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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176511
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】振動デバイス
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
H04R17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088831
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆志
(72)【発明者】
【氏名】武田 明丈
【テーマコード(参考)】
5D004
【Fターム(参考)】
5D004AA06
5D004AA09
5D004AA13
5D004BB01
5D004CD08
5D004DD01
5D004FF07
5D004FF09
(57)【要約】
【課題】、外部装置への取り付けにあたって出力特性の維持が図られる振動デバイスを提供する。
【解決手段】振動デバイス1Aは、所定の振動周波数を有する振動体2と、振動体2を保持する筐体3と、を備え、筐体3は、振動体2が配置される配置面Paを有する振動部11と、配置面Pa側に設けられ、外部の取付部材Kに係合する係合部12と、振動体2に対して非接触となるように、振動部11と係合部12とを仕切る仕切板14と、を有する。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の振動周波数を有する振動体と、
前記振動体を保持する筐体と、を備え、
前記筐体は、
前記振動体が配置される配置面を有する振動部と、
前記配置面側に設けられ、外部の取付部材に係合する係合部と、
前記振動体に対して非接触となるように、前記振動部と前記係合部とを仕切る仕切板と、を有する振動デバイス。
【請求項2】
前記仕切板は、前記振動体側への可撓性を有している請求項1記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記取付部材による取付先の外部装置の音響デバイスとして構成されている請求項1記載の振動デバイス。
【請求項4】
前記仕切板は、前記振動体と所定の間隔をもって対向するように配置されている請求項1記載の振動デバイス。
【請求項5】
前記係合部は、前記仕切板と所定の間隔をもって対向するように配置されたカバーを有する請求項1~4のいずれか一項記載の振動デバイス。
【請求項6】
前記振動体と前記振動部との間に振動空間が設けられている請求項1~4のいずれか一項記載の振動デバイス。
【請求項7】
前記振動部において、前記配置面と反対側の面には、前記振動体から遠ざかるにつれて肉厚となる肉厚部が設けられている請求項1~4のいずれか一項記載の振動デバイス。
【請求項8】
前記肉厚部によって、前記配置面と反対側の面は、湾曲面となっている請求項7記載の振動デバイス。
【請求項9】
前記肉厚部は、前記筐体の平面視において、前記振動体を挟むように設けられている請求項7記載の振動デバイス。
【請求項10】
前記振動体は、前記筐体の平面視において、長方形状をなしており、
前記肉厚部は、前記振動体の短辺側に設けられている請求項7記載の振動デバイス。
【請求項11】
前記肉厚部は、前記筐体の平面視において、前記振動体と重なる領域を含むように、当該肉厚部の一部を減肉する切欠部を有している請求項7記載の振動デバイス。
【請求項12】
前記係合部は、爪部を有している請求項7記載の振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の振動デバイスとして、例えば特許文献1に記載の透明スピーカがある。この従来の透明スピーカは、ユニモルフ型又はバイモルフ型の振動板構造を有する振動デバイスである。この透明スピーカは、表面側に設けられた透明電極のリード部を裏面側の透明電極と絶縁して裏面側に配置した透明圧電磁器を有している。振動板は、透明圧電磁器の裏面側に設けられている。振動板には、導電性透明樹脂又は透明電極材によって構成された一対のリード線が設けられている。リード線は、表裏の各電極と電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-70100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような振動デバイスは、例えばヘッドセット、ヘッドアップディスプレイなどの外部装置に取り付けられた状態で使用される場合がある。外部装置への振動デバイスの取り付けにあたっては、振動デバイスが有する出力特性の維持の観点から、ベルトなどの外部の取付部材に起因する振動が振動デバイスの振動に影響しないような工夫が必要となる。また、これとは反対に、振動デバイスの振動が取付部材を介して外部装置側に漏れないような工夫も必要となる。
【0005】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、外部装置への取り付けにあたって出力特性の維持が図られる振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る振動デバイスは、所定の振動周波数を有する振動体と、振動体を保持する筐体と、を備え、筐体は、振動体が配置される配置面を有する振動部と、配置面側に設けられ、外部の取付部材に係合する係合部と、振動体に対して非接触となるように、振動部と係合部とを仕切る仕切板と、を有する。
【0007】
この振動デバイスでは、振動体を保持する筐体において、振動部と係合部とを仕切る仕切板が設けられている。仕切板によって振動部と係合部とが仕切られることで、係合部に係合する外部の取付部材が振動体及び振動部に当たることが防止され、外部の取付部材に起因する振動が振動体及び振動部の振動に影響することを抑制できる。また、仕切板が振動体に対して非接触となっているため、振動体及び振動部の振動が取付部材を介して外部装置側に漏れることも抑制できる。したがって、この振動デバイスでは、外部装置への取り付けにあたって出力特性の維持が図られる。
【0008】
仕切板は、振動体側への可撓性を有していてもよい。これにより、仕切板の機能を維持しつつ、係合部への外部の取付部材のフィット性を高めることができる。
【0009】
振動デバイスは、取付部材による取付先の外部装置の音響デバイスとして構成されていてもよい。この振動デバイスは、外部装置のオーディオ出力部などとして好適に用いることができる。
【0010】
仕切板は、振動体と所定の間隔をもって対向するように配置されていてもよい。この場合、振動体から一定の間隔をもって振動部と係合部とが仕切られる。したがって、外部の取付部材に起因する振動が振動体及び振動部の振動に影響することをより確実に抑制できる。また、振動体及び振動部の振動が取付部材を介して外部装置側に漏れることをより確実に抑制できる。構成の簡単化により、振動デバイスの薄型化も図られる。
【0011】
係合部は、仕切板と所定の間隔をもって対向するように配置されたカバーを有していてもよい。この場合、係合部によって外部の取付部材をしっかりと係止できる。
【0012】
振動体と振動部との間に振動空間が設けられていてもよい。この場合、振動空間によって音の出力の指向性を容易に制御できる。
【0013】
振動部において、配置面と反対側の面には、振動体から遠ざかるにつれて肉厚となる肉厚部が設けられていてもよい。このような肉厚部の形成により、振動部において振動体が配置された領域を選択的に振動させることができる。したがって、音の出力の指向性を高めることができる。
【0014】
肉厚部によって、配置面と反対側の面は、湾曲面となっていてもよい。このような構成によれば、振動デバイスを取り付けた外部装置をユーザが装着するような場合に、湾曲面をユーザの頭部などに沿わせることができる。したがって、振動デバイスのフィット感を向上できる。
【0015】
肉厚部は、筐体の平面視において、振動体を挟むように設けられていてもよい。これにより、振動部において振動体が配置された領域をより選択的に振動させることができる。したがって、音の出力の指向性を更に高めることができる。
【0016】
振動体は、筐体の平面視において、長方形状をなしており、肉厚部は、振動体の短辺側に設けられていてもよい。この場合、肉厚部の形成領域が過剰とならず、振動デバイスを取り付けた外部装置をユーザが装着するような場合に、振動デバイスのフィット感を向上できる。
【0017】
肉厚部は、筐体の平面視において、振動体と重なる領域を含むように、当該肉厚部の一部を減肉する切欠部を有していてもよい。これにより、振動部において振動体が配置された領域をより選択的に振動させることができる。したがって、音の出力の指向性を更に高めることができる。
【0018】
係合部は、爪部を有していてもよい。この場合、爪部によって外部の取付部材を着脱自在に係合できる。したがって、振動デバイスの利便性を向上できる。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、外部装置への取り付けにあたって出力特性の維持が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の第1実施形態に係る振動デバイスを示す斜視図である。
図2図1に示す振動デバイスをカバーを取り除いて示す斜視図である。
図3図2に示す振動デバイスを更に仕切板を取り除いて示す斜視図である。
図4図1図3に示す振動デバイスの短手方向の断面図である。
図5】本開示の第2実施形態に係る振動デバイスを示す斜視図である。
図6図5に示す振動デバイスを仕切板を取り除いて示す斜視図である。
図7図6に示す振動デバイスを裏面側から見た斜視図である。
図8図5図7に示す振動デバイスの短手方向の断面図である。
図9図5図7に示す振動デバイスの長手方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る振動デバイスの好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
【0022】
図1は、本開示の第1実施形態に係る振動デバイスを示す斜視図である。図2は、図1に示す振動デバイスをカバーを取り除いて示す斜視図である。図3に示す振動デバイスを更に仕切板を取り除いて示す斜視図である。図4は、図1図3に示す振動デバイスの短手方向の断面図である。本実施形態では、振動デバイス1Aは、例えばスピーカ、ブザーなどの音響デバイスとして構成されている。振動デバイス1Aは、例えばヘッドセット、ヘッドアップディスプレイなどの外部装置に対し、ベルトなどの取付部材K(図4参照)によって取り付け可能となっており、当該装置におけるオーディオ出力部として機能する。
【0023】
図1図4に示すように、振動デバイス1Aは、所定の振動周波数を有する振動体2と、振動体2を保持する筐体3とを備えている。振動体2は、圧電素子4と、配線部材5と、振動板6とによって構成されている。本実施形態では、圧電素子4は、厚さ方向に扁平な直方体形状をなしている。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている形状、角部及び稜線部が丸められている形状も含まれ得る。圧電素子4は、例えば両面テープなどの接合部材によって振動板6の一面側に接合されている。
【0024】
圧電素子4は、圧電素体及び一対の外部電極を有している。圧電素体は、複数の圧電体層の積層体によって構成されている。各圧電体層は、圧電セラミックなどの圧電材料によって形成されている。圧電セラミック材料としては、例えばPZT[Pb(Zr、Ti)O]、PT(PbTiO)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O]、又はチタン酸バリウム(BaTiO)などが挙げられる。
【0025】
各圧電体層は、例えば上述した圧電セラミックを含むセラミックグリーンシートの焼結体によって構成されている。実際の圧電素体では、各圧電体層は、各圧電体層の間の境界が認識できない程度に一体化されている。圧電素体内には、複数の内部電極(不図示)が配置されている。各内部電極は、導電性材料によって形成されている。導電性材料としては、例えばAg、Pd、Ag-Pd合金などが挙げられる。
【0026】
配線部材5は、圧電素子4と外部装置とを電気的に接続する部材である。配線部材5は、例えばフレキシブルプリント基板(FPC)である。配線部材5の一端側は、圧電素子4の一対の外部電極のそれぞれに電気的に接続されている。配線部材5の一端側と圧電素子4の外部電極との接続には、例えば異方導電性接着材を用いることができる。配線部材5の他端側は、図3に示すように、圧電素子4の一方の短辺側に引き出され、振動デバイス1Aの長手方向に延在している。配線部材5の他端側は、筐体3におけるカバー13と仕切板14との間の開口部7(図1及び図2参照)から振動デバイス1Aの外部に引き出されている。
【0027】
振動板6は、例えば金属材料からなる板状の部材である。振動板6を構成する金属材料としては、例えばNi-Fe合金、Ni、黄銅、ステンレス鋼などが挙げられる。本実施形態では、振動板6は、平面視において、圧電素子4と同様に、長方形状をなしている。振動板6の長手方向は、圧電素子4の長手方向に沿い、振動板6の短手方向は、圧電素子4の短手方向に沿っている。振動板6は、圧電素子4が厚さ方向に変動することによって振動し、所定の振動周波数に基づく音を出力する。
【0028】
筐体3は、図1図4に示すように、例えばプラスチックなどによって、全体として板状に形成されている。筐体3の平面形状は、圧電素子4及び振動板6と同様に、長方形状をなしている。筐体3の長手方向は、圧電素子4の長手方向に沿い、筐体3の短手方向は、圧電素子4の短手方向に沿っている。筐体3は、図4に示すように、振動体2が配置される配置面Paを有する振動部11と、配置面Pa側に設けられ、外部の取付部材Kに係合する係合部12とを有している。また、筐体3は、振動デバイス1Aへの取付部材Kの取り付けのためのカバー13及び仕切板14を有している。
【0029】
振動部11は、筐体3の基部をなす部分である。振動部11の一面側は、配置面Paとなっている。振動部11において、配置面Pa側には、振動板6が配置される一対の段部15A,15Aと、仕切板14が配置される一対の段部15B,15Bとが設けられている。段部15A,15A及び段部15B,15Bは、平面視において、振動体2を筐体3の短手方向に挟むように、筐体3の長手方向の一端から他端にわたって設けられている(図3参照)。段部15Aには、例えば接着によって振動板6の長辺側の縁部が固定されている。段部15Bには、例えば接着によって仕切板14の長辺側の縁部が固定されている。
【0030】
段部15Aにより、振動体2と振動部11との間には、振動空間Sが設けられている。振動空間Sは、配置面Paからの段部15Aの高さに応じて、扁平な直方体形状をなしている。振動空間Sは、振動体2における振動板6と振動部11の配置面Paとの間で、筐体3の長手方向の一端から他端にわたって延在している。振動空間Sは、筐体3の長手方向の一端及び他端において、外部に対して開放された状態となっている。振動体2及び振動部11における振動は、振動空間Sを長手方向に伝搬し、筐体3の長手方向の一端側及び他端側から筐体3の外部に出力される。
【0031】
仕切板14は、振動部11と係合部12とを仕切る部材である。仕切板14は、例えばプラスチック或いは金属によって板状に形成されている。仕切板14は、振動体2側への可撓性を有している。仕切板14は、振動体2と反対側(カバー13側)への可撓性を有していてもよい。仕切板14は、平面視において、圧電素子4及び振動板6と同様に、長方形状をなしている。仕切板14の長手方向は、圧電素子4の長手方向に沿い、仕切板14の短手方向は、圧電素子4の短手方向に沿っている。仕切板14の短手方向の長さは、振動板6の短手方向の長さよりも僅かに大きくなっている。
【0032】
仕切板14は、振動体2に対して非接触となるように、振動部11と係合部12とを仕切っている。具体的には、本実施形態では、段部15Bの高さ(段部15Aの頂面からの高さ)は、振動体2の厚さ(振動板6の厚さ、圧電素子4の厚さ、及び配線部材5の厚さ)の合計よりも大きくなっている。圧電素子4と振動板6とを両面テープで接合する場合、振動体2の厚さには、両面テープの厚さも含まれる。これにより、仕切板14と振動体2とは、段部15Bの高さと振動体2の厚さとの差に基づく間隔をもって互いに対向するように配置されている。
【0033】
仕切板14と振動体2との間の間隔は、例えば振動空間Sの高さ(段部15Aの高さ)よりも小さくなっている。これにより、筐体3の厚さが過剰になることが抑制され、より薄型の振動デバイス1Aが提供され得る。仕切板14と振動体2との間の間隔は、これに限られず、振動空間Sの高さと等しくなっていてもよく、振動空間Sの高さより大きくなっていてもよい。
【0034】
係合部12は、本実施形態では、図4に示すように、段部15Bのそれぞれの頂面に設けられた一対の側壁部16,16と、上述したカバー13とによって構成されている。側壁部16の高さ(段部15Bの頂面からの高さ)は、仕切板14の厚さ及び外部の取付部材Kの厚さの合計以上となっている。カバー13は、例えば接着によって側壁部16,16のそれぞれの頂面に固定されている。これにより、カバー13は、仕切板14と所定の間隔をもって対向するように配置されている。
【0035】
側壁部16,16へのカバー13の固定により、カバー13と仕切板14との間には、取付部材Kを挿通させる挿通空間Vが設けられている。挿通空間Vは、側壁部16の高さと仕切板14の厚さとの差に応じて、扁平な直方体形状をなしている。挿通空間Vは、カバー13と仕切板14との間で、筐体の長手方向の一端から他端にわたって延在している。筐体3の長手方向の一端及び他端では、挿通空間Vは、外部に対して開放された状態となっている。挿通空間Vにベルトなどの取付部材Kを挿通させることで、外部装置に対して振動デバイス1Aを取り付けることができる。
【0036】
以上説明したように、振動デバイス1Aでは、振動体2を保持する筐体3において、振動部11と係合部12とを仕切る仕切板14が設けられている。仕切板14によって振動部11と係合部12とが仕切られることで、係合部12に係合する外部の取付部材Kが振動体2及び振動部11に当たることが防止され、外部の取付部材Kに起因する振動が振動体2及び振動部11の振動に影響することを抑制できる。また、仕切板14が振動体2に対して非接触となっているため、振動体2及び振動部11の振動が取付部材Kを介して外部装置側に漏れることも抑制できる。したがって、振動デバイス1Aでは、外部装置への取り付けにあたって出力特性の維持が図られる。
【0037】
本実施形態では、仕切板14は、振動体2側への可撓性を有していてもよい。これにより、仕切板14の機能を維持しつつ、係合部12への外部の取付部材Kのフィット性を高めることができる。
【0038】
本実施形態では、振動デバイス1Aは、取付部材Kによる取付先の外部装置の音響デバイスとして構成されている。この振動デバイス1Aは、外部装置のオーディオ出力部などとして好適に用いることができる。
【0039】
本実施形態では、仕切板14は、振動体2と所定の間隔をもって対向するように配置されている。この構成によれば、振動体2から一定の間隔をもって振動部11と係合部12とが仕切られる。したがって、外部の取付部材Kに起因する振動が振動体2及び振動部11の振動に影響することをより確実に抑制できる。また、振動体2及び振動部11の振動が取付部材Kを介して外部装置側に漏れることをより確実に抑制できる。構成の簡単化により、振動デバイス1Aの薄型化も図られる。
【0040】
本実施形態では、係合部12は、仕切板14と所定の間隔をもって対向するように配置されたカバー13を有している。これにより、係合部12によって外部の取付部材Kをしっかりと係止できる。また、本実施形態では、振動体2と振動部11との間に振動空間Sが設けられていてもよい。これにより、振動空間Sによって音の出力の指向性を容易に制御できる。
[第2実施形態]
【0041】
図5は、本開示の第2実施形態に係る振動デバイスを示す斜視図である。図6は、図5に示す振動デバイスを仕切板を取り除いて示す斜視図である。図7は、図6に示す振動デバイスを裏面側から見た斜視図である。図8は、図5図7に示す振動デバイスの短手方向の断面図であり、図9は、その長手方向の断面図である。図5図9に示すように、第2実施形態に係る振動デバイス1Bは、筐体3の構成が第1実施形態と異なっている。振動体2における圧電素子4及び配線部材5の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0042】
振動デバイス1Bの筐体3は、第1実施形態と同様に、振動体2が配置される配置面Paを有する振動部11と、配置面Pa側に設けられ、外部の取付部材K(図8参照)に係合する係合部12とを有している。本実施形態では、振動体2に振動板6は設けられておらず、圧電素子4は、例えば両面テープなどの接合部材によって振動部11の配置面Paに対して直に接合されている。振動デバイス1Bの筐体3では、振動体2と振動部11との間に振動空間Sが存在せず、振動部11の振動が直接外部に取り出されるようになっている。
【0043】
振動部11の配置面Pa側には、図6に示すように、仕切板14が配置される一対の段部15,15が設けられている。段部15,15は、平面視において振動体2を筐体3の短手方向に挟むように、筐体3の長手方向の一端から他端にわたって設けられている。仕切板14が振動体2に対して非接触となるように、振動部11と係合部12とを仕切っている点では、第1実施形態と第2実施形態とは共通している。仕切板14と振動体2とは、図8及び図9に示すように、段部15の高さと振動体2の厚さとの差に基づく間隔をもって互いに対向するように配置されている。
【0044】
本実施形態では、図6に示すように、段部15,15のそれぞれに切欠部17が設けられている。図6の例では、切欠部17は、筐体3の平面視において、圧電素子4の直径に対応する円の円周に基づく円弧状をなしている。一方の段部15の切欠部17と、他方の段部15の切欠部17とは、筐体3の短手方向に圧電素子4を挟むように配置されている。切欠部17の弦の長さは、圧電素子4の長手方向の長さに対応した長さとなっている。切欠部17,17の形成領域では、振動部11の肉厚が振動部11の他の領域に比べて小さくなっており、振動体2による振動部11の振動領域が拡張されている。
【0045】
振動部11において、配置面Paと反対側の面(以下、「反対面Pb」と称す)には、図6図7、及び図9に示すように、振動体2から遠ざかるにつれて肉厚となる一対の肉厚部18,18が設けられている。本実施形態では、肉厚部18,18は、振動体2の短辺側に設けられている。肉厚部18,18は、筐体3の平面視において、振動体2を筐体3の長手方向に挟むように、筐体3の短手方向の一端から他端にわたって設けられている。
【0046】
本実施形態では、肉厚部18,18によって、振動部11の反対面Pbが湾曲面19となっている。反対面Pbは、筐体3を短手方向から見た場合に、筐体3の長手方向の中央側が凹むように緩やかな湾曲面19となっている(図9参照)。これにより、圧電素子4の配置領域における振動部11の肉厚は、圧電素子4の周囲領域における振動部11の肉厚よりも小さくなっている。湾曲面19により、筐体3の長手方向の中央部分に近づくにつれて、振動部11の肉厚が徐々に減少していてもよい(図9参照)。筐体3の長手方向の中央部分における振動部11の肉厚は、一定となっていてもよい。
【0047】
本実施形態では、図7及び図9に示すように、肉厚部18は、筐体3の平面視において、振動体2と重なる領域を含むように、当該肉厚部18の一部を減肉する一対の切欠部20,20を有している。図9の例では、筐体3の平面視において、一対の切欠部20,20の一部が圧電素子4の長手方向の端部と重なり、一対の切欠部20,20の残部は、圧電素子4よりも長手方向の外側に位置している。
【0048】
図7及び図9の例では、切欠部20は、振動部11の配置面Pa側の切欠部17と同様に、筐体3の平面視において、圧電素子4の直径に対応する円の円周に基づく円弧状をなしている。切欠部20,20は、振動部11の配置面Pa側の切欠部17,17と交差(直交)する向きに配置されている(図6及び図7参照)。ここでは、切欠部20,20は、筐体3の長手方向に圧電素子を挟むように配置されている。切欠部20,20の形成領域では、振動部11の肉厚が一定となっており、振動体2による振動部11の振動領域が拡張されている(図9参照)。
【0049】
係合部12は、カバー13を有しておらず、これに代えて、一対の爪部21,21を有している。爪部21は、段部15,15の頂面にそれぞれ設けられた一対の側壁部16,16の頂部にそれぞれ設けられている。爪部21は、図8に示すように、側壁部16の頂部から筐体3の短手方向に突出している。側壁部16,16からの爪部21,21の突出により、爪部21と仕切板14との間には、取付部材Kを挿通させる挿通空間Vが設けられている。挿通空間Vは、カバー13と仕切板14との間で、筐体の長手方向の一端から他端にわたって延在している。挿通空間Vは、外部に対して開放された状態となっている。挿通空間Vにベルトなどの取付部材Kを挿通させることで、外部装置に対して振動デバイス1Bを着脱自在に取り付けることができる。
【0050】
以上のような振動デバイス1Bにおいても、仕切板14によって振動部11と係合部12とが仕切られることで、係合部12に係合する外部の取付部材Kが振動体2及び振動部11に当たることが防止され、外部の取付部材Kに起因する振動が振動体2及び振動部11の振動に影響することを抑制できる。また、仕切板14が振動体2に対して非接触となっているため、振動体2及び振動部11の振動が取付部材Kを介して外部装置側に漏れることも抑制できる。したがって、外部装置への取り付けにあたって出力特性の維持が図られる。
【0051】
本実施形態では、振動部11において、配置面Paと反対側の面には、振動体2から遠ざかるにつれて肉厚となる肉厚部18が設けられている。このような肉厚部18の形成により、振動部11において振動体2が配置された領域を選択的に振動させることができる。したがって、音の出力の指向性を高めることができる。
【0052】
本実施形態では、肉厚部18によって、配置面Paと反対側の反対面Pbが湾曲面19となっている。このような構成によれば、振動デバイス1Bを取り付けた外部装置をユーザが装着するような場合に、湾曲面19をユーザの頭部などに沿わせることができる。したがって、振動デバイス1Bのフィット感を向上できる。
【0053】
本実施形態では、肉厚部18は、筐体3の平面視において、振動体2を挟むように設けられている。これにより、振動部11において振動体2が配置された領域をより選択的に振動させることができる。したがって、音の出力の指向性を更に高めることができる。
【0054】
本実施形態では、振動体2は、筐体3の平面視において、長方形状をなしている。そして、肉厚部18は、振動体2の短辺側に設けられている。このような構成により、肉厚部18の形成領域が過剰とならず、振動デバイス1Bを取り付けた外部装置をユーザが装着するような場合に、振動デバイス1Bのフィット感を向上できる。
【0055】
本実施形態では、肉厚部18は、筐体3の平面視において、振動体2と重なる領域を含むように、当該肉厚部18の一部を減肉する切欠部20を有している。これにより、振動部11において振動体2が配置された領域をより選択的に振動させることができる。したがって、音の出力の指向性を更に高めることができる。
【0056】
本実施形態では、係合部12が爪部21を有している。これにより、爪部21によって外部の取付部材Kを着脱自在に係合できる。したがって、振動デバイス1Bの利便性を向上できる。
【0057】
本開示の要旨は、以下[1]~[12]のとおりである。
[1]所定の振動周波数を有する振動体と、前記振動体を保持する筐体と、を備え、前記筐体は、前記振動体が配置される配置面を有する振動部と、前記配置面側に設けられ、外部の取付部材に係合する係合部と、前記振動体に対して非接触となるように、前記振動部と前記係合部とを仕切る仕切板と、を有する振動デバイス。
[2]前記仕切板は、前記振動体側への可撓性を有している[1]記載の振動デバイス。
[3]前記取付部材による取付先の外部装置の音響デバイスとして構成されている[1]又は[2]記載の振動デバイス。
[4]前記仕切板は、前記振動体と所定の間隔をもって対向するように配置されている[1]~[3]のいずれか記載の振動デバイス。
[5]前記係合部は、前記仕切板と所定の間隔をもって対向するように配置されたカバーを有する[1]~[4]のいずれか記載の振動デバイス。
[6]前記振動体と前記振動部との間に振動空間が設けられている[1]~[5]のいずれか記載の振動デバイス。
[7]前記振動部において、前記配置面と反対側の面には、前記振動体から遠ざかるにつれて肉厚となる肉厚部が設けられている[1]~[4]のいずれか記載の振動デバイス。
[8]前記肉厚部によって、前記配置面と反対側の面は、湾曲面となっている[7]記載の振動デバイス。
[9]前記肉厚部は、前記筐体の平面視において、前記振動体を挟むように設けられている[7]又は[8]記載の振動デバイス。
[10]前記振動体は、前記筐体の平面視において、長方形状をなしており、前記肉厚部は、前記振動体の短辺側に設けられている[7]~[9]のいずれか記載の振動デバイス。
[11]前記肉厚部は、前記筐体の平面視において、前記振動体と重なる領域を含むように、当該肉厚部の一部を減肉する切欠部を有している[7]~[10]のいずれか記載の振動デバイス。
[12]前記係合部は、爪部を有している[7]~[11]のいずれか記載の振動デバイス。
【符号の説明】
【0058】
1A,1B…振動デバイス、2…振動体、3…筐体、11…振動部、12…係合部、13…カバー、14…仕切板、18…肉厚部、19…湾曲面、20…切欠部、21…爪部、K…取付部材、Pa…配置面、S…振動空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9