(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176507
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】物理量測定装置
(51)【国際特許分類】
G01L 19/14 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
G01L19/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088825
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000150707
【氏名又は名称】長野計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】簀河原 悠里
(72)【発明者】
【氏名】川上 尚志
(72)【発明者】
【氏名】田中 康久
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055FF04
2F055GG25
(57)【要約】
【課題】高温の環境下で使用しても、筒状ケースに信号伝達部材を確実に固定できる物理量測定装置を提供すること。
【解決手段】物理量測定装置1は、貫通孔22が形成された接続部21を有する筒状ケース2と、物理量を検出するセンサモジュール5と、センサモジュール5と電気的に接続され、センサモジュール5で検出された信号を伝達する信号伝達部材7と、貫通孔22に挿入されて、筒状ケース2の内側と外側とを連通し、内部に信号伝達部材7が挿入される保護管部材8と、接続部21に接続され、保護管部材8が挿通される挿通孔91が形成された締結部材9と、保護管部材8と締結部材9との間に配置され、保護管部材8を固定する固定部材10と、を備え、固定部材10は、金属製で円錐台状に形成され、保護管部材8が挿通される挿通孔が形成される第1固定部材11を有し、第1固定部材11の傾斜面には、スリットが形成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が形成された接続部を有する筒状ケースと、
前記筒状ケースに収容され、物理量を検出するセンサモジュールと、
前記センサモジュールと電気的に接続され、前記センサモジュールで検出された信号を伝達する信号伝達部材と、
前記貫通孔に挿入されて、前記筒状ケースの内側と外側とを連通し、内部に前記信号伝達部材が挿入される保護管部材と、
前記接続部に接続され、前記保護管部材が挿通される挿通孔が形成された締結部材と、
前記保護管部材と前記締結部材との間に配置され、前記保護管部材を固定する固定部材と、を備え、
前記固定部材は、金属製で円錐台状に形成され、前記保護管部材が挿通される挿通孔が形成される第1固定部材を有し、
前記第1固定部材の傾斜面には、スリットが形成される
ことを特徴とする物理量測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物理量測定装置において、
前記固定部材は、金属製で円環状に形成され、前記保護管部材が挿通される第2固定部材を有し、
前記第2固定部材は、第2固定部材本体部と、前記第2固定部材本体部から延出され前記第1固定部材の内周面に係合する係合部と、を有する
ことを特徴とする物理量測定装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の物理量測定装置において、
前記スリットは、前記第1固定部材において対向する位置に2つ設けられる
ことを特徴とする物理量測定装置。
【請求項4】
請求項1に記載の物理量測定装置において、
前記信号伝達部材は、前記センサモジュールに電気的に接続される第1配線部材と、前記保護管部材に挿入される第2配線部材と、前記第1配線部材および前記第2配線部材を電気的に接続させる管状の接続部材と、を有し、
前記接続部材の一方の端部側から前記第1配線部材が挿通され、前記接続部材の他方の端部側から前記第2配線部材が挿通され、この状態で前記第1配線部材および前記第2配線部材が前記接続部材にスポット溶接されることで、前記第1配線部材および前記第2配線部材が電気的に接続される
ことを特徴とする物理量測定装置。
【請求項5】
請求項1に記載の物理量測定装置において、
コバールを用いて形成され、前記センサモジュールの周囲を囲う筒状の台部材を備え、
前記台部材には、前記信号伝達部材が挿入される挿入孔が形成され、
前記挿入孔は、前記信号伝達部材が挿入された状態でガラスにより封止されている
ことを特徴とする物理量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーブルをケースに取り付けるためのケーブルグランドが知られている(例えば、特許文献1等)。
【0003】
特許文献1では、ケースに取り付けられるグランド本体とケーブルとの間をシールするためのスリーブに複数のスリットを設けている。これにより、スリーブの硬さを変更することなく、スリーブを径方向内側に変形しやすくすることができるので、ケーブルをしっかりと保持・固定することができるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、ケーブルを固定するためのスリーブがニトリルゴム等のゴムにより形成されている。この場合、高温の環境下で使用された場合、スリーブがガラス転移点温度を超えて溶解したり、機械的性質が大きく低下したりしてしまうことで、ケーブルを確実に固定できなくなってしまうおそれがあるといった問題があった。
【0006】
本発明の目的は、高温の環境下で使用しても、筒状ケースに信号伝達部材を確実に固定できる物理量測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の物理量測定装置は、貫通孔が形成された接続部を有する筒状ケースと、前記筒状ケースに収容され、物理量を検出するセンサモジュールと、前記センサモジュールと電気的に接続され、前記センサモジュールで検出された信号を伝達する信号伝達部材と、前記貫通孔に挿入されて、前記筒状ケースの内側と外側とを連通し、内部に前記信号伝達部材が挿入される保護管部材と、前記接続部に接続され、前記保護管部材が挿通される挿通孔が形成された締結部材と、前記保護管部材と前記締結部材との間に配置され、前記保護管部材を固定する固定部材と、を備え、前記固定部材は、金属製で円錐台状に形成され、前記保護管部材が挿通される挿通孔が形成される第1固定部材を有し、前記第1固定部材の傾斜面には、スリットが形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明では、信号伝達部材が挿入される保護管部材は、当該保護管部材と締結部材との間に配置される固定部材により固定される。そして、当該固定部材は、円錐台状に形成され、保護管部材が挿通される挿通孔が形成される第1固定部材を有し、第1固定部材の傾斜面にはスリットが形成される。これにより、第1固定部材は、保護管部材と締結部材との間に配置される際に、変形の幅を大きくすることができる。そのため、使用する環境が変化して、保護管部材や信号伝達部材が膨張したり収縮したりしたとしても、固定部材が大きく変形することで保護管部材および信号伝達部材を確実に固定することができる。
ここで、本発明では、保護管部材および信号伝達部材を固定するための固定部材が金属で形成されるので、高温の環境下で使用したとしても、固定部材が溶解したり、機械的性質が大きく低下したりしてしまうことを抑制できる。そのため、高温の環境下で使用しても、筒状ケースに信号伝達部材および保護管部材を確実に固定することができる。
【0009】
本発明の物理量測定装置において、前記固定部材は、金属製で円環状に形成され、前記保護管部材が挿通される第2固定部材を有し、前記第2固定部材は、第2固定部材本体部と、前記第2固定部材本体部から延出され前記第1固定部材の内周面に係合する係合部と、を有することが好ましい。
この構成では、固定部材は、金属製で円環状に形成され、保護管部材が挿通される第2固定部材を有する。そして、当該第2固定部材は、第1固定部材の内周面に係合する係合部を有する。これにより、第1固定部材の内周面には第2固定部材の係合部が係合するので、過剰に第1固定部材が押しつぶされてしまうことを抑制することができる。そのため、第1固定部材が必要以上に変形してしまい、保護管部材を第1固定部材にて固定できなくなってしまったり、第1固定部材が損傷したりしてしまうことを抑制することができる。
【0010】
本発明の物理量測定装置において、前記スリットは、前記第1固定部材において対向する位置に2つ設けられることが好ましい。
この構成では、スリットが第1固定部材において対向する位置に2つ設けられるので、第1固定部材は、押しつぶされた際に楕円形状に変形する。そのため、例えば、円形状に変形する場合に比べて、保護管部材および信号伝達部材をより確実に第1固定部材で固定することができる。
【0011】
本発明の物理量測定装置において、前記信号伝達部材は、前記センサモジュールに電気的に接続される第1配線部材と、前記保護管部材に挿入される第2配線部材と、前記第1配線部材および前記第2配線部材を電気的に接続させる管状の接続部材と、を有し、前記接続部材の一方の端部側から前記第1配線部材が挿通され、前記接続部材の他方の端部側から前記第2配線部材が挿通され、この状態で前記第1配線部材および前記第2配線部材が前記接続部材にスポット溶接されることで、前記第1配線部材および前記第2配線部材が電気的に接続されることが好ましい。
この構成では、信号伝達部材は、センサモジュールに電気的に接続される第1配線部材と、保護管部材に挿入される第2配線部材と、第1配線部材および第2配線部材を電気的に接続させる管状の接続部材とを有する。そして、接続部材の一方の端部側から第1配線部が挿通され、接続部材の他方の端部側から第2配線部材が挿通され、この状態で第1配線部材および第2配線部材が接続部材にスポット溶接される。そのため、温度変化が大きい環境下で使用したとしても、第1配線部材および第2配線部材が接続部材を介して接続されているので、第1配線部材および第2配線部材の電気的な接続が切れてしまうことを抑制することができる。
【0012】
本発明の物理量測定装置において、コバールを用いて形成され、前記センサモジュールの周囲を囲う筒状の台部材を備え、前記台部材には、前記信号伝達部材が挿入される挿入孔が形成され、前記挿入孔は、前記信号伝達部材が挿入された状態でガラスにより封止されていることが好ましい。
この構成では、台部材を形成するコバールと、当該台部材の挿入孔を封止するガラスとは線膨張係数が近いので、温度変化が大きい環境下で使用したとしても、台部材が膨張・収縮することで挿入孔を封止するガラスが損傷してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る物理量測定装置の概略を示す正面図。
【
図2】前記実施形態の物理量測定装置の概略を示す分解斜視図。
【
図3】前記実施形態の物理量測定装置の概略を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態]
本発明の一実施形態に係る物理量測定装置1を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、物理量測定装置1は、被測定流体の圧力を測定可能に構成されている。
図1は、本実施形態の物理量測定装置1の概略を示す正面図であり、
図2は、物理量測定装置1の概略を示す分解斜視図であり、
図3は、物理量測定装置1の概略を示す断面図である。
図1~
図3に示すように、物理量測定装置1は、筒状ケース2と、連結部材3と、継手4と、センサモジュール5と、台部材6と、信号伝達部材7と、保護管部材8と、締結部材9と、固定部材10と、を備える。
【0015】
[筒状ケース2]
筒状ケース2は、円筒状に形成された金属製部材であり、センサモジュール5、台部材6、信号伝達部材7、および、保護管部材8等を内部に収容している。本実施形態では、筒状ケース2には、一方の端部に接続部21が形成されている。接続部21は、円筒状に形成され、保護管部材8が挿入される貫通孔22が形成されている。さらに、接続部21の外周側には雄ネジ部23が形成され、締結部材9が螺合されている。
また、筒状ケース2の他方の端部には、連結部材3が接続されている。
【0016】
[連結部材3]
連結部材3は、円筒状に形成された金属製部材である。本実施形態では、連結部材3は、連結部材本体部31と、フランジ部32と、を有している。
連結部材本体部31は、円筒状に形成され、一方の端部が継手4に溶接されて接続されている。また、連結部材本体部31の他方の端部は、筒状ケース2に螺合されて接続されている。
フランジ部32は、連結部材本体部31から径方向に延出されて形成されている。
【0017】
[継手4]
継手4は、金属製の部材であり、前述したように連結部材3に溶接されて固定されている。そして、継手4には、被測定流体を導入する導入孔41が形成されている。また、継手4には、中心から径方向に延びて形成されスパナ等の工具と係合する係合部42が形成されるとともに、被取付部に螺合される雄ネジ部43が形成されている。
【0018】
[センサモジュール5]
センサモジュール5は、継手4の一端部側に取り付けられる筒体部51と、当該筒体部51の一端側に一体に形成されるダイアフラム52とを有する。このダイアフラム52には図示しない歪みゲージが形成されており、この歪みゲージによって、導入孔41から導入された被測定流体の圧力を検出するようにされている。
なお、センサモジュール5は歪みゲージ式のものに限定されるわけではなく、例えば、静電容量式のセンサであってもよく、被測定流体の圧力を検出可能に構成されていればよい。
【0019】
[台部材6]
図4は、台部材6の概略を示す斜視図である。
図4に示すように、台部材6はコバールを用いて円筒状に形成され、センサモジュール5の周囲を囲う部材である。本実施形態では、台部材6には、後述する信号伝達部材7の第1配線部材71が挿入される挿入孔61が形成されている。
ここで、本実施形態では、第1配線部材71は、コバールを用いて形成されている。そして、挿入孔61は、第1配線部材71が挿入された状態で絶縁性のガラス62により封止されている。これにより、台部材6および第1配線部材71を形成するコバールと、当該台部材6の挿入孔61を封止するガラス62とは線膨張係数が近いので、温度変化が大きい環境下で使用したとしても、台部材6および第1配線部材71が膨張・収縮することで挿入孔61を封止するガラス62が損傷してしまうことを抑制することができる。さらに、挿入孔61に挿入された第1配線部材71は、絶縁性のガラス62により固定されているので、第1配線部材71と台部材6とを電気的に絶縁することができる。
【0020】
[信号伝達部材7]
図1~
図3に戻って、信号伝達部材7は、センサモジュール5と電気的に接続され、当該センサモジュール5で検出された信号を伝達する部材である。本実施形態では、信号伝達部材7は、第1配線部材71と、第2配線部材72と、接続部材73と、ガイド部材74と、を有する。
【0021】
第1配線部材71は、前述したようにコバールを用いて形成されており、センサモジュール5と電気的に接続されるとともに、前述した台部材6の挿入孔61に挿入された状態で、ガラス62により台部材6に固定されている。本実施形態では、5本の第1配線部材71が設けられている。
第2配線部材72は、保護管部材8に挿入されて筒状ケース2の外側に延出されている。これにより、第2配線部材72は、外部の機器と電気的に接続可能に構成されている。本実施形態では、第1配線部材71に対応して、5本の第2配線部材72が設けられている。
接続部材73は、金属製で管状に形成され、第1配線部材71および第2配線部材72を電気的に接続させる部材である。本実施形態では、接続部材73は、第1配線部材71および第2配線部材72に応じて、5本設けられている。なお、接続部材73による第1配線部材71および第2配線部材72の接続の詳細については後述する。
ガイド部材74は、アルミナにより円盤状に形成されている。本実施形態では、ガイド部材74は、連結部材3の端部に支持されるとともに、第1配線部材71をガイドするガイド孔75を5つ有している。
【0022】
[保護管部材8]
保護管部材8は、管状の部材であり、前述した接続部21の貫通孔22に挿入されて筒状ケース2の内側と外側とを連通している。そして、保護管部材8の内部には、前述した信号伝達部材7の第2配線部材72が挿入されている。
また、本実施形態では、保護管部材8は、第2配線部材72とともに固定部材10により固定されている。
【0023】
[締結部材9]
締結部材9は、所謂六角ナットであり、前述した接続部21の雄ネジ部23に螺合されている。本実施形態では、締結部材9には、保護管部材8が挿通される挿通孔91が形成されている。なお、締結部材9は、上記構成に限られるものではなく、接続部21に接続可能に構成されていればよい。
【0024】
[固定部材10]
固定部材10は、保護管部材8と締結部材9との間に配置され、保護管部材8を固定する部材である。本実施形態では、固定部材10は、第1固定部材11と、第2固定部材12と、を有する。
【0025】
図5は、第1固定部材11の概略を示す斜視図である。
図5に示すように、第1固定部材11は、金属製で円錐台状に形成され、保護管部材8が挿通される挿通孔111が形成されている。そして、第1固定部材11の傾斜面112には、スリット113が形成されている。本実施形態では、スリット113は、第1固定部材11において対向する位置に2つ設けられている。
【0026】
図6は、第2固定部材12の概略を示す斜視図である。
図6に示すように、第2固定部材12は、金属製で円環状に形成されている。本実施形態では、第2固定部材12は、第2固定部材本体部121と、係合部122と、を有する。
第2固定部材本体部121は、円環状に形成されており、保護管部材8が挿通される挿通孔123が形成されている。
係合部122は、第2固定部材本体部121から軸方向に延出されている。そして、係合部122は、第1固定部材11の挿通孔111の内周面に係合するように構成されている。
【0027】
[固定部材10による固定方法について]
次に、固定部材10による固定方法について説明する。
前述したように、第1固定部材11は、保護管部材8と締結部材9との間に配置されている。そして、本実施形態では、第1固定部材11の傾斜面112にはスリット113が形成されているので、締結部材9が筒状ケース2の接続部21に螺合する際に、第1固定部材11は締結部材9によって押圧されて大きく変形することができる。これにより、第1固定部材11は保護管部材8および当該保護管部材8の内部に挿入される第2配線部材72を筒状ケース2に対して固定することができる。
【0028】
ここで、本実施形態では、第1固定部材11が金属で形成されるので、高温の環境下で使用したとしても、第1固定部材11が溶解したり、機械的性質が大きく低下したりしてしまうことを抑制できる。そのため、高温の環境下で使用しても、筒状ケース2に対して信号伝達部材7および保護管部材8を確実に固定することができる。
【0029】
また、本実施形態では、第2固定部材12は、第1固定部材11の内周面に係合する係合部122を有する。これにより、第1固定部材11の内周面には第2固定部材12の係合部122が係合するので、締結部材9によって過剰に第1固定部材11が押しつぶされてしまうことを抑制することができる。そのため、第1固定部材11が必要以上に変形してしまい、第1固定部材11が保護管部材8に沿って接続部21の内部方向に移動することで、保護管部材8を第1固定部材11によって固定できなくなってしまうことを抑制することができる。さらに、第1固定部材11が必要以上に変形して損傷してしまうことを抑制できる。
【0030】
さらに、本実施形態では、前述したスリット113は、第1固定部材11において対向する位置に2つ設けられている。これにより、第1固定部材11は、締結部材9によって押圧されて変形する際に、楕円形状に変形する。そのため、例えば、円形状に変形する場合に比べて、保護管部材8および信号伝達部材7をより確実に第1固定部材11で固定することができる。
【0031】
[第1配線部材71および第2配線部材72の接続方法]
次に、第1配線部材71および第2配線部材72の接続方法について説明する。
図7は、信号伝達部材7の接続状態を示す分解正面図である。
図7に示すように、先ず、接続部材73の一方の端部側から第1配線部材71を挿通させる。次に、接続部材73の他方の端部から第2配線部材72を挿通させる。
そして、この状態で、接続部材73の外側から第1配線部材71および第2配線部材72を接続部材73にスポット溶接する。これにより、第1配線部材71および第2配線部材72は、接続部材73を介して電気的に接続される。
本実施形態では、上記のように第1配線部材71および第2配線部材72を接続させるので、温度変化が大きい環境下で使用したとしても、第1配線部材71および第2配線部材72が接続部材73を介して接続されることから、第1配線部材71および第2配線部材72の電気的な接続が切れてしまうことを抑制することができる。さらに、接続部材73の外側からスポット溶接することで第1配線部材71および第2配線部材72を接続させるので、第1配線部材71および第2配線部材72を接続させる工程の作業を容易にすることができる。
【0032】
以上のような本実施形態では、次の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、信号伝達部材7が挿入される保護管部材8は、当該保護管部材8と締結部材9との間に配置される固定部材10により固定される。そして、当該固定部材10は、円錐台状に形成され、保護管部材8が挿通される挿通孔111が形成される第1固定部材11を有し、第1固定部材11の傾斜面112にはスリット113が形成される。これにより、第1固定部材11は、保護管部材8と締結部材9との間に配置される際に大きく変形することができる。そのため、使用する環境が変化して、保護管部材8や信号伝達部材7が膨張したり収縮したりしたとしても、固定部材10が大きく変形することで保護管部材8および信号伝達部材7を確実に固定することができる。
ここで、本実施形態では、保護管部材8および信号伝達部材7を固定するための固定部材10が金属で形成されるので、高温の環境下で使用したとしても、固定部材10が溶解したり、機械的性質が大きく低下したりしてしまうことを抑制できる。そのため、高温の環境下で使用しても、筒状ケース2に信号伝達部材7および保護管部材8を確実に固定することができる。
【0033】
(2)本実施形態では、固定部材10は、金属製で円環状に形成され、保護管部材8が挿通される第2固定部材12を有する。そして、当該第2固定部材12は、第1固定部材11の内周面に係合する係合部122を有する。これにより、第1固定部材11の内周面には第2固定部材12の係合部122が係合するので、過剰に第1固定部材11が押しつぶされてしまうことを抑制することができる。そのため、第1固定部材11が必要以上に変形してしまい、保護管部材8を第1固定部材11にて固定できなくなってしまったり、第1固定部材11が損傷したりしてしまうことを抑制することができる。
【0034】
(3)本実施形態では、スリット113が第1固定部材11において対向する位置に2つ設けられるので、第1固定部材11は、押しつぶされた際に楕円形状に変形する。そのため、例えば、第1固定部材11が円形状に変形する場合に比べて、保護管部材8および信号伝達部材7をより確実に第1固定部材11で固定することができる。
【0035】
(4)本実施形態では、信号伝達部材7は、センサモジュール5に電気的に接続される第1配線部材71と、保護管部材8に挿入される第2配線部材72と、第1配線部材71および第2配線部材72を電気的に接続させる管状の接続部材73とを有する。そして、接続部材73の一方の端部側から第1配線部材71が挿通され、接続部材73の他方の端部側から第2配線部材72が挿通され、この状態で第1配線部材71および第2配線部材72が接続部材73にスポット溶接される。そのため、温度変化が大きい環境下で使用したとしても、第1配線部材71および第2配線部材72が接続部材73を介して接続されているので、第1配線部材71および第2配線部材72の電気的な接続が切れてしまうことを抑制することができる。
【0036】
(5)本実施形態では、台部材6および第1配線部材71を形成するコバールと、当該台部材6の挿入孔61を封止するガラス62とは線膨張係数が近いので、温度変化が大きい環境下で使用したとしても、台部材6が膨張・収縮することで挿入孔61を封止するガラス62が損傷してしまうことを抑制することができる。
【0037】
[変形例]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0038】
前記実施形態では、第1配線部材71、第2配線部材72、および、接続部材73は5本設けられていたが、これに限定されない。例えば、第1配線部材、第2配線部材、および、接続部材は、4本以下でもよく、あるいは、6本以上でもよい。
【0039】
前記実施形態では、台部材6はコバールを用いて形成されていたが、これに限定されない。例えば、台部材は、ステンレス製やセラミック製であってもよく、ガラスと線膨張係数の近い金属から構成されていることが好ましいなお、ガラスと線膨張係数の近い金属としては、例えば、鉄ニッケル合金が例示される。
また、前記実施形態では、第1配線部材71はコバールを用いて形成されていたが、これに限定されない。例えば、第1配線部材71は銅等により形成されていてもよく、導電性の部材で形成されていればよい。
さらに、前記実施形態では、台部材6の挿入孔61はガラス62により封止されていたが、これに限定されない。例えば、台部材の挿入孔は、接着剤等により封止されていてもよい。
【0040】
前記実施形態では、連結部材3の連結部材本体部31にフランジ部32が形成されていたが、これに限定されない。例えば、連結部材本体部にフランジ部が形成されない場合も、本発明に含まれる。この場合、連結部材本体部の端部に、筒状ケースの端部が溶接されて接続されるように構成されていてもよい。
【0041】
前記実施形態では、第1固定部材11には、対向する位置に2つのスリット113が形成されていたが、これに限定されない。例えば、第1固定部材には、1つのスリットが形成されていてもよく、あるいは、3つ以上のスリットが形成されていてもよい。
【0042】
前記実施形態では、筒状ケース2は円筒状に形成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、筒状ケースは、多角筒状に形成されていてもよい。
【0043】
前記実施形態では、物理量測定装置1は、被測定流体の物理量としての圧力を測定可能に構成されていたが、これに限定されない。例えば、物理量測定装置は、被測定流体の温度や差圧等の物理量を測定可能に構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…物理量測定装置、2…筒状ケース、3…連結部材、4…継手、5…センサモジュール、6…台部材、7…信号伝達部材、8…保護管部材、9…締結部材、10…固定部材、11…第1固定部材、12…第2固定部材、21…接続部、22…貫通孔、23…雄ネジ部、31…連結部材本体部、32…フランジ部、41…導入孔、42…係合部、43…雄ネジ部、51…筒体部、52…ダイアフラム、61…挿入孔、62…ガラス、71…第1配線部材、72…第2配線部材、73…接続部材、74…ガイド部材、75…ガイド孔、91…挿通孔、111…挿通孔、112…傾斜面、113…スリット、121…第2固定部材本体部、122…係合部、123…挿通孔。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
特許文献1では、ケーブルを固定するためのスリーブがニトリルゴム等のゴムにより形成されている。この場合、高温の環境下で使用された場合、スリーブが溶解したり、機械的性質が大きく低下したりしてしまうことで、ケーブルを確実に固定できなくなってしまうおそれがあるといった問題があった。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
前記実施形態では、台部材6はコバールを用いて形成されていたが、これに限定されない。例えば、台部材は、ステンレス製やセラミック製であってもよく、ガラスと線膨張係数の近い金属から構成されていることが好ましい。なお、ガラスと線膨張係数の近い金属としては、例えば、鉄ニッケル合金が例示される。
また、前記実施形態では、第1配線部材71はコバールを用いて形成されていたが、これに限定されない。例えば、第1配線部材は銅等により形成されていてもよく、導電性の部材で形成されていればよい。なお、第1配線部材は、ガラスと線膨張係数の近い金属から構成されていることが好ましい。
さらに、前記実施形態では、台部材6の挿入孔61はガラス62により封止されていたが、これに限定されない。例えば、台部材の挿入孔は、接着剤等により封止されていてもよい。