(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176465
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】連続体ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 17/00 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
B25J17/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088758
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】武田 行生
(72)【発明者】
【氏名】レイ ユハン
(72)【発明者】
【氏名】菅原 雄介
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS18
3C707HS14
3C707HS26
3C707HS29
3C707HT04
3C707MT08
(57)【要約】
【課題】2方向への曲げだけでなく、ねじり運動も含めた3方向への位置・姿勢の変化を可能にする連続体ロボットを提供する。
【解決手段】連続体ロボットは、ベース、出力リンク、中間リンク、弾性棒及び少なくとも3つの弾性駆動要素を有する。弾性棒は、ベース、出力リンク及び中間リンクの各々に対して、1つの軸線回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動不能に接続される。各駆動要素々は、ベースに対して、1つの軸線回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動可能に接続され、出力リンクに対して、互いに直交する3つの軸線回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動不能に接続され、中間リンクに対して、互いに直交する3つの軸線回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動可能に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに接続された一端を有する弾性変形可能な棒状体と、
前記棒状体の他端に接続された出力リンクと、
前記棒状体の前記一端と前記他端との間の少なくとも1つの中間部の各々に接続された少なくとも1つの中間リンクと、
前記ベース、前記出力リンク及び前記中間リンクの各々に対して、互いに離隔しかつ前記棒状体とも離隔するように接続された、弾性変形可能な少なくとも3つの駆動要素と、
を備え、
前記棒状体は、前記ベース、前記出力リンク及び前記中間リンクの各々に対して、1つの軸線回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動不能に接続され、
前記少なくとも3つの駆動要素の各々は、前記ベースに対して、1つの軸線回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動可能に接続され、前記出力リンクに対して、互いに直交する3つの軸線回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動不能に接続され、前記中間リンクに対して、互いに直交する3つの軸線回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動可能に接続される、
連続体ロボット。
【請求項2】
前記少なくとも3つの駆動要素の各々を、前記ベースに対して軸方向に移動させるアクチュエータを有する、請求項1に記載の連続体ロボット。
【請求項3】
前記少なくとも3つの駆動要素の各々は、前記出力リンク及び前記中間リンクの各々に対して、自動調心軸受又は球面軸受を介して接続される、請求項1又は2に記載の連続体ロボット。
【請求項4】
前記中間リンクは、前記少なくとも3つの駆動要素の各々との接続部位における軸方向断面において、径方向外側から径方向内側に向かって先細となるテーパ形状を有する、請求項1又は2に記載の連続体ロボット。
【請求項5】
前記少なくとも3つの駆動要素の各々は、前記出力リンクとの接続部位において、他の部分より小径となっている、請求項1又は2に記載の連続体ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続体ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
連続体ロボットは、その構造的特徴から、柔軟性と安全性を両立させることが可能であると考えられており、狭隘空間での作業、内視鏡等の医療分野での利用、人との接触を伴う作業等への応用が期待されている。例えば、内視鏡等に適用可能な連続体ロボットがねじれた場合に、ロボットの駆動制御の精度低下を抑制する技術や、制御性能の向上を図る技術が提唱されている(例えば特許文献1、2を参照)。
【0003】
また、複数段のワイヤ駆動式連続体ロボットにおいて、ロボットアームの運動エネルギ、位置エネルギ、及び一般化された力の方程式を組み合わせて、ロボットの動力学モデルを構築する技術も提唱されている(例えば特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-122491号公報
【特許文献2】特開2022-025355号公報
【特許文献3】中国特許出願公開第112828893号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
連続体ロボットは種々の用途への適用が期待されているが、従来の連続体ロボットの動作には一定の制約がある。例えば、従来の連続体ロボットとして、ベース、中間リンク及び出力リンクに固定される弾性棒と、弾性棒を変形させて出力リンクの位置・姿勢を変更する駆動用ワイヤとを有するものがあり、このような連続体ロボットでは、2方向への曲げ運動を行うことはできるが、(特に出力リンクの法線軸回りの)ねじり運動を行うことはできなかった。
【0006】
そこで、2方向への曲げだけでなく、ねじり運動も含めた3方向への位置・姿勢の変化を可能にする連続体ロボットが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、ベースと、前記ベースに接続された一端を有する弾性変形可能な棒状体と、前記棒状体の他端に接続された出力リンクと、前記棒状体の前記一端と前記他端との間の少なくとも1つの中間部の各々に接続された少なくとも1つの中間リンクと、前記ベース、前記出力リンク及び前記中間リンクの各々に対して、互いに離隔しかつ前記棒状体とも離隔するように接続された、弾性変形可能な少なくとも3つの駆動要素と、を備え、前記棒状体は、前記ベース、前記出力リンク及び前記中間リンクの各々に対して、1つの軸線回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動不能に接続され、前記少なくとも3つの駆動要素の各々は、前記ベースに対して、1つの軸線回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動可能に接続され、前記出力リンクに対して、互いに直交する3つの軸線回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動不能に接続され、前記中間リンクに対して、互いに直交する3つの軸線回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動可能に接続される、連続体ロボットである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ベースに対して駆動要素を軸方向に移動させることで、出力リンクは、2方向への曲げ運動に加え、回転(ねじり)運動もできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る連続体ロボットの主要部の概略図である。
【
図2】
図1の主要部をアクチュエータ等とともに示す図である。
【
図5】駆動要素の他の取り付け構造例を示す図である。
【
図6】
図5の構造例における駆動要素の動作を説明する図である。
【
図7】駆動要素のさらなる他の取り付け構造例を示す図である。
【
図9】リニアアクチュエータの他の例を示す図である。
【
図10】リニアアクチュエータのさらなる他の例を示す図である。
【
図11】リニアアクチュエータのまたさらなる他の例を示す図である。
【
図12】連続体ロボットの初期状態を例示する図である。
【
図14】連続体ロボットが初期状態から曲げ動作を行った状態を示す図である。
【
図16】曲げ動作における、各駆動腱の長さ変化を示すグラフである。
【
図17】連続体ロボットが初期状態から回転動作を行った状態を示す図である。
【
図19】回転動作における、各駆動腱の長さ変化を示すグラフである。
【
図20】連続体ロボットが初期状態からねじり動作を行った状態を示す図である。
【
図22】ねじり動作における、各駆動腱の長さ変化を示すグラフである。
【
図23】連続体ロボットが初期状態から複合動作を行った状態を示す図である。
【
図25】複合動作における、各駆動腱の長さ変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、好適な実施形態に係る連続体ロボット10の主要部の概略図である。連続体ロボット10は、ベース12と、ベース12に接続された一端16を有する弾性変形可能な棒状体(弾性棒)14と、弾性棒14の他端18に接続された出力リンク20と、弾性棒14の一端16と他端18との間の少なくとも1つの中間部22の各々に接続された少なくとも1つの中間リンク24と、ベース12、出力リンク20及び中間リンク24の各々に対して、互いに離隔しかつ弾性棒14とも離隔するように接続された、弾性変形可能な少なくとも3つの駆動要素26とを有する。
【0011】
弾性棒14は、ベース12、出力リンク20及び中間リンク24のいずれに対しても、1つの軸線回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動不能に接続される。一方、各駆動要素26は、ベース12に対しては、1つの軸線回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動可能に接続され、出力リンク20に対しては、互いに直交する3つの軸線回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動不能に接続され、かつ、中間リンク24に対しては、互いに直交する3つの軸線回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動可能に接続される。これらの動作を実現する具体的手段については後述する。
【0012】
なお本実施形態では、弾性棒14は、ベース12、出力リンク20及び中間リンク24の各々の略中央に接続され、3つの駆動要素26は、弾性棒14の接続位置を中心とする円周上に互いに120°の間隔で接続されるが、本開示はこれに限られない。但し、弾性棒14及び2つの駆動要素26の接続部位は一直線上に並ばないようにする。
【0013】
図2は、ベース12をロボット本体28(一部のみ図示)に取り付けた状態を示す概略図である。ロボット本体28は、ロボット基部等の固定部でもよいし、ロボットアーム等の可動部でもよい。各駆動要素26は、ベース12を貫通して中間リンク24の反対側に延び、本体28に設けられたアクチュエータ30によって、ベース12に対して軸方向に移動可能である。但しアクチュエータ30の設置場所は図示例に限られず、各駆動要素26を駆動可能な任意の場所に設置可能である。
【0014】
アクチュエータ30やロボットの各部の動作は、ロボット本体28に有線又は無線で接続された、プロセッサやメモリ等を有する制御装置32によって制御可能である。なお出力リンク20には、ロボットが種々の作業を行うためのハンドやツール等のエンドエフェクタ(図示せず)が取り付け可能である。
【0015】
弾性棒14は、具体的には弾性変形可能なロッド等の棒状部材であり、例えばポリアセタールの樹脂又は金属から作製可能であるが、その材料に特段の制約はない。各駆動要素26は、具体的には弾性変形可能なロッド又はワイヤ等の棒状部材又は線条体であり、例えばポリアセタールの樹脂又は金属から作製可能であるが、その材料に特段の制約はない。但し各駆動要素26は、ベース12に対して軸方向に移動可能であること、具体的にはアクチュエータ30によってベース12に対して押す動作及び引く動作の双方が可能であることが求められるので、ひも等の可撓性が極めて高い材料から作製することは望ましくない。
【0016】
図3は、弾性棒14をベース12、出力リンク20及び中間リンク24の各々に対して、1つの軸線回りに回転可能とし、該軸線方向に移動不能とする構造の一例を示す。この例では、弾性棒14にC型止め輪34を取り付けて、1軸回りの回転を許容する1軸回転要素(軸受)36を介してベース12、出力リンク20及び中間リンク24の各々に取り付けることにより、上述の動作を実現することができる。但し本開示はこれに限られず、上述の動作を実現可能な他の任意の構造が使用可能である。
【0017】
図4は、各駆動要素26を出力リンク20に対して、互いに直交する3つの軸線回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動不能とする構造の一例を示す。この例では、駆動要素26にC型止め輪38を取り付けて、互いに直交する3軸回りの回転を許容する、自動調心軸受40等の3軸回転要素(軸受)を介して出力リンク20に取り付けることにより、上述の動作を実現することができる。但し本開示はこれに限られず、上述の動作を実現可能な他の任意の構造が使用可能であり、例えば自動調心軸受の代わりに、球面軸受を使用してもよい。なお
図4では明瞭化のため、本来は出力リンク20に形成された穴42に嵌合すべき軸受40を穴42から離隔させて図示している。
【0018】
各駆動要素26を中間リンク24に対して、互いに直交する3つの軸線回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動可能とする構造としては、例えば、
図4の構造のうちC型止め輪38を使用せずに自動調心軸受40又は球面軸受のみを用いる構造が挙げられる。これにより、各駆動要素26は中間リンク24に対して、互いに直交する3つの軸線回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動可能とすることができる。
【0019】
図5は、各駆動要素26を中間リンク24に接続する他の構造例を示す。この例では、C型止め輪38及び自動調心軸受40等を使用せず、駆動要素26との接続部位において中間リンク24の軸方向断面が、径方向外側から径方向内側に向かって先細となる(すなわち駆動要素26に向かって薄肉となる)テーパ形状44を有する。このような構造により、駆動要素26は中間リンク24に対して任意の方向に傾斜することができる。その結果、
図6に示すように、駆動要素26は中間リンク24に対して、互いに直交する3軸回りに回転可能であるとともに、軸方向にも移動可能となる。
【0020】
図7は、各駆動要素26を出力リンク20に接続する構造例を示す。この例では、C型止め輪38及び自動調心軸受40等を使用せず、出力リンク20との接続部位46において駆動要素26が他の部分より小径となっている。このような構造によれば、特に小径部分は弾性変形しやすくなるので、駆動要素26は出力リンク20に対して任意の方向に傾斜することができ、結果として駆動要素26は出力リンク20に対して、互いに直交する3軸回りに回転可能であるとともに、軸方向に移動不能となる。なお
図5-
図7の実施例は、自動調心軸受や球面軸受を使用する必要がないので、連続体ロボットを手術用カテーテルに使用したり、狭隘空間で使用したりする等、小型化(小径化)が要求される用途に特に適している。
【0021】
図8は、
図2に示すアクチュエータ30の詳細を示す部分拡大図である。アクチュエータ30は、モータ50によって回転駆動する駆動ローラ52と、駆動ローラ52の回転に伴って回転する従動ローラ54とを有し、駆動ローラ52と従動ローラ54との間に駆動要素26が挟持される。モータ50を駆動することにより、各駆動要素26はベース12に対して軸方向(
図8では上下方向)に移動可能となる。
【0022】
図8の例では、各駆動要素26を軸方向に移動させるリニアアクチュエータとしてモータ及びローラの組み合わせを説明したが、本開示はこれに限られない。例えば
図9に示すように、対向配置された磁石56を有するリニアモータ58をリニアアクチュエータとして使用してもよい。或いは、
図10に示すような、圧電素子60を有する超音波リニアモータ62や、
図11に示すような、ピストン64及びシリンダ66を有する複動形エアシリンダ68を、リニアアクチュエータとして使用してもよい。
【0023】
以下、連続体ロボット10を構成する各部の機能を説明する。
図1又は
図2に例示するように、ベース12、弾性棒14、出力リンク20、中間リンク24及び駆動要素26は、連続体ロボット10の基本的構成要素であり、このうちベース12、出力リンク20及び中間リンク24は、弾性棒14と各駆動要素26との位置関係を拘束する機能も具備する。また弾性棒14は、弾性を有する材料から作製され、無負荷のときは初期状態(ここでは直線状)に戻るような抵抗力を発揮する。駆動要素26は、弾性を有する材料から作製され、引張力及び圧縮力の双方に抵抗可能であり、アクチュエータ30の押し動作又は引き動作によってベース12に対して軸方向に変位し、連続体ロボット10を駆動(より具体的には、弾性棒14を弾性変形させて出力リンク20の位置及び姿勢を変化)させる。
【0024】
図3に例示するように、1軸回転要素(軸受)36は、弾性棒14をベース12、出力リンク20及び中間リンク24の各々に1軸回転可能に連結するとともに、弾性棒14にねじりモーメントが作用しないようにする機能を有する。また1軸回転要素(軸受)36は、駆動要素26をベース12に1軸回転可能に連結するとともに、駆動要素26にねじりモーメントが作用しないようにする機能を有する。一方、
図4-
図6に例示するように、3軸回転要素(軸受)40又は3軸回転構造44、46は、駆動要素26を出力リンク20及び中間リンクの各々に3軸回転可能に連結する機能を有し、駆動要素26に拘束モーメントが作用しないようにする機能を有する。
【0025】
以下、連続体ロボット10の動作の具体例を説明する。ここでは、
図12及び
図13に示す連続体ロボット10の位置及び姿勢を初期状態とし、この初期状態から曲げ動作、回転動作、ねじり動作、及びこれら3つの動作の複合動作をそれぞれ行うものとする。なお
図13は、
図12の構成を模式的に表したものであり、明瞭化のため、出力リンク20は各駆動要素26との接続部を頂点とする三角形で示す。後述する
図15、
図18、
図21及び
図24についても同様である。
【0026】
表1は、連続体ロボット10に曲げ動作を行わせた場合の、各駆動要素(ここでは3つの駆動腱(Tendon)T1、T2及びT3)の、ベース12に対する変位量を表す。各変位量は、
図2に示すように各駆動腱がベース12に対して垂直に直立している状態をゼロ(基準位置)とし、各駆動腱がアクチュエータ30によってベース12側に押し込まれたときの変位量を正の値で、逆にアクチュエータ30によってベース12から引き込まれたときの変位量を負の値で表すものとし、各数値の単位はmmである。なお表1における位置番号1が、
図12及び
図13の状態に相当し、位置番号11が、
図14及び
図15の状態に相当し、位置番号2-10はそれらの中間の状態に相当する。また、表1をグラフ化したものが
図16である。
【0027】
【0028】
表1及び
図16に示すように各駆動腱の変位量を変化させることで、一平面内での曲げ運動を実現することができる。
【0029】
表2は、連続体ロボット10に回転動作を行わせた場合の、各駆動要素のベース12に対する変位量を表す。各変位量が示す数値の意味は、表1と同様である。また表2における位置番号1が、
図12及び
図13の状態に相当し、位置番号11が、
図17及び
図18の状態に相当し、位置番号2-10はそれらの中間の状態に相当する。また、表2をグラフ化したものが
図19である。
【0030】
【0031】
表2及び
図19に示すように各駆動腱の変位量を変化させることで、1軸(ここではベース12に垂直なZ軸)回りの回転運動を実現することができる。
【0032】
表3は、連続体ロボット10にねじり動作を行わせた場合の、各駆動要素のベース12に対する変位量を表す。各変位量が示す数値の意味は、表1と同様である。また表3における位置番号1が、
図12及び
図13の状態に相当し、位置番号11が、
図20及び
図21の状態に相当し、位置番号2-10はそれらの中間の状態に相当する。また、表3をグラフ化したものが
図22である。
【0033】
【0034】
表3及び
図22に示すように各駆動腱の変位量を変化させることで、弾性棒14を中心としたねじり運動を実現することができる。
【0035】
表4は、連続体ロボット10に複合動作を行わせた場合の、各駆動要素のベース12に対する変位量を表す。各変位量が示す数値の意味は、表1と同様である。また表4における位置番号1が、
図12及び
図13の状態に相当し、位置番号11が、
図23及び
図24の状態に相当し、位置番号2-10はそれらの中間の状態に相当する。また、表4をグラフ化したものが
図25である。
【0036】
【0037】
表4及び
図25に示すように各駆動腱の変位量を変化させることで、曲げ運動、回転運動及びねじり運動を組み合わせた複雑な複合動作を実現することができる。なお曲げ運動、回転運動及びねじり運動のうちの2つを組み合わせた運動も勿論可能である。
【0038】
このように本実施形態では、少なくとも3つの駆動要素26をベース12に対して軸方向に移動(変位)させるだけで、曲げ動作、回転動作、ねじり動作、及びこれらのうちの少なくとも2つの複合動作を実現できる。この恩恵は特に、各駆動要素26が出力リンク20及び中間リンク24に対して3軸回転が可能であることから得られる。また各駆動要素26の変位量と、連続体ロボット10の挙動との関係は、運動力学的計算から求めることができる。よって本実施形態によれば、従来では実現できなかった出力リンク20の位置・姿勢も実現することができる。
【0039】
本開示によれば、連続体ロボットが本来的に備える柔軟性、これに伴う高い安全性、軽量性、力計測・制御に関する良好な特性、アクチュエータ等をリモート配置できる等の優れた特性とともに、ねじり運動も実現可能となる。故に本開示に係る連続体ロボットは、低侵襲外科手術用のロボット以外にも、狭隘空間での作業や、人と作業空間を共有する協働ロボットへの適用等、幅広い分野での応用が期待できる。
【符号の説明】
【0040】
10 連続体ロボット
12 ベース
14 弾性棒
20 出力リンク
24 中間リンク
26 駆動要素
28 本体
30 アクチュエータ
32 制御装置
34、38 C型止め輪
36 1軸回転軸受
40 3軸回転軸受
44 テーパ部
46 小径部
50 モータ
52 駆動ローラ
54 従動ローラ
58 リニアモータ
62 超音波リニアモータ
68 複動形エアシリンダ