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特開2023-176475木目柄建材デザイン支援システム、及び木目柄建材デザイン支援用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176475
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】木目柄建材デザイン支援システム、及び木目柄建材デザイン支援用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20231206BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088769
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(72)【発明者】
【氏名】雨ノ宮 真紀子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】木目柄型材を組み合わせた木目柄建材を製造する場合において、自然感の高い木目柄建材をデザインすることを容易にする。
【解決手段】この木目柄建材デザイン支援システムは、複数種類の木目柄を有する木目柄型材の配列に関する配列データと、その配列に対する評価である評価データとを対応させた配列/評価データを記憶する配列/評価データ記憶部と、前記配列/評価データに従い生成される前記木目柄型材の配列に関する学習済みデータを記憶する学習済みデータ記憶部を備える。木目判定部は、木目柄型材の木目を判定する。型材配列決定部は、木目判定部の判定結果と、学習済みデータとに従い、木目柄型材の配列を指示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の木目柄を有する木目柄型材の配列に関する配列データと、その配列に対する評価である評価データとを対応させた配列/評価データを記憶する配列/評価データ記憶部と、
前記配列/評価データに従い生成される前記木目柄型材の配列に関する学習済みデータを記憶する学習済みデータ記憶部と、
前記木目柄型材の木目を判定する木目判定部と、
前記木目判定部の判定結果と、前記学習済みデータとに従い、前記木目柄型材の配列を指示する型材配列決定部と
を備える、木目柄建材デザイン支援システム。
【請求項2】
前記木目判定部は、前記木目柄型材が複数のカテゴリのいずれに属するかを判定し、
前記型材配列決定部は、同一のカテゴリの前記木目柄型材が隣接して配置されないよう、前記木目柄型材の配列を指示する、請求項1に記載の木目柄建材デザイン支援システム。
【請求項3】
前記木目判定部は、前記木目柄型材の特定の位置における木目の特徴を判定し、前記木目柄型材の木目を判定する、請求項1又は2に記載の木目柄建材デザイン支援システム。
【請求項4】
前記木目判定部は、前記木目柄型材が複数のカテゴリのいずれに属するかを判定し、
前記型材配列決定部は、前記複数のカテゴリの前記木目柄型材が交互に配列される配列パターンを生成すると共に、前記木目柄型材を前記配列パターンの中のいずれに配列させるかを指示する、請求項1に記載の木目柄建材デザイン支援システム。
【請求項5】
前記木目柄型材を含む木目柄建材の加工工場で撮像された前記木目柄型材の画像を受信すると共に、前記型材配列決定部で決定された前記指示に関するデータを送信する通信制御部を更に備える、請求項1に記載の木目柄建材デザイン支援システム。
【請求項6】
前記評価データを入力する評価データ入力部を更に備える、請求項1に記載の木目柄建材デザイン支援システム。
【請求項7】
複数種類の木目柄を有する木目柄型材の配列に関する配列データと、その配列に対する評価である評価データとを対応させた配列/評価データを記憶するステップと、
前記配列/評価データに従い生成される前記木目柄型材の配列に関する学習済みデータを記憶するステップと、
前記木目柄型材の木目を判定するステップと、
前記木目の判定結果と、前記学習済みデータとに従い、前記木目柄型材の配列を指示するステップと
をコンピュータに実行させるよう構成された、木目柄建材デザイン支援用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、木目柄を有する型材を用いた木目柄建材のデザインを支援するための木目柄建材デザイン支援システム、及び木目柄建材デザイン支援用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都会に住む人々の間でも、より自然に近い環境を求める傾向が強くなっており(ナチュラル回帰志向)、これに伴い、住居用の建材においても、鉄骨、コンクリート、モルタル等のような人工感の強い建材よりも、木材や木目柄型材を配置した自然感のある建材が好まれるようになっている。木目柄型材は、アルミニウムなどの金属の基板に対し、木目柄のシートを貼り付ける形で形成される。そのような木目柄の型材を用いた建造物においても、木目が均一に揃ったデザインよりも、木目の形状や色合いが場所によって異なり、これにより木目の自然で豊かな変化が感じられるデザインが好まれるようになっている。このため、建材メーカーでは、そのような木目の自然で豊かな変化を有する木目柄建材を適切な価格で提供することが求められている。
【0003】
建材の製造においては、異なる種類の木目の型材を複数枚配列して大型の建材を構成することが多いが(例えば、複数枚の型材を縦方向に配列して柵を構成するなど)、異なる種類の木目柄建材を複数枚用いて建材を構成しようとする場合、異なる種類の木目の木目柄建材を適切に配列することが難しく、場合によっては不自然な印象を与える配列がなされ、自然感が低く、見栄えが悪い建造物が出来上がってしまう虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-151721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、木目柄型材を組み合わせた木目柄建材を製造する場合において、自然で豊かな木目の変化を与える木目柄建材をデザインすることを容易にする木目柄建材デザイン支援システム、及び木目柄建材デザイン支援用プログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本開示に係る木目柄建材デザイン支援システムは、複数種類の木目柄を有する木目柄型材の配列に関する配列データと、その配列に対する評価である評価データとを対応させた配列/評価データを記憶する配列/評価データ記憶部と、前記配列/評価データに従い生成される前記木目柄型材の配列に関する学習済みデータを記憶する学習済みデータ記憶部と、前記木目柄型材の木目を判定する木目判定部と、前記木目判定部の判定結果と、前記学習済みデータとに従い、前記木目柄型材の配列を指示する型材配列決定部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、木目柄型材を組み合わせた木目柄建材を製造する場合において、然で豊かな木目の変化を与える木目柄建材をデザインすることを容易にする木目柄建材デザイン支援システム、及び木目柄建材デザイン支援用プログラムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態に係る木目柄建材デザイン支援システム1の構成例を示す模式図である。
図2】加工工場コンピュータ20が載置された加工工場における木目柄型材の製造方法の一例について説明する概略図である。
図3】型材配列決定部128における木目柄型材の配列の決定の手法について説明する概略図である。
図4】木目判定部127及び型材配列決定部128の動作を説明するブロック図である。
図5】学習部125における学習済みモデルの生成の手順の一例を説明するフローチャートである。
図6】型材配列決定部128における木目柄型材の配列を決定する手順の一例を説明するフローチャートである。
図7】木目柄型材の木目判定部127による判定の手法について説明する概略図である。
図8】木目柄型材の木目判定部127による判定の手法について説明する概略図である。
図9】第2の実施の形態に係る木目柄建材デザイン支援システム1の動作を説明する概略図である。
図10】第2の実施の形態に係る木目柄建材デザイン支援システム1の動作を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
【0010】
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
【0011】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る木目柄建材デザイン支援システム1の構成例を示す模式図である。この木目柄建材デザイン支援システム1は、木目柄建材のデザインを担当するデザイン部門に設置されるデザイン部門コンピュータ10と、木目柄建材を構成する木目柄型材及び木目柄建材を製造する加工工場に設置される加工工場コンピュータ20とをネットワークNで接続して構成される。このシステムは、木目柄建材のデザインを評価した結果を学習して生成される学習済みモデルを生成・記憶すると共に、その学習済みモデル及び木目柄型材の木目の判定結果に従って、その木目柄型材の配置に関し決定することが可能に構成されている。デザイン部門コンピュータ10は、型材の配列を決定するためのコンピュータプログラムを含んでいる。なお、デザイン部門と加工工場は同一の企業内の組織であってもよいが、両者がそれぞれ別の企業に属するものであってもよい。
【0012】
加工工場コンピュータ20が載置された加工工場では、図2に例示的に図示するように、例えばアルミ材などの基板201に対し、木目柄に印刷された大型でロール状のカッティングシート202を、基板201の大きさに合わせてカットした後に貼り付ける形式で
、多数の木目柄型材が製造される。加工工場コンピュータ20は、製造された木目柄型材をカメラ30等により撮像して画像データを取得し、その画像データをネットワークNを介してデザイン部門コンピュータ10に送信する。デザイン部門コンピュータ10は、送付された画像データに含まれる木目を判定して、その木目柄型材の木目柄建材中での配列を、学習済みモデル及び木目の判定結果に基づいて決定する。決定の結果は、デザイン部門コンピュータ10から、加工工場コンピュータ20に送信される。
【0013】
デザイン部門コンピュータ10は、一例として、CPU(Central Processing Unit)
101、GPU(Graphics Processing Unit)102、ROM103、RAM104、ハードディスクドライブ(HDD)105、表示制御部106、入出力制御部107、通信制御部108を有し、これに加え、ディスプレイ109、キーボード110、マウス111等を備えて構成される。CPU101は、木目柄建材デザイン支援システム及びプログラムの動作の全体を司る中央制御装置である。GPU102は、一例として、後述する教師データの生成、及び画像データの画像処理を実行するための制御装置である。
【0014】
ROM103は、学習済みデータ生成用プログラム、木目判定プログラム、配置決定プログラムを実行するのに必要な各種データを格納する記憶装置である。RAM104は、同プログラムの演算結果等を一時的に記憶する記憶装置である。ROM103に記憶されるプログラムには、分類器の学習処理を実行するための学習プログラムも含まれる。またハードディスクドライブ105には、機械学習処理によって構築された学習済みモデルも記憶される。なお、各種プログラムは、デザイン部門コンピュータ10により読取可能とされる可搬型の記憶媒体(例えばCD-ROM)112に格納されていてもよい。
【0015】
表示制御部106は、前述のプログラムの実行画面等をディスプレイ109に表示させる場合の表示制御を担当する制御部である。入出力制御部107は、各種入力デバイス(キーボード110、マウス111、ペンデバイス等)からのデータや命令の入力、及びCPU101又はGPU102から出力される各種データの出力を制御する制御部である。また、通信制御部108は、外部のコンピュータとの間でのデータ通信を司る制御部である。
【0016】
デザイン部門コンピュータ10は、各種ソフトウェアにより実現されるソフトウェア構成として、配列/評価データ記憶部121、評価データ入力部122、補間データ生成部123、学習済みモデル記憶部124、学習部125、画像受信/画像処理部126、木目判定部127、及び型材配列決定部128を備えている。
【0017】
配列/評価データ記憶部121は、複数種類の木目柄型材の配列に関する配列データと、その配列のデザインの良否(例えば、数値による10段階評価など)をデザイナやユーザに評価させた結果としての評価データとを対応付けた配列/評価データを記憶する記憶部である。配列/評価データは、例えばRAM104やHDD105に記憶され得る。後述するように、この配列/評価データを教師データとして学習済みモデルが生成される。評価データは、ある木目柄型材の配列を見たデザイナにより、キーボード110やマウス111を用いて評価データ入力部122から入力され得る。なお、図示の例では、評価データ入力部122は、デザイン部門コンピュータ10内に設けられているが、これに代えて、評価データは外部の別のコンピュータから入力するようにすることもできる。なお、評価データは、複数の項目を例えば10段階評価で入力されるような形で入力されてもよいし、文章として入力されてもよい。文章で評価データが入力される場合、学習部125は、その文章を解析するための解析用プログラムが含まれていても良い。
【0018】
補間データ生成部123は、複数通りの木目柄型材の配列データに基づいて、仮想の複数通りの木目柄型材の配列に関するデータを、補間データとして生成する。生成された補
間データに係る配列のデザインは、実際に木目柄型材を配列して生成された配列データと同様に配列データ(疑似配列データ)として取り扱われる。すなわち、補間データに係る仮想の木目柄型材の配列に関するデータは、デザイナによりデザインの良否の評価の対象とされる。得られた評価データと対応する補間データとのデータ対は、配列/評価データ記憶部121に記憶される。この補間データ生成部123により生成される補間データにより、実際に木目柄型材の配列を生成する回数を減らすことができ、デザイナの負担を軽減することができる。なお、配列/評価データが十分な量(組合せ数)だけ生成されている場合には、補間データ生成部123における補間データの生成は停止することも可能である。
【0019】
学習済みモデル記憶部124は、前述の配列/評価データに従い、学習部125において木目柄型材の適正な配置を学習した結果として生成された学習済みモデルを記憶する部分である。生成された学習済みモデルは、例えばRAM104やHDD105に記憶される。学習部125は、木目柄型材の配列データの特徴を抽出し、その配列データに付与された評価データを当該抽出された特徴と比較することにより、学習済みデータを生成する。
【0020】
画像受信/画像処理部126は、加工工場コンピュータ20から木目柄型材の画像を受信して、木目判定部127における木目判定のための所定の画像処理(2値化処理、エッジ検出、ノイズ除去、その他)を実行する。木目判定部127は、画像受信/画像処理部126での画像処理後の木目柄の形状、色彩、濃淡などに関する判定を実行し、当該木目柄型材の木目が、複数のカテゴリのいずれに属するものかを判定する。木目柄の判定の方法としては、例えば「直線的」か「曲線的」かを判定し、直線的な木目(カテゴリ1)と曲線的な木目(カテゴリ2)との2つのカテゴリに分類することが考えられる。木目の形状に加え、例えば木目の色彩(明度、色相、彩度)を判定することで、より多くのカテゴリへの分類を行うことも可能である。なお、木目判定部127は、画像処理の結果に基づいて、所定のアルゴリズムに従って木目を自動的に判定することを基本とするが、オペレータによる目視の結果を入力し、その目視の結果も併せた形で木目を判定するものとすることもできる。画像処理では認識できなかった木目をオペレータの目視で補完的に判定することで、より木目の判定を精緻に実行することが可能になる。
【0021】
型材配列決定部128は、木目判定部127での各木目柄型材の木目の判定結果と、学習済みモデルに従い、所定の配列パターンのうちのいずれに当該木目柄型材を配列するかを決定し、その決定結果を出力する。最も単純な一例として、木目判定部127が、判定対象の木目が直線的な木目(カテゴリ1)と、曲線的な木目(カテゴリ2)のいずれかに属するかを判定し分類する場合、型材配列決定部128は、図3に示すように、木目柄型材の配列パターンとして、パターンAの木目柄型材と、パターンBの木目柄型材とが交互に繰り返される配列パターンを想定する。型材配列決定部128は、判定対象とされた木目柄型材をパターンAとパターンBのいずれに配置するかを決定するものとすることができる(図4参照)。例えば、直線的な木目(カテゴリ1)の木目柄型材をパターンAの位置に配列するよう指示し、曲線的な木目(カテゴリ2)の木目柄型材をパターンBの位置に配列するよう指示することができる。このような配列指示をすることにより、例えば同種の木目の木目柄型材が隣接して配置されることが回避され、その結果、木目柄建材の全体としての木目柄を、木目の自然で豊かな変化を有するものとすることができる。
【0022】
なお、図3に示した例では、木目判定部127が、2通りのカテゴリのいずれに属するかを判定し、型材配列決定部128が、パターンA、Bの2種類が交互に繰り返す配列パターンを想定する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、配列パターンは、全ての箇所においてパターンAとBが交互に現れるようにすることは不要であり、一部においては同一のパターンが連続するものであってもよい。また、配列パ
ターンは2種類には限られず、3種類又はそれ以上であってもよい。
【0023】
図5のフローチャートを参照して、学習部125における学習済みモデルの生成の手順の一例を説明する。まず、デザイン部門のデザイナは、複数種類の木目柄型材を、現物により、又はコンピュータ画面上のシミュレーションにより配列し、それを撮像又は画像生成することにより、配列データを生成する(ステップS11)。そして、生成された配列データをデザイナに評価させ、評価データを例えば評価データ入力部122から入力させる(ステップS12)。入力された評価データは配列データと対応付けられて配列/評価データ記憶部121に記憶される(ステップS13)。
【0024】
続いて、必要に応じて補間データが生成され(ステップS14)、その補間データに対応する配列データに対しても評価データが入力される。そして、学習部125は、このようにして生成された配列データ(又は補間データ)及び評価データに基づき、学習済みモデルを生成する(ステップS15)。
【0025】
次に、図6のフローチャートを参照して、型材配列決定部128における木目柄型材の配列を決定する手順の一例を説明する。加工工場で木目柄型材が製造されると、加工工場のエンジニア等は、カメラ30を用いて木目柄型材を撮像し、ファイル番号の付与、画像圧縮処理などを行った後その画像データをデザイン部門コンピュータ10に送付する(ステップS21)。送付された画像データは、画像受信/画像処理部126において、伸長処理の後、所定の画像処理を施されて木目判定部127に転送される。なお、木目柄型材の撮影、ファイル番号の付与、画像圧縮処理の一連の工程は自動化されていてもよく、一部の工程のみが自動化されていてもよい。
【0026】
木目判定部127は、画像認識処理を行った後木目の判定を実行し、当該木目がどのカテゴリに属するかを判定する(ステップS22)。型材配列決定部128は、判定された木目に従い、その木目柄型材が、どのパターン(例えばA又はB)に配置されるべきかを決定し、その決定の結果を加工工場コンピュータ20に返信する(ステップS23)。加工工場コンピュータは、返信された型材配列データを、型材の画像データと関連付けて保存する。これにより、加工工場において、複数種類の木目を有する木目柄型材を適正に配列することが可能になる。
【0027】
図7を参照して、木目柄型材の木目判定部127による判定の手法について説明する。木目判定部127は、カッティングシートの長手方向、すなわちロール状のカッティングシートが引き出される方向において、所定の距離Dsだけ離れた複数の判定領域Rdを設定し、その判定領域Rdにおける木目の性状を判定する。カッティングシートは周期的に繰り返す柄パターンを有しており、複数の判定領域Rdは、一の繰り返し単位において複数個所、例えば2か所又は3か所において設定されるのが好適である。ただし、繰り返し単位の長さ周期と切り出すシートの長さとの関係によって、判定領域Rdの位置、数は変更可能である。例えば、繰り返し単位に対して切り出し長さが長い場合は、一つの繰り返し単位における判定領域Rdの数は減少し、シート状において隣り合う判定領域Rdの間隔は大きくなる。逆に繰り返し単位に対して切り出し長さが短い場合は、一つの繰り返し単位における判定領域Rdの数は増加し、シート状において隣り合う判定領域Rdの間隔は短くなる。なお、判定領域Rdの位置、大きさは、木目判定部127において初期設定等に従って自動的に決定することもできるが、オペレータからのキーボード110やマウス111により指示により適宜変更することも可能である。図7に示される例は、カッティングシートを切り出す前のAI判定箇所を定める例であるが、変形例として、カッティングシートを切り出した後、型材に貼り付けた後あるいは貼り付ける前にAI判定してもよい。その際は、シートの特徴的な1点を選択して判定することが可能である。
【0028】
図2のように、木目柄に印刷された大型のカッティングシート202を、基板201の大きさに合わせた大きさにカットした後に貼り付ける形式で木目柄型材を製造する場合、カッティングシート202は、その長手方向(ロール方向)において、所定の繰り返し周期T(例えば1000~1500mm程度)で同じ木目が繰り返される木目柄を有している。このため、木目柄型材の木目の判定においても、一の繰り返し周期の中で複数の判定領域Rdを設け、その判定領域内において木目の形状等を判定することで、当該木目柄型材の木目を的確に判定することが可能になる。
【0029】
なお、上述の説明では、所定の長さに切り出し後の木目柄型材において、木目判定部127がその木目を判定する例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば図8のように、基板201の長さに切り出す前のロール状のカッティングシート202を、所定の間隔でカメラ30で撮像し、その撮像データにおいて、同様の間隔に判定領域Rdを設定して木目判定を実行することも可能である。
【0030】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る木目柄建材デザイン支援システムによれば、木目柄型材の配列データとその評価データを含む配列/評価データに従って、木目柄型材の適切な配列に関する学習済みモデルが生成され、その学習済みモデル、及び提示された木目柄型材の画像に従って、その木目柄型材の木目が判定され、その配列が指示される。従って、この第1の実施の形態のシステムによれば、複数種類の木目柄の木目柄型材を含む木目柄建材を、自然な濃淡や木目の豊かの変化が感じられるものとすることができ、木目柄建材の美観を高めることができる。
【0031】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係る木目柄建材デザイン支援システムを、図9及び図10を参照して説明する。この第2の実施の形態の木目柄建材デザイン支援システムは、全体構成としては第1の実施の形態と同一であり、基本的な動作(図5図8)も同一であるので、重複する説明は省略する。この第2の実施の形態では、木目判定部127における判定の手法、及び型材配列決定部128における決定の手法が、第1の実施の形態と異なっている。図9は、この第2の実施の形態のシステムにおける判定及び配置の決定を図示した概略図であり、図10は、木目判定部127及び型材配列決定部128の動作を説明する概略図である。
【0032】
この第2の実施の形態では、木目判定部127が、木目柄型材の木目が、「柾目」、「節小」、「節大」、「板目」の4種類に分離し、提示された木目柄型材の木目がいずれに該当するかを判定する。そして、型材配列決定部128は、パターンA~Dの繰り返しパターンを生成し、パターンA、B、C、Dにそれぞれ「柾目」、「節小」、「節大」、「板目」の木目柄型材を配列するよう、木目柄型材の配置を型材配列決定部128から指示する(図10参照)。
【0033】
このように、第2の実施の形態のシステムは、木目判定部127が、木目柄型材の具体的な木目の種類を判定し、これを自然で豊かな木目の変化が得られるよう型材配列決定部128により指示する。配列/評価データ記憶部121のデータに基づいて生成された学習済みモデルにより、複数種類の木目の木目柄型材をどのように配列することが最も自然で豊かな木目の変化が得られるかの情報が得られ、型材配列決定部では、この学習済みモデルと、木目柄型材の木目の判定結果に従って、判定対象の木目柄型材の配列を決定することができる。
【0034】
なお、上述の例では、木目柄型材の木目を、「柾目」、「節小」、「節大」、「板目」の4種類のいずれであるか判定すると説明したが、これに限定されるものではないことはいうまでもない。例えば、柾目については、所謂「天地柾」であるか否かを更に判定する
ことが可能である。更に、板目については、所謂「木表」であるか「木裏」であるかも更に判定することが可能である。その他、木目の色合い、木目の間隔、木目の強弱、樹種なども判定の対象とすることも可能である。また、木目柄型材の上下の反転による配置も併せて指示することが可能である。
【0035】
[その他]
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0036】
10…デザイン部門コンピュータ、 20…加工工場コンピュータ、 N…ネットワーク、 30…カメラ、 105…ハードディスクドライブ(HDD)、 106…表示制御部、 107…入出力制御部、 108…通信制御部、 109…ディスプレイ、 110…キーボード、 111…マウス、 112…記憶媒体、 121…配列/評価データ記憶部、 122…評価データ入力部、 123…補間データ生成部、 124…学習済みモデル記憶部、 125…学習部、 126…画像処理部、 127…木目判定部、 128…型材配列決定部、 201…基板、 202…カッティングシート、 Rd…判定領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10