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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176409
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20231206BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20231206BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20231206BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H01L29/78 658A
H01L29/78 653A
H01L29/78 652M
H01L29/78 652H
H01L29/78 652P
H01L29/78 658G
H01L29/78 652T
H01L29/06 301V
H01L29/06 301G
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088676
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下村 彰宏
(72)【発明者】
【氏名】沢田 雅己
(57)【要約】
【課題】スーパージャンクション構造を採用した縦型パワーMOSFETにおいて、オン抵抗の増大を防ぐ。
【解決手段】スーパージャンクション構造の縦型パワーMOSFETの製造工程において、n型の半導体層SLと半導体層SL上のp型のエピタキシャル層EPとを備えた半導体基板SBの上面に、ゲート電極を埋め込むためのトレンチGTをマスクを用いたエッチング法により形成した後、当該マスクを用いてトレンチGTの底部にn型不純物を導入することで、半導体層SLに達するn型コラムNCを形成するものである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1導電型の第1半導体層上に、前記第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層を形成した半導体基板を準備する工程、
(b)所定の開口幅を有するエッチングマスクを用いて、所定の幅を有して前記第2半導体層の上面から途中深さに達するゲートトレンチを形成する工程、
(c)前記ゲートトレンチの底部における前記第2半導体層内に前記第1導電型の不純物を導入することで、前記第1半導体層に達する前記第1導電型の第1コラムを形成する工程、
(d)前記ゲートトレンチの側面における前記第2半導体層内に前記第2導電型のボディ領域と前記第1導電型のソース領域とを形成する工程、
を含み、
前記(c)工程における不純物の導入は、前記ゲートトレンチの開口を規定する前記エッチングマスクを不純物導入のマスクとして用いるイオン注入によって行われる、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1コラムは、前記ゲートトレンチの底面に接している、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程では、複数の前記ゲートトレンチを形成し、
前記第2半導体層の一部は、隣り合う2つの前記ゲートトレンチの対向する側面同士の間に亘って形成されている、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1コラムは、前記ゲートトレンチの底面と離間している、半導体装置の製造方法。
【請求項5】
(a)第1導電型の第1半導体層上に、前記第1導電型の第2半導体層を形成した半導体基板を準備する工程、
(b)所定の開口幅を有するエッチングマスクを用いて、所定の幅を有して前記第2半導体層の上面から途中深さに達するゲートトレンチを形成する工程、
(c)前記ゲートトレンチの底部における前記第2半導体層内に前記第1導電型の不純物を導入することで、前記第1半導体層に達する前記第1導電型の第1コラムを形成する工程、
(d)前記ゲートトレンチの側面における前記第2半導体層内に、前記第1導電型とは異なる第2導電型のボディ領域と前記第1導電型のソース領域とを形成する工程、
(e)前記第2半導体層の前記上面に沿う第1方向において前記ゲートトレンチと離間する前記第2半導体層内に、前記第2導電型の不純物を導入することで、前記第1方向において前記第1コラムと隣り合う前記第2導電型の第2コラムを形成する工程、
を含み、
前記(c)工程における不純物の導入は、前記ゲートトレンチの開口を規定する前記エッチングマスクを不純物導入のマスクとして用いるイオン注入によって行われる、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1コラムは、前記ゲートトレンチの底面に接している、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項5記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1コラムは、前記ゲートトレンチの底面と離間している、半導体装置の製造方法。
【請求項8】
第1導電型の第1半導体層上に、前記第1導電型とは異なる第2導電型の第2半導体層が形成された半導体基板と、
所定の幅を有して前記第2半導体層の上面から途中深さに達するゲートトレンチと、
前記ゲートトレンチ内に絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
前記ゲートトレンチの直下の前記第2半導体層内に形成され、前記第1半導体層に達する前記第1導電型の第1コラムと、
前記ゲートトレンチの側面における前記第2半導体層内に形成された、前記第2導電型のボディ領域および前記第1導電型のソース領域と、
を有する、半導体装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置において、
前記第1コラムは、前記ゲートトレンチの底面に接している、半導体装置。
【請求項10】
請求項8記載の半導体装置において、
前記ゲートトレンチは、複数並んで形成され、
前記第2半導体層の一部は、隣り合う2つの前記ゲートトレンチの対向する側面同士の間に亘って形成されている、半導体装置。
【請求項11】
請求項8記載の半導体装置において、
前記第1コラムは、前記ゲートトレンチの底面と離間している、半導体装置。
【請求項12】
第1導電型の第1半導体層上に、前記第1導電型の第2半導体層が形成された半導体基板と、
所定の幅を有して前記第2半導体層の上面から途中深さに達するゲートトレンチと、
前記ゲートトレンチ内に絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
前記ゲートトレンチの直下の前記第2半導体層内に形成され、前記第1半導体層に達する前記第1導電型の第1コラムと、
前記ゲートトレンチの側面における前記第2半導体層内に形成された、前記第1導電型と異なる第2導電型のボディ領域および前記第1導電型のソース領域と、
前記第2半導体層の前記上面に沿う第1方向において、前記ゲートトレンチと離間する前記第2半導体層内に形成され、前記第1コラムと隣り合う前記第2導電型の第2コラムと、
を有する、半導体装置。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置において、
前記第1コラムは、前記ゲートトレンチの底面に接している、半導体装置。
【請求項14】
請求項12記載の半導体装置において、
前記第1コラムは、前記ゲートトレンチの底面と離間している、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、パワー半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パワー半導体装置である縦型パワーMOSFETにおいて、耐圧を維持し、且つオン抵抗を抑制するために、n型コラムとp型コラムが交互に配置されたスーパージャンクション構造を採用することが検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2006-196518号公報)には、スーパージャンクション構造を採用した半導体装置において、ゲート電極が埋め込まれた複数のトレンチの間の半導体基板内に、p型コラムをイオン注入法により形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-196518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を用いてp型コラムを形成する場合、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法により形成されるトレンチ(ゲートトレンチ)とp型コラムとが、リソグラフィの合わせずれにより接近する場合がある。また、p型コラム内の不純物が横方向に過度に拡散することも考えられる。それらの場合、電流経路であるn型半導体領域の幅が狭まり、半導体素子のオン抵抗が増大する結果、半導体装置の性能が低下する。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0008】
一実施の形態である半導体装置の製造方法は、スーパージャンクション構造の縦型パワーMOSFETの製造工程において、n型半導体層と当該n型半導体層上のp型半導体層とを備えた半導体基板の上面に、ゲートトレンチをマスクを用いたエッチング法により形成した後、当該マスクを用いてゲートトレンチの底部にn型不純物を導入することで、当該n型半導体層に達するn型コラムを形成するものである。
【0009】
一実施の形態である半導体装置は、スーパージャンクション構造の縦型パワーMOSFETにおいて、n型半導体層と当該n型層上のp型半導体層とを備えた半導体基板の上面に形成され、ゲート電極が埋め込まれたゲートトレンチと、当該ゲートトレンチの直下に形成されて当該p型半導体層と隣接し、当該n型半導体層に接するn型コラムと、を有するものである。
【発明の効果】
【0010】
本願において開示される一実施の形態によれば、半導体装置の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る半導体装置の製造工程中の断面図である。
図2図1に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
図3図2に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
図4図3に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
図5図4に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
図6図5に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
図7図6に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
図8図7に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
図9図8に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
図10図9に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
図11図10に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
図12図11に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
図13】実施の形態1に係る半導体装置の要部断面図である。
図14】実施の形態2に係る半導体装置の製造工程中の断面図である。
図15図14に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
図16図15に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
図17図16に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
図18】実施の形態2に係る半導体装置の要部断面図である。
図19】比較例の半導体装置を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その言及した数に限定されるものではなく、言及した数以上でも以下でもよい。
【0013】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことはいうまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0014】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0015】
(実施の形態1)
<半導体装置の製造方法>
以下に、図1図12を参照しながら、本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明する。図1図12は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の断面図である。本実施の形態の半導体装置(半導体素子)は、縦型パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor、MOS型の電界効果トランジスタ)である。MOSFETは、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)の一種である。
【0016】
まず、図1に示すように、主面(上面)上にp型半導体層からなるエピタキシャル層EPを形成したn型の半導体層SL、つまり積層構造を有する半導体基板(半導体ウェハ)SBを用意する。つまり、エピタキシャル層EPは、その底面側にn型半導体領域である半導体層SLを備えている。エピタキシャル層EPおよび半導体層SLからなる半導体基板(積層半導体基板)SBは、後にダイシングにより個片化されて半導体チップとなるチップ領域を複数有している。平面視において、各チップ領域の中心には素子が形成されるセル領域CRがある。チップ領域内の外周部は周辺領域PERである。図1では、図の中央から左側に亘ってセル領域CRを示し、図の右側に周辺領域PERを示している。
【0017】
半導体層SLは、例えばP(リン)などのn型不純物を単結晶シリコンに導入することにより形成されている。半導体層SLの抵抗は、例えば1.5mΩcm以下である。半導体層SLのn型不純物濃度は、例えば5.2×1019cm-3である。エピタキシャル層EPは、半導体層SL上にエピタキシャル成長法を用いて形成されている。エピタキシャル層EPは、主にSi(シリコン)からなる。エピタキシャル層EP内には、エピタキシャル成長時にp型不純物(例えばB(ホウ素))が導入されている。エピタキシャル層EPのp型不純物濃度は、例えば2.5×1018cm-3である。
【0018】
続いて、エピタキシャル層EP上(半導体基板(積層半導体基板)上)に、絶縁膜IF1、IF2およびIF3を順に形成する。絶縁膜IF1は、例えば酸化シリコンからなり、例えば酸化法により形成できる。絶縁膜IF2は、例えば窒化シリコンからなり、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成できる。絶縁膜IF3は、例えば酸化シリコンからなり、例えばCVD法により形成できる。
【0019】
続いて、絶縁膜IF3上に、フォトレジスト膜PR1を形成する。フォトレジスト膜PR1は、セル領域CRおよび周辺領域PERのそれぞれにおいて、絶縁膜IF3を露出する開口部を有するレジストパターンである。セル領域CRには、平面視において当該開口部が複数並んでいる。続いて、フォトレジスト膜PR1をマスク(エッチング防止マスク、エッチングマスク)として用いてドライエッチングを行う。これにより、絶縁膜IF1、IF2およびIF3の一部を除去し、エピタキシャル層の上面を露出させる。
【0020】
次に、図2に示すように、フォトレジスト膜PR1、絶縁膜IF1、IF2およびIF3をマスクとして用いてドライエッチングを行う。これにより、エピタキシャル層EPの上面から、エピタキシャル層EPの途中深さに達するトレンチGTを複数形成する。セル領域CRにおいて、所定の幅および所定の深さを有するトレンチGTは、半導体層SLの上面および半導体基板SBの上面に沿うY方向に延在し、平面視でY方向に直交するX方向に複数並んでいる。ただし、トレンチGTは平面視において、島状に形成され、千鳥状に複数並んで配置されていてもよい。トレンチGTはエピタキシャル層EPの途中深さまで達しており、エピタキシャル層EPと半導体層SLとの界面には達していない。エピタキシャル層EPの上面に対して垂直な方向(垂直方向、縦方向、厚さ方向)におけるトレンチGTと半導体層SLとの距離は、例えば2μm以下である。トレンチGTは、後の工程で内部にゲート電極が埋め込まれるゲートトレンチである。
【0021】
ここでは、フォトレジスト膜PR1をトレンチGTの形成工程で行うエッチングのマスクとして用いることについて説明した。ただし、図1を用いて説明した工程の後、当該エッチングを行う前にフォトレジスト膜PR1を除去してもよい。その場合、当該エッチングでは絶縁膜IF1、IF2およびIF3のみをマスク(ハードマスク)として用いる。
【0022】
次に、図3に示すように、フォトレジスト膜PR1、絶縁膜IF1、IF2およびIF3をマスク(イオン注入阻止マスク、不純物導入マスク)として用いてイオン注入を行う。すなわち、トレンチGTの底面におけるエピタキシャル層EP内にn型不純物(例えばP(リン))を導入する。ここでは、トレンチGTの直下のエピタキシャル層EP内に、n型不純物を、異なる注入エネルギーで2回打ち込む。つまり、多段注入を行う。このようにしてエピタキシャル層EPにn型不純物を導入することで、各トレンチGTの直下のエピタキシャル層EP内にn型コラムNCを形成する。この注入工程のドーズ量は、例えば5.0×1013~5.0×1014cm-2である。この注入工程の注入エネルギーは、例えば1回目が1.5MeV、2回目が2.0MeVである。n型コラムNCの縦方向の長さは、例えば2μm程度である。n型コラムNCのn型不純物濃度は、例えば1.0×1019cm-3である。
【0023】
互いに隣り合うトレンチGTのそれぞれの直下のn型コラムNC同士は、p型のエピタキシャル層EPを介して離間している。n型コラムNCは、エピタキシャル層EPの上面に沿う方向においてエピタキシャル層EPと隣接している。また、n型コラムNCの一部(下部)は、n型半導体領域である半導体層SLに接している。本実施の形態の主な特徴の一つは、このようにして、トレンチGTの直下に、トレンチGTを形成した際に使用したマスクを用いてn型不純物を導入することで、半導体層SLに達するn型コラムNCを形成することにある。言い換えれば、n型コラムNCを形成する工程での不純物の導入を、トレンチGTの開口を規定するマスク(エッチングマスク)を不純物導入のマスクとして用いるイオン注入によって行っている。
【0024】
なお、図2を用いて説明した工程でフォトレジスト膜PR1を既に除去している場合は、n型コラムNCを形成する際に行うイオン注入を、絶縁膜IF1、IF2およびIF3をマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて行う。
【0025】
次に、図4に示すように、エピタキシャル層EP上のフォトレジスト膜PR1および絶縁膜IF1、IF2およびIF3を除去する。
【0026】
次に、図5に示すように、例えば酸化法を用いて、トレンチGTの側面、底面およびトレンチGTの外のエピタキシャル層EPの上面を覆う酸化シリコン膜を形成する。続いて、例えばCVD法などを用いて、当該酸化シリコン膜上にシリコン膜を形成し、これによりトレンチGT内を完全に埋め込む。続いて、例えばエッチバックを行うことで、トレンチGT内を除くエピタキシャル層EPの上面上の当該シリコン膜を除去する。これにより、トレンチGT内に、当該酸化シリコン膜からなる絶縁膜(ゲート絶縁膜)IF4を介して、当該シリコン膜からなるゲート電極GEを形成する。
【0027】
次に、図6に示すように、エピタキシャル層EP上に、フォトレジスト膜PR2を形成する。フォトレジスト膜PR2は、セル領域CRおよび周辺領域PERのそれぞれのトレンチGTと隣接する領域のエピタキシャル層EPの上面を露出する開口部を備えたレジストパターンである。続いて、フォトレジスト膜PR2をマスクとして用いてイオン注入を行い、エピタキシャル層EPの上面にp型不純物(例えばB(ホウ素))を打ち込む。このようにしてエピタキシャル層EPにp型不純物を導入することで、隣り合うトレンチGT同士の間に、トレンチGTよりも浅いp型のボディ領域BRを形成する。ボディ領域BRは、トレンチGTの側面に接し、当該側面に沿って形成されている。ボディ領域BRの深さは、ゲート電極GEの深さより浅い。
【0028】
ボディ領域BRは、例えばそれぞれ注入エネルギーが異なる3回のイオン注入(多段注入)により形成する。各注入工程のドーズ量は、例えば3.3×1012cm-2である。ボディ領域BRのp型不純物濃度は、例えば1.0×1018cm-3である。
【0029】
次に、図7に示すように、フォトレジスト膜PR2を除去する。その後、エピタキシャル層EP上に、フォトレジスト膜PR3を形成する。フォトレジスト膜PR3は、セル領域CRのトレンチGTと隣接する領域のエピタキシャル層EPの上面を露出する開口部を備えたレジストパターンである。続いて、フォトレジスト膜PR3をマスクとして用いてイオン注入を行い、エピタキシャル層EPの上面にn型不純物(例えばAs(ヒ素))を打ち込む。このようにしてエピタキシャル層EPにn型不純物を導入することで、隣り合うトレンチGT同士の間に、ボディ領域BRよりも浅いn型のソース領域SRを形成する。ソース領域SRは、トレンチGTの側面およびボディ領域BRに接し、当該側面に沿って形成されている。
【0030】
この注入工程のドーズ量は、例えば1.0×1016cm-2である。ソース領域SRのn型不純物濃度は、例えば1,0×1021cm-3である。
【0031】
次に、図8に示すように、フォトレジスト膜PR3を除去する。その後、例えばCVD法を用いて、エピタキシャル層EP、絶縁膜IF4およびゲート電極GEのそれぞれの上に、絶縁膜を形成する。当該絶縁膜は、例えば酸化シリコンからなる。図8では、当該絶縁膜と絶縁膜IF4とが一体になっているものとして、それらをまとめて絶縁膜IF4として示す。
【0032】
続いて、絶縁膜IF4上に、層間絶縁膜ILを形成する。層間絶縁膜ILは、例えば主に酸化シリコンからなり、例えばCVD法により形成できる。続いて、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて、層間絶縁膜ILの上面を研磨することで平坦化する。続いて、図示は省略するが、層間絶縁膜IL上に酸化シリコンからなる絶縁膜を例えばCVD法により形成する。
【0033】
次に、図9に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて、層間絶縁膜ILをパターニングする。これにより、層間絶縁膜ILを貫通し、セル領域CRにおいてソース領域SRが形成されたエピタキシャル層EPの上面を露出する接続孔(開口部)を形成する。
【0034】
次に、図10に示すように、層間絶縁膜ILをマスクとして用いてエッチングを行うことで、複数の接続孔のそれぞれの底部で露出するエピタキシャル層EPの上面を後退させる。これにより、ソース領域SRより深く、ボディ領域BRより浅いトレンチを複数形成する。当該トレンチの底面には、ボディ領域BRが露出する。
【0035】
続いて、層間絶縁膜ILをマスクとして用いてイオン注入を行う。ここでは、セル領域CRの複数の上記接続孔のそれぞれの直下のエピタキシャル層EPに、p型不純物(例えばBF(フッ化ホウ素))を打ち込む。このようにしてエピタキシャル層EPにp型不純物を導入することで、ボディ領域BRの上面から、ボディ領域BRの途中深さに亘って、トレンチGTから離間する位置にP型の拡散領域BCを形成する。その後、半導体ウェハに対し熱処理を行う。この熱処理により、ソース領域SRおよび拡散領域BCのそれぞれの不純物を拡散させる。
【0036】
以上のようにして、セル領域CRに、n型コラムNCと、p型のエピタキシャル層EPとが横方向に交互に並ぶスーパージャンクション構造を形成する。つまり、互いに隣り合うn型コラムNC同士の間のエピタキシャル層EPは、p型コラムを構成している。ゲート電極GE、ソース領域SR、ボディ領域BR、n型コラムNC、エピタキシャル層EPおよび半導体層SLからなるn型半導体領域とは、縦型パワーMOSFETを構成している。周辺領域PERに形成された構造は、半導体チップの外周の耐圧確保するための構造である。
【0037】
次に、図11に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて、層間絶縁膜ILをパターニングする。これにより、層間絶縁膜ILを貫通し、周辺領域PERのゲート電極GEの上面を露出する接続孔(開口部)を形成する。
【0038】
次に、図12に示すように、層間絶縁膜IL上に金属膜を形成する。すなわち、例えば、TiN(窒化チタン)膜、Ti(チタン)膜およびW(タングステン)膜を順に、スパッタリング法などを用いて形成する。これにより、それらの金属膜によって各接続孔内は埋め込まれる。続いて、層間絶縁膜IL上のそれらの金属膜を、例えばCMP法により除去することで、層間絶縁膜ILの上面を露出させる。これにより、各接続孔内に残ったそれらの金属膜からなるコンタクトプラグ(導電性接続部)CPを形成する。なお、図12では、コンタクトプラグCPを構成するそれらの金属膜をまとめて1つのコンタクトプラグCPとして示している。
【0039】
続いて、層間絶縁膜IL上およびコンタクトプラグCP上に、Al(アルミニウム)からなる金属膜をスパッタリング法などにより形成する。続いて、当該金属膜を、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いてパターニングすることにより、当該金属膜からなるソース電極SMおよびゲート引き出し電極GMを形成する。ここでは、ゲート引き出し電極GMは周辺領域PERに形成されている。セル領域CRのソース電極SMは、コンタクトプラグCPを介して、ソース領域SRと拡散領域BCとに電気的に接続される。ゲート引き出し電極GMは、コンタクトプラグCPを介して、ゲート電極GEに電気的に接続される。
【0040】
続いて、ソース電極SMおよびゲート引き出し電極GMを覆うように、表面保護膜CVを形成する。すなわち、ソース電極SMおよびゲート引き出し電極のそれぞれの上に、例えばCVD法により、酸化シリコン膜を堆積する。そして、当該酸化シリコン膜をパターニングすることにより、ソース電極SMの一部の上面と、ゲート引き出し電極GMの上面とを露出させる。この露出部が、外部接続領域(例えば、ゲートパッド、ソースパッド)となる。これにより、当該酸化シリコン膜からなる表面保護膜CVを形成する。
【0041】
続いて、半導体基板SBの主面とは反対側の裏面に、ドレイン電極(図示しない)を形成する。例えば、半導体基板SBの裏面側を上面とし、金属膜をスパッタリング法または蒸着法により形成する。これにより、金属膜からなるドレイン電極を形成できる。
【0042】
その後、半導体ウェハをダイシング工程により切削することで、半導体ウェハの複数のチップ領域のそれぞれを個片化する。つまり、1つのチップ領域から、1つの半導体チップを得ることができ、半導体ウェハから複数の半導体チップを得ることができる。以上の工程により、本実施の形態の半導体装置を形成することができる。
【0043】
<半導体装置の構造>
図13に、本実施の形態の半導体装置のセル領域の要部断面図を示す。図13に示すように、本実施の形態の半導体装置は、主面(上面)上にp型半導体層からなるエピタキシャル層EPを形成したn型の半導体層SL、つまり半導体基板(積層半導体基板)SBを有している。エピタキシャル層EPの底面はn型半導体領域である半導体層SLに接している。
【0044】
エピタキシャル層EPの上面にはエピタキシャル層EPの途中深さに達するトレンチGTが複数形成されている。トレンチGTは、例えばY方向に延在し、セル領域内においてX方向に複数並んでいる。本願でいうX方向およびY方向は、半導体層SLの上面およびエピタキシャル層EPの上面に沿う方向であり、平面視において互いに直交する方向(横方向)である。
【0045】
各トレンチGT内には、絶縁膜IF4を介してゲート電極GEが埋め込まれている。つまり、トレンチGTの側面および底面は、例えば酸化シリコン膜からなる絶縁膜IF4に覆われており、エピタキシャル層EPとゲート電極GEとは、絶縁膜IF4により絶縁されている。ゲート電極GEは、例えば多結晶シリコン膜からなる。
【0046】
隣り合うトレンチGT同士の間のエピタキシャル層EP内には、各トレンチGTの側面においてボディ領域(p型半導体領域)BRと、ボディ領域BRに下面が接するn型の拡散領域であるソース領域SRが形成されている。言い換えれば、エピタキシャル層EP内には、エピタキシャル層EPの上面から所定の深さを有するボディ領域BRが形成されており、ボディ領域BRの上面にはソース領域SRが形成されている。また、隣り合うトレンチGT同士の間には、トレンチGTから離間し、ボディ領域BRに接するp型の半導体領域である拡散領域BCが形成されている。
【0047】
トレンチGTの直下のエピタキシャル層EP内には、n型の半導体領域であるn型コラムNCが形成されている。互いに隣り合うトレンチGTのそれぞれの直下のn型コラムNC同士は、p型のエピタキシャル層EPを介して離間している。n型コラムNCは、エピタキシャル層EPの上面に沿う方向においてエピタキシャル層EPと隣接している。また、n型コラムNCの一部(下部)は、n型半導体領域である半導体層SLに接している。
【0048】
ソース領域SRのn型不純物濃度は、n型コラムNCおよび半導体層SLのそれぞれのn型不純物濃度よりも高い。また、拡散領域BCのp型不純物濃度は、エピタキシャル層EPのp型不純物濃度よりも高い。
【0049】
エピタキシャル層EP上およびゲート電極GE上には、層間絶縁膜ILが形成されており、層間絶縁膜ILを貫通するコンタクトプラグCPが、ソース領域SRおよび拡散領域BCに接続されている。
【0050】
ボディ領域BRは、隣り合うトレンチGTの対向する側面同士の間に亘って形成されている。また、ボディ領域BRの下において、エピタキシャル層EPの一部は、隣り合うトレンチGTの対向する側面同士の間に亘って形成されている。
【0051】
<スーパージャンクション構造>
セル領域CRのように、n型コラムNCとp型コラム(p型のエピタキシャル層EP)とが周期的に配置された構造体(スーパージャンクション構造)の主表面に、縦型パワーMOSFETを配置することにより、高耐圧を確保しながら、オン抵抗を低減することができる。
【0052】
すなわち、p型コラムとn型コラムとが周期的に配置されたスーパージャンクション構造では、オフ時において、横方向におけるp型コラムとn型コラムとの境界領域、つまり、縦方向(垂直方向)に延びるpn接合から、nコラム内において横方向に空乏層が伸びる。
【0053】
このため、スーパージャンクション構造の縦型パワーMOSFETでは、オン抵抗の低減のため、電流通路となるn型コラムの不純物濃度を高くしても、当該pn接合から横方向に広がる空乏層により耐圧を確保することができる。よって、高耐圧を確保しながら、オン抵抗を低減することができる。このように、スーパージャンクション構造を採用し、p型コラムとn型コラムとが周期的に配置することでドレイン-ソース間の電界を緩和することができる。
【0054】
図13に示す本実施の形態の半導体装置において、ドリフト層であるn型コラムNCは、トレンチGTの底面に接している。縦型パワーMOSFETがオン状態のときには、トレンチGTの側面に接する箇所のエピタキシャル層EPおよびボディ領域BRに反転層が生じることで、ソース領域SRと、ドレイン領域である半導体層SLとの間において、n型コラムNCを介して電流が流れる。ここで、n型コラムNCとトレンチGTとがエピタキシャル層EPを介して離間していたとしても、n型コラムNCとトレンチGTとの間に亘って反転層が生じれば、n型コラムNCを介して縦型パワーMOSFETのソース-ドレイン間に電流が流れる。
【0055】
<本実施の形態の効果>
図19に、比較例である半導体装置であるスーパージャンクション構造の要部断面図を示す。比較例の半導体装置は、本実施の形態の半導体装置と異なり、n型コラムNCが形成されておらず、p型のエピタキシャル層EPの代わりにn型のエピタキシャル層ENが形成されている。また、比較例の半導体装置は、本実施の形態の半導体装置と異なり隣り合うトレンチGT同士の間の領域の下方のエピタキシャル層EN内にp型コラムPCを有している。すなわち、比較例のスーパージャンクション構造は、複数のp型コラムPCと、隣り合うp型コラムPC同士の間のエピタキシャル層ENであるn型コラムとを有している。
【0056】
このような比較例の半導体装置では、トレンチGTは、本実施の形態と同様に、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて形成される。また、p型コラムPCは、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を用いて、エピタキシャル層EN内にp型不純物を打ち込むことで形成される。ここで、p型コラムPCは、トレンチGTを形成する際に用いたマスクとは異なるマスクを用いたイオン注入により形成される。この場合、それらのマスクを形成するためのリソグラフィの位置の合わせずれが起き得るという問題がある。
【0057】
また、ソース領域SRおよび拡散領域BCを形成した後に行う熱処理などにより、p型コラムPC内のp型不純物が横方向に過度に拡散することが考えられる。
【0058】
上記のような合わせズレまたはp型不純物の過度な拡散が起きると、トレンチGTとp型コラムPCとが互いに接近する場合がある。その場合、縦型パワーMOSFETの電流経路であるn型コラムの幅が狭まる。このことは、縦型パワーMOSFETのオン抵抗を増大させる。また、縦方向(深さ方向)において、p型コラムPCの形成深さおよび広がりにばらつきがあると、縦型パワーMOSFETの性能にばらつきが生じ得る。これらの問題は、半導体装置が微細化し、トレンチGT同士の間隔が小さくなると、より顕著となる。
【0059】
そこで、本実施の形態では、図1図13を用いて説明したように、トレンチGTの直下に、トレンチGTを形成した際に使用したマスクを用いてn型不純物を導入することで、半導体層SLに達するn型コラムNCを形成している。これにより、n型コラムNCはトレンチGTに対して自己整合的に形成される。すなわち、トレンチGTとn型コラムNCとの相対的な位置にずれが生じることを防げる。このように、所望の位置にn型コラムNCを形成することで、トレンチGTとp型コラム(エピタキシャル層EP)との相対的な位置にずれが生じることを防げる。つまり、P型コラムの広がり、および、p型コラムとトレンチとの距離を制御できる。
【0060】
したがって、p型コラムPCの占有領域を減らし、n型コラムNC(ドリフト層)の抵抗を下げることができる。半導体装置が微細化し、トレンチGT同士の間隔が小さくなったとしても、電流経路であるn型コラムNCの幅を所望の大きさで確保できる。よって、縦型パワーMOSFETの耐圧を確保しながら、単位面積当たりに並ぶコラムの数を増やすことが容易となる。これにより、縦型パワーMOSFETのオン抵抗を低減でき、半導体装置の性能を向上できる。
【0061】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、p型のエピタキシャル層内にn型コラムを形成することについて説明したが、n型のエピタキシャル層内にp型コラムとn型コラムとをそれぞれイオン注入により形成してもよい。以下では、図14図17を用いて、本実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。
【0062】
まず、図14に示すように、図1図7を用いて説明した工程を行う。ただし、図1を用いて説明した工程では、半導体ウェハとして、n型の半導体層SL上に、n型のエピタキシャル層ENを有する半導体基板(積層半導体基板)SBを用意する。エピタキシャル層ENの抵抗は、例えば0.13mΩcm以下である。エピタキシャル層ENのn型不純物濃度は、例えば6.0×1016cm-3である。
【0063】
続いて、フォトレジスト膜PR3を除去する。その後、例えばCVD法を用いて、エピタキシャル層EP、絶縁膜IF4およびゲート電極GEのそれぞれの上に、絶縁膜を形成する。当該絶縁膜は、例えば酸化シリコンからなる。図14では、当該絶縁膜と絶縁膜IF4とが一体になっているものとして、それらをまとめて絶縁膜IF4として示す。
【0064】
次に、絶縁膜IF4上に、絶縁膜IF5、IF6を順に形成する。絶縁膜IF5は、例えば窒化シリコンからなる。絶縁膜IF6は、例えば酸化シリコンからなる。絶縁膜IF5、IF6は、例えばCVD法により形成できる。続いて、図示はしないが、絶縁膜IF6上に、例えばCVD法を用いて、酸化シリコン膜を形成する。
【0065】
次に、図15に示すように、絶縁膜IF6上に、フォトレジスト膜PR4を形成する。フォトレジスト膜PR4は、セル領域CRおよび周辺領域PERのそれぞれにおいて、絶縁膜IF6を露出する開口部を有するレジストパターンである。セル領域CRにおいて、当該開口部は、隣り合うトレンチGT同士の間の領域の直上に位置している。
【0066】
次に、図16に示すように、フォトレジスト膜PR4をマスクとしてドライエッチングを行うことで、絶縁膜IF6を貫通し、絶縁膜IF5の上面を露出する開口部を複数形成する。続いて、フォトレジスト膜PR4をマスクとしてイオン注入を行う。ここでは、エピタキシャル層EP内にp型不純物(例えばB(ホウ素))を打ち込む。このようにしてエピタキシャル層EPにp型不純物を導入することで、隣り合うトレンチGT同士の間に、p型の半導体領域であるp型コラムPCを形成する。p型コラムPCは、エピタキシャル層ENの上面に沿うX方向において、トレンチGTから離間している。つまり、X方向においてトレンチGTと離間するエピタキシャル層EN内に、p型不純物を導入することで、X方向においてn型コラムNCと隣り合うp型コラムPCを形成する。
【0067】
ここでは、p型コラムPCは、ボディ領域BRの下面から、トレンチGTより深い位置に亘ってエピタキシャル層EN内に形成されている。p型コラムPCは、半導体層SLには達していない。言い換えれば、p型コラムPCと半導体層SLとは互いに離間している。
【0068】
p型コラムPCは、例えばそれぞれ注入エネルギーが異なる2回のイオン注入(多段注入)により形成する。各注入工程のドーズ量は、例えば2.5×1013cm-2である。p型コラムPCのp型不純物濃度は、例えば2.5×1018cm-3である。
【0069】
次に、図示は省略するが、フォトレジスト膜PR4、絶縁膜IF6およびIF5を除去する。続いて、図8を用いて説明した層間絶縁膜ILの形成工程を行う。
【0070】
次に、図17に示すように、図9図12を用いて説明した工程を行うことで、本実施の形態の半導体装置が完成する。
【0071】
<半導体装置の構造>
本実施の形態の半導体装置は、図18に示すように、p型コラムPCと、n型のエピタキシャル層EPおよびn型コラムNCからなるn型コラムとが横方向に交互に並ぶスーパージャンクション構造を有する、縦型パワーMOSFETである。図18に示す半導体装置は、エピタキシャル層ENがp型ではなくn型である点と、隣り合うトレンチGT同士の間の領域の下方にp型コラムPCを有する点とが、前記実施の形態1と異なる。p型コラムPCは、エピタキシャル層ENの上面に沿うX方向において、トレンチGTと離間するエピタキシャル層EN内に形成され、X方向においてn型コラムNCと隣り合っている。
【0072】
<本実施の形態の効果>
本実施の形態のように、n型のエピタキシャル層EN内にp型コラムPCとn型コラムNCとをそれぞれイオン注入により形成した場合でも、前記実施の形態1と同様の効果を得られる。
【0073】
すなわち、ここでは、トレンチGTの直下に、トレンチGTを形成した際に使用したマスクを用いてn型不純物を導入することで、半導体層SLに達するn型コラムNCを形成している。よって、トレンチGTとn型コラムNCとの相対的な位置にずれが生じることを防げる。このように、所望の位置にn型コラムNCを形成することで、トレンチGTとp型コラムPCとの相対的な位置にずれが生じることを防げる。つまり、p型コラムPC内のp型不純物が大きく拡散した場合、および、p型コラムPCの形成位置がリソグラフィの合わせずれによりトレンチGTに近くなった場合でも、n型コラムNCが存在することで、電流経路の幅を所望の大きさで確保できる。
【0074】
したがって、縦型パワーMOSFETの耐圧を確保しながら、単位面積当たりに並ぶコラムの数を増やすことが容易となる。これにより、縦型パワーMOSFETのオン抵抗を低減でき、半導体装置の性能を向上できる。
【0075】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0076】
また、上記実施の形態では、Si(シリコン)からなる基板およびエピタキシャル層を備えた半導体装置について説明したが、SiではなくSiC(炭化ケイ素)を材料とした半導体装置でもよい。すなわち、半導体基板はSiCにより構成されていてもよい。
【0077】
また、上記実施の形態ではnチャネル型のMOSFETを形成する場合について説明したが、MOSFETはpチャネル型であってもよい。pチャネル型のMOSFETを形成する場合は、上述した半導体装置を構成する半導体領域のそれぞれを逆の導電型で形成すればよい。
【符号の説明】
【0078】
BC 拡散領域
BR ボディ領域
CP コンタクトプラグ
CR セル領域
CV 表面保護膜
EN、EP エピタキシャル層
GE ゲート電極
GM ゲート引き出し電極
GT トレンチ
IF1~IF6 絶縁膜
IL 層間絶縁膜
NC n型コラム
PC p型コラム
PER 周辺領域
PR1~PR4 フォトレジスト膜
SB 半導体基板
SL 半導体層
SM ソース電極
SR ソース領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19