(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176485
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】播種箱カバー
(51)【国際特許分類】
A01G 9/02 20180101AFI20231206BHJP
A01C 1/04 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A01G9/02 610Z
A01C1/04 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088785
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】加茂 康司
(72)【発明者】
【氏名】西尾 直浩
【テーマコード(参考)】
2B051
2B327
【Fターム(参考)】
2B051CA18
2B051CB10
2B327ND03
2B327UB24
2B327VA20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】播種箱内での種子や発芽後の生育環境の改善。
【解決手段】播種箱カバーは、天板とスペーサと通風口を備え、天板は、播種箱の上面を被覆するものであり、スペーサは、天板を栽培床の床面から所定距離だけ離すものであり、天板の前後左右に取り付けられており、通風口は、スペーサが切り欠かかれている部分、または、スペーサが取り付けられない部分であることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板とスペーサと通風口を備え、天板は、播種箱の上面を被覆するものであり、スペーサは、天板を栽培床の床面から所定距離だけ離すものであり、天板の裏面の前後左右に取り付けられており、通風口は、スペーサが切り欠かかれている部分、または、スペーサが取り付けられない部分であることを特徴とする播種箱カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、播種箱に被覆する播種箱カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
植物の種子を播いて生育させるための播種箱には、種子や発芽後の乾燥や水分の蒸発を防ぐために、播種箱の上面を被覆することが行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このようなカバーは、播種箱内への外気の取り入れを阻害し、種子や発芽後の生育を妨げるおそれがあった。
このため、播種箱内での種子や発芽後の生育環境の改善が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述の課題を解決するために請求項1記載による播種箱カバーは、天板とスペーサと通風口を備え、天板は、播種箱の上面を被覆するものであり、スペーサは、天板を栽培床の床面から所定距離だけ離すものであり、天板の裏面の前後左右に取り付けられており、通風口は、スペーサが切り欠かかれている部分、または、スペーサが取り付けられない部分であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、以上の構成により、播種箱内での種子や発芽後の生育環境を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明に係る実施形態の播種箱カバーを示し、(a)は、播種箱カバーを播種箱に被覆した状態の平面図、(b)は、播種箱カバーの平面図、(c)は、播種箱の平面図である。
【
図2】(a)は、
図1(a)の側面図であり、一部拡大して示し、(b)は、
図1(a)の(2b)-(2b)線断面図である。
【
図3】(a)は、播種箱カバーの変形例1を示す平面図、(b)は、播種箱カバーの変形例2を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の播種箱カバーAを説明する。
以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0008】
[播種箱カバーの基本構成]
播種箱カバーAは、
図1に示すように、播種箱Bの開放された上面B1を被覆することで、播種箱B内の種子や発芽後の植物(芽、根、茎葉)C11の乾燥、水分の蒸発を防ぐものであり、播種箱Bの上面B1の全域を被覆する平面形状に形成されている。
播種箱カバーAは、播種箱Bの平面形状と略同じ大きさの平面形状を呈しており、播種箱Bの壁面B21の上端B210に播種箱カバーAを載せることで、播種箱Bの上面B1の全域を被覆できるようになっている。
【0009】
ここで、播種箱Bは、
図1及び
図2に示すように、平面長方形を呈する容器形状に形成されたものであり、底部B10の前後左右の端部から壁面B21が立ち上げ形成されている。
このような播種箱Bには、土壌栽培で使用される土の栽培床Cが入れられており、この栽培床Cに種子を播種して種子や発芽後の植物C11を生育する。
播種箱Bの形状は、平面長方形に限らない
【0010】
栽培床Cは、土壌栽培での土の他、この土を入れたトレーやポットが例示できる。
土壌栽培で使用する土は、各種たい肥、ピートモス、腐葉土、バーミキュライト等を混合した培養土が例示できる。
また、栽培床Cは、水耕栽培の場合、植物C11の種子や根を支持する支持基材が例示できる。
水耕栽培に使用する支持基材は、植物C11の種子を播くことができると共に、根を支持して植物C11が倒れないように保持でき、播種箱Bに入れられた水に浮かべることができるものであり、素材としては、スポンジ材、不織布、発泡スチロール等が例示できる。
【0011】
[播種箱カバーの具体的構成]
播種箱カバーAは、
図1(a)(b)及び
図2に示すように、天板1とスペーサ2と通風口3とL字型のアングル4を備えており、天板1を播種箱Bに被覆させた状態では、スペーサ2が播種箱Bの壁面B21の上端B210に載っていると共に、短手側の側面に通風口3が位置するようにされている。
また、天板1が播種箱Bに被覆した状態では、スペーサ2が天板1を栽培床Cの床面C1から所定距離だけ離していると共に、天板1の裏面(播種箱B側の面)10と播種箱Bの壁面B21の上端B210の間に通風口3を確保している。
ここで所定距離は、植え替える時期の植物C11が天板1に接触しない程度の距離である。
【0012】
[天板の構成]
天板1は、透明、または、半透明な合成樹脂材からなる薄板状のものであり、
図1(a)(b)に示すように、播種箱Bの平面形状に対応した平面長方形に形成され、播種箱Bの上面B1を被覆する。
このような天板1は、光を遮ることなく、植物C11の乾燥や栽培床Cの水分の蒸発を防止し適度な湿度を保つことができる。
天板1は、透明又は半透明なものに限らず、不透明なものとしてもよく、育成する植物C11に応じて変更するとよい。
また、天板1は、播種箱Bの平面形状に対応していれば、平面長方形に限らない。
【0013】
[スペーサの構成]
スペーサ2は、ゴム材、合成樹脂材、スポンジ材等のクッション性を有する材料、木材や金属材等の硬質な材料を用いて、
図2に示すように、断面正方形の角棒状に形成されたものである。
スペーサ2が、前述のクッション性を有する材料からなるものであれば、播種箱Bに対して傷付けにくく、天板1の軽量化が図れ、硬質な材料からなるものであれば、天板1の補強を図ることができる。
【0014】
スペーサ2は、
図1(a)(b)に示すように、天板1の裏面10の前後(
図1(a)(b)において長手側)左右(
図1(a)(b)において短手側)の縁に接着剤によって接着されている。
前後側(長手側)のスペーサ2は、天板1の長手側の略全域にわたる長さのものである。
左右側(短手側)のスペーサ2は、天板1の短手側の中央に配置したときに、前後に通風口3が確保される長さのものである。
スペーサ2の高さは、すべて同じ高さにされていると共に、前述したように、天板1の裏面10と栽培床Cの床面C1とが所定距離だけ離れる高さである。
また、スペーサ2の高さは、育成する植物C11に応じて変更してもよいし、育成する植物C11のうち、最も背が高くなる植物C11に合わせた高さとしてもよく、このようにすることで、1種類の播種箱Bで複数の植物C11に対応することができる。
【0015】
[通風口の構成]
通風口3は、天板1の左右の側面のスペーサ2を境に前後2か所(スペーサ2が切欠かれている部分、または、スペーサ2取り付けられていない部分)にあり、天板1を被覆した播種箱Bの左右の側面に対応する部分に開口される。
このような、通風口3は、播種箱Bの左右の側面から空気を播種箱B内に入り込ませることで、植物C11の生育に必要な酸素の供給を行うことができる。
【0016】
[アングルの構成]
アングル4は、硬質の合成樹脂材、または、金属材からなるものであり、
図2に示すように、天板1の前後左右の縁に取り付けられており、平行部分40が天板1の表面11に接着剤により固定され、垂直部分41がスペーサ2の側面に接着剤により固定されている。
前後のアングル4の長さは、
図1(a)(b)に示すように、前後のスペーサ2の長さと略同じにされ、左右のアングル4の長さは、左右のスペーサ2の長さと同じにされており、これにより、アングル4の垂直部分41でスペーサ2の側面を隠すことができる。
また、アングル4の垂直部分41の長さは、天板1を播種箱Bに被せた状態において、アングル4の垂直部分41の先端側の一部が播種箱Bの側面と対面する長さにされており、これによって、播種箱Bに被覆された天板1の前後左右へのずれを防止して天板1の被覆状態を保持することができる。
【0017】
以上の構成とする播種箱カバーAによると、前述のように、光を遮ることなく、植物C11の乾燥や栽培床Cの水分の蒸発を防止し適度な湿度を保つことができると共に、通風口3から空気を播種箱B内に入り込ませることで、植物C11の生育に必要な酸素の供給を行うことができる。
したがって、播種箱カバーAは、播種箱B内での種子や発芽後の生育環境を改善できる。
【0018】
[播種箱カバーの変形例]
播種箱カバーAの変形例1として、
図3(a)に示すように、通風口3の位置を前後側に配置した構成、変形例2として、
図3(b)に示すように、通風口3の位置を前後左右に配置した構成が例示できる。
この変形例1、2の播種箱カバーAによっても、
図1及び
図2に示す前述した実施形態の播種箱カバーAと同じ効果が期待できる。
【0019】
以上、本発明に係る実施形態の播種箱カバーAを、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0020】
また、前述の各実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0021】
A:播種箱カバー
B:播種箱
B1:上面
B10:底部
B21:壁面
B210:上端
C:栽培床
C1:床面
C11:植物
1:天板
10:裏面
11:表面
2:スペーサ
3:通風口
4:アングル
40:平行部分
41:垂直部分