(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176494
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】自動改札機
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20231206BHJP
G09F 23/00 20060101ALI20231206BHJP
G09F 27/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G07B15/00 B
G09F23/00 A
G09F27/00 E
G09F27/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088797
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松島 俊之
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA02
3E127BA05
3E127CA02
3E127FA03
3E127FA09
3E127FA16
3E127FA41
(57)【要約】
【課題】通行者に適切なタイミングで適切な情報を提供することができる、シンプルな表示部を備える、自動改札機を提供する。
【解決手段】自動改札機は、例えば、一対の自動改札機本体部と、表示部と、接近検出部と、制御部と、を備える。一対の自動改札機本体部は、改札口の入出場情報を取得するとともに通行者が通行可能な改札通路を形成する。表示部は、自動改札機本体部の一部で改札通路の通過前に通行者が視認可能な位置に配置され、少なくとも広告情報と改札通路の通行案内情報とを表示可能である。接近検出部は、自動改札機本体部に対して通行者の接近状態を検出する。制御部は、接近検出部の検出結果に基づいて、広告情報と通行案内情報とを切替表示する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
改札口の入出場情報を取得するとともに通行者が通行可能な改札通路を形成する一対の自動改札機本体部と、
前記自動改札機本体部の一部で前記改札通路の通過前に前記通行者が視認可能な位置に配置され、少なくとも広告情報と前記改札通路の通行案内情報とを表示可能な表示部と、
前記自動改札機本体部に対して前記通行者の接近状態を検出する接近検出部と、
前記接近検出部の検出結果に基づいて、前記広告情報と前記通行案内情報とを切替表示する制御部と、
を備える、自動改札機。
【請求項2】
前記制御部は、前記表示部に対する前記通行者の接近状況に応じて、前記広告情報の表示内容を変化させる、請求項1に記載の自動改札機。
【請求項3】
前記制御部は、前記接近検出部の検出結果に基づいて、前記通行者が前記表示部に対して第一の距離で規定される第一の領域の内側領域に存在しないと判定する場合、前記表示部に前記広告情報として簡易広告情報を表示し、前記通行者が前記表示部に対して前記第一の領域に進入して前記第一の距離より近い第二の距離で規定される第二の領域の内側領域に存在しないと判定する場合、前記表示部に前記簡易広告情報より情報量の多い詳細広告情報を表示し、前記通行者が前記表示部に対して前記第二の領域の内側領域に存在すると判定した場合、前記表示部に前記通行案内情報に表示する、請求項1に記載の自動改札機。
【請求項4】
前記接近検出部は、一対の前記自動改札機本体部のうち前記表示部の非設置側に配置されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の自動改札機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動改札機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、改札内領域に対する入出場者の管理を行うために、自動改札機が設置されている。従来の自動改札機の場合、改札通路の入口側及び出口側に進入を許可状態または禁止状態を示す表示を行うマークが付されている。このマークは、印刷された固定式のものやドットマトリックス型表示器等を用いた切替型のもの等で構成されて、通行者の誘導案内を行うようにしている。また、このような自動改札機に自動改札処理と関係しない広告等の表示を行う表示器を備えるものが考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の広告表示機能を備える自動改札機は、本来の通行者の誘導案内を行うための表示器の他に広告表示用の表示器を備える必要があり、コストが増加してしまうという問題があった。また、自動改札機には、ストアードフェアカード(SFカード)等の支払額や残高の表示を行う表示器が配置される場合がある。その結果、自動改札機として表示する情報が多くなりすぎ、通行者(利用者)等が必要とする重要な情報が伝えられにくくなったり、どの表示器を確認したらよいか混乱を与えやすくなってしまったりする等の不都合が生じやすくなるとう問題があった。
【0005】
したがって、通行者に適切なタイミングで適切な情報を提供することができる、シンプルな表示器の構成を備える、自動改札機が提供できれば、有意義である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態における自動改札機は、例えば、一対の自動改札機本体部と、表示部と、接近検出部と、制御部と、を備える。一対の自動改札機本体部は、改札口の入出場情報を取得するとともに通行者が通行可能な改札通路を形成する。表示部は、自動改札機本体部の一部で改札通路の通過前に通行者が視認可能な位置に配置され、少なくとも広告情報と改札通路の通行案内情報とを表示可能である。接近検出部は、自動改札機本体部に対して通行者の接近状態を検出する。制御部は、接近検出部の検出結果に基づいて、広告情報と通行案内情報とを切替表示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態における自動改札機の構成を示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態における自動改札機の構成を示す例示的かつ模式的な上面視図である。
【
図3】
図3は、実施形態における自動改札機の構成を示す例示的かつ模式的な側面図である。
【
図4】
図4は、実施形態における自動改札機のハードウエア構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態における自動改札機における通行者の検出イメージを示す例示的かつ模式的な上面視図である。
【
図6】
図6は、実施形態における自動改札機の表示部における表示内容の切り替わりを示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態における自動改札機の表示部における他の表示内容の切り替わりを示す例示的かつ模式的な斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態における自動改札機の表示部の切替処理を含む制御処理の流れを示す例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0009】
図1は、実施形態における自動改札機10の構成を示す例示的かつ模式的な斜視図である。また、
図2は、自動改札機10の構成を示す例示的かつ模式的な上面視図である。
図3は、自動改札機10の構成を示す例示的かつ模式的な側面図である。
【0010】
自動改札機10は、所定の間隔(例えば、1m)を空けて配置された一対の自動改札機本体部10A,10Bで構成されて、改札内領域に入出場する通行者(例えば、改札利用者等)が通行可能な改札通路Rを形成している。自動改札機本体部10A,10Bは、例えば、通行方向に長さが例えば2m程度の同一形状の略直方体形状の筐体10aで構成されている。本実施形態の場合、改札通路Rは、相互通行可能であり、例えば、通行時(
図2の矢印F方向の通行)に、向かって右側の筐体10aの一部、例えば通行時入口側の短面に、表示部12(第1表示部12A)が配置されている。また、表示部12の近傍(
図1の場合は、自動改札機本体部10Aに配置された第1表示部12Aの下方)には、通行者の接近状態を検出する接近検出部として機能する接近センサ14(第1接近センサ14A)が配置されている。なお、
図2において、矢印F方向とは逆方向から通過する通行者に対しては、自動改札機本体部10Bにおいて、自動改札機本体部10Aの第1表示部12Aが設置された短面とは逆側の端面に、第2表示部12Bと第1接近センサ14Aが配置されている。つまり、逆側から自動改札機10を通過する通行者にとっても、向かって右側に第2表示部12Bが配置されていることになる。なお、自動改札機10の筐体10aの例えば上面には、図示を省略しているが、旅券等の切符やカードを挿入する挿入口及び排出する排出口、翳されたSFカードやICカード等から情報を読み取るリーダ装置等が配置されている。
【0011】
表示部12(第1表示部12A、第2表示部12B)は、例えば、LCD(liquid crystal display)や、OELD(organic electroluminescent display)等であり、自動改札機10の通過前に通行者が視認可能な位置に、少なくとも広告情報と改札通路Rの通行案内情報とのいずれか一方、またはその両方を表示することができる。表示部12は、詳細な表示内容(文章やマーク、キャラクタ等)の切替表示が可能であれば、他のタイプの表示器でもよい。接近センサ14は、例えば、検出範囲が5~6m程度のセンサで、例えば、レーザタイプや磁気タイプのセンサが利用可能である。また、接近センサ14は、検出した物体(通行者)までの距離(存在領域の識別)も検出可能なものとする。
【0012】
また、
図3に示すように、一対の自動改札機本体部10Aと自動改札機本体部10Bの互いに向かい合う内面側の上部領域には、改札通路Rを通過する通行者等の通過状態を検出する通過検出センサ16が配置されている。通過検出センサ16は、例えば、透過型の光電センサであり、投光部16aと受光部16bからなる一対のセンサとすることができる。一対の投光部16aと受光部16bは改札通路Rに沿って複数セットが配列されている。したがって、通行者が改札通路Rの通行中に存在する位置の受光部16bが非受光となり、通行者の存在(通行の状態)を検出することができる。
【0013】
また、一対の自動改札機本体部10Aと自動改札機本体部10Bの互いに向かい合う内面側には、開閉可能な入出場ゲート18が入口側及び出口側にそれぞれ配置されている。入出場ゲート18は、通行が許可されない通行者、例えば、有効な旅券を挿入口に未挿入のまま改札通路Rを通過しようとする者、SFカードやICカードをリーダ装置に翳さずに通過しようとする者、SFカードやICカードが残高不足である通過者等の通行を妨げるための遮蔽物である。入出場ゲート18は、通行を妨げる場合、例えば、改札通路Rの出口側の入出場ゲート18が閉動作する。したがって、通行が許可された通行者、つまり、有効な旅券を挿入口に挿入した場合、有効なSFカードやICカードをリーダ装置に翳した者等が改札通路Rを通過しようとする場合、入口側及び出口側の入出場ゲート18が同時に開動作することになる。なお、
図3の場合、入出場ゲート18は、自動改札機本体部10A及び自動改札機本体部10Bにそれぞれ設けられた観音開きタイプであるが、いずれか一方に配置された片開きタイプでもよい。
【0014】
接近センサ14(第1接近センサ14A)の設置位置は、
図1や
図3の実線で示されるように、表示部12(第1表示部12A)の下方の位置に配置してもよいし、第1表示部12Aとは異なる位置に配置してもよい。第1接近センサ14Aは自動改札機10に接近してくる通行者を検出可能な位置に配置されればよい。例えば、
図3に実線で示すように、第1表示部12Aの下方に配置するパターンに代えて、破線で示すように、第1表示部12Aが配置された自動改札機本体部10Aとは異なる自動改札機本体部10B側に配置してもよい。この場合、第1表示部12Aと第1接近センサ14Aとを筐体10aの同一空間に配置する必要がなくなるため、設置位置の選択自由度が向上するとともに、第1表示部12Aや第1接近センサ14Aの選定(大きさや配線の引出方式等の選定)の自由度が向上する。また、取付作業の自由度も向上させることができる。なお、例えば、第1表示部12Aと第1接近センサ14Aとがユニット化(一体化)されている場合や、自動改札機本体部10B側に他のユニットを設置する関係でスペースが確保しにくい場合等は、第1表示部12Aと第1接近センサ14Aとを同じ自動改札機本体部10A側に設けるパターンが有効である。なお、接近センサ14を自動改札機本体部10A側に配置しても自動改札機本体部10B側に配置しても検出可能領域が改札通路Rの幅方向にずれるのみで通行者が自動改札機10に向かって接近するか否か表示部12に対する接近距離の判定には大きく影響しない。
【0015】
図4は、自動改札機10のハードウエア構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
【0016】
前述したように、自動改札機10は、一対の自動改札機本体部10A,10Bで構成され、当該自動改札機本体部10A,10Bには、表示部12(第1表示部12A、第2表示部12B)と、接近センサ14(第1接近センサ14A、第2接近センサ14B)、通過検出センサ16、入出場ゲート18に加え、制御部20、旅券情報検出部22、記憶部24等を備える。一対の自動改札機本体部10A,10Bは、通行者が通行可能な改札通路Rを形成する。表示部12(第1表示部12A、第2表示部12B)は、自動改札機本体部10A,10Bの一部で改札通路Rの通過前に通行者が視認可能な位置に配置され、広告情報と改札通路の通行案内情報との少なくとも一方またはその両方を表示可能である。接近センサ14は、自動改札機本体部10A,10Bに対して通行者の接近状態を検出する。通過検出センサ16は、改札通路Rにおける通行者の有無及び通過する通行者の位置、通過開始及び通過完了を検出する。入出場ゲート18は、入出場が許可された通行者の通行を許容し、入出場が許可されない通行者の通行を禁止するように開閉動作する。
【0017】
制御部20は、接近センサ14の検出結果に基づいて、表示部において少なくとも広告情報と通行案内情報とを切替表示の制御を行う。制御部20は、例えば、自動改札機10の全体を制御する制御装置に含まれるCPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)等の記憶部にインストールされた制御プログラムを読み込み、実行することで実現することができる。制御部20は、例えば、通行者位置判定処理部20a、表示制御部20b、旅券情報処理部20c、入出場ゲート制御部20d等の詳細モジュールを含む。
【0018】
通行者位置判定処理部20aは、接近センサ14の検出結果に基づき、接近センサ14(自動改札機10、表示部12)の近傍を通過する、または接近センサ14(自動改札機10、表示部12)に近づく通行者の有無及び、通行者を検出した場合には、接近センサ14(表示部12)に対する相対位置(距離)を検出する。例えば、
図5に示すように、通行者位置判定処理部20aは、接近センサ14を基準に(表示部12に対して)第一の距離R1で規定される第一の領域E1(半径が第一の距離R1の領域)の内側領域に通行者Pが存在するか否かを判定する。また、通行者位置判定処理部20aは、通行者Pが接近センサ14を基準に(表示部12に対して)第一の領域E1に進入して第一の距離R1より近い第二の距離R2で規定される第二の領域E2の内側領域に存在するか否かを判定する。つまり、通行者位置判定処理部20aは、接近センサ14の検出結果に基づき、通行者Pが第一の領域E1の外側の領域に存在するか(例えば、通行者P1の位置)、第一の領域E1の内側で第二の領域E2の外側の領域に存在するか(例えば、通行者P2の位置)、第二の領域E2の内側の領域に存在するか(例えば、通行者P3の位置)を判定する。なお、通行者位置判定処理部20aは、通過検出センサ16の検出結果を取得し、通行者Pが改札通路Rを通過したか否か(改札内に進入したか否か、または改札外に出たか否か)も併せて判定して、表示部12の表示に反映させることができる。
【0019】
なお、
図5の場合、自動改札機本体部10Aに配置された第1表示部12Aの近傍に配置された第1接近センサ14Aにより自動改札機10の外側、つまり、改札外の領域における通行者Pの位置判定を行う例を示している。自動改札機本体部10Bに配置された第2表示部12Bの近傍に配置された第2接近センサ14Bも同様な判定処理を実行し、自動改札機10の内側、つまり、改札内の領域における通行者Pの有無や接近状況の判定を行う。
【0020】
表示制御部20bは、接近センサ14の検出結果に基づき、表示部12に表示する表示内容を逐次切り替える。基本的な切替パターンとしては、
図6に示すように、通行者Pが第一の領域E1の内側領域に存在しない場合(例えば、通行者P1の位置)、または、第一の領域E1と第二の領域E2の間の領域に進入した場合(例えば、通行者P2の位置)、表示部12に広告情報として簡易広告情報12G1を表示する。簡易広告情報12G1としては、例えば、「○○ドーム××コンサートツアー決定」等の広告を表示する。この場合、簡易広告情報12G1に含まれる文字や数字、絵柄、マーク、記号等は、表示部12から遠い位置に存在する通行者P1でも十分に視認可能な大きさや文字間隔、色彩等で表示されることが望ましい。
【0021】
一方、通行者Pが第二の領域E2の内側領域に進入した場合(例えば、通行者P3の位置)、表示制御部20bは、表示部12に自動改札機10の通行案内情報12G2を表示する。通行案内情報12G2としては、例えば、自動改札機10の改札通路Rに進入を許可することを示す矢印G等の案内を表示する。この場合、通行案内情報12G2は、通行者Pにより認識されやすく、注意喚起可能なように、表示領域の大部分を利用した大きなマークや記号、文字、目立つ色彩等で表示されることが望ましい。
【0022】
つまり、通行者Pが改札内への進入を意図しないと判定され得る場合、換言すれば、自動改札機10に近づかず、自動改札機10の前を通過するのみと見なすことができる場合、自動改札機10の利用とは関連性のない情報または関連性の低い情報を表示部12に表示して、不特定多数の通行者P1に適宜広告を提供する。一方、通行者Pが第二の領域E2の内側領域に進入した場合、つまり、通行者Pが自動改札機10に接近して改札内に入る可能性があると見なされる場合、その特定の通行者Pにとって有用な情報であり、自動改札機10の改札通路Rに導く、案内情報を提供する。したがって、自動改札機10の利用の有無にかかわらず、一つの表示部12を切り替え表示することにより、適切なタイミングで適切な情報を提供することができる。また、表示部12に対する通行者Pの位置に応じて、適切なタイミングで適切な情報を提供することができるので、表示部12を効率的に有効利用することができる。
【0023】
なお、表示部12に広告情報を表示する場合は、同じ広告を表示続けてもよいし、表示内容を順次切り替えて異なる広告を表示してもよい。また、通行者Pが入口側の第二の領域E2の内側領域に進入した場合でも、出口側(逆方向)から通行者Pが自動改札機10(改札通路R)に先に進入していた場合、通行案内情報12G2としては、例えば、自動改札機10の改札通路Rに進入を禁止することを示す×マークや進入禁止絵柄等の案内を表示する。
【0024】
図7は、表示制御部20bによる他の表示例を示す例示的かつ模式的な説明図である。
図7の場合、表示部12に対する通行者Pの接近程度に応じて、多段的に広告内容を変化させる例である。
図7の場合、広告内容を2段階または3段階で表示する例である。
【0025】
表示制御部20bは、接近センサ14の検出結果に基づいて、通行者Pが表示部12に対して第一の距離R1で規定される第一の領域E1の内側領域に存在しないと判定する場合(例えば、通行者P1の位置に存在する場合)、表示部12に広告情報として簡易広告情報12G1を表示する。簡易広告情報12G1としては、
図6の例と同様に、例えば、「○○ドーム××コンサートツアー決定」等の広告を表示する。また、表示制御部20bは、通行者Pが表示部12に対して第一の領域E1に進入して第一の距離R1より近い第二の距離R2で規定される第二の領域E2の内側領域に存在しないと判定する場合、広告内容を切り替える。つまり、表示制御部20bは、表示部12に簡易広告情報12G1より情報量の多い詳細広告情報12G11を表示する。詳細広告情報12G11としては、例えば、「○○ドーム××コンサートツアー先行予約7/30~△△で受付け開始」等のように、簡易広告情報12G1よりさらに詳細な広告情報を提供する。この場合、通行者P2は、表示部12に簡易広告情報12G1を表示する場合より接近してきているため、簡易広告情報12G1よりフォントサイズを小さくしても情報伝達が可能となるため、通行者P2により多くの情報を一度の表示で伝えることができる。この場合も、表示制御部20bは、詳細広告情報12G11として同じ広告を表示続けてもよいし、表示内容を順次切り替えて異なる広告を表示してもよい。
【0026】
そして、表示制御部20bは、通行者Pが表示部12に対して第二の領域E2の内側領域に存在すると判定した場合(例えば、通行者P3の位置に存在する場合)、表示部12に通行案内情報12G2に表示する。つまり、自動改札機10にさらに接近して改札内に入る可能性があると見なされる場合、特定の通行者Pにとって有用な情報であり、自動改札機10の改札通路Rに導く案内情報を提供する。案内情報は、
図6の例と同様に、例えば、自動改札機10の改札通路Rに進入を許可することを示す矢印G等である。
【0027】
また、表示制御部20bは、表示部12に通行案内情報12G2を表示する場合、表示部12の表示領域を複数に分割(例えば2分割)して、広告情報12Gaと通行案内情報12Gbを同時に表示してもよい。この場合、通行案内情報12Gbは比較シンプルで認識しやすい情報なので、表示が小さくなっても通行者Pに認識されやすく、また、比較少ない情報量であれば広告情報12Gaを同時に表示しても認識されやすい。この場合、通行案内情報を提供しつつ、より多くの広告情報を通行者Pに提供することできる。なお、
図7の場合、広告情報12Gaは、詳細広告情報12G11の内容をさらに印象つけるような繰返し広告(抜粋広告)とした例を示したが、広告情報12Gaの内容をさらに詳細情報としてもよいし、他の情報でもよい。
図7の場合、表示部12の領域を等分割した例を示しているが、表示部12の領域を不等分割してもよく、同様の効果を得ることができる。なお、簡易広告情報12G1、詳細広告情報12G11、通行案内情報12G2、広告情報12Ga、通行案内情報12Gb等は、HDD(Hard Disk Drive)等で構成される記憶部24に予め保存しておき、表示制御部20bが適宜読み出して表示部12に表示する。
【0028】
旅券情報処理部20cは、自動改札機10の筐体10aの例えば上面に設置された、旅券等の切符やカードの挿入口や翳されたSFカードやICカードの情報を読み取るリーダ装置である旅券情報検出部22から各種情報を読み取る。旅券情報処理部20cは、自動改札機10の入口側から通行者Pが進入しようとして、自動改札機10の筐体10aの例えば上面に設置された挿入口から挿入された旅券等の切符やカードの情報、またはリーダ装置に翳されたSFカードやICカード等の情報を取得し、切符やSFカード、ICカード等に対する入場記録処理やSFカードやICカード等に対する運賃(初期運賃)の引落処理等の旅券情報処理を実行する。また、自動改札機10の出口側から通行者Pが進入しようとして、挿入口から旅券等の切符やカードを挿入した場合やリーダ装置にSFカードやICカード等を翳した場合、切符やSFカード、ICカード等に対する出場記録処理やSFカードやICカード等に対する運賃(利用区間の残余運賃)の引落処理等の旅券情報処理を実行する。また、旅券情報処理部20cは、切符やSFカード、ICカード等が、利用不可の場合(有効期限切れや運賃不足、残高不足等の場合)、エラー処理(改札通路Rの通行不可処理)を行う。
【0029】
入出場ゲート制御部20dは、挿入口から挿入される旅券等の切符やカードの有効性、リーダ装置に翳されたSFカードやICカード等を有効性等に基づき、改札通路Rの通行の可否を判断する。そして、入出場ゲート制御部20dは、改札通路Rの通行を許可する場合は入出場ゲート18の開動作を実行し、通行を禁止する場合は入出場ゲート18の閉動作を実行する。なお、入出場ゲート制御部20dは、定常時、旅券やカードの確認にかかわらず、入出場ゲート18を閉動作させておき、旅券やカードの確認の結果、通行を許可するときのみ入出場ゲート18を開動作するようにしてもよい。逆に、入出場ゲート制御部20dは、定常時、旅券やカードの確認にかかわらず、入出場ゲート18を開動作させておき、旅券やカードの確認の結果、通行を禁止する場合のみ入出場ゲート18を閉動作するようにしてもよい。
【0030】
以上のように構成される自動改札機10の表示部12の切り替え処理を含む制御処理の流れの一例を
図8のフローチャートを用いて説明する。また、
図8は、
図7の表示例に関するフローチャートである。また、
図8では、自動改札機10の入口側に通行者Pが向かう場合(改札内に向かう場合)の制御を説明する。
【0031】
まず、駅業務が開始され、自動改札機10の電源がONされると(S100)、表示制御部20bは、自動改札機10の入口側の表示部12(第1表示部12A)及び出口側の表示部12(第2表示部12B)に簡易広告情報12G1を表示する(S102)。つまり、駅業務開始時点では、自動改札機10に接近する通行者P2は存在しないと見なして、表示部12に広告表示を行う。
【0032】
通行者位置判定処理部20aは、第1表示部12Aで第一の領域E1内に通行者P2が検出できるか確認を行う(S104)。第一の領域E1内に通行者P2が検出できないない場合(S104のNo)、S102に戻り、通行者位置判定処理部20aは、第1表示部12A及び第2表示部12Bにおける簡易広告情報12G1の表示を継続する。なお、この場合、通行者位置判定処理部20aは、簡易広告情報12G1の表示内容を適宜変更してもよいし、単一の簡易広告情報12G1を表示し続けてもよい。
【0033】
S104において、第一の領域E1内に通行者P2が検出できた場合(S104のYes)、第1表示部12A、第2表示部12Bに詳細広告情報12G11を表示する(S106)、つまり、表示内容を切り替える。
【0034】
続いて、通行者位置判定処理部20aが第1表示部12Aにより第二の領域E2内に通行者P3が進入したことを検出した場合(S108のYes)、表示制御部20bは、第1表示部12Aに、改札通路Rへの進入可能表示として、通行案内情報12G2を表示する(S110)。なお、この時点では、表示制御部20bは、第2表示部12Bは、簡易広告情報12G1や詳細広告情報12G11の表示を継続する。
【0035】
そして、旅券情報処理部20cが旅券情報等を取得した場合(S112のYes)、つまり、第二の領域E2に進入した通行者P3が、挿入口から旅券等の切符やカードを挿入したり、リーダ装置にSFカードやICカード等を翳したりして、有効であると判定された場合である。この場合、表示制御部20bは、第1表示部12A、第2表示部12Bに進入不可表示として通行案内情報12G2を表示する(S114)。つまり、旅券情報処理部20cの処理期間中に、改札通路Rに新たな通行者Pが進入することを防止する。なお、S108において、通行者位置判定処理部20aが第二の領域E2内に通行者P3が進入したことを検出できていない場合(S108のNo)、またはS112において、旅券情報処理部20cが旅券情報等を取得できていない場合(S112のNo)は、S106の処理に戻り、表示制御部20bは、第1表示部12A、第2表示部12Bにおける詳細広告情報12G11の表示を維持する。
【0036】
S114の処理で、進入不可を示す通行案内情報12G2が表示されている期間内に、通行者Pが改札通路Rを通過したこと(改札通路Rを出たこと)を、通過検出センサ16を介して通行者位置判定処理部20aが確認した場合(S116のYes)、表示制御部20bは、第1表示部12A、第2表示部12Bの表示内容を進入可能を示す通行案内情報12G2に切り替える(S118)。S116の処理で、通行者Pが改札通路Rを通過したことが確認できない場合(S116のNo)、S114の処理に戻り、第1表示部12A、第2表示部12Bに進入不可を示す通行案内情報12G2の表示を維持する。
【0037】
S118の処理において、進入可能を示す通行案内情報12G2が表示された場合、表示切替後、所定期間、第二の領域E2内に新たな通行者Pが非検出の場合(S120のYes)、つまり、連続して通行者Pが改札通路Rに進入しようとしない場合である。この場合、制御部20は、自動改札機10の電源のOFF操作が行われていなければ(S122のNo)、S102の処理に戻る。そして、表示制御部20bは、第1表示部12A、第2表示部12Bの表示内容を、簡易広告情報12G1に切り替え、S102以降の処理を繰り返し行う。
【0038】
S120の処理において、通行者位置判定処理部20aが所定期間内に第二の領域E2内に進入する新たな通行者Pを検出した場合(S120のNo)、つまり、短時間に連続して改札通路Rに通行者Pが進入しようとしていると見なされる場合、S118の処理を継続し、進入を可能にする通行案内情報12G2を継続する。
【0039】
S122において、自動改札機10の電源のOFF操作が行われた場合(S122のYes)、つまり、駅業務の終了や、自動改札機10が何らかの原因で稼働停止させる場合、このフローを終了させる。
【0040】
このように、本実施形態の自動改札機10によれば、単一の表示部12を利用して自動改札機10とは関連性の低いまたは関連性のないと見なされる広告情報及び自動改札機10の利用に関する通行案内情報を表示することが可能になる。つまり、自動改札機10に搭載する表示部(表示装置)の設置個数を削減できて、コスト増加を抑制しつつ、複数の有効な表示を行うことができる。また、自動改札機10に設置される表示器が多数になり過ぎ、通行者P等の利用者がどの表示器を確認したらよいか迷うことを防止しやすくなり、表示部12の視認性の向上に寄与することができる。したがって、通行者に適切なタイミングで適切な情報を提供することができる、設置数の少ないシンプルな表示器の構成を備える、自動改札機10が提供できる。
【0041】
なお、
図8のフローチャートは、自動改札機10の入口側の第1接近センサ14Aの検出結果に基づく処理を示すものであるが、自動改札機10の出口側の第2接近センサ14Bの検出結果に基づく同様な処理が実行されている。また、
図6や
図7に示す表示は一例であり、適宜変更可能であり、同様な効果を得るころができる。また、上述した実施形態では、駅に設置された自動改札機について説明したが、入出場を区分けする位置に配置可能な自動改札機であればよく、航空機や船舶の入出場ゲート、劇場やイベント会場、遊戯施設等の入出場ゲートにも適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
10 自動改札機
10A,10B 自動改札機本体部
12 表示部
12A 第1表示部
12B 第2表示部
12G2,12Gb 通行案内情報
12G11 詳細広告情報
12G1 簡易広告情報
12Ga 広告情報
14 接近センサ
14A 第1接近センサ
14B 第2接近センサ
16 通過検出センサ
18 入出場ゲート
20 制御部
20a 通行者位置判定処理部
20b 表示制御部
20c 旅券情報処理部
20d 入出場ゲート制御部
22 旅券情報検出部
24 記憶部
E1 第一の領域
E2 第二の領域
G 矢印
R 改札通路
R1 第一の距離
R2 第二の距離