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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176423
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/34 20200101AFI20231206BHJP
   D06F 58/02 20060101ALI20231206BHJP
   D06F 105/20 20200101ALN20231206BHJP
   D06F 105/28 20200101ALN20231206BHJP
   D06F 105/30 20200101ALN20231206BHJP
   D06F 105/48 20200101ALN20231206BHJP
   D06F 105/32 20200101ALN20231206BHJP
【FI】
D06F58/34
D06F58/02 N
D06F105:20
D06F105:28
D06F105:30
D06F105:48
D06F105:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088698
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瞬
(72)【発明者】
【氏名】藤田 大輔
【テーマコード(参考)】
3B166
3B167
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AB43
3B166AE05
3B166AE11
3B166AE12
3B166AE13
3B166BA08
3B166BA78
3B166CA01
3B166CA11
3B166CB01
3B166CB11
3B166DC03
3B166DC12
3B166DC14
3B166DC45
3B166DC47
3B166DE02
3B166DE04
3B166EA02
3B166EA03
3B166EA14
3B166EA18
3B166EA40
3B166EB02
3B166EB17
3B166ED01
3B166ED02
3B166ED05
3B166ED06
3B166EE07
3B166GA02
3B166GA14
3B166HA11
3B166HA24
3B166HA54
3B166JM01
3B166JM02
3B166JM03
3B167AA02
3B167AB43
3B167AE05
3B167AE11
3B167AE12
3B167AE13
3B167BA08
3B167BA78
3B167HA11
3B167HA24
3B167HA54
3B167JA03
3B167JA68
3B167KA32
3B167KB16
3B167LA21
3B167LC02
3B167LC10
3B167LC14
3B167LC20
3B167LC30
3B167LD12
3B167LE06
3B167LF01
3B167LF22
3B167LG08
(57)【要約】
【課題】衣類の傷みを抑制しつつ効果的に除菌可能な衣類処理装置を提供する。
【解決手段】衣類処理装置は、外槽と、外槽内に回転可能に設けられて内部に衣類を収容可能な回転槽と、外槽内に空気を送風する送風装置と、回転槽の内部に紫外線を照射可能な照射装置と、送風装置と、照射装置との駆動を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、送風装置と照射装置とを駆動して回転槽内に収容された乾いた又は湿った状態の衣類に風を当てながら紫外線を照射する除菌運転を実行可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外槽と、
前記外槽内に回転可能に設けられて内部に衣類を収容可能な回転槽と、
前記外槽内に空気を送風する送風装置と、
前記回転槽の内部に紫外線を照射可能な照射装置と、
前記送風装置と、前記照射装置との駆動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記送風装置と前記照射装置とを駆動して前記回転槽内に収容された乾いた又は湿った状態の衣類に風を当てながら紫外線を照射する除菌運転を実行可能である、
衣類処理装置。
【請求項2】
前記外槽に送風する空気の温度を直接または間接的に検知する温度検知部を備え、
前記制御装置は、前記除菌運転において前記送風装置が前記外槽に送風する空気の温度を所定の上限温度以下に制御する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記送風装置によって前記外槽内に送風される空気を加熱する加熱装置を備え、
前記制御装置は、前記除菌運転の所要時間のうち所定の割合未満の期間において前記加熱装置を駆動する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記除菌運転の実行中に空気を加熱しないで前記外槽内に送風する処理を実行する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記除菌運転において前記送風装置が送風する空気の風量は、2.5~7.0m/分の範囲内に設定されている、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記制御装置によって駆動制御されて前記回転槽を回転させる回転槽モータを備え、
前記制御装置は、前記除菌運転実行中に前記回転槽モータを35~65rpmの回転数で駆動する、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項7】
前記制御装置によって駆動制御されて前記回転槽を回転させる回転槽モータを備え、
前記制御装置は、前記除菌運転実行中に前記回転槽モータを駆動しない、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項8】
前記外槽外部に設けられて前記外槽への空気出口と空気入口とを繋ぎ、機外と連通した排気口を途中に有する循環風路と、
前記制御装置によって制御されて前記排気口を開閉するダンパと、を備え、
前記制御装置は、前記除菌運転実行中に前記ダンパを閉じた状態とする、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項9】
前記外槽外部に設けられて前記外槽への空気出口と空気入口とを繋ぎ、機外と連通した排気口を途中に有する循環風路と、
前記制御装置によって制御されて前記排気口を開閉するダンパと、を備え、
前記制御装置は、前記除菌運転の実行中に前記ダンパを開いた状態とする、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項10】
前記回転槽内部に着脱自在に取り付けられて衣類を支持可能な支持部材を更に備え、
前記照射装置は、上方から前記回転槽の内部に紫外線を照射可能に構成されている、
請求項7に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯機等の衣類処理装置内での衣類等への雑菌の繁殖を抑えるために、オゾンやマイナスイオン等の除菌成分を発生することができる洗濯機等が提案されている。また、衣類を温風やスチーム等により加熱することにより、衣類等への雑菌の繁殖を抑える洗濯機等も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-88488号公報
【特許文献2】特開2013-240497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オゾンやマイナスイオンなどの除菌成分は、気温や湿度などの環境の影響によって十分に生成できなかったり、生成しても短期間で消滅してしまったりする可能性がある。そのため、除菌成分による方式では除菌効果が十分でない虞がある。また、衣類の素材によっては、高温に晒すことに適さない衣類もある。そのため、加熱方式では除菌できない衣類がある。
【0005】
そこで、衣類の傷みを抑制しつつ効果的に除菌可能な衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の衣類処理装置は、外槽と、前記外槽内に回転可能に設けられて内部に衣類を収容可能な回転槽と、前記外槽内に空気を送風する送風装置と、前記回転槽の内部に紫外線を照射可能な照射装置と、前記送風装置と、前記照射装置との駆動を制御する制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記送風装置と前記照射装置とを駆動して前記回転槽内に収容された乾いた又は湿った状態の衣類に風を当てながら紫外線を照射する除菌運転を実行可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した例について概略構成を示す縦断側面図
図2】第1実施形態による衣類処理装置を洗濯乾燥機に適用した例について概略構成を示す縦断背面図
図3】第1実施形態について、照射装置の電気的な構成を示すブロック図
図4】第1実施形態による洗濯乾燥機の電気的な構成を示すブロック図
図5】第1実施形態による洗濯乾燥機の除菌工程における風量と除菌率との関係を示すチャート
図6】第1実施形態による洗濯乾燥機の除菌運転における回転槽の回転数と除菌率との関係を示すチャート
図7】第1実施形態による洗濯乾燥機の除菌運転における制御装置による制御内容を示すチャート
図8】第2実施形態による洗濯乾燥機の除菌運転における制御装置による制御内容を示すチャート
図9】第3実施形態による洗濯乾燥機の除菌運転における制御装置による制御内容を示すチャート
図10】第3実施形態による洗濯乾燥機について回転槽内に支持部材を設置した状態を扉を外して示す概略正面図
図11】第3実施形態による洗濯乾燥機について回転槽内に別の態様の支持部材を設置した状態を扉を外して示す概略正面図
図12】第4実施形態による洗濯乾燥機の除菌運転における制御装置による制御内容を示すチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態による衣類処理装置について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。本実施形態の衣類処理装置は、乾燥機能を備えた横軸又は斜め軸型のドラム式洗濯機である。なお、本実施形態の衣類処理装置は、乾燥機能を備えた或いは備えない縦軸型のいわゆる全自動洗濯機にも適用することができる。更になお、本実施形態の衣類処理装置は、洗濯機能を有さない構成にも適用することができる。
【0009】
図1及び図2に示す洗濯乾燥機10は、本実施形態の衣類処理装置の適用例である。洗濯乾燥機10は、外箱11、扉12、外槽13、回転槽14、ベローズ15、回転槽モータ16、給水機構17、排水機構18、及び操作パネル19を備えている。なお、本実施形態において、外箱11に対して扉12側つまり図1の紙面左側を洗濯乾燥機10の前側とする。外箱11は、例えばステンレス鋼板等によって矩形の中空箱状に形成されており、洗濯乾燥機10の外郭を構成している。外箱11は、前側部分に外槽13の内部と外箱11の外部とを連通する衣類出入口111を有している。更に、外箱11は、上面の背部に外槽13の内部と外箱11外部とを連通する外箱排気口112を有している。
【0010】
扉12は、外箱11の前部に設けられており、衣類出入口111を開閉可能に構成されている。ユーザは、扉12を開いた状態で、衣類出入口111を通じて衣類100を回転槽14に投入し又は回転槽14から取り出すことができる。
【0011】
外槽13は、前側に開口部131を有した有底円筒状に形成されている。本実施形態の場合、外槽13は、内部に水を貯留することができ、水槽として機能する。外槽13は、空気出口132と、空気入口133と、排水口134とを有している。空気出口132は、例えば外槽13の上部に形成されている。本実施形態では、空気出口132は、外槽13の筒状部分を構成する周壁の上部前寄り部分にあって、外槽13の左右方向の中心つまり外槽13の筒状部分の周壁の最頂部から左右方向へ離れた位置に設けられている。空気入口133は、例えば外槽13の底部に形成されている。本実施形態では、空気入口133は、外槽13の底部において底部の上下方向の中心からやや上寄り部分に設けられている。排水口134は、外槽13の下部に形成されている。本実施形態では、排水口134は外槽13の周壁の最下部に形成されている。空気出口132と、空気入口133と、排水口134とは、それぞれ外槽13の内部と外部とを連通する。
【0012】
回転槽14は、衣類100を収容可能な有底円筒状に形成されており、外槽13の内部に回転可能に収容されている。回転槽14の回転軸は、外槽13の中心軸に重なっている。回転槽14は、複数の連通孔141を有している。連通孔141は、回転槽14の内部と外部とを連通する。連通孔141は、回転槽14の円筒形状の筒状部分を構成する周壁及び回転槽14の底部の全域に形成されている。連通孔141は、洗濯運転時及び脱水運転時には、主として水が出入する通水孔として機能し、乾燥運転時及び除菌運転時には空気が出入する通風孔として機能する。また、詳細は図示しないが、回転槽14には、周壁の内側に複数のバッフルが設けられている。バッフルは、回転槽14の内部に収容された衣類100を攪拌する。
【0013】
ベローズ15は、外箱11の衣類出入口111及び外槽13の開口部131の周囲に設けられている。ベローズ15は、例えば円筒形の蛇腹状に形成されており、衣類出入口111と開口部131とを連通した状態で外箱11と外槽13とを弾性的に接続している。
【0014】
回転槽モータ16は、例えば外槽13の底部外側に設けられている。回転槽モータ16は、例えばアウタロータ型のダイレクトドライブモータを用いることができる。回転槽モータ16の軸部161は、外槽13の底部を貫いて外槽13の内側へ突出し、回転槽14の底部に固定されている。回転槽モータ16は、外槽13に対して回転槽14を相対的に回転させる。この場合、回転槽モータ16の軸部161、外槽13の中心軸、及び回転槽14の回転軸は、それぞれ一致している。本明細書において、回転槽14の回転数は、回転槽モータ16の回転数に一致している。
【0015】
給水機構17は、例えば水道などの外部の水源から供給される水を外槽13内に注水するための装置である。給水機構17は、例えば外箱11内において外槽13の上方、更に具体的には左右の一方寄りに設けられている。給水機構17は、給水弁171、注水ケース172、及び注水ホース173を備えている。
【0016】
給水弁171は、電磁駆動式の液体用の開閉弁であり、図示しない水道などの外部の水源と接続されている。注水ケース172は、内部に洗剤や仕上げ剤等の洗濯処理剤を収容可能に構成されている。注水ホース173は、注水ケース172と外槽13内とを接続している。給水弁171は、外部の水源から給水機構17を介して外槽13内に至る注水経路を開閉する。給水弁171が開放されると、外部の水源からの水は注水ケース172を介して外槽13内に注水される。その注水の際に注水ケース172に洗濯処理剤が貯留されていると、注水ケース172内の洗濯処理剤は注水ケース172を流れる水に乗って外槽13内に流し落とされる。なお、洗濯乾燥機10は、必ずしも注水ケース172を備えていなくても良い。すなわち、洗濯乾燥機10は、ユーザが外槽13内に洗濯処理剤を直接投入する構成であっても良い。
【0017】
排水機構18は、外槽13の内部に貯留された水を、洗濯乾燥機10の機外へ排出する機能を有する。排水機構18は、排水弁181と排水管182とを含んで構成されている。排水弁181は、例えば電磁駆動式の液体用の開閉弁であり、外槽13内から排水機構18を介して機外に至る排水経路を開閉する。
【0018】
操作パネル19は、ユーザから洗濯乾燥機10の設定や運転に関する操作入力を受け付けると共に、ユーザに対して洗濯乾燥機10の設定や運転に関する情報を表示や音声等によって提示する機能を有する。操作パネル19は、例えばタッチパネルディスプレイで構成することもできるし、タッチスイッチや機械的なスイッチ等で構成することもできる。また、操作パネル19は、タッチパネルディスプレイとタッチスイッチ及び機械的なスイッチ等を組み合わせて構成することもできる。操作パネル19は、例えば外箱11の上面の前側部分に設けられている。
【0019】
また、洗濯乾燥機10は、乾燥機能と、除菌機能とを備えている。本実施形態の場合、洗濯乾燥機10は、循環風路20、乾燥ユニット30、送風装置40、及び照射装置50を備える。
【0020】
循環風路20は、外箱11の内部かつ外槽13の外側において、空気出口132と空気入口133とを繋いでいる。循環風路20は、図1の矢印Aで示すように外槽13内部の空気を空気出口132から循環風路20内部に取り込み、乾燥ユニット30を通して温風にしたのち、その温風を空気入口133から外槽13内部へ供給する機能を有する。
【0021】
循環風路20は、図2に示すように、例えば排気ダクト21、フィルタ装置22、接続ダクト23、熱交換部24、及び給気ダクト25を有して構成されている。排気ダクト21、フィルタ装置22、接続ダクト23、熱交換部24、及び給気ダクト25は、循環風路20内を流れる空気の流れに沿って、順に配置されている。
【0022】
排気ダクト21は、外槽13の空気出口132とフィルタ装置22とを繋ぐダクトである。フィルタ装置22は、内部に図示しないフィルタが設けられており、循環風路20内を流れる空気に含まれるリントや異物を捕集する。接続ダクト23は、フィルタ装置22と熱交換部24とを繋ぐダクトである。熱交換部24は、外箱11の内側下部で且つ外槽13及び回転槽14の下方に設けられている。外槽13から循環風路20に取り込まれた空気は、熱交換部24を通過する際に除湿及び加熱されて乾燥した温風となる。給気ダクト25は、熱交換部24と外槽13の空気入口133とを繋ぐダクトである。
【0023】
循環風路20は、ダクト排気口26を有している。ダクト排気口26は、循環風路20の途中に形成された開口部であって、循環風路20の内部と外部と機外とを連通する。本実施形態では、ダクト排気口26は、フィルタ装置22の下流側この場合接続ダクト23に形成されている。図1に示すように、ダクト排気口26は、外箱11に形成された外箱排気口112に連通している。これにより、ダクト排気口26は、循環風路20の内部と機外とを連通する。また、循環風路20にはダクト排気口26を開閉するダンパ27が設けられている。ダンパ27は、図4に示すダンパモータ271によって回動して、ダクト排気口26を開閉する。ダンパ27を開閉することにより、図1の矢印Cで示すように、循環風路20内の空気の一部を循環風路20外この場合外箱11外に排出することができる。
【0024】
乾燥ユニット30と送風装置40は、循環風路20の途中に設けられ、回転槽14内に収容された衣類を乾燥する温風を生成して外槽13内に供給にする。乾燥ユニット30は、温風を生成する。送風装置40は、乾燥ユニット30に空気を送り込み、乾燥ユニット30が生成した温風を空気入口133から外槽13内へ供給する。乾燥ユニット30は、例えばヒートポンプ式やヒータ式の加熱装置を含んで構成することができる。本実施形態の場合、乾燥ユニット30は、ヒートポンプ式の加熱装置を含んで構成されており、蒸発器31、凝縮器32、及び圧縮機33を有している。
【0025】
蒸発器31及び凝縮器32は、熱交換部24内に設けられている。蒸発器31は、乾燥運転時における熱交換部24内の空気の流れに対して、凝縮器32よりも上流側に設けられている。蒸発器31及び凝縮器32は、熱交換部24の外側に設けられた圧縮機33と共に、ヒートポンプ機構すなわち冷凍サイクルを構成する。熱交換部24内を通る空気は、蒸発器31によって冷却され、これにより除湿される。蒸発器31によって除湿された空気は、その後、凝縮器32によって加熱されて温風になる。
【0026】
熱交換部24の下流側は、給気ダクト25によって外槽13の空気入口133に接続されている。送風装置40は、例えば熱交換部24と給気ダクト25との接続部分に設けられており、例えばシロッコファン等で構成することができる。詳細は図示しないが、送風装置40は、ファン及びファンモータを含んで構成される。送風装置40は、熱交換部24内の空気を吸い込み、給気ダクト25側へ吐出する。これにより、熱交換部24で除湿及び加熱された温風は、送風装置40の送風作用によって空気入口133から外槽13内、更には回転槽14内へ供給される。
【0027】
照射装置50は、例えば回転槽14以外の箇所で且つ回転槽14内を臨む位置に設けることができる。この場合、照射装置50は、上方から回転槽14内を望む位置に設けることができる。照射装置50は、例えば外槽13の開口部131の内周面、ベローズ15の内周面、又は扉12の内部に設けることができる。本実施形態の場合、照射装置50は、外槽13の開口部131の内周面又はベローズ15の内周面のうち最上部に設けられている。なお、本実施形態では照射装置50の個数は一つであるが、洗濯乾燥機10は複数の照射装置50を備えていても良い。その場合、例えば複数の照射装置50は、外槽13の開口部131の内周面又はベローズ15の内周面の上部に左右対称に設けられていても良い。
【0028】
照射装置50は、回転槽14内に紫外線を含む光線を照射する機能を有しており、例えば波長が200nm~380nmの紫外光を発光することができる。照射装置50は、回転槽14内部に対して上方から下方へ向かって、つまり回転槽14の周壁のうち下側部分に向かって紫外線を照射することができる。照射装置50から照射される紫外線は、紫外線単独でつまり触媒等を用いなくても除菌、殺菌若しくは消臭能力を有している。この場合、照射装置50から照射される紫外線の波長は、除菌、殺菌若しくは消臭能力を考慮すると、200nm~280nmの範囲内であることが好ましい。
【0029】
また、照射装置50は、例えば紫外線の照射と同時に、又は紫外線の照射とは別に可視光を照射する構成とすることができる。本実施形態の場合、照射装置50は、紫外線の照射と共に可視光を照射可能に構成されている。照射装置50から照射される紫外線の照射領域と、照射装置50から照射される可視光の照射領域とは、少なくとも一部が重なるように設定することができる。例えば、紫外線の照射領域の内側に可視光の照射領域全体が収まるように設定することもできるし、可視光の照射領域の内側に紫外線の照射領域全体が収まるように設定することもできる。
【0030】
照射装置50は、図3に示すように、例えば光源用回路51、紫外線光源52、青色光源53、及び白色光源54を含んで構成することができる。照射装置50は、光源用回路51、紫外線光源52、青色光源53、及び白色光源54を、例えば1つの基板501に実装して構成することができる。
【0031】
光源用回路51は、紫外線光源52、青色光源53、及び白色光源54の動作を制御する電気回路である。紫外線光源52は、紫外線を照射可能な光源であり、例えば紫外線ランプや紫外線LEDで構成することができる。青色光源53は、青色の可視光、例えば紫に近い青色の可視光を照射可能な、例えば青色ランプや青色LEDで構成することができる。また、白色光源54は、白色の可視光を照射可能な、たとえば白色ランプや白色LEDで構成することができる。本実施形態では、紫外線光源52、青色光源53、及び白色光源54は、それぞれ紫外線LED、青色LED、白色LEDで構成されている。
【0032】
紫外線光源52から照射される紫外線は人の目には見えない。そのため、照射装置50は、紫外線光源52から紫外線を照射する場合に、青色光源53から紫に近い青色の可視光を照射することで、照射装置50から紫外線が照射されていることをユーザに認知させることができる。この場合、例えば紫外線光源52と青色光源53とを同一の電気配線によって光源用回路51に接続して、紫外線光源52と青色光源53とが常に同時に発光するように構成することができる。なお、紫外線光源52と青色光源53とは、別の電気配線によって光源用回路51に接続されて相互に独立して発光するように構成することもできる。
【0033】
白色光源54は、例えば回転槽14内の照明に用いることができる。この場合、照射装置50は、回転槽14の内部を照明するための照明装置としての機能も有する。白色光源54は、紫外線光源52及び青色光源53とは別の電気配線によって光源用回路51に接続されて、紫外線光源52及び青色光源53とは独立して発光するように構成することができる。
【0034】
洗濯乾燥機10は、図4に示すように、制御装置60、メイン運転処理部61、及び除菌運転処理部62を備えている。制御装置60は、CPU601や、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの記憶領域602を有するマイクロコンピュータを主体として構成されている。制御装置60は、洗濯乾燥機10全体の動作を管理する機能を有する。回転槽モータ16、給水弁171、排水弁181、操作パネル19、乾燥ユニット30、送風装置40、及び照射装置50は、制御装置60に電気的に接続されており、制御装置60の制御を受けて動作する。なお、本明細書において制御装置60が乾燥ユニット30を動作させるとは、加熱装置としての乾燥ユニット30を駆動させることを意味し、本実施形態では圧縮機33を駆動させることを含む。
【0035】
制御装置60の記憶領域602は、メイン運転処理部61及び除菌運転処理部62を実現するためのプログラムを記憶している。制御装置60は、記憶領域602に記憶されている上記プログラムをCPU601において実行することにより、メイン運転処理部61及び除菌運転処理部62をソフトウェアによって仮想的に実現する。なお、メイン運転処理部61及び除菌運転処理部62は、制御装置60と一体の集積回路としてハードウェア的に実現しても良い。
【0036】
更に、洗濯乾燥機10は、外槽13内に送風する空気の温度を直接又は間接的に検知する温度検知部41を備える。温度検知部41は、限定されないが、例えば、凝縮器温度センサ、蒸発器温度センサ、吐出温度センサ、入口温度センサ、空気出口温度センサ、空気入口温度センサ、のうちいずれか一つ又は複数によって実現することができる。
凝縮器温度センサは、凝縮器32の温度を検知する。蒸発器温度センサは、蒸発器31の温度を検知する。吐出温度センサは、圧縮機33の吐出口付近に設けられて圧縮機33から吐出された冷媒の温度を検知する。入口温度センサは、圧縮機33の入口付近に設けられて圧縮機33に供給される冷媒の温度を検知する。空気出口温度センサは、排気ダクト21において空気出口132付近に設けられて外槽13から排出される空気の温度を検知する。空気入口温度センサは、給気ダクト25において空気入口133付近に設けられて外槽13に供給される空気の温度を検知する。温度検知部41による検知信号は、制御装置60に入力される。
【0037】
メイン運転処理部61は、回転槽モータ16、給水弁171、排水弁181、及び乾燥ユニット30を必要に応じて動作させることにより、洗濯運転と、乾燥運転と、洗濯乾燥運転と、を選択的に実行することができる。また、除菌運転処理部62は、回転槽モータ16、給水弁171、排水弁181、送風装置40、乾燥ユニット30、及び照射装置50を必要に応じて動作させることにより、除菌運転を実行することができる。なお、本実施形態において、洗濯運転、乾燥運転、洗濯乾燥運転、又は除菌運転における「運転」とは、1以上の工程を実行するコースであり、ユーザが選択可能な単位である。すなわち、ユーザは、例えば操作パネル19を操作することにより、洗濯運転、乾燥運転、乾燥運転、除菌運転を含むコースのうち所望の運転を選択して実行することができる。
【0038】
洗濯運転は、主に衣類の洗濯を目的としており、洗い工程、濯ぎ工程、及び脱水工程の少なくともいずれか一つの工程を含んでいる。乾燥運転は、主に濡れた衣類の乾燥を目的としており、乾燥工程を含んでいる。洗濯乾燥運転は、主に衣類の洗濯及び濡れた衣類の乾燥を目的としており、洗濯運転及び乾燥運転を含んでいる。除菌運転は、主に衣類の除菌、殺菌又は消臭を目的としており、除菌工程を含んでいる。なお、各運転の具体的内容については、衣類の量や汚れの程度や状態に応じて自動で、又は操作パネル19に対するユーザの操作に基づいて適宜変更することができる。
【0039】
洗い工程は、外槽13内に水を貯留した状態で回転槽14を回転させる等して回転槽14内の衣類を水とともに攪拌し、これにより衣類を洗う工程である。メイン運転処理部61は、洗い工程が実行されると、排水弁181を閉じた状態で給水弁171を開いて外槽13内に注水する。この時、注水ケース172内に投入された洗剤などの洗濯処理剤は、注水に伴って外槽13内に投入される。メイン運転処理部61は、更に給水弁171及び排水弁181を閉じた状態で回転槽モータ16を主に低速で動作させることで回転槽14を回転させて、回転槽14内の衣類を叩き洗いする。なお、洗濯工程において、メイン運転処理部61は、例えば給水弁171を間欠的に開閉するなどして注水を行ってもよい。
【0040】
脱水工程は、回転槽14を高速回転させて、濡れた衣類を遠心脱水する工程である。メイン運転処理部61は、脱水工程が実行されると、給水弁171を閉じた状態で排水弁181を開き、これにより外槽13内に貯留されている水を排水する。また、メイン運転処理部61は、回転槽モータ16を高速動作させることで回転槽14を高速回転させて、これにより回転槽14内に収容された濡れた衣類に含まれた水分を排水する。
【0041】
濯ぎ工程は、外槽13内に水を貯留した状態で回転槽モータ16を動作させて回転槽14を開閉させるなどして回転槽14内の衣類を水とともに攪拌し、これにより衣類を濯ぐ工程である。メイン運転処理部61は、濯ぎ工程が実行されると、洗い工程と同様に、排水弁181を閉じた状態で給水弁171を開いて外槽13内に注水する。この時、注水ケース172内に投入された仕上げ剤などの洗濯処理剤は、注水に伴って外槽13内に投入される。続いて、メイン運転処理部61は、洗い工程と同様に、例えば給水弁171及び排水弁181を閉じた状態で回転槽モータ16を主に低速で動作させて回転槽14内の衣類を濯ぐ。なお、濯ぎ工程において、メイン運転処理部61は、例えば給水弁171を間欠的に開閉するなどして注水を行ってもよい。
【0042】
乾燥工程は、回転槽14を中速で回転させて衣類を攪拌しながら乾燥ユニット30及び送風装置40を動作させて衣類に温風を当てることで、回転槽14内に収容された衣類を乾燥させる工程である。洗濯乾燥運転の場合、乾燥工程は、脱水工程の後に実行される。メイン運転処理部61は、乾燥工程が実行されると、給水弁171及び排水弁181を閉じた状態で回転槽モータ16を中速で回転させるとともに乾燥ユニット30及び送風装置40を動作させる。乾燥工程における回転槽14の回転数は、約50rpm~60rpmの範囲内に設定することができる。また、乾燥工程における送風装置40によって外槽13に送られる空気の風量は、例えば約7.0m/分以下に設定されている。乾燥工程における送風装置40によって外槽13に送られる空気の風量は本実施形態では、約5.5m/分以下に設定されている。
【0043】
除菌工程は、送風装置40を動作させて衣類に風を当てるとともに、照射装置50を動作させて回転槽14内に収容された衣類に紫外線を照射する工程である。除菌工程は、主に、洗い工程又は濯ぎ工程を経ていない、つまり乾燥工程又は外気による乾燥が必要な程度までは濡れていない衣類に対して実行される。換言すると、除菌工程は、主に、乾いた又は湿った状態の衣類に対して実行される。
【0044】
除菌工程において、外槽13及び回転槽14内に供給される空気の温度は、乾燥工程において外槽13及び回転槽14内に供給される空気の温度よりも低く設定されている。すなわち、除菌工程における回転槽14内に収容された衣類の温度は、乾燥工程における回転槽14内に収容された衣類の温度未満となる。例えば、除菌工程における外槽13に供給される空気の上限温度は、例えば、35℃~55℃の範囲内に設定することができる。本実施形態では、除菌工程における外槽13に供給される空気の上限温度は、40℃に設定されている。
【0045】
この場合、除菌運転処理部62は、外槽13及び回転槽14内に供給される空気の温度が上限温度以下となるのであれば、乾燥ユニット30具体的には圧縮機33を駆動してもよいし、駆動しなくてもよい。本実施形態では、除菌運転処理部62は圧縮機33を駆動しない。
【0046】
更に、除菌工程において、除菌運転処理部62は、外槽13に供給される風量が所定の風量となるように送風装置40を駆動させる。除菌工程における外槽13に供給される風量は、中速~高速に設定することができる。例えば、除菌工程における外槽13に供給される風量は、乾燥工程における外槽13に供給される風量の1/3倍以上から同程度、好ましくは1/2倍以上から同程度に設定することができる。具体的には、除菌工程における外槽13に供給される風量は、例えば約2.5m/分~約7.0m/分の範囲内に設定することができる。本実施形態では、除菌工程における外槽13に供給される風量は、約2.5m/分~約5.5m/分の範囲内に設定されている。
【0047】
この場合、除菌工程における風量に対して衣類の除菌率をプロットすると図5のようになる。横軸が風量、縦軸は除菌率を示す。風量が2.5m/分~7.0m/分の範囲内では、衣類が軽く巻き上げられることにより衣類間の相対移動が促進される。また、風が当たることにより、着用などによって発生した衣類の湿り気の蒸発が促進される。これらの結果、衣類の除菌率が向上する。風量が2.5m/分よりも小さい場合、衣類の攪拌が促進されず、更に風が十分に当たらない。その結果、衣類の湿り気が蒸発し難くなり、除菌率が低下する虞がある。一方、風量が7.0m/分よりも大きい場合、衣類が強く巻き上げられ風圧により扉12に張り付き易くなる。この場合、衣類に紫外線が当たらず、また衣類の攪拌が促進されないため、除菌率が低下する虞がある。更に、風量が2.5m/分~5.5m/分の範囲内では、使用する電力量を抑制しつつ、上記の効果を奏することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、除菌工程は、回転槽14を低速~中速で回転させて衣類を攪拌しながら、実行される。回転槽14を回転させながら除菌工程を行う運転内容を、第1除菌運転と称する。制御装置60は、第1除菌運転における回転槽14の回転数を、例えば約35rpm~約65rpmの範囲内に設定することができる。第1除菌運転における回転槽14の回転数は、回転槽14内に収容する衣類の重量にもより、例えば1kgの衣類が収容されている場合、約45~約50rpmの範囲内に設定することができる。
【0049】
この場合、第1除菌運転における回転槽14の回転数に対して衣類の除菌率をプロットすると図6のようになる。横軸が回転数、縦軸は除菌率を示す。回転数が35rpm~65rpmの範囲内では、回転槽14の回転に伴って衣類がある程度の高さまで持ち上がり、落下することを繰り返すことによって、衣類の攪拌が促進される。その結果、除菌率が向上する。回転数が35rpm未満では、重力に比べて遠心力の寄与が小さく、衣類が持ち上がらない為に撹拌され難い。その結果、衣類全体に紫外線が照射されず、除菌率が低下する。一方、回転数が65rpmよりも大きいと、重力に比べて遠心力の寄与が過大となり、衣類が回転槽14の壁面に張り付くために撹拌され難い。その結果、衣類全体に紫外線照射されず、除菌率が低下する。
【0050】
更に、本実施形態では、除菌運転処理部62は、ダンパモータ271を駆動してダクト排気口26を閉じた状態で除菌工程を実行する。つまり、第1除菌運転においてダクト排気口26は閉じた状態となっている。これにより、外槽13及び回転槽14から循環風路20を通して外部に排気されない状態となる。そのため、衣類から除去された異物や菌等のうち、フィルタ装置22で除去しきれなかったものが洗濯乾燥機10の設置空間に流出することを抑制することができる。
【0051】
なお、除菌工程は、乾いた或いは湿った状態の衣類に対して施すことを意図している。そのため、一般的に、洗濯運転を経るなどして濡れた状態の衣類に対して施すことを意図した乾燥工程よりも短期間で終了する。例えば、乾燥工程の所要時間は90分以上に設定することができるのに対して、除菌工程の所要時間は30分~60分の範囲内に設定することができる。
【0052】
以上説明した本実施形態によれば、衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、外槽13と、回転槽14と、送風装置40と、照射装置50と、制御装置60と、を備える。回転槽14は、外槽13内に回転可能に設けられて内部に衣類を収容可能に構成されている。送風装置40は、外槽13内に空気を送風可能に構成されている。照射装置50は、回転槽14の内部に紫外線を照射可能に構成されている。制御装置60は、送風装置40と、照射装置50との駆動を制御する。制御装置60は、送風装置40と照射装置50とを駆動して回転槽14内に収容された乾いた又は湿った状態の衣類に風を当てながら紫外線を照射する除菌運転を実行可能である。
【0053】
これにより、除菌運転が実行されると、送風によって衣類の湿り気が除去されるとともに、紫外線の照射によって衣類に付着した雑菌を除去することができる。したがって、高温処理又は洗濯に適さない素材で作られた衣類に対して、衣類の傷みを抑制しつつ効果的に除菌を行うことができる洗濯乾燥機が提供される。更に、紫外線照射と送風を同時に行い、紫外線のみによって除菌効果を図るものではないため、照射装置50が過度に高出力である必要はなく、したがって、照射装置50及び衣類処理装置全体の大型化も抑制することができる。
【0054】
なお、洗濯乾燥機10は、送風装置40が送風する空気を加熱する加熱装置としての乾燥ユニット30を備える。制御装置60は、乾燥ユニット30と送風装置40とを駆動して前記回転槽内に収容された衣類に温風を供給する乾燥運転と、前記乾燥運転の実行期間以外の期間において送風装置40と照射装置50とを駆動して回転槽14内に収容された乾いた又は湿った衣類に風を当てながら紫外線を照射する除菌運転と、を実行可能である。
【0055】
更に尚、制御装置60は、乾燥運転において照射装置50を駆動して回転槽14内に紫外線を照射しても良い。
【0056】
本実施形態の衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、外槽13に送風する空気の温度を直接又は間接的に検知する温度検知部41を備える。制御装置60は、除菌運転において送風装置40が外槽13に送風する空気の温度を所定の上限温度以下に制御する。
【0057】
これにより、高温に適さない衣類の傷みを更に確実に抑制しつつ、除菌することができる。
【0058】
制御装置60は、除菌運転の実行中に空気を加熱しないで外槽13内に送風する処理を実行する。
【0059】
これにより、送風装置40が送風する空気は、積極的に加熱されていないため、室温又は衣類の温度と同程度となり、高温に適さない衣類の傷みを更に確実に抑制しつつ、除菌することができる。
【0060】
除菌運転において送風装置40が送風する空気の風量は、2.5~7.0m/分の範囲内に設定されている。
【0061】
これにより、衣類からの湿気の除去が促進される。また、回転槽14内で衣類の攪拌が促進され、紫外線が衣類全体に満遍なく照射されるようになる。したがって、除菌の効率が向上する。
【0062】
洗濯乾燥機10は、制御装置60によって駆動制御されて回転槽14を回転させる回転槽モータ16を備える。制御装置60は、除菌運転の実行中に回転槽モータ16を35~65rpmの範囲内の回転数で駆動する。
【0063】
これにより、衣類の攪拌が促進されるため、回転槽14内に送風された空気が衣類全体に万遍なく当たりやすくなる。そのため衣類からの湿気の除去が促進される。また、衣類の攪拌が促進されるため、紫外線が衣類全体に満遍なく照射されるようになる。これらにより、過度に高温にさらすことなく衣類の除菌の効率が向上する。
【0064】
洗濯乾燥機10は、循環風路20と、ダンパ27とを備える。循環風路20は、外槽13外部に設けられて外槽13への空気出口132と空気入口133とを繋ぎ、機外と連通したダクト排気口26を途中に有する。ダンパ27は、制御装置60によって制御されてダクト排気口26を開閉する。制御装置60は、除菌運転の実行中にダンパ27を閉じた状態とする。
【0065】
これにより、衣類から除去された異物や雑菌等のうち、フィルタ装置22によって捕捉されなかったものが、ダクト排気口26から機外例えば洗濯乾燥機10が設置されている室内に放出されることを抑制することができる。なお、ダンパ27を閉じた状態とすることは、ダンパ27が開いた状態である場合にダンパ27を閉じることと、既にダンパ27が閉じた状態である場合にその閉鎖状態を維持することとを含む。
【0066】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図8を参照して説明する。本実施形態では、除菌運転処理部62は、第2除菌運転を実行する。第2除菌運転とは、除菌工程において乾燥ユニット30が駆動される運転内容である。すなわち、本実施形態において、除菌運転処理部62は、除菌工程において圧縮機33を駆動して、外槽13に送る空気の温度が上限温度以下となるように加温する。
【0067】
除菌運転処理部62は、除菌工程の全所要時間のうち所定の割合未満の期間において、乾燥ユニット30を駆動する。この場合、所定の割合は、例えば、10%~50%の範囲内に設定することができる。本実施形態では、所定の割合は、25%に設定されている。例えば、除菌工程の全所要時間Tが30分であれば、乾燥ユニット30が駆動される期間Tonは7.5分未満に設定される。
【0068】
なお、乾燥ユニット30の駆動は、連続的であっても間欠的であっても構わない。乾燥ユニット30の駆動が間欠的である場合、駆動した期間の合計の割合が、除菌工程の全所要時間Tのうち所定の割合以下となるように設定されていてもよい。
【0069】
本実施形態の衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、送風装置40によって外槽13内に送風される空気を加熱する加熱装置としての乾燥ユニット30を備える。制御装置60は、除菌運転の所要時間Tのうち所定の割合未満の期間Tonにおいて加熱装置を駆動する。
【0070】
これにより、送風される空気の温度ひいては除菌処理される衣類の温度が、過度に高温となり、デリケートな衣類が傷んでしまったり縮んでしまったりすることを抑制できる。そのため、高温に適さない衣類の傷みを更に確実に抑制しつつ、除菌することができる。
【0071】
(第3実施形態)
続いて、図9図11を参照して第3実施形態について説明する。本実施形態では、洗濯乾燥機10の除菌運転処理部62は、第3除菌運転を実行する。第3除菌運転とは、除菌工程において回転槽モータ16を駆動しない運転内容である。すなわち、除菌運転処理部62は、第3除菌運転において、回転槽14を静止させた状態で、照射装置50により回転槽14内に収容された衣類に紫外線を照射すると共に、送風装置40により空気を送風することにより衣類の除菌処理を施す。
【0072】
すなわち、第3除菌運転において、衣類が回転槽14の回転によって攪拌されない状態で除菌運転が実行される。そのため、例えば摩擦に対してデリケートな素材で構成された衣類や、型崩れの虞がある衣類に対しても適切に除菌運転を実行することができる。
【0073】
更に、除菌運転が施される衣類は、回転槽14内に直接収容されていても良いし、回転槽内部に着脱自在に取り付けられた支持部材70によって支持されていても良い。ユーザは、必要に応じて、支持部材70を回転槽14内に設置して衣類を支持部材70に支持させた状態で、洗濯乾燥機10に除菌運転を実行することができる。この場合、衣類の位置は回転槽14の周壁の下部よりも上方となる。照射装置50は、上方から回転槽14内を臨む位置に設けられている。すなわち、照射装置50の紫外線光源52は、上方から回転槽14内にむけて照射する。そのため、衣類の位置は、衣類が回転槽14に直接収容されている場合に比較して、照射装置50の紫外線光源52に近くなると共に、空気入口133に近くなる。
【0074】
支持部材70は、例えば、図10に示すように支持台71であっても良い。支持台71は、複数の脚部711と支持部712とを有する。支持台71が回転槽14内に設置された状態で、複数の脚部711は、回転槽14の周壁のうち下部から上方に向けて延びている。支持部712は、複数の脚部711によって保持されており、概ね水平方向に延びて衣類100を支持する面を構成する。支持部712は、例えば板状であっても良いし、すのこ状、格子状又はメッシュ状で通気性が高い形状であっても良い。
【0075】
支持部材70の別の実施態様である竿72を図11に示す。竿72は、回転槽14の上部に概ね水平方向に延びるように装着可能に構成されている。竿72は、例えば衣類ハンガー110に掛けた衣類100を支持することができる。更に、竿72は図示しないクリップを有しており、クリップによって衣類100を保持する構成であっても良い。
【0076】
ここで、衣類によっては、撹拌することで生じる摩擦による影響を受けやすい素材や、デリケートな素材で構成された衣類や、撹拌することにより型崩れしてしまう虞のある衣類もある。
【0077】
これに対して、本実施形態の衣類処理装置としての洗濯乾燥機10は、制御装置60によって駆動制御されて回転槽14を回転させる回転槽モータ16を備える。制御装置60は、除菌運転実行中に回転槽モータ16を駆動しない。
【0078】
これにより、いわば衣類が静止した状態で除菌運転が実行されるため、デリケートな素材で構成された衣類や、型崩れの虞がある衣類に対しても除菌運転を施すことができる。従って、衣類の傷みを一層抑制しつつ、除菌を効果的に実行することができる。
【0079】
更に、洗濯乾燥機10は、回転槽14内部に着脱自在に取り付けられて衣類を支持可能な支持部材70、71、72を備える。照射装置50は、上方から回転槽14の内部に紫外線を照射可能に構成されている。
【0080】
これにより、回転槽14の周壁に衣類が直接収容されている場合に比較して、衣類と照射装置50の紫外線光源52との距離が短くなる。そのため、より確実に紫外線が衣類に当たるようになり、衣類の除菌効果が向上する。
【0081】
なお、空気入口133は、外槽13の底部の中央から上寄り部分に位置する。そのため、衣類が支持部材70、71、72に支持されることにより、衣類と空気入口133との距離も近くなる。そのため、衣類に一層風が当たりやすくなり、除湿、脱臭及び除菌効果が向上する。
【0082】
なお、ユーザは、操作パネル19に操作することにより、除菌運転において回転槽14を回転させるか否かを指定することができる。制御装置60は、操作パネル19に対するユーザの入力内容に基づいて、除菌運転において回転槽モータ16を駆動させるか否かを判定する。除菌運転処理部62は、判定内容に基づいて、除菌工程において回転槽モータ16を駆動させ又は駆動させない。
【0083】
(第4実施形態)
続いて、図12を参照して第4実施形態について説明する。本実施形態では、洗濯乾燥機10の除菌運転処理部62は、第4除菌運転を実行する。除菌運転処理部62は、第3除菌運転において、ダンパ27を開放する。すなわち、第4除菌運転は、ダクト排気口26が開いた状態で、照射装置50により回転槽14内に収容された衣類に紫外線を照射すると共に、送風装置40により空気を送風することにより衣類の除菌処理を施す運転内容である。
【0084】
本実施形態によっても、上記実施形態と同様の効果が奏される。
【0085】
また、本実施形態の洗濯乾燥機10は、循環風路20と、ダンパ27とを備える。循環風路20は、外槽13の外部に設けられて外槽13への空気出口132と空気入口133とを繋ぎ、機外と連通したダクト排気口26を途中に有する。ダンパ27は、制御装置60によって制御されてダクト排気口26を開閉する。制御装置60は、除菌運転の実行中にダンパ27を開いた状態とする。
【0086】
これにより、衣類から蒸発した湿気を含んだ空気がダクト排気口26から機外に排出されることで、循環風路20内の湿度が下がり、除菌効果が向上する。また、ダクト排気口26から排気されることにより、循環風路20内に負圧が発生し、ベルヌーイの定理により循環風路20内の風量が増加する。そのため、除湿効率が一層向上する。これらにより、洗濯乾燥機10は、衣類の傷みを抑制しつつ除菌効果を一段と向上することができる。
【0087】
なおこの場合、除菌運転処理部62は第4除菌運転において回転槽モータ16を駆動して回転槽14を回転させても良いし、回転させなくても良い。本実施形態では、第4除菌運転において除菌運転処理部62は回転槽モータ16を駆動させる。
【0088】
以上説明した各実施形態は、互いに組み合わせて実施することができる。
【0089】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変更は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
10…洗濯乾燥機(衣類処理装置)、13…外槽、132…空気出口、133…空気入口、14…回転槽、16…回転槽モータ、20…循環風路、26…排気口、27…ダンパ40…送風装置、41…温度検知部、50…照射装置、60…制御装置、70…支持部材、71…支持台(支持部材)、72…竿(支持部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12