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特開2023-176502圧縮機、および、ヒートポンプサイクル装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176502
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】圧縮機、および、ヒートポンプサイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
F04B39/00 106A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088812
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 耕
(72)【発明者】
【氏名】山岡 由樹
(72)【発明者】
【氏名】森脇 俊二
(72)【発明者】
【氏名】青山 繁男
(72)【発明者】
【氏名】長井 雅章
(72)【発明者】
【氏名】松波 陽平
【テーマコード(参考)】
3H003
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB04
3H003AC03
3H003CE01
3H003CF02
(57)【要約】
【課題】本開示は、密封端子への配線の接続作業が容易にできて、密封端子のカバーの組立性を良好にできる圧縮機を提供する。
【解決手段】本開示における圧縮機は、密閉容器と、前記密閉容器に収容され、かつ前記密閉容器内に導入される可燃性の冷媒を圧縮する圧縮機構部と、前記圧縮機構部を駆動させる電動機と、前記密閉容器に設けられる密封端子と、前記密閉容器外部で前記密封端子に接続される配線と、前記密閉容器の外面側にて前記密封端子の周囲を囲む形状をなし、前記配線を保持する第1のカバーと、前記第1のカバーを蓋をするように取り付けられ、前記第1のカバーとともに密閉されたカバー内部空間を形成する第2のカバーと、前記第1のカバーおよび前記第2のカバーを前記密閉容器に取り付ける固定手段と、を備え、前記第1のカバーと前記第2のカバーとの当接面が前記密封端子の取り付け面に対して傾斜している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器と、
前記密閉容器に収容され、かつ前記密閉容器内に導入される可燃性の冷媒を圧縮する圧縮機構部と、
前記圧縮機構部を駆動させる電動機と、
前記密閉容器に設けられる密封端子と、
前記密閉容器外部で前記密封端子に接続される配線と、
前記密閉容器の外面側にて前記密封端子の周囲を囲む形状をなし、前記配線を保持する第1のカバーと、
前記第1のカバーを蓋をするように取り付けられ、前記第1のカバーとともに密閉されたカバー内部空間を形成する第2のカバーと、
前記第1のカバーおよび前記第2のカバーを前記密閉容器に取り付ける固定手段と、
を備え、
前記第1のカバーと前記第2のカバーとの当接面が前記密封端子の取り付け面に対して傾斜している、
圧縮機。
【請求項2】
配線の密封端子への接続部には端子が設けられ、前記端子の少なくとも一部が、前記当接面のなす面より前記第2のカバー側に配置された、
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記密封端子を前記密閉容器の天面に設けた、
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記固定手段は、一端が前記密閉容器に溶接固定され他端にねじ部を有するボルトと、前記ねじ部に取り付けられるナットと、からなる、
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記第2のカバーに前記ナットが当接することで、前記第2のカバーと前記第1のカバーが押圧固定される、
請求項4に記載の圧縮機。
【請求項6】
配線の保持部にケーブルグランドを用いた、
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項7】
前記ケーブルグランドは複数の孔を有し、それぞれの前記孔でそれぞれの配線を保持する、
請求項6に記載の圧縮機。
【請求項8】
前記第1のカバーの内面には、前記第1のカバーの前記当接面の近傍に突起を設けた、
請求項7に記載の圧縮機。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の圧縮機を備えるヒートポンプサイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧縮機、および、ヒートポンプサイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、圧縮機の密封端子を覆うカバーを開示する。特許文献1には、密封端子としてのターミナルが通過する透孔が底面に設けられると共に配線引出部が側面に設けられて天面が開口したターミナルボックスと、ターミナルボックスの天面の開口を閉塞する蓋部材と、蓋部材とターミナルボックスとをシールするガスケットと、配線が通るチューブの外周面に圧接する配線締付具と、を備えるカバー構造が開示されている。特許文献1では、ターミナルボックスは圧縮機の密閉容器に取り付けられ、シール材でシールされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-074812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、密封端子への配線の接続作業が容易にできて、密封端子のカバーの組立性を良好にできる圧縮機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における圧縮機は、密閉容器と、前記密閉容器に収容され、かつ前記密閉容器内に導入される可燃性の冷媒を圧縮する圧縮機構部と、前記圧縮機構部を駆動させる電動機と、前記密閉容器に設けられる密封端子と、前記密閉容器外部で前記密封端子に接続される配線と、前記密閉容器の外面側にて前記密封端子の周囲を囲む形状をなし、前記配線を保持する第1のカバーと、前記第1のカバーを蓋をするように取り付けられ、前記第1のカバーとともに密閉されたカバー内部空間を形成する第2のカバーと、前記第1のカバーおよび前記第2のカバーを前記密閉容器に取り付ける固定手段と、を備え、前記第1のカバーと前記第2のカバーとの当接面が前記密封端子の取り付け面に対して傾斜している。
【発明の効果】
【0006】
本開示における圧縮機は、密封端子のカバーが、配線を保持する第1のカバーと、第1のカバーを蓋する第2のカバーとに分割された構造であり、第1のカバーと第2のカバーとの当接面が密封端子の取り付け面に対して傾斜しているため、密封端子が第1のカバーの奥まった位置になり難くできる。そのため、密封端子への配線の接続作業が容易にできて、密封端子のカバーの組立性を良好にできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1に係るヒートポンプサイクル装置の斜視図
図2】実施の形態1に係るヒートポンプサイクル装置の分解斜視図
図3】実施の形態1に係る冷媒回路を示す回路図
図4】実施の形態1に係る圧縮機およびアキュムレータの側面図
図5】実施の形態1に係る圧縮機およびアキュムレータの平面図
図6図5のVI-VI線断面図
図7】実施の形態1に係る端子カバーを示す斜視図
図8】実施の形態1に係る端子カバーの分解斜視図
図9】実施の形態1に係る端子カバーの分解側面図
図10】実施の形態1に係るカバー基部の斜視図
図11】実施の形態1に係るカバー蓋部を省略した上シェルの斜視図
図12】実施の形態2に係る端子カバーの分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、密封端子であるターミナルの周囲に配置されるターミナルボックスと、ターミナルボックスを蓋する蓋部材と、ガスケットなどにより、ターミナルを密封した状態で覆う技術があった。
しかしながら、ターミナルはターミナルボックスの底面部分にあるため、ターミナルが、ターミナルボックスの奥まった位置となり易い。このため、ターミナルへの配線の接続作業時には、ターミナルボックスが邪魔となり易く、ターミナルカバーの組立性が悪化し易いと言う課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで本開示は、配線の接続作業が容易にできて、密封端子のカバーの組立性を良好にできる圧縮機を提供する。
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0010】
(実施の形態1)
以下、図1図9を用いて、実施の形態1を説明する。
【0011】
[1-1.構成]
[1-1-1.ヒートポンプサイクル装置の構成]
図1は、実施の形態1に係るヒートポンプサイクル装置の斜視図である。図2は、実施の形態1に係るヒートポンプサイクル装置の分解斜視図である。
図1から図2に示すように、ヒートポンプサイクル装置1は、箱状の筐体10を備えている。本実施の形態では、筐体10の各部は、いずれも鋼板によって形成される。
【0012】
筐体10の内部には、上下方向に延在する仕切板11が設けられている。仕切板11によって、筐体10の内部空間は、送風機室12と、機械室13とに仕切られている。
筐体10は、筐体10の底面を形成する底板14と、筐体10の機械室13を前後から覆う一対の側面パネル15と、送風機室12の前面を覆う前面パネル16と、筐体10の上面を覆う天板17と、を備えている。
前面パネル16には、メッシュ状に形成され空気が通る通風部18が設けられている。
【0013】
送風機室12には、熱源側熱交換器20と、送風装置21とが設けられている。
本実施形態の熱源側熱交換器20は、筐体10の高さ方向に沿って延在し、筐体10の側面と、背面とに対向するように、筐体10の平面視で略L字状に形成されている。
熱源側熱交換器20は、例えば、フィンチューブ式の熱交換器が用いられる。
送風装置21は、例えば、プロペラ状の羽根車を備える軸流ファンが用いられる。送風装置21は、軸流方向が通風部18に向かうように配置される。
【0014】
機械室13の内部には、圧縮機22、利用側熱交換器23、膨張手段24(図3参照)等の冷媒回路を形成する各種の機器や、これらを互いに接続する冷媒配管25が収容されている。
利用側熱交換器23は、例えば、プレート熱交換器が用いられる。
仕切板11の上部には、切欠き部26が形成されており、この切欠き部26には、電装箱40が設置されている。
【0015】
[1-1-2.冷媒回路の構成]
図3は、実施の形態1に係る冷媒回路を示す回路図である。
図3に示すように、圧縮機22、四方弁27、利用側熱交換器23、膨張手段24および熱源側熱交換器20は、所定の冷媒配管25を介して環状に接続され、冷媒回路を構成している。
利用側熱交換器23には、所定の給水配管28が接続されており、利用側熱交換器23において、冷媒回路を循環する冷媒と熱交換が行われる。
圧縮機22で圧縮されて高温高圧となった冷媒は、図3に実線矢印で示すように流れ、利用側熱交換器23に送られ、利用側熱交換器23により給水配管28を流れる水と熱交換して冷却されて凝縮し、水は、冷媒の熱を受けて温水となって所定の箇所に供給される。
利用側熱交換器23から排出された冷媒は、膨張手段24で減圧されて熱源側熱交換器20で熱交換されて蒸発することで、ガス冷媒となって再び圧縮機22に戻される。
【0016】
また、四方弁27を切り替えることにより、図3に破線矢印で示すように、冷媒が流れ、熱源側熱交換器20で外気と熱交換し、膨張手段24で減圧された後、利用側熱交換器23に送られることで、給水配管28を流れる水を冷却することができるように構成されている。
ここで、本実施の形態においては、冷媒として可燃性冷媒が用いられる。可燃性冷媒は、R32若しくはR32を70重量パーセント以上含む混合冷媒、またはプロパン若しくはプロパンを含む混合冷媒である。
なお、冷媒として可燃性冷媒ではなく、不燃性冷媒を用いてもよい。
【0017】
[1-1-3.圧縮機の構成]
図4は、実施の形態1に係る圧縮機22およびアキュムレータ29の側面図である。図5は、実施の形態1に係る圧縮機22およびアキュムレータ29の平面図である。
圧縮機22は、電動圧縮機である。本実施の形態の圧縮機22は、電動のロータリコンプレッサである。圧縮機22は、略円筒状の外観形状をなす密閉容器30を有する。密閉容器30は、上下方向に延びる円筒状の胴部31と、胴部31の下方を閉塞する下シェル(第1の鏡板)32と、胴部31の上方を閉塞する上シェル(天面、第2の鏡板)33と、を有する。
下シェル32には、略三角板状の台座ステー34が固定されている。台座ステー34を介して、圧縮機22は、ヒートポンプサイクル装置1の筐体10の底板14(図2参照)に固定される。
【0018】
密閉容器30の上方には、電動機41が収容される。電動機41は、ステータとロータとを備える。ロータには、下方に延びる回転軸42が固定される。回転軸42の下部には、圧縮機構部43が設けられる。圧縮機構部43は、電動機41により駆動する。圧縮機構部43は、アキュムレータ29を経由して密閉容器30内に導入される可燃性の冷媒を圧縮する。圧縮機構部43は、圧縮した冷媒を密閉容器30内に吐出する。
【0019】
[1-1-4.圧縮機の上シェルに関する構成]
図5に示すように、上シェル33は、上面視で円形状に形成される。上シェル33の径方向中心部には、上方に延びる吐出管25Aが設けられる。吐出管25Aは冷媒配管25の一部をなす。吐出管25Aを通じて圧縮機22の内部から高温高圧の冷媒が吐出される。
【0020】
図6は、図5のVI-VI線断面図である。
上シェル33において、吐出管25Aの径方向外側には、平坦な取り付け面33Aが形成されている。取り付け面33Aには、厚み方向に貫通する端子開口33Bが形成されている。端子開口33Bには、密封端子51が取り付けられる。密封端子51は、端子開口33Bを密封状態で嵌合される蓋状の嵌合部51Aと、嵌合部51Aに密封状態で貫通支持される三つの端子本体部51Bと、を有する。端子本体部51Bは、圧縮機22の密閉容器30の外部および内部に突出する。密閉容器30の外部において、各端子本体部51Bには、電源から延びるそれぞれの配線ケーブル52が接続される。密閉容器30の内部において、端子本体部51Bには、電動機41に電気的に接続される不図示の配線ケーブルが接続される。なお、以下の説明では取り付け面33Aに垂直な方向を軸方向と呼ぶ。また、軸方向に対して直交する方向を、径方向あるいは側方と呼ぶ。
【0021】
図4図5に示すように、取り付け面33Aには、上下方向(軸方向)に延びるボルト35が設けられる。ボルト35は、上端部(軸方向他端)に雄ねじ部35A(図8参照)を有する。ボルト35は下端(軸方向一端)が溶接され取り付け面33Aに固定される。ボルト35は、吐出管25Aの径方向に間隔を空けて一対配置される。ボルト35には、端子カバー100が固定される。
【0022】
[1-1-5.端子カバーの構成]
図7は、実施の形態1に係る端子カバー100を示す斜視図である。図8は、実施の形態1に係る端子カバー100の分解斜視図である。図9は、実施の形態1に係る端子カバー100の分解側面図である。
端子カバー100は、密封端子51を外部から覆う。端子カバー100は、上シェル33の外面に近接して配置され密封端子51の周囲を囲む形状をなすカバー基部(第1のカバー)110を備える。また、端子カバー100は、カバー基部110と軸方向に連続的な形状をなしカバー基部110を蓋するように取り付けられるカバー蓋部(第2のカバー)120を備える。なお、本実施の形態のカバー基部110およびカバー蓋部120は樹脂製である。
【0023】
図10は、実施の形態1に係るカバー基部110の斜視図である。
カバー基部110は、密封端子51の側方を周囲から覆う周囲壁111を有する。周囲壁111は、取り付け面33Aに沿った下端面111Aを有する(図9参照)。下端面111Aは、第1ガスケット131を介して取り付け面33Aに当接される。周囲壁111は、配線ケーブル52が取り付けられる厚板状の取付壁112を備える。取付壁112には、厚み方向に貫通して側方に貫通する導入孔112Aが形成されている。導入孔112Aの内面には、雌ねじ112Bが形成されている。導入孔112Aには、ケーブルグランド(配線の保持部)60が接続され、電源から延びる配線ケーブル52がカバー基部110内に導入される。すなわち、カバー基部110には配線ケーブル52が保持される。
【0024】
取付壁112の両端には、取付壁112に連なる傾斜壁113、114が形成されている。傾斜壁113、114は取付壁112から離間するに連れて高さ(軸方向の長さ)が低く形成される。傾斜壁113、114は、端子本体部51Bよりも高さが低い部位を有する(図9参照)。換言すれば、側面視において、端子本体部51Bは傾斜壁113、114よりも軸方向に突出している。
【0025】
傾斜壁113、114の長手方向中央部には、略括れ形状をなすボルト回避部113A、114Aが形成される。ボルト回避部113A、114Aにはボルト35が収容される。
傾斜壁113、114の長手方向一端には、傾斜壁113と傾斜壁114との間に跨る接続壁115が形成される。接続壁115は、取付壁112に対向する位置に設けられる。
取付壁112、傾斜壁113、傾斜壁114、および、接続壁115により、周囲壁111が構成される。
【0026】
取付壁112の上端面、傾斜壁113の上端面、傾斜壁114の上端面、および、接続壁115の上端面により、本実施の形態の基部側当接面116が形成される。基部側当接面116は平坦面である。基部側当接面116が取り付け面33Aに対して傾斜している(図9参照)。
【0027】
取付壁112の上部には、基部側当接面116に対して凹んだ形状のカバー引掛部112Cが形成される。カバー引掛部112Cには、カバー蓋部120が引っ掛けられる。
接続壁115の上部には、基部側当接面116よりも上方に突出する位置決め部115Aが形成されている。位置決め部115Aにはカバー蓋部120が接触する。位置決め部115Aにより、カバー蓋部120がカバー基部110に対して位置決めされる。
【0028】
一対の傾斜壁113、114のうち、吐出管25Aの径方向外側の傾斜壁113には、突起113B、113Cが形成されている。突起113B、113Cは、傾斜壁113の内周面からカバー基部110の内部に突出する。本実施の形態では、突起113B、113Cは2個形成されており、ボルト回避部113Aを挟んで、取付壁112側の突起113Bと、接続壁115側の突起113Cとが形成されている。
【0029】
突起113B、113Cは、基部側当接面116の近傍に設けられている。接続壁115側の突起113Cは、取付壁112側の突起113Bよりも低い位置に形成される。接続壁115側の突起113Cは、取付壁112側の突起113Bよりも、幅広に形成される。突起113B、113Bには配線ケーブル52が係合する。具体的には、突起113B、113Cで上方から抑えられるように、突起113B,113Cよりも下方に、いずれかの配線ケーブル52が配索される(図6図11参照)。これにより、配線ケーブル52が突起113B、113Cよりも上方に移動することが規制される。よって、組立時に、配線ケーブル52が基部側当接面116の上方に移動してカバー基部110とカバー蓋部120の間に挟まれることが抑制される。よって、確実に気密性を確保し易くなっている。
【0030】
図8図9に示すように、カバー蓋部120は、板状の蓋面121を有する。蓋面121は取り付け面33Aに沿った平坦形状をなす。蓋面121の外周部には、下方に延びる側壁部122が形成される。側壁部122の下端には、基部側当接面116に応じた傾斜形状の蓋側当接面123が形成される。蓋側当接面123は、基部側当接面116と対向して配置される。蓋側当接面123は、取り付け面33Aに対して傾斜している。カバー基部110とカバー蓋部120とは、密封端子51を覆う略一体的なカバー形状を形成する。なお、カバー基部110とカバー蓋部120との間には、第2ガスケット132が挟まれる。
【0031】
側壁部122の外周部には、一対の固定部124が形成される。固定部124には、ナット36が当接される平坦な座面124Aが形成される。座面124Aには、厚み方向に貫通する挿通孔124Bが形成される。挿通孔124Bには、上シェル33のボルト35が挿通される。ボルト35の雄ねじ部35Aは座面124Aよりも上方に移動するように構成される。ボルト35には、ナット36が締め付けられ、ナット36が座面124Aを押圧する。これにより、カバー蓋部120が上シェル33側に押圧される。また、カバー蓋部120を介して、カバー基部110などが上シェル33に向けて押圧固定される。本実施の形態では、ナット36は座付きナットである。本実施の形態では、ボルト35とナット36とにより固定手段37(図4図5参照)が構成される。
【0032】
カバー蓋部120には、爪部125が形成される。爪部125は、カバー基部110のカバー引掛部112Cに嵌合する。爪部125がカバー引掛部112Cに嵌合した状態で、カバー蓋部120がカバー基部110の上方に配置されることにより、カバー蓋部120はカバー基部110の位置決め部115Aに接触して、互いの位置が位置決めされる。
【0033】
[1-1-6.ケーブルグランドの構成]
図6に示すように、ケーブルグランド60は、軸状に延びる筒状の筒軸部61を有する。筒軸部61の内部を配線ケーブル52が通過する。筒軸部61の長手方向中央部には外周に突出するナット部62が形成される。ナット部62に対して長手方向一側の筒軸部61の外周面には、接続雄ねじ63が形成される。接続雄ねじ63は、カバー基部110の導入孔112Aに噛み合って、カバー基部110に接続される。ナット部62に対して長手方向他側の筒軸部61の外周面には、ナット雄ねじ64が形成される。ナット雄ねじ64には、ナット部材65が噛み合って締め付けられる。
【0034】
ナット部材65には、配線ケーブル52が通される開口65Aが形成される。筒軸部61のナット雄ねじ64側には、円柱状のシール材66が挿入されている。シール材66は、筒軸部61とナット部材65とにより挟まれる。シール材66には、各配線ケーブル52に応じて複数の挿通孔66A(図8参照)が形成される。本実施の形態では3つの挿通孔66Aが形成される。それぞれの挿通孔66Aには、それぞれの配線ケーブル52が挿入されている。
【0035】
ケーブルグランド60では、ナット部材65の締め付けによりシール材66が圧縮して変形される。よって、シール材66が、筒軸部61の内周面および配線ケーブル52の外周面と密着する。これにより、カバー基部110の導入孔112Aが密封された状態で配線ケーブル52がカバー基部110に取り付けられる。
【0036】
[1-1-7.配線ケーブルの構成]
図11は、実施の形態1に係るカバー蓋部120を省略した上シェル33の斜視図である。
各配線ケーブル52は、密封端子51への接続部に接続端子52Aを備える。ここで、密封端子51の端子本体部51Bは、基部側当接面116よりも上方に突出している(図6参照)。このため、端子本体部51Bに接続される接続端子52Aは、少なくとも一部が、基部側当接面116のなす面よりも上方に突出している。換言すれば、カバー蓋部120が取り付けられていない場合には、接続端子52Aの少なくとも一部が、側面視において、カバー基部110から露出した状態で端子本体部51Bに接続される。
【0037】
また、密封端子51とケーブルグランド60が所定の量だけオフセットするため、配線ケーブル52の曲げを小さくすることで、配線ケーブル52の損傷を防止し易くなっている。また、配線ケーブル52の各長さは、ケーブルグランド60からの長さが異なるように構成される。これにより、配線ケーブル52の端子本体部52Bへの誤配線を防止し易くなっている。
【0038】
[1-1-8.ガスケットの構成]
図11に示すように、上シェル33とカバー基部110との間には、第1ガスケット131が配置される。第1ガスケット131は、カバー基部110の下端面111Aの囲み形状に対応する枠形状に形成される。第1ガスケット131には、ボルト35が挿通されるボルト孔部131Aが形成される。ボルト孔部131Aは、ボルト35の数に応じて、一対形成される。ボルト孔部131Aは、ボルト35の径よりも大径の貫通孔である。第1ガスケット131には、径方向中心部に向かって延びる位置決め部131Bが形成される。位置決め部131Bの先端には、略半円状に凹んだ凹部131Cが形成される。凹部131Cには、吐出管25Aの側部が挿入され、第1ガスケット131が位置決め可能である。
【0039】
カバー基部110とカバー蓋部120との間には、第2ガスケット132が配置される。
第2ガスケット132は、カバー基部110の基部側当接面116の囲み形状に対応する枠形状に形成される。
【0040】
次に、端子カバー100の取り付け方法について説明する。
カバー基部110には、ケーブルグランド60が取付けられた状態で、予め配線ケーブル52がセットされる。
【0041】
上シェル33の取り付け面33Aには、第1ガスケット131が配置される。第1ガスケット131には、ボルト35が挿通される。第1ガスケット131は、吐出管25Aに位置決めされた状態で配置される。
【0042】
第1ガスケット131の上面には、カバー基部110が配置される。カバー基部110は、ボルト回避部113A、114Aにボルト35が来るように、一対のボルト35の間に配置される。これにより、第1ガスケット131は、上シェル33の取り付け面33Aとカバー基部110の下端面111Aとの間に挟まれる。
【0043】
カバー基部110に装着された配線ケーブル52は、密封端子51の端子本体部51Bにそれぞれ接続される。このとき、密封端子51の端子本体部51Bがカバー基部110よりも上方に突出しているため、カバー基部110の周囲壁111に邪魔され難い状態で、配線ケーブル52の接続端子52Aを端子本体部51Bに接続し易くなっている。また、ケーブルグランド60からの各配線ケーブル52の接続端子52Aまでの長さが異なるために、誤配線が防止され易くなっている。そして、ケーブルグランド60がカバー基部110に締結されることにより、配線ケーブル52がカバー基部110に密封状態で固定される。
【0044】
このとき、配線ケーブル52は、突起113B、114Bの下方となるように配置することにより、配線ケーブル52が基部側当接面116の上方に移動することが抑制することができる。よって、カバー蓋部120をカバー基部110に取り付ける際に、配線ケーブル52が邪魔になり難く、作業性が向上する。
【0045】
カバー基部110の上方には、第2ガスケット132を介して、カバー蓋部120が配置される。カバー蓋部120は、固定部124にボルト35が挿通される。このとき、カバー蓋部120は、爪部125がカバー引掛部112Cに嵌合され、位置決め部115Aに位置決めされる。このとき、第2ガスケット132は、カバー基部110の基部側当接面116とカバー蓋部120の蓋側当接面123との間に挟まれる。
【0046】
ボルト35の雄ねじ部35Aには、ナット36が締め付けられる。これにより、ナット36がカバー蓋部120をボルト35の軸方向に押圧する。よって、カバー基部110とカバー蓋部120との間では、第2ガスケット132が押圧されて、カバー基部110とカバー蓋部120との隙間が密封される。また、上シェル33とカバー基部110との間では、第1ガスケット131が押圧されて、上シェル33とカバー基部110との隙間が密封される。よって、端子カバー100により、密封端子51が外部から密封された状態で保持される。端子カバー100により密閉されたカバー内部空間Sが形成される(図6参照)。
【0047】
この際に、本実施の形態では、基部側当接面116および蓋側当接面123がボルト35とナット36の締め付け方向に対して傾斜するために、カバー蓋部120はカバー基部110に対してボルト35の軸方向に対して傾斜する方向に力が作用する。よって、カバー蓋部120がボルト35の軸方向に交差する方向に移動しようとする力が作用するが、爪部125がカバー引掛部112Cに嵌合され、カバー蓋部120が位置決め部115Aに位置決めされることで、カバーの移動が防止され易くなっている。
【0048】
[1-2.動作]
以上のように構成されたヒートポンプサイクル装置1について、その動作を以下説明する。
ヒートポンプサイクル装置1を駆動すると、圧縮機22の電動機41が駆動することにより、冷媒回路を循環する冷媒が高温高圧に圧縮される。
【0049】
温水を利用する場合には、高温高圧となった冷媒は、図3に実線矢印で示すように流れ、利用側熱交換器23に送られ、利用側熱交換器23により給水配管28を流れる水と熱交換して冷却されて凝縮し、水は、冷媒の熱を受けて温水となって所定の箇所に供給される。
利用側熱交換器23から排出された冷媒は、膨張手段24で減圧されて熱源側熱交換器20で熱交換されることで蒸発し、ガス冷媒となって再び圧縮機22に戻される。
【0050】
また、冷水を利用する場合には、四方弁27を切り替えることにより、図4に破線矢印で示すように、冷媒が流れ、熱源側熱交換器20で外気と熱交換し、膨張手段24で減圧された後、利用側熱交換器23に送られることで、給水配管28を流れる水を冷却する。
【0051】
ここで、圧縮機22は所定のタイミングでメンテナンスされる場合がある。すなわち、端子カバー100が点検等され、接続端子52Aの点検や、第1ガスケット131と第2ガスケット132の交換などがされる場合がある。このとき、本実施の形態では、端子カバー100がカバー基部110とカバー蓋部120とに分割され、基部側当接面116と蓋側当接面123と取り付け面33Aに対して傾斜している構造であるため、密封端子51がカバー基部110に対して奥まった位置に無い。よって、配線ケーブル52の着脱などが容易であり、端子カバー100の組立性が良くなっている。
【0052】
特に、上シェル33では、騒音低減やオイル吐出低減のために、径方向中心部に吐出管25Aが設けられるため、上シェル33では取り付け面33Aが狭くなり易い。しかしながら、本実施の形態では、端子カバー100がカバー基部110とカバー蓋部120とに分割された構造であるために、端子カバー100が小型化されても、密封端子51が小さい空間の奥まった位置に配置されることが無い。よって、配線ケーブル52の接続作業を行い易くなっており、組立性が向上する。
【0053】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、圧縮機22は、密閉容器30と、密閉容器30に収容され、かつ密閉容器30内に導入される可燃性の冷媒を圧縮する圧縮機構部43と、圧縮機構部43を駆動させる電動機41と、密閉容器30に設けられる密封端子51と、密閉容器30外部で密封端子51に接続される配線ケーブル52と、密閉容器30の外面側にて密封端子51の周囲を囲む形状をなし、配線ケーブル52を保持するカバー基部110と、カバー基部110を蓋をするように取り付けられ、カバー基部110とともに密閉されたカバー内部空間Sを形成するカバー蓋部120と、カバー基部110およびカバー蓋部120を密閉容器30に取り付ける固定手段37と、を備える。この圧縮機22において、カバー基部110の基部側当接面116とカバー蓋部120の蓋側当接面123とが密封端子51の取り付け面33Aに対して傾斜している。
これにより、密封端子51の端子カバー100が、配線ケーブル52を保持するカバー基部110と、カバー基部110を蓋するカバー蓋部120と、に分割された構造であり、カバー基部110の基部側当接面116とカバー蓋部120の蓋側当接面123とが密封端子51の取り付け面33Aに対して傾斜しているため、密封端子51がカバー基部110の奥まった位置になり難くできる。そのため、密封端子51への配線ケーブル52の接続作業が容易にできて端子カバー100の組立性を良好にできる。また、端子カバー100を小型にするとしても、分割された構造であるため、カバー内部空間Sの気密性を維持しながら、配線ケーブル52を密封端子51に取り付ける作業が容易にできる。
【0054】
本実施の形態のように、配線ケーブル52の密封端子51への接続部には接続端子52Aが設けられ、接続端子52Aの少なくとも一部が、基部側当接面116のなす面よりカバー蓋部120側に配置されてもよい。
これにより、カバー蓋部120の取り付ける前には配線ケーブル52の接続端子52Aの少なくとも一部が基部側当接面116よりもカバー基部110の外側に出るので、カバー基部110が邪魔になり難い状態で、接続端子52Aを扱うことができる。そのため、配線ケーブル52を密封端子51に取り付ける作業が容易にできる。
【0055】
本実施の形態のように、密封端子51を密閉容器30の上シェル33に設けてもよい。
これにより、小さな取り付け面33Aとなり易い上シェル33に密封端子51を設ける場合であっても、端子カバー100を小型にして、カバー内部空間Sの気密性を維持できる。そのため、配線ケーブル52を密封端子51に取り付ける作業を容易にしながら端子カバー100を取り付けることができる。
【0056】
本実施の形態のように、固定手段37は、一端が密閉容器30に溶接固定され他端に雄ねじ部35Aを有するボルト35と、雄ねじ部35Aに取り付けられるナット36と、からなってもよい。
これにより、端子カバー100の位置ずれを防止できる。そのため、端子カバー100の位置ずれを防止しながら配線ケーブル52の接続作業をし易く、組立性を向上させることができる。
【0057】
本実施の形態のように、カバー蓋部120にナット36が当接することで、カバー蓋部120とカバー基部110が押圧固定されてもよい。
これにより、必要最小限のナット36で固定できる。そのため、端子カバー100の組立性が向上する。
【0058】
本実施の形態のように、配線ケーブル52の保持部にケーブルグランド60を用いてもよい。
これにより、カバー基部110内で配線ケーブル52の長さを調整することが可能であり、配線ケーブル52の挟まりや接続される接続端子52Aの緩みを、より確実に防止できる。そのため、端子カバー100の組立性を向上させることができる。
【0059】
本実施の形態のように、ケーブルグランド60は複数の挿通孔66Aを有し、それぞれの挿通孔66Aでそれぞれの配線ケーブル52を保持してもよい。
これにより、配線ケーブル52同士を覆う外皮が不要となり、それぞれの配線ケーブル52の取り回しを容易にできる。そのため、配線ケーブル52がカバー基部110とカバー蓋部120との間に挟まることや、接続される接続端子52Aの緩みを、より確実に防止できる。
【0060】
本実施の形態のように、カバー基部110の内面には、基部側当接面116の近傍に突起113B、113Cを設けてもよい。
これにより、突起113B、113Cにより配線ケーブル52が基部側当接面116と蓋側当接面123との間に挟まることを防止できる。そのため、カバー基部110とカバー蓋部120との間に隙間が発生することを防止できて、組立性が向上する。
【0061】
本実施の形態のように、ヒートポンプサイクル装置1は、圧縮機22を備えてもよい。
これにより、圧縮機22における密封端子51の端子カバー100は、密封端子51への配線ケーブル52の接続作業が容易にできて密封端子51の端子カバー100の組立性を良好にできる。そのため、ヒートポンプサイクル装置1がその圧縮機22を備えることにより、カバー内部空間Sの気密性が確保しながら、冷媒への着火を防止できて、ヒートポンプサイクル装置1の安全性を確保できる。
【0062】
(実施の形態2)
以下、図12を用いて、実施の形態2を説明する。
【0063】
[2-1.全体構成]
図12は、実施の形態2に係る端子カバー200の分解斜視図である。
実施の形態2にかかる圧縮機22の端子カバー200は、カバー基部(第1のカバー)210と、カバー蓋部(第2のカバー)220とを有する。
【0064】
実施の形態2のカバー基部210は、実施の形態1のカバー基部110に対応する形状を有する。具体的には、カバー基部210は、実施の形態1の周囲壁111に対応する周囲壁211を有する。すなわち、カバー基部210は、実施の形態1の取付壁112、傾斜壁113、114、接続壁115にそれぞれ対応して、取付壁212、傾斜壁213、214、接続壁215を有する。取付壁212の上面、傾斜壁213の上面、傾斜壁214の上面、および、接続壁215の上面により、平坦な基部側当接面216が形成される。基部側当接面216は取り付け面33Aに対して傾斜する。基部側当接面216は、密封端子51よりも軸方向で低い部位を有する。
【0065】
基部側当接面216の外周部には、突出片状の固定部217が形成される。固定部217は、周方向に間隔を空けて複数設けられる。固定部217は、基部側当接面216と同様に取り付け面33Aに対して傾斜する。固定部217には、厚み方向に貫通して雌ねじが形成された締結孔217Aが形成される。
カバー基部210は、取り付け面33Aに溶接されて下端が固定される。なお、カバー基部210は金属製であり、鉄板を成型して形成してもよい。
【0066】
基部側当接面216の上方には、ガスケット230が配置される。ガスケット230は基部側当接面216の囲み形状に対応する枠形状である。ガスケット230の外周部には、カバー基部210の固定部217の位置に対応して、突出片部231が形成される。突出片部231には、ボルト235を挿通する孔が形成される。
【0067】
ガスケット230の上方には、カバー蓋部220が配置される。実施の形態2のカバー蓋部220は、実施の形態1のカバー蓋部220に対応する形状を有する。具体的には、実施の形態2のカバー蓋部220は、実施の形態1の蓋面121、側壁部122にそれぞれ対応して、蓋面221、側壁部222を有する。側壁部222の下端には、基部側当接面216に応じた傾斜形状の蓋側当接面223が形成される。蓋側当接面223は、基部側当接面216と対向して配置される。蓋側当接面223は、取り付け面33Aに対して傾斜している。蓋側当接面223の外周部には、突出片状の取付部224が形成される。取付部224は固定部217の位置に応じて複数形成される。取付部224にはボルト235が挿通される孔が形成される。
【0068】
カバー蓋部220の取付部224およびガスケット230の突出片部231にボルト235が挿通される。このボルト235はカバー基部210の固定部217の締結孔217Aに締結される。これにより、カバー蓋部220とカバー基部210とがボルト235の軸方向に圧接され、カバー蓋部220とカバー基部210との間がガスケット230により密閉された状態で固定される。
【0069】
実施の形態2では、基部側当接面216および蓋側当接面223に直交する方向に、ボルト235の締め付け力が作用するため、基部側当接面216および蓋側当接面223に垂直に力が作用し易く、カバー蓋部220がカバー基部210に対して位置ずれし難くなっている。よって、実施の形態2では、実施の形態1のような爪部125やカバー引掛部112C、位置決め部115Aを省略可能である。
【0070】
また、本実施の形態では、カバー基部210が上シェル33に溶接されるため、カバー基部210は移動出来ないが、傾斜壁213、214の上方に密封端子51が突出するため、基部側当接面216の傾斜形状による配線ケーブル52の接続作業の容易性を体感し易くなっている。なお、第1ガスケット131も省略される。
【0071】
[2-2.効果等]
以上のように、本実施の形態において、端子カバー200のカバー基部210は、上シェル33に溶接固定される。
本実施の形態においては、ボルト235を基部側当接面216および蓋側当接面223に直交する方向に締め付けることができ、カバー蓋部220がカバー基部210に対して位置ずれすることを抑制することができる。
【0072】
本実施の形態では、密封端子51の端子カバー200が、配線ケーブル52を保持するカバー基部210と、カバー基部210を蓋するカバー蓋部220と、に分割された構造であり、カバー基部210の基部側当接面216とカバー蓋部220の蓋側当接面223とが密封端子51の取り付け面33Aに対して傾斜しているため、密封端子51がカバー基部210の奥まった位置になり難くできる。そのため、密封端子51への配線ケーブル52の接続作業が容易にできて端子カバー200の組立性を良好にできる。
【0073】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1および2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1および2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0074】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
実施の形態1および2では、上シェル33に密封端子51が設けられ、上シェル33に端子カバー100、200が設けられる構成を説明したが、上シェル33以外の位置、例えば、密閉容器30の胴部31に密封端子51を設け、端子カバー100,200を設けてもよい。
【0075】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0076】
(上記実施の形態によりサポートされる構成)
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
(構成1)
密閉容器と、前記密閉容器に収容され、かつ前記密閉容器内に導入される可燃性の冷媒を圧縮する圧縮機構部と、前記圧縮機構部を駆動させる電動機と、前記密閉容器に設けられる密封端子と、前記密閉容器外部で前記密封端子に接続される配線と、前記密閉容器の外面側にて前記密封端子の周囲を囲む形状をなし、前記配線を保持する第1のカバーと、前記第1のカバーを蓋をするように取り付けられ、前記第1のカバーとともに密閉されたカバー内部空間を形成する第2のカバーと、前記第1のカバーおよび前記第2のカバーを前記密閉容器に取り付ける固定手段と、を備え、前記第1のカバーと前記第2のカバーとの当接面が前記密封端子の取り付け面に対して傾斜している、圧縮機。
これにより、密封端子のカバーが、配線を保持する第1のカバーと、第1のカバーを蓋する第2のカバーと、に分割された構造であり、第1のカバーと第2のカバーとの当接面が密封端子の取り付け面に対して傾斜しているため、密封端子が第1のカバーの奥まった位置になり難くできる。そのため、密封端子への配線の接続作業が容易にできて密封端子のカバーの組立性を良好にできる。また、カバーを小型にするとしても、分割された構造であるため、カバー内部空間の気密性を維持しながら、配線を密封端子に取り付ける作業が容易にできる。
【0077】
(構成2)
配線の密封端子への接続部には端子が設けられ、前記端子の少なくとも一部が、前記当接面のなす面より前記第2のカバー側に配置された、構成1に記載の圧縮機。
これにより、第2のカバーの取り付ける前には配線の端子の少なくとも一部が当接面よりも第1のカバーの外側に出るので、第1のカバーが邪魔になり難い状態で、端子を扱うことができる。そのため、配線を密封端子に取り付ける作業が容易にできる。
【0078】
(構成3)
前記密封端子を前記密閉容器の天面に設けた、構成1または2に記載の圧縮機。
これにより、小さな取り付け面となり易い天面に密封端子を設ける場合であっても、カバーを小型にして、カバー内部空間の気密性を維持できる。そのため、配線を端子に取り付ける作業を容易にしながらカバーを取り付けることができる。
【0079】
(構成4)
前記固定手段は、一端が前記密閉容器に溶接固定され他端にねじ部を有するボルトと、前記ねじ部に取り付けられるナットと、からなる、構成1から3のいずれかに記載の圧縮機。
これにより、カバーの位置ずれを防止できる。そのため、カバーの位置ずれを防止しながら配線の接続作業をし易く、組立性を向上させることができる。
【0080】
(構成5)
前記第2のカバーに前記ナットが当接することで、前記第2のカバーと前記第1のカバーが押圧固定される、構成1から4のいずれかに記載の圧縮機。
これにより、必要最小限のナットで固定できる。そのため、カバーの組立性が向上する。
【0081】
(構成6)
配線の保持部にケーブルグランドを用いた、構成1から5のいずれかに記載の圧縮機。
これにより、第1のカバー内で配線の長さを調整することが可能であり、配線の挟まりや接続される端子の緩みを、より確実に防止できる。そのため、カバーの組立性を向上させることができる。
【0082】
(構成7)
前記ケーブルグランドは複数の孔を有し、それぞれの前記孔でそれぞれの配線を保持する、構成1から6のいずれかに記載の圧縮機。
これにより、配線同士を覆う外皮が不要となり、それぞれの配線の取り回しを容易にできる。そのため、配線が第1のカバーと第2のカバーとの間に挟まることや、接続される端子の緩みを、より確実に防止できる。
【0083】
(構成8)
前記第1のカバーの内面には、前記第1のカバーの前記当接面の近傍に突起を設けた、構成1から7のいずれかに記載の圧縮機。
これにより、突起により配線が当接面に挟まることを防止できる。そのため、第1のカバーと第2のカバーとの間に隙間が発生することを防止できて、組立性が向上する。
【0084】
(構成9)
構成1から8のいずれかに記載の圧縮機を備えるヒートポンプサイクル装置。
これにより、圧縮機における密封端子のカバーは、密封端子への配線の接続作業が容易にできて密封端子のカバーの組立性を良好にできる。そのため、ヒートポンプサイクル装置がその圧縮機を備えることにより、カバー内部空間の気密性が確保しながら、冷媒への着火を防止できて、ヒートポンプサイクル装置の安全性を確保できる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本開示は、電動機を有する圧縮機に適用可能である。具体的には、冷媒回路に設けられた圧縮機に適用可能であり、ヒートポンプサイクル装置の圧縮機などに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 ヒートポンプサイクル装置
22 圧縮機
30 密閉容器
33 上シェル(天面)
33A 取り付け面
35 ボルト
35A 雄ねじ部(ねじ部)
36 ナット
37 固定手段
41 電動機
43 圧縮機構部
51 密封端子
52 配線ケーブル(配線)
52A 接続端子(端子)
60 ケーブルグランド(配線の保持部)
66A 挿通孔(孔)
110 カバー基部(第1のカバー)
116 基部側当接面(当接面)
120 カバー蓋部(第2のカバー)
123 蓋側当接面(当接面)
113B 突起
113C 突起
210 カバー基部(第1のカバー)
216 基部側当接面(当接面)
220 カバー蓋部(第2のカバー)
223 蓋側当接面(当接面)
S カバー内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12