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特開2023-176401レンズ鏡筒およびこれを備えたカメラ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176401
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】レンズ鏡筒およびこれを備えたカメラ
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/08 20210101AFI20231206BHJP
   G03B 17/14 20210101ALI20231206BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20231206BHJP
   G02B 7/10 20210101ALI20231206BHJP
【FI】
G02B7/08 Z
G03B17/14
G02B7/04 E
G02B7/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088662
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】科野 文男
【テーマコード(参考)】
2H044
2H101
【Fターム(参考)】
2H044BE03
2H044BE20
2H044DA02
2H044DB03
2H044DD03
2H044DE04
2H044EC07
2H044EF04
2H101EE04
2H101EE51
(57)【要約】
【課題】テレコンバータが装着された際に、部品が損傷する等の不具合の発生を回避することが可能なレンズ鏡筒およびこれを備えたカメラを提供する。
【解決手段】レンズ鏡筒10は、レンズマウント23、5群ユニット17、カム枠13、カムピン17c、カムピンホルダ17b、主軸17g、付勢バネ17fを備える。カム枠13は、5群ユニット17を内包し、カム溝13aを有する。カムピン17cは、カム溝13aに係合した状態で光軸方向に移動する。カムピンホルダ17bは、光軸方向に相対移動可能な状態で5群ユニット17に設けられ、カムピン17cを保持する。主軸17gは、5群ユニット17を光軸方向に移動可能とする。付勢バネ17fは、5群ユニット17に設けられ、光軸方向における被写体側に向かってカムピンホルダ17bを付勢し、テレコンバータ30がレンズマウント23に装着されると伸縮して5群ユニット17を光軸方向に退避させる。
【選択図】図7B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体に対して交換可能な状態で装着されるレンズ鏡筒であって、
テレコンバータが装着される装着部と、
前記テレコンバータが装着されると光軸方向において干渉する光学レンズを含む退避レンズ枠と、
前記退避レンズ枠を内包するとともに、カム溝を有する略円筒状のカム枠と、
前記光軸方向に交差する方向に突出し、前記カム枠に形成された前記カム溝に係合した状態で前記光軸方向に移動するカムピンと、
前記光軸方向において相対移動可能な状態で前記退避レンズ枠に設けられており、前記カムピンを保持するカムピンホルダと、
前記光軸方向に沿って配置されており、前記退避レンズ枠を前記光軸方向に移動可能とする第1ガイド軸と、
前記退避レンズ枠に設けられており、前記光軸方向における被写体側に向かって前記カムピンホルダを付勢し、前記テレコンバータが前記装着部に装着されると伸縮して前記退避レンズ枠を前記光軸方向に退避させる付勢バネと、
を備えているレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記カムピンは、前記テレコンバータが装着される前と、前記テレコンバータが装着された後とで、前記カム枠に対して同じ位置に配置されている、
請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記退避レンズ枠に設けられており、前記カムピンホルダの前記光軸方向における移動をガイドする第2ガイド軸と、前記第2ガイド軸に沿って前記光軸方向において移動する前記カムピンホルダの前記第2ガイド軸を中心とする回転を規制する回転規制部と、さらに備えている、
請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項4】
前記回転規制部は、前記光学レンズの光軸を中心とする円の径方向における両端において、前記カムピンホルダと当接する、
請求項3に記載のレンズ鏡筒。
【請求項5】
前記カム枠と前記退避レンズ枠との間に設けられ前記カムピンホルダを前記カム枠側に露出される貫通溝を有する略円筒状の固定枠を、さらに備えており、
前記カムピンホルダは、前記カムピンの前記カム溝からの脱落を抑制するように、前記固定枠の前記貫通溝に対して係止される突起部を有している、
請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項6】
前記カムピンホルダは、前記第1ガイド軸が所定の隙間を介して挿入される挿入孔を有している、
請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項7】
前記テレコンバータが前記装着部に装着されたことを検知する装着検知部を、さらに備えている、
請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項8】
前記装着検知部において前記テレコンバータが装着されたことを検知するとともに、前記退避レンズ枠が保持する前記光学レンズの位置に応じて、撮影注意であることを示すメッセージを表示するように、前記カメラ本体に設けられた表示部を制御する表示制御部をさらに備えている、
請求項7に記載のレンズ鏡筒。
【請求項9】
前記第1ガイド軸は、前記退避レンズ枠の前記光軸方向における移動をガイドする主軸と、前記退避レンズ枠の前記第1ガイド軸を中心とする回転を規制する副軸と、を有している、
請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項10】
前記付勢バネは、前記光学レンズがWIDE位置付近にある状態で伸縮し、前記退避レンズ枠を退避させる、
請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項11】
前記退避レンズ枠における前記テレコンバータが装着される側に設けられており、前記テレコンバータ側の部材との衝突を軽減する緩衝部材を、さらに備えている、
請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項12】
前記退避レンズ枠は、前記光学レンズを保持する保持部を有しており、
前記テレコンバータが装着されると、前記保持部は、前記付勢バネが収縮して前記カムピンホルダに対して近づく方向に移動する、
請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
【請求項13】
カメラ本体に対して交換可能な状態で装着されるレンズ鏡筒であって、
テレコンバータが装着される装着部と、
前記テレコンバータが装着されると光軸方向において干渉する光学レンズを含む退避レンズ枠と、
前記光軸方向に交差する方向に突出し、前記光軸方向に沿って移動するラックと、
前記光軸方向において相対移動可能な状態で前記退避レンズ枠に設けられており、前記ラックを保持するラックホルダと、
前記ラックと連結されており、前記ラックホルダを介して、前記退避レンズ枠を前記光軸方向において前後に移動させる駆動部と、
前記光軸方向に沿って配置されており、前記退避レンズ枠を前記光軸方向に移動可能とする第1ガイド軸と、
前記退避レンズ枠に設けられており、前記光軸方向における被写体側に向かって前記ラックホルダを付勢し、前記テレコンバータが前記装着部に装着されると伸縮して前記退避レンズ枠を前記光軸方向に退避させる付勢バネと、
を備えているレンズ鏡筒。
【請求項14】
請求項1または13に記載のレンズ鏡筒と、
前記レンズ鏡筒が装着されるカメラ本体と、
を備えたカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レンズ鏡筒およびこれを備えたカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数のレンズを含む光学系を備え、カメラ本体に対して交換可能な状態で装着されるレンズ鏡筒が使用されている。このようなレンズ鏡筒では、カメラ本体との間に、焦点距離を延長するためのテレコンバータが装着される場合がある。
テレコンバータは、カメラ本体のマウント部と、レンズ鏡筒のマウント部とにそれぞれ装着されることで、レンズ鏡筒の焦点距離を延長することができる。
【0003】
このとき、テレコンバータ側の部材が、レンズ鏡筒の光軸方向における最もカメラ本体側に設けられた部材と干渉して、部品を破損してしまうおそれがある。
例えば、特許文献1には、鏡筒に加わる外力による撮影光学系の光学性能の悪化を防止するために、カム環を、内面カム溝が形成されたレンズ支持環部と、レンズ支持環部とは別部材からなり該レンズ支持環部の先端部外周に回転方向には共に回転するように支持された先端外周環部とで構成し、先端外周環部をレンズ支持環部に対して光軸方向にクリアランスをもって支持させ、先端外周環部とレンズ支持環部の光軸方向のクリアランス部分に、先端外周環部を光軸方向に移動付勢し、該先端外周環部に鏡筒の外側から外力が作用したときに撓む付勢ばねを挿入したズームレンズ鏡筒について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-215389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のズームレンズ鏡筒では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示されたズームレンズ鏡筒では、外観筒に外力が加わった際に、圧縮バネが縮み、第2カム筒が変位することで内部のレンズ枠の破壊を防止しつつ、回転止めによって光軸方向のみに退避する構成を採用している。
【0006】
しかし、このような構成では、カメラ本体との間にテレコンバータが装着された際に、テレコンバータ側の部材とレンズ鏡筒側のレンズ枠とが光軸方向において干渉し、部品が破損する等の不具合が発生してしまうおそれがある。
本開示の課題は、テレコンバータが装着された場合でも、部品が損傷する等の不具合の発生を回避することが可能なレンズ鏡筒およびこれを備えたカメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るレンズ鏡筒は、カメラ本体に対して交換可能な状態で装着されるレンズ鏡筒であって、装着部と、退避レンズ枠と、略円筒状のカム枠と、カムピンと、カムピンホルダと、第1ガイド軸と、付勢バネと、を備えている。装着部は、テレコンバータが装着される。退避レンズ枠は、テレコンバータが装着されると光軸方向において干渉する光学レンズを含む。略円筒状のカム枠は、退避レンズ枠を内包するとともに、カム溝を有する。カムピンは、光軸方向に交差する方向に突出し、カム枠に形成されたカム溝に係合した状態で光軸方向に移動する。カムピンホルダは、光軸方向において相対移動可能な状態で退避レンズ枠に設けられており、カムピンを保持する。第1ガイド軸は、光軸方向に沿って配置されており、退避レンズ枠を光軸方向に移動可能とする。付勢バネは、退避レンズ枠に設けられており、光軸方向における被写体側に向かってカムピンホルダを付勢し、テレコンバータが装着部に装着されると伸縮して退避レンズ枠を光軸方向に退避させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るレンズ鏡筒によれば、テレコンバータが装着された場合でも、部品が損傷する等の不具合の発生を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本開示の一実施形態に係るレンズフードの保持構造を含むレンズ鏡筒の光学系が広角側(WIDE位置)にある状態を示す斜視図。
図1B図1Aのレンズ鏡筒の光学系が望遠側(TELE位置)へ移動した状態を示す斜視図。
図2A図1Aのレンズ鏡筒の断面図。
図2B図1Bのレンズ鏡筒の断面図。
図3図1Aのレンズ鏡筒を構成する各部品の分解斜視図。
図4A図1等のレンズ鏡筒にテレコンバータが装着される前の状態を示す側面図。
図4B図4Aのレンズ鏡筒の被写体側とは反対側の端部にテレコンバータが装着された状態を示す側面図。
図5A図4Aの側断面図。
図5B図4Bの側断面図。
図6図5Bに示すテレコンバータが装着された状態でレンズ鏡筒がTELE位置となった際の干渉回避状態を示す側面図。
図7A図1等のレンズ鏡筒に含まれる5群ユニットに対してテレコンバータが装着される前の状態を示す斜視図。
図7B図1等のレンズ鏡筒に含まれる5群ユニットに対してテレコンバータが装着された状態を示す斜視図。
図8A図1等のレンズ鏡筒に含まれる5群ユニットに対してテレコンバータが装着される前の状態を示す側面図。
図8B図1等のレンズ鏡筒に含まれる5群ユニットに対してテレコンバータが装着されレンズの干渉を回避した状態を示す側断面図。
図9図7Aの5群ユニットの構成を示す斜視図。
図10図9の5群ユニットに含まれるカムピンとカム筒、固定筒の位置関係を示す断面図。
図11図9の5群ユニットの構成を示す分解斜視図。
図12A図1等のレンズ鏡筒の後枠を取り外した状態を示す側面図。
図12B図12Aのレンズ鏡筒のテレコンバータが装着される側の構成を示す正面図。
図13図1のレンズ鏡筒の後枠を取り外すと露出するズームエンコーダとズーム駆動ピンを示す斜視図。
図14A図4Bのテレコ―バータのレンズ鏡筒との接続側の構成を示す正面図。
図14B図14Aのテレコンバータの側面図。
図14C図14Aのテレコンバータのカメラ本体との接続側の構成を示す背面図。
図15図1のカメラシステムの構成を示す制御ブロック図。
図16】本開示の他の実施形態に係るレンズ鏡筒に含まれる5群ユニットの構成を示す斜視図。
図17A図16の5群ユニットに対してテレコンバータが装着される前の状態を示す側面図。
図17B図16の5群ユニットに対してテレコンバータが装着された後の状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、出願人は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
(実施形態1)
本開示の一実施形態に係るレンズ鏡筒10およびこれを備えたカメラ100について、図1図15を用いて説明すれば以下の通りである。
(レンズ鏡筒10全体の構成)
本実施形態に係るレンズ鏡筒10は、後述するテレコンバータ30とともに、カメラ本体50に対して着脱可能な状態で、カメラ本体50のマウント部に装着されてカメラ100(図15参照)を構成する。そして、レンズ鏡筒10は、カメラ本体50側に設けられた撮像素子へ、被写体像を導く光学系(レンズL1~L20(図2A等参照))を有している。
【0012】
また、レンズ鏡筒10は、図1Aおよび図1Bに示すように、内蔵する光学系が広角側(WIDE位置)と望遠側(TELE位置)との間において移動することで、変倍撮影を行うことができる。
レンズ鏡筒10は、図1Aに示すWIDE位置にある状態では、図2Aに示すように、1群ユニット11が外装ユニット19の内周面側に収納された状態となる。
【0013】
一方、レンズ鏡筒10は、図1Bに示すTELE位置にある状態では、図2Bに示すように、1群ユニット11が光軸X方向に沿って被写体側へ進出し、外装ユニット19から被写体寄りに突出した状態となる。
そして、レンズ鏡筒10は、図3に示すように、1群ユニット11、2群ユニット12、カム枠13、固定枠14、3群ユニット15、4群ユニット16、5群ユニット(退避レンズ枠)17、マウントベース18、外装ユニット19、後枠20、制御基板(表示制御部)21、レンズ取付指標リングユニット22、レンズマウント(装着部)23、および複数のレンズL1~L20によって構成される光学系を備えている。そして、レンズ鏡筒10は、レンズL1~L20の光軸X方向における被写体側とは反対側(レンズマウント23側)の端部と、カメラ本体50との間に、テレコンバータ30が装着される。
【0014】
1群ユニット11は、図3に示すように、レンズ鏡筒10における最も被写体側へ配置された筒状の部材である。そして、1群ユニット11は、図2Aおよび図2B等に示すように、被写体側においてレンズL1~L3を保持した状態で、光軸X方向に沿って前進・後退する。これにより、レンズL1~L20の間の距離が変化することで、広角撮影、望遠撮影を行うことができる。
【0015】
2群ユニット12は、図2Aおよび図2B等に示すように、1群ユニット11の内周面側に配置された円筒状の部材であって、レンズL4~L9を保持している。
カム枠13は、図3に示すように、円筒状の部材であって、4群ユニット16の外周面側に配置されている。そして、カム枠13には、4群ユニット16のカムピン(図示せず)や、5群ユニット17の外周面に設けられたカムピン17c等が嵌合するカム溝13aが形成されている。
【0016】
これにより、図示しない回転駆動源から付与される回転駆動力を受けて、カム溝13aに沿ってカムピン17c等が移動することで、1群ユニット11から5群ユニット17を光軸X方向において前後に移動させることができる。よって、1群ユニット11から5群ユニット17に含まれる各レンズL1~L20間の距離を調整して、広角撮影や望遠撮影等を行うことができる。
【0017】
固定枠14は、図3に示すように、円筒状の1群ユニット11および4群ユニット16の外周側に配置された円筒状の部材であって、1群ユニット11から4群ユニット16の外周面を覆うように配置されている。また、固定枠14は、略円筒状の内周面と外周面とを連通させる貫通溝14aを有している。
貫通溝14aは、カムピン17c等が挿入されている。カムピン17cは、貫通溝14aを介して、カム枠13のカム溝13aに係合した状態でカム溝13aに沿って移動する。
【0018】
3群ユニット15は、図3に示すように、円筒状の4群ユニット16の内周側に、光軸X方向において移動可能な状態で配置されている。そして、3群ユニット15は、図示しないアクチュエータによって駆動されることで、レンズL10~L17を保持した状態で、光軸X方向において前後に移動する。
4群ユニット16は、略円筒形状を有し、図3に示すように、光軸X方向における被写体側から見て、3群ユニット15の下流側に配置されている。そして、4群ユニット16は、レンズL18を保持している。
【0019】
5群ユニット17は、図3に示すように、円筒状の4群ユニット16の内周側に、光軸X方向において移動可能な状態で配置されている。そして、5群ユニット17は、レンズL19,L20を保持した状態で、図示しないアクチュエータによって駆動されることで、光軸X方向において前後に移動する。
マウントベース18は、図3に示すように、レンズ鏡筒10のベースとなる略円筒状の部材であって、4群ユニット16が内周面側に固定されている。また、マウントベース18には、相対回転可能な状態でカム枠13が取り付けられる。
【0020】
外装ユニット19は、図1Aおよび図4等に示すように、レンズ鏡筒10の外装部分を構成する円筒状の部材であって、円環状のフォーカスリング19a、ズームリング19b等が回転可能な状態で外周面に取り付けられている。
後枠20は、外装ユニット19の被写体とは反対側の端部に取り付けられており、外装ユニット19とともにレンズ鏡筒10の外装部分を構成する。そして、後枠20は、マウントベース18、外装ユニット19に対して相対回転するように取り付けられている。
【0021】
制御基板21は、光軸X方向におけるレンズ鏡筒10の被写体側とは反対側の端部付近に設けられている。制御基板21は、後述するズームエンコーダ25(図12A図13等参照)に接続されており、ズームエンコーダ25において検出されるレンズ群のズーム位置(変倍位置)に基づいて、レンズL1~L20の相対位置を変化させるアクチュエータ(図示せず)を制御する。
【0022】
レンズ取付指標リングユニット22は、光軸X方向におけるレンズ鏡筒10の被写体側とは反対側の端部に設けられた略円環状の部材であって、カメラ本体50あるいはテレコンバータ30に対して装着される際の、光軸Xを中心とする回転方向における基準位置を示すマークが付されている。
レンズマウント(装着部)23は、マウントベース18に対して固定され、カメラ本体50あるいはテレコンバータ30に対してレンズ鏡筒10が装着される際に、カメラ本体50あるいはテレコンバータ30の本体部31に設けられたマウント部に係止される。
【0023】
テレコンバータ30は、例えば、1.4倍の望遠撮影を可能とするために、レンズ鏡筒10の焦点距離を延ばす略円筒状の補助部材である。テレコンバータ30は、図4Aおよび図4Bに示すように、レンズ鏡筒10におけるカメラ本体50との接続側の端部(レンズマウント23)に装着され、内部に、複数のレンズL21~L26(図5B等参照)を内包している。
【0024】
ここで、テレコンバータ30が、図5Aに示すレンズ鏡筒10の光軸X方向における被写体とは反対側の端部に装着されると、図5Bに示すWIDE位置において、5群ユニット17に含まれるレンズ群(レンズL19,L20)と、テレコンバータ30に含まれるレンズ群(L21~L26)とが互いに干渉してしまう。
すなわち、レンズ鏡筒10側の5群ユニット17に含まれるレンズL19,L20は、WIDE位置において、レンズ鏡筒10の光軸X方向における被写体とは反対側の端部に配置されている。一方、テレコンバータ30に含まれるレンズ群は、レンズ鏡筒10との接続側に向かって突出するように配置されている。
【0025】
このため、レンズ鏡筒10が図5Bに示すWIDE位置にある状態で、テレコンバータ30が装着されると、5群ユニット17に含まれるレンズ群(レンズL19,L20)と、テレコンバータ30に含まれるレンズ群(L21~L26)とが、図5Bに示す干渉幅の分だけ互いに干渉してしまう。
ここで、図5Aに示すレンズ鏡筒10の光軸X方向における被写体とは反対側の端部に装着された状態で、図6に示すTELE位置に移行すると、5群ユニット17に含まれるレンズ群(レンズL19,L20)と、テレコンバータ30に含まれるレンズ群(L21~L26)とが互いに干渉することはない。
【0026】
よって、本実施形態のレンズ鏡筒10は、5群ユニット17側に、WIDE位置において、レンズL19,L20と、テレコンバータ30側のレンズL21等との干渉を回避するための退避機構(カムピンホルダ17b、付勢バネ17f等)を備えている。
具体的には、5群ユニット17は、図7Aおよび図7Bに示すように、レンズL19,L20を保持する本体部17aと、カムピンホルダ17bと、カムピン17cと、カムピンホルダガイド軸(第2ガイド軸)17dと、回転規制部17eと、付勢バネ17fと、主軸(第1ガイド軸)17gと、副軸(第1ガイド軸)17hと、クッション材(緩衝部材)17iと、を備えている。
【0027】
そして、5群ユニット17は、図8Aに示すレンズ鏡筒10の光軸X方向における被写体側とは反対側(像面側)の端部にテレコンバータ30が装着されると、図8B中の黒矢印方向に退避して、テレコンバータ30側との干渉を回避する。
このとき、5群ユニット17に含まれるカムピン17cを保持するカムピンホルダ17bは、カムピン17cがカム枠13のカム溝13aに係合した状態のまま移動しない。
【0028】
これにより、図8Aおよび図8Bに示すように、テレコンバータ30が装着された場合でも、5群ユニット17に含まれる本体部17aだけが光軸X方向において被写体側へ移動する。
よって、テレコンバータ30が装着時には、レンズL19,L20を保持する本体部17aを退避させつつ、カムピン17cを保持するカムピンホルダ17bの位置は不変とすることで、カム枠13の回転等に伴う他のレンズ枠への影響を排除することができる。
【0029】
本体部17aは、図9に示すように、レンズL19,L20を保持する略円環状のレンズ保持部(保持部)17aaと、主軸17gを保持し光軸X方向に沿って略円環状の部分から延伸するように形成された延伸部17abと、を有している。
カムピンホルダ17bは、図9に示すように、本体部17aの延伸部17abに形成された溝内に設けられている。カムピンホルダ17bは、延伸部17ab内を光軸X方向に沿って移動することで、本体部17aのレンズ保持部17aaに対して相対的に移動する。
【0030】
また、カムピンホルダ17bは、図10に示すように、凹部17baと、突起部17bbと、挿入孔17bcとを有している。
凹部17baは、図10に示すように、径方向外側に向かって開口しており、カムピン17cが挿入された状態で保持される。
突起部17bbは、図9および図10に示すように、光軸X方向に交差する方向に突出するように形成されている。そして、突起部17bbは、固定枠14の貫通溝14aを形成する傾斜面上に掛かるように配置されている。
【0031】
これにより、例えば、外部からの衝撃が付与されてカムピン17cがカム枠13のカム溝13aから離脱しそうになった場合でも、カムピン17cを保持するカムピンホルダ17bの突起部17bbが、カムピンホルダ17bの径方向内側への移動を規制することで、カムピン17cのカム溝13aからの離脱を効果的に防止することができる。
挿入孔17bcは、図10に示すように、カムピンホルダ17bの延伸部17abにおいて光軸X方向に沿って貫通するように形成されており、主軸17gが挿入される。
【0032】
ここで、挿入孔17bcに挿入された主軸17gは、図10に示すように、挿入孔17bcの内周面と主軸17gの外周面との間に、所定の隙間が形成されるように配置されている。
これにより、5群ユニット17は、主軸17gとカムピンホルダ17bとの間に生じる摩擦等によって移動が妨げられることなく、光軸X方向に沿ってスムーズに移動することができる。
【0033】
カムピン17cは、図10に示すように、カムピンホルダ17bの凹部17ba内に保持された状態で、径方向外向きに突出するように配置されており、その先端がカム枠13のカム溝13aに係合する。これにより、カム枠13が相対回転すると、カム溝13aに係合しているカムピン17cを光軸方向において移動させることで、レンズ鏡筒10に含まれるレンズL1~L20の相対位置を変化させることができる。
【0034】
カムピンバネ17caは、図10に示すように、カムピンホルダ17bに設けられた凹部17baにおいて、カムピン17cの根元部分の外周面に嵌め込まれるように配置されており、カムピン17cを径方向外側に向かって付勢する。
カムピンホルダガイド軸(第2ガイド軸)17dは、図7Bおよび図10に示すように、本体部17aの延伸部17ab内に光軸X方向に沿って配置されている。カムピンホルダガイド軸17dは、カムピンホルダ17bを光軸X方向において前後に移動可能な状態で支持する。また、カムピンホルダガイド軸17dは、その外周面側に、カムピンホルダ17bを光軸X方向において付勢する付勢バネ17fが配置されている。
【0035】
これにより、カムピンホルダガイド軸17dに沿って移動するカムピンホルダ17bは、付勢バネ17fによって光軸X方向に付勢された状態で、本体部17aの延伸部17ab内で保持される。
回転規制部17eは、図10に示すように、径方向における両端部においてカムピンホルダ17bと当接する当接部17eaを有している。回転規制部17eは、当接部17eaにおいてカムピンホルダ17bと当接することで、カムピンホルダガイド軸17dを中心とするカムピンホルダ17bの回転を規制する。
【0036】
付勢バネ17fは、図11に示すように、カムピンホルダガイド軸17dの外周に巻回された状態で保持されており、カムピンホルダガイド軸17dに沿って光軸X方向において移動するカムピンホルダ17bの側面を光軸X方向において付勢する。付勢バネ17fは、テレコンバータ30がレンズマウント23に装着されると収縮して、5群ユニット17に含まれる本体部17aを、カムピンホルダ17bの位置を変化させることなく光軸X方向において移動させて、テレコンバータ30側のレンズL21等と干渉しないように退避させる。
【0037】
また、付勢バネ17fは、テレコンバータ30が装着されていない状態では、カム枠13の回転によってカムピン17cがカム溝13aに沿って移動する際に、レンズ保持部17aaと延伸部17abに保持されているカムピンホルダ17bとの距離が変化しない程度の付勢力を有している。
これにより、カム溝13aに沿ってカムピン17c等を駆動して、WIDE位置あるいはTELE位置にレンズL1~L20の相対的な位置を変化させる際には、付勢バネ17fの伸縮による影響を排除することができる。
【0038】
一方、テレコンバータ30がレンズ鏡筒10に装着された状態にのみ、付勢バネ17fが伸縮することで、テレコンバータ30の装着時における5群ユニット17との干渉を回避することができる。
主軸(第1ガイド軸)17gは、図9に示すように、光軸X方向に沿って配置されており、5群ユニット17を光軸X方向において案内する。主軸17gは、図10に示すように、カムピンホルダ17bに設けられた挿入孔17bcに挿入された状態で、カムピンホルダ17bが光軸X方向において前後に移動可能な状態で支持する。
【0039】
副軸(第1ガイド軸)17hは、図9に示すように、主軸17gと略平行に配置されており、5群ユニット17の本体部17aのレンズ保持部17aaの外周部分を支持している。
これにより、5群ユニット17は、主軸17gおよび副軸17hによって支持された状態で、光軸X方向において前後に移動する。
【0040】
クッション材(緩衝部材)17iは、5群ユニット17の光軸方向における被写体とは反対側の端部に取り付けられた弾性を有する部材である。クッション材17iは、図11に示すように、5群ユニット17の本体部17aのレンズ保持部17aaとの間に、レンズL19,L20を挟み込むように保持する。
これにより、レンズ鏡筒10のレンズマウント23にテレコンバータ30を装着する際に、テレコンバータ30側のレンズL21等が5群ユニット17の部材に接触した場合でも、クッション材17iの緩衝効果によって接触時の衝撃を軽減することができる。
【0041】
ここで、本実施形態のレンズ鏡筒10は、上述したように、5群ユニット17側に、WIDE位置において、レンズL19,L20と、テレコンバータ30側のレンズL21等との干渉を回避するための退避機構(カムピンホルダ17b、付勢バネ17f等)を備えている。
さらに、本実施形態のレンズ鏡筒10では、テレコンバータ30の装着時に、5群ユニット17のレンズL19,L20が正規の位置にはなく退避位置にあることから、使用者に撮影時の注意を促すような表示制御を行う制御基板(表示制御部)21(図15参照)を備えている。
【0042】
制御基板21は、ズームエンコーダ25と接続されており、ズームエンコーダ25からの出力によって、レンズL1~L20の位置が、WIDE位置かTELE位置かを検出する。
ズームエンコーダ25は、図12Aおよび図13に示すように、ズームリング19bの内周側に配置されており、レンズ鏡筒10に含まれるレンズL1~L20の相対位置を検出する。
【0043】
また、ズームリング19bの回転は、図13に示すように、ズームリング19bの内周側に向かって突出するように設けられたズーム駆動ピン28に伝達される。
ズーム駆動ピン28は、上述したカム枠13に形成されたカム溝に係合しており、ズームリング19bを手動で回転させると、ズーム駆動ピン28を介して、カム枠13が回転することで、レンズ鏡筒10に含まれるレンズL1~L20の相対位置が変化する。
【0044】
また、制御基板21は、図12Bに示すように、レンズ鏡筒10の光軸方向とは反対側の端部に設けられた電気的接点(レンズ接点26およびテレコン検知接点27)を介して、テレコンバータ30あるいはカメラ本体50と電気的に接続される。
同様に、テレコンバータ30は、図14A図14Bおよび図14Cに示すように、本体部31と、本体部31におけるカメラ本体50への接続側の面に設けられたレンズ接点32(図14C参照)と、本体部31におけるレンズ鏡筒10への接続側の面に設けられたレンズ接点ピン33およびテレコン検知ピン34(図14A参照)と、を備えている。
【0045】
レンズ接点32は、テレコンバータ30がカメラ本体50に対して装着されると、カメラ本体50側に設けられた接点ピン53と当接するように配置されている。これにより、カメラ本体50では、レンズ接点32を介して、テレコンバータ30側との間において各種信号の送受信を行うことができる。
レンズ接点ピン33は、図14Aに示すように、レンズ鏡筒10との接続側に配置されている。レンズ接点ピン33は、レンズ鏡筒10に対してテレコンバータ30が装着されると、レンズ鏡筒10側のレンズ接点26と電気的に接続される。また、レンズ接点ピン33は、図15に示すように、テレコンバータ30内において、レンズ接点32と電気的に接続されている。
【0046】
テレコン検知ピン34は、レンズ接点ピン33と同様に、図14Aに示すように、レンズ鏡筒10との接続側に配置されている。テレコン検知ピン34は、レンズ鏡筒10に対してテレコンバータ30が装着されると、レンズ鏡筒10側のテレコン検知接点27と電気的に接続される。また、テレコン検知ピン34は、図15に示すように、テレコンバータ30内において、レンズ接点32と電気的に接続されている。
【0047】
本実施形態のレンズ鏡筒10では、テレコンバータ30がカメラ本体50とレンズ鏡筒10との間に装着された状態では、制御基板21が、テレコン検知接点27とテレコン検知ピン34との接続状態を検出して、テレコンバータ30の装着状態であることを示す信号を、カメラ本体50に対して送信する。
一方、制御基板21は、テレコンバータ30がカメラ本体50とレンズ鏡筒10との間に装着されていない状態では、制御基板21が、テレコン検知接点27とテレコン検知ピン34との接続状態を検出できないため、テレコンバータ30の装着状態であることを示す信号を、カメラ本体50に対して送信しない。
【0048】
これにより、カメラ本体50では、テレコンバータ30が装着された状態であるか否かを、レンズ鏡筒10の制御基板21からの信号の受信の有無に応じて判断することができる。
また、本実施形態のレンズ鏡筒10では、図15に示すように、テレコンバータ30がカメラ本体50とレンズ鏡筒10との間に装着された状態では、上述したように、5群ユニット17に含まれるレンズL19,L20の位置が付勢バネ17fの伸縮によって移動し、正規の位置ではない位置に退避している可能性がある。
【0049】
よって、制御基板21は、テレコンバータ30が装着された状態では、ズームエンコーダ25において検出されるレンズ鏡筒10に含まれるレンズL1~L20の相対位置(例えば、WIDE位置、TELE位置)を示す信号受信して、TELE側での使用を促すメッセージを、カメラ本体50の表示パネル52に表示させるように、表示制御信号を送信する。
【0050】
これにより、レンズ接点26、レンズ接点ピン33およびレンズ接点32、接点ピン53を介して、レンズ鏡筒10の制御基板21から表示制御信号を受信したカメラ本体50の制御基板51は、使用者に対してTELE側での使用を促す表示を行うように、表示パネル52を制御することができる。
よって、使用者は、カメラ本体50の表示パネル52に表示された注意喚起メッセージを見ることで、WIDE位置においてはレンズ位置が適正ではないため適正な撮影を行い得ないことを認識することができる。
【0051】
この結果、テレコンバータ30を装着した状態において、レンズ鏡筒10とテレコンバータ30との部品同士の干渉を回避しつつ、適正な撮影を行うことができる条件を、カメラ本体50側の表示パネル52において表示することができる。
<主な特徴>
本実施形態のレンズ鏡筒10は、図8Aおよび図8Bに示すように、レンズマウント23、5群ユニット17、カム枠13、カムピン17c、カムピンホルダ17b、主軸17gおよび副軸17h、付勢バネ17fを備える。レンズマウント23は、テレコンバータ30が装着される。5群ユニット17は、テレコンバータ30が装着されると光軸方向において干渉するレンズL21等を含む。カム枠13は、5群ユニット17を内包するとともに、カム溝13aを有する。カムピン17cは、光軸方向に交差する方向に突出し、カム溝13aに係合した状態で光軸方向に移動する。カムピンホルダ17bは、光軸方向において相対移動可能な状態で5群ユニット17に設けられており、カムピン17cを保持する。主軸17gおよび副軸17hは、光軸方向に沿って配置されており、5群ユニット17を光軸方向に移動可能とする。付勢バネ17fは、5群ユニット17に設けられ、光軸方向における被写体側に向かってカムピンホルダ17bを付勢し、テレコンバータ30がレンズマウント23に装着されると収縮して5群ユニット17を光軸方向に退避させる。
【0052】
これにより、レンズ鏡筒10の光軸方向における被写体側とは反対側(像面側)にテレコンバータ30が装着されると、レンズ鏡筒10の最も像面側に配置された5群ユニット17に含まれるレンズL19,L20を保持する本体部17aが、テレコンバータ30に含まれるレンズL21等と当接して光軸方向に押圧される。このとき、本体部17aは、付勢バネ17fが収縮することで、カムピンホルダ17bに対して相対的に移動する。
【0053】
すなわち、テレコンバータ30がレンズ鏡筒10に装着された場合には、5群ユニット17のレンズL19,L20を保持する本体部17aのみが光軸方向において移動し、カムピンホルダ17bは光軸方向において移動せずに保持される。
よって、テレコンバータ30が装着された場合でも、レンズ鏡筒10およびテレコンバータ30に含まれる部品が損傷する等の不具合の発生を回避することができる。
【0054】
[他の実施形態]
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、カム枠13の光軸Xを中心とする相対回転によって、カム溝13aに係合しているカムピン17c等が移動することで、レンズ鏡筒10に含まれるレンズL1~L20の相対位置を変化させて、WIDE位置、TELE位置での撮影を可能とする例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0055】
例えば、図16に示すように、カム枠13のカム溝13aに係合するカムピン17cの代わりに、ステッピングモータユニット(駆動部)117dによって光軸方向に沿って前後に駆動されるラック117cを備えた5群ユニット(退避レンズ枠)117であってもよい。
5群ユニット117は、本体部117aと、ラックホルダ117bと、ラック117cと、ステッピングモータユニット117dと、付勢バネ17fと、主軸17gと、副軸17hと、を備えている。
【0056】
なお、付勢バネ17f、主軸17gおよび副軸17hについては、上記実施形態1と同様の構成であることから、それらの詳細な説明は省略する。
本体部117aは、図16に示すように、レンズL19,L20を保持するレンズ保持部117aaと、レンズ保持部117aaの外周部から光軸方向に沿って延伸した延伸部117abと、を有している。
【0057】
ラックホルダ117bは、光軸方向において相対移動可能な状態で5群ユニット117に設けられており、ラック117cを保持している。また、ラックホルダ117bは、上記実施形態1のカムピンホルダ17bと同様に、付勢バネ17fによって、光軸方向に沿ってその側面を付勢されている。
ラック117cは、光軸方向に交差する方向に突出するように設けられており、ラックホルダ117bに保持された状態で光軸方向に沿って移動する。
【0058】
ステッピングモータユニット117dは、ステッピングモータを含むユニットであって、ステッピングモータの回転駆動力によってラックホルダ117bを光軸方向において前後に移動させる。
本実施形態のレンズ鏡筒では、以上のような構成を備えており、図17Aに示す5群ユニット117の光軸方向における被写体側とは反対側の端部に、テレコンバータが装着されると、上記実施形態1の5群ユニット17と同様に、レンズ保持部117aaの部分がテレコンバータと接触して、光軸方向における被写体側へ退避する(図17B参照)。
【0059】
このとき、レンズ保持部117aaは、テレコンバータ側との干渉分だけ光軸方向における被写体側へ退避するとともに、ラックホルダ117bによって保持されたラック117cは、光軸方向において移動しない。
すなわち、ラックホルダ117bは、付勢バネ17fによって光軸方向において付勢されており、テレコンバータが装着されると、付勢バネ17fが収縮することで、5群ユニット117のレンズ保持部117aaだけが光軸方向において移動し、ラックホルダ117bの位置は不変である。
【0060】
よって、本実施形態の構成によれば、図17Aおよび図17Bに示すように、テレコンバータが装着された場合でも、レンズ鏡筒側あるいはテレコンバータ側の部品が損傷する等の不具合の発生を回避することができる。
(B)
上記実施形態では、テレコンバータ30が装着されると、5群ユニット(退避レンズ枠)17に含まれる付勢バネ17fが縮小することで、5群ユニット17の本体部17aがカムピン17c(カムピンホルダ17b)に対して近づく方向に移動する例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0061】
例えば、付勢バネの位置がカムピンホルダの光軸方向における被写体側に配置された構成の場合には、テレコンバータが装着されると、付勢バネ17fが引っ張られることで、5群ユニット17の本体部17aがカムピン17c(カムピンホルダ17b)に対して近づく方向に移動する構成であってもよい。
(C)
上記実施形態では、テレコンバータ30の装着時に退避させる退避レンズ枠として、5群ユニット17を用いた例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0062】
例えば、テレコンバータ装着時に退避させる退避レンズ枠は5群ユニットに限らず、他のレンズ群ユニットであってもよい。
(D)
上記実施形態では、退避レンズ枠としての5群ユニット17が、主軸17gおよび副軸17hの2本のガイド軸に沿って光軸方向において前後に移動する例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0063】
例えば、退避レンズ枠を光軸方向において案内するガイド軸は、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
(E)
上記実施形態では、5群ユニット17におけるテレコンバータ30が装着される側の端部に、テレコンバータ30側の部材と5群ユニット17側の部材との接触時の衝撃を緩衝するクッション材17iが設けられている例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0064】
例えば、テレコンバータ側の部材と退避レンズ枠側の部材とが、互いに衝突しても破損等の不具合が生じない程度の強度を有している場合には、クッション材(緩衝部材)のない構成であってもよい。
(F)
上記実施形態では、テレコンバータ30が装着されたこと、およびズームエンコーダ25において検出されたレンズの位置がWIDE側であることを検知すると、TELE側での使用を促すメッセージを、カメラ本体50の表示パネル52に表示させる例を挙げて説明した。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0065】
例えば、テレコンバータの装着を検知すると、WIDE側における撮影を不可とするメッセージを表示してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本開示のレンズ鏡筒は、テレコンバータが装着された場合でも、部品が損傷する等の不具合の発生を回避することができるという効果を奏することから、各種カメラに装着されるレンズ鏡筒に対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
10 レンズ鏡筒
11 1群ユニット
12 2群ユニット
13 カム枠
13a カム溝
14 固定枠
14a 貫通溝
15 3群ユニット
16 4群ユニット
17 5群ユニット(退避レンズ枠)
17a 本体部
17aa レンズ保持部(保持部)
17ab 延伸部
17b カムピンホルダ
17ba 凹部
17bb 突起部
17bc 挿入孔
17c カムピン
17ca カムピンバネ
17d カムピンホルダガイド軸(第2ガイド軸)
17e 回転規制部
17ea 当接部
17f 付勢バネ
17g 主軸(第1ガイド軸)
17h 副軸(第1ガイド軸)
17i クッション材(緩衝部材)
18 マウントベース
19 外装ユニット
19a フォーカスリング
19b ズームリング
20 後枠
21 制御基板(表示制御部)
22 レンズ取付指標リングユニット
23 レンズマウント(装着部)
25 ズームエンコーダ
26 レンズ接点
27 テレコン検知接点(装着検知部)
28 ズーム駆動ピン
30 テレコンバータ
31 本体部
32 レンズ接点
33 レンズ接点ピン
34 テレコン検知ピン
50 カメラ本体
51 制御基板
52 表示パネル(表示部)
53 接点ピン
100 カメラ
117 5群ユニット(退避レンズ枠)
117a 本体部
117aa レンズ保持部
117ab 延伸部
117b ラックホルダ
117c ラック
117d ステッピングモータユニット(駆動部)
L1~L20 レンズ(光学レンズ)
L21~L26 レンズ(光学レンズ)
X 光軸
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17A
図17B