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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176516
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20231206BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20231206BHJP
   F24F 11/86 20180101ALI20231206BHJP
【FI】
F25B1/00 304E
F24F11/64
F24F11/86
F25B1/00 371M
F25B1/00 381D
F25B1/00 383
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088839
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】松浦 雄司
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260BA32
3L260CB13
3L260FB07
(57)【要約】
【課題】圧縮機の回転数を変動させることなく冷凍機油の温度を高く保つことが可能な空気調和機を提供する。
【解決手段】空気調和機は圧縮機と、室外熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器と、制御部とを備える。圧縮機は冷凍機油を含む冷媒を圧縮して吐出する。室外熱交換器は冷媒と室外の空気との間で熱交換を行う。膨張弁は冷媒を膨張させる。室内熱交換器は冷媒と室内の空気との間で熱交換を行う。制御部は圧縮機、室外熱交換器、膨張弁、及び室内熱交換器の動作を制御する。圧縮機内の冷凍機油の温度が予め定められた第1の基準温度以下になると判定された場合に、制御部は、膨張弁の開度を絞る第1の保護運転制御を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍機油を含む冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、
前記冷媒と室外の空気との間で熱交換を行う室外熱交換器と、
前記冷媒を膨張させる膨張弁と、
前記冷媒と室内の空気との間で熱交換を行う室内熱交換器と、
前記圧縮機、前記室外熱交換器、前記膨張弁、及び前記室内熱交換器の動作を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記圧縮機内の前記冷凍機油の温度が予め定められた第1の基準温度以下になると判定された場合に、前記膨張弁の開度を絞る第1の保護運転制御を実行する、空気調和機。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の保護運転制御を実行してから予め定められた保護運転基準時間が経過した後に、前記圧縮機内の前記冷凍機油の温度が予め定められた第2の基準温度以下になると判定された場合には、前記第1の保護運転制御よりもさらに前記膨張弁の開度を絞る第2の保護運転制御を実行する、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記室外熱交換器には、前記冷媒と室外の空気との間での熱交換を促進させる室外送風機が設けられており、
前記室内熱交換器には、前記冷媒と室内の空気との間での熱交換を促進させる室内送風機が設けられており、
前記制御部は、前記第1の保護運転制御において、前記圧縮機内の前記冷凍機油の温度が上昇するように、前記室外送風機又は前記室内送風機の送風量を増加させる、請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記室外熱交換器には、前記冷媒と室外の空気との間での熱交換を促進させる室外送風機が設けられており、
前記室内熱交換器には、前記冷媒と室内の空気との間での熱交換を促進させる室内送風機が設けられており、
前記制御部は、前記第1の保護運転制御において、前記圧縮機内の前記冷凍機油の温度が上昇するように、前記室外送風機又は前記室内送風機の送風量を減少させる、請求項1又は請求項2に記載の空気調和機。
【請求項5】
室内の人間の存在又は不在を検出する人感センサーが設けられており、
前記制御部は、前記圧縮機内の前記冷凍機油の温度が前記第1の基準温度以下になると判定され、かつ前記人感センサーが室内の人間の存在を検出した場合に、前記第1の保護運転制御を実行する、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記圧縮機は、回転数の制御によって能力を変更可能であり、
前記制御部は、前記圧縮機内の前記冷凍機油の温度が前記第1の基準温度以下になると判定され、かつ前記人感センサーが室内の人間の不在を検出した場合には、前記第1の保護運転制御に代えて、前記圧縮機の回転数を増加させる圧縮機増進制御を実行する、請求項5に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記室内熱交換器には、前記冷媒と室内の空気との間での熱交換を促進させる室内送風機が設けられており、
前記制御部が前記圧縮機増進制御を実行した後、前記人感センサーが室内の人間の存在を検出した場合には、前記制御部は前記室内送風機による室内への送風の向きを上向きに変更する制御を実行する、請求項6に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された空気調和機は、能力可変型の圧縮機を備える。特許文献1に記載された空気調和機には、空調負荷が低い低負荷時において温度制御を禁止する温度制御禁止期間が設定されている。そして、温度制御禁止期間中に、圧縮機が第1周波数で立ち上げられた後、第1周波数よりも低い第2周波数で圧縮機が運転される保護運転が行われる。特許文献1においては、保護運転により、圧縮機内の冷凍機油の温度を所定温度以上に維持して圧縮機の保護を図ることが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-200470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された空気調和機では、内気温度(室内の温度)が目標温度に到達して圧縮機の駆動が停止される温度制御禁止期間中に、圧縮機の立ち上げが行われることになる。すなわち、既に室内の温度が目標温度に到達しているにも関わらず、圧縮機の運転によって室内の温度の変化が生じてしまう。したがって、特許文献1に記載された空気調和機では、室内環境の悪化を招いて空気調和機を利用しているユーザーに不快感を与えてしまうおそれがある。
【0005】
上記の問題点に鑑み、本発明は、圧縮機の回転数を変動させることなく冷凍機油の温度を高く保つことが可能な空気調和機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る空気調和機は、圧縮機と、室外熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器と、制御部とを備える。前記圧縮機は冷凍機油を含む冷媒を圧縮して吐出する。前記室外熱交換器は前記冷媒と室外の空気との間で熱交換を行う。前記膨張弁は前記冷媒を膨張させる。前記室内熱交換器は前記冷媒と室内の空気との間で熱交換を行う。前記制御部は前記圧縮機、前記室外熱交換器、前記膨張弁、及び前記室内熱交換器の動作を制御する。前記圧縮機内の前記冷凍機油の温度が予め定められた第1の基準温度以下になると判定された場合に、前記制御部は、前記膨張弁の開度を絞る第1の保護運転制御を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る空気調和機によれば、膨張弁の開度を絞ることによって、圧縮機の回転数などの運転状態を変動させることなく冷凍機油の温度を高く保つことができる。したがって、室内の温度が大きく変化することがなく、室内環境が快適に保たれた上で、冷凍機油の温度が高く保たれる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態の一例に係る空気調和機の構成を模式的に示すブロック図である。
図2】冷房運転時の冷凍サイクルを示す図である。
図3】暖房運転時の冷凍サイクルを示す図である。
図4】冷凍機油の温度判定が行われる際の制御部の動作を示すフローチャートである。
図5】保護運転制御の一例を示すフローチャートである。
図6】保護運転制御の別例を示すフローチャートである。
図7】人感センサーが設けられている場合の制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
まず、図1を参照して、本発明の実施形態の一例に係る空気調和機10の構成について説明する。図1は、空気調和機10の構成を模式的に示すブロック図である。図1に示されているように、空気調和機10は、リモコン14と、室内機20と、室外機30と、制御部40とを有する。
【0011】
リモコン14は、空気調和機10のユーザーが空気調和機10へ所望の動作命令(目標温度など)を送信するための入力装置である。室内機20は、ユーザーが所在している部屋の室内に配置される機器である。室外機30は、ユーザーが所在している部屋の室外に配置される機器である。制御部40は、室内機20及び室外機30の動作を制御するユニットであり、互いに通信を行う室内制御部41と室外制御部42によって構成される。室内制御部41は室内機20を制御し、室外制御部42は室外機30を制御する。
【0012】
室内機20は、室内熱交換器21と、室内送風機22と、リモコン送受信部24と、制御部40の一部である室内制御部41と、室内環境検出部50を有する。室内熱交換器21は、空気調和機10内を循環する冷媒と室内の空気との間で熱交換を行う。室内送風機22は、室内熱交換器21に設けられた機器である。室内送風機22は、室内熱交換器21に対してファンによって送風を行うなどの方法で冷媒と室内の空気との間での熱交換を促進する。リモコン送受信部24は通信装置である。リモコン送受信部24は、リモコン14から送信された動作命令を受信して、動作命令を室内制御部41へ伝える。またリモコン送受信部24は、ユーザーに対して表示するべき情報(現在の室温、動作モードなど)をリモコン14へと送信する。
【0013】
室内制御部41はCPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサと、RAM(Randam Access Memory)のような記憶装置と、通信ユニットとを含む情報処理装置である。また室内制御部41は、判定部43と、運転制御部44と、室内通信部45と、指令送信部46とを有する。判定部43、運転制御部44、室内通信部45、及び指令送信部46の各機能は、室内制御部41の記憶装置に記憶されるプログラムが実行されることで実現される。
【0014】
判定部43は、室内制御部41が受信した情報(室内の気温など)に基づいて、空気調和機10の動作に関する判定を行う。運転制御部44は、判定部43の判定に応じて、空気調和機10の動作を制御する。室内通信部45は、室内制御部41の通信ユニットを介して、室外制御部42、室内環境検出部50との通信を行う。指令送信部46は、通信ユニットを介した通信を行うことで、判定部43の判定及び運転制御部44の制御に応じた動作指令を室内熱交換器21及び室内送風機22へ送信する。このようにして、制御部40の一部である室内制御部41が、室内熱交換器21の動作を制御する。なお室内通信部45及び指令送信部46による通信は、電磁波による無線通信で行われてもよいし、室内制御部41に接続されている電気配線を介した有線通信で行われてもよい。
【0015】
室内環境検出部50は、室内の環境情報を検出するためのセンサー群である。図1の室内環境検出部50には、室温センサー51、室内熱交換器温度センサー52、人感センサー53が含まれる。室温センサー51は、室内の気温(室温)を検出する。室内熱交換器温度センサー52は、室内熱交換器21の温度を検出する。人感センサー53は、室内の人間の存在又は不在を検出する。室温センサー51及び室内熱交換器温度センサー52の具体例としては、サーミスタが挙げられるが、これに限られるものではなく、温度の検出が可能であればよい。人感センサー53の具体例としては、赤外線フォトリフレクターが挙げられるが、これに限られるものではなく、室内に人間が存在しているか否か(存在又は不在)を検出できればよい。室内環境検出部50のセンサー群による検出結果は室内制御部41へ送信される。
【0016】
一方、室外機30は、室外熱交換器31と、室外送風機32と、圧縮機33と、膨張弁34と、四方弁35と、クランクケースヒーター36と、三方弁37と、二方弁38と、制御部40の一部である室外制御部42と、室外環境検出部60とを有する。
【0017】
室外熱交換器31は、空気調和機10内を循環する冷媒と室外の空気との間で熱交換を行う。室外送風機32は、室外熱交換器31に設けられた機器である。室外送風機32は、室外熱交換器31に対してファンによって送風を行うなどの方法で冷媒と室外の空気との間での熱交換を促進する。
【0018】
圧縮機33は、冷媒の流れにおいて室内熱交換器21と室外熱交換器31との間に配置された機器である。圧縮機33は、冷凍機油を含む冷媒を圧縮して吐出する動作を行う。本実施形態の圧縮機33は、回転数の制御によって能力を変更可能(能力可変型)である。
【0019】
膨張弁34は、冷媒の流れにおいて室内熱交換器21と室外熱交換器31との間、かつ圧縮機33と直接には接続されない位置に配置された弁体装置であり、冷媒を膨張させる動作を行う。本実施形態の膨張弁34は、複数段階の開度が設定されており、開度の制御によって冷媒の膨張度合いを変更可能である。
【0020】
四方弁35は、圧縮機33に取り付けられる弁体装置である。四方弁35は、空気調和機10が冷房運転を行うか、暖房運転を行うかに応じて、圧縮機33に対する室内熱交換器21及び室外熱交換器31の接続状態を変更する。具体的には、冷房運転において四方弁35は、室内熱交換器21から送られてきた冷媒を圧縮機33の吸い込み口(サクション側)に接続し、圧縮機33で圧縮された冷媒の吐き出し口(吐出側)を室外熱交換器31へ接続する。そして暖房運転において四方弁35は、室外熱交換器31から送られてきた冷媒をサクション側に接続し、吐出側を室内熱交換器21へ接続する。
【0021】
クランクケースヒーター36は、圧縮機33に取り付けられたヒーターである。クランクケースヒーター36は主に寒冷地向けの空気調和機10に設けられる。その一方で、寒冷地向けではない空気調和機10にはクランクケースヒーター36が設けられていないこともある。
【0022】
三方弁37は冷媒の流れにおいて室内熱交換器21と圧縮機33との間に設けられる弁体装置である。二方弁38は冷媒の流れにおいて膨張弁34と室内熱交換器21との間に設けられる弁体装置である。三方弁37及び二方弁38は、基本的に空気調和機10の保守作業及び取り換え作業の際に(真空引き及び冷媒回収などのために)操作されるものであり、通常の空気調和動作においては冷媒を通過させるのみである。
【0023】
室外制御部42はプロセッサと記憶装置と通信ユニットとを含む情報処理装置である。室外制御部42は、室外通信部47及び指令送信部48を有する。室外通信部47及び指令送信部48の各機能は、室外制御部42の記憶装置に記憶されるプログラムが実行されることで実現される。室外通信部47は、室外制御部42の通信ユニットを介して、室内制御部41、室外環境検出部60との通信を行う。指令送信部48は、通信ユニットを介した通信により、室内制御部41から送信されてきた動作指令を、必要に応じて室外熱交換器31、室外送風機32、圧縮機33、膨張弁34、四方弁35、クランクケースヒーター36、三方弁37、及び二方弁38へ送信する。このようにして、制御部40の一部である室外制御部42が、室外熱交換器31、圧縮機33、膨張弁34の動作を制御する。なお室外通信部47及び指令送信部48による通信は、電磁波による無線通信で行われてもよいし、室外制御部42に接続されている電気配線を介した有線通信で行われてもよい。
【0024】
室外環境検出部60は、室外の環境情報を検出するためのセンサー群である。図1の室外環境検出部60には、外気温センサー61、室外熱交換器温度センサー62、吐出温度センサー63、サクション温度センサー64、及び二方弁温度センサー65が含まれる。外気温センサー61は、室外の気温(外気温)を検出する。室外熱交換器温度センサー62は、室外熱交換器31の温度を検出する。吐出温度センサー63は、圧縮機33から吐出される冷媒の温度を検出する。サクション温度センサー64は、圧縮機33へ流れ込む冷媒の温度を検出する。二方弁温度センサー65は、二方弁38を通過する冷媒の温度を検出する。外気温センサー61、室外熱交換器温度センサー62、吐出温度センサー63、サクション温度センサー64、及び二方弁温度センサー65の具体例としては、サーミスタが挙げられるが、これに限られるものではなく、温度の検出が可能であればよい。
【0025】
次に、図2を参照して、空気調和機10が冷房運転を行う場合の冷凍サイクルについて説明する。図2に示されているように、空気調和機10の室内機20と室外機30とは冷媒配管15によって接続されている。冷媒配管15内を流れる冷媒は、空気調和機10内を循環する。
【0026】
冷房運転が行われる場合、四方弁35は圧縮機33の吐出側を室外熱交換器31に接続し、圧縮機33のサクション側を室内熱交換器21に接続する。冷房運転においてはまず、圧縮機33内で圧縮されて高温になった冷媒が室外熱交換器31へ吐出される。
【0027】
冷媒は室外熱交換器31を通ることで外気温程度まで冷却される。室外熱交換器31で冷却された冷媒は、膨張弁34へ送られる。そして膨張弁34が冷媒を膨張させることにより、冷媒の圧力及び温度が低下する(典型的には、外気温よりもさらに低い温度となる)。
【0028】
膨張させられて温度の低下した冷媒は室内熱交換器21へ送られる。温度の低下した冷媒と室内の空気との間で熱交換が行われることにより、室温が低下して、冷房効果が得られる。室内の空気との熱交換によって温度の上昇した冷媒は、圧縮機33のサクション側へ送られて、再び圧縮機33による圧縮が行われる。以上のサイクルを繰り返すことにより、室内の空気の冷却、すなわち冷房運転が行われる。
【0029】
次に、図3を参照して、空気調和機10が暖房運転を行う場合の冷凍サイクルについて説明する。暖房運転が行われる場合、四方弁35は圧縮機33の吐出側を室内熱交換器21に接続し、圧縮機33のサクション側を室外熱交換器31に接続する。暖房運転においてはまず、まず、圧縮機33内で圧縮されて高温になった冷媒が室内熱交換器21へ吐出される。
【0030】
高温になった冷媒と室内の空気との間で熱交換が行われることにより、室温が上昇して、暖房効果が得られる。室内の空気との熱交換によって(室温程度にまで)温度の低下した冷媒は、膨張弁34へ送られる。そして膨張弁34が冷媒を膨張させることにより、冷媒の圧力及び温度が低下する(典型的には、室温及び外気温よりもさらに低い温度となる)。
【0031】
膨張させられて温度の低下した冷媒は室外熱交換器31へ送られる。温度の低下した冷媒と室外の空気との間で熱交換が行われることにより、冷媒の温度は外気温程度まで上昇する。温度の上昇した冷媒は、圧縮機33のサクション側へ送られて、再び圧縮機33による圧縮が行われる。以上のサイクルを繰り返すことにより、室内の空気の加熱、すなわち暖房運転が行われる。
【0032】
以上に説明した冷凍サイクルにおいては、冷房運転の場合でも暖房運転の場合でも、圧縮機33による冷媒の圧縮が行われる。室内の目標温度(ユーザーの希望する温度)と現在の室温との差が大きい場合には、大きい回転数で圧縮機33が動作することによって、強い冷房効果又は暖房効果を生み、室温を素早く目標温度まで近づけることが可能である。
【0033】
ところが、現在の室温が目標温度に近づいてくると、強い冷房効果又は暖房効果は必要なくなるため、圧縮機33の回転数が下がっていく。圧縮機33の回転数が下がると、圧縮機33内に入っている冷凍機油の温度が下がっていく。冷凍機油の温度が適正範囲内にあれば、冷凍機油は適度な粘度を維持して圧縮機33内で適正な潤滑作用を発揮する。しかし冷凍機油の温度が過度に低下すると、冷凍機油の粘度が増加して、適正な潤滑作用が得られなくなる。また冷媒機油は温度が低下すると冷媒と混じりやすくなり、多くの冷媒機油が圧縮機33から吐出されるようになる。すると圧縮機33内の冷凍機油の量が減少し、やはり適正な潤滑作用が得られなくなる。
【0034】
本実施形態の空気調和機10は、現在の室温が目標温度に近づいて、圧縮機33の回転数が下がった状態において、以下の制御を行うことにより、冷凍機油の温度を高く保つことを可能とする。
【0035】
図4は、冷凍機油の温度判定が行われる際の制御部40の動作を示すフローチャートである。図4に示されているように、まず、ステップS10において、制御部40の判定部43は、冷凍機油の温度判定を行う。
【0036】
冷凍機油の温度判定とは、圧縮機33内の冷凍機油が現在どの程度の温度になっているか(温度条件)を判定する処理である。冷凍機油の温度条件は、室内環境検出部50及び室外環境検出部60が検出するデータを基に判定可能である。例えば、「吐出SH」(SH=Super Heat:冷媒の飽和温度に対して圧力が変化せず温度だけが上昇した度合い)、及び「サクションSH」と呼ばれる以下の値に基づいて冷凍機油の温度条件を判定可能である。
【0037】
[冷房運転の場合]
・吐出SH:吐出温度センサー63の検出温度と、室外熱交換器温度センサー62の検出温度の差
・サクションSH:サクション温度センサー64の検出温度と、二方弁温度センサー65の検出温度の差
【0038】
[暖房運転の場合]
・吐出SH:吐出温度センサー63の検出温度と、室内熱交換器温度センサー52の検出温度の差
・サクションSH:サクション温度センサー64の検出温度と、室外熱交換器温度センサー62の検出温度の差
【0039】
吐出温度センサー63の検出温度及びサクション温度センサー64の検出温度は冷凍機油の温度を直接示すものではないが、吐出温度センサー63の検出温度(圧縮機33から吐出される冷媒の温度)は冷凍機油の温度と相関する。また吐出温度センサー63の検出温度はサクション温度センサー64の検出温度(圧縮機33に流れ込む冷媒の温度)とも相関する。したがって、吐出温度センサー63の検出温度又はサクション温度センサー64の検出温度を基に、冷凍機油の温度条件を判定可能である。
【0040】
また、冷凍機油の種類によって飽和温度(液相と気相とが共存する状態の温度)が異なるため、冷凍機油の現在温度そのものの高低よりも、現在温度と飽和温度との差が大きいか小さいか、という温度条件に基づいて制御を行うことが好ましい。そこで上記の通り、吐出温度センサー63の検出温度又はサクション温度センサー64の検出温度そのものではなく、冷凍サイクルにおいて冷媒の液相と気相(液体とガス)が混合した状態となる領域に設けられたセンサーの検出温度との差を計算に用いる。
【0041】
上記の通り、本実施形態においては冷凍機油の温度を直接計算に用いるものではないが、以下においては説明のため、ステップS10において現在の冷凍機油の温度がToilという値として得られたものとする。なお、もしも冷凍機油の温度を直接測定可能なセンサーが設けられているならば、そのセンサーを用いて冷凍機油の温度が判定されてもよい。
【0042】
次に、ステップS11において、冷凍機油の現在温度が過度に低くなっているかどうかが制御部40の判定部43によって判定される。吐出SHを判定に用いる場合は、制御部40の判定部43は例えば吐出SHの値が15度以下の場合に、冷凍機油の温度が過度に低くなっていると判断すればよい。実際に計算に使っている値が何であっても(吐出SH及びサクションSHなどであっても)、冷凍機油の温度Toilが予め定められた第1の基準温度Tstd1以下になるかどうかが実質的に判定されればよい。
【0043】
ステップS11において冷凍機油の温度Toilが第1の基準温度Tstd1よりも高い場合(ステップS11でNO)には、制御部40の判定部43は再び冷凍機油の温度判定を行う(ステップS10に戻る)。なお、室温がまだ目標温度に到達していない間は、圧縮機33の回転数は高いままであるため、冷凍機油の温度は十分に高くなっている。したがって、室温がまだ目標温度に到達していない間は、ステップS11でNOと判定されることになる。
【0044】
一方、冷凍機油の温度Toilが第1の基準温度Tstd1以下であると判定された場合(ステップS11でYES)には、冷凍機油の温度が過度に低くなったと判断され、制御部40は、ステップS12に進んで、運転制御部44を用いて冷凍機油の温度を高く保つための保護運転制御を実行する。
【0045】
図5に、保護運転制御の一例としてのフローチャートが示されている。図5の保護運転制御においては、まずステップS20において、制御部40の運転制御部44による第1の保護運転制御が実行される。第1の保護運転制御では、膨張弁34の開度が絞られる。図5においては、膨張弁34に設定されている複数段階の開度のうち、予め定められたX1段階だけ絞られるものとする。
【0046】
膨張弁34の開度が絞られることにより、冷凍サイクルにおいて圧縮機33に流れ込む(サクション側)冷媒及び圧縮機33から吐出される(吐出側)冷媒の温度が上昇し、ひいては圧縮機33内の冷凍機油の温度も上昇する。
【0047】
第1の保護運転制御により、圧縮機33の回転数を変動させることなく冷凍機油の温度が高く保たれる。図5のフローチャートにおいては、第1の保護運転制御によって十分に冷凍機油の温度上昇が行われるように、予め定められた保護運転基準時間が経過するまで第1の保護運転制御が継続される。
【0048】
具体的には、ステップS20において第1の保護運転制御が実行された後、ステップS21において、第1の保護運転制御の実行からの経過時間tが、予め定められた保護運転基準時間t1を上回っているかどうかが制御部40の判定部43によって判定される。
【0049】
経過時間tが保護運転基準時間t1を上回っていない場合(ステップS21でNO)には、第1の保護運転制御を継続したまま、経過時間tが保護運転基準時間t1を上回るまで待機される(ステップS21に戻る)。経過時間tが保護運転基準時間t1を上回った場合(ステップS21でYES)には、ステップS22において、冷凍機油の温度Toilが予め定められた第2の基準温度Tstd2以下になるかどうかが制御部40の判定部43によって判定される。
【0050】
冷凍機油の温度Toilが第2の基準温度Tstd2を超えている場合(ステップS22でNO)には、冷凍機油の温度Toilが十分に高くなったと判断され、制御部40は保護運転制御を終了する(END)。保護運転制御の終了後は、制御部40は保護運転制御の開始前までに行われていた制御を再開する。具体的には、通常の暖房運転又は冷房運転が再開される。なお、保護運転制御が終了した直後に再び保護運転制御が開始することにならないようにするため、第2の基準温度Tstd2は第1の基準温度Tstd1よりも大きな値であることが望ましい。制御部40の判定部43が冷凍機油の温度判定に吐出SHの値を用いて、ステップS11での基準値が15度だった場合には、ステップS22では例えば、吐出SHが17度以下であるかどうかが判定されるとよい。ステップS22においても、冷凍機油の温度Toilが予め定められた第2の基準温度Tstd2以下になるかどうかが実質的に判定されればよい。
【0051】
一方、経過時間tが保護運転基準時間t1を上回った後、冷凍機油の温度Toilが第2の基準温度Tstd2以下である場合(ステップS22でYES)には、ステップS23において、制御部40が運転制御部44を用いて第2の保護運転制御を実行する。第2の保護運転制御においては、第1の保護運転制御よりもさらに膨張弁34の開度が絞られる。図5においては、膨張弁34に設定されている複数段階の開度のうち、予め定められたX2段階だけ絞られるものとする。第2の保護運転制御が実行されると、第1の保護運転制御と合わせて膨張弁34の開度が(X1+X2)段階絞られることになる。
【0052】
第2の保護運転制御が実行された後は、予め定められた保護運転基準時間が経過するまで、制御部40の運転制御部44によって第2の保護運転制御が継続される。すなわち、制御部40の行う処理はステップS21に戻って、第2の保護運転制御の実行からの経過時間tが保護運転基準時間t1を上回っているかどうかの判定が判定部43によってなされる。その後ステップS22において冷凍機油の温度Toilが第2の基準温度Tstd2を上回っていれば保護運転制御は終了となる。しかし、冷凍機油の温度Toilがなおも第2の基準温度Tstd2以下のままであれば、ステップS23において膨張弁34の開度がさらにX2段階絞られる。以上の処理は冷凍機油の温度Toilが第2の基準温度Tstd2を上回るまで繰り返され、ステップS23の実行のたびに膨張弁34の開度が絞られていく。
【0053】
以上のようにして、制御部40によって、圧縮機33の回転数を変動させることなく、冷凍機油の温度が高く保たれるように保護運転制御が行われる。なお保護運転制御の具体例は図5に示されたものに限られるものではない。図6には、保護運転制御の別例のフローチャートが示されている。
【0054】
第1の保護運転制御において、図6に示されている処理が行われてもよい。まず、図6のステップS30では、制御部40の運転制御部44によって膨張弁開度をX1段階絞ることが行われる。そしてステップS31では、制御部40の判定部43によって、膨張弁開度をX1段階絞ってからの経過時間tが保護運転基準時間t1を上回っているかどうかの判定がなされる。経過時間tが保護運転基準時間t1を上回っていなければ(ステップS31でNO)、上回るまで制御部40の処理は待機される(ステップS31が繰り返される)。
【0055】
経過時間tが保護運転基準時間t1を上回っていれば(ステップS31でYES)、ステップS32において、冷凍機油の温度Toilが第2の基準温度Tstd2以下になるかどうかが制御部40の判定部43によって判定される。冷凍機油の温度Toilが第2の基準温度Tstd2を上回るようであれば(ステップS32でNO)、保護運転制御は終了となる(END)。一方、冷凍機油の温度Toilが第2の基準温度Tstd2以下になる場合(ステップS32でYES)には、制御部40の処理はステップS33に進んで送風量調節の処理が行われる。
【0056】
ステップS33の送風量調節の処理においては、冷凍機油の温度が上昇するように、制御部40の運転制御部44によって室内送風機22又は室外送風機32の送風量の調節(増加又は減少)が行われる。具体的には、例えば冷房運転においては制御部40が(運転制御部44、室内通信部45、室外通信部47、室外制御部42の指令送信部48を介して)室外送風機32の送風量を減少させることで、室外の空気が冷媒から熱を奪う効率が下がる。すると冷凍サイクルにおいて圧縮機33に流れ込む(サクション側)冷媒及び圧縮機33から吐出される(吐出側)冷媒の温度が上昇し、ひいては圧縮機33内の冷凍機油の温度も上昇する。ここで、送風量を下げる度合いの具体例を挙げると、例えば回転するファンによって送風が行われているのであれば、ファンの回転数を現在の回転数から10%分だけ下げるようにするとよい。
【0057】
また、暖房運転においては、制御部40が室外送風機32の送風量を増加させることで、冷媒が室外の空気から熱を受け取る効率が上がる。すると冷凍サイクルにおいて圧縮機33に流れ込む(サクション側)冷媒及び圧縮機33から吐出される(吐出側)冷媒の温度が上昇し、ひいては圧縮機33内の冷凍機油の温度も上昇する。送風量を上げる度合いの具体例を挙げると、ファンの回転数を現在の回転数から10%分だけ上げるようにするとよい。
【0058】
ステップS33の送風量調節の処理においては、必要に応じて、冷凍機油の温度が上昇するように、制御部40の運転制御部44によって室内送風機22の送風量の増加又は減少が実行されてもよい。ステップS33の送風量調節の処理が実行された後は、制御部40の処理はステップS31に戻る。その後、冷凍機油の温度Toilが第2の基準温度Tstd2を上回るまで、制御部40の判定部43及び運転制御部44によってステップS31からステップS33が繰り返される。ステップS33が複数回実行された場合には、室内送風機22又は室外送風機32の送風量がステップS33の実行回数に応じて変動する。
【0059】
以上の第1の保護運転制御及び第2の保護運転制御によれば、室内環境(室温など)を保ったまま冷凍機油の温度を高く保つことが可能であり、制御部40は空気調和機10を利用しているユーザーに不快感を与えることなく圧縮機33の保護を図ることができる。しかしながら、室内にユーザー(人間)が不在である場合には、第1の保護運転制御と異なる制御が行われてもよい。第1の保護運転制御と異なる制御とは、例えば後述する図7のステップS44のような制御である。
【0060】
図7には、室内機20の室内環境検出部50に人感センサー53が設けられている場合の制御部40の動作フローチャートが示されている。図7においては、制御部40は、まずステップS40で判定部43による冷凍機油の温度判定を行う。そして次に、ステップS41において、冷凍機油の現在温度Toilが第1の基準温度Tstd1以下となるかが制御部40の判定部43によって判定される。
【0061】
冷凍機油の現在温度Toilが第1の基準温度Tstd1を上回っている場合(ステップS41でNO)には、冷凍機油の温度判定がやり直される(ステップS40に戻る)。冷凍機油の現在温度Toilが第1の基準温度Tstd1以下となる場合(ステップS41でYES)には、制御部40の処理はステップS42に進み、人感センサー53を用いて、室内に人間が存在するか否かの判定(人間の存在又は不在の検出)が判定部43によって行われる。室内に人間が存在する場合(ステップS42でYES)には、制御部40の処理はステップS43に進んで運転制御部44による保護運転制御が行われる。すなわち、制御部40がまずは第1の保護運転制御を行い、必要に応じて第2の保護運転制御も行う。このように、室内に人間が存在する場合には第1の保護運転制御が行われるため、室内の人間(ユーザー)に不快感を与えることはない。
【0062】
一方、室内の人間の不在が検出された場合(ステップS42でNO)には、第1の保護運転制御に代えて、以下の制御が行われる。まずステップS44において、制御部40は、(運転制御部44、室内通信部45、室外通信部47、室外制御部42の指令送信部48を介して)圧縮機33の回転数を増加させる圧縮機増進制御を行う。圧縮機33の回転数が増加することにより、室内環境が変動する(室温が変化する)が、室内に人間が不在、すなわち存在しない場合は、ユーザーに不快感を与えることはない。そして制御部40は、圧縮機33の回転数を増加させることで、第1の保護運転制御よりも素早く冷凍機油の温度を上昇させることができる。
【0063】
圧縮機増進制御が実行された後、ステップS45において、室内に人間が存在するか否かの判定が制御部40の判定部43によって再度行われる。圧縮機増進制御の実行後に、室内の人間の存在が検出された場合(ステップS45でYES)には、制御部40は、圧縮機増進制御は継続したまま、ステップS46の風向き変更処理を行う。
【0064】
風向き変更処理においては、制御部40は、室内制御部41の指令送信部46を介して、室内送風機22による室内への送風の向きを上向きに変更する。この風向き変更処理により、圧縮機増進制御によって温度の変動した室内の空気が人間(ユーザー)に対して直接には当たらなくなり、ユーザーの感じる室内環境の変動を最小限に抑えることができる。
【0065】
風向き変更処理の実行後、又は、圧縮機増進制御の実行後に室内の人間の存在が検出されなかった場合(ステップS45でNO)には、ステップS47において、圧縮機増進制御の実行からの経過時間tが基準時間t1を上回っているかどうかの判定が制御部40の判定部43によってなされる。
【0066】
経過時間tが基準時間t1を上回っていない場合(ステップS47でNO)には、室内に人間が存在するか否かの判定が制御部40の判定部43によって再度行われる(ステップS45に戻る)。そして、経過時間tが基準時間t1を上回るまで、ステップS45からステップS47が繰り返される。
【0067】
経過時間tが基準時間t1を上回った場合(ステップS47でYES)には、ステップS48において、冷凍機油の現在温度Toilが第2の基準温度Tstd2以下であるかどうかが制御部40の判定部43によって判定される。冷凍機油の現在温度Toilが第2の基準温度Tstd2を上回っている場合(ステップS48でNO)には、冷凍機油の温度が十分に上昇していることになるので、制御部40は圧縮機増進制御を終了する(END)。圧縮機増進制御の終了後は、制御部40は圧縮機33の回転数を元に戻す。
【0068】
一方、冷凍機油の現在温度Toilが第2の基準温度Tstd2以下である場合(ステップS48でYES)には、制御部40の処理はステップS42に戻る。ステップS42で室内に人間が存在することが確認された場合には、圧縮機増進制御ではなく保護運転制御が実行される。すなわち、圧縮機増進制御を継続するか、保護運転制御に切り替えるかが、基準時間t1ごとに制御部40によって判断し直される。
【0069】
以上の保護運転制御によれば、制御部40は、膨張弁34の開度を絞るなどの制御によって、圧縮機33の回転数などの運転状態を変動させることなく冷凍機油の温度を高く保つことができる。したがって、室内の温度が大きく変化することがなく、室内環境が快適に保たれた上で、冷凍機油の温度が高く保たれる。
【0070】
また圧縮機33の回転数を増加させる圧縮機増進制御は、人感センサー53によって室内に人間が不在であることを確認した上で実行されるため、ユーザーに不快感を与えることはない。圧縮機増進制御の継続中に室内の人間の存在が確認された場合には、制御部40は風向き変更処理により、室内環境の変動を最小限に抑えることができる。
【0071】
なお、寒冷地仕様の空気調和機10には、圧縮機33を直接加熱するクランクケースヒーター36が設けられていることがある。以上の保護運転制御によれば、消費電力の大きいクランクケースヒーター36を用いることなく冷凍機油の温度を高く保つことができる。しかしながら、寒冷地において以上の保護運転制御だけでは冷凍機油の温度を十分に高く保つことができない場合には、クランクケースヒーター36を用いて冷凍機油の温度上昇が行われてもよい。
【0072】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は空気調和機を提供するものであり、本発明は産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0074】
10 空気調和機
14 リモコン
15 冷媒配管
20 室内機
22 室内送風機
24 リモコン送受信部
30 室外機
32 室外送風機
33 圧縮機
34 膨張弁
35 四方弁
36 クランクケースヒーター
37 三方弁
38 二方弁
40 制御部
41 室内制御部
42 室外制御部
43 判定部
44 運転制御部
45 室内通信部
46 指令送信部
47 室外通信部
48 指令送信部
50 室内環境検出部
51 室温センサー
52 室内熱交換器温度センサー
53 人感センサー
60 室外環境検出部
61 外気温センサー
62 室外熱交換器温度センサー
63 吐出温度センサー
64 サクション温度センサー
65 二方弁温度センサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7