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特開2023-176433無停電電源装置の放電可能時間表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176433
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】無停電電源装置の放電可能時間表示装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20231206BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20231206BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H02J9/06 120
H02J7/34 G
H02J7/34 B
H02J7/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088709
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】西谷 一樹
【テーマコード(参考)】
5G015
5G503
【Fターム(参考)】
5G015GA02
5G015JA42
5G015JA56
5G015JA59
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503DA05
5G503EA05
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD05
(57)【要約】
【課題】無停電電源装置による放電可能時間を精度良く推定して使用者に知らせることができるようにした無停電電源装置の放電可能時間表示装置を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る無停電電源装置の放電可能時間表示装置は、無停電電源装置による放電可能時間を表示可能に構成されている表示装置であって、所定負荷での運転時における前記放電可能時間を推定する推定部と、前記推定部により推定された所定負荷での運転時における前記放電可能時間を表示する表示部と、を備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無停電電源装置による放電可能時間を表示可能に構成されている表示装置であって、
所定負荷での運転時における前記放電可能時間を推定する推定部と、
前記推定部により推定された所定負荷での運転時における前記放電可能時間を表示する表示部と、
を備える無停電電源装置の放電可能時間表示装置。
【請求項2】
前記推定部は、定格負荷での運転時における前記放電可能時間を推定し、
前記表示部は、前記推定部により推定された定格負荷での運転時における前記放電可能時間を表示する請求項1に記載の無停電電源装置の放電可能時間表示装置。
【請求項3】
前記表示部は、さらに、前記無停電電源装置が放電を開始してからの経過時間を表示する請求項1に記載の無停電電源装置の放電可能時間表示装置。
【請求項4】
前記表示部は、蓄電池の充電が完了するまでは、前記蓄電池の充電が未完了であることを表示する請求項1に記載の無停電電源装置の放電可能時間表示装置。
【請求項5】
前記無停電電源装置は、接続されている全ての蓄電池から放電を行う定格運転と、接続されている全ての蓄電池のうち一部の蓄電池から放電を行う縮退運転と、を実行可能であり、
前記表示部は、前記無停電電源装置が前記縮退運転を実行している場合には、前記無停電電源装置による放電量が定格の放電量に満たないことを表示する請求項1に記載の無停電電源装置の放電可能時間表示装置。
【請求項6】
前記表示部は、蓄電池が劣化していることを表示する請求項1に記載の無停電電源装置の放電可能時間表示装置。
【請求項7】
前記推定部は、設定された負荷率および設定された蓄電池の運転台数に応じた前記放電可能時間を推定可能である請求項1に記載の無停電電源装置の放電可能時間表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無停電電源装置による放電可能時間を表示可能に構成されている無停電電源装置の放電可能時間表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、無停電電源装置における蓄電池の使用状態を検知し、これを状態フラグとして設定し、これをコンピュータによって認識することにより、ワークステーションの表示モニタに所望のガイダンス表示を行うコンピュータシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-28567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、無停電電源装置における蓄電池の使用状態、つまり、どれだけの蓄電池を、どれだけの負荷で使用しているのかを示す状態を確認することはできるものの、無停電電源装置による放電可能時間を精度良く確認することはできない。そのため、使用者は、無停電電源装置による放電がどれだけの時間可能であるのかが分からず、安心して設備の運転を行うことができない。
【0005】
そこで、無停電電源装置による放電可能時間を精度良く推定して使用者に知らせることができるようにした無停電電源装置の放電可能時間表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る無停電電源装置の放電可能時間表示装置は、無停電電源装置による放電可能時間を表示可能に構成されている表示装置であって、所定負荷での運転時における前記放電可能時間を推定する推定部と、前記推定部により推定された所定負荷での運転時における前記放電可能時間を表示する表示部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る遠隔監視システムの構成例を概略的に示すブロック図
図2】本実施形態に係る状態データ表示画面の構成例を概略的に示す図
図3】本実施形態に係る波形データ表示画面の構成例を概略的に示す図
図4】本実施形態に係る日報データ表示画面の構成例を概略的に示す図
図5】本実施形態に係るトレンドデータ表示画面の構成例を概略的に示す図
図6】本実施形態に係る履歴一覧表示画面の構成例を概略的に示す図
図7】本実施形態に係る蓄電池の監視盤が備える操作パネルの構成例を概略的に示す正面図
図8】本実施形態に係る無停電電源装置が備えるコントロール基板の構成例を概略的に示すブロック図
図9】本実施形態に係る通常運転時における表示例を概略的に示す操作パネルの正面図
図10】本実施形態に係る蓄電池運転時における表示例を概略的に示す操作パネルの正面図
図11】本実施形態に係る充電時における表示例を概略的に示す操作パネルの正面図
図12】本実施形態に係る縮退運転時における表示例を概略的に示す操作パネルの正面図
図13】本実施形態に係る蓄電池の劣化時における表示例を概略的に示す操作パネルの正面図
図14】本実施形態に係る放電可能時間のシミュレーション時における表示例を概略的に示す操作パネルの正面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、「無停電電源装置および蓄電池の遠隔監視システム」および「無停電電源装置の放電可能時間表示装置」に係る一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に例示する遠隔監視システム100は、無停電電源装置200、蓄電装置300、基地局装置400などを備えている。
【0009】
無停電電源装置200は、交流入力部201および直流入力部202を備えている。交流入力部201は、図示しない商用電源に接続されており、交流電力を無停電電源装置200に入力可能に構成されている。一方、直流入力部202は、蓄電装置300に接続されており、直流電力を無停電電源装置200に入力可能に構成されている。
【0010】
また、無停電電源装置200は、記録基板203を備えている。記録基板203には、各種の情報を記録することが可能である。記録基板203に記録される情報には、無停電電源装置200の各種の状態を示す無停電電源装置状態情報などが含まれる。
【0011】
また、無停電電源装置200には、周辺盤500が接続されている。周辺盤500は、ルータ装置501およびハブ装置502を備えている。ルータ装置501およびハブ装置502は、無停電電源装置200の出力側から電源が供給されるように構成されている。
【0012】
より詳細に説明すると、無停電電源装置200は、交流入力部201からも直流入力部202からも電力が供給されており、常に電力を出力可能に構成されている。そして、無停電電源装置200の出力には、トランス503を介して、コンセント504が接続されている。そして、ルータ装置501およびハブ装置502は、このコンセント504にACアダプタ505を繋ぐことで電源が供給されるようになっている。
【0013】
このような接続形態によれば、ルータ装置501およびハブ装置502は、例えば停電によって電力の供給が停止した場合であっても、無停電電源装置200から電源が供給される。そのため、ルータ装置501およびハブ装置502は、例えば停電中であっても、無停電電源装置200からの電力供給により動作可能となっている。
【0014】
また、周辺盤500は、ゲートウェイ基板506を備えている。ゲートウェイ基板506も、無停電電源装置200から電力供給可能に構成されている。即ち、ゲートウェイ基板506は、無停電電源装置200の出力に接続されている安定化電源507を介して電源が供給されるように構成されている。そして、ハブ装置502は、このゲートウェイ基板506を介して、無停電電源装置200の記録基板203に記録されている各種の情報を収集可能に構成されている。
【0015】
また、無停電電源装置200は、コントロール基板204を備えている。コントロール基板204は、周辺盤500のルータ装置501、ハブ装置502、ゲートウェイ基板506、さらには、無停電電源装置200の記録基板203の動作を制御可能である。なお、コントロール基板204は、さらに、周辺盤500のルータ装置501、ハブ装置502、ゲートウェイ基板506への電力の供給を制御可能であってもよいし、無停電電源装置200の記録基板203への電力の供給を制御可能であってもよい。また、コントロール基板204は、無停電電源装置200および周辺盤500の動作全般を制御可能であってもよい。
【0016】
蓄電装置300は、例えばリチウムイオン蓄電池などにより構成されている複数の蓄電池301を備えている。蓄電池301は、それぞれ無停電電源装置200の直流入力部202に接続されており、無停電電源装置200に直流電力を供給可能に構成されている。また、蓄電装置300には、監視盤600が接続されている。監視盤600は、記録基板601を備えている。記録基板601には、各種の情報を記録することが可能である。記録基板601に記録される情報には、蓄電池301の各種の状態を示す蓄電池状態情報などが含まれる。
【0017】
また、監視盤600は、ゲートウェイ基板602を備えている。周辺盤500に備えられているハブ装置502は、このゲートウェイ基板602を介して、記録基板601に記録されている各種の情報を収集可能である。
【0018】
また、監視盤600は、コントロール基板603を備えている。コントロール基板603は、記録基板601、ゲートウェイ基板602の動作を制御可能である。なお、コントロール基板603は、記録基板601、ゲートウェイ基板602への電力の供給を制御可能であってもよい。また、コントロール基板603は、蓄電装置300の動作全般を制御可能であってもよい。
【0019】
上述した通り、ハブ装置502は、無停電電源装置200の記録基板203に記録されている各種の情報および蓄電装置300の記録基板601に記録されている各種の情報を収集可能に構成されている。即ち、ハブ装置502は、無停電電源装置200の記録基板203に記録されている無停電電源装置状態情報および蓄電装置300の記録基板601に記録されている蓄電池状態情報を集約する情報集約部として機能する。そして、ハブ装置502は、集約した情報を、ルータ装置501を介して基地局装置400に送信可能に構成されている。なお、図1においては、情報の伝達経路を破線矢印により示している。
【0020】
以上に例示した遠隔監視システム100によれば、ハブ装置502は、蓄電装置300や監視盤600ではなく、無停電電源装置200に設けられている周辺盤500に備えられている。即ち、ハブ装置502は、蓄電装置300側の構成要素としてではなく無停電電源装置200側の構成要素として備えられている。なお、ハブ装置502は、例えば蓄電装置300側の構成要素として備えられていてもよい。
【0021】
基地局装置400は、操作入力部401および表示出力部402を備えている。操作入力部401は、例えばキーボードやマウスなどといった操作入力用デバイスにより構成されている。使用者は、操作入力部401を介して各種の情報を基地局装置400に入力することができる。表示出力部402は、例えば液晶ディスプレイなどといった表示出力用デバイスにより構成されている。表示出力部402には、各種の情報を表示可能である。
【0022】
基地局装置400が備える表示出力部402は、監視される対象となる無停電電源装置200や蓄電池301ではなく、遠隔監視システム100において監視動作の主体となる基地局装置400に備えられるシステム側表示部あるいは監視主体側表示部の一例である。表示出力部402は、ハブ装置502からルータ装置501を介して受信した各種の情報に基づいて、監視対象である無停電電源装置200の状態および蓄電池301の状態を相互に対応付けて表示可能に構成されている。
【0023】
即ち、基地局装置400は、図2に例示する状態データ表示画面G1を、表示出力部402に表示可能に構成されている。状態データ表示画面G1によれば、1台の無停電電源装置200に複数の蓄電池301が遮断器301aを介して接続されている状態が模式的に示されている。また、状態データ表示画面G1によれば、複数の蓄電池301の運転状態が、例えば表示色を異ならせることにより示されている。
【0024】
即ち、状態データ表示画面G1によれば、無停電電源装置200およびオン状態である蓄電池301は例えば赤色で示され、オフ状態である蓄電池301は例えば緑色で示される。無停電電源装置200は、オン状態である蓄電池301からは放電することができ、オフ状態である蓄電池301からは放電することができない。このような状態データ表示画面G1によれば、無停電電源装置200の状態および複数の蓄電池301の状態を相互に対応付けて同一の画面G1において同時にリアルタイムで表示することができる。なお、図2においては、オフ状態である蓄電池301にはハッチングを付して示している。
【0025】
また、基地局装置400は、状態データ表示画面G1内に、無停電電源装置200による放電可能時間を表示可能である。即ち、基地局装置400は、無停電電源装置200による放電可能時間を表示可能に構成されている表示装置の一例である。また、基地局装置400は、状態データ表示画面G1内に、蓄電池301の状態として、蓄電池301の電圧の状態、蓄電池301の電流の状態、蓄電池301の温度の状態を表示可能である。なお、基地局装置400は、状態データ表示画面G1内に、蓄電池301の状態として、蓄電池301の電圧の状態、蓄電池301の電流の状態、蓄電池301の温度の状態のうち少なくとも何れか1つの状態を表示可能であればよい。
【0026】
また、基地局装置400は、状態データ表示画面G1内に、蓄電池301の状態を示す値の最大値および最小値を表示可能である。この場合、基地局装置400は、状態データ表示画面G1内に、蓄電池301の電圧の状態を示す最大値および最小値を表示している。また、基地局装置400は、状態データ表示画面G1内に、蓄電池301の温度の状態を示す最大値および最小値を表示している。また、基地局装置400は、状態データ表示画面G1内に、蓄電池301の温度の状態を示す平均値を表示している。
【0027】
また、基地局装置400は、ハブ装置502から受信した各種の情報に基づいて、図3に例示する波形データ表示画面G2を、表示出力部402に表示可能に構成されている。波形データ表示画面G2によれば、蓄電池301の状態、この場合、蓄電池301の電圧の状態、蓄電池301の電流の状態、蓄電池301の温度の状態を示す各種の値が波形データとして表示される。
【0028】
なお、蓄電池301の電圧の状態は、例えば蓄電池301に備えられている図示しない電圧センサによって測定することが可能である。また、蓄電池301の電流の状態は、例えば蓄電池301に備えられている図示しない電流センサによって測定することが可能である。また、蓄電池301の温度の状態は、例えば蓄電池301に備えられている図示しない温度センサによって測定することが可能である。
【0029】
また、基地局装置400は、ハブ装置502から受信した各種の情報に基づいて、図4に例示する日報データ表示画面G3を、表示出力部402に表示可能に構成されている。日報データ表示画面G3によれば、無停電電源装置200の状態を示す各種の値および蓄電池301の状態を示す各種の値が時系列で表示される。また、日報データ表示画面G3によれば、所定期間内、この場合、1日あるいは24時間の間における無停電電源装置200の状態を示す値および蓄電池301の状態を示す値が時系列で表示される。
【0030】
また、基地局装置400は、ハブ装置502から受信した各種の情報に基づいて、図5に例示するトレンドデータ表示画面G4を、表示出力部402に表示可能に構成されている。トレンドデータ表示画面G4によれば、無停電電源装置200の状態を示す値および蓄電池301の状態を示す値の変化の傾向が、例えば折れ線グラフなどによって表示される。
【0031】
また、基地局装置400は、ハブ装置502から受信した各種の情報に基づいて、図6に例示する履歴一覧表示画面G5を、表示出力部402に表示可能に構成されている。履歴一覧表示画面G5によれば、無停電電源装置200の状態および蓄電池301の状態の履歴が時系列で表示される。
【0032】
以上は、システム側表示部あるいは監視主体側表示部の一例である基地局装置400の表示出力部402による表示態様の一例について詳細に説明した。一方、図1に例示するように、監視盤600は、操作パネル700を備えている。次に、この監視盤600の操作パネル700による表示態様の一例について詳細に説明する。
【0033】
図7に例示するように、操作パネル700には、操作入力部701および表示出力部702が設けられている。操作入力部701は、蓄電装置300の運転を起動したり停止したりするための起動/停止ボタン701a、蓄電装置300の状態および蓄電池301の状態に関する記録内容を確認するための記録ボタン701b、蓄電装置300の状態および蓄電池301の状態を計測するための計測ボタン701c、操作パネル700に表示される画面を他の画面に遷移させる画面遷移ボタン701dなどを含む。
【0034】
表示出力部702は、無停電電源装置200や基地局装置400ではなく、蓄電池301を備える蓄電装置300側に備えられる蓄電池側表示部あるいは監視対象側表示部の一例である。表示出力部702は、例えば液晶ディスプレイなどにより構成されており、各種の情報を表示可能である。また、このような表示出力部702を備える監視盤600は、無停電電源装置200による放電可能時間を表示可能に構成されている表示装置の一例である。なお、図示はしないが、周辺盤500も、例えば液晶ディスプレイなどにより構成された操作パネルを備える構成であってもよい。
【0035】
図8に例示するように、無停電電源装置200の動作全般を制御可能であるコントロール基板204は、推定処理部204aをソフトウェアにより仮想的に実現している。なお、推定処理部204aは、ハードウェアにより構成されていてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせにより構成されていてもよい。
【0036】
推定処理部204aは、推定部の一例であり、所定負荷での運転時における無停電電源装置200による放電可能時間を推定可能に構成されている。放電可能時間の推定手法は、種々の手法を適用することができるが、例えば、蓄電池301の残存充電量を予め設定した放電電流値や放電電圧値で除することによって算出することができる。蓄電池301の残存充電量は、例えば蓄電池301に備えられている電流計や電圧計などによって測定することができる。その他、放電可能時間の推定手法は、無停電電源装置200による放電可能時間を推定可能な手法であれば、種々の手法を適用することができる。
【0037】
そして、コントロール基板204は、推定処理部204aにより推定された所定負荷での運転時における放電可能時間を操作パネル700の表示出力部702に表示可能に構成されている。より詳細に説明すると、コントロール基板204は、推定処理部204aにより推定された放電可能時間を示す情報を、例えば図示しない情報送信モジュールにより監視盤600に送信する。そして、監視盤600は、例えば図示しない情報受信モジュールにより放電可能時間を示す情報を受信する。そして、監視盤600は、その受信した情報に基づいて操作パネル700に放電可能時間を表示する。
【0038】
例えば、図9には、無停電電源装置200が蓄電池301からの放電を行っていない通常運転時における表示出力部702の表示状態を例示している。図9によれば、表示出力部702に「放電可能時間」が表示されている。この場合、推定処理部204aは、定格負荷での運転時、つまり、蓄電装置300が備える全ての蓄電池301から放電を行う負荷状況での運転時における放電可能時間を推定している。そして、表示出力部702は、推定処理部204aにより推定された定格負荷での運転時における放電可能時間T1を表示している。
【0039】
また、図10には、無停電電源装置200が蓄電池301からの放電を行っている蓄電池運転時における表示出力部702の表示状態を例示している。図10によれば、表示出力部702は、推定処理部204aにより推定された定格負荷での運転時における放電可能時間T1を表示している。そして、表示出力部702は、さらに、無停電電源装置200が蓄電池301からの放電を開始してからの経過時間T2を表示している。なお、無停電電源装置200が蓄電池301からの放電を開始してからの経過時間T2は、例えば無停電電源装置200あるいは周辺盤500あるいは監視盤600が備えている図示しないタイマー回路などによって計測することができる。
【0040】
また、図11には、無停電電源装置200が蓄電池301への充電を行っている充電時における表示出力部702の表示状態を例示している。図11によれば、表示出力部702は、蓄電池301への充電が完了するまでは、蓄電池301への充電が未完了であることを示す文字情報、この場合、「充電未完了」という文字情報L1を表示している。
【0041】
また、無停電電源装置200は、当該無停電電源装置200に接続されている全ての蓄電池301から放電を行う定格運転と、当該無停電電源装置200に接続されている全ての蓄電池301のうち一部の蓄電池301のみから放電を行う縮退運転と、を実行可能に構成されている。即ち、無停電電源装置200は、仮に、当該無停電電源装置200に接続されている複数の蓄電池301の何れかに故障や劣化などといった不具合が発生した場合には、当該蓄電池301からの放電を行わず、残りの良好な蓄電池301あるいは放電可能な蓄電池301のみから放電を行う縮退運転を実行可能に構成されている。
【0042】
そして、表示出力部702は、無停電電源装置200が縮退運転を実行している場合には、図12に例示するように、無停電電源装置200による放電量が定格の放電量に満たない状態であることを示す文字情報、この場合、「運転台数不足」という文字情報L2を表示する。なお、運転台数は、複数の蓄電池301のうち放電を行っている蓄電池301の台数を示すものである。
【0043】
また、図13に例示するように、表示出力部702は、蓄電池301が劣化していることを示す情報L3を表示可能に構成されている。図13によれば、蓄電池301が劣化している場合には、「バッテリ劣化」という項目にチェックマークが示される。なお、蓄電池301が劣化しているか否かは、例えば、推定処理部204aにより推定される放電可能時間が所定時間、つまり、蓄電池301が良好である場合に予想される放電可能時間よりも大幅に少ないことに基づき、蓄電池301が劣化していると判断することができる。また、蓄電池301の使用期間が予め設定されている推奨使用期間あるいは更新時期を越えたことに基づき、蓄電池301が劣化していると判断することもできる。また、蓄電池301が劣化しているか否かを判定する処理は、例えば推定処理部204aによりソフトウェアの処理として行うことができ、あるいは、蓄電池301が劣化しているか否かを判定する専用の処理部を備える構成としてもよい。
【0044】
また、図14によれば、使用者は、負荷率および蓄電池301の運転台数を表示出力部702に入力可能に構成されている。即ち、使用者は、任意の負荷率を負荷率欄N1に入力し、任意の運転台数を運転台数欄N2に入力し、設定ボタンBを操作することにより、負荷率および運転台数を設定することができる。そして、推定処理部204aは、表示出力部702において設定された負荷率および表示出力部702において設定された蓄電池301の運転台数に応じた放電可能時間を推定可能に構成されている。そして、表示出力部702は、推定処理部204aにより推定された放電可能時間、つまり、設定された負荷率および設定された蓄電池301の運転台数に応じた放電可能時間T3を表示出力部702に表示可能に構成されている。
【0045】
以上の通り、遠隔監視システム100においては、システム側表示部あるいは監視主体側表示部の一例である表示出力部402による表示態様と蓄電池側表示部あるいは監視対象側表示部の一例である表示出力部702による表示態様とが異なっている。なお、表示出力部402における表示に必要な各種の情報は、例えば図示しない通信モジュールを介して各装置間で送受信される。また、表示出力部702における表示に必要な各種の情報は、例えば図示しない通信モジュールを介して各装置間で送受信される。
【0046】
以上に例示した本実施形態によれば、無停電電源装置200および当該無停電電源装置200に接続されている蓄電池301を基地局装置400により遠隔から監視する遠隔監視システム100は、無停電電源装置200の状態および蓄電池301の状態を相互に対応付けて表示する表示出力部402を備えている。この構成例によれば、無停電電源装置200および蓄電池301を相互に対応付けて遠隔から監視することができる。これにより、無停電電源装置200および複数の蓄電池301の状態をグループ単位でまとめて効率良く監視することができる。また、無停電電源装置200および複数の蓄電池301の状態を、同一画面G1において同時にリアルタイムで確認することができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、遠隔監視システム100は、無停電電源装置200の状態を示す無停電電源装置状態情報および蓄電池301の状態を示す蓄電池状態情報を集約するハブ装置502を備えている。この構成例によれば、無停電電源装置状態情報および蓄電池状態情報をハブ装置502により集約して一括で基地局装置400に送信することができ、それぞれ異なる情報である無停電電源装置状態情報および蓄電池状態情報をまとめて同時に効率良く送信することができる。また、無停電電源装置状態情報および蓄電池状態情報をそれぞれ異なる手段により送信する構成に比べ、必要な情報送信手段の数を抑制することができ、構成の簡素化を図ることができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、ハブ装置502は、蓄電装置300や監視盤600ではなく、無停電電源装置200に設けられている周辺盤500に備えられている。ここで、無停電電源装置200においては、接続される蓄電装置300や監視盤600が交換される場合がある。しかしながら、仮にハブ装置502が蓄電装置300や監視盤600に備えられている構成を想定すると、蓄電装置300や監視盤600を交換する際にハブ装置502の着脱作業が必要となり、交換作業の負荷が増大する。本実施形態によれば、ハブ装置502が無停電電源装置200側の構成要素として備えられているため、仮に蓄電装置300や監視盤600を交換する場合であっても、ハブ装置502の着脱作業を行う必要が無く、交換作業の負荷が増大することを抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、表示出力部402は、無停電電源装置200による放電可能時間を表示可能である。この構成例によれば、無停電電源装置200による放電可能時間を使用者に知らせることができ、使用者は、安心して設備の運転を継続することができ、また、例えば停電に対する処置を余裕をもって行うことができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、表示出力部402は、蓄電池301の状態を示す値の最大値および最小値を表示可能である。この構成例によれば、蓄電池301がどのような状態範囲内で運転されているのかを確認しやすくできる。
【0051】
また、本実施形態によれば、表示出力部402は、蓄電池301の状態として、蓄電池301の電圧の状態、蓄電池301の電流の状態、蓄電池301の温度の状態のうち少なくとも何れか1つの状態を表示可能である。この構成例によれば、表示される蓄電池301の電圧、電流、温度の何れかの状態に基づき、蓄電池301がどのような状態で運転されているのかを定量的に確認しやすくできる。
【0052】
また、本実施形態によれば、表示出力部402は、無停電電源装置200の状態および蓄電池301の状態を時系列で表示可能である。この構成例によれば、無停電電源装置200の状態および蓄電池301の状態がどのように変化しているのかを確認しやすくできる。
【0053】
また、本実施形態によれば、表示出力部402は、所定期間内における無停電電源装置200の状態および蓄電池301の状態を表示可能である。この構成例によれば、ある特定の期間内における無停電電源装置200の状態および蓄電池301の状態の変化を確認しやすくできる。
【0054】
また、本実施形態によれば、監視主体である基地局装置400側の構成要素として備えられている表示出力部402による表示態様と、監視対象である蓄電池301側の構成要素として備えられている表示出力部702による表示態様と、が異なっている。この構成例によれば、表示出力部402においては基地局装置400を操作する使用者が監視しやすい態様で無停電電源装置200や蓄電池301の状態を表示することができ、一方、表示出力部702においては無停電電源装置200や蓄電装置300を操作する使用者が監視しやすい態様で無停電電源装置200や蓄電池301の状態を表示することができる。これにより、それぞれの装置200,300,400を介した監視を一層行いやすくすることができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、無停電電源装置200による放電可能時間を表示可能に構成されている周辺盤500および監視盤600は、所定負荷での運転時における無停電電源装置200による放電可能時間を推定する推定処理部204aと、推定処理部204aにより推定された所定負荷での運転時における放電可能時間を表示する表示出力部702と、を備えている。この構成例によれば、無停電電源装置200による放電可能時間を精度良く推定して使用者に知らせることができ、使用者は、安心して設備の運転を継続することができ、また、例えば停電に対する処置を余裕をもって行うことができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、無停電電源装置200や蓄電池301の状態を「時間」というシンプルなパラメータの大小あるいは変化に基づいて確認することができる。そのため、無停電電源装置200や蓄電池301の状態を細かく示す監視手法に比べ、監視負担の軽減、および、状態の確認負担の軽減を図ることができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、推定処理部204aは、定格負荷での運転時における無停電電源装置200による放電可能時間を推定可能であり、表示出力部702は、推定処理部204aにより推定された定格負荷での運転時における放電可能時間を表示可能である。この構成例によれば、無停電電源装置200に接続されている全ての蓄電池301から放電を行う定格運転時における放電可能時間を精度良く推定して使用者に知らせることができ、使用者は、一層安心して設備の運転を継続することができ、また、例えば停電に対する処置を一層余裕をもって行うことができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、表示出力部702は、さらに、無停電電源装置200が放電を開始してからの経過時間を表示可能である。この構成例によれば、推定された放電可能時間に対し、無停電電源装置200による放電がどの程度進んでいるのかを示す進度を確認しやすくでき、また、無停電電源装置200による放電が残りどの程度の時間可能であるのかを確認しやすくできる。これにより、使用者は、一層安心して設備の運転を継続することができ、また、例えば停電に対する処置を一層余裕をもって行うことができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、表示出力部702は、蓄電池301の充電が完了するまでは、蓄電池301の充電が未完了であることを表示可能である。この構成例によれば、蓄電池301に蓄積されている電力量、換言すれば、無停電電源装置200が放電可能な電力量が不十分であることを確認しやすくすることができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、表示出力部702は、無停電電源装置200が縮退運転を実行している場合には、無停電電源装置200による放電量が定格の放電量に満たないことを表示可能である。この構成例によれば、無停電電源装置200による放電だけでは電力量が不足することを確認しやすくすることができ、何らかの別の措置が必要であることを使用者に知らせることができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、表示出力部702は、蓄電池301が劣化していることを表示可能である。この構成例によれば、蓄電池301の交換が必要であることを使用者に知らせることができ、無停電電源装置200による放電量が不足する状態が解消されないまま運転が行われてしまうことを回避することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、推定処理部204aは、設定された負荷率および設定された蓄電池301の運転台数に応じた放電可能時間を推定可能である。即ち、本実施形態によれば、使用者が設定した負荷率や蓄電池301の運転台数に基づいて、無停電電源装置200による放電可能時間のシミュレーションを行うことができる。
【0063】
なお、本実施形態は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜、変形や拡張を行うことができる。例えば、無停電電源装置200に接続される蓄電池301の数は、適宜変更して実施することができる。また、蓄電池301は、リチウムイオン蓄電池に限られるものではなく、その他の蓄電池であってもよい。また、各種の画面の内容やレイアウトは、適宜変更して実施することができる。また、各種の画面に表示される情報を、例えばスピーカーなどを用いて音声により出力してもよい。
【0064】
また、推定処理部204aは、蓄電池301が劣化している場合には、その劣化した状態における放電可能時間を推定可能に構成し、表示出力部702は、蓄電池301の劣化前における放電可能時間および蓄電池301の劣化後における放電可能時間を併記して表示可能に構成してもよい。この構成例によれば、表示される劣化後の放電可能時間を劣化前の放電可能時間と比較することにより、蓄電池301の劣化の程度を確認することができる。そのため、使用者は、例えば、直ちに蓄電池301の交換が必要である状態なのか、あるいは、もう暫く蓄電池301の使用が可能である状態なのかを判断することができる。
【0065】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本実施形態は、あくまでも一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
図面において、100は無停電電源装置および蓄電池の遠隔監視システム、200は無停電電源装置、204aは推定処理部(推定部)、301は蓄電池、400は基地局装置(表示装置)、402は表示出力部(表示部、システム側表示部、監視主体側表示部)、502はハブ装置(情報集約部)、600は監視盤(表示装置、無停電電源装置の放電可能時間表示装置)、702は表示出力部(表示部、蓄電池側表示部、監視対象側表示部)を示す。
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