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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176490
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088792
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 正人
(72)【発明者】
【氏名】松田 聡
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC14
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】対向車との衝突の危険性がある場合に、周囲の状況に応じて適切に衝突の可能性を判定し、衝突を回避または衝突時の被害を軽減でき、かつ過剰作動となりにくい衝突回避動作を実行することができる車両制御装置を提供する。
【解決手段】衝突判定部6は、退避可能空間と衝突予測位置との関係から衝突回避動作を決定する衝突回避動作決定部7をさらに備え、運転支援判断部8は、衝突回避動作決定部7で決定した衝突回避動作に基づいて衝突回避のための運転支援を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車周辺の走行環境を認識する周辺環境認識部と、
前記周辺環境認識部で認識した車両の中から対向車を判断する対向車判断部と、
前記周辺環境認識部で認識した走行環境から前記自車または前記対向車が退避できる退避可能空間を検出する退避可能空間検出部と、
前記自車および前記対向車の推定進路に基づいて前記対向車との衝突予測位置を推定して衝突を判定する衝突判定部と、
前記衝突判定部の出力に基づいて衝突回避のための運転支援を行う運転支援判断部と、を有する車両制御装置において、
前記衝突判定部は、前記退避可能空間と前記衝突予測位置との関係から衝突回避動作を決定する衝突回避動作決定部をさらに備え、
前記運転支援判断部は、前記衝突回避動作決定部で決定した前記衝突回避動作に基づいて衝突回避のための運転支援を実行することを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記衝突回避動作決定部は、前記衝突予測位置から所定の範囲に前記退避可能空間が存在しない場合、第1のタイミングで制動開始かつ第1の減速度の衝突回避動作とし、前記衝突予測位置から所定の範囲に前記退避可能空間が存在し、前記自車または前記対向車が退避する可能性がある場合、少なくとも前記第1のタイミングより遅い第2のタイミングで制動開始する衝突回避動作とすることを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記衝突回避動作決定部は、前記第2のタイミングで制動開始する衝突回避動作とした場合、前記第1の減速度と同等もしくは前記第1の減速度より大きな第2の減速度の衝突回避動作とすることを特徴とする請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記衝突回避動作決定部は、前記衝突予測位置から所定の範囲に前記退避可能空間が存在し、前記自車または前記対向車が退避不可能な場合、前記第2のタイミングより早い第3のタイミングで制動開始かつ前記第2の減速度より小さい第3の減速度の衝突回避動作とし、さらに、前記第2のタイミングまでに前記自車または前記対向車が退避できなかった場合は前記第2のタイミングかつ前記第2の減速度の衝突回避動作とすることを特徴とする請求項3に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記衝突回避動作決定部は、前記第3のタイミングで制動開始かつ前記第3の減速度の衝突回避動作を選択した場合、前記対向車の加減速度に基づいて前記第3の減速度を更新し、前記衝突予測位置を前記自車側に移動することを特徴とする請求項4に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記退避可能空間検出部は、前記周辺環境認識部で認識した区画線、道路標示、立体物、路面情報、車両が走行可能なフリースペース情報のうち少なくとも一つに基づいて前記自車または前記対向車が避けることが可能な退避可能空間を検出することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記退避可能空間検出部は、前記自車または前記対向車の種別、大きさ、全幅、全長のうち少なくとも一つに基づいて退避可能空間を検出することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記運転支援判断部は、前記衝突回避動作に基づいて衝突回避のための運転支援を実行している際に、前記衝突判定部により衝突の危険性がなくなったと判断された場合、前記衝突回避動作を解除することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項9】
乗員に音声または表示を用いて情報を報知する情報報知部をさらに備え、
前記情報報知部は、前記衝突回避動作の内容に基づいて前記乗員に情報を報知することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項10】
前記運転支援判断部は、前記自車の旋回半径が所定値以上、操舵入力が所定値以上、アクセルペダル踏み込み量が所定値以上、ブレーキペダル踏み込み量が所定値以上のうち少なくとも一つの条件を満たす場合に前記第1または前記第3のタイミングで制動開始する衝突回避動作を制限し、前記衝突回避動作が制限されている場合には、前記第2のタイミングで制動開始かつ前記第2の減速度の衝突回避動作とすることを特徴とする請求項4に記載の車両制御装置。
【請求項11】
乗員に音声または表示を用いて情報を報知する情報報知部をさらに備え、
前記衝突回避動作決定部は、前記自車が後退中に前記対向車との衝突予測位置が算出された場合、少なくとも減速度を発生させる衝突回避動作は実行せず、前記情報報知部により前記乗員に衝突の可能性を報知することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項12】
前記衝突回避動作決定部は、前記自車の後続車の有無、種別、該後続車との距離、天候状態、周囲の明るさの状態のうち少なくとも一つに基づいて制動開始タイミングおよび減速度を決定することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項13】
前記衝突回避動作に基づいて衝突回避のための運転支援を実行した際に履歴情報を記憶する衝突回避作動履歴情報記憶部をさらに備え、
前記履歴情報は、前記運転支援を実行した際の時刻、前記自車の車速、舵角、前記対向車の位置、車速、前記退避可能空間検出部で検出した退避可能空間、前記衝突判定部で算出した前記衝突予測位置、前記衝突回避動作決定部で決定した動作タイミング、減速度のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両などの移動体において、特に周囲の障害物との衝突を回避もしくは衝突時の被害を軽減するための車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載カメラやレーダなどの外界認識センサを用いて自車両周辺の物体(車両、二輪車、自転車、歩行者、構造物など)を検出するための技術が種々提案されている。さらに、これらの技術を用いて、検出した物体との衝突を回避もしくは衝突時の被害を軽減する衝突回避制御技術が開発されている。
【0003】
この衝突回避制御技術として、特許文献1がある。特許文献1には、追越中の対向車が自車線にはみ出してきた場合に、対向車の追越完了時間と自車が対向車に衝突するまでの時間(衝突予測時間)を演算し、衝突予測時間が追越完了時間より小さい場合に警報や制動を実施して衝突を防止する衝突防止装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-23399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている技術は、対向車が追越中という状況であっても適切に衝突の可能性を判定することができる。しかしながら、特許文献1においては、対向車の追越完了時間と衝突予測時間の大小のみで衝突回避動作を実行するため、例えば遠方からこの状況が検知できて追越完了時間と衝突予測時間の条件が成立すると衝突回避動作を実行することになり、その後の状況の変化(例えば対向車が予測より早く追越完了する)に対応できず、実際には衝突の可能性が低いにもかかわらず衝突すると判定して衝突回避動作を実行することがある。このような過剰作動が発生すると、乗員に対して不快感を与えるばかりでなく、自車が減速または停止することにより後続車から追突される可能性もある。
【0006】
本発明は、前述した事情を鑑みてなされたもので、対向車との衝突の危険性がある場合に、周囲の状況に応じて適切に衝突の可能性を判定し、衝突を回避または衝突時の被害を軽減でき、かつ過剰作動となりにくい衝突回避動作を実行することができる車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明の代表的な一例を示せば以下の通りである。すなわち、車両に搭載される車両制御装置であって、自車周辺の走行環境を認識する周辺環境認識部と、前記周辺環境認識部で認識した車両の中から対向車を判断する対向車判断部と、前記周辺環境認識部で認識した走行環境から前記自車または前記対向車が退避できる退避可能空間を検出する退避可能空間検出部と、前記自車および前記対向車の推定進路に基づいて前記対向車との衝突予測位置を推定して衝突を判定する衝突判定部と、前記衝突判定部の出力に基づいて衝突回避のための運転支援を行う運転支援判断部と、を有し、前記衝突判定部は、前記退避可能空間と前記衝突予測位置との関係から衝突回避動作を決定する衝突回避動作決定部をさらに備え、前記運転支援判断部は、前記衝突回避動作決定部で決定した前記衝突回避動作に基づいて衝突回避のための運転支援を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、状況に応じた衝突回避動作が実行できるため、過剰作動を防止しつつ、衝突が避けられない状況でも衝突回避または被害軽減が可能となる。
【0009】
前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施例の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例における車両制御装置の概略構成図である。
図2】本発明の一実施例における車両制御装置の全体処理のフローチャートである。
図3】本発明の一実施例における衝突判定処理のフローチャートである。
図4】本発明の一実施例における運転支援判断処理のフローチャートである。
図5】衝突回避動作のパターンを説明するための図である。
図6】衝突回避動作を説明するための図であり、(a)は、退避可能空間が検出され、対向車が退避可能空間に退避可能であると判断される状況を示す図であり、(b)は、退避可能空間が検出されない状況を示す図である。
図7】衝突回避動作を説明するための図であり、(a)は、退避可能空間が検出され、対向車が退避可能空間に退避困難であると判断される状況を示す図であり、(b)は、(a)から自車を減速させて衝突予測位置が自車両側に移動して、対向車が退避可能空間に退避可能となる状況を示す図である。
図8】衝突回避動作を説明するための図であり、(a)は、退避可能空間が検出され、対向車が退避可能空間に退避困難であると判断される状況を示す図であり、(b)は、(a)から自車を減速させたにもかかわらず対向車も減速し、依然として対向車が退避可能空間に退避困難であると判断される状況を示す図であり、(c)は、(b)から対向車の加減速度に基づいて自車の減速度をさらに調整(更新)して衝突予測位置が自車両側に移動して、対向車が退避可能空間に退避可能となる状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施例による車両制御装置の概略構成図である。図1に例示される車両制御装置(以降、制御装置と記載する場合がある)100aは、車両(自車両)に搭載され、自車両を制御するコンピュータであり、不図示の記憶媒体に記憶されたプログラムを実行することによって、周辺環境認識部1、地図情報取得部2、対向車判断部3、退避可能空間検出部4、自車進路推定部5、衝突判定部6、衝突回避動作決定部7、運転支援判断部8、情報報知部9、自動ブレーキ判定部10、衝突回避作動履歴情報記憶部11として機能する。
【0013】
制御装置100aは、自車両の制動装置113と、自車両に設けられた外環境認識装置101、音発生装置111、表示装置112とに接続されている。また、制御装置100aは、自車両のCAN(不図示)や専用線などの伝送路に接続されており、これらの伝送路を経由して自車両の車速、舵角、シフト位置などの車両情報が入力される。
【0014】
外環境認識装置101は、自車両の周囲環境に関する情報を取得する装置であって、例えば、車両周囲環境を撮影する単眼カメラやステレオカメラなどの車載カメラである。車載カメラにより得られた画像は、アナログデータのまま、又はA/D変換して、専用線などの伝送路を経由して制御装置100aに出力される。また、車載カメラ以外にもミリ波やレーザー光を用いて物体との距離を計測するレーダ、超音波を用いて物体との距離を計測するソナー等を用いることができる。車載カメラなどのこれらの装置は、検出した物体との距離とその方角、速度や物体の種別等の情報を専用線などの伝送路を経由して制御装置100aに出力する構成としても良い。
【0015】
音発生装置111は、スピーカー等で構成され、運転者(乗員)に対する警報や音声ガイダンス等を出力する情報報知部として機能する。
【0016】
表示装置112は、ナビゲーション装置等のディスプレイ、メーターパネル、警告灯等で構成される。表示装置112は、制御装置100aの操作画面や、自車両が障害物に衝突する危険があることなどを運転者(乗員)に視覚的に伝える警告画面等の情報を報知する情報報知部として機能する。
【0017】
制動装置113は、外部からの制動指令により電動や油圧のアクチュエータなどで制動力を制御できる電動ブレーキや油圧ブレーキ等で構成される。
【0018】
地図情報取得部2は、自車周辺の地図情報を取得する。取得される地図情報は、ポリゴンやポリライン等で表現される実際の道路形状に近い形状データや、通行規制情報(制限速度、通行可能車両種別等)、車線区分(本線、追越車線、登坂車線、直進車線、左折車線、右折車線等)とその区画線の種別や位置、信号機や標識等の有無(有の場合はその位置情報)等の情報である。
【0019】
周辺環境認識部1は、外環境認識装置101から入力された自車両の周囲を撮像した画像データや測距情報等と地図情報取得部2により取得した地図情報を用いて、自車両周辺の障害物や車両が走行可能なフリースペースを検出する。障害物に関しては、種別や位置、移動方向や移動速度等を検出する。障害物の種別としては、車両、二輪車、自転車、歩行者、ガードレール、縁石、壁、フェンス、植栽、落下物などである。障害物の種別や位置は、既知の技術であるパターンマッチングによって検出する方法を用いることができるが、他の技術を用いて検出してもよい。フリースペースに関しては、区画線や路端、車両が走行可能な路面情報、障害物情報等を用いて、車両が走行可能な領域情報として検出する。
【0020】
対向車判断部3は、周辺環境認識部1で認識した障害物のうち、自車両に対して対向車となる障害物を抽出する。対向車を抽出する条件としては、自車両前方の自車両が今後走行予定の道路を自車両方向に走行してきている(相対速度が自車速度より大きい状態の)車両を抽出する。また、対向車判断部3は、抽出した対向車の位置や速度の情報から対向車の今後の進路を推定する。
【0021】
退避可能空間検出部4は、周辺環境認識部1で認識した走行環境から、自車両もしくは対向車が現在の位置から衝突を回避する目的で退避可能な空間を検出する。退避可能空間検出部4は、周辺環境認識部1で認識した区画線、道路標示、立体物(障害物)、路面情報等を用いて自車もしくは対向車が避けることが可能な退避可能空間を検出する。例えば、対向2車線道路を走行している場合、自車が対向車線に進入して走行しているときは本来走行すべき車線が自車の退避可能空間となり、対向車が自車線に進入して走行しているときは本来走行すべき車線が対向車の退避可能空間となる。また、区画線の有無に関わらず、フリースペースの情報等を用いて自車もしくは対向車が走行可能な空間が存在する場合は退避可能空間とすることも可能である。さらに、退避可能空間検出部4は、自車両もしくは対向車の種別や大きさ(全幅、全長)を考慮して退避可能空間を検出する。これにより、より正確な退避可能空間の検出が可能である。
【0022】
自車進路推定部5は、自車両の車速、舵角、シフト位置などの車両情報を用いて自車両の今後の進路を推定する。
【0023】
衝突判定部6は、自車両および対向車の推定進路を比較して自車両と対向車が衝突の可能性があるか否かを判定し、衝突の可能性がある場合は衝突予測位置を算出する。衝突判定部6は、衝突回避動作決定部7を有し、衝突回避動作決定部7は、退避可能空間検出部4で検出した退避可能空間と衝突予測位置の関係から衝突回避動作(警報タイミング、制動タイミング、減速度設定等)を決定する。
【0024】
運転支援判断部8は、衝突判定部6の出力に基づいて対向車との衝突回避のための適切な運転支援を実施する。すなわち、運転支援判断部8は、衝突回避動作決定部7で決定した衝突回避動作に基づいて対向車との衝突回避のための運転支援を実行する。運転支援判断部8は、情報報知部9を有し、情報報知部9は、衝突回避動作の内容に基づいて乗員への報知・警報が必要なタイミングか否かを判定し、音発生装置111もしくは表示装置112に警報出力を行う。すなわち、情報報知部9は、衝突回避動作の内容に基づいて乗員に音声もしくは表示を用いて情報を報知する。また、運転支援判断部8は、自動ブレーキ判定部10を有し、自動ブレーキ判定部10は、衝突回避動作の内容に基づいて自動ブレーキを作動させるタイミングか否かを判定し、ブレーキ制御量を演算して制動装置113に出力する。すなわち、自動ブレーキ判定部10は、衝突回避動作の内容に基づいて適切なタイミングで制動開始かつ適切な減速度で衝突回避動作を実行する。
【0025】
衝突回避作動履歴情報記憶部11は、衝突回避動作が実行された場合(換言すると、衝突回避動作に基づいて対向車との衝突回避のための運転支援を実行した際)の履歴情報を記憶する。記憶する履歴情報としては、衝突回避動作が実行された時刻、自車の車速、舵角、シフト位置、自車推定進路、対向車の位置、車速、対向車推定進路、退避可能空間検出部4で検出した退避可能空間、衝突判定部6で算出した衝突予測位置、衝突回避動作決定部7で決定した警報タイミング、制動タイミング、減速度等であり、履歴情報は複数回衝突回避動作が実行された回数分を履歴として記憶しておくことが望ましい。このように履歴情報を記憶しておき、事故が発生した際に読み出すことが可能であれば、事故解析等に有用である。
【0026】
次に、フローチャートを用いて制御装置100aの処理手順を説明する。
【0027】
図2から図4は、制御装置100aの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0028】
図2は、制御装置100aの処理全体を示すフローチャートである。
【0029】
図2の処理S201では、制御装置100aは、外環境認識装置101から外界環境の認識結果を取得する。
【0030】
処理S202では、自車両の車速、舵角、シフト位置などの車両情報を取得する。
【0031】
処理S203では、自車両周辺の地図情報を取得する。
【0032】
処理S204では、処理S201で取得した外界環境認識結果と処理S203で取得した地図情報に基づいて、自車両周辺の障害物や車両が走行可能なフリースペースを検出する。
【0033】
処理S205では、処理S204で検出した障害物のうち、自車両に対して対向車となる障害物を抽出し、抽出した対向車の位置や速度の情報から対向車の今後の進路を推定する。
【0034】
処理S206では、処理S204で検出した障害物やフリースペースの情報に基づいて、自車もしくは対向車が退避可能な空間を検出する。
【0035】
処理S207では、処理S202で取得した車両情報に基づいて、自車両の今後の進路を推定する。
【0036】
処理S208では、自車両および対向車の推定進路を比較して自車両と対向車が衝突の可能性があるか否かを判定し、衝突の可能性がある場合は衝突予測位置を算出する。また、処理S206で検出した退避可能空間と衝突予測位置の関係から衝突回避動作(警報タイミング、制動タイミング、減速度設定等)を決定する。なお、前回の処理周期で衝突回避動作が決定されている場合(つまり、衝突回避動作に基づいて対向車との衝突回避のための運転支援を実行している際に)、今回の処理周期で(当該衝突判定部6により)衝突の可能性がなくなったと判断されれば衝突回避動作を解除する。
【0037】
処理S209では、処理S208の出力に基づいて対向車との衝突回避のための適切な運転支援を実施する。すなわち、処理S208で決定した衝突回避動作に基づいて対向車との衝突回避のための運転支援を実行する。具体的には、衝突回避動作の内容に基づいて乗員への報知・警報が必要なタイミングか否かを判定し、警報出力を行う。また、衝突回避動作の内容に基づいて自動ブレーキを作動させるタイミングか否かを判定し、ブレーキ制御量を演算して出力する。
【0038】
処理S210では、衝突回避動作が実行された場合(換言すると、衝突回避動作に基づいて対向車との衝突回避のための運転支援を実行した際)の履歴情報を記憶して一連の処理を終了する。
【0039】
図3は、図2の処理S208の衝突判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【0040】
図3の処理S301では、自車両および対向車の推定進路を比較して自車両と対向車が衝突の可能性があるか否かを判定し、衝突の可能性がある場合は衝突予測位置を算出する。衝突予測位置の算出に関しては、自車両と対向車の速度ベクトル方向の交点とする方法や、両者が同一車線内を走行している場合は車線の中央位置を衝突予測位置とする方法がある。
【0041】
処理S302では、自車両が対向車に衝突するまでの時間TTC(Time To Collision)を演算する。
【0042】
処理S303では、衝突時間TTCがゼロ(自車両が障害物に衝突する時間)となるときに自車両と対向車のそれぞれの衝突判定領域の重なり具合(推定ラップ量)を演算する。
【0043】
処理S304では、処理S206で検出した退避可能空間と処理S301で算出した衝突予測位置の関係から衝突回避動作(警報タイミング、制動タイミング、減速度設定等)を決定し、一連の処理を終了する。
【0044】
図4は、図2の処理S209の運転支援判断処理の詳細を示すフローチャートである。
【0045】
図4の処理S401では、衝突回避動作が決定されているか否かを判定し、決定されている場合は処理S402に進み、決定されていない場合は処理S409に進む。
【0046】
処理S402では、決定された衝突回避動作と対向車との相対速度等の情報に基づいて、警報出力を許可する警報開始TTCを設定する。
【0047】
処理S403では、対向車との相対速度等の情報に基づいて、自動ブレーキ作動を許可する自動ブレーキ作動開始TTCを設定する。
【0048】
処理S404では、衝突時間TTCが処理S402で設定した警報開始TTCを下回ったか否かを判定し、警報開始TTCを下回っている場合は処理S405に進み、警報開始TTCを下回っていない場合は一連の処理を終了する。
【0049】
処理S405では、衝突時間TTCが処理S403で設定した自動ブレーキ作動開始TTCを下回ったか否かを判定し、自動ブレーキ作動開始TTCを下回っている場合は処理S406に進み、自動ブレーキ作動開始TTCを下回っていない場合は処理S408に進む。
【0050】
処理S406では、自車両が対向車との衝突を回避するために必要なブレーキ制御量を演算し、演算したブレーキ制御量を処理S407で制動装置113に出力する。なお、制動装置113に出力するブレーキ制御量は、目標ブレーキ圧等であるが、制動装置113の構成に従った制御量を演算し、出力するものとする。
【0051】
処理S408では、自車両が障害物との衝突の可能性が高いことを乗員に報知するため、音発生装置111や表示装置112に対して警報出力を実施し、一連の処理を終了する。
【0052】
処理S409では、前回の演算周期でブレーキ制御量を出力しているか否かを判定し、出力している場合は処理S410に進み、出力していない場合は一連の処理を終了する。
【0053】
処理S410では、衝突回避動作が解除された状態であるため、前回演算して出力しているブレーキ制御量に対して減算処理を実施し、演算(減算)したブレーキ制御量を処理S411で制動装置113に出力し、一連の処理を終了する。
【0054】
以上説明したフローを実行することで、状況に応じた衝突回避動作が実行できるため、過剰作動を防止しつつ、衝突が避けられない状況でも衝突回避または被害軽減が可能となる。
【0055】
次に、図5を用いて、衝突回避動作決定部7で決定する、退避可能空間と衝突予測位置の関係に基づく衝突回避動作のパターンについて説明する。
【0056】
図5のNo.1は衝突予測位置の脇に十分な退避可能空間が存在する場合であり、対向車が緊急回避する可能性を考慮し、所定速度(例えば20km/h)減速できるタイミングで制動する衝突回避動作に決定される。この時の警報タイミングは制動タイミングの所定時間前(例えば2秒前)であり、制動時の減速度はシステムの最大減速度に設定される。このように、対向車が緊急回避する可能性を考慮してギリギリまで制動しないようにすることで、不要な制動(過剰作動)によって後続車から追突されるリスクを防止するとともに、衝突が避けられない状況でも被害軽減が可能となる。
【0057】
No.2は衝突予測位置の脇と周辺に退避可能空間が存在しない場合であり、この状況では対向車との衝突回避が不可能であるため、衝突予測位置までに停車できるような衝突回避動作に決定される。この時の警報タイミングは制動タイミングの所定時間前(例えば2秒前)であり、制動時の減速度はシステムの最大減速度もしくはそれより小さい減速度(例えば0.6G)に設定される。このように、衝突が避けられない状況では衝突回避または対向車の減速が間に合わなかった場合にも被害軽減が可能となる。
【0058】
言い換えると、衝突予測位置から所定の範囲に退避可能空間が存在しないNo.2では、衝突予測位置までに停車できるタイミング(第1のタイミング)で制動開始かつシステムの最大減速度もしくはそれより小さい減速度(例えば0.6G)(第1の減速度)の衝突回避動作とする。一方、衝突予測位置から所定の範囲に退避可能空間が存在し、自車または対向車が退避する可能性があるNo.1では、衝突までに所定速度(例えば20km/h)減速できるタイミング(=少なくとも前記第1のタイミングより遅い第2のタイミング)で制動開始かつシステムの最大減速度(=前記第1の減速度と同等もしくは前記第1の減速度より大きな第2の減速度)の衝突回避動作とする。
【0059】
No.3は衝突予測位置の周辺に退避可能空間が存在するが退避が困難な場合であり、自車が早めに弱制動を実施して、衝突予測位置を退避可能空間側(自車側)に移動させる衝突回避動作に決定される。この時の警報タイミングは制動タイミングの所定時間前(例えば2秒前)であり、制動時の減速度はシステムの最大減速度の半分以下の減速度(例えば0.3G)に設定される。ただし、自車が弱制動を実施中に対向車も同様に弱制動を実施すると、衝突予測位置の移動量が足りなくなるため、このような場合は自車の制動力を調整(更新)して衝突予測位置の移動量が大きくなるようにする。また、衝突予測位置を移動したにもかかわらず対向車が退避しない場合は、No.1の衝突回避動作に切り替える。このように、状況に応じて衝突回避動作を実施することで、過剰作動を防止しつつ、衝突が避けられない状況でも衝突回避または被害軽減が可能となる。
【0060】
言い換えると、衝突予測位置から所定の範囲に退避可能空間が存在するが、自車または対向車が退避不可能なNo.3では、弱制動を実施して衝突予測位置の目標移動量が達成できるタイミング(=前記第2のタイミングより早い第3のタイミング)で制動開始かつシステムの最大減速度の半分以下の減速度(例えば0.3G)(=前記第2の減速度より小さい第3の減速度)の衝突回避動作とする。さらに、衝突までに所定速度(例えば20km/h)減速できるタイミング(前記第2のタイミング)までに自車または対向車が退避できなかった場合は、衝突までに所定速度(例えば20km/h)減速できるタイミング(前記第2のタイミング)かつシステムの最大減速度(前記第2の減速度)の衝突回避動作とする。
【0061】
また、前記第3のタイミングで制動開始かつ前記第3の減速度の衝突回避動作を選択した場合、対向車の加減速度に基づいて前記第3の減速度を調整(更新)し、衝突予測位置を退避可能空間側(自車側)に移動させる衝突回避動作とする。
【0062】
なお、運転支援判断部8は、所定の条件(例えば、自車の旋回半径が所定値以上、操舵入力が所定値以上、アクセルペダル踏み込み量が所定値以上、ブレーキペダル踏み込み量が所定値以上の条件を満たす場合)に合致する場合は衝突回避動作(図5のNo.2またはNo.3の衝突回避動作)を制限することが望ましく、衝突回避動作を制限する場合は図5のNo.1の衝突回避動作(つまり、衝突までに所定速度(例えば20km/h)減速できるタイミング(前記第2のタイミング)で制動開始かつシステムの最大減速度(前記第2の減速度)の衝突回避動作)に限定して実施することが望ましい。この所定の条件は運転者の意図的な介入が存在する場合と考えられるため、運転者が回避操作を実施している可能性が高いためであるが、衝突が免れない状況ではNo.1の衝突回避動作の制動を実施することで被害軽減が可能となる。
【0063】
また、自車が後退中の場合にも対向車との衝突予測位置が算出されることがあるが、この場合に制動を実施すると被害が大きくなる可能性があるため、衝突回避動作決定部7は、制動(減速度を発生させる衝突回避動作)は実施せずに警報(情報報知部9により乗員に衝突の可能性を報知)のみを実施する衝突回避動作とすることが望ましい。
【0064】
さらに、図5で説明した衝突回避動作に関して、衝突回避動作決定部7は、自車の後続車の有無や種別、後続車との距離、天候状態、周囲の明るさの状態等に基づいて制動開始タイミングや減速度の設定を変更することが望ましい。具体的には、後続車が存在する、後続車が普通車より大型車、後続車との距離が近い、天候状態が悪い(視界不良の状態)、周囲が暗い場合はNo.1の衝突回避動作の制動タイミングを遅らせることで後続車から追突されるリスクを低減する。また、同様の状況でNo.2の衝突回避動作の制動タイミングを早めて減速度を小さくすることで後続車に早めに気付いてもらうことで後続車から追突されるリスクを低減する。
【0065】
次に、図6(a)から図8(c)を用いて、具体的な動作を説明する。
【0066】
図6(a)、(b)は、自車両600が直進中に、自車両600と同一車線上を対向車601が走行してくる状況を想定している。
【0067】
図6(a)は、自車両600が左車線を走行中に、対向車601が工事中区間を避けるために603の軌道で自車線内に進入してきている状況である。まず衝突判定部6によりこのままの状態で両者が進行すると衝突予測位置(CP)602で衝突することが予測される。続いて退避可能空間検出部4により対向車線を退避可能空間として検出し、衝突予測位置と退避可能空間の端点Aの距離から対向車601が軌道604で対向車線(退避可能空間)に退避可能であると判断すると、図5で説明したNo.1の衝突回避動作をとることが決定される。ここで、No.1の衝突回避動作を選択する条件として、衝突予測位置と退避可能空間の端点Aの距離が十分か否かで判断しているが、この距離は軌道604のように対向車601が余裕をもって車線変更可能な距離に設定するものとし、この距離は対向車601の速度や車線幅等に基づいて設定されることが望ましい。
【0068】
図6(b)は、自車両600が左車線を走行中に、対向車601が工事中区間を避けるために603の軌道で自車線内に進入してきている状況である。まず衝突判定部6によりこのままの状態で両者が進行すると衝突予測位置(CP)602で衝突することが予測される。続いて退避可能空間検出部4により衝突予測位置(CP)602の周辺に退避可能空間が検出されない場合、図5で説明したNo.2の衝突回避動作をとることが決定される。
【0069】
図7(a)、(b)は、図6(a)、(b)と同様に、自車両700が直進中に、自車両700と同一車線上を対向車701が走行してくる状況を想定している。
【0070】
図7(a)は、自車両700が左車線を走行中に、対向車701が工事中区間を避けるために703の軌道で自車線内に進入してきている状況である。まず衝突判定部6によりこのままの状態で両者が進行すると衝突予測位置(CP)702で衝突することが予測される。続いて退避可能空間検出部4により対向車線を退避可能空間として検出し、衝突予測位置と退避可能空間の端点Aの距離から対向車701が対向車線(退避可能空間)に退避することが困難であると判断すると、図5で説明したNo.3の衝突回避動作をとることが決定される。ここで、No.3の衝突回避動作を選択する条件として、図6(a)で説明した衝突予測位置と退避可能空間の端点Aの距離の設定値を下回る場合が当てはまり、同様にこの距離は対向車701の速度や車線幅等に基づいて設定されることが望ましい。
【0071】
次に、図7(a)でNo.3の衝突回避動作をとることが決定されると、図7(b)に示すように、衝突予測位置(CP)702を距離Xだけ自車両側に移動して、図6(a)で説明した衝突予測位置と退避可能空間の端点Aの距離の設定値を満たすことができるように自車を減速させる。このように、図7(b)の状態での衝突予測位置と退避可能空間の端点Aの距離が図6(a)で説明した衝突予測位置と退避可能空間の端点Aの距離の設定値以上となれば、対向車701が軌道704で対向車線(退避可能空間)に退避可能となる。
【0072】
図8(a)~(c)は、図7(a)、(b)と同様のシーンを想定している。
【0073】
図8(a)は図7(a)とまったく同様のシーンであり、図5で説明したNo.3の衝突回避動作をとることが決定される。
【0074】
次に、図7(b)と同様の処理を実行しようとしたにもかかわらず、図8(b)に示すように、対向車801も減速したために衝突予測位置(CP)802の移動量がX1で、対向車801が退避可能な軌道804が許容されない状況となっている。このような場合は、対向車801の加減速度の情報を取得して自車の減速度をさらに調整(更新)し、図8(c)に示すように、衝突予測位置(CP)802を距離X2だけ自車両800側に移動して、図6(a)で説明した衝突予測位置と退避可能空間の端点Aの距離の設定値を満たすことができるように自車を減速させる。このように、図8(c)の状態での衝突予測位置と退避可能空間の端点Aの距離が図6(a)で説明した衝突予測位置と退避可能空間の端点Aの距離の設定値以上となれば、対向車801が軌道804で対向車線(退避可能空間)に退避可能となる。
【0075】
以上説明したように、本実施例の制御装置100aは、自車周辺の走行環境を認識する周辺環境認識部1と、前記周辺環境認識部1で認識した車両の中から対向車を判断する対向車判断部3と、前記周辺環境認識部1で認識した走行環境から前記自車または前記対向車が退避できる退避可能空間を検出する退避可能空間検出部4と、前記自車および前記対向車の推定進路に基づいて前記対向車との衝突予測位置を推定して衝突を判定する衝突判定部6と、前記衝突判定部6の出力に基づいて衝突回避のための運転支援を行う運転支援判断部8と、を有し、前記衝突判定部6は、前記退避可能空間と前記衝突予測位置との関係から衝突回避動作を決定する衝突回避動作決定部7をさらに備え、前記運転支援判断部8は、前記衝突回避動作決定部7で決定した前記衝突回避動作に基づいて衝突回避のための運転支援を実行する。
【0076】
前記衝突回避動作決定部7は、前記衝突予測位置から所定の範囲に前記退避可能空間が存在しない場合、第1のタイミング(衝突予測位置までに停車できるタイミング)で制動開始かつ第1の減速度(システムの最大減速度もしくはそれより小さい減速度)の衝突回避動作とし、前記衝突予測位置から所定の範囲に前記退避可能空間が存在し、前記自車または前記対向車が退避する可能性がある場合、少なくとも前記第1のタイミングより遅い第2のタイミング(衝突までに所定速度減速できるタイミング)で制動開始する衝突回避動作とする。
【0077】
前記衝突回避動作決定部7は、前記第2のタイミング(衝突までに所定速度減速できるタイミング)で制動開始する衝突回避動作とした場合、前記第1の減速度と同等もしくは前記第1の減速度より大きな第2の減速度(システムの最大減速度)の衝突回避動作とする。
【0078】
前記衝突回避動作決定部7は、前記衝突予測位置から所定の範囲に前記退避可能空間が存在し、前記自車または前記対向車が退避不可能な場合、前記第2のタイミングより早い第3のタイミング(弱制動を実施して衝突予測位置の目標移動量が達成できるタイミング)で制動開始かつ前記第2の減速度より小さい第3の減速度(システムの最大減速度の半分以下の減速度)の衝突回避動作とし、さらに、前記第2のタイミングまでに前記自車または前記対向車が退避できなかった場合は前記第2のタイミング(衝突までに所定速度減速できるタイミング)かつ前記第2の減速度(システムの最大減速度)の衝突回避動作とする。
【0079】
前記衝突回避動作決定部7は、前記第3のタイミングで制動開始かつ前記第3の減速度の衝突回避動作を選択した場合、前記対向車の加減速度に基づいて前記第3の減速度を更新し、前記衝突予測位置を前記自車側(退避可能空間側)に移動する衝突回避動作とする。
【0080】
すなわち、本実施例の制御装置100aは、自車もしくは対向車が退避可能な空間を検出し、その空間と衝突予測位置の関係から衝突回避動作(警報もしくは制動)を実行するタイミングを決定する。例えば、退避可能空間がある場合はギリギリまで緊急制動を待ち、退避可能空間がない場合は衝突予測位置までに停車できるように早期に制動開始する。また、退避可能空間があるが衝突を避けられない場合は弱制動で衝突予測位置を移動してギリギリまで緊急制動を待つ。
【0081】
本実施例によれば、状況に応じた衝突回避動作が実行できるため、過剰作動を防止しつつ、衝突が避けられない状況でも衝突回避または被害軽減が可能となる。
【0082】
なお、本実施例はいくつかのパターンを例にとって説明したが、ほかのパターンにおいても本発明は適用可能である。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の様態で実施することができる。
【0083】
また、本発明は前述した実施例に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えてもよい。また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えてもよい。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をしてもよい。
【0084】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよく、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0085】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【0086】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0087】
1 周辺環境認識部
2 地図情報取得部
3 対向車判断部
4 退避可能空間検出部
5 自車進路推定部
6 衝突判定部
7 衝突回避動作決定部
8 運転支援判断部
9 情報報知部
10 自動ブレーキ判定部
11 衝突回避作動履歴情報記憶部
100a 制御装置(車両制御装置)
101 外環境認識装置
111 音発生装置
112 表示装置
113 制動装置
600 自車
601 対向車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8