IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-熱電モジュール 図1
  • 特開-熱電モジュール 図2
  • 特開-熱電モジュール 図3
  • 特開-熱電モジュール 図4
  • 特開-熱電モジュール 図5
  • 特開-熱電モジュール 図6
  • 特開-熱電モジュール 図7
  • 特開-熱電モジュール 図8
  • 特開-熱電モジュール 図9
  • 特開-熱電モジュール 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176496
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】熱電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H10N 10/17 20230101AFI20231206BHJP
【FI】
H01L35/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088800
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 洸大
(57)【要約】
【課題】 熱電モジュールの耐久性を高める。
【解決手段】 支持基板と、熱電素子と、配線導体と、側壁部材を備えている。支持基板は、対向して位置する第1基板および第2基板を有する。配線導体は、それぞれ第1基板上および第2基板上に位置する。熱電素子は、対向する配線導体のそれぞれに接して位置する。第1基板は、熱電素子が位置する第1領域を有し、第1領域に続いて位置する第2領域を有する。第1領域から第2領域に向かう方向を第1方向、第1方向に直交する方向を第2方向としたとき、側壁部材は、第2方向において対向し、それぞれ第1基板および第2基板に接しており、それぞれの少なくとも一部が第1領域から第2領域にわたって位置する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、
配線導体と、
熱電素子と、を備え、
前記支持基板は、対向して位置する第1基板および第2基板を有し、
前記配線導体は、それぞれ前記第1基板上および前記第2基板上に位置し、
前記熱電素子は、対向する前記配線導体のそれぞれに接して位置し、
前記第1基板は、前記熱電素子が位置する第1領域と、該第1領域に続いて位置する第2領域とを有しており、
さらに側壁部材を備え、
前記第1領域から前記第2領域に向かう方向を第1方向、該第1方向に直交する方向を第2方向としたとき、
前記側壁部材は、前記第2方向において対向し、それぞれ前記第1基板および前記第2基板に接しており、それぞれの少なくとも一部が前記第1領域から前記第2領域にわたって位置している、
熱電モジュール。
【請求項2】
前記側壁部材は、前記第1基板と前記第2基板における前記第1方向を塞いで位置する、
請求項1に記載の熱電モジュール。
【請求項3】
前記側壁部材は、
前記第1基板の上面に接して位置する、
請求項1に記載の熱電モジュール。
【請求項4】
前記側壁部材は、
前記第2方向における前記第1基板のそれぞれの端部よりも内側に位置する、
請求項1に記載の熱電モジュール。
【請求項5】
前記側壁部材は、
前記第2基板の側面に接して位置する、
請求項1に記載の熱電モジュール。
【請求項6】
前記側壁部材は、
対向する前記第1領域の前記第1方向および前記第2方向を塞いでいる、
請求項1に記載の熱電モジュール。
【請求項7】
前記側壁部材は、
前記第1領域と前記第2領域との境界から前記第1領域から離れる方向に向かって高さが低くなっている、
請求項1に記載の熱電モジュール。
【請求項8】
前記側壁部材は、
前記第2領域上において側面視形状が波状である、
請求項1に記載の熱電モジュール。
【請求項9】
前記第1基板は、前記第2領域の反対の位置に格子状のスリットを有する、
請求項1に記載の熱電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、温度調節、例えば自動車のシートクーラーまたは燃料電池,リチウムイオン電池などの温度調節に使用される熱電モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱電モジュールとして、例えば、特許文献1に記載の熱電変換装置が知られている。特許文献1に記載されている熱電変換装置は、互いに対向して配置された一対の基板と、一対の基板の対向する面にそれぞれ位置する電極と、一対の基板の対向する面の間に電極によって導通されるように複数配列された熱電素子とを備えており、一方の基板には、熱電素子の位置する部分に続いて、電極供給用のリード線や柱状の導電体が位置する引出部分を有している。引出部分において、配線基板と、リード線および柱状の導電体とが導通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2009/066620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような熱電変換装置において、引出部分は、電極供給用のリード線や柱状の導電体が位置する部分であり、基板における端部に位置する。熱電変換装置は、電流を流すと、対向する一方の基板は吸熱により冷却され、他方の基板は発熱により加熱される。このような構成において、どちらの基板に引出部分が存在したとしても、引出部分における熱電素子に近い部分と、引出部分における熱電素子から遠い部分(基板の端)とでは、温度が異なる。そのため、引出部分における熱電素子に近い部分と、複数の熱電素子が位置する部分との境界には、熱による変形度合の違いによって応力が掛かるものとなる。今般、熱電変換装置は、薄型化や小型化が進んでいることから、境界部分に掛かる応力によって基板にクラックが生じたりするおそれの少ない優れた耐久性が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の熱電モジュールは、支持基板と、熱電素子と、配線導体と、側壁部材を備えている。支持基板は、対向して位置する第1基板および第2基板を有する。配線導体は、それぞれ第1基板上および第2基板上に位置する。熱電素子は、対向する配線導体のそれぞれに接して位置する。第1基板および第2基板は、熱電素子が位置する第1領域を有し、第1基板は、前記第1領域に続いて位置する第2領域を有する。第1領域から第2領域に向かう方向を第1方向、第1方向に直交する方向を第2方向としたとき、側壁部材は、第2方向において対向し、それぞれ第1基板および第2基板に接しており、それぞれの少なくとも一部が第1領域から第2領域にわたって位置する。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一形態の熱電モジュールは、優れた耐久性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】熱電モジュールの一例を示す斜視図である。
図2図1に示す熱電モジュールの側面図である。
図3】熱電モジュールの他の例を示す斜視図である。
図4図3に示す熱電モジュールの側面図である。
図5図4に示す熱電モジュールの矢印の方向から見たときの側面図である。
図6】熱電モジュールの他の例を示す平面図である。
図7】熱電モジュールの他の例を示す斜視図である。
図8】熱電モジュールの他の例を示す側面図である。
図9】熱電モジュールの他の例を示す側面図である。
図10】熱電モジュールの他の例を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
熱電モジュール10について詳細に説明する。
【0009】
図1は、熱電モジュール10の一例を示す斜視図、図2は、図1に示す熱電モジュール10の側面図である。熱電モジュール10は、図1に示すように、支持基板1と、熱電素子2と、配線導体3と、側壁部材4と、リード部材5と、を備えている。
【0010】
支持基板1は、第1基板11および第2基板12を有している。図1および図2に示すように、下方に位置している基板が第1基板11であり、上方に位置している基板が第2基板12である。
【0011】
第1基板11は、熱電素子2が位置する第1領域111と、第1領域111に続いて位置する第2領域112を有する。さらに、第1領域111から第2領域112に向かう方向を第1方向(X)、第1方向に直交する方向を第2方向(Y)としたとき、側壁部材4は、第2方向において対向し、それぞれ第1基板11および第2基板12に接しており、それぞれの少なくとも一部が第1領域111から第2領域112にわたって位置している。
【0012】
第1基板11および第2基板12の形状は、例えば矩形状である。また、第1基板11および第2基板12の材料としては、例えば、アルミナフィラーを添加したエポキシ樹脂材料やアルミナ、窒化アルミニウムなどのセラミック材料からなる絶縁基板本体の外側の主面に銅などの金属板を張り合わせた構成である。また、銀や銅などの導電性材料からなる基板本体の内側の主面に絶縁材料を設けた構成であってもよい。
【0013】
支持基板1は、ペルチェ効果によって第1基板11において吸熱(冷却)、第2基板12において発熱(加熱)させることができる。また一方で、第1基板11において発熱(加熱)、第2基板12において吸熱(冷却)させることができる。
【0014】
熱電素子2は、配線導体3によって電気的に接続されるように、複数配置されている。複数の熱電素子2は、p型熱電素子およびn型熱電素子である。熱電素子2は、例えば熱電素子2の直径の0.1倍~2倍の間隔で縦横の並びに複数配列され、はんだで配線導体3に接合されている。熱電素子2は、p型熱電素子およびn型熱電素子が隣接して交互に配置されている。熱電素子2の形状は、例えば、円柱状である。その他の形状として角柱状がある。
【0015】
配線導体3は、第1基板11および第2基板12の対向している部分にそれぞれ接して位置している。熱電素子2の配置に応じて配線導体3の形状は、適宜調整が可能である。配線導体3の材料としては、銅に限られず、例えば銀、銀-パラジウムなどの材料でもよい。
【0016】
側壁部材4は、例えば、エポキシ、アクリル、シリコーンなどからなる樹脂材料で構成されている。図1に示すように、側壁部材4は、第1領域111から第2領域112に向かう方向を第1方向(X)、第1方向(X)に直交する方向を第2方向(Y)としたとき
、側壁部材4は、第2方向(Y)において対向し、それぞれ第1基板11および第2基板12に接しており、それぞれの少なくとも一部が第1領域111から第2領域112にわたって位置している。
【0017】
図2に示すように、側壁部材4は、第1領域111および第2領域112に位置しており、特に第1領域111および第2領域112の境界Aには少なくとも位置している。図2には、理解し易さのために、第1領域111および第2領域112の境界Aに仮想線(2点鎖線)を設けている。
【0018】
リード部材5は、外部の電源とリード部材5を介して導通している。リード部材5の材料としては、銅、鉄、アルミニウム等の金属部材からなる材料で構成されている。リード部材5の形状は、図1では、円棒状の形状をしているが、他にも設計上の観点から板状など様々な形状を採用できる。また、リード部材5は、半田によって接合されている。
【0019】
本実施形態における熱電モジュール10は、図1および図2に示すように、側壁部材4を備えている。
【0020】
熱電モジュール10に電流が流れた際、第1基板11の反りによって境界Aには応力が掛かるが、本開示の熱電モジュール10は、側壁部材4が配置されていることによって、この掛かる応力が小さいため、境界Aにクラックが生じることが少ない。その結果、本開示の熱電モジュール10は、耐久性に優れる。
【0021】
図4では、側面視した場合に熱電素子2および配線導体3は見えないため、破線で示している。
【0022】
また、図3および図4に示すように、側壁部材4は、第1基板11と第2基板12における第1方向を塞いで位置していてもよい。具体的には、側壁部材4が第1領域111の第1方向に沿って延びていてよい。そのため、境界Aに掛かる応力がより小さくなる。これにより、境界Aにクラックが生じることがより少ない。その結果、本開示の熱電モジュール10は、耐久性に優れる。
【0023】
また、図5図4の矢印の方向から見たときの側面図を示している。図5に記載のBの部分が示すように、側壁部材4は、第1基板11の上面に接して位置していてもよい。これにより、側壁部材4が第1基板11の側面に接して位置しているときと比較して、第1基板11の側壁部材4と第1基板11の外周との間に、隙間を有することができる。この隙間によって複数の熱電モジュール10を並べて搭載した際に、隣同士に位置する熱電モジュール10が熱を伝播させて影響を与えるおそれを低減できる。その結果、本開示の熱電モジュール10は、信頼性に優れる。
【0024】
また、図5に記載のCの部分が示すように、側壁部材4は、第2基板12の側面に接して位置していてもよい。これにより、第2基板12の上面に加えて側面からも加熱および吸熱することができる。そのため、より多くの部分で外部の部材を加熱および吸熱することができる。その結果、本開示の熱電モジュール10は、信頼性に優れる。
【0025】
また、図5に記載のCの部分が示すように、側壁部材4は、第2基板12の側面に接している端部については、丸みを帯びていてもよい。これにより、丸みを帯びていない角部を有するような場合と比較して、応力を分散させることができ、端部でのクラックの発生を低減できる。その結果、本開示の熱電モジュール10は高い耐久性を保持する。
【0026】
また、図6に示すように、側壁部材4は、第2方向における第1基板11のそれぞれの
端部よりも内側に位置していてもよい。ここでいう「内側」とは、熱電モジュール10を平面視したときに、第1基板11の縁の部分と側壁部材4との間に、第1基板11が露出する部分を有していることを意味する。これにより、上記に記載の隙間をより大きくすることができる。そのため、隣同士に位置する熱電モジュール10が熱を伝播させて影響を与えるおそれを低減できる。
【0027】
また、図7に示すように、側壁部材4は、対向する第1領域111の第1方向および第2方向を塞いでいてもよい。これにより、熱電素子2を囲むことができるため、熱電素子2が外気に触れにくくなり、酸化によってクラックが生じるおそれを低減できる。その結果、熱電モジュール10は、耐久性に優れる。
【0028】
また、図8に示すように、側壁部材4は、第1領域111と第2領域112との境界Aから第1領域111から離れる方向に向かって高さが低くなっていてもよい。これにより、側壁部材4が第1領域111と第2領域112との境界Aから第1領域111から離れる方向に向かって、高さが変わらない場合と比較して角部を有さなくなるので、クラックを生じることを防ぐことができる。その結果、本開示の熱電モジュール10は、耐久性に優れる。なお、図8では、側壁部材4の高さが低くなることを理解し易くするために、第1基板11に、並行して延びた場合の2本の仮想線(点線)を加えている。
【0029】
また、図9に示すように、側壁部材4は、第2領域112上において側面視形状が波状であってもよい。ここでいう「波状」は、熱電モジュール10を側面視したときに、図9のように側壁部材4の輪郭が波状であることを意味する。これにより、側壁部材4が境界Aから第1領域111から離れる方向に向かって、高さが一定で変わらない場合と比較して輪郭を変えることができて、表面積を増やすことができるので、高い放熱性を有する。そのため、加熱および冷却の温度変化のサイクルを長期間繰り返すことによる側壁部材4の劣化が少ない。その結果、本開示の熱電モジュール10は耐久性に優れる。なお、図9では、輪郭が波状であることを理解し易くするために、第1基板11に、並行して延びた場合の2本の仮想線(点線)を加えている。
【0030】
また、図9に示すように、側壁部材4は、第1基板11の第2領域112の側面にかけて位置していてもよい。これにより、第1基板11が第2基板12と対向する部分にのみ位置する場合と比較して、第1基板11上に側壁部材4の有する部分を増やすことができるため、より広範な範囲で支持基板1に応力が生じても緩和しやすくなる。その結果、本開示の熱電モジュール10は耐久性に優れる。
【0031】
また、側壁部材4は、第1基板11の側面にかけて位置していてもよい。これにより、第1基板11が第2基板12と対向する部分にのみ位置する場合と比較して、第1基板11上に側壁部材4の有する部分を増やすことができるため、より広範な範囲で支持基板1に応力が生じても緩和しやすくなる。その結果、本開示の熱電モジュール10は耐久性に優れる。
【0032】
また、図10に示すように、第1基板11は、第2領域112の反対の位置に格子状のスリット6を有していてもよい。スリット6を有することで、第2領域112が変形しやすくなり、境界Aに掛かる応力がより小さくなる。その結果、本開示の熱電モジュール10は、耐久性に優れる。
【0033】
ここでいうスリットとは、図6に示すような細い切れ込みを意味する。
【0034】
スリット6のパターンの一例として、以下、記載する。図10に示すように、第2領域112の反対側にY方向に延びる2本のスリット6と、その2本のスリット6の間に格子
状に延びるスリット6を設ける。このとき、X方向およびY方向に対し45度の向きになるようにスリット6を設けると、境界Aに掛かる応力がより小さくなりやすい。
【0035】
また、格子状のスリット6の終端が、Y方向に延びる2本のスリット6に位置して、スリット6同士が繋がることで、境界Aに生じる応力を最も緩和することができる。格子の間隔は等間隔にすると、境界Aに掛かる応力がより小さくなりやすい。
【0036】
なお、スリット6は、図10に示すように、第2領域112の内側に位置していてもよい。図10では、境界Aを2点鎖線で示している。また、図10には、理解し易さのため、第1基板11のスリット6を有していない部分(D-D’)と、スリット6を有している部分(E-E’)との2つの部分についての断面図を記載している。
【0037】
次に、熱電モジュール10を構成する部材の寸法について説明する。
【0038】
第1基板11および第2基板12の第1領域111が位置する範囲は、第1方向(X)に延びる縦の長さが4~200mm、第2方向(Y)に延びる横の長さが4~200mmである。
【0039】
また、第1基板11は、第1領域111に続いて第2領域112を有する。第2領域112が位置する範囲は、第1方向(X)に延びる縦の長さが1~30mm、第2方向(Y)に延びる横の長さが4~200mmである。第1基板11および第2基板12の厚みは0.1~5mmである。
【0040】
熱電素子2は、複数の熱電素子2を円柱状とする場合には、寸法は、例えば直径が0.2mm~5mm、高さが0.1mm~10mmに設定される。
【0041】
配線導体3は、第1基板11および第2基板12に位置しているため、支持基板1の全長4~200mmの範囲に配置され、厚みは0.01~0.5mmである。
【0042】
図1に示すような場合、第1基板11および第2基板12の幅に相当する側壁部材4の高さは、0.1~10mmである。また、側壁部材4が接する第1基板11および第2基板12の第2方向(Y)に延びる横の長さは、0.3~8mmである。
【0043】
次に、本実施形態の熱電モジュール10の一例の側壁部材4の固定方法および製造方法について説明する。
【0044】
棒状のp型熱電材料およびn型熱電材料を所定の高さになるように、ワイヤーソーにて切断し、p型熱電素子およびn型熱電素子を製造する。p型熱電素子およびn型熱電素子は、電解メッキで切断面にニッケル層を形成する。
【0045】
次に、第1基板11および第2基板12の互いに対向する面に、配線導体3となる金属板を貼り付け、マスキングを施した後に、配線導体3になる部分以外をエッチングで取り除くことで形成される。
【0046】
さらに、この配線導体3の上に、はんだペーストを印刷する。そして、その上に、p型熱電素子およびn型熱電素子が電気的に直列になるようにマウンターを使用して各熱電素子を配設した。上記のように配列されたp型熱電素子とn型熱電素子とを一対の支持基板1で挟み込むようにし、上下面に圧力をかけながらリフロー炉で加熱し、配線導体3と熱電素子2とをはんだで接合した。
【0047】
次に、エア式ディスペンサを用いて、第1基板11の上に、側壁部材4のもととなるエポキシ、アクリル、シリコーンからなる樹脂を上面側(第2基板12側)から塗布をした。
【0048】
得られた熱電モジュール10に電流を通電するためのリード部材5をはんだからなる導電性接合材で接合した。
【0049】
以上の方法により、本実施形態の熱電モジュール10が作製される。
【0050】
次に、熱電素子2を配置する方法について説明する。
【0051】
複数の熱電素子2は、(A2B3型結晶(AはBiおよび/またはSb、BはTeおよび/またはSe)からなる熱電材料、好ましくはBi(ビスマス)およびTe(テルル)系)の熱電材料で本体部が構成されている。具体的には、p型熱電素子は、例えば、Bi2Te3(テルル化ビスマス)とSb2Te3(テルル化アンチモン)との固溶体からなる熱電材料で構成される。また、n型熱電素子は、例えば、Bi2Te3(テルル化ビスマス)とBi2Se3(セレン化ビスマス)との固溶体からなる熱電材料で構成される。
【0052】
熱電素子2の形状は、例えば円柱状、四角柱状、多角柱状等にすることができる。特に、熱電素子2の形状を円柱状にすることにより、使用時のヒートサイクル下において熱電素子2に生じる熱応力の影響を低減できる。
【0053】
p型熱電素子となる熱電材料は一度溶融させて固化したBi、SbおよびTeからなるp型の熱電材料を、ブリッジマン法により一方向に凝固させ、断面円形の棒状体としたものである。また、n型熱電素子となる熱電材料は、一度溶融させて固化したBi、TeおよびSeからなるn型の熱電材料を、ブリッジマン法により一方向に凝固させ、断面円形の棒状体としたものである。
【0054】
スリット6の形成方法について説明する。ダイヤモンド砥石によるダイシングや、ケミカルエッチング、またはスパッタ等のドライエッチングなどいかなる方法でも良い。例えば、銅貼りした基板をエッチングしてスリット6を設けることができるが、その場合、銅貼り基板の母材となる基板部分にもスリット6が形成されていると望ましい。
【符号の説明】
【0055】
1:支持基板
11:第1基板
111:第1領域
112:第2領域
12:第2基板
2:熱電素子
3:配線導体
4:側壁部材
5:リード部材
6:スリット
10:熱電モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10