御装置と、を備え、
制御装置は、第1熱源により第1熱媒を冷却して空調装置に供給する場合、第1熱源を流通した第1熱媒が熱交換器に流入せずバイパス回路を流通するように弁装置を作動させるとともに、循環ポンプを作動させて、第2熱源と熱交換器との間で第2熱媒を循環させる空調システムが提供される。
【0007】
上記空調システムによれば、第1熱源により第1熱媒を冷却して空調装置に供給する場合、第1熱源を流通した第1熱媒が熱交換器に流入せずバイパス回路を流通するように弁装置を作動させるとともに、循環ポンプを作動させて、第2熱源と熱交換器との間で第2熱媒を循環させるから、冷房運転を行うときでも熱交換器及びバイパス回路の少なくとも一部が収容された箱体内の内部温度の低下を抑えることができる。これにより、夏季における箱体の外表面の結露を防止することができる。
【0008】
好ましくは、上記空調システムは、さらに、
箱体内の内部温度を検出する箱体内温度検出手段を有し、
制御装置は、箱体内の内部温度が所定温度以下になると、循環ポンプを作動させて、第2熱源と熱交換器との間で第2熱媒を循環させる。
【0009】
上記空調システムによれば、箱体内の内部温度が所定温度以下に低下したときに循環ポンプを作動させるから、効率的に結露を防止することができる。
【0010】
好ましくは、上記空調システムにおいて、
制御装置は、循環ポンプを作動させて、第2熱源と熱交換器との間で第2熱源で加熱されていない第2熱媒を循環させる。
【0011】
上記空調システムによれば、第2熱源で加熱されていない第2熱媒を循環させるから低エネルギーで結露を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る空調システムの一例を示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る空調システムの一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る空調システムの作動説明図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る空調システムの作動説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る空調システムを説明する。
図1に示すように、本実施の形態の空調システム1は、空調装置として冷暖房用空調装置3を備えるとともに、第1熱媒を加熱及び冷却可能な第1熱源としてのヒートポンプユニット10と、第2熱媒を加熱可能な第2熱源としての燃焼式熱源機20とを備える。この空調システム1における第1及び第2熱媒としては、例えば、水や不凍液等が使用され得る。
【0014】
冷暖房用空調装置3は第1熱媒を流通させる流路(図示せず)を有し、流路を流れる第1熱媒と、配置された屋内空間との熱交換を行うことで、屋内空間の暖房又は冷房を行う公知の空調装置であり、例えば、ファンコイルユニットにより構成される。なお、冷暖房用空調装置以外に、他の暖房装置(例えば、ファンコンベクタ、パネルラジエタ、床暖房装置等の暖房装置や、浴室の暖房、乾燥、換気を行う浴室暖房装置)が設けられてもよい。
【0015】
ヒートポンプユニット10は、公知の構成のヒートポンプ11を備えている。ヒートポンプ11は、熱媒側熱交換器12と、図示しない圧縮機、外気側熱交換器、及び膨張機構を含む冷媒回路13とを備える。冷媒回路13は、冷媒を、外気側熱交換器から圧縮機、熱媒側熱交換器12、膨張機構を順に経由させて循環させることが可能である。この状態では、屋外の外気から外気側熱交換器を介して冷媒に吸収した熱を、後述する第1熱媒回路40を流れる第1熱媒に熱媒側熱交換器12を介して放熱することで第1熱媒を加熱することが可能である。
【0016】
また、冷媒回路13は、冷媒を、熱媒側熱交換器12から、圧縮機、外気側熱交換器、膨張機構を順に経由させて循環させることも可能である。この状態では、後述する第1熱媒回路40を流れる第1熱媒から熱媒側熱交換器12を介して冷媒に吸収した熱を、外気側熱交換器を介して外気に放熱することで第1熱媒を冷却することが可能である。従って、ヒートポンプユニット10は、第1熱媒を加熱及び冷却可能な熱源としての機能を有するものである。
【0017】
燃焼式熱源機20は、第2熱媒を加熱する加熱部21を備えている。加熱部21は、バーナ22と、バーナ22の燃焼熱により加熱される熱交換器23とにより構成される。バーナ22は、例えばガスバーナであり、図示しない燃料供給源から、燃料供給路24を介して燃料ガスが供給されるとともに、図示しない燃焼ファンの作動により燃焼用空気が供給される。燃料供給路24には、これを開閉可能な開閉弁25と、バーナ22への燃料ガスの供給量を調整するための燃料調整弁26とが組付けられている。開閉弁25は電磁弁等により構成され、燃料調整弁26は比例弁等により構成され得る。
【0018】
バーナ22は、燃焼ファンを作動させるとともに開閉弁25を開弁制御した状態で、図示しない点火装置により点火することで燃焼運転を開始する。そして、バーナ22の燃焼運転中は、燃料調整弁26と燃焼ファンとを制御することで、バーナ22の燃焼量を制御することが可能である。さらに、開閉弁25を閉弁制御することで、バーナ22が消火される。なお、バーナ22の燃料は、気体燃料に限らず、灯油等の液体燃料であってもよい。
【0019】
加熱部21の熱交換器23は、後述する第2熱媒回路50を介して第2熱媒が流通するように第2熱媒回路50に接続されており、バーナ22の燃焼運転により与えられる燃焼熱を第2熱媒に放熱することで、第2熱媒を加熱し得るように構成されている。なお、加熱部21は、熱交換器23の上流側から下流側に熱交換器23を経由させずに第2熱媒を流すバイパス路や、バイパス路を通る第2熱媒の流量と熱交換器23を通る第2熱媒の流量との比率を調整するための制御弁を備えていてもよい。
【0020】
空調システム1は、さらに、ヒートポンプ11で加熱される第1熱媒と加熱部21で加熱される第2熱媒との間で熱交換を行う液-液式の熱交換器31を含む熱交換器ユニット30と、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と冷暖房用空調装置3とをこれらの間で第1熱媒を循環させ得るように接続する第1熱媒回路40と、燃焼式熱源機20の熱交換器23と熱交換器ユニット30の熱交換器31とをこれらの間で第2熱媒を循環させ得るように接続する第2熱媒回路50と、熱交換器31の上流側と下流側の第1熱媒回路40を接続して熱交換器31をバイパスするバイパス回路41eとを備える。
【0021】
熱交換器ユニット30は、箱体300を有し、箱体300内に熱交換器31やバイパス回路41e等が収容されている。熱交換器ユニット30の熱交換器31は、ヒートポンプ11で加熱される第1熱媒を流す第1流路31aと加熱部21で加熱される第2熱媒を流す第2流路31bとをこれらの間で熱交換を行い得るように設けられる。従って、熱交換器31は、第1熱媒回路40のヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12の下流側且つ冷暖房用空調装置3の上流側の位置に接続されており、熱交換器31内の第1流路31aは第1熱媒回路40の一部を構成し、熱交換器31内の第2流路31bは第2熱媒回路50の一部を構成する。
【0022】
第1熱媒回路40は、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12から冷暖房用空調装置3に第1熱媒を供給する往路41と、冷暖房用空調装置3から熱媒側熱交換器12に第1熱媒を還流させる復路42とを有する。そして、往路41に、熱交換器ユニット30の熱交換器31の第1流路31aが設けられ、第1流路31aの上流側から下流側に第1流路31aを経由させずに第1熱媒を流し得るバイパス回路41eが分岐接続されている。
【0023】
具体的には、第1熱媒回路40の往路41は、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12の熱媒流出口を熱交換器31の第1流路31aの熱媒流入口に接続する第1往路41aと、熱交換器31の第1流路31aの熱媒流出口に上流端が接続され、冷暖房用空調装置3の熱媒流入口に下流端が接続された第2往路41bとを備える。バイパス回路41eは、熱交換器31の第1流路31aと並列に第1熱媒回路40の往路41に接続されるように、第1往路41aの途中部から分岐されて、第2往路41bの途中部に合流されている。なお、
図1では、熱交換器31やバイパス回路41eの全体が箱体300内に収容されているが、設置場所に応じてこれらの少なくとも一部が箱体300内に収容されてもよい。
【0024】
また、第1熱媒回路40の復路42は、冷暖房用空調装置3の熱媒流出口に上流端が接続され、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12の熱媒流入口に下流端が接続されている。
【0025】
そして、往路41の第1往路41aとバイパス回路41eとの接続部の上流側の第1往路41aには、熱媒を流す動力源としての電動式のポンプ43が組付けられている。本実施の形態では、ポンプ43はヒートポンプユニット10に搭載されている。ただし、ポンプ43は、例えば、熱交換器ユニット30に搭載されていてもよく、あるいはヒートポンプユニット10及び熱交換器ユニット30の外部に配置されていてもよい。また、ポンプ43は、例えば、往路41のうち、第2往路41bとバイパス回路41eとの接続部の下流側の第2往路41b、あるいは復路42に組付けられていてもよい。
【0026】
また、第1往路41aとバイパス回路41eとの接続部には電動式の弁装置である三方弁44が組付けられている。三方弁44は、その上流側の第1往路41aから、熱交換器31の第1流路31aのみに第1熱媒を流し、バイパス回路41eを遮断する動作状態(三方弁44の上流側の第1往路41aに対して熱交換器31の第1流路31aを開通させるとともにバイパス回路41eを遮断する動作状態)と、上流側の第1往路41aから、バイパス回路41eのみに第1熱媒を流し、熱交換器31の第1流路31aを遮断する動作状態(三方弁44の上流側の第1往路41aに対して熱交換器31の第1流路31aを遮断するとともにバイパス回路41eを開通させる動作状態)とを切替えて作動させることが可能である。
【0027】
なお、三方弁44は、熱交換器31の第1流路31aに流れる第1熱媒の流量とバイパス回路41eに流れる第1熱媒の流量との比率を所要の目標比率(第1流路31aの流量をゼロにする場合とバイパス回路41eの流量をゼロにする場合とを含む)に調整し得るように構成されていてもよい。
【0028】
本実施の形態では、三方弁44は熱交換器ユニット30に搭載されている。ただし、三方弁44は、熱交換器ユニット30の外部に配置されていてもよい。また、三方弁44は、第2往路41bとバイパス回路41eとの接続部に組付けられていてもよい。また、三方弁44の代わりに、第1往路41aとバイパス回路41eとの接続部から第2往路41bとバイパス回路41eとの接続部までの熱交換器31の第1流路31aを通る流路と、バイパス回路41eとのそれぞれに開閉可能な開閉弁あるいは流量制御弁を備えてもよい。
【0029】
冷暖房用空調装置3に接続された第2往路41bには、熱動弁46が組付けられている。熱動弁46は、復路42に組付けられていてもよく、あるいは冷暖房用空調装置3に搭載されていてもよい。
【0030】
第1熱媒回路40は上記のように構成されているので、熱動弁46を開弁させた状態でポンプ43を作動させると、第1熱媒がヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12から往路41、冷暖房用空調装置3、及び復路42を順に経由して熱媒側熱交換器12に還流することで、熱媒側熱交換器12と冷暖房用空調装置3との間で第1熱媒を循環させることができる。この場合、三方弁44の作動制御によって、熱交換器31の第1流路31a及びバイパス回路41eのいずれか一方(又は両方)を経由させて第1熱媒を流すことができる。
【0031】
第2熱媒回路50は、燃焼式熱源機20の加熱部21の熱交換器23から熱交換器ユニット30の熱交換器31の第2流路31bに第2熱媒を供給する往路51と、熱交換器31の第2流路31bから加熱部21の熱交換器23に熱媒を還流させる復路52とを備える。
【0032】
往路51は、加熱部21の熱交換器23の熱媒流出口を熱交換器ユニット30の熱交換器31の第2流路31bの熱媒流入口に接続するように配設され、復路52は、熱交換器ユニット30の熱交換器31の第2流路31bの熱媒流出口を加熱部21の熱交換器23の熱媒流入口に接続するように配設されている。復路52には、第2熱媒を流す動力源としての循環ポンプ53が組付けられている。
【0033】
本実施の形態では、循環ポンプ53は燃焼式熱源機20に搭載されている。ただし、循環ポンプ53は燃焼式熱源機20の外部に配置されていてもよく、あるいは往路51に組付けられていてもよい。
【0034】
第2熱媒回路50は上記のように構成されているので、循環ポンプ53を作動させると、第2熱媒が加熱部21の熱交換器23から往路51、熱交換器31の第2流路31b、及び復路52を順に経由して加熱部21の熱交換器23に還流することで、加熱部21の熱交換器23と熱交換器ユニット30の熱交換器31との間で第2熱媒を循環させることができる。
【0035】
図2に示すように、空調システム1は、空調システム1の運転制御を行う制御装置80と、空調システム1の運転操作をユーザが行うためのリモコン85とを備えている。制御装置80は、例えば、図示しないマイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ(RAM、ROM等)、インターフェース回路、通信回路等を含む1つ以上の電子回路ユニットにより構成される。
【0036】
例えば、制御装置80は、冷暖房用空調装置3、ヒートポンプユニット10、燃焼式熱源機20、及び熱交換器ユニット30に各々搭載され、且つ相互に通信を行いつつ協働して空調システム1の運転制御を実行可能な複数の電子回路ユニットの集合体として構成され得る。
【0037】
上記制御装置80には、空調システム1に備えられた複数の温度センサ90等の複数のセンサのそれぞれのセンシング信号(検出信号)が入力される。本実施の形態では、温度センサ90には、例えば
図1に示すように、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12から第1熱媒回路40の往路41(第1往路41a)を通って三方弁44に流入する第1熱媒の温度(熱媒側熱交換器12から流出する第1熱媒の温度)を検出する温度センサ90a、熱交換器31の第1流路31a及びバイパス回路41eの下流側で往路41(第2往路41b)を通って冷暖房用空調装置3に供給される第1熱媒の温度を検出する温度センサ90b、加熱部21の熱交換器23から第2熱媒回路50の往路51に流出する第2熱媒の温度を検出する温度センサ90c、往路51から熱交換器31の第2流路31bに流入する第2熱媒の温度を検出する温度センサ90d、熱交換器31の第2流路31bから第2熱媒回路50の復路52に流出する第2熱媒の温度を検出する温度センサ90e、及び熱交換器ユニット30の箱体300内の底面近傍に設けられ、箱体300内の内部温度を検出する箱体内温度センサ(箱体内温度検出手段)90fが含まれる。
【0038】
また、制御装置80は、リモコン85と有線又は無線による通信を行うことが可能である。通信により、制御装置80は、冷暖房用空調装置3の運転等に関する指令情報をリモコン85から受信したり、リモコン85に様々な報知情報を送信して出力させたりすることが可能である。
【0039】
そして、制御装置80は、実装されたハードウェア構成とプログラム(ソフトウェア構成)とにより実現される機能として、冷暖房用空調装置3の運転に係る制御処理を実行する機能を有する。この場合、制御装置80は、制御対象要素としてのヒートポンプ11、加熱部21のバーナ22、三方弁44、熱動弁46、ポンプ43,53の作動制御を行うことが可能であり、その作動制御を通じて冷暖房用空調装置3の運転を制御する。
【0040】
ヒートポンプ11の作動制御では、冷媒回路13の流路の切替制御や圧縮機の作動制御を行うことで、第1熱媒の加熱と冷却との切替えや、ヒートポンプ11の出力の制御が行われる。また、バーナ22の作動制御では、燃料供給路24の開閉弁25及び燃料調整弁26、並びに図示しない点火装置及び燃焼ファンの作動制御を行うことで、バーナ22の点火、燃焼量の調整及び消火が行われる。
【0041】
次に、
図3及び
図4を参照して、本実施の形態の空調システム1における冷暖房用空調装置3の冷房運転時の作動を説明する。なお、これらの図中、太実線は、熱媒が流れている状態の流路を示し、細破線は、熱媒が流れていない状態の流路を示している。
【0042】
冷暖房用空調装置3の冷房運転時には、制御装置80は、ヒートポンプ11を冷房用の運転モード(熱媒側熱交換器12に冷却された冷媒を流すように冷媒回路13を作動させる運転モード)で作動させるとともに、熱動弁46を開弁させた状態でポンプ43を作動させる。また、制御装置80は、熱交換器ユニット30の熱交換器31の第1流路31a及びバイパス回路41eのうちのバイパス回路41eだけに第1熱媒を流すように第1熱媒回路40の三方弁44を作動させる。
【0043】
これにより、
図3に示すように、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と冷暖房用空調装置3との間で、熱交換器31の第1流路31bを経由せずバイパス回路41eを経由して循環しつつ、熱媒側熱交換器12で冷却された第1熱媒が冷暖房用空調装置3に供給されることで、冷暖房用空調装置3の冷房運転(冷暖房用空調装置3による屋内空間からの吸熱運転)が行われる。
【0044】
冷房運転中、制御装置80は、箱体内温度センサ90fから出力される内部温度を監視し、内部温度が所定温度以下(例えば、外気温30℃、湿度80%の最悪条件を想定した場合、内部温度が26℃以下)になると、循環ポンプ53を作動させる。これにより、
図4に示すように、加熱部21と熱交換器ユニット30の熱交換器31との間で、第2熱媒が熱交換器31の第2流路31bを経由して第2熱媒回路50を循環する。加熱されていない第2熱媒の温度は常温程度であり、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12を流通した後の第1熱媒の温度よりも高温であるため、第2熱媒を熱交換器31の第2流路31bに流通させることによって熱交換器31の温度を上昇させることができ、箱体300内の内部温度の低下を抑えることができる。これにより、結露を防止することができる。なお、箱体300内の内部温度が所定温度よりも高くなると、循環ポンプ53を停止させて、第2熱媒の循環を停止させてもよい。また、常温の第2熱媒を熱交換器31に所定時間以上、循環させても、箱体300内の内部温度が所定温度以下である場合、箱体300内の内部温度が所定温度より高くなるまで、燃焼式熱源機20の加熱部21のバーナ22の燃焼運転を行ってもよい。
【0045】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、ヒートポンプ11により第1熱媒を冷却して冷暖房用空調装置3に供給する場合でも、熱交換器31やバイパス回路41eが収容された箱体300内の内部温度の低下を抑えることができるから、夏季における冷房運転中、箱体300の外表面の温度が結露温度以下になるのを防止することができ、結露を防止することができる。
【0046】
また、本実施の形態によれば、箱体300内の内部温度が所定温度以下になったときのみ、循環ポンプ53を作動させて加熱されていない第2熱媒を熱交換器31に循環させるから、低エネルギーで、効率的に結露を防止することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、冷房運転時に常温の第2熱媒が熱交換器31に供給されるが、第1熱媒は熱交換器31を流通しないから、冷却された第1熱媒が熱交換器31で吸熱してしまうのを防止することができる。これにより、冷房運転におけるエネルギー損失を低減することができる。
【0048】
なお、本実施の形態の空調システム1における冷暖房用空調装置3の暖房運転時の作動を概略的に説明すると、冷暖房用空調装置3の暖房運転時には、制御装置80は、まず、ヒートポンプ11を暖房用の運転モード(熱媒側熱交換器12に加熱された冷媒を流すように冷媒回路13を作動させる運転モード)で作動させるとともに、熱動弁46を開弁させた状態でポンプ43を作動させる。
【0049】
これにより、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と冷暖房用空調装置3との間で第1熱媒回路40を介して循環しつつ、熱媒側熱交換器12で加熱された第1熱媒が冷暖房用空調装置3に供給されることで、冷暖房用空調装置3の暖房運転(冷暖房用空調装置3から屋内空間への放熱運転)が行われる。
【0050】
このとき、冷暖房用空調装置3に供給される第1熱媒の温度を、ヒートポンプ11の作動だけで目標温度に昇温させることができる場合には、制御装置80は、熱交換器ユニット30の熱交換器31の第1流路31a及びバイパス回路41eのうちのバイパス回路41eだけに第1熱媒を流すように第1熱媒回路40の三方弁44を作動させる。
【0051】
また、ヒートポンプ11を上限の出力で作動させても、冷暖房用空調装置3に供給される第1熱媒の温度を目標温度まで昇温させることができない場合には、制御装置80は、ヒートポンプ11及びポンプ43を作動させることに加えて、燃焼式熱源機20の加熱部21のバーナ22の燃焼運転を開始させた状態で循環ポンプ53を作動させ、さらに、熱交換器ユニット30の熱交換器31の第1流路31a及びバイパス回路41eのうちの第1流路31aのみに、又は第1流路31a及びバイパス回路41eの両方に第1熱媒を流すように三方弁44を作動させる。
【0052】
これにより、冷暖房用空調装置3に供給される第1熱媒は、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12で加熱されることに加えて、熱交換器31の第1流路31aを流れる過程で、熱交換器31の第2流路31bを流れる第2熱媒(加熱部21の熱交換器23で加熱された第2熱媒)との熱交換によって加熱される。これにより、暖房運転時のエネルギー損失を低減することができる。
【0053】
(その他の実施の形態)
上記実施の形態では、箱体300内の内部温度が所定温度以下になると、循環ポンプ53を作動させて第2熱媒を熱交換器31に循環させている。しかしながら、冷房運転時、箱体300内の内部温度が所定温度より高くても、循環ポンプ53を作動させて第2熱媒を熱交換器31に循環させてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 空調システム
3 冷暖房用空調装置
10 ヒートポンプユニット
20 燃焼式熱源機
31 熱交換器
40 第1熱媒回路
41e バイパス回路
44 三方弁
50 第2熱媒回路
53 循環ポンプ
80 制御装置
300 箱体