(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176503
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】梱包体
(51)【国際特許分類】
B65D 81/02 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
B65D81/02 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088814
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】390018463
【氏名又は名称】アイジー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】那須勇太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木篤
(72)【発明者】
【氏名】眞田耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐竹正朋
(72)【発明者】
【氏名】叶内祐樹
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA23
3E066BA06
3E066CA04
3E066EA03
3E066GA05
3E066HA05
3E066NA29
(57)【要約】
【課題】梱包体内部で梱包対象である金属製内外装材5が激しく動いた場合、緩衝材が潰れてしまい、梱包体1の強度が不足する可能性があった。また、ポリエステル製塗装鋼板を使用した金属製内外装材5を梱包する際に、金属製内外装材5の長手方向端部に傷やテカリが発生することがあった。
【解決手段】長尺状の金属製内外装材5を梱包する梱包体1において、凹凸形状を施した凹凸中芯3と、該凹凸中芯3の一方に表ライナー紙2を設け、該凹凸中芯3のもう一方に金属製内外装材5の長手方向端部と接する部分に補強材21を設けた長尺状の金属製内外装材5を梱包する梱包体を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の金属製内外装材を搬送する際に使用する梱包体において、凹凸形状を施した凹凸中芯と、該凹凸中芯の一方に表ライナー紙を設け、該凹凸中芯のもう一方に金属製内外装材の長手方向端部と接する部分に補強材を設けたことを特徴とする梱包体。
【請求項2】
該補強材は、凹凸形状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載された梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属製内外装材を傷・破損無く搬送する際に使用する梱包体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、建築用外装材の梱包には段ボールや片面段ボール等が用いられる。段ボールは凹凸形状の中芯の両面にライナー紙が設けられており、片面段ボールは中芯の一方の面にのみライナー紙が設けられている梱包体である。建築用外装材を段ボールに梱包する場合は、段ボール自体の強度が高いため、梱包対象である建築用外装材を輸送時の衝撃から守ることができる。また、梱包形態の自由度の高さから片面段ボールを使用した梱包によって、建築用外装材を輸送することもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-105967号公報
【特許文献2】特開平5-51064号公報
【特許文献3】実開平5-10267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、段ボールは梱包対象の大きさによって、個々に製作する必要があり、在庫の管理にも労力を割く必要がある。それでも内部に隙間ができる場合には、特許文献1および2のように緩衝材を使用して梱包対象を保護する方法が提案されている。特許文献1および2には、建物のドアや内装材などの1枚の長尺状の製品を梱包する際に使用する段ボール製の緩衝材が記載されている。しかし、1つの梱包体に複数の長尺部材を梱包する場合には、複数の緩衝材が必要になり、空間的なロスが発生したり、必要以上に大きな梱包体になってしまったりする恐れがある。
【0005】
特許文献3には、梱包体の内側に緩衝材を設けた例が記載されているが、梱包体内部で梱包対象が激しく動いた場合、緩衝材が潰れてしまい、梱包体の強度が不足する可能性があり、改善の余地があると言える。また、ポリエステル製塗装鋼板を使用した金属製内外装材を片面段ボールに梱包する際に、金属製内外装材の長手方向端部に傷やテカリが発生することがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明では、長尺状の金属製内外装材を搬送する際に使用する梱包体において、凹凸形状を施した凹凸中芯と、該凹凸中芯の一方に表ライナー紙を設け、該凹凸中芯のもう一方に金属製内外装材の長手方向端部と接する部分に補強材を設けた長尺状の金属製内外装材を梱包する梱包体を提供する。
【0007】
また、該補強材は、凹凸形状に形成された梱包体を提供する。
【発明の効果】
【0008】
上記のように、本発明では、金属製内外装材の長手方向端部と接する部分に補強材を設けることにより、金属製内外装材の長手方向端部に発生する梱包用段ボールによる傷、テカリの発生を防ぐことができ、補強材の形成により梱包体自体の強度が向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る梱包体の梱包形態の断面図である。
【
図2】本発明に係る梱包体の梱包対象である金属製内外装材の断面図である。
【
図3】本発明に係る梱包体の補強材の添接位置を示した斜視図である。
【
図4】本発明に係る梱包体の正面図および断面図である。
【
図5】本発明に係る梱包体の梱包形態の斜視図である。
【
図6】本発明に係る梱包体のその他の実施例である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0010】
以下、図面を用いて本発明に係る梱包体1の実施例について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一要素には同一符号が付され、重複する説明は省略している。
図1は本発明に係る梱包体1の短手方向断面図である。
図2は本発明に係る梱包体1の梱包対象である金属製内外装材5の短手方向断面図である。
図3は本発明に係る梱包体1の補強材21の添接位置を示した斜視図である。
図4(a)は本発明に係る梱包体の正面図であり、
図4(b)は本発明に係る梱包体1の凹凸中芯3および凹凸補強材4の長手方向の断面図であり、
図4(c)は本発明に係る梱包体1の凹凸中芯3および凹凸補強材4の短手方向断面図であり、
図4(d)は本発明に係る梱包体1の長手方向の断面図である。
図5(a)は本発明に係る梱包体1の内部を示した斜視図であり、
図5(b)は本発明に係る梱包体1の梱包形態を示す斜視図である。
図6は本発明に係る梱包体1のその他の実施例の長手方向の断面図である。
【0011】
図1には、本発明に係る梱包体1の短手方向断面図を示しており、梱包体1は表ライナー紙2、凹凸中芯3、凹凸補強材4から構成される片面段ボール1aで、凹凸中芯3の片方にだけ表ライナー紙2が形成された段ボール1aである。そのため、金属製内外装材5と凹凸中芯3および凹凸補強材4が接するように梱包される。表ライナー紙2および凹凸中芯3は紙製であり、凹凸補強材4はクラフトテープから構成される。金属製内外装材5の表面材6と接するのは凹凸補強材4のクラフトテープの表面側である。
【0012】
凹凸補強材4は、表面粗度の低いクラフトテープを使用することが好ましいが、金属製内外装材5の長手方向端部の傷やテカリが発生しないものであれば使用することができる。例えば、和紙テープ、布テープ、OPP(Oriented PolyPropylen)テープ、マスキングテープ、気泡緩衝材が挙げられる。
【0013】
図2には、本発明に係る梱包体1の梱包対象である金属製内外装材5の短手方向断面図を示している。金属製内外装材5は表面材6と裏面材7と芯材8からなる。表面材6は例えば、鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、合成樹脂製板材、例えば塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をロール成形、プレス成形、等によって各種形状に成形したものである。裏面材7はアルミニウム蒸着紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔(Al、Fe、Pb、Cu)、合成シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、ガラス繊維不織布等の一種、または二種以上をラミネートしたもの、あるいは防水処理、難燃処理されたシート状物や、前記金属鋼板等からなるものでも良い。
【0014】
芯材8は、ポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム等、の合成樹脂発泡体からなるものであり、例えばレゾール型フェノールの原液と、硬化剤、発泡剤を混合し、表面材6の裏面側に吐出させ、加熱して反応・発泡・硬化させて表面材6と裏面材7と一体化するものである。
【0015】
金属製内外装材5について、さらに詳細に説明すると、雄部9は固定面11、嵌合溝12、嵌合片13、斜辺14から構成される。雌部10は、係合片15、係合溝16、立ち上げ部17、化粧部18、段差19から構成される。また係合溝16には防水性を高めるために連続状にパッキンを設けても良い。パッキンは例えば、ポリ塩化ビニル系、クロロプレン系、クロロスルホン化ポリエチレン系、エチレンプロピレン系、アスファルト含有ポリウレタン系、EPMやEPDM等の一般的に市販されているもので構わない。
【0016】
図3には、本発明に係る梱包体1の補強材21の添接位置を示した斜視図であり、補強材21は梱包したときに、金属製内外装材5の雄部9と雌部10と接する位置に添接する。
図4(a)は梱包体1の内側を示した正面図であり、
図4(b)は凹凸中芯3および凹凸補強材4の長手方向断面図であり、
図4(c)は凹凸中芯3および凹凸補強材4の短手方向断面図であり、
図4(d)は梱包体1の長手方向断面図である。梱包体1は、中芯20に補強材21を添接させたのち、中芯20と補強材21が重なった状態で
図4(b)のような凹凸形状に成形し、それぞれ凹凸中芯3および凹凸補強材4となる。そのため、
図4(c)のように凹凸補強材4が設けられている部分は二重構造になり、強度を増すことができる。その後、
図4(d)のように表ライナー紙2と添接することにより、梱包体1を形成する。
【0017】
図3における梱包体1は、短手方向の長さが800~950mm程度、補強材21の短手方向の長さが90~130mm程度である。補強材21は凹凸形状を施すことを考慮した長さで設けることが好ましい。また、凹凸の高さは3mm~7mm程度が好ましく、梱包対象の形状によって適宜変更することができる。
【0018】
金属製内外装材5は、長手方向に2700mm~8000mmでの生産が可能であるため、金属製内外装材5の長さに応じて梱包することができ、段ボール梱包のように個々に梱包体を準備する必要がなくなる。
【0019】
図5には、本発明に係る梱包体1の梱包形態の斜視図を示している。金属製内外装材5を梱包体1で包んだのち、梱包体1の長手方向端部同士を梱包用テープ22で固定する。梱包用テープ22はガムテープ、布テープ、OPP(Oriented PolyPropylen)テープなど、段ボール梱包用に一般的に使用されているもので構わない。梱包対象である金属製内外装材5は
図5(a)のように、最下段の表面材6を梱包用テープ22(上)側に向け、下から2段目の金属製内外装材5は裏面材7を上側に向け、さらに下から3段目の金属製内外装材5は表面材6を上側に向け、重ねる金属製内外装材5の向きを表・裏交互にすることにより、表面材に形成された模様や凹凸を互いに干渉することなく梱包することができる。
【0020】
梱包体1は、最終的に
図5(b)のように梱包体全体が複数本の結束具23で固定されるのが好ましい。結束具23は、PPバンドからなるものであり、複数枚の製品がばらばらにならないようにするために用いるものである。
【0021】
表面材6にポリエステル製の塗装鋼板を使用した金属製内外装材5では、凹凸補強材4を設けない場合、立ち上げ部17に凹凸中芯3による傷やテカリが発生してしまう恐れがある。特に結束具23に押さえつけられる部分は、凹凸中芯3の凹凸模様が立ち上げ部17に転写されたり、輸送時の衝撃によって凹凸中芯3自体が潰れてしまい、緩衝材として十分な強度を担保できなくなったりする恐れがある。
【0022】
しかし、表面粗度の低いクラフトテープ等による凹凸補強材4を設けることにより、傷やテカリの発生を防止するだけでなく、緩衝材や梱包体としての強度を十分に担保できるようになる。
【0023】
図6には、本発明に係る梱包体1のその他の実施例の断面図を示している。
図6(a)は凹凸中芯3の1つの凹凸を長手方向断面視略三角形に設けたものであり、
図6(b)は凹凸中芯3の1つの凹凸を長手方向断面視略四角形に設けたものである。緩衝材や梱包体としての強度を十分に担保できる形状であれば、凹凸中芯3の1つ1つの長手方向における幅を広げたり、狭くしたりすることもできる。