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特開2023-176529情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176529
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/40 20120101AFI20231206BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20231206BHJP
【FI】
G06Q20/40
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088859
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100154036
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】小形 崇
(72)【発明者】
【氏名】西 綾花
(72)【発明者】
【氏名】根岸 敦
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049BB21
5L055AA72
(57)【要約】
【課題】ユーザの行動に基づく認証の利用におけるユーザの不利益を軽減することが可能な情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】ユーザの行動と当該ユーザの習慣性情報に基づいて算出される習慣性スコアと、前記ユーザの対象利用履歴に基づいて算出される利用機会スコアと、に基づいて、対象向け認証スコアを算出する処理と、前記対象向け認証スコアに基づいて、対象における認証の成否を判定する処理と、を行う制御部を備える、情報処理装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの行動と当該ユーザの習慣性情報に基づいて算出される習慣性スコアと、前記ユーザの対象利用履歴に基づいて算出される利用機会スコアと、に基づいて、対象向け認証スコアを算出する処理と、
前記対象向け認証スコアに基づいて、対象における認証の成否を判定する処理と、
を行う制御部を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、ユーザ入力に応じて、前記認証の成否の判定に用いられる閾値を変更する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、ユーザ入力に応じて、前記利用機会スコアの算出に用いられるパラメータを変更する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、地図画像上において対象毎の認証の成否の判定結果を表示する処理を行う、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、対象毎に算出された対象向け認証スコアと、前記認証の成否の判定に用いられる閾値と、をさらに表示する処理を行う、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ユーザの現在の行動と前記習慣性情報に基づいて算出される前記習慣性スコアをさらに表示する処理を行う、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、地図画像上に示される各対象が、対象レイヤのいずれのレイヤに属するかを明示する処理を行う、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記認証の成否の判定に用いられる閾値に対する前記ユーザによる調整を受け付ける画面を表示する処理を行う、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記利用機会スコアの算出に用いられるパラメータに対する前記ユーザによる調整を受け付ける画面を表示する処理を行う、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記利用機会スコアの算出には、前記対象利用履歴に基づく対象スコアが用いられ、
前記パラメータは、前記対象スコアの算出に用いられる、対象レイヤに設定される重みである、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記パラメータは、前記認証スコアの算出において、前記利用機会スコアに掛け合わせられる重みである、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記対象利用履歴は、前記ユーザが利用した対象の情報と、当該対象で決済に使用したデバイスの情報とを含み、
前記利用機会スコアの算出には、前記対象利用履歴に基づいて算出される対象スコアおよびデバイススコアが用いられ、
前記制御部は、
各対象について、デバイス別に前記利用機会スコアを算出し、
算出した前記デバイス別の前記利用機会スコアと前記習慣性スコアに基づいて、対象における認証の成否を判定し、
地図画像上において、対象毎にデバイス別の認証の成否の判定結果を表示する処理を行う、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記対象利用履歴は、前記ユーザが決済した店舗に関する情報を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記対象における認証の成否は、店舗での決済を行う際に用いられる認証の成否である、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記習慣性スコアが閾値を下回った場合、前記認証スコアの算出において、前記習慣性スコアに掛け合わせられる重みに対して、前記利用機会スコアに掛け合わせられる重みを相対的に上げる処理を行う、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項16】
プロセッサが、
ユーザの行動と当該ユーザの習慣性情報に基づいて算出される習慣性スコアと、前記ユーザの対象利用履歴に基づいて算出される利用機会スコアと、に基づいて、対象向け認証スコアを算出することと、
前記対象向け認証スコアに基づいて、対象における認証の成否を判定することと、
を含む、情報処理方法。
【請求項17】
コンピュータを、
ユーザの行動と当該ユーザの習慣性情報に基づいて算出される習慣性スコアと、前記ユーザの対象利用履歴に基づいて算出される利用機会スコアと、に基づいて、対象向け認証スコアを算出する処理と、
前記対象向け認証スコアに基づいて、対象における認証の成否を判定する処理と、
を行う制御部として機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが本人であることを確認するための認証(本人認証とも称される)の一つとして、指紋認証や顔認証のような身体的特徴を用いた生体認証が用いられている。また、近年では、歩き方や行動から本人であるかを識別する行動的生体認証が開発されている。このように、現在では多様な認証方式が存在する。例えば下記特許文献1では、複数の認証方式のうち認証に必要なセキュリティレベルに適合した方式を選定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-219999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、行動的生体認証を使用する場合、十分な認証精度になるまで一定の学習期間が必要となるため、引っ越しや転職、出張、旅行等で普段の生活習慣から行動が大きく変化した際には、当該行動的生体認証が使用できなかったり、不十分な認識精度での運用となったりする恐れがある。
【0005】
そこで、本開示では、ユーザの行動に基づく認証の利用におけるユーザの不利益を軽減することが可能な情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、ユーザの行動と当該ユーザの習慣性情報に基づいて算出される習慣性スコアと、前記ユーザの対象利用履歴に基づいて算出される利用機会スコアと、に基づいて、対象向け認証スコアを算出する処理と、前記対象向け認証スコアに基づいて、対象における認証の成否を判定する処理と、を行う制御部を備える、情報処理装置が提供される。
【0007】
また、本開示によれば、プロセッサが、ユーザの行動と当該ユーザの習慣性情報に基づいて算出される習慣性スコアと、前記ユーザの対象利用履歴に基づいて算出される利用機会スコアと、に基づいて、対象向け認証スコアを算出することと、前記対象向け認証スコアに基づいて、対象における認証の成否を判定することと、を含む、情報処理方法が提供される。
【0008】
また、本開示によれば、コンピュータを、ユーザの行動と当該ユーザの習慣性情報に基づいて算出される習慣性スコアと、前記ユーザの対象利用履歴に基づいて算出される利用機会スコアと、に基づいて、対象向け認証スコアを算出する処理と、前記対象向け認証スコアに基づいて、対象における認証の成否を判定する処理と、を行う制御部として機能させる、プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態による情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】本実施形態によるモデル生成部の機能構成について説明するブロック図である。
図3】本実施形態によるスコア算出部の機能構成について説明するブロック図である。
図4】本実施形態による店舗レイヤの一例を示す図である。
図5】本実施形態によるレイヤ1における利用頻度の算出例を示す図である。
図6】本実施形態によるレイヤ2における利用頻度の算出例を示す図である。
図7】本実施形態によるレイヤ3における利用頻度の算出例を示す図である。
図8】本実施形態によるレイヤ3における時間帯および曜日に応じた利用頻度の一例を示す図である。
図9】本実施形態による認証スコアの算出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】本実施形態による決済処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】本実施形態による認証成否判定の表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12】本実施形態による認証成否の判定結果を示す表示画面の一例を示す図である。
図13】本実施形態による重み調整の一例について説明する図である。
図14】本実施形態による重み調整により修正された認証スコアに基づく認証判定結果を示す表示画面の一例を示す図である。
図15】本実施形態による認証閾値の調整について説明する図である。
図16】本実施形態による認証閾値の調整画面の一例を示す図である。
図17】本実施形態による認証閾値の調整により更新された表示画面の一例を示す図である。
図18】本実施形態による店舗レイヤの重み調整について説明する図である。
図19】本実施形態による店舗レイヤの重み調整画面の一例を示す図である。
図20】本実施形態による店舗レイヤの重み調整により更新された表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
また、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本開示の一実施形態による認証システムの概要
2.情報処理装置10の構成例
3.動作処理
3-1.認証スコアの算出処理
3-2.決済処理
3-3.表示処理
4.補足
【0012】
<<1.本開示の一実施形態による認証システムの概要>>
本実施形態による認証システムは、サービスを利用するユーザが本人であるか否かを確認するための生体認証として、指紋認証や顔認証のようにユーザによる能動的な操作を必要とする身体的生体認証ではなく、ユーザの普段の行動をセンシングし、ユーザの行動的特徴から本人らしさを判定する行動的生体認証に関する。行動的特徴としては、例えば歩き方の癖や、移動手段、移動軌跡(行動範囲)の習慣性等が用いられる。例えばユーザが所持するデバイスが、行動的生体認証によりユーザらしさを判定し続けることで、ユーザによる能動的な操作を必要とせずに認証を行うことが可能となる。
【0013】
(課題の整理)
しかしながら、行動的生体認証を使用する場合、十分な認証精度になるまで一定の学習期間が必要となるため、引っ越しや転職、出張、旅行等で普段の生活習慣から行動が大きく変化した際には、当該行動的生体認証が使用できなかったり、不十分な認識精度での運用となったりする恐れがある。
【0014】
そこで、本開示では、ユーザの行動に基づく認証の利用におけるユーザの不利益を軽減することが可能な認証システムを提案する。
【0015】
具体的には、行動が大きく変化した際には行動的生体認証による認証精度が低下するが、本実施形態による認証システムでは、そのような場合でも、必要とされる認証レベルが低い(すなわち脅威リスクが低い)対象に対しては本人性を担保することで、認証精度を保ちながら利便性を高めることを可能とする。
【0016】
脅威リスクが低い対象は、ユーザによる対象の利用履歴から判断し得る。例えば、店舗での決済に行動的生体認証を利用する形態を想定する。ユーザの行動は、ユーザが所持するデバイス(情報処理装置。具体的にはスマートフォンやスマートウォッチ等のモバイル端末。)により継続的にセンシングされ得る。店舗では、ユーザが携帯する当該デバイスにおいてユーザの行動履歴に基づく認証が成功すると、デバイスを操作することなく決済が実行され得る。例えばデバイスと店舗の精算装置との間で無線通信が行われ、電子マネーや登録済みのクレジットカードによる支払いといった電子決済が行われ得る。なお、デバイスの操作を要しない決済として、鞄やポケットからデバイスを取り出すことなく決済することができるハンズフリーでの決済や、精算装置に接続された読み取り部にデバイスをかざすタッチ決済が想定される。
【0017】
ここで、ユーザが習慣的によく利用する店舗や、よく利用する店舗の系列店の場合は、他者によるなりすまし等の脅威リスクが低いため、行動的生体認証のスコアが低くても本人性を担保することで利便性を高めることが考え得る。本実施形態による認証システムでは、行動履歴に基づいて算出される本人らしさを示すスコア(本実施形態では、習慣性スコアと称する)と、利用履歴に基づいて算出される本人らしさを示すスコア(本実施形態では、利用機会スコアと称する)とに基づいて、利用対象(例えば店舗)毎に統合的なスコアを算出して認証を行うことで、行動履歴に基づくスコアが下がった場合にも、適宜、認証を成功させることを可能とする。
【0018】
なお、利用対象の店舗としては、例えば、コンビニエンスストアや、スーパーマーケット、デパート、ショップ、飲食店等が挙げられる。また、店舗の利用は、より具体的には、店舗での決済を意味する。また、利用対象は店舗(具体的には店舗での決済)に限らず、公共交通機関(鉄道、バス、タクシー等)や、病院、薬局、郵便局、宿泊施設等、様々な場所が想定される。また、対象における認証として、「決済」に要する認証を例に説明するが、本実施形態はこれに限定されず、例えば、利用対象(いわゆるスポット)でのチケットの検証や、情報共有(患者情報の共有等)の可否、システムへのログイン、ドアロックの解錠等に要する認証も想定され得る。
【0019】
以上、本開示の一実施形態による認証システムの概要について説明した。続いて、本実施形態による認証システムを実現する装置の構成例について図面を参照して説明する。
【0020】
<<2.情報処理装置10の構成例>>
図1は、本実施形態による情報処理装置10の構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置10は、ユーザの行動履歴および利用履歴に基づいて、情報処理装置のユーザが所有者本人であるか否かを確認する認証(本人認証とも称される)を行うデバイスである。情報処理装置10は、例えば、スマートフォンやスマートウォッチ等のモバイル端末により実現される。
【0021】
図1に示すように、情報処理装置10は、通信部110、制御部120、操作入力部130、センサ140、表示部150、および記憶部160を有する。
【0022】
(通信部110)
通信部110は、外部装置にデータを送信する送信部と、外部装置からデータを受信する受信部を有する。通信部110は、例えば有線/無線LAN(Local Area Network)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、携帯通信網(LTE(Long Term Evolution)、4G(第4世代の移動体通信方式)、5G(第5世代の移動体通信方式))等を用いて、外部装置や、インターネットと通信接続する。
【0023】
例えば、本実施形態による通信部110は、店舗の精算装置と無線通信接続し、電子決済処理のためのデータ送受信を行う。また、通信部110は、認証結果を、ユーザが装着する決済用端末(例えば、スマートウォッチやスマートバンド)に送信してもよい。
【0024】
(操作入力部130および表示部150)
操作入力部130は、ユーザによる操作入力を受け付け、入力情報を制御部120に出力する。また、表示部150は、各種操作画面や、後述する店舗毎の認証成否の判定結果を示す表示画面を表示する。表示部150は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示パネルであってもよい。操作入力部130および表示部150は、一体化して設けられてもよい。例えば、操作入力部130は、表示部150(例えばパネルディスプレイ)に積層されるタッチセンサであってもよい。
【0025】
(センサ140)
センサ140は、ユーザの行動をセンシングする各種センサを含む。各種センサとは、例えば、ジャイロセンサ、加速度センサ、地磁気センサ、位置測定部、距離センサ、カメラ等が挙げられる。位置測定部は、絶対位置を測定する測定部(例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いた位置測定を行う構成)であってもよいし、相対位置を測定する測定部(例えばWi-FiやBluetoothの信号を用いた位置測定を行う構成)であってもよい。
【0026】
(制御部120)
制御部120は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置10内の動作全般を制御する。制御部120は、例えばCPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。また、制御部120は、使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、及び適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。
【0027】
また、制御部120は、データ収集部121、モデル生成部122、スコア算出部123、認証成否判定部124、表示制御部125、および決済制御部126としても機能する。
【0028】
データ収集部121は、認証を行うための各種データ(行動履歴、決済履歴)を収集し、行動履歴DB161、決済履歴DB162にそれぞれに格納する。例えばデータ収集部121は、センサ140により取得された各種センシングデータを収集し、行動履歴として行動履歴DB161に格納する。また、データ収集部121は、通信部110により取得されたネットワーク状況の情報を収集し、行動履歴として行動履歴DB161に格納してもよい。ネットワーク状況の情報としては、例えばWi-FiやBT(Bluetooth)といった無線通信のモニタリングデータが挙げられる。具体的には、各電波の強度や、チャンネル、アクセスポイントの情報等である。また、データ収集部121は、決済制御部126により行われた決済の結果を、決済履歴(利用履歴の一例)として決済履歴DB162に格納する。
【0029】
モデル生成部122は、認証のためのスコアを算出する際に用いられるモデルを生成する。具体的には、モデル生成部122は、行動履歴に基づいて行動習慣性モデルを生成し、行動習慣性モデルDB163に格納する。また、モデル生成部122は、決済履歴に基づいて決済モデルを生成し、決済モデルDB164に格納する。各モデルは、定期的に更新され得る。以下、図2を参照してモデル生成部122についてより具体的に説明する。
【0030】
図2は、本実施形態によるモデル生成部122の機能構成について説明するブロック図である。図2に示すように、モデル生成部122は、行動履歴DB161に蓄積されたユーザの行動履歴(例えば、位置情報、ネットワーク環境情報、モーション情報等)に基づいて、位置習慣性算出部1221により位置の習慣性を算出し、ネットワーク環境習慣性算出部1222によりネットワーク環境の習慣性を算出し、行動パターン習慣性算出部1223により行動パターンの習慣性を算出する。なお、行動履歴に基づいて算出するこれらの習慣性は一例であって、本実施形態はこれに限定されない。位置やネットワーク環境、行動パターン等に関し、ユーザらしさが特徴量として算出される。そして、行動習慣性モデル生成部1224は、算出された各習慣性(位置習慣性、ネットワーク環境習慣性、行動パターン習慣性)を統合し、行動習慣性モデルを生成する。これにより、後述するスコア算出部123において、ユーザの習慣的な行動を把握できる。各算出やモデル生成には、機械学習が用いられても良い。
【0031】
また、モデル生成部122は、決済履歴DB162に蓄積されたユーザの決済履歴(決済店舗、決済デバイス、決済日時等)に基づいて、決済店舗特徴量算出部1226により決済店舗(決済を行った店舗)の特徴量を算出し、決済デバイス特徴量算出部1227により決済デバイス(決済に用いたデバイス)の特徴量を算出する。そして、決済モデル生成部1228は、算出された各特徴量(決済店舗特徴量、決済デバイス特徴量)を統合し、決済モデルを生成する。これにより、後述するスコア算出部123において、ユーザが習慣的によく利用する店舗や系列店、習慣的によく利用するデバイスを把握できる。各算出やモデル生成には、機械学習が用いられても良い。
【0032】
スコア算出部123は、認証のためのスコアを算出する。具体的には、スコア算出部123は、ユーザの現在の行動と当該ユーザの習慣性情報(行動履歴に基づいて生成された行動習慣性モデル)に基づいて算出される習慣性スコアと、当該ユーザの対象利用履歴に基づいて算出される利用機会スコアと、に基づいて、対象向け認証スコアを算出する。対象利用履歴とは、ここでは、具体的には各店舗における決済履歴である。また、対象向け認証スコアとは、ここでは、具体的には、店舗で決済する際の認証に用いられる認証スコアである。また、利用機会スコアとは、利用履歴に基づいて算出される、利用対象における本人らしさを示す値であって、ユーザの利用傾向にマッチする利用対象ほど高く算出される。本実施形態では、一例として、ユーザの決済履歴に基づいて決済機会スコアを算出する。なお、利用機会スコアは、決済機会スコアに限定されず、例えば公共交通機関等の各種施設でのチケット検証履歴に基づく検証機会スコアや、患者情報等の各種情報の共有履歴に基づく共有機会スコアも想定され得る。以下、図3を参照してスコア算出部123についてより具体的に説明する。
【0033】
図3は、本実施形態によるスコア算出部123の機能構成について説明するブロック図である。図3に示すように、スコア算出部123は、ユーザの現在の行動データ(例えば現在までの一定期間の行動データ)と行動習慣性モデルに基づいて習慣性スコア算出部1231により習慣性スコアを算出する。また、スコア算出部123は、決済モデル、店舗重みデータ、現在の行動データ(具体的には、位置情報。さらに時刻データを用いてもよい。)に基づいて決済機会スコア算出部1232により決済機会スコア(利用機会スコアの一例)を算出する。各スコアの算出の詳細については後述する。そして、認証スコア算出部1233は、習慣性スコアと決済機会スコアに基づいて、認証スコアを算出する。以下、各スコアの算出について詳述する。
【0034】
・習慣性スコアの算出について
習慣性スコアとは、ユーザの過去の行動履歴から学習した習慣性情報(具体的には、行動習慣性モデル)と現在の行動を比較して、ユーザの習慣的な行動に近いほど高く算出される値である。習慣性スコアは、行動的特徴に基づく本人らしさを示す値とも言える。
【0035】
習慣性スコア算出部1231は、例えば下記式に示すように、習慣性スコア(Scorehabit)を、習慣的空間スコア(Scorespace)と、習慣的行動スコア(Scoreactivity)と、習慣的利用デバイススコア(Scoredevice)との加算により算出してもよい。なお、下記式に示すように、例えば習慣的空間スコア、習慣的行動スコア、および習慣的利用デバイススコアに、それぞれ重み(W)が掛け合わされてもよい。
【0036】
【数1】
【0037】
習慣的空間スコアとは、現在までの一定期間において、ユーザがどの程度ユーザの習慣的な行動範囲内に位置しているかを示すスコアである。ユーザの習慣的な行動範囲は、ユーザの行動履歴から生成される行動習慣性モデルから取得され得る。習慣性スコア算出部1231は、ユーザの現在までの一定期間における位置情報に基づいて、ユーザが当該ユーザの習慣的な行動範囲内に位置する時間が長いほど本人性が高いとして高い値を算出する。また、習慣的行動スコアは、現在までの一定期間におけるユーザの動きが、どの程度ユーザの習慣的な動きに近いかを示すスコアである。ユーザの習慣的な動きは、ユーザの行動履歴から生成される行動習慣性モデルから取得され得る。ユーザの習慣的な動きは、例えば歩き方や走り方の特徴、走り方、乗車状況(どのような乗り物にどのくらいの時間乗っているかを示す状況等)等が挙げられる。習慣性スコア算出部1231は、ユーザの動きがユーザの習慣的な動きに近いほど本人性が高いとして高い値を算出する。また、習慣的利用デバイススコアは、現在までの一定期間において、ユーザが所持や利用するデバイスが、ユーザがよく所持や利用するデバイスであるかを示すスコアである。習慣性スコア算出部1231は、ユーザがよく所持や利用するデバイスである場合、本人性が高いとして高い値を算出する。習慣性スコア算出部1231は、所持時間や利用回数が所定値以上の場合、「よく所持や利用する」と判断してもよい。
【0038】
習慣性スコア算出部1231は、習慣的空間スコア(Scorespace)と、習慣的行動スコア(Scoreactivity)と、習慣的利用デバイススコア(Scoredevice)とを加算する際には、上記式に示すように、適宜重み付けを行ってもよい。なお、加算する各スコアは一例であって、本実施形態はこれに限定されない。
【0039】
習慣性スコア算出部1231は、ユーザが日常生活を過ごす中で、継続的に習慣性スコアを算出する。行動履歴が蓄積されることで、より精度の高い認証が可能となる。一方で、蓄積期間の初期や、引っ越しや転職、旅行等の習慣的な行動からは大きく変化した場合、認証スコアが下がることが考えられる。本実施形態では、次に説明する決済機会スコア(利用機会スコアの一例)をさらに用いて、認証に用いる統合的な認証スコアを算出することで、習慣性スコア(行動的特徴に基づく認証スコア)が下がる状況でも、本人性を担保することを可能とする。
【0040】
・決済機会スコアの算出について
決済機会スコア算出部1232は、ユーザの決済履歴から、各店舗における決済機会スコアを算出する。決済機会スコアは、店舗の利用における本人らしさを示す値であり、ユーザの決済履歴に基づく決済の特徴(上述した決済モデル)にマッチする店舗ほど高く算出される。より具体的には、決済機会スコア算出部1232は、ユーザの決済履歴から生成された決済モデル(決済店舗特徴量と決済デバイス特徴量を含む)と、店舗重みデータと、ユーザの行動データとに基づいて、決済機会スコアを算出してもよい。行動データとは、例えば、現在位置情報である。また、行動データには、さらに時刻データ(現在時刻)が含まれていてもよい。
【0041】
より具体的には、決済機会スコア算出部1232は、例えば下記式に示すように、決済機会スコア(Scorepayment)を、決済店舗スコア(Scorepay_shop)と、決済デバイススコア(Scorepay_device)を加算することにより算出し得る。決済店舗スコアは、対象スコアの一例である。また、各スコアには、適宜重み(W)が掛け合わされてもよい。また、決済機会スコア算出部1232は、ユーザの位置データを用いることで、適宜、ユーザの近く(例えばユーザの位置から一定の範囲内)に位置する店舗についての決済機会スコアの算出を行い得る。
【0042】
【数2】
【0043】
決済機会スコア算出部1232は、対象店舗の決済店舗スコア(Scorepay_shop)として、ユーザがよく利用する店舗であるほど高いスコアを算出する。よく利用する店舗とは、例えば、ユーザが利用する店舗のうち、利用する割合が他より高い店舗を意味する。なお、ユーザが実際に利用(決済)した店舗に限らず、ユーザが一度も訪れたことがない地域での認証も考慮して、ユーザが利用する割合が高い店舗系列(よく利用する店舗系列とも称する)や、ユーザが利用する割合が高い店舗カテゴリ(よく利用する店舗カテゴリとも称する)という観点からもスコアを与えるようにしてもよい。具体的には、決済機会スコア算出部1232は、決済機会スコアの算出において、例えば図4に示すような店舗レイヤ(対象レイヤの一例)毎に設定される重みを用いてもよい。図4は、本実施形態による店舗レイヤの一例を示す図である。図4に示すように、店舗レイヤとして、例えばレイヤ1:ユーザが習慣的に利用する店舗、レイヤ2:習慣的に利用する店舗系列、レイヤ3:習慣的に利用する店舗カテゴリが定義される。店舗レイヤ毎の重み(Wlayer1、Wlayer2、Wlayer3)は、店舗重みデータから取得される。
【0044】
続いて、各レイヤでの利用頻度の算出について説明する。決済機会スコア算出部1232は、店舗毎の利用頻度、店舗系列毎の利用頻度、店舗カテゴリ別の利用頻度を算出する。決済機会スコア算出部1232は、上記決済モデル(決済店舗特徴量を含む)を用いて、各種利用頻度を算出し得る。
【0045】
図5は、本実施形態によるレイヤ1における利用頻度の算出例を示す図である。レイヤ1では、一例として、ユーザ実際に利用した(決済した)店舗について、店舗系列(会社)別に利用頻度が算出される。具体的には、コンビニエンスストアA社のP店とQ店に関し、利用(決済)回数の割合に応じて、利用頻度60%、Q店の利用頻度40%と算出される。また、コンビニエンスストアB社の系列でR店しか利用していなかった場合、R店100%と算出される。また、対象店舗はコンビニエンスストア(以下、コンビニとも称する)に限らず、スーパー、その他商店等、認証を要する所定のサービス(ここでは決済)が行われる店舗を広く含む。なお、ここでは一例として店舗系列(会社)別に利用頻度が算出される場合について説明したが、これに限定されず、例えばカテゴリ別に各店舗の利用頻度が算出されてもよい。例えば、コンビニA社P店40%、R店20%、コンビニB社Q店30%、S店10%等と算出される。
【0046】
図6は、本実施形態によるレイヤ2における利用頻度の算出例を示す図である。レイヤ2では、一例として、ユーザ実際に利用した店舗の系列(会社)について利用頻度が算出される。例えば、図6に示すように、コンビニA社80%、コンビニB社10%、コンビニC社10%と算出される。
【0047】
図7は、本実施形態によるレイヤ3における利用頻度の算出例を示す図である。レイヤ3では、一例として、ユーザ実際に利用した店舗のカテゴリ(業態)について利用頻度が算出される。例えば、図7に示すように、コンビニエンスストア70%、スーパーマーケット20%、ショップ10%と算出される。
【0048】
なお、各店舗の利用頻度は、時間帯や曜日(平日か休日か)によって傾向が異なる場合がある。認証精度を高めるため、決済機会スコア算出部1232は、時間帯および曜日を考慮して、各レイヤにおける利用頻度を算出してもよい。図8は、本実施形態によるレイヤ3における時間帯および曜日に応じた利用頻度の一例を示す図である。図8左に示すように、例えば平日夕方では、コンビニエンスストア70%、スーパーマーケット20%、ショップ10%という利用頻度になり、図8右に示すように、休日午後では、デパート40%、スーパーマーケット30%、ショップ20%、コンビニ10%となる。
【0049】
そして、決済機会スコア算出部1232は、対象店舗について、下記式により、決済店舗スコア(Scorepay_shop)を算出する。下記式において、各レイヤにおける利用頻度をScoreshop_categoryとする。また、各項に、レイヤに対応付けられる重み(Wlayer)を掛け合わせてもよい。
【0050】
【数3】
【0051】
一例として、ユーザが決済したことがあるコンビニA社のP店の決済店舗スコアの算出例を下記に示す。ここでは、レイヤ1における利用頻度については図5、レイヤ2における利用頻度については図6、レイヤ3における利用頻度については図8を参照する。レイヤ3における利用頻度として、平日夕方と休日午後で異なる場合を用いるため、下記では平日夕方の場合の決済店舗スコアの算出と、休日午後の場合の決済店舗スコアの算出を例示する。また、各レイヤに対応付けられる重みは、一例として、Wlayer1:0.2、Wlayer2:0.3、Wlayer3:0.5とする。
【0052】
コンビニA社P店の決済店舗スコアの算出例
・平日夕方・・・Score pay_ shop=0.2*0.6+0.3*0.8+0.5*0.7=0.71
・休日午後・・・Score pay_ shop=0.2*0.6+0.3*0.8+0.5*0.1=0.41
【0053】
一方、普段利用しない店舗だが、普段利用する店舗の系列店については、レイヤ2およびレイヤ3を使用して決済店舗スコアを算出することが可能である。下記に算出例を示す。
【0054】
コンビニA社の系列店の決済店舗スコアの算出例
・平日夕方・・・Score pay_ shop=0.3*0.8+0.5*0.7=0.59
・休日午後・・・Score pay_ shop=0.3*0.8+0.5*0.1=0.29
【0055】
続いて、決済デバイススコア(Scorepay_device)の算出例について説明する。決済デバイススコアは、決済の場面で使用されるデバイスのスコアである。決済に使用されるデバイスは、スマートフォンや、スマートウォッチ、スマートバンド等が挙げられる。一人のユーザが1のデバイスしか使わない場合もあるし、複数のデバイスを使う場合もある。決済機会スコア算出部1232は、対象店舗について、各デバイスの決済への使用率を用いて、デバイス別に、決済デバイススコアを算出し得る。各デバイスの決済への使用率は、上記決済モデル(決済デバイスの特徴量を含む)から取得され得る。各デバイスの決済への使用率は、例えば下記表1~表2に示すように、店舗毎に算出される。また、決済機会スコア算出部1232は、上述した店舗レイヤ毎に算出してもよい。これにより、ユーザが一度も訪れたことがない地域での認証も考慮して、ユーザが利用する可能性が高い店舗系列や店舗カテゴリという観点からもスコアを与えることが可能となる。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
なお、上述したように、利用対象は店舗に限られず、公共交通機関での決済も想定され、例えば下記表3に示すように、公共交通機関での決済デバイスの使用率も挙げられる。
【0059】
【表3】
【0060】
決済機会スコア算出部1232は、上述した使用率(Scoredevice)を用いて、対象店舗について、例えば下記式に示すように決済デバイススコア(Scorepay_device)を算出する。
【0061】
【数4】
【0062】
下記に、決済デバイススコアの算出例を示す。決済デバイススコアは、対象店舗毎に、デバイス別に算出される。また、ここでは、Wdevise=1.0とし、デバイスの使用率が決済デバイススコアとなる。
【0063】
コンビニA社のP店での決済デバイススコアの算出例
・スマートフォン・・・Score pay_ device=1.0*0.72=0.72
・スマートウォッチ・・・Score pay_ device=1.0*0.18=0.18
【0064】
コンビニA社の系列店での決済デバイススコアの算出例
・スマートフォン・・・Score pay_ device=1.0*0.74=0.74
・スマートウォッチ・・・Score pay_ device=1.0*0.20=0.20
【0065】
次に、決済機会スコア算出部1232は、対象店舗について、決済店舗スコア(Scorepay_shop)と決済デバイススコア(Scorepay_device)を加算して決済機会スコア(Scorepayment)を算出する。また、決済店舗スコアと、決済機会スコアには、それぞれ重み(Wpay_shop、Wpay_devise)が掛け合わされる。決済機会スコアの算出式を下記に示す。
(式)Score payment=W pay _shop*Score pay _shop+ W pay _device*Score pay _device
【0066】
また、決済機会スコアの算出例を下記に示す。決済機会スコアは、対象店舗毎に、デバイス別に算出される。ここでは、Wpay_shop=0.5、Wpay_devise=0.5とする。
【0067】
コンビニA社のP店での決済機会スコアの算出例(平日夕方)
・スマートフォン・・・Score payment=0.5*0.71+0.5*0.72=0.715
・スマートウォッチ・・・Score payment=0.5*0.71+0.5*0.18=0.445
【0068】
コンビニA社の系列店での決済機会スコアの算出例(平日夕方)
・スマートフォン・・・Score payment=0.5*0.59+0.5*0.74=0.665
・スマートウォッチ・・・Score payment=0.5*0.59+0.5*0.20=0.395
【0069】
・認証スコアの算出
そして、図3に示す認証スコア算出部1233は、対象店舗について、習慣性スコア(Scorehabit)と決済機会スコア(Scorepayment)を加算して、認証スコア(AuthScore)を算出する。認証スコアの算出式を下記に示す。なお、加算する各スコアには、適宜重み付けが行われ得る。
【0070】
【数5】
【0071】
下記に、認証スコアの算出例を示す。認証スコアは、対象店舗毎に、デバイス別に算出される。ここでは、Whabit=0.6、Wpayment=0.4とする。また、ある平日の夕方を想定し、習慣性スコア(Scorehabit)=0.88の場合を想定する。
【0072】
コンビニA社のP店での決済機会スコアの算出例(平日夕方)
・スマートフォン・・・Auth Score=0.60*0.88+0.40*0.715=0.814
・スマートウォッチ・・・Auth Score =0.60*0.88+0.40*0.445=0.706
【0073】
コンビニA社の系列店での決済機会スコアの算出例(平日夕方)
・スマートフォン・・・Auth Score=0.60*0.88+0.40*0.665=0.794
・スマートウォッチ・・・Auth Score =0.60*0.88+0.40*0.395=0.686
【0074】
以上説明した各スコアの算出方法はいずれも一例であって、本実施形態はこれに限定されない。また、算出された各スコアは、スコアDB165に格納される。
【0075】
続いて、図1に戻り、認証成否判定部124について説明する。認証成否判定部124は、スコア算出部123で算出された認証スコアに基づいて、認証成否を判定する。具体的には、認証成否判定部124は、対象店舗について、算出された認証スコアが認証閾値を超える場合、認証が成功すると判定する。実際の認証(具体的には、決済を許可するための本人認証)が行われる場面以外でも、例えば地図上において、ユーザの現在地の周辺にある店舗の認証成否が表示されることで、ユーザは、決済が可能な店舗を直感的に把握することができる。
【0076】
表示制御部125は、各種操作画面、店舗毎の認証成否の判定結果を示す表示画面等を、表示部150に表示する制御を行う。
【0077】
決済制御部126は、決済に関する制御を行う。具体的には、決済制御部126は、スコア算出部123により算出された、対象店舗における認証スコアに基づいて認証処理を行い、認証が成功した場合(認証スコアが認証閾値を超える場合)、当該対象店舗での決済を許可する。対象店舗は、ユーザの位置情報や、店舗の精算装置から受信した信号(支払い要求信号等)に基づいて判断されてもよい。決済処理は、決済制御部126で行ってもよいし、他のウェアラブルデバイス(スマートウォッチ、スマートバンド等)で行われてもよい。例えば決済制御部126は、決済を許可すると、決済処理に必要な情報を通信部110から店舗の精算装置等に送信する制御を行い得る。なお、決済に関する具体的な処理については、ここでは限定しない。
【0078】
(記憶部160)
記憶部160は、制御部120の処理に用いられるプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、および適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)により実現される。
【0079】
例えば、記憶部160は、行動履歴DB(データベース)161、決済履歴DB162、行動習慣性モデルDB163、決済モデルDB164、およびスコアDB165を格納する。行動履歴DB161は、データ収集部121により収集されたユーザの行動履歴を格納する。決済履歴DB162は、データ収集部121により収集されたユーザの決済履歴を格納する。行動習慣性モデルDB163は、モデル生成部122により生成された行動習慣性モデルを格納する。決済モデルDB164は、モデル生成部122により生成された決済モデルを格納する。スコアDB165は、スコア算出部123により算出された各種スコアを格納する。また、スコアDB165には、スコアの算出に必要な各種パラメータ(重みデータや閾値等)が格納されていてもよい。
【0080】
以上、情報処理装置10の構成について具体的に説明したが、本開示による情報処理装置10の構成は図1に示す例に限定されない。例えば、情報処理装置10は、操作入力部130および表示部150を有さない構成であってもよい。また、情報処理装置10は、複数の装置により実現されてもよい。また、情報処理装置10の少なくとも一部の機能をサーバで実現してもよい。
【0081】
<<3.動作処理>>
次に、本実施形態による動作処理について図面を用いて具体的に説明する。
【0082】
<3-1.認証スコアの算出処理>
図9は、本実施形態による認証スコアの算出処理の流れの一例を示すフローチャートである。図9に示すように、まず、習慣性スコア算出部1231は、対象店舗について、習慣的空間スコアの算出と(ステップS103)、習慣的行動スコアの算出と(ステップS106)、習慣的利用デバイススコアの算出と(ステップS109)を行い、これらに基づいて、習慣性スコアを算出する(ステップS112)。
【0083】
また、決済機会スコア算出部1232は、対象店舗について、決済店舗スコアの算出と(ステップS115)、決済デバイススコアの算出と(ステップS118)を行い、これらに基づいて、決済機会スコアを算出する(ステップS121)。
【0084】
次いで、認証スコア算出部1233は、習慣性スコアと、決済機会スコアとに基づいて、対象店舗の認証スコアを算出する(ステップS124)。
【0085】
次に、スコア算出部123は、算出された認証スコアを、スコアDB165に保存する(ステップS127)。スコアDB165への保存は、対象店舗の認証スコアが新たに算出された際は、更新され得る。また、算出された認証スコアは、認証成否判定部124や、表示制御部125、決済制御部126に出力されてもよい。そして、本動作は終了する。
【0086】
以上説明した認証スコアの算出は、対象店舗毎に行われる。対象店舗とは、決済場面では、決済を行う店舗が該当する。また、認証成否判定の結果を地図画像上に表示する画面では、地図上に表示される店舗(例えば、ユーザから一定の範囲内に位置する店舗)が該当する。
【0087】
<3-2.決済処理>
図10は、本実施形態による決済処理の流れの一例を示すフローチャートである。図10に示すように、まず、決済制御部126は、スコアDB165から、対象店舗(決済しようとしている店舗)の認証スコアを読み出す(ステップS203)。
【0088】
次いで、決済制御部126は、スコアDB165から、認証閾値を読み出す(ステップS206)。
【0089】
次に、決済制御部126は、認証スコアが認証閾値を超えるか否かを判断する(ステップS209)。
【0090】
次いで、認証スコアが認証閾値を超える場合(ステップS209/Yes)、決済制御部126は、認証成功と判断し、決済を許可する(ステップS212)。決済制御部126は、必要に応じて、決済処理(例えば店舗の精算装置からの支払い要求に応じた支払い処理)を実行する。
【0091】
次に、決済制御部126は、決済が終了すると、決済店舗情報を更新する(ステップS215)。具体的には、決済制御部126は、決済店舗の情報を、決済履歴として決済履歴DB163に蓄積する。
【0092】
一方、認証スコアが認証閾値を超えない場合(ステップS209/No)、決済制御部126は、認証失敗と判断し、決済を許可せず、決済処理の動作が終了する。
【0093】
<3-3.表示処理>
図11は、本実施形態による認証成否判定の表示処理の流れの一例を示すフローチャートである。図11に示すように、まず、認証成否判定部124は、ユーザの習慣性スコア、対象店舗の認証スコア、認証閾値を、スコアDB165から読み出す(ステップS303)。対象店舗とは、例えばユーザの現在地から一定の範囲内、または地図に表示する範囲内に位置する店舗である。
【0094】
次いで、認証成否判定部124は、対象店舗について、対象店舗の認証スコアと認証閾値に基づいて、認証成否の判定を行う(ステップS306)。
【0095】
次に、表示制御部125は、各対象店舗の認証成否の判定結果を地図画像上に表示する処理を行う(ステップ309)。各対象店舗の認証成否の判定結果は、決済デバイス毎に表示され得る。認証成功と判定された、すなわちハンズフリーやタッチでの決済が可能な店舗が明示される。ここで、本実施形態による認証成否の判定結果の表示画面例について、図12を参照して説明する。
【0096】
図12は、本実施形態による認証成否の判定結果を示す表示画面の一例を示す図である。図12に示すように、表示画面300では、店舗アイコン(例えば店舗アイコン310、店舗アイコン320、店舗アイコン330)と、各店舗の認証スコア(例えばスコア表示311、スコア表示321、スコア表示331)と、ユーザの現在地を示すマーク350と、ユーザの習慣性スコア表示351と、認証閾値表示360が、地図画像上に表示されている。各店舗アイコンは、少なくとも店舗カテゴリ(コンビニ、スーパー、デパート等の業態)の違いが分かる程度のアイコンであってもよいし、どの系列(会社)の店舗であるかが分かる程度のアイコンであってもよい。
【0097】
各店舗のスコア表示では、ハンズフリー等での決済が可能であるデバイス(すなわちデバイス別の認証スコアが認証閾値を超えるデバイス)に、決済が可能であることを示すチェックマークが表示されている。これによりユーザは、ハンズフリー等での決済が可能な店舗とデバイスを、直感的に把握できる。なお、図12に示す例では、決済デバイスとしてスマートフォンとスマートウォッチの両方を考慮しているが、本実施形態はこれに限定されず、例えばユーザがスマートフォンしか使用しない場合は、各店舗のスコア表示において、スマートフォンの認証スコアのみを表示してもよい。
【0098】
また、本実施形態では、表示画面300に認証閾値が表示されることで、ユーザは、決済が可能ではない(チェックマークがついていない)店舗や決済デバイスに関し、認証スコアがどのくらい足りないかを把握することができる。また、表示画面300に、ユーザの行動に基づく習慣性スコアが表示されることで、ユーザは、自身の行動のスコアを把握することができる。
【0099】
また、表示画面300では、ユーザが利用している店舗か、利用したことはないが利用している店舗の系列店か、利用したことはないが利用している店舗と同じカテゴリの店舗か、を明示するレイヤ表示(例えばレイヤ表示312、レイヤ表示322、レイヤ表示332)が表示されてもよい。レイヤ表示は、レイヤ毎に異なる色や模様、濃度の画像であってもよい。図12に示す例では、レイヤ表示332が、ユーザが利用している店舗であることを示し、レイヤ表示312が、利用したことはないが利用している店舗の系列店であることを示し、レイヤ表示322が、利用したことはないが利用している店舗と同じカテゴリの店舗であることを示す。図12に示す例では、店舗アイコン320の店舗において、スマートウォッチの認証スコアが認証閾値に届かず決済ができないことが明示されているが、ユーザは、店舗アイコン320の背景画像として表示されているレイヤ表示322を視認することで、店舗アイコン320で示される店舗が普段使っていない店舗であり、特にあまり使用していないスマートウォッチでは認証が成功しないことを把握することができる。
【0100】
ここで、認証スコアは、上述した通り、ユーザの行動に基づく習慣性スコアと、ユーザの決済履歴に基づく決済機会スコアとから算出されるところ、引っ越しや転職(勤務地の変更)、出張、旅行等でユーザの行動が普段から大きく変化した場合、習慣性スコアが下がり、それに伴って認証スコアも低下する。本実施形態では、認証スコアに決済機会スコアも用いることで、習慣性スコアが多少低下する状況においても、決済機会スコアにより本人性をある程度担保することはできるが、かかる担保も認証スコアが認証閾値を超えない限りであり、習慣性スコアが大きく低下して認証スコアが認証閾値を超えない場合は、ハンズフリー等の決済が行えないこととなる。これに対し、本実施形態では、適宜いくつかの方法により認証スコアの算出や認証に用いるパラメータを調整することで、認証の利便性を高めることを可能とする。
【0101】
まず一つの方法として、スコア算出部123が、習慣性スコアに掛け合わせられる重み(Whabit)に対して、決済機会スコアの算出に用いられる重み(Wpayment)を相対的に上げる処理を行うことが挙げられる。スコア算出部123は、Whabitを下げてもよいし、Wpaymentを上げてもよい。決済機会スコアの重みを相対的に高くすることで、ユーザが普段利用している店舗の系列店や同カテゴリ店など、ユーザ本人が利用する可能性が高い店舗を使用しやすい状態とすることができる。以下、図13を参照して具体的に説明する。
【0102】
図13は、本実施形態による重み調整の一例について説明する図である。制御部120は、図13に示すように、例えば習慣性スコアの算出に用いる各スコアのうち、位置情報に基づいて算出される習慣的空間スコア(Scorespace)が第1の閾値(Th1)を下回った場合、スコア算出部123は、重み(Whabit)を予め定めた下限値まで下げ、習慣的空間スコア(Scorespace)が第2の閾値(Th2)を上回った場合、重み(Whabit)を予め定めた上限値まで引き上げるようにしてもよい。なお、Wpayment=(1-Whabit)とし、0≦W、Score≦1とする。
【0103】
図14は、本実施形態による重み調整により修正された認証スコアに基づく認証判定結果を示す表示画面の一例を示す図である。図14に示すように、例えばユーザが出張や旅行により、普段は利用しない場所に訪れた場合、ユーザの行動に基づいて算出される習慣スコア(Scorehabit)が、0.68に低下する。なお、かかる習慣スコアは一例であるが、図12を参照して説明した場合の(普段利用している場所における)習慣スコア(Scorehabit)=0.88に対して低下している。この場合、スコア算出部123は、習慣性スコアに掛け合わされる重みWhabitに対して、決済機会スコアに掛け合わされる重みWpaymentを相対的に上げた上で、対象店舗の認証スコアを算出する。下記に、認証スコア(Auth Score)の算出例を示す。ここでは、Whabit=0.4、Wpayment=0.6とする。
【0104】
コンビニA社の系列店での決済機会スコアの算出例(平日夕方)
・スマートフォン・・・Auth Score=0.40*0.68+0.60*0.665=0.671
・スマートウォッチ・・・Auth Score =0.40*0.68+0.60*0.395=0.509
【0105】
これにより、図14に示すように、例えば対象店舗410(コンビニA社の系列店)のスマートフォン使用時の認証スコアが「0.671」となり、普段利用しない場所であっても、ユーザが利用している店舗の系列店(ここでは、コンビニA社の系列店)であれば、ハンズフリー等での決済が可能となる。
【0106】
以上の重みの調整は、制御部120により自動的に行われ得る。一方、ユーザが任意で調整するためのUI(ユーザインタフェース)を表示し、ユーザ入力を受け付けて認証スコアに用いる各種パラメータを調整することも可能である。例えば図14で示す例では、対象店舗410ではスマートウォッチでの決済が行えず、対象店舗420では、いずれの決済デバイスでも決済が行えないため、所定のUIを表示してユーザが任意でパラメータを調整して認証を行えるようにしてもよい。
【0107】
図11に戻り、パラメータ調整が行われた場合の処理について説明する。制御部120は、適宜表示した調整画面からユーザによるパラメータ調整の入力を受け付けると(ステップS312/Yes)、認証スコアの再算出や、認証成否判定を行い、新たな認証成否判定結果を表示するよう、表示画面の更新処理を行う(ステップS315)。
【0108】
以下、本実施形態によるパラメータ調整について、以下図15図21を参照して具体的に説明する。
【0109】
(パラメータ調整について)
本実施形態によるパラメータ調整は、一例として、認証スコアを算出する際に用いられる各種数値(例えば、重み)の調整や、認証成否を判定する際に用いられる認証閾値(決済時の認証処理で用いられる認証閾値と同様)の調整が挙げられる。
【0110】
・認証閾値の調整
図15は、本実施形態による認証閾値の調整について説明する図である。図15左に示すように、例えば表示画面400に表示される認証閾値表示460をユーザがタップ(ダブルタップ、長押し等)すると、図15右に示すように、認証閾値の調整画面500が重畳表示される。認証閾値の調整画面500の具体例について、図16を参照して説明する。
【0111】
図16は、本実施形態による認証閾値の調整画面の一例を示す図である。図16左に示すように、まず、調整画面501では、各店舗の認証スコアがグラフ表示され、また、かかるグラフ表示では、規定の認証閾値(例えば0.65)が示される。規定の認証閾値は、例えばユーザの利用割合が高い店舗が認証成功となる程度に予め設定され得る。ユーザは、図16右の調整画面502に示すように、認証閾値(th)をスライドさせることで、直感的に、任意の認証閾値(例えば0.60)に変更することができる。なお、制御部120は、スマートフォンとスマートウォッチの両方の認証スコアを同時に表示することも可能であるが、煩雑になるため、例えば決済デバイスのチェック欄を設け、チェックされた方の決済デバイスに絞り込んだ表示としてもよい。認証成否判定部124は、変更された認証閾値に基づいて、各対象店舗の認証成否を判定する。表示制御部125は、新たな認証成否の判定結果に基づいて、認証成否判定結果の表示画面を更新する。
【0112】
図17は、本実施形態による認証閾値の調整により更新された表示画面の一例を示す図である。図17に示すように、表示画面430では、調整された認証閾値の値(例えば0.60)を示す認証閾値表示462が表示され、当該認証閾値を超える認証スコアに、決済可能であることを示すチェックマークが表示されている。図17に示すように、認証閾値の調整により、対象店舗420においてスマートフォンを用いた決済が新たに可能となる。
【0113】
・店舗レイヤの重み調整
パラメータ調整の一例として、決済機会スコア算出に用いる各種パラメータの調整が挙げられる。決済機会スコア算出の調整により、習慣性スコアには影響を与えず、習慣性スコアを用いる他の用途の認証精度を下げることなく、決済向け認証におけるセキュリティと利便性のバランスを取ることができる。
【0114】
例えば、制御部120は、決済店舗スコアの算出に用いる店舗レイヤの重み調整を受け付ける。店舗レイヤの重み調整により、ユーザが利用する店舗(レイヤ1)のスコア、ユーザが利用する系列店(レイヤ2)のスコア、ユーザが利用する店舗カテゴリ(レイヤ3)のスコアを、適宜調整できる。
【0115】
図18は、本実施形態による店舗レイヤの重み調整について説明する図である。図18に示す例では、上述した認証閾値の調整において、利便性のために認証閾値を規定閾値から下げた場合に、認証のセキュリティとのバランスを保つため、決済機会スコアを調整する場合について説明する。図18左に示すように、例えば表示画面440に表示されるいずれかの対象店舗アイコン(またはレイヤ表示)をユーザがタップ(ダブルタップ、長押し等)すると、図18右に示すように、店舗レイヤの重み調整画面510が重畳表示される。店舗レイヤの重み調整画面510の具体例について、図19を参照して説明する。
【0116】
図19は、本実施形態による店舗レイヤの重み調整画面の一例を示す図である。図19左に示すように、まず、調整画面511では、店舗レイヤの重みを示すバー表示と、地図上に表示されていた各店舗アイコンおよび各認証スコアが表示されている。ユーザは、図19右の調整画面512に示すように、バーの調整つまみをスライド移動させることで、直感的に、各レイヤの重みを変更することができる。図19に示す例では、レイヤ3(店舗カテゴリ)の重みの比率を下げ、レイヤ2(店舗系列)の重みの比率を上げることで、レイヤ2の店舗の認証スコアを上げ、レイヤ3の店舗の認証スコアを下げることができる。認証成否判定部124は、変更された店舗レイヤの重みに基づいて、各対象店舗の認証スコアを再度算出する。次いで、認証成否判定部124は、再度算出された認証スコアに基づいて、認証成否の判定を再度行う。図19に示す例では、店舗レイヤの重み調整に応じて、リアルタイムで、対象店舗での決済が可能であるか否か(認証成功するか)をチェックマークにより表示される。ここでは、レイヤ3の重みを下げることで、レイヤ3の店舗の認証スコアを下げ、認証閾値を下げたことに対する認証セキュリティのバランスを取り得る。
【0117】
また、表示制御部125は、新たな認証成否の判定結果に基づいて、認証成否判定結果の表示画面を更新する。図20は、本実施形態による店舗レイヤの重み調整により更新された表示画面の一例を示す図である。図20に示す表示画面450では、調整によりレイヤ3の店舗(対象店舗420)の認証スコアが下がり、チェックマークが外れている。ここでは一例として、認証閾値を下げたことによる認証セキュリティのバランス取るためにレイヤ3の重みの比率を下げる旨を説明したが、本実施形態はこれに限定されず、例えばユーザがレイヤ3の店舗を利用したい際に、一時的にレイヤ3の重みを上げるよう調整してもよい。このように、普段と異なる場所で習慣性スコアが低下する場合でも、ユーザにより任意で適宜パラメータを調整できるようにすることで、認証の利便性を維持することができる。
【0118】
以上、本実施形態によるパラメータ調整の一例について説明した。なお、制御部120は、上述した習慣性スコアに掛け合わせられる重み(Whabit)に対して決済機会スコアの算出に用いられる重み(Wpayment)を相対的に上げる調整用の画面を表示し、ユーザにより任意に調整できるようにしてもよい。
【0119】
<<4.補足>>
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本技術はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0120】
また、上述した情報処理装置10に内蔵されるCPU、ROM、およびRAM等のハードウェアに、情報処理装置10の機能を発揮させるための1以上のコンピュータプログラムも作成可能である。また、当該1以上のコンピュータプログラムを記憶させたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も提供される。
【0121】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0122】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
ユーザの行動と当該ユーザの習慣性情報に基づいて算出される習慣性スコアと、前記ユーザの対象利用履歴に基づいて算出される利用機会スコアと、に基づいて、対象向け認証スコアを算出する処理と、
前記対象向け認証スコアに基づいて、対象における認証の成否を判定する処理と、
を行う制御部を備える、情報処理装置。
(2)
前記制御部は、ユーザ入力に応じて、前記認証の成否の判定に用いられる閾値を変更する、前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記制御部は、ユーザ入力に応じて、前記利用機会スコアの算出に用いられるパラメータを変更する、前記(1)または(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記制御部は、地図画像上において対象毎の認証の成否の判定結果を表示する処理を行う、前記(1)~(3)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(5)
前記制御部は、対象毎に算出された対象向け認証スコアと、前記認証の成否の判定に用いられる閾値と、をさらに表示する処理を行う、前記(4)に記載の情報処理装置。
(6)
前記制御部は、前記ユーザの現在の行動と前記習慣性情報に基づいて算出される前記習慣性スコアをさらに表示する処理を行う、前記(4)または(5)に記載の情報処理装置。
(7)
前記制御部は、地図画像上に示される各対象が、対象レイヤのいずれのレイヤに属するかを明示する処理を行う、前記(4)~(6)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(8)
前記制御部は、前記認証の成否の判定に用いられる閾値に対する前記ユーザによる調整を受け付ける画面を表示する処理を行う、前記(4)~(7)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(9)
前記制御部は、前記利用機会スコアの算出に用いられるパラメータに対する前記ユーザによる調整を受け付ける画面を表示する処理を行う、前記(4)~(8)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(10)
前記利用機会スコアの算出には、前記対象利用履歴に基づく対象スコアが用いられ、
前記パラメータは、前記対象スコアの算出に用いられる、対象レイヤに設定される重みである、前記(9)に記載の情報処理装置。
(11)
前記パラメータは、前記認証スコアの算出において、前記利用機会スコアに掛け合わせられる重みである、前記(9)に記載の情報処理装置。
(12)
前記対象利用履歴は、前記ユーザが利用した対象の情報と、当該対象で決済に使用したデバイスの情報とを含み、
前記利用機会スコアの算出には、前記対象利用履歴に基づいて算出される対象スコアおよびデバイススコアが用いられ、
前記制御部は、
各対象について、デバイス別に前記利用機会スコアを算出し、
算出した前記デバイス別の前記利用機会スコアと前記習慣性スコアに基づいて、対象における認証の成否を判定し、
地図画像上において、対象毎にデバイス別の認証の成否の判定結果を表示する処理を行う、前記(4)~(11)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(13)
前記対象利用履歴は、前記ユーザが決済した店舗に関する情報を含む、前記(1)~(12)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(14)
前記対象における認証の成否は、店舗での決済を行う際に用いられる認証の成否である、前記(4)~(13)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(15)
前記制御部は、前記習慣性スコアが閾値を下回った場合、前記認証スコアの算出において、前記習慣性スコアに掛け合わせられる重みに対して、前記利用機会スコアに掛け合わせられる重みを相対的に上げる処理を行う、前記(1)~(14)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
(16)
プロセッサが、
ユーザの行動と当該ユーザの習慣性情報に基づいて算出される習慣性スコアと、前記ユーザの対象利用履歴に基づいて算出される利用機会スコアと、に基づいて、対象向け認証スコアを算出することと、
前記対象向け認証スコアに基づいて、対象における認証の成否を判定することと、
を含む、情報処理方法。
(17)
コンピュータを、
ユーザの行動と当該ユーザの習慣性情報に基づいて算出される習慣性スコアと、前記ユーザの対象利用履歴に基づいて算出される利用機会スコアと、に基づいて、対象向け認証スコアを算出する処理と、
前記対象向け認証スコアに基づいて、対象における認証の成否を判定する処理と、
を行う制御部として機能させる、プログラム。
【符号の説明】
【0123】
10 情報処理装置
110 通信部
120 制御部
121 データ収集部
122 モデル生成部
123 スコア算出部
124 認証成否判定部
125 表示制御部
126 決済制御部
130 操作入力部
140 センサ
150 表示部
160 記憶部
161 行動履歴DB
162 決済履歴DB
163 行動習慣性モデルDB
164 決済モデルDB
165 スコアDB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図20