IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイセルの特許一覧

<>
  • 特開-ガス発生器 図1
  • 特開-ガス発生器 図2
  • 特開-ガス発生器 図3
  • 特開-ガス発生器 図4
  • 特開-ガス発生器 図5
  • 特開-ガス発生器 図6
  • 特開-ガス発生器 図7
  • 特開-ガス発生器 図8
  • 特開-ガス発生器 図9
  • 特開-ガス発生器 図10
  • 特開-ガス発生器 図11
  • 特開-ガス発生器 図12
  • 特開-ガス発生器 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176476
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】ガス発生器
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/264 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
B60R21/264
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088770
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】猪妻 利広
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054DD11
3D054DD17
3D054DD18
3D054DD28
(57)【要約】
【課題】フィルタを具備するガス発生器において、フィルタの利用効率を向上させる技術を提供する。
【解決手段】ガス発生は、ハウジングと、前記ハウジング内に配置される点火部と、前記ハウジング内の燃焼室に収容され、前記点火部の作動によって燃焼ガスを発生させるガス発生剤と、前記ハウジングに設けられ、前記ハウジング内で生じた前記燃焼ガスを外部へ排出する排出孔と、前記排出孔と前記ガス発生剤との間に配置されたフィルタとを備え、前記フィルタは、軸方向に延在し、当該軸方向の一端面における少なくとも外周部分が、前記排出孔の周りを囲むように前記ハウジングの内壁面と接続され、軸回りに存在する外周面の少なくとも一部であって全周にわたる部位が前記燃焼ガスの流入部位とされ、前記流入部位が前記燃焼室と連通して配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置される点火部と、
前記ハウジング内の燃焼室に収容され、前記点火部の作動によって燃焼ガスを発生させるガス発生剤と、
前記ハウジングに設けられ、前記ハウジング内で生じた前記燃焼ガスを外部へ排出する排出孔と、
前記排出孔と前記ガス発生剤との間に配置されたフィルタと、
を備え、
前記フィルタは、軸方向に延在し、当該軸方向の一端面における少なくとも外周部分が、前記排出孔の周りを囲むように前記ハウジングの内壁面と接続され、軸回りに存在する外周面の少なくとも一部であって全周にわたる部位が前記燃焼ガスの流入部位とされ、前記流入部位が前記燃焼室と連通して配置された、
ガス発生器。
【請求項2】
前記ハウジング内において、前記ガス発生剤が収容された前記燃焼室と前記フィルタが配置されたフィルタ室とを画し、その一部において前記燃焼室と前記フィルタ室とを連通する連通孔が設けられた隔壁部材を更に備え、
前記フィルタの軸方向において前記ハウジングの内壁面と接続された第一端面と反対側の第二端面が前記隔壁部材と接続された、
請求項1に記載のガス発生器。
【請求項3】
前記ハウジングが、前記軸方向に沿って延在する筒状の周壁部と、前記筒状を成す前記周壁部の一端を塞ぐ第一壁部と、他端を塞ぐ第二壁部とを備え、
前記連通孔が、前記第一壁部において、前記燃焼ガスを前記第一壁部と直交する方向へ放出する向きに形成されている、
請求項2に記載のガス発生器。
【請求項4】
前記ハウジングが、前記軸方向に沿って延在する筒状の周壁部と、前記排出孔が形成され、前記筒状を成す前記周壁部の一端を塞ぐ第一壁部と、他端を塞ぐ第二壁部とを備え、
前記第一壁部の内面に、周方向に沿って溝部が設けられ、
前記連通孔が、前記燃焼ガスを前記溝部へ向けて放出する位置に設けられている、
請求項2に記載のガス発生器。
【請求項5】
前記ハウジングが、前記軸方向に沿って延在する筒状の周壁部と、前記排出孔が形成され、前記筒状を成す前記周壁部の一端を塞ぐ第一壁部と、他端を塞ぐ第二壁部とを備え、
前記隔壁部材において、前記フィルタと接続されている部位に対して、前記フィルタと接続されていない部位が、前記ハウジングの前記第一壁部側に張り出して形成されている、
請求項2に記載のガス発生器。
【請求項6】
前記ハウジングが、筒状の周壁部を備え、
前記連通孔が、前記燃焼ガスを前記周壁部に向けて放出する向きに形成されている、
請求項2に記載のガス発生器。
【請求項7】
前記フィルタが、円筒状に形成された請求項2~6の何れか1項に記載のガス発生器。
【請求項8】
前記ハウジングが、前記軸方向に沿って延在する筒状の周壁部と、前記筒状を成す前記周壁部の一端を塞ぐ第一壁部と、他端を塞ぐ第二壁部とを備え、
前記フィルタの前記軸方向における一端面が前記第一壁部に接続され、他端面が前記第二壁部と接続された、
請求項1に記載のガス発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハウジング内に形成された燃焼室内にガス発生剤を充填し、点火器によってガス発生剤を燃焼させることで燃焼ガスを発生させ、該燃焼ガスをハウジングに設けられたガス排出孔から外部へ放出するガス発生器が広く用いられている。また、このようなガス発生器において、発生した燃焼ガスの冷却及び残渣の捕集を行うために、燃焼室とガス排出孔との間に筒状のフィルタが配置される場合がある。
【0003】
特許文献1には、ガスを生成するように配置された発火物質と、摩擦溶接によって固定された第1の構成要素および第2の構成要素から形成されたサブアセンブリと、摩擦溶接によって第1の構成要素又は第2の構成要素に固定された第3の構成要素と、筒状のフィルタとを備えるガス発生器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/001917号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のガス発生装置は、燃焼ガスが円筒状のフィルタの内側から外側に向かって流れるように構成されている。燃焼ガスは、フィルタを通過することで燃焼残渣が漉しとられるので、フィルタの流入側では含有する燃焼残渣の量(以下、含有残渣量とも称す)が多く、流出側では含有残渣量が少なくなる。このため、燃焼ガスが円筒状のフィルタの内周面から外周面へ流れる構成では、外周面と比較して狭い内周面に流入する際の含有残渣量が多く、比較的広い外周面を通過する際の含有残渣量が少なくなるので、フィルタを効率良く利用できておらず、フィルタの利用効率を向上させる技術が求められている。
【0006】
本開示の技術は、上述の実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、ガス発生器において、フィルタの利用効率を向上させる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の技術は、以下の構成を採用した。即ち、本開示のガス発生器は、
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置される点火部と、
前記ハウジング内の燃焼室に収容され、前記点火部の作動によって燃焼ガスを発生させるガス発生剤と、
前記ハウジングに設けられ、前記ハウジング内で生じた前記燃焼ガスを外部へ排出する排出孔と、
前記排出孔と前記ガス発生剤との間に配置されたフィルタと、
を備え、
前記フィルタは、軸方向に延在し、当該軸方向の一端面における少なくとも外周部分が、前記排出孔の周りを囲むように前記ハウジングの内壁面と接続され、軸回りに存在する外周面の少なくとも一部であって全周にわたる部位が前記燃焼ガスの流入部位とされ、前記流入部位が前記燃焼室と連通して配置されている。
【0008】
本開示のガス発生器は、前記ハウジング内において、前記ガス発生剤が収容された前記燃焼室と前記フィルタが配置されたフィルタ室とを画し、その一部において前記燃焼室と前記フィルタ室とを連通する連通孔が設けられた隔壁部材を更に備え、
前記フィルタの軸方向において前記ハウジングの内壁面と接続された第一端面と反対側の第二端面が前記隔壁部材と接続されてもよい。
【0009】
本開示のガス発生器は、前記ハウジングが、前記軸方向に沿って延在する筒状の周壁部と、前記筒状を成す前記周壁部の一端を塞ぐ第一壁部と、他端を塞ぐ第二壁部とを備え、
前記連通孔が、前記第一壁部において前記燃焼ガスを前記第一壁部と直交する方向へ放出する向きに形成されてもよい。
【0010】
本開示のガス発生器は、前記ハウジングが、前記軸方向に沿って延在する筒状の周壁部と、前記排出孔が形成され、前記筒状を成す前記周壁部の一端を塞ぐ第一壁部と、他端を塞ぐ第二壁部とを備え、
前記第一壁部の内面に、周方向に沿って溝部が設けられ、
前記連通孔が、前記燃焼ガスを前記溝部へ向けて放出する位置に設けられてもよい。
【0011】
本開示のガス発生器は、前記ハウジングが、前記軸方向に沿って延在する筒状の周壁部と、前記排出孔が形成され、前記筒状を成す前記周壁部の一端を塞ぐ第一壁部と、他端を塞ぐ第二壁部とを備え、
前記隔壁部材において、前記フィルタと接続されている部位に対して、前記フィルタと接続されていない部位が、前記ハウジングの前記第一壁部側に張り出して形成されてもよい。
【0012】
本開示のガス発生器は、前記ハウジングが、筒状の周壁部を備え、
前記連通孔が、前記燃焼ガスを前記周壁部に向けて放出する向きに形成されてもよい。
【0013】
本開示のガス発生器は、前記フィルタが、円筒状に形成されてもよい。
【0014】
本開示のガス発生器は、前記ハウジングが、前記軸方向に沿って延在する筒状の周壁部と、前記筒状を成す前記周壁部の一端を塞ぐ第一壁部と、他端を塞ぐ第二壁部とを備え、
前記フィルタの前記軸方向における一端面が前記第一壁部に接続され、他端面が前記第二壁部と接続されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、フィルタを具備するガス発生器において、フィルタの利用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、第一実施形態に係るガス発生器の中心軸に沿った内部構造を概略的に示す軸方向断面図である。
図2図2は、フィルタの構成を示す図である。
図3図3は、フィルタにおける層構成の一例を示す平面図である。
図4図4は、図3のA-A断面図である。
図5図5は、第二実施形態に係るガス発生器の軸方向断面図である。
図6図6は、隔壁部材の下面を示す図である。
図7図7は、第三実施形態に係るガス発生器の軸方向断面図である。
図8図8は、第四実施形態に係るガス発生器の軸方向断面図である。
図9図9は、第五実施形態に係るガス発生器の軸方向断面図である。
図10図10は、第五実施形態に係るフィルタの層構成を示す平面図である。
図11図11は、図10のB-B断面図である。
図12図12は、第六実施形態に係るガス発生器の軸方向断面図である。
図13図13は、第七実施形態に係るガス発生器の中心軸に沿った内部構造を概略的に示す軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して本開示の実施形態に係るガス発生器について説明する。なお、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は、実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0018】
<第一実施形態>
図1は、第一実施形態に係るガス発生器100の中心軸Cに沿った内部構造を概略的に示す軸方向断面図である。以下、図1に示すように、ガス発生器100を中心軸Cに沿って切断した断面をガス発生器100の「縦断面」という場合がある。また、ガス発生器100の中心軸Cに沿った方向をガス発生器100の「上下方向」又は「軸方向」と称し、このうち一方向側(図1の上側)を「上側」、他方向側(図1の上側)を「下側」と称する場合がある。これらの方向は、本実施形態を説明するための例示であり、ガス発生器100の配置等がこれに限定されるものではない。図1では、ガス発生器100の作動前の状態が示されている。ガス発生器100は、例えばエアバッグを膨張、展開させるためのガスをエアバッグに供給するエアバッグ用ガス発生器である。
【0019】
[全体構成]
図1に示すように、ガス発生器100は、点火装置7と、内筒部材5と、フィルタ6と、隔壁部材8と、伝火薬110と、ガス発生剤120と、これらを収容するハウジング1と、を備えている。本実施形態のガス発生器100は、点火装置を1つのみ備えた、いわゆるシングルタイプのガス発生器として構成されている。これに限らず、ガス発生器100は、複数の点火装置を備える構成であってもよい。ガス発生器100は、点火装置7に含まれる点火器71が作動されることで、ガス発生剤120を燃焼させ、その燃焼生成物である燃焼ガスをハウジング1に形成されたガス排出孔11から放出するように構成されている。以下、ガス発生器100の各構成について説明する。
【0020】
[ハウジング]
ハウジング1は、内筒部材5、フィルタ6、点火装置7、隔壁部材8、伝火薬110、及びガス発生剤120を収容する部材である。ハウジング1は、それぞれが有底略筒状に形成された金属製の上部容器2及び下部容器3を備え、上部容器2及び下部容器3が互いの開口端同士を向き合わせた状態で接合されることによって、軸方向の両端が閉塞した短尺筒状に形成されている。これら上部容器2及び下部容器3は、燃焼室10を画定し、内部にガス発生剤120等が配置される容器20である。また、ハウジング1は、容器20のガス排出側、本例では上側に外嵌された外殻部材4を備えている。
【0021】
上部容器2は、筒状の上側周壁部21と該上側周壁部21の上端を閉塞する天板部22とを有し、これらにより内部空間が形成されている。この内部空間の下端部側には上部容器2の開口が形成されている。下部容器3は、筒状の下側周壁部31と該下側周壁部31の下端を閉塞すると共に点火装置7が固定された底板部32とを有し、これらにより内部空間が形成されている。この内部空間の上端部には下部容器3の開口が形成されている。
【0022】
上部容器2の開口側端部である接合部23と下部容器3の開口側端部である接合部33
とが重ね合わされて溶接等によって接合されることで、軸方向の両端が閉塞した短尺円筒状の容器20が形成される。これら上部容器2の上側周壁部21と下部容器3の下側周壁部31は、容器20の周壁部12を構成する。つまり、容器20は、筒状の周壁部12と、周壁部12の一端側に設けられた天板部22と、周壁部12の他端側に設けられた底板部32とを含んで構成されている。天板部22は、本開示に係る「第一壁部」に相当する。また、底板部32は、本開示に係る「第二壁部」に相当する。
【0023】
容器20の天板部22には、容器20の内側から外側にかけて貫通し、容器20内で生じた燃焼ガスを外部へ排出する排出孔25が設けられている。排出孔25の位置は、特段限定されるものではないが、本実施形態では天板部22を平面視した場合の中央に設けられている。即ち、排出孔25は、周壁部12と同芯に形成されている。
【0024】
下部容器3内には、点火装置7及び内筒部材5が設けられ、内筒部材5の下端が下部容器3の底板部32に接合されている。内筒部材5は、点火装置7を取り囲むようにして底板部32から天板部22に向かって延びる筒状の部材である。
【0025】
内筒部材5は、周壁部12と同心円状に配置され、その内側空間を伝火室50とし、外側空間を燃焼室10としている。内筒部材5の上側には、伝火室50及び燃焼室10の上面を画すように、概ね円板状の隔壁部材8が設けられている。また、隔壁部材8は、容器20内において、下側の燃焼室10及び伝火室50と、上側のフィルタ室60とを画す。隔壁部材8の外縁付近には、燃焼室10とフィルタ室60とを連通する複数の連通孔81が設けられている。連通孔81の数や配置は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、隔壁部材8の径方向に複数の連通孔81が設けられ、且つ、隔壁部材8の周方向に沿って均等な間隔で複数の連通孔81が設けられている。また、連通孔81は、ハウジング1の軸方向に沿って穿たれ、燃焼ガスを天板部22が延在する方向と直交する方向へ放出する向きに形成されている。即ち本実施形態の連通孔81は、中心軸Cに沿った方向に形成されている。また、天板部22が球形の場合も、燃焼ガスの排出方向は中心軸Cに沿った方向としてもよいし、球面における接線に垂直な方向(放射方向)でもよい。
【0026】
内筒部材5内側の伝火室50内には、点火装置7が配置され、点火装置7の周囲に伝火薬110が充填されている。また、内筒部材5外側の燃焼室10には、ガス発生剤120が充填されている。そして、内筒部材5には、その内側空間である伝火室50と外側空間である燃焼室10とを連通する連通孔52が周方向に沿って複数形成されている。連通孔52は、点火装置7が作動する前の状態では、シールテープ(不図示)により閉塞されており、点火装置7が作動すると燃焼ガスの圧力によりシールテープが開裂し、伝火室50と燃焼室10とが連通する。なお、連通孔52は、少なくとも点火装置7の作動時に伝火室50の内部と外部とを連通すればよく、シールテープで閉塞されていなくともよい。
【0027】
容器20内のフィルタ室60には、フィルタ6が配置されている。フィルタ6の形状は、特段限定されるものではないが、例えば、筒状又は柱状であってもよい。なお、本実施形態のフィルタ6は、円柱状である。また、本実施形態のフィルタ6は、排出孔25を覆うようにフィルタ室60の中央に配置されているが、これに限らず、排出孔25とガス発生剤120との間であって燃焼ガスが通過する位置に配置されればよい。換言すれば連通孔25は、中心軸Cと直交するフィルタ6の断面形状の投影領域内に形成されている。
【0028】
フィルタ6は、上面61が容器20の天板部22と接し、下面63が隔壁部材8の上面と接し、天板部22と隔壁部材8とによって挟持されている。隔壁部材8の上面には、フィルタ6の下部と略同形の凹部82が設けられ、フィルタ6の下部が凹部82に嵌ることで位置決めされる。
【0029】
容器20は、加圧された不活性ガス(以下、加圧ガスとも称す)が充填され、破裂板26によって排出孔25が閉塞されている。また、点火装置7の周囲を覆うようにカップ状のシール部材53が配置されることで、点火装置7が取り付けられる底板部32の開口部分における気密性が保たれている。シール部材53は、例えば金属製であり、溶接等によって底板部32に接合される。シール部材53は、不活性ガスの圧力に耐える剛性を有し、且つ点火装置7の作動によって開裂するように構成される。ここで、不活性ガスは、アルゴン、ヘリウム、又はこれらの混合物等が挙げられる。本実施形態のガス発生器100は、作動時に加圧ガスと燃焼ガスを放出するハイブリッド型である。
【0030】
容器20のガス排出側に取り付けられた外殻部材4は、筒状の周壁部41と該周壁部41の上端を閉塞する天板部42と、周壁部41の下端から径方向に延設されたフランジ部43とを有している。外殻部材4は、容器20の上部に外嵌し、周壁部12の外面に対して接合される。このように容器20と接合された状態で、外殻部材4は、容器20の天板部22との間に、燃焼ガスの排出経路となる排出側空間44を形成する。外殻部材4の周壁部41には、排出側空間44と外部空間とを連通するガス排出孔11が、周方向に沿って複数並んで形成されている。
【0031】
[点火装置]
図1に示すように、点火装置7は、点火器71と、取付部材72とを含み、下部容器3の底板部32に固定されている。点火装置7は、本開示に係る「点火部」に相当する。点火器71は、点火薬が収容された金属製のカップ体711と、外部から電流の供給を受けるための一対の通電ピン712,713とを有する。点火器71は、一対の通電ピン712,713に供給される着火電流により作動することで該点火薬を燃焼させ、その燃焼生成物をカップ体711の外部に放出させる。
【0032】
取付部材72は、点火器71と底板部32との間に介装されることで、底板部32に対して点火器71を固定する部材である。取付部材72は、点火器71の下部を覆う樹脂を含み、一対の通電ピン712,713に外部電源からの電力を供給するコネクタ(図示せず)を挿入可能なコネクタ挿入空間を形成している。なお、点火器71と底板部32の固定や、取付部材72と底板部32の関係は図1に限られることなく、公知の技術を使用できる。
【0033】
[フィルタ]
図2は、フィルタ6の構成を示す図である。フィルタ6は、金属材料により形成された筒状の部材であって、燃焼ガスを通すことで燃焼ガス中の残渣のろ過や燃焼ガスの冷却機能を有する微細な孔を有する部材である。フィルタ6は、軸方向に延在し、当該軸方向の第一端面(上面)61における少なくとも外周部分が、排出孔25の周りを囲むように天板部22と接続され、軸回りに存在する外周面62の少なくとも一部であって全周にわたる部位が燃焼ガスの流入部位とされ、この流入部位が作動時に燃焼室10と連通するように配置されている。これにより作動時に燃焼室10から燃焼ガスが放出されると、この燃焼ガスがフィルタ6の外周面62から流入し、上面61中央から排出孔25へ排出される。このときフィルタ6の上面61は天板部22と当接し、その反対側の下面(第二端面)63は隔壁部材8の凹部82と当接しているため、燃焼ガスが上面61と天板部22との間や、下面63と隔壁部材8との間を流れること、所謂「ショートパス」が防止される。なお、上面61と天板部22の間、下面63と隔壁部材8との間、又はその両方にシール手段を配してもよい。
【0034】
本例に係るフィルタ6は、多数の孔が形成された環状の金属板が半径方向に重ねられて形成されている。例えば、筒状にした金属板を同心円状に重ねることや、金属板を平面視において渦巻き状に巻回して径方向に重ねることで、フィルタ6が形成されてもよい。あ
るいはフィルタ6は、円板状に成形した多孔金属板を軸方向に重ね合わせて形成してもよい。フィルタ6の材料となる多孔金属板としては、エキスパンドメタル、ラスメタル、パンチングメタル、金網等が例示される。なお、図2中、符号62はフィルタ6の外周面を示す。このフィルタ6には複数の孔が形成されていることから、燃焼室10に配置されたガス発生剤120の燃焼ガスがフィルタ6を通過可能となっている。フィルタ6は、燃焼ガスに含まれる燃焼残渣を捕集することで当該燃焼ガスを濾過する。また、フィルタ6は、上述の燃焼ガスをろ過する機能に加え、燃焼ガスがフィルタ6を通過する際に、燃焼ガスの熱を奪い取ることで当該燃焼ガスを冷却する機能も有する。なおフィルタ6としてはこのほか、特開平10-119705のような圧縮形成フィルタや、特開2005-193138のような金属線材を多層に巻き付けた巻き線フィルタであってもよい。
【0035】
図3は、フィルタ6における層構成の一例を示す平面図、図4は、図3のA-A断面図である。フィルタ6は、径方向において複数の層を備え、各層の仕様を異ならせて構成してもよい。例えば、フィルタ6は、外側の層と比べて、内側の層の密度が高く(開口率を小さく)構成されてもよい。図3図4のフィルタ6は、内側部65と、中間部66と、外側部67との三層を備え、内側部65よりも中間部66の密度を低くし、中間部66よりも外側部67の密度を低くしている。
【0036】
[伝火薬]
伝火薬110としては、公知の黒色火薬の他、着火性が良く、ガス発生剤120よりも燃焼温度の高いガス発生剤を使用することができる。伝火薬110の燃焼温度は、1700~3000℃の範囲に設定することができる。このような伝火薬110としては、例えば、ニトログアニジン(34重量%)、硝酸ストロンチウム(56重量%)を含む、公知のものを用いることができる。また、伝火薬110には、例えば顆粒状、ペレット状、円柱状、ディスク状等、種々の形状を採用できる。
【0037】
[ガス発生剤]
ガス発生剤120には、比較的燃焼温度の低いガス発生剤を使用することができる。ガス発生剤120の燃焼温度は、1000~1700℃の範囲に設定することができる。このようなガス発生剤120としては、例えば、硝酸グアニジン(41重量%)、塩基性硝酸銅(49重量%)及びバインダーや添加物を含む、公知のものを用いることができる。また、ガス発生剤120には、例えば顆粒状、ペレット状、円柱状、ディスク状等、種々の形状を採用できる。
【0038】
[動作]
以下、第一実施形態に係るガス発生器100の動作について説明する。まず、図1を参照しながら説明する。センサ(図示せず)が衝撃を感知すると、一対の通電ピン712,713に着火電流が供給され、点火器71が作動する。即ち、点火器71のカップ体711に収容された点火薬が燃焼し、その燃焼生成物である火炎や高温のガス等がカップ体711を破裂させてカップ体711の外部に放出される。これにより、伝火室50に収容された伝火薬110が燃焼し、燃焼ガスが発生する。伝火薬110の燃焼ガスは、連通孔52を閉塞していたシールテープを破って連通孔52から伝火室50の外部へ放出される。すると、伝火薬110の燃焼ガスがガス発生剤120と接触し、ガス発生剤120が着火される。ガス発生剤120が燃焼することで、燃焼室10に高温・高圧の燃焼ガスが生成される。このように燃焼ガスの生成が開始されて容器20内の圧力が高まると、排出孔25を閉塞している破裂板26が破裂し、容器20内の加圧ガスと共に燃焼ガスが排出孔25から排出される。このとき、燃焼ガスがフィルタ6を通過することで、燃焼ガスが冷却され、燃焼残渣が捕集される。フィルタ6を通過し、排出孔25から排出側空間44へ排出された加圧ガス及び燃焼ガスは、外殻部材4の天板部42に当たってハウジング1の径方向へ偏向され、ガス排出孔11からハウジング1の外部へ放出される。そして、加圧ガ
ス及び燃焼ガスは、ハウジング1の外部へ放出された後に、エアバッグ(図示せず)内に流入する。これによりエアバッグが膨張することで、乗員と堅い構造物の間にクッションが形成され、乗員が衝撃から保護される。
【0039】
[作用・効果]
本実施形態のガス発生器100では、フィルタ6の一端面61における少なくとも外周部分が、排出孔25の周りを囲むように天板部22の内壁面と接続され、外周面62が燃焼室10と連通して配置されている。これにより、燃焼ガスは、含まれる燃焼残渣の量(以下、含有残渣量とも称す)が多い流入初期の時点で、フィルタ6の外周面62を通り、濾過されて含有残渣量が少なくなりながら内側部分を通過する。換言すれば、燃焼ガスはフィルタ6の外周面62の周方向全体に形成された流入部位から内側に進むにつれて、含有残渣量が濾過されて少なくなり、燃焼ガス温度も低下する、また燃焼ガスが接触するフィルタ径方向の断面積も徐々に小さくなる。つまり含有残渣量やガス温度に相当したフィルタの接触面積が提供される。よってフィルタ6の利用効率を向上させることができ、ガス発生器100の性能向上を図ることができる。また、フィルタ6の利用効率を向上させることで、従来と同じフィルタ性能を小さなフィルタ6で達成できるので、ガス発生器100を小型化することができる。
【0040】
また、本実施形態のガス発生器100では、フィルタ6が、径方向において複数の層を備え、外側の層と比べて、内側の層の密度が高く構成されてもよい。これによりフィルタ6の利用効率を更に向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態のガス発生器100では、隔壁部材8の連通孔81が、燃焼ガスを天板部22の延在方向と直交する方向へ放出する向きに形成されている。これにより、燃焼室10で生成された燃焼ガスを先ず天板部22に当て、大きい残渣や粘着性の高い残渣を天板部22に付着させた後にフィルタ6へ流入するように構成したことで、フィルタ6の利用効率を更に向上させている。
【0042】
更に、本実施形態のガス発生器100では、フィルタ6の上面61が天板部22と当接し、フィルタ6の下面63が隔壁部材8の凹部82と当接して配置されている。これにより、燃焼ガスが、上面61と天板部22との間や、下面63と隔壁部材8との間を流れること、所謂「ショートパス」が防止され、フィルタ6の利用効率を向上させることができる。なお、第一実施例ではフィルタ6の上面61と天板部22との間のショートパスが防止されている限りにおいては、下面63と隔壁部材8との間は隙間が形成されていてもよい。
【0043】
<第二実施形態>
図5は、第二実施形態に係るガス発生器200の軸方向断面図、図6は、隔壁部材8の下面を示す図である。図5では、ガス発生器200の作動前の状態が示されている。本実施形態は、前述の第一実施形態と比べて、天板部22Aの構成が異なっており、その他の構成は同じである。このため、第一実施形態と同様の要素については同一の符号を付す等して再度の説明は割愛する。
【0044】
図5図6に示すように、本実施形態の上部容器2は、筒状の上側周壁部21と、該上側周壁部21の上端を閉塞する天板部22Aとを有し、天板部22Aの下面221側において、周方向に沿う溝部222が設けられている。また、隔壁部材8の連通孔81は、燃焼ガスを溝部222へ向けて放出する位置に設けられている。本実施形態の連通孔81は、溝部222の直下において軸方向に向けて形成され、燃焼ガスを溝部222へ向けて放出する。
【0045】
このように、本実施形態によれば、燃焼室10で生成された燃焼ガスが、溝部222に向けて放出され、溝部222で滞留した後にフィルタ6へ流入するように構成されている。このため、燃焼ガス中の大きな残渣や粘着性の高い残渣が溝部222で除かれ、フィルタ6の利用効率を向上させることができる。溝部222の表面にさらに凹凸を設けて、燃焼ガスとの接触面積を増やしてもよい。
【0046】
<第三実施形態>
図7は、第三実施形態に係るガス発生器300の軸方向断面図である。図7では、ガス発生器300の作動前の状態が示されている。本実施形態は、前述の第一実施形態と比べて、隔壁部材8Aの構成が異なっており、その他の構成は同じである。このため、第一実施形態と同様の要素については同一の符号を付す等して再度の説明は割愛する。
【0047】
図7に示すように、本実施形態の隔壁部材8Aは、フィルタ6と接続されている中央部位83に対して、フィルタ6と接続されていない外側部位84が、ハウジング1の天板部22側に張り出して形成されている。図7の例では、外側部位84が、径方向内側から外側へ行く程、上側に位置するように、テーパ状に形成されている。即ち、燃焼室10が、フィルタ室60側に張り出すように設けられている。このため本実施形態のガス発生器300は、下部容器3の下側周壁部31が、隔壁部材8Aに合わせて上側に延伸され、第一実施形態と比べ上部容器2と下部容器3の接合部が隔壁部材8Aよりも天板部22側に形成されている。
【0048】
このように、本実施形態によれば、燃焼室10が、第一実施形態のガス発生器100と比べて大きく形成されているので、ガス発生剤120や加圧ガスの充填量を増加でき、ガス発生器300の性能を向上させることができる。
【0049】
<第四実施形態>
図8は、第四実施形態に係るガス発生器400の軸方向断面図である。図8では、ガス発生器400の作動前の状態が示されている。本実施形態は、前述の第三実施形態と比べて、隔壁部材8Bの構成が異なっており、その他の構成は同じである。このため、第三実施形態と同様の要素については同一の符号を付す等して再度の説明は割愛する。
【0050】
図8に示すように、本実施形態の隔壁部材8Bは、フィルタ6と接続されている中央部位83に対して、フィルタ6と接続されていない外側部位85が、径方向内側から外側へ行く程、下側に位置するように、テーパ状に形成されている。また、隔壁部材8Bの連通孔81Bが、燃焼室10側からフィルタ室60側へ行く程、外側(周壁部12側)に位置するように形成されている。即ち、本実施形態の連通孔81Bは、燃焼ガスを周壁部12に向けて放出する向きに形成されている。
【0051】
このように、本実施形態によれば、燃焼室10で生成された燃焼ガスが、周壁部12に向けて放出され、周壁部12に当たった後にフィルタ6へ流入するように構成されている。このため、燃焼ガス中の大きな残渣や粘着性の高い残渣が周壁部12に付着して除かれ、フィルタ6の利用効率を向上させることができる。
【0052】
<第五実施形態>
図9は、第五実施形態に係るガス発生器500の軸方向断面図、図10は、第五実施形態に係るフィルタ6Aの層構成を示す平面図、図11は、図10のB-B断面図である。図9では、ガス発生器500の作動前の状態が示されている。本実施形態は、前述の第一実施形態と比べて、フィルタ6Aの構成が異なっており、その他の構成は同じである。このため、第一実施形態と同様の要素については同一の符号を付す等して再度の説明は割愛する。
【0053】
図9に示すように、本実施形態のフィルタ6Aは、円筒状に形成されている。フィルタ6は、軸方向の一端面(上面)61Aが、排出孔25の周りを囲むように天板部22と接続され、他端面(下面)63Aが隔壁部材8に接続されている。すなわちフィルタ6Aは径方向中央部に上面61Aから下面63Aに向けて貫通孔を有しており、貫通孔に面した領域に排出孔25が形成されている。また、フィルタ6Aは、径方向において複数の層を備え、各層の仕様を異ならせて構成してもよい。例えば、フィルタ6Aは、内側部66Aと、外側部67Aとの二層を備え、内側部66Aよりも外側部67Aの密度を低くしている。なお、層の数は、これに限らず、任意に設定してよい。
【0054】
このように、本実施形態によれば、燃焼室10で生成された燃焼ガスが、フィルタ6Aの外側から内側へ通過するように構成されている。このため、フィルタ6の利用効率を向上させることができる。なお、本実施形態では、フィルタ6A以外の構成を第一実施形態と同様としたが、これに限らず、第二~第四実施形態と同様に構成してもよい。
【0055】
<第六実施形態>
図12は、第六実施形態に係るガス発生器600の軸方向断面図である。図12では、ガス発生器600の作動前の状態が示されている。本実施形態は、前述の第五実施形態と比べて、加圧ガスを用いないパイロ型とした構成が異なっており、その他の構成は同じである。このため、第五実施形態と同様の要素については同一の符号を付す等して再度の説明は割愛する。
【0056】
本実施形態では、容器20内に加圧ガスを充填せず、排出孔25の下端をシールテープ27で閉塞している。即ち、フィルタ6Aの内部空間内にシールテープ27を配置し、シールテープ27とフィルタ6Aとが干渉しないように構成している。
【0057】
点火器71が作動し、伝火薬110及びガス発生剤120が燃焼して燃焼ガスが生成されると、連通孔52を閉塞していたシールテープが開裂して燃焼ガスがフィルタ6Aを通り排出孔25から排出され、排出側空間44を介してガス排出孔11からハウジング1の外部へと放出される。
【0058】
このように、本実施形態によれば、燃焼室10で生成された燃焼ガスが、フィルタ6Aの外側から内側へ通過するように構成されている。このため、フィルタ6の利用効率を向上させることができる。
【0059】
<第七実施形態>
図13は、第七実施形態に係るガス発生器700の中心軸Cに沿った内部構造を概略的に示す軸方向断面図である。なお、前述の第一実施形態と同様の要素には同符号を付すなどして一部説明を割愛する。また第七実施形態のガス発生器700は、加圧ガスを用いていない。
【0060】
図13に示すように、ガス発生器700は、点火装置7と、フィルタ6Bと、ガス発生剤120と、これらを収容するハウジング1と、を備えている。本実施形態のガス発生器700は、点火装置を1つのみ備えた、いわゆるシングルタイプのガス発生器として構成されている。これに限らず、ガス発生器700は、複数の点火装置を備える構成であってもよい。
【0061】
ハウジング1は、フィルタ6B、点火装置7、及びガス発生剤120を収容する部材である。ハウジング1は、それぞれが有底略筒状に形成された金属製の上部容器2及び下部容器3を備え、上部容器2及び下部容器3が互いの開口端同士を向き合わせた状態で接合
されることによって、軸方向の両端が閉塞した短尺筒状に形成されている。これら上部容器2及び下部容器3は、燃焼室10Aを画定し、内部にガス発生剤120等が配置される容器20である。また、ハウジング1は、容器20のガス排出側、本例では上側に外嵌された外殻部材4を備えている。
【0062】
容器20の天板部22には、容器20の内側から外側にかけて貫通し、容器20内で生じた燃焼ガスを外部へ排出する排出孔25が設けられている。
【0063】
容器20内には、筒状のフィルタ6Bが設けられ、容器20の内部空間を内側空間と外側空間とに区切り、その外側空間を燃焼室10Aとしている。フィルタ6Bは径方向の中央部に上面61Bから下面63Bにかけて貫通孔が形成されており、貫通孔で形成される領域(内部空間)に面する様に排出孔25が形成されている。
【0064】
下部容器3内の燃焼室10Aには、点火装置7が配置され、点火装置7の周囲にガス発生剤120が充填されている。
フィルタ6Bは、金属材料により形成された筒状の部材であって、上面61Bが排出孔25の周りを囲むように天板部22と接し、下面63Bが底板部32と接し、天板部22と底板部32とによって挟持されている。
【0065】
天板部22の内面側中央には、排出孔25を覆うようにシールテープ27が設けられ、排出孔25を閉塞している。即ち、フィルタ6Bの内部空間内にシールテープ27を配置し、シールテープ27とフィルタ6Bとが干渉しないように構成している。
【0066】
点火器71が作動すると、点火器71のカップ体711に収容された点火薬が燃焼し、その燃焼生成物である火炎や高温のガス等がカップ体711の外部に放出される。これにより、燃焼室10Aに収容されたガス発生剤120が燃焼し、高温・高圧の燃焼ガスが発生する。すると、容器20内の圧力が高まり、排出孔25を閉塞しているシールテープ27が開裂し、燃焼ガスがフィルタ6Bを介して排出孔25から排出される。このとき、燃焼ガスがフィルタ6Bを通過することで、燃焼ガスが冷却され、燃焼残渣が捕集される。排出孔25から排出側空間44へ排出された加圧ガス及び燃焼ガスは、外殻部材4の天板部42に当たってハウジング1の径方向へ偏向され、ガス排出孔11からハウジング1の外部へと放出される。そして、加圧ガス及び燃焼ガスは、ハウジング1の外部へ放出された後に、エアバッグ(図示せず)内に流入する。これによりエアバッグが膨張することで、乗員と堅い構造物の間にクッションが形成され、乗員が衝撃から保護される。
【0067】
本実施形態のガス発生器700では、フィルタ6Bの一端面61Bが、排出孔25の周りを囲むように天板部22の内壁面と接続され、外周面62Bが燃焼室10と連通して配置されている。これにより、燃焼ガスは、含有残渣量が多い流入初期の時点で、フィルタ6Bの外周面62Bを通り、濾過されて含有残渣量が少なくなりながらフィルタ6Bの内周面68に向かって通過する。つまり燃焼ガスはフィルタ6Bの外周面62Bの周方向全体に形成された流入部位から内周面68に進むにつれて、含有残渣量が濾過されて少なくなり、燃焼ガス温度も低下する、また燃焼ガスが接触するフィルタ径方向の断面積も徐々に小さくなる。つまり含有残渣量やガス温度に相当したフィルタの接触面積が提供される。そのためフィルタ6Bの利用効率を向上させることができ、ガス発生器700の性能向上を図ることができる。
【0068】
また、本実施形態のガス発生器700では、フィルタ6Bの上面61Bが天板部22と当接し、フィルタ6Bの下面63Bが底板部32と当接して配置されている。これにより、燃焼ガスが、上面61と天板部22との間や、下面63と底板部32との間を流れること、所謂「ショートパス」が防止され、フィルタ6の利用効率を向上させることができる
。なお図9、12、13に示すガス発生器では、フィルタの上面61A,61Bと天板部22との間のショートバスが阻止されている限りは、フィルタの貫通孔を下面63A,63Bまで貫通させず、下面63A,63Bと隔壁部材8または底板部32の間に部材を介在させて、フィルタを隔壁部材8あるいは底板部32と離して配置させることもできる。
【0069】
<その他>
以上、本開示の好適な実施形態について説明したが、本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0070】
1: ハウジング
10: 燃焼室
100~700: ガス発生器
10A: 燃焼室
11: ガス排出孔
110: 伝火薬
12: 周壁部
120: ガス発生剤
2: 上部容器
20: 容器
21: 上側周壁部
22: 天板部
221: 下面
222: 溝部
22A: 天板部
23: 接合部
25: 排出孔
26: 破裂板
27: シールテープ
3: 下部容器
31: 下側周壁部
32: 底板部
33: 接合部
4: 外殻部材
41: 周壁部
42: 天板部
43: フランジ部
44: 排出側空間
5: 内筒部材
50: 伝火室
52: 連通孔
6,6A,6B: フィルタ
60: フィルタ室
7: 点火装置
8: 隔壁部材
81,81B: 連通孔
82: 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13