(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176410
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】電気錠付き建具システム
(51)【国際特許分類】
E05B 47/00 20060101AFI20231206BHJP
E05B 9/08 20060101ALI20231206BHJP
E05F 15/643 20150101ALI20231206BHJP
E05F 15/77 20150101ALI20231206BHJP
【FI】
E05B47/00 J
E05B9/08 G
E05F15/643
E05F15/77
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088677
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅徳
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052BA06
2E052CA06
2E052DA04
2E052DB04
2E052EA16
2E052EB01
2E052EC01
2E052GA10
2E052GB06
2E052GC02
2E052GC06
2E052KA15
(57)【要約】
【課題】電気的に施錠と解錠を行う錠への交換が可能な電気錠付き建具システムを提供する。
【解決手段】電気錠付き建具システムは、電気錠110と、障子を開閉する開閉装置ユニットと、を備え、電気錠110は、障子または枠体に取り付けられる取付孔111bが形成された錠筐体111と、錠筐体111に設けられる錠1と、錠筐体111に収容され、錠1を駆動する駆動部113と、駆動部113を制御する錠側制御部92と、を備え、取付孔111bは、障子または枠体に取り付けられた状態で屋内外方向及び上下方向の少なくともいずれか一方に長い長孔であり、開閉装置ユニットは、躯体に固定される躯体固定ブラケットに取り付けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気錠と、
障子を開閉する開閉装置ユニットと、を備え、
前記電気錠は、
前記障子または枠体に取り付けられる取付孔が形成された錠筐体と、
前記錠筐体に設けられる錠と、
前記錠筐体に収容され、前記錠を駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する錠側制御部と、を備え、
前記取付孔は、前記障子または前記枠体に取り付けられた状態で、屋内外方向及び上下方向の少なくともいずれか一方に長い長孔であり、
前記開閉装置ユニットは、
躯体に固定される躯体固定ブラケットに取り付けられている電気錠付き建具システム。
【請求項2】
前記障子には、第1ブラケットが固定され、
前記開閉装置ユニットには、第2ブラケットが固定され、
前記第1ブラケットと前記第2ブラケットとは連結している請求項1に記載の電気錠付き建具システム。
【請求項3】
前記障子を開ける開信号及び前記障子を閉じる閉信号を発信する発信部と、
前記発信部からの信号を受信する受信部を有する制御装置と、を備え、
前記発信部と前記制御装置の前記受信部とは無線で通信する請求項2に記載の電気錠付き建具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気錠付き建具システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建具に取り付けられる錠として、手動で、施錠と解錠を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利用者が手に荷物を持っていて建具の開閉を行うのが難しい場合があり、建具の施錠及び解錠を電気的に行う錠への交換の要望がある。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電気的に施錠と解錠を行う錠への交換が可能な電気錠付き建具システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電気錠付き建具システムは、電気錠と、障子を開閉する開閉装置ユニットと、を備え、前記電気錠は、前記障子または枠体に取り付けられる取付孔が形成された錠筐体と、前記錠筐体に設けられる錠と、前記錠筐体に収容され、前記錠を駆動する駆動部と、前記駆動部を制御する錠側制御部と、を備え、前記取付孔は、前記障子または前記枠体に取り付けられた状態で、屋内外方向及び上下方向の少なくともいずれか一方に長い長孔であり、前記開閉装置ユニットは、躯体に固定される躯体固定ブラケットに取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第一実施形態に係る電気錠付き建具システムを模式的に示した正面図。
【
図2】電気錠付き建具システムを模式的に示した水平断面図。
【
図19】電気錠付き建具システムの鉛直断面図である。
【
図20】電気錠付き建具システムの水平断面図である。
【
図24】障子の開動作の進行方向の前方に障害物がある場合を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第一実施形態)
以下、第一実施形態に係る電気錠付き建具システムについて、図面に基づいて説明する。以下の実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、本開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。以下の説明では、屋外側と屋内側とを結び水平方向に沿う方向を、屋内外方向と称する。屋内外方向と直交し水平方向に沿う方向を、幅方向と称する。屋内外方向及び幅方向と直交する方向を、上下方向と称する。各構成部材において、屋内外方向及び幅方向で中心から離れる側を外側と称し、中心に向かう側を内側という場合がある。
【0009】
図1及び
図2に示すように、電気錠付き建具システム100は、枠体10と、2枚の障子16,16と、電気錠110と、開閉装置7と、発信部8と、制御装置9と、を備えている。
【0010】
枠体10は、四方枠状に形成されている。2枚の障子16,16は、枠体10の内側を幅方向に移動可能である。
【0011】
電気錠110は、2枚の障子16,16の施錠及び解錠を行う。障子16,16が枠体10の内側を閉鎖する閉位置にあるときに、障子16,16の幅方向の端部どうしは屋内外方向に重なって配置されている。電気錠110は、屋内側に位置する障子16の端部に取り付けられている(
図20参照)。
図3に示すように、電気錠110は、錠筐体111と、錠カバー112と、錠1と、駆動部113と、バッテリー115と、を有している。駆動部113は、錠1を回転させる動力源であり、例えばモーターである。駆動部113は、バッテリー115から電力の供給を受ける。電気錠110は、一方の障子16の縦框16a(
図20参照)に取り付けられている。錠筐体111と錠カバー112との間には、錠1、駆動部113、バッテリー115及び後述する制御装置9が収容されている。
【0012】
図4から
図6では、錠1から、つまみ20(
図3参照)等を取り外した状態を示している。他方の障子16の縦框16bには、受け部材14が取り付けられている。錠1は受け部材14に引っ掛けられることで障子16の開閉を拘束する。錠1は、
図5に示す受け部材14に引っ掛けられた状態で、
図6に示すように、一方の障子16の縦框16aと障子16の縦框16bとを引き寄せることが可能である。
【0013】
錠1は、固定部2と、回転軸部3と、フック部4と、回転部5と、回転力伝達部6と、を有する。固定部2は、錠筐体111の底部に設けられた台座15に固定される。回転軸部3は、固定部2に取り付けられる。フック部4は、固定部2に移動可能に支持され、受け部材14に引っ掛け可能である。回転部5は、固定部2に取り付けられた回転軸部3に回転軸線31回りに回転可能に支持される。回転力伝達部6は、回転部5の回転軸線31回りの回転力が伝達され、回転力をフック部4に伝達する。回転力伝達部6は、ピンである。
図7に示すように、回転部5は、駆動部113の動力によって回転する。回転部5の外周部には、駆動部113の回転を回転軸線31回りの回転に変換するラック部55が設けられている。
【0014】
図8及び
図9に示すように、固定部2、フック部4及び回転部5は、この順番に重なって配置される。固定部2、フック部4及び回転部5が重なる方向を厚さ方向と表記する。回転軸部3及び回転力伝達部6の軸線は、それぞれ厚さ方向に延びている。厚さ方向を軸線方向と表記することもある。閉鎖時の障子16の縦框16aと縦框16bとが対向する方向を横方向と表記する。横方向と厚さ方向とは直交している。横方向及び厚さ方向に直交する方向を縦方向と表記する。障子16が開口部を閉鎖した状態となると、
図4から
図6に示す縦框16bに取り付けられた受け部材14と、錠1とは、横方向に対向する。回転軸部3の回転軸線31回りの方向を回転方向と表記することがある。図面では、厚さ方向を矢印Z、縦方向を矢印Y、横方向を矢印X、回転方向を矢印Aで示す。
【0015】
図8から
図10に示すように、固定部2は、平板状である。固定部2は、厚さ方向Zを向く姿勢に配置される。固定部2の外形は、外周部分に2つの切り欠き部21が形成された円形である。固定部2の中央には、厚さ方向Zに板面を貫通する固定孔部22が形成されている。固定孔部22には、回転軸部3が挿通される。固定部2には、フック部4の移動をガイドする第1ガイド溝部23及び第2ガイド溝部24が設けられている。第1ガイド溝部23及び第2ガイド溝部24は、固定部2を厚さ方向Zに貫通している。
【0016】
図10に示すように、第1ガイド溝部23は、固定部2の中央を中心とする中心角が90°の円弧状の第1円弧部231と、第1円弧部231の一方の端部から固定部2の外周側に径方向に延びる第1直線部232と、を有する。第1ガイド溝部23における第1円弧部231の第1直線部232と接続される部分を切り替え位置23cと表記する。第1円弧部231における切り替え位置23cと反対側の端部を第1端部23aと表記する。第1直線部232における切り替え位置23cと反対側の端部を第2端部23bと表記する。
【0017】
第2ガイド溝部24は、固定部2の中央を中心とする中心角が90°の円弧状の第2円弧部241と、第2円弧部241の一方の端部から固定部2の中心側に径方向に延びる第2直線部242と、を有する。第2ガイド溝部24における第2円弧部241の第2直線部242と接続される部分を切り替え位置24cと表記する。第2円弧部241における切り替え位置24cと反対側の端部を第1端部24aと表記する。第2直線部242における切り替え位置24cと反対側の端部を第2端部24bと表記する。
【0018】
第1ガイド溝部23の第1端部23aと第2ガイド溝部24の第1端部24aとは、固定部2の中心を通り縦方向Yに延びる同一直線上に配置される。第1直線部232と第2直線部242とは、固定部2の中心を通り横方向Xに延びる同一直線上に配置される。第1ガイド溝部23の切り替え位置23c、第2端部23b、第2ガイド溝部24の切り替え位置24c、第2端部24bは、固定部2の中心を通り横方向Xに延びる同一直線上に配置される。第1ガイド溝部23には、回転力伝達部6が挿入される。第2ガイド溝部24には、フック部4の被ガイド部43が挿入される。
【0019】
図7、
図8、
図11及び
図12に示すように、フック部4は、平板状のフック板部41と、フック板部41から突出し受け部材14(
図4から
図6参照)に引っ掛けられる引っ掛け部42と、フック板部41から突出し第2ガイド溝部24に導入される被ガイド部43と、を有する。フック部4は、フック板部41が厚さ方向Zを向く姿勢に配置される。引っ掛け部42は、フック板部41の外縁部の一部から厚さ方向Zの一方側で、回転部5と重なる側に突出している。被ガイド部43は、フック部4から厚さ方向Zの他方側で、固定部2と重なる側に突出している。被ガイド部43は、第2ガイド溝部24に挿入される。
【0020】
図9及び
図12に示すように、フック板部41には、中央部に、長孔部44が形成されている。長孔部44には、回転軸部3が挿入される。長孔部44が延びる方向を長さ方向と表記し、長さ方向に直交する方向を幅方向と表記する。長孔部44の長さ方向の寸法は、回転軸部3の径よりも大きい。長孔部44の幅方向の寸法は、回転軸部3の径と略同じである。長孔部44に挿入された回転軸部3は、長孔部44の長さ方向に移動できる。
【0021】
フック板部41には、長孔部44の長さ方向の一方側の端部から外縁部側に離れた位置に、フック孔部45が形成されている。フック孔部45には、回転力伝達部6が挿入される。フック孔部45の径は、回転力伝達部6の径と略同じである。被ガイド部43は、長孔部44の長さ方向の他方側の端部から外縁部側に離れた位置に配置される。長孔部44、フック孔部45及び被ガイド部43は、長孔部44の中心を通り長孔部44の長さ方向に延びる同一直線上に配置される。長孔部44は、フック孔部45とガイド部に挟まれた位置に配置されている、長孔部44のうちのフック孔部45側の端部を第1端部44aと表記し、被ガイド部43側の端部を第2端部44bと表記する。
【0022】
図8、
図9及び
図13に示すように、回転部5は、平板状の部材である。回転部5の板面は、円から中心を含まない一部を切除した形状である。回転部5は、上記の円の中心となる位置に回転孔部51が形成されている。回転孔部51には、回転軸部3が挿入される。回転孔部51の径は、回転軸部3の径と略同じである。回転孔部51の中心は、回転軸線31が貫通する。回転部5は、上記の円の外周部となる部分にラック部55が設けられている。回転部5の説明では、回転軸線31から放射状に延びる方向を径方向と表記し、径方向のうち回転軸線31に向かう側を内側と表記し、回転軸線31から離れる側を外側と表記する。
【0023】
回転部5には、径方向の間に、回転部5の板面を貫通する溝部52が形成されている。
溝部52は、回転孔部51を囲む方向に延びるに曲線状に延びている。溝部52は回転部5の外周部側に張り出すように湾曲している。溝部52には、回転力伝達部6が挿入される。溝部52は、回転軸線31を中心とする円弧とは異なる曲線状に延びるカム溝部53と、回転軸線31を中心とする円弧状に延びる円弧溝部54と、を有する。カム溝部53が回転軸線31を中心とする周方向の一方側に位置し、円弧溝部54が他方側に位置している。カム溝部53と、円弧溝部54とは接続されている。溝部52におけるカム溝部53と円弧溝部54とが接続されている部分を接続位置52cと表記する。溝部52におけるカム溝部53の接続位置52cと反対側の端部を第1端部52aと表記し、円弧溝部54の接続位置52cと反対側の端部を第2端部52bと表記する。
【0024】
カム溝部53は、接続位置52cから第1端部52aに向かって漸次径方向内側に向かう曲線状に延びている。カム溝部53の第1端部52aの内縁部52dは、回転力伝達部6の外形に相当する円弧状に形成されている。カム溝部53の第1端部52aの内縁部52dのうち、径方向外側の部分を第1回転カム曲線部531と表記し、径方向内側の部分を第2回転カム曲線部532と表記する。カム溝部53の内縁部うちの径方向内側で第2回転カム曲線部532と隣接しする部分を第1直線移動カム曲線部533と表記し、径方向外側で第1回転カム曲線部531と隣接する部分を第2直線移動カム曲線部534と表記する。
【0025】
固定部2、フック部4及び回転部5が厚さ方向Zに重なって配置されると、固定孔部22、フック部4の長孔部44、回転孔部51が厚さ方向Zに重なり、これらの孔部に回転軸部3が挿入される。固定部2及び回転軸部3は、それぞれ台座15に固定されている。固定部2は、回転軸線31回りに回転しない。フック部4は、回転軸部3の回転軸線31回りに回転可能であるとともに、回転軸部3に対して長孔部44の長さ範囲の移動が可能である。回転部5は、回転軸線31回りに回転可能である。
【0026】
固定部2、フック部4及び回転部5が厚さ方向Zに重なって配置されると、第1ガイド溝部23、フック孔部45、カム溝部53が厚さ方向Zに重なり、これらの孔部に回転力伝達部6が挿入される。回転力伝達部6は、台座15に移動可能に支持されている。固定部2と回転力伝達部6とは、第1ガイド溝部23の長さ範囲で相対移動が可能である。
フック部4は、回転力伝達部6の軸線回りに回転可能である。回転部5と回転力伝達部6とは、カム溝部53の内側の領域の範囲で相対移動が可能である。
【0027】
固定部2及びフック部4が厚さ方向Zに重なって配置されると、フック部4の被ガイド部43が固定部2の第2ガイド溝部24に挿入される。フック部4は、固定部2に対して第2ガイド溝部24の長さ範囲で移動可能である。
【0028】
図4及び
図14に示すように、錠1が障子16の縦框16aともう一方の障子16の縦框16bとの拘束を解除した解錠状態では、フック部4の引っ掛け部42が縦方向Yの一方側に位置し、受け部材14とは離れている。
図14から
図17では、回転軸部3及び回転力伝達部6をハッチングで示している。解錠状態では、回転力伝達部6が第1ガイド溝部23の第1端部23aに配置される。フック部4の被ガイド部43は、第2ガイド溝部24の第1端部24aに配置される。フック部4の長孔部44は、その長さ方向が縦方向Yとなっている。フック部4の長孔部44には、第1端部44aに回転軸部3が配置される。回転部5、ラック部55が縦方向Yの他方側に位置する。回転力伝達部6は、カム溝部53の第1端部52aに配置される。
【0029】
解錠状態から回転部5が回転方向の一方側(
図14の矢印A1の方向)に回転すると、解錠状態から回転部5が90°回転するまで、回転力伝達部6が回転部5のカム溝部53の第1回転カム曲線部531に押されて、回転部5とともに回転軸線31回りに回転する。回転力伝達部6は、第1ガイド溝部23の第1端部23aから切り替え位置23cまで移動する。
図5及び
図15に示すように、回転力伝達部6の回転とともにフック部4も回転軸線31回りに90°回転する。フック部4が90°回転すると、フック部4の引っ掛け部42が受け部材14に引っ掛けられる。回転部5が施錠状態から90°回転してフック部4の引っ掛け部42が受け部材14に引っ掛けられた状態を施錠状態と表記する。フック部4が解錠状態から90°回転すると、フック部4の被ガイド部43も第2ガイド溝部24の第1端部24aから切り替え位置24cまで移動する。フック部4の長孔部44は、その長さ方向が横方向Xとなっている。フック部4の長孔部44には、第1端部44aに回転軸部3が配置される。
【0030】
施錠状態から回転部5が更に回転方向の一方側に回転すると、施錠状態から回転部5が45°回転するまで、回転力伝達部6が回転部5のカム溝部53の第1直線移動カム曲線部533に縦方向Yの一方側かつ横方向Xの一方側に押される。回転力伝達部6は、第1ガイド溝部23の切り替え位置に配置され、縦方向Yの一方側が第1ガイド溝部23の第1直線部232の縁部232aに接触しているため、この縁部232aに沿って横方向Xの一方側に移動する。回転力伝達部6が横方向Xの一方側に移動すると、フック部4も横方向Xの一方側に移動する。フック部4が横方向Xの一方側に移動すると、長孔部44が横方向Xの一方側に移動し、
図16に示すように、長孔部44の第2端部44bに回転軸部3が配置される。フック部4の被ガイド部43も横方向Xの一方側に移動し、第2ガイド溝部24の第2端部24bに配置される。回転力伝達部6は、カム溝部53を移動し、カム溝部53と円弧溝部54との接続位置52cに配置される。フック部4が横方向Xの一方側に移動することによって、引っ掛け部42が引っ掛けられた受け部材14と固定部2とが近づき、縦框16aと縦框16bとが引き寄せられる。施錠状態から回転部5が45°回転し縦框16aと縦框16bとが引き寄せられた状態を引き寄せ完了状態と表記する。
【0031】
回転部5は、引き寄せ完了状態から更に回転方向の一方側に45°回転可能である。回転力伝達部6は、カム溝部53と円弧溝部54との接続位置52cに配置されているため、回転部5が回転しても回転方向に延びる円弧溝部54に配置され、回転部5のみが回転する。回転力伝達部6は、回転部5とともに回転軸線31回りに回転せず、フック部4も移動しない。
図6及び
図17に示すように、回転部5の溝部52の第2端部52bの位置に回転力伝達部6が配置されると、回転部5の回転が停止する。回転部5の回転が停止した状態を施錠完了状態と表記する。
【0032】
施錠完了状態から解錠する場合には、回転部5を施錠する場合と反対側(図の矢印A2の方向)に回転させる。
図17に示す回転部5が施錠完了状態から
図16に示す引き寄せ完了状態の位置まで回転する間は、回転力伝達部6が円弧溝部54に配置されているため、回転部5の回転力が回転力伝達部6に伝達しない。回転部5が引き寄せ完了状態となる位置まで回転すると、カム溝部53の接続位置52cに回転力伝達部6が配置される。
【0033】
更に回転部5を回転させると、回転力伝達部6はカム溝部53の第2直線移動カム曲線部534に横方向Xの他方側かつ縦方向Yの他方側に向かって押される。回転力伝達部6は、第1ガイド溝部23の第2端部23bに位置し、縦方向Yの他方側に第1直線部232の縁部232bが接触している。回転力伝達部6は、縦方向Yの他方側への移動が拘束され、縁部232bに沿って横方向Xの他方側に移動する。回転力伝達部6が横方向Xの他方側に移動することによって、
図15に示すように、フック部4が横方向Xの他方側に移動する。フック部4が横方向Xの他方側に移動することによって、フック部4による縦框16aと縦框16bとの引き寄せが解除される。回転力伝達部6は、カム溝部53の第1端部52aに配置される。
【0034】
更に回転部5を回転させると、回転力伝達部6はカム溝部53の第2回転カム曲線部532に押されて回転部5とともに回転軸線31回りに回転する。フック部4も回転し、引っ掛け部42が受け部材14から離反して解錠状態となる。
【0035】
図3に示すように、錠筐体111の底部111aには、取付孔111bが縦方向Yに離れて2箇所に形成されている。取付孔111bは、縦框16aに取り付けられた状態で屋内外方向である横方向Xに長い長孔をしている。
図18に示すように、縦框16aの幅方向である厚さ方向Zを向く面16fに、錠筐体111の底部111aを配置する。螺子111cを取付孔111bに挿通して、縦框16aの螺子孔16gに螺合する。これによって、電気錠110は、縦框16aに取り付けられている。
【0036】
図1に示すように、開閉装置7は、2枚の障子16,16の上部に取り付けられている。
図19に示すように、開閉装置7は、開閉装置ユニット71と、固定部72と、カバー部73と、連結部材74と、を有している。
【0037】
開閉装置ユニット71は、周知の構造である。開閉装置ユニット71では、例えば、いずれも不図示の屋内外方向を軸線方向として幅方向に離れる一対のプーリーが開閉モーターによって回転する。一対のプーリーにベルトが巻き付けられていて。プーリーの回転に伴ってベルトもプーリーに沿って回転する。ベルトには、連結具71aが設けられている。ベルトの回転に伴って、連結具71aは幅方向に移動する構成である。
【0038】
固定部72は、第1板部721と、第2板部722と、を有している。第1板部721は、開閉装置ユニット71の前部に取付具721aによって取り付けられている。第2板部722は、第1板部721の上端部から屋外側に延びている。第2板部722は、開閉装置ユニット71の上方に配置されている。第2板部722は、上額縁17の下面から躯体に取付具722bによって取り付けられている。固定部72は、請求項の躯体固定ブラケットに対応する。
【0039】
カバー部73は、固定部72の下方及び固定部72の第1板部721の前方を覆うように設けられている。
【0040】
連結部材74は、第1連結部材741と、第2連結部材742と、を有している。第1連結部材741及び第2連結部材742は、屋内外方向及び上下方向に沿う断面で略L字状をしている。第1連結部材741は、連結具71aに連結されている。第1連結部材741と第2連結部材742とは、連結具741aによって連結されている。第2連結部材742の屋外側を向く面には、面ファスナー742eが取り付けられている。屋内側の障子16の上框16cの屋内側を向く面には、面ファスナー16eが取り付けられている。面ファスナー742eと面ファスナー16eとは、固着している。開閉装置ユニット71は、連結部材74、面ファスナー742e及び面ファスナー16eを介して屋内側の障子16の上框16cに着脱可能に設けられている。これによって、開閉装置ユニット71の連結具71aの移動に連動して、屋内側の障子16が幅方向に移動する。第2連結部材742は、請求項の第1ブラケットに対応する。第1連結部材741は、請求項の第2ブラケットに対応する。面ファスナー742eは、請求項の第二面ファスナーに対応する。面ファスナー16eは、請求項の第一面ファスナーに対応する。
【0041】
図1に示すように、発信部8は、後述する制御装置9の第1制御部91に信号を発信する。利用者が発信部8を利用して障子16を開けることを選択すると、開信号を第1制御部91に発信する。利用者が発信部8を利用して障子16を閉じることを選択すると、閉信号を第1制御部91に発信する。
【0042】
発信部8は、例えば、利用者が操作するものである。例えば、発信部8は、リモコン、携帯端末、スイッチ等である。発信部8がリモコン、携帯端末等の場合には、制御装置9の後述する発信部側通信部91-Aと無線で通信する。発信部8がスイッチ等の場合には、制御装置9と有線で接続されている。
【0043】
制御装置9は、第1制御部91と、第2制御部92と、を有している。第1制御部91は、開閉装置7に設けられている。
図3に示すように、第2制御部92は、電気錠110の内部に収容されている。第2制御部92は、請求項の錠側制御部に対応する。
【0044】
図21に示すように、第1制御部91は、発信部側通信部91-Aと、電気錠側通信部91-Bと、開閉装置制御部91-Cと、開閉装置駆動部91-Dと、障害物対応部93と、速度調整部94と、を有している。発信部側通信部91-Aは、請求項の受信部に対応する。
【0045】
発信部側通信部91-Aは、発信部8からの開信号及び閉信号を受信し、開閉装置制御部91-Cに開信号及び閉信号を送信する。電気錠側通信部91-Bは、第2制御部92に電気錠110を解錠する解錠信号及び施錠する施錠信号を送信し、電気錠110の解錠が完了した完了信号を受信する。開閉装置制御部91-Cは、発信部側通信部91-Aから受信した開信号及び閉信号に基づいて、開閉装置駆動部91-Dに開閉モーターの駆動信号を送信する。開閉装置駆動部91-Dは、開閉装置駆動部91-Dから受信した開閉モーターの駆動信号に基づいて、開閉モーターを駆動して、開閉装置7を動かして連結具71a(
図19参照)を障子16が開く開方向に移動させたり、連結具71aを障子16が閉じる閉方向に移動させたりする。
【0046】
図22に示すように、第2制御部92は、通信部92-Aと、電気錠制御部92-Bと、電気錠作駆動部92-Cと、を有している。
【0047】
通信部92-Aは、第1制御部91の電気錠側通信部91-Bから解錠信号及び施錠信号を受信する。通信部92-Aは、電気錠110の解錠が完了した完了信号を電気錠側通信部91-Bに送信する。電気錠制御部92-Bは、通信部92-Aから受信した解錠信号及び施錠信号に基づいて、電気錠作駆動部92-Cに駆動部113の駆動信号を送信する。電気錠作駆動部92-Cは、電気錠制御部92-Bから受信した駆動信号に基づいて、駆動部113を駆動して電気錠110を解錠及び施錠する。
【0048】
障子16が閉じた状態で、利用者が発信部8を利用して障子16を開けることを選択すると、発信部8は、開信号を第1制御部91の発信部側通信部91-Aに送信する。発信部側通信部91-Aは、開信号を受信する。発信部側通信部91-Aは、開信号に基づいて、第2制御部92の通信部92-Aに解錠信号を送信する。通信部92-Aは、解錠信号を受信する。電気錠制御部92-Bは、解錠信号に基づいて、電気錠作駆動部92-Cを駆動して電気錠110を解錠する。通信部92-Aは、電気錠110の解錠が完了した完了信号を第1制御部91の電気錠側通信部91-Bに送信する。電気錠側通信部91-Bは、完了信号を受信する。開閉装置制御部91-Cは、完了信号に基づいて開閉装置駆動部91-Dを駆動し、開閉装置7を介いて障子16を開動作させる。
【0049】
障子16が開いた状態で、利用者が発信部8を利用して障子16を閉じることを選択すると、発信部8は、閉信号を第1制御部91の発信部側通信部91-Aに送信する。発信部側通信部91-Aは、閉信号を受信する。開閉装置制御部91-Cは、閉信号に基づいて開閉装置駆動部91-Dを駆動し、開閉装置7を介いて障子16を閉動作させる。電気錠側通信部91-Bは、障子16の閉動作が完了したら施錠信号を第2制御部92の通信部92-Aに送信する。通信部92-Aは、施錠信号を受信する。電気錠作駆動部92-Cは、施錠信号に基づいて、電気錠作駆動部92-Cを駆動して電気錠110を施錠する。
【0050】
電気錠制御部92-Bは、予め錠1が引き寄せ完了した状態及び解錠した状態とを測定して把握して、不図示の記憶部で記憶している。現閉動作で引き寄せしたり解錠したりした場合に、当該状態と記憶部で記憶している状態と比較する。比較して、引き寄せが完了したと判断した場合、当該状態より錠1が回転したり引き寄せ動作をしたりしないように、電気錠制御部92-Bに指示を出力する。現動作で解錠した場合に、当該状態と記憶部で記憶している状態とを比較する。比較して、解錠が完了したと判断した場合、当該状態より錠1が回転したりしないように、電気錠制御部92-Bに指示を出力する。
【0051】
図23に示すように、例えば、発信部8Aは、住宅内に設置されている通信ユニットであってもよい。発信部8Aは、人感センサーを使って利用者が近づいてきたと判断して、第1制御部91に開信号を送信する構成であってもよい。発信部8Aは、携帯端末の位置情報から近接センサーと連動させて利用者が近づいてことを認識して、第1制御部91に開信号を送信する構成であってもよい。
【0052】
図25に示すように、障害物対応部93は、検出部93-Aと、測定部93-Bと、基準値記憶部93-Cと、学習機能部93-Dと、移動平均算出部93-Eと、差分値算出部93-Fと、積算部93-Gと、判定部93-Hと、閾値記憶部93-Iと、を有している。
【0053】
検出部93-Aは、開閉装置駆動部91-Dの開閉モーターに設けられた出力部から供給された位置パルスを検出し、位置情報nを1インクリメントする。ここで、位置情報nは、出力部から供給された位置パルスの数であり、障子16の現在の開閉位置を示す値である。すなわち、障子16が全開状態から全閉状態になるまでに必要な開閉モーターを回転させる回数(以下、「全閉回数」という。)を予め記憶部(不図示)に記憶されている。したがって、開閉モーターが1回転したことを示す位置パルスの数から障子16の現在の開閉位置を特定することができる。検出部93-Aは、位置パルス及び位置情報nを測定部93-Bに出力する。
【0054】
測定部93-Bは、開閉モーターの負荷を測定する。例えば、測定部93-Bは、検出部93-Aから位置パルス及び位置情報nを取得する。測定部93-Bは、位置パルスのパルス幅を位置情報n毎に測定する。位置パルスは、開閉モーターの回転速度が遅くなるにつれてそのパルス幅が大きくなり、一方、開閉モーターの回転速度が速くなるにつれてそのパルス幅が小さくなる。例えば、
図24に示すように、障子16が障害物aに接触すると、開閉モーターに負荷がかかる。開閉モーターに負荷がかかると、開閉モーターの回転速度が遅くなり、位置パルスのパルス幅が大きくなる。したがって、
図25に示す測定部93-Bは、検出部93-Aから供給される位置パルス毎(カウント値毎)に、その位置パルスのパルス幅を測定することにより、開閉モーターのパルス幅を負荷として算出する。
【0055】
測定部93-Bは、位置情報nと、その位置情報nに対応する位置パルスのパルス幅Anとを移動平均算出部93-Eに出力する。また、測定部93-Bは、位置情報nと、その位置情報nに対応する位置パルスのパルス幅とを関連付けて基準値記憶部93-Cに記憶する。
【0056】
基準値記憶部93-Cには、障子16が全閉状態から全開状態に移行する全開動作、又は全開状態から全閉状態に移行する閉動作毎に算出した位置情報n及び位置パルスのパルス幅が記憶されている。すなわち、基準値記憶部93-Cには、過去の位置情報n及び位置パルスのパルス幅(以下、「過去データ」という。)が記憶されている。なお、過去データが基準値記憶部93-Cに記憶される場合は、開閉動作時において、障害物aを検知しなかった場合である。また、基準値記憶部93-Cに記憶される過去データは、例えば、現在を基準として過去複数回分の全開動作、又は全閉動作時の過去の位置情報n及び位置パルスのパルス幅である。
【0057】
学習機能部93-Dは、基準値記憶部93-Cに記憶されている過去のデータに基づいて基準値負荷Bnを決定する機能を有する。具体的には、例えば学習機能部93-Dは、過去複数回分の過去データに基づいて、位置情報nに対応する位置パルスのパルス幅を決定する学習機能を有する。学習機能部93-Dは、位置情報nに対応する位置パルスのパルス幅を過去複数回分の過去データから取得する。学習機能部93-Dは、記憶されている複数の位置パルスのパルス幅のデータから最小から2番目のパルス幅のデータを位置情報n毎に選択する。学習機能部93-Dは、選択した位置情報nに対応する位置パルスのパルス幅を基準値負荷Bnとして格納する。
【0058】
移動平均算出部93-Eは、測定部93-Bから位置情報nと、その位置情報nに対応する位置パルスのパルス幅Anとを取得する。移動平均算出部93-Eは、取得した位置情報nに対応する基準値負荷Bnを学習機能部93-Dから取得する。移動平均算出部93-Eは、パルス幅An及び基準値負荷Bnの各々の移動平均値を位置情報n毎に算出する。移動平均算出部93-Eは、環境の変化等で変化する取得データを適正化するために、パルス幅An及び基準値負荷Bnを補正(正規化)する。移動平均算出部93-Eは、算出した補正値αnを差分値算出部93-Fに出力する。
【0059】
差分値算出部93-Fは、移動平均算出部93-Eから補正値αnを取得する。差分値算出部93-Fは、現開閉時のデータでの相応しくないデータの除去を行い、負荷差分値Cnを算出する。負荷差分値Cnは、再現性の高いノイズを除去した開閉モーターの負荷とみなすことができる。差分値算出部93-Fは、算出した負荷差分値Cnを積算部93-Gに出力する。
【0060】
積算部93-Gは、差分値算出部93-Fから負荷差分値Cnを取得する。積算部93-Gは、負荷差分値Cnと積算閾値Pとを比較して、比較結果を判定部93-Hに出力する。
【0061】
判定部93-Hは、閾値記憶部93-Iから判定閾値Qを取得する。判定部93-Hは、積算部93-Gから供給された比較結果が判定閾値Qを超えるか否かを判定することで、現時点での開閉動作が正常であるか以上であるかを判定する。異常であると判定した場合、開閉装置制御部91-Cに制御信号を出力する。例えば、制御信号は、開閉モーターの回転を停止させる信号や、開閉モーターを逆回転させる信号である。
【0062】
図26に示すように、速度調整部94は、検出部94-Aと、測定部94-Bと、基準値記憶部94-Cと、学習機能部94-Dと、動作位置算出部94-Eと、動作位置補正部94-Fと、速度指示部94-Gと、を有している。
【0063】
検出部94-A、測定部94-B及び基準値記憶部94-Cは、それぞれ障害物対応部93の検出部93-A、測定部93-B及び基準値記憶部93-Cと同様の構成であり、説明を省略する。
【0064】
学習機能部94-Dは、基準値記憶部94-Cに記憶されている過去のデータに基づいて、位置情報nに対応する位置パルスのパルス幅を算出する。
【0065】
動作位置算出部94-Eは、測定部94-Bから供給された位置情報nと、学習機能部94-Dから供給されたその位置情報nに対応する位置パルスのパルス幅Anとを比較する。
【0066】
動作位置補正部94-Fは、動作位置算出部94-Eからの比較データを取得する。動作位置補正部94-Fは、比較結果から、現開閉時の位置パルスのパルス幅を補正し、現開閉時の位置情報を確定する。
【0067】
速度指示部94-Gは、動作位置補正部94-Fで算出された位置情報をもとに、予め決めておいた位置での開閉モーターの速度を変化させる情報を開閉装置制御部91-Cに出力する。
【0068】
電気錠110が解錠信号に基づいて電気錠110を解錠する際に、フック部4と受け部材14との相対的な位置がずれて解錠できない場合には、第2制御部92は第1制御部91にエラー情報を送信する。エラー情報は、発信部8等を介して利用者に通知される構成であってもよい。
【0069】
電気錠110が施錠信号に基づいて電気錠110を施錠する際に、フック部4と受け部材14との相対的な位置がずれて施錠できない場合には、第2制御部92は第1制御部91にエラー情報を送信する。エラー情報は、発信部8等を介して利用者に通知される構成であってもよい。
【0070】
初期状態では、全閉位置に障子16を移動させておく。この状態から発信部8を操作して、障子16を開動作させて、全開位置まで移動させる。全開位置で障子16と枠体10の縦枠とが接触した時の負荷を検知して、全開位置を記録しておく。障子16を再度全閉位置まで動作して、全閉位置での障子16と枠体10の縦枠とが接触した時の深く検知して、初期位置とのずれ等を確認する。障子16を再度全開位置まで動作して、1回目の開操作で記録した位置まで動作してずれ等を確認して補正する。その後、障子16を全閉位置まで動作して、初期設定が完了する。
【0071】
既存の手動のクレセント200から電気錠110に交換する方法を説明する。
図27に示すように、螺子カバー201をクレセント本体202から取り外す。クレセント本体202を縦框16aの螺子孔16gに螺合している螺子203を緩めて、クレセント本体202を縦框16aから取り外す。
図18に示すように、既存の螺子孔16gを利用して、電気錠110の取付孔111bに螺子111cを挿通して、螺子孔16gに螺合する。この際に、取付孔111bは屋内外方向に長い長孔をしているため、電気錠110の屋内外方向の取付位置を調整することができる。
【0072】
このように構成された電気錠付き建具システム100では、既存の手動のクレセント200が取り付けられていた螺子孔16gを利用して、電気錠110を取り付けることができる。電気錠110の取付孔111bは屋内外方向に長い長孔をしているため、受け部材14に引っ掛けとの引っ掛かり具合に応じて、電気錠110の屋内外方向の取付位置を調整することができる。
【0073】
開閉装置7の開閉装置ユニット71は、面ファスナー742e及び面ファスナー16eを介して屋内側の障子16の上框16cに連結されている。開閉装置7を上框16cに螺子止め等の作業を伴わずに容易に取り付けることができる。
【0074】
発信部8と制御装置9の受信部91-Aとは無線で通信するため、配線作業が不要であり、配線が露出しないため外観を向上させることができる。
【0075】
以上、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0076】
上記に示す実施形態では、第1制御部91は開閉装置7に設けられ、第2制御部92は電気錠110に内蔵されているが、これに限られない。第1制御部91及び第2制御部92がともに開閉装置7に設けられていてもよく、制御装置9の設置箇所は適宜設定可能である。
【0077】
電気錠110の取付孔111bは、屋内外方向に長い長孔であるが、これに限られない。障子16または枠体10の縦枠に取り付けられる電気錠110の取付孔は、屋内外方向及び上下方向の少なくともいずれか一方に長い長孔であればよい。
【0078】
第2連結部材742は、面ファスナー742e及び面ファスナー16eによって、屋内側の障子16の上框16cに取り付けられているが、これに限られない。第2連結部材742は、螺子等の締結具等によって、障子16の上框16cに取り付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 錠、2 固定部、4 フック部、5 回転部、6 回転力伝達部、7 開閉装置、8,8A 発信部、9 制御装置、16 障子、31 回転軸線、53 カム溝部、72 固定部、91 第1制御部、91-A 受信部、92 第2制御部(錠側制御部)、100,100B 建具システム、110 電気錠、113 駆動部、531 第1回転カム曲線部、532 第2回転カム曲線部、533 第1直線移動カム曲線部、534 第2直線移動カム曲線部