(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176517
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】商品取引システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20231206BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088840
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】398043193
【氏名又は名称】株式会社グルマンディーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100171572
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100213425
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 正憲
(74)【代理人】
【識別番号】100221707
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100224915
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 茉友
(72)【発明者】
【氏名】久保田 秀一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB21
(57)【要約】
【課題】 従来技術において、仮想空間内に情報アイテムは、ユーザーが、その仮想空間からログアウトするなどして現実空間での活動に戻れば、ユーザーは前記情報アイテムをとのつながりが絶たれる。
【解決手段】 現実空間において購入した商品5に付随した識別情報6と、サーバー2内に構築された仮想空間3内に設けられた認証手段7と、前記仮想空間3にインターネットWを介して接続可能な情報端末4と、前記情報端末4に入力された前記識別情報6を前記認証手段7に認証させることで、前記仮想空間3内において使用することができる情報アイテム8を入手することができるアイテム入手手段9と、を備え、前記情報アイテム8は、前記商品5との関連情報Sを有することを特徴とする商品取引システム。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実空間において購入した商品に付随した識別情報と、
サーバー内に構築された仮想空間と、
前記識別情報を認証し、認証結果を前記サーバーに送信する認証手段と、
前記仮想空間にインターネットを介して接続可能な情報端末と、
前記情報端末に入力された前記識別情報を前記認証手段に認証させることで、前記仮想空間内において使用することができる情報アイテムを入手可能とするアイテム入手手段と、を備え、
前記情報アイテムは、前記商品との関連情報を有する
ことを特徴とする商品取引システム。
【請求項2】
前記識別情報にNFT(Non-Fungible Token)が含まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の商品取引システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の取引システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットに接続されたサーバー内に情報技術をもって仮想空間を構築し、ユーザーが情報端末を用いてインターネットに接続し、前記仮想空間中で他人とコミュニケーションや情報交換、さらには、ショッピングを楽しむことができる仮想空間システムが実用化されている。仮想空間内では、多数のユーザーが同時に同じ仮想空間を体験することができるだけでなく、自分自身が占有できるデジタルアイテムを購入して所有することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術においては仮想空間内に情報アイテムは、その仮想空間内で購入すること、または他のユーザーから譲り受けることにより入手できるものである。そして、ユーザーが、その仮想空間からログアウトするなどして現実空間での活動に戻れば、ユーザーは前記情報アイテムをとのつながりが絶たれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、上記課題を解決する手段として本発明に係る商品取引システムは、現実空間において購入した商品に付随した識別情報と、サーバー内に構築された仮想空間と、前記識別情報を認証し、認証結果を前記サーバーに送信する認証手段と、前記仮想空間にインターネットを介して接続可能な情報端末と、前記情報端末に入力された前記識別情報を前記認証手段に認証させることで、前記仮想空間内において使用することができる情報アイテムを入手可能とするアイテム入手手段と、を備え、前記情報アイテムは、前記商品との関連情報を有することを特徴とする。
【0006】
現実空間とは、人間が身体を移動させることができる空間をいう。仮想空間とは、情報端末が備えるモニターに映し出されたデジタル情報によって構成される視覚で認知できる仮想の空間をいう。
【0007】
商品としては、アクセサリー、電子機器、玩具、文具、携帯情報端末用品、または、音楽媒体などが好ましい。情報アイテムは、前記端末を介して前記仮想空間においてユーザーが五感の一部を用いて感じることができる情報であって、例えば、キャラクターのアイコン、ユーザーが仮想空間内で使用するアバターに装着させるための小物や衣服の表示物、及び仮想空間内で所有することができる建物や動物の表示物、音楽情報、条件に合わせて端末から発生される臭い情報、振動を用いた触覚による感知可能情報などから適宜選択されるものであることが好ましい。
【0008】
前記情報アイテムが有する、前記商品との関連情報としては、例えば特定のキャラクターを表すもの、特定のスポーツチームのメンバーを表すもの、特定のアイドルグループのメンバー、特定の動物、植物、食品、乗り物、建築物、人物、若しくは風景を表すもの、又は、前記のいずれかの表すものを連想させるものなどであることが好ましい。
【0009】
また、前記識別情報にNFT(Non-Fungible Token)が含まれることとしても好ましい。これにより、前記商品ごとに前記識別情報に付随させる価値を別個に設定することができ、例えば外観上同じ外観の商品を購入したとしても、付随する識別情報によって、仮想空間内で入手できる情報アイテムを異なるものとすることができる。具体的には、同じ外観を有する商品を、だれでも購入することができる店舗で購入した場合と、特別なイベント会場で購入した場合とで識別情報に含まれるNFTの価値を異ならせることで、仮想空間内で入手できる情報アイテムが異なるという場合がある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、現実空間で購入した商品に付随する識別情報によって、前記商品に関連性を有する情報アイテムを仮想空間でも入手することができる。
【0011】
特に、識別情報にNFTが含まれることによって、商品ごとに仮想空間で入手できる情報アイテムに対応する価値を付与することができ、現実空間においては同一と認識される商品に異なる付加価値を具備させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】商品取引システム1のシステム構造を示す概略図である。
【
図2】商品取引システム1の現実空間Rと仮想空間3との関係を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態を、図を参照しながら詳しく説明する。
【0014】
本発明に係る商品取引システム1は、
図1に示すように、インターネットWに接続されたサーバー2内に構築された仮想空間3に、インターネットWを介して仮想空間3に接続可能な情報端末4a、4bが設けられてなる。なお、以下において情報端末4a、4bを合わせて情報端末4ということがあり、また、情報端末4は、サーバー2に対してさらに多数の端末が同時に接続することができる。現実空間Rにおいて購入することができる商品5a、5bにはそれぞれの商品に関連付けられた識別情報6が付随されている。識別情報6を商品5に付随させる方法としては、識別情報6がデータとして記録されたICチップが埋め込まれたタグを商品5に取り付けてもよく、また、前記ICチップを商品5の内部に直接埋め込んでもよい。また、商品5の外観形状自体をデータ化して識別情報6としてもよい。
【0015】
図2には、本発明に係る現実空間Rと仮想空間3との関係を示す概略図である。本発明において、現実空間Rは仮想空間3以外におけるユーザーの活動空間であり、商品5をユーザー自身が使用することを目的として入手することができる空間をいう。現実空間Rは、商品5をユーザーが手に取って入手することができる物質世界における店舗、若しくはイベント会場であることが好ましく、さらにユーザーの身体の移動が可能な生活空間を含めることができる。なお、商品5は、ユーザーがEC (Electronic Commerce) サイトを通じて入手し、生活空間において所有することができるものであってもよい。
【0016】
本発明において仮想空間3は、デジタル情報によってサーバー2に構築された可視化可能な仮想の世界であると共に、インターネットWを通じて他人との交流を行うことができる情報空間を意味する。ユーザーは、インターネットWに接続された情報端末4からの操作を通じて仮想空間3にアクセスすることができる。情報端末4の種類は問わないが、携帯型情報端末、デスクトップ型情報端末、またはヘッドセット型情報端末などであることが好ましく、情報端末4が備えるディスプレイDなどの表示装置を介して、仮想空間3が構築する仮想の世界をユーザーが視認して認識可能な端末装置である。なお、仮想空間3を構築するサーバー2は、1台のサーバーで構成されてもよいが、複数台のサーバーがネットワークを介して接続された状態で1つの仮想空間3を構成することとしても好ましい。
【0017】
なお、サーバー2は、インターネットWに接続可能な通信手段、仮想空間3の構造などを記憶するためのメモリなどからなる記憶手段、並びに、ユーザーが情報端末4を用いて仮想空間3のアクセスしようとする際のユーザー認証、識別情報6を認証することができる認証手段7、及びユーザーが仮想空間3内で希望する活動の結果を情報端末4へ送信するための演算装置などのハードウェアを有する。
【0018】
また、情報端末4は、サーバー2に対してアクセスする際のユーザー認証データの入力手段、サーバー2に対してユーザー情報を送信し、サーバー2から仮想空間3の映像情報などを受信する受信する送受信装置、及びこれらの情報を保存する記憶手段、並びに前記情報を処理するための演算装置などのハードウェアを有する。
【0019】
情報端末4を介して仮想空間3にアクセスしたユーザーは、仮想空間3内に構成された共有空間3aに入り、活動することができる。活動の種類としては特に限定されないが、共有空間3a内に仮想空間3にアクセスしている他のユーザーとコミュニケーションを取ることができる。また、共有空間3a内に仮想の店舗3bが設置されていれば、店舗3bにおいて情報アイテム8を入手してもよい。さらに、共有空間3a内に仮想のイベントスペース3cが設置されていれば、ユーザーはイベントスペース3cで開催されているイベントに参加することで、情報アイテム8を入手してもよい。なお、ユーザーは、他のユーザーが所有する情報アイテム8を譲り受けることで入手してもよい。仮想空間3における情報アイテム8の入手は、ユーザーが現実空間Rで入手した商品5に付随されてなる識別情報6によって行うことができる。
【0020】
また、サーバー2には、識別情報6を認証することができる認証手段7が設けられてなることが好ましい。情報端末4を操作するユーザーは、例えば情報端末4aに内蔵されたRFID (Radio Frequency IDentification) 装置を識別情報6が埋め込まれたICチップに近づけるなどにより識別情報6を認証手段7に送信する。認証手段7は、識別情報6を認証し、仮想空間3内で情報アイテム8の入手のために使用可能な情報であることの認証結果をサーバー2に対して送信または出力する。なお、識別情報6が商品5の内部に埋め込まれている場合には、情報端末4を商品5自体に近づけることによって、RFID技術を用いて識別情報6を情報端末4が取得することとしてもよい。なお、認証手段7は、ユーザーがユーザー認証を行って仮想空間3内に入る前に利用可能としてもよく、また、認証手段7が仮想空間3内に設けられてなり、ユーザーが仮想空間3内に入った後に利用可能であってもよい。
【0021】
仮想空間3においてユーザーが入手できる情報アイテム8には、それぞれ入手対価Pがデジタル情報として設定されてなる。入手対価Pの情報は、情報アイテム8ごとに、サーバー2内に記憶されていることが好ましい。なお、入手対価Pは、時間や情報アイテム8に対するニーズの変化により、変化してもよい。ユーザーは、識別情報6を認証手段7に認証させることによって、仮想空間3内における自己の資産を情報としてサーバー2に保存することができる。また、ユーザーは、認証手段7によって認証された識別情報6に基づく資産を、仮想空間3内で使用することができる。商品取引システム1は、認証手段7によって認証された識別情報6の資産価値に対して情報アイテム8の入手対価Pが安価であれば当該情報アイテム8を入手可能であり、入手可能な情報アイテム8を所有する手段がアイテム入手手段9である。ここで、情報アイテム8を特定のユーザーが入手したことにより所有したことは、サーバー2の記憶装置に記憶されることが好ましい。
【0022】
ここで、認証手段7は、情報端末4から送信された識別情報6を読み取り、仮想空間3内における情報アイテム8との交換可能な資産価値を有するデジタル情報であることを認証し、前記識別情報6を提示したユーザーごとに、資産価値としてサーバー2に記録保存することであることが好ましい。また、認証手段7によってサーバー2に保存された資産価値は、仮想通貨の貨幣価値と交換可能なデジタル情報としてサーバー2に保存されていることが好ましい。なお、アイテム入手手段9において情報アイテム8を入手する方法としては、他のユーザーと仮想空間3内で交渉し、自己の識別情報6から認証された資産を当該他のユーザーに譲り渡すことによって、当該他のユーザーが保有する情報アイテム8を譲り受け可能としてもよい。また、認証手段7が保存するユーザーごとの資産価値情報は、仮想空間3が構築されているサーバー2とは異なるサーバー2に保存されることしてもよい。これにより、ユーザーの資産価値情報を、仮想空間3の構成情報とは異なる記憶媒体に保存することができ、資産の保護に資するからである。
【0023】
例えば、キャラクターの顔イメージSが付されたカード5aに付された識別情報6aを受信した認証手段7は、識別情報6aを認証し(C1)、その資産価値に基づいて仮想空間3において入手できる情報アイテム8を情報端末4のディスプレイDに表示することで、ユーザーに対して、現時点において入手可能な情報アイテム81を示すことができる。
また、ユーザーは、例えば商品5aに付随する識別情報6aと、商品5bに付随する識別情報6bをそれぞれ認証手段7に認証させ(C2)、識別情報6の資産価値を、識別情報6aの資産価値と識別情報6bの資産価値とを合算することができる。この場合、認証手段7は、商品5a、5bに付随する複数の識別情報6から得られた資産価値を合算することで、一方の識別情報6のみよりもより資産価値の高い情報アイテム82、83が入手できることをユーザーに対して示すことができる。
【0024】
なお、認証手段7が識別情報6を識別する手段としては、上述したRFID技術を用いる場合のほか、種々の手段を用いることができる。例えば、情報端末4a、4bに設置されたカメラ4Ca、若しくはカメラ4Cbを用いて撮影した商品5aの画像データを認証手段7に対して送信することにより、商品5aの外観形状自体を識別情報6として認識し、一定の資産価値を認定することとしてもよい。
【0025】
仮想空間3において入手可能な情報アイテム8が示されたユーザーは、所望する情報アイテム8を選択することによって、その情報アイテム8を入手することができる。情報アイテム8を入手したユーザーは、情報アイテム8ごとに仮想空間3において設定された使用態様に従って情報アイテム8を使用することができる。例えば、入手した情報アイテム8が、ユーザーのアバターAに装着できる衣服のアイテム82である場合には、B1を着たアバターAに変更することができる。また、入手した情報アイテム8が、ユーザーのアバターAの手に持たせることができるアクセサリー81である場合には、アバターAにB1を持たせることができる。さらに、ユーザーが仮想空間3において、自分の意思で装飾や内装・外装などを変更できるプライベート空間3dを所有している場合に、入手した情報アイテム8が、プライベート空間3dに建設された仮想ハウスHに設置できる仮想家具83である場合には、仮想ハウスHの内部に仮想家具83を配置して、仮想ハウスHの内装を変更することができる。
【0026】
ここで、情報アイテム8には、商品5との関連情報Sが備わっている。商品5との関連情報Sの例としては、特定のキャラクターを表すもの、特定のスポーツチームのメンバーを表すもの、特定のアイドルグループのメンバー、特定の動物、植物、食品、乗り物、建築物、人物、若しくは風景を表すもの、又は、前記のいずれかの表すものを連想させるものとすることができる。具体的には、
図2に示すように、商品5に特定のキャラクターの顔のイメージが関連情報Sとして付されている場合に、情報アイテム8においても同じキャラクターの顔のイメージが関連情報Sとして付されたものである場合などが挙げられる。また、関連情報Sとして商品5に付されたイメージに対して、情報アイテム8には前記イメージを連想させるロゴのように、情報が完全に一致していなくても、両者が関連付けられるものであればよい。
【0027】
また、識別情報6は、バーコードや二次元バーコードにデジタル情報として構成されたものを商品5に付加されてもよいが、より好ましくは識別情報6には、NFT(Non-Fungible Token)が含まれることが好ましい。識別情報6にNFTが含まれる場合には、識別情報6は、例えばICチップ内に記憶され、商品5の取引記録が改ざんできない情報として記録されていくことが好ましい。識別情報6にNFTが含まれることによって、商品5ごとに付随する識別情報6の資産価値を別個に設定することができる。例えば、外観上同じ外観の商品を購入したとしても、付随する識別情報6によって、仮想空間3内で入手できる情報アイテム8を異なるものとすることができる。具体的には、同じ外観を有する商品5を、だれでも購入することができる店舗で購入した場合と、特別なイベント会場で購入した場合とで識別情報6に含まれるNFTの資産価値を異ならせることで、仮想空間3内で入手できる情報アイテム8が異なるという扱いも可能となり、特別なイベント会場で購入した商品5に付加価値を付することができる。また、NFTを含む識別情報6が付随する商品5がNFTを利用した仮想通貨によって取引されれば、商品5を所有した者の経歴によっても識別情報の資産価値が変化することとしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 商品取引システム
2 サーバー
3 仮想空間
5 商品
6 識別情報
7 認証手段
8 情報アイテム
9 アイテム入手手段