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特開2023-176531ボール包装箱、ブランク、および、包装箱中間体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176531
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】ボール包装箱、ブランク、および、包装箱中間体
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/50 20060101AFI20231206BHJP
   B65D 5/355 20060101ALI20231206BHJP
   B65D 85/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B65D5/50 B
B65D5/355
B65D85/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088864
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慶太
(72)【発明者】
【氏名】織田 光郎
【テーマコード(参考)】
3E060
3E068
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA05
3E060BC02
3E060BC04
3E060CB06
3E060CB16
3E060CC03
3E060CC04
3E060CC18
3E060CC43
3E060DA22
3E060DA25
3E060DA30
3E060EA06
3E060EA20
3E068AA40
3E068AC08
3E068BB01
3E068CC04
3E068CD01
3E068CE02
3E068DD01
3E068DD03
3E068DD04
3E068DD08
3E068DE01
3E068DE13
3E068DE14
3E068EE01
3E068EE16
3E068EE25
3E068EE32
(57)【要約】
【課題】直径の異なる複数の種類のボールを収容することができるボール包装箱、ブランク、および、包装箱中間体を提供する。
【解決手段】ボール包装箱において、第1前フラップ22と第2前フラップ23とのなす角αが鈍角であって第2前フラップ23が包装箱の底面に沿う第1状態と、第1前フラップ22と第2前フラップ23とのなす角αが鋭角であって第2前フラップ23の先端辺23aが前方に向くように第2前フラップ23が傾斜した第2状態とが、罫線での第2前フラップ23の折り曲げ角度の変更によって切り替え可能に構成されている。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上壁、下壁、右壁、および、左壁の4つの主壁を備え、これら主壁で囲まれる空間にボールを収容するように構成されたボール包装箱であって、
前記下壁の前端から立ち上がる前壁と、
前記前壁の上端から前記ボール包装箱内の底面に向けて延びる第1前フラップと、
前記第1前フラップの後端に谷折りされる罫線を介して繋がっている第2前フラップと、を備え、
前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鈍角であって前記第2前フラップが前記底面に沿う第1状態と、
前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鋭角であって前記第2前フラップの先端辺が前方に向くように前記第2前フラップが傾斜した第2状態とが、
前記罫線での前記第2前フラップの折り曲げ角度の変更によって切り替え可能に構成されている
ボール包装箱。
【請求項2】
前記第2前フラップの前記先端辺は、前記罫線に向かって突き出す円弧状の部分を含む
請求項1に記載のボール包装箱。
【請求項3】
前記第2状態において、前記第1前フラップに対する前記第2前フラップの角度の変化を規制する規制片を備える
請求項1に記載のボール包装箱。
【請求項4】
前記第2前フラップの側端に繋がった側端片を備え、
右壁および左壁の少なくとも一方が対象主壁であり、
前記規制片は、前記対象主壁ごとに備えられて前記対象主壁の前端に繋がり、かつ、前記ボール包装箱の内側に折り曲げられており、
前記第2状態において、前記規制片は、前記対象主壁と当該規制片との間に前記側端片を挟み込んでいる
請求項3に記載のボール包装箱。
【請求項5】
前記4つの主壁の少なくとも1つが対象主壁であり、
前記ボール包装箱の後面を構成して前記対象主壁ごとに備えられる後フラップであって、その基端が前記対象主壁の後端に繋がっている後フラップと、
前記後フラップの先端に繋がっている折曲片であって、前記後フラップの裏側に向けて折り曲げ可能に構成された前記折曲片と、を備える
請求項1に記載のボール包装箱。
【請求項6】
前記後フラップの先端辺、および、前記折曲片の先端辺の少なくとも一方は、前記対象主壁に向かって突き出す円弧状の部分を含む
請求項5に記載のボール包装箱。
【請求項7】
前記ボール包装箱の後面を構成する後フラップであって、前記4つの主壁に1つずつ繋がった4つの後フラップを備え、
各後フラップの両端は他の後フラップと係合されており、
前記4つの後フラップには、前記係合を解除して前記ボール包装箱を開くときの使用者による支持位置を示す領域を含む前記後フラップが含まれる
請求項1に記載のボール包装箱。
【請求項8】
ボール包装箱を製造するためのブランクであって、
一列に繋がった上壁、下壁、右壁、および、左壁と、
前記下壁の前端から上方向に立ち上げ可能に前記下壁に繋がった前壁と、
前記前壁に対して前記下壁と反対側に繋がった第1前フラップであって、前記前壁の上端から前記ボール包装箱内の底面に向けて延びるように前記前壁との間の罫線で折り曲げ可能に構成された前記第1前フラップと、
前記第1前フラップに対して前記前壁と反対側に繋がった第2前フラップであって、前記第1前フラップとの間の罫線で谷折り可能に構成された前記第2前フラップと、を備え、
前記ボール包装箱を、
前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鈍角であって前記第2前フラップが前記底面に沿う第1状態と、
前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鋭角であって前記第2前フラップの先端辺が前方に向くように前記第2前フラップが傾斜した第2状態とを、
前記第1前フラップと前記第2前フラップとの間の前記罫線での前記第2前フラップの折り曲げ角度の変更によって切り替え可能な構造とするように構成されている
ブランク。
【請求項9】
ボール包装箱の製造に用いられる中間体であって、
上壁、下壁、右壁、および、左壁の4つの主壁であって、扁平筒状に繋げられている前記4つの主壁と、
前記下壁の前端から上方向に立ち上げ可能に前記下壁に繋がった前壁と、
前記前壁に対して前記下壁と反対側に繋がった第1前フラップであって、前記前壁の上端から前記ボール包装箱内の底面に向けて延びるように前記前壁との間の罫線で折り曲げ可能に構成された前記第1前フラップと、
前記第1前フラップに対して前記前壁と反対側に繋がった第2前フラップであって、前記第1前フラップとの間の罫線で谷折り可能に構成された前記第2前フラップと、を備え、
前記ボール包装箱を、
前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鈍角であって前記第2前フラップが前記底面に沿う第1状態と、
前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鋭角であって前記第2前フラップの先端辺が前方に向くように前記第2前フラップが傾斜した第2状態とを、
前記第1前フラップと前記第2前フラップとの間の前記罫線での前記第2前フラップの折り曲げ角度の変更によって切り替え可能な構造とするように構成されている
包装箱中間体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボール包装箱、ブランク、および、包装箱中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
球技用ボールの販売に際して当該ボールの陳列に用いられるボール包装箱が知られている(例えば、特許文献1参照)。球技用ボールは、例えば、バスケットボールやサッカーボール等である。ボール包装箱は、1枚のブランクから組み立てられた箱状を有し、前面と後面とに開口部を有する。これらの開口部から、ボール包装箱に収容されたボールが視認可能である。ボールをボール包装箱に収容した状態で陳列することにより、ボールが転がることを抑えられるため、ボールの安定した陳列が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3969626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のボール包装箱においては、箱内部に、ボールの底部を支持するフラップが配置されている。フラップは、ボールと接する部分で箱の底面から浮き上がっており、弾性力を有するように底面に向けて僅かに変形可能である。それゆえ、収容されるボールの直径に応じて、フラップの高さが変化する。これにより、空気が十分に充填されているボールと空気不足のボールとのように、直径が若干異なるボールであっても、これらのボールのいずれもを箱内部に安定して保持することができる。
【0005】
しかしながら、1枚のブランクから組み立てられたボール包装箱では、上記フラップを複雑な機構により構成することはできないため、フラップの高さが変化する範囲は僅かである。したがって、収容可能なボールの直径の範囲は狭い。それゆえ、号数の異なるボールのように、より大きな直径の差を有する複数の種類のボールを収容可能なボール包装箱が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのボール包装箱、ブランク、および、包装箱中間体の各態様を記載する。
[態様1]上壁、下壁、右壁、および、左壁の4つの主壁を備え、これら主壁で囲まれる空間にボールを収容するように構成されたボール包装箱であって、前記下壁の前端から立ち上がる前壁と、前記前壁の上端から前記ボール包装箱内の底面に向けて延びる第1前フラップと、前記第1前フラップの後端に谷折りされる罫線を介して繋がっている第2前フラップと、を備え、前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鈍角であって前記第2前フラップが前記底面に沿う第1状態と、前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鋭角であって前記第2前フラップの先端辺が前方に向くように前記第2前フラップが傾斜した第2状態とが、前記罫線での前記第2前フラップの折り曲げ角度の変更によって切り替え可能に構成されているボール包装箱。
【0007】
上記構成によれば、第2前フラップの折り曲げ角度の変更によって、ボール包装箱内でのボールの支持位置が切り換えられる。これにより、直径の異なる複数の種類のボールを、共通するブランクから組み立てられたボール包装箱に収容することができる。
【0008】
[態様2]前記第2前フラップの前記先端辺は、前記罫線に向かって突き出す円弧状の部分を含む[態様1]に記載のボール包装箱。
上記構成によれば、先端辺がボールに沿いやすいため、第2前フラップによるボールの安定した支持が可能である。
【0009】
[態様3]前記第2状態において、前記第1前フラップに対する前記第2前フラップの角度の変化を規制する規制片を備える[態様1]または[態様2]に記載のボール包装箱。
上記構成によれば、第2前フラップの角度が安定することから、第2前フラップによるボールの安定した支持が可能である。
【0010】
[態様4]前記第2前フラップの側端に繋がった側端片を備え、右壁および左壁の少なくとも一方が対象主壁であり、前記規制片は、前記対象主壁ごとに備えられて前記対象主壁の前端に繋がり、かつ、前記ボール包装箱の内側に折り曲げられており、前記第2状態において、前記規制片は、前記対象主壁と当該規制片との間に前記側端片を挟み込んでいる[態様3]に記載のボール包装箱。
上記構成によれば、規制片によって、第1前フラップに対する第2前フラップの角度の変化を的確に規制できる。
【0011】
[態様5]前記4つの主壁の少なくとも1つが対象主壁であり、前記ボール包装箱の後面を構成して前記対象主壁ごとに備えられる後フラップであって、その基端が前記対象主壁の後端に繋がっている後フラップと、前記後フラップの先端に繋がっている折曲片であって、前記後フラップの裏側に向けて折り曲げ可能に構成された前記折曲片と、を備える[態様1]~[態様4]のいずれか一つに記載のボール包装箱。
【0012】
上記構成によれば、折曲片の折り曲げの有無によって、後面でのボールの支持位置を変更できる。そのため、第2前フラップの折り曲げ角度の変更のみによって収容可能なボールの直径が切り換えられる場合と比較して、収容可能なボールの直径の範囲をより広げることができる。
【0013】
[態様6]前記後フラップの先端辺、および、前記折曲片の先端辺の少なくとも一方は、前記対象主壁に向かって突き出す円弧状の部分を含む[態様5]に記載のボール包装箱。
上記構成によれば、先端辺がボールに沿いやすいため、後フラップあるいは折曲辺によるボールの安定した支持が可能である。
【0014】
[態様7]前記ボール包装箱の後面を構成する後フラップであって、前記4つの主壁に1つずつ繋がった4つの後フラップを備え、各後フラップの両端は他の後フラップと係合されており、前記4つの後フラップには、前記係合を解除して前記ボール包装箱を開くときの使用者による支持位置を示す領域を含む前記後フラップが含まれる[態様1]~[態様6]のいずれか一つに記載のボール包装箱。
【0015】
上記構成によれば、ボール包装箱を開ける際に支持すべき位置を使用者が把握しやすい。それゆえ、ボール包装箱を容易に開けることが可能であり、使用者の利便性が高められる。
【0016】
[態様8]ボール包装箱を製造するためのブランクであって、一列に繋がった上壁、下壁、右壁、および、左壁と、前記下壁の前端から上方向に立ち上げ可能に前記下壁に繋がった前壁と、前記前壁に対して前記下壁と反対側に繋がった第1前フラップであって、前記前壁の上端から前記ボール包装箱内の底面に向けて延びるように前記前壁との間の罫線で折り曲げ可能に構成された前記第1前フラップと、前記第1前フラップに対して前記前壁と反対側に繋がった第2前フラップであって、前記第1前フラップとの間の罫線で谷折り可能に構成された前記第2前フラップと、を備え、前記ボール包装箱を、前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鈍角であって前記第2前フラップが前記底面に沿う第1状態と、前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鋭角であって前記第2前フラップの先端辺が前方に向くように前記第2前フラップが傾斜した第2状態とを、前記第1前フラップと前記第2前フラップとの間の前記罫線での前記第2前フラップの折り曲げ角度の変更によって切り替え可能な構造とするように構成されているブランク。
【0017】
上記構成によれば、製造されたボール包装箱において、第2前フラップの折り曲げ角度の変更によって、包装箱内でのボールの支持位置が切り換えられる。これにより、直径の異なる複数の種類のボールを、共通するブランクから組み立てられたボール包装箱に収容することができる。
【0018】
[態様9]ボール包装箱の製造に用いられる中間体であって、上壁、下壁、右壁、および、左壁の4つの主壁であって、扁平筒状に繋げられている前記4つの主壁と、前記下壁の前端から上方向に立ち上げ可能に前記下壁に繋がった前壁と、前記前壁に対して前記下壁と反対側に繋がった第1前フラップであって、前記前壁の上端から前記ボール包装箱内の底面に向けて延びるように前記前壁との間の罫線で折り曲げ可能に構成された前記第1前フラップと、前記第1前フラップに対して前記前壁と反対側に繋がった第2前フラップであって、前記第1前フラップとの間の罫線で谷折り可能に構成された前記第2前フラップと、を備え、前記ボール包装箱を、前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鈍角であって前記第2前フラップが前記底面に沿う第1状態と、前記第1前フラップと前記第2前フラップとのなす角が鋭角であって前記第2前フラップの先端辺が前方に向くように前記第2前フラップが傾斜した第2状態とを、前記第1前フラップと前記第2前フラップとの間の前記罫線での前記第2前フラップの折り曲げ角度の変更によって切り替え可能な構造とするように構成されている包装箱中間体。
【0019】
上記構成によれば、製造されたボール包装箱において、第2前フラップの折り曲げ角度の変更によって、包装箱内でのボールの支持位置が切り換えられる。これにより、直径の異なる複数の種類のボールを、共通するブランクから組み立てられたボール包装箱に収容することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ボール包装箱において、直径の異なる複数の種類のボールを収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
図2】第1実施形態における中サイズのブランクを示す図。
図3】第1実施形態における小サイズのブランクを示す図。
図4】第1実施形態における大サイズのブランクを示す図。
図5】第1実施形態における包装箱中間体の平面構造を示す図。
図6】第1実施形態における第1状態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
図7】第1実施形態における第1状態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
図8】第1実施形態における第1状態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
図9】第1実施形態における第1状態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
図10】第1実施形態における第1状態のボール包装箱の正面図。
図11】第1実施形態における第1状態のボール包装箱の背面図。
図12】第1実施形態における第1状態のボール包装箱の右側面図。
図13】第1実施形態における第1状態のボール包装箱の左側面図。
図14】第1実施形態における第1状態のボール包装箱の平面図。
図15】第1実施形態における第1状態のボール包装箱の底面図。
図16】第1実施形態における第1状態のボール包装箱の断面構造を示す図。
図17】第1実施形態における第2状態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
図18】第1実施形態における第2状態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
図19】第1実施形態における第2状態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
図20】第1実施形態における第2状態のボール包装箱の正面図。
図21】第1実施形態における第2状態のボール包装箱の背面図。
図22】第1実施形態における第2状態のボール包装箱の断面構造を示す図。
図23】第2実施形態における中サイズのブランクを示す図。
図24】第2実施形態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
図25】第2実施形態のボール包装箱の斜視構造を示す図。
図26】変形例のボール包装箱の斜視構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
図1図22を参照して、ボール包装箱、ブランク、および、包装箱中間体の第1実施形態を説明する。以下の説明において、上下、前後、左右の各方向は、ボール包装箱を水平面に静置した状態での方向に対応する。
【0023】
[ボール包装箱の全体構成]
図1に示すように、ボール包装箱100は、上壁10、下壁20、右壁30、および、左壁40の4つの主壁からなる筒状体を有し、筒状体で囲まれた空間にボール110を収容する。ボール包装箱100の前面と後面とは開口されており、ボール包装箱100の前方および後方から、収容されているボール110を視認することができる。ボール110は、例えば、バスケットボール、バレーボール、サッカーボール、ドッジボール、ハンドボール等の球技用ボールである。
【0024】
[ブランクの構成]
図2図4は、ボール包装箱100の製造のためのブランクを示す。ボール包装箱100は、1枚のブランクの組み立てによって形成される。ブランクには2種類の組立方法があり、第1の組立方法によって大径状態のボール包装箱100が形成され、第2の組立方法によって小径状態のボール包装箱100が形成される。大径状態は第1状態の一例であり、小径状態は第2状態の一例である。大径状態と小径状態とで、ボール包装箱100に収容可能なボール110の直径は異なり、大径状態のボール包装箱100には、小径状態のボール包装箱100よりも直径の大きなボール110を収容できる。
【0025】
例えば、大径状態のボール包装箱100には、6号および7号のバスケットボールが収容可能とされ、小径状態のボール包装箱100には、5号のバスケットボールが収容可能とされる。このように、ブランクの組立方法を変えることで、互いに異なる号数のボールをボール包装箱100に収容できる。さらに、ブランク自体の大きさを変更することで、より多くの種類のボールに対応可能である。
【0026】
一例として、図2図4に、3種類のサイズのブランクを示す。図2は中サイズのブランク101を示し、図3は小サイズのブランク102を示し、図4は大サイズのブランク103を示す。このように、3種類のサイズのブランクと2種類の組立方法とを用いることで、ボール包装箱100に、18cm~25cm程度の直径を有する種々の球技用ボールを概ね収容可能である。
【0027】
以下では、中サイズのブランク101と、このブランク101の組み立てによって形成される包装箱中間体およびボール包装箱100との図を用いて、本実施形態の構成を説明する。サイズの異なるブランクにおいては、組み立て後にボールと接する円弧部分の曲率等の細部形状に違いはあるが、いずれのブランクを用いた場合でも、以下に説明するブランク、包装箱中間体、ボール包装箱100における各部の構成および組立方法は同様である。
【0028】
図2に示すように、ブランク101において、左壁40、下壁20、右壁30、上壁10の4つの主壁がこの順に一列に並んでおり、隣り合う主壁は折り曲げ線である罫線60a~60cを介して繋がっている。さらに、上壁10に対して右壁30と反対側には、罫線60dを介して糊代片50が繋がっている。糊代片50は、ブランク101の組み立て過程において左壁40の裏面端部に接着される部分であり、帯状に延びる。
【0029】
下壁20は矩形形状を有し、下壁20の前端には、罫線62aを介して前壁21が繋がっている。前壁21は、左右方向に延びる帯状を有する。前壁21に対して下壁20と反対側には、第1前フラップ22が罫線62bを介して繋がっており、さらに、第1前フラップ22に対して前壁21と反対側には、第2前フラップ23が罫線62cを介して繋がっている。第1前フラップ22は矩形形状を有し、第2前フラップ23の先端には、罫線62cに向けて突き出す円弧状の先端辺23aが位置する。
【0030】
第1前フラップ22における左右の側端の各々には、略三角形状の第1側端片24が罫線62dを介して繋がっている。罫線62dの中央部には、切り込み29が設けられている。切り込み29は、ブランク101を貫通する切れ目である。第2前フラップ23の左右の側端の各々には、略三角形状の第2側端片25が罫線62eを介して繋がっている。
【0031】
右壁30の前端には、下壁20に近い位置から、右補助片31、右規制片32、前右フラップ33が罫線63a~63cを介して繋がっている。右壁30の前端は、右規制片32と前右フラップ33との基端が位置する部分において内側に窪んでいる。左壁40の前端には、下壁20に近い位置から、左補助片41、左規制片42、前左フラップ43が罫線64a~64cを介して繋がっている。左壁40の前端は、左規制片42と前左フラップ43との基端が位置する部分において内側に窪んでいる。
【0032】
右壁30と左壁40、右補助片31と左補助片41、右規制片32と左規制片42、前右フラップ33と前左フラップ43のそれぞれは、互いに左右対称な形状を有する。右補助片31および左補助片41は略矩形形状を有する。右規制片32および左規制片42は略三角形状を有しており、右規制片32は端部に突出部35を有し、左規制片42は端部に突出部45を有する。前右フラップ33および前左フラップ43は略三角形状を有し、前右フラップ33の先端には円弧状の先端辺33aが位置し、前左フラップ43の先端には円弧状の先端辺43aが位置する。
【0033】
上壁10は略矩形形状を有し、上壁10の前端には、前上フラップ11が罫線61aを介して繋がっている。前上フラップ11の先端には、円弧状の先端辺11aが位置する。前上フラップ11と前右フラップ33との隣り合う端部は、互いに係合可能な構造を有しており、前上フラップ11と前左フラップ43との組み立て後に隣り合う端部は、互いに係合可能な構造を有している。すなわち、一方の端部が有する窪みに他方の端部が有する突起が引っ掛けられることによって、端部同士の係合が可能とされる。
【0034】
下壁20の後端には、後下フラップ26の基端が罫線62fを介して繋がっている。後下フラップ26の先端には、罫線62fに向けて突き出す円弧状の先端辺26aが位置し、先端辺26aの中央部は、下折曲片27と罫線62gを介して繋がっている。すなわち、下折曲片27の左右の端部は後下フラップ26から切り離されている。下折曲片27の先端には、罫線62gに向けて突き出す円弧状の先端辺27aが位置する。下折曲片27の全体は、略円弧状の帯状に延びる。
【0035】
同様に、上壁10の後端には、円弧状の先端辺16aを有する後上フラップ16が罫線61fを介して繋がっており、先端辺16aの中央部に、円弧状の先端辺17aを有する上折曲片17が罫線61gを介して繋がっている。後上フラップ16の形状は後下フラップ26の形状と同一であり、上折曲片17の形状は下折曲片27の形状と同一である。
【0036】
また、右壁30の後端には、円弧状の先端辺36aを有する後右フラップ36が罫線63fを介して繋がっており、先端辺36aの中央部に、円弧状の先端辺37aを有する右折曲片37が罫線63gを介して繋がっている。右折曲片37は、下折曲片27よりも短い略円弧状の帯状を有する。
【0037】
同様に、左壁40の後端には、円弧状の先端辺46aを有する後左フラップ46が罫線64fを介して繋がっており、先端辺46aの中央部に、円弧状の先端辺47aを有する左折曲片47が罫線64gを介して繋がっている。後右フラップ36の形状は後左フラップ46の形状と同一であり、右折曲片37の形状は左折曲片47の形状と同一である。
【0038】
後下フラップ26と後左フラップ46との隣り合う端部は、互いに係合可能な構造を有している。同様に、後下フラップ26と後右フラップ36との隣り合う端部、後右フラップ36と後上フラップ16との隣り合う端部、後上フラップ16と後左フラップ46との組み立て後に隣り合う端部のそれぞれは、互いに係合可能な構造を有している。すなわち、一方の端部が有する窪みに他方の端部が有する突起が引っ掛けられることによって、端部同士の係合が可能とされる。なお、後上フラップ16、後下フラップ26、後右フラップ36、後左フラップ46の各々は、後フラップの一例である。
【0039】
上記ブランク101に対し、4つの主壁および糊代片50間の罫線60a~60dのうちの少なくとも2つが折り曲げられ、糊代片50が右壁30の裏面端部に接着されることにより、図5に示す包装箱中間体105が形成される。包装箱中間体105において、右壁30、上壁10、左壁40、および、下壁20は、扁平筒状に繋げられている。
【0040】
例えば、工場等でブランク101から包装箱中間体105を形成した後、ボールの収容を行う拠点へは包装箱中間体105の状態で運搬し、拠点にて包装箱中間体105からボール包装箱100を組み立ててボール包装箱100にボール110を収容する。これにより、組み立て後のボール包装箱100を運搬する場合と比較して、運搬に要するスペースの削減が可能である。それとともに、拠点にてブランク101からボール包装箱100を組み立てる場合と比較して、糊代片50の接着工程が不要であるため、ボール包装箱100の組み立てに要する作業の簡略化が可能である。
なお、ブランク101は、例えば、段ボールやボール紙等の紙やプラスチックシートから構成される。
【0041】
[大径状態]
ブランク101を第1の組立方法によって組み立てることにより形成される大径状態のボール包装箱100について説明する。ボール包装箱100の組み立てに際しては、ブランク101から包装箱中間体105が形成された後、4つの主壁からなる筒状体が引き起こされ、前面下部、前面上部、後面の各々が組み立てられる。
【0042】
図6図9は、大径状態のボール包装箱100の斜視構造を示す。ボール包装箱100の前面下部は、前壁21、第1前フラップ22、第2前フラップ23、第1側端片24、第2側端片25、右補助片31、左補助片41、右規制片32、および、左規制片42の組み立てによって形成される。
【0043】
図6および図7に示すように、前壁21は、下壁20の前端から上方向に向けて立ち上がる。前壁21の高さは、ボール包装箱100の高さの3分の1以下である。第1前フラップ22は、前壁21の上端から、ボール包装箱100の内部に向けて延びる。第1前フラップ22は、前壁21とは反対側の端である後端がボール包装箱100内の底面に接するように、前壁21から下壁20に向かって傾斜している。上記底面は、下壁20が有する面である。
【0044】
第2前フラップ23は、ボール包装箱100の内部で上記底面に沿って延びる。すなわち、第2前フラップ23の全体が下壁20に接している。このとき、第1前フラップ22と第2前フラップ23との間の罫線62c、すなわち第1前フラップ22の後端の罫線62cは、谷折りされている。第2前フラップ23の右端から罫線62eを介して延びる第2側端片25は、罫線62eにて谷折りされて、ボール包装箱100の内部で右壁30に沿う。第2前フラップ23の左端から罫線62eを介して延びる第2側端片25は、罫線62eにて谷折りされて、ボール包装箱100の内部で左壁40に沿う。
【0045】
第1前フラップ22の右端から罫線62dを介して延びる第1側端片24は、罫線62dにて谷折りされて、ボール包装箱100の内部で右壁30に沿う。そして、右壁30の前端から罫線63bを介して延びる右規制片32は、罫線63bで山折りされて右壁30に向かって内側に折り込まれ、右規制片32と右壁30との間に第1側端片24が挟み込まれる。右規制片32が有する突出部35が、第1側端片24の基部に位置する切り込み29に差し込まれて係止されることにより、右規制片32および第1側端片24の位置が固定される。
【0046】
同様に、第1前フラップ22の左端から罫線62dを介して延びる第1側端片24は、罫線62dにて谷折りされて、ボール包装箱100の内部で左壁40に沿う。そして、左壁40の前端から罫線64bを介して延びる左規制片42は、罫線64bで山折りされて左壁40に向かって内側に折り込まれ、左規制片42と左壁40との間に第1側端片24が挟み込まれる。左規制片42が有する突出部45が、第1側端片24の基部に位置する切り込み29に差し込まれて係止されることにより、左規制片42および第1側端片24の位置が固定される。
【0047】
こうした右規制片32および左規制片42と2つの第1側端片24の位置の固定によって、第1前フラップ22の位置が固定される。右補助片31および左補助片41は、前壁21の裏面に沿って、前壁21と第1前フラップ22とで区画される空間に差し込まれている。
【0048】
図8に示すように、ボール包装箱100の前面上部は、前上フラップ11、前右フラップ33、および、前左フラップ43の組み立てによって形成される。すなわち、各フラップ11,33,43は、ボール包装箱100の内部に向かって折り込まれ、前上フラップ11の右端部と前右フラップ33の上端部とが係合され、前上フラップ11の左端部と前左フラップ43の上端部とが係合される。これにより、各フラップ11,33,43は、上壁10、右壁30、および、左壁40の前端からボール包装箱100内に向かうように傾斜した状態に保持され、その先端に、各フラップ11,33,43の先端辺11a,33a,43aが連なった曲線状の辺が配置される。
【0049】
図9に示すように、ボール包装箱100の後面は、後上フラップ16、後下フラップ26、後右フラップ36、および、後左フラップ46の組み立てによって形成される。詳細には、上折曲片17が、罫線61gにて後上フラップ16の裏側に向けて折られてボール包装箱100の内部に配置される。同様に、下折曲片27が、罫線62gにて後下フラップ26の裏側に向けて折られ、右折曲片37が、罫線63gにて後右フラップ36の裏側に向けて折られ、左折曲片47が、罫線64gにて後左フラップ46の裏側に向けて折られている。
【0050】
そして、各フラップ16,26,36,46は、ボール包装箱100の内部に向かって折り込まれ、後上フラップ16の右端部と後右フラップ36の上端部とが係合され、後上フラップ16の左端部と後左フラップ46の上端部とが係合され、後下フラップ26の右端部と後右フラップ36の下端部とが係合され、後下フラップ26の左端部と後左フラップ46の下端部とが係合される。
【0051】
これにより、各フラップ16,26,36.46は、上壁10、下壁20、右壁30、および、左壁40の後端からボール包装箱100内に向かうように傾斜した状態に保持され、その先端に、各フラップ16,26,36,46の先端辺16a,26a,36a,46aが連なった曲線状の辺が配置される。そして、この曲線状の辺によって区画された開口がボール包装箱100の後面に形成される。
【0052】
各フラップ16,26,36,46の係合によって、各フラップ16,26,36,46がボール包装箱100の外側に向けて開くことが規制される一方で、各フラップ16,26,36,46がボール包装箱100の内側に向けて折り込まれることは許容される。
【0053】
ボール包装箱100における前面下部、前面上部、および、後面の組み立て順は特に限定されないが、前面下部および前面上部の組み立て後に後面を組み立てると、ボール包装箱100の組み立てを円滑に進めることができる。
【0054】
また、ボール110は、ボール包装箱100の後方から収容される。ボール110は、後面の組み立て前に収容されてもよいし、後面の一部が組み立てられた後に収容されてもよいし、後面の組み立て後に収容されてもよい。後面の組み立て後であっても、各フラップ16,26,36,46をボール包装箱100の内側に向けて折り込むことは許容されることから、ボール110の収容が可能である。後面の組み立ては、ボール110が収容されていない状態で実施される方が容易であるため、後面の組み立て後にボール110を収容することで、ボール包装箱100の組み立ておよびボール110の収容を円滑に進めることができる。
【0055】
図10図15は、大径状態のボール包装箱100の六面図であり、図10は正面図、図11は背面図、図12は右側面図、図13は左側面図、図14は平面図、図15は底面図を示す。
【0056】
図10図15に示すように、ボール包装箱100の前面および後面には開口が形成されている。また、ボール包装箱100の前面下部は、前面上部よりも前方向に突出している。言い換えれば、図12および図13に示すように、右壁30および左壁40の前部には、上壁10の前端から延びる斜辺と前壁21の上端から延びる斜辺とから構成される窪みDpが形成されている。これらの斜辺の交点にて、窪みDpの深さは最も深くなっている。
【0057】
図16は、大径状態のボール包装箱100における前後方向に沿った断面構造を、ボール包装箱100に収容されたボール110と共に示す。大径状態において、第1前フラップ22と第2前フラップ23とのなす角αは鈍角である。
【0058】
収容されたボール110の前方上部が、前上フラップ11、前右フラップ33、および、前左フラップ43の先端辺11a,33a,43aに当接し、ボール110の前方下部が、前方に向けてせり上がる斜面である第1前フラップ22に当接することで、ボール110が前方に転がり出ることが抑えられる。
【0059】
また、ボール110の後部が、後上フラップ16、後下フラップ26、後右フラップ36、および、後左フラップ46の先端辺16a,26a,36a,46aに当接することで、ボール110が後方に転がり出ることが抑えられる。後面の各フラップ16,26,36,46の傾きは、ボール110の直径に応じて変わってもよく、後面の組み立て後にボール110を収容する形態であれば、ボール110の直径に合わせた各フラップ16,26,36,46の傾きの調整が容易である。
【0060】
このように、前面上部での各フラップ11,33,43の先端による支持と、前面下部での第1前フラップ22による支持と、後面での各フラップ16,26,36,46の先端による支持とによって、ボール包装箱100の内部でのボール110の位置が安定する。これにより、ボール110がボール包装箱100の内部に的確に保持される。
【0061】
なお、収容されたボール110は、前面上部の各フラップ11,33,43と、第1前フラップ22と、後面の各フラップ16,26,36,46とに同時に接している必要はない。ボール110が前方へ移動しようとしたときに、前面上部の各フラップ11,33,43および第1前フラップ22への当接によって前方への転がりが抑えられ、ボール110が後方へ移動しようとしたときに、後面の各フラップ16,26,36,46への当接によって後方への転がりが抑えられればよい。こうした前面および後面での転がりの規制が可能な範囲の直径を有するボール110であれば、大径状態のボール包装箱100に収容することができる。
【0062】
[小径状態]
ブランク101を第2の組立方法によって組み立てることにより形成される小径状態のボール包装箱100について説明する。ボール包装箱100の組み立てに際しては、ブランク101から包装箱中間体105が形成された後、4つの主壁からなる筒状体が引き起こされ、前面下部、前面上部、後面の各々が組み立てられる。
【0063】
図17図19は、小径状態のボール包装箱100の斜視構造を示す。前面上部の構成は大径状態と同一である。以下では、前面下部および後面の構成について、大径状態と異なる部分を説明する。
【0064】
図17および図18に示すように、前面下部において、第2前フラップ23および第2側端片25以外の部材の配置は大径状態と同一である。第2前フラップ23は、第1前フラップ22に向けて罫線62cで折り返されている。これにより、第2前フラップ23は、ボール包装箱100内の底面上から、斜め前方に延び、その先端に円弧状の先端辺23aが位置する。言い換えれば、第2前フラップ23は、先端辺23aが前方に向くように傾斜している。
【0065】
第2前フラップ23の右端は右規制片32に当接し、この右端から延びる第2側端片25が、右規制片32と右壁30との間に挟み込まれている。同様に、第2前フラップ23の左端は左規制片42に当接し、この左端から延びる第2側端片25が、左規制片42と左壁40との間に挟み込まれている。これにより、第2前フラップ23の位置が固定される。すなわち、規制片32,42によって、第1前フラップ22に対する第2前フラップ23の角度の変化が規制されている。
【0066】
図19に示すように、後面においては、後上フラップ16の先端から上折曲片17が延ばされている。すなわち、上折曲片17は折り曲げられていない。同様に、後下フラップ26の先端から下折曲片27が延ばされ、後右フラップ36の先端から右折曲片37が延ばされ、後左フラップ46の先端から左折曲片47が延ばされている。後上フラップ16、後下フラップ26、後右フラップ36、および、後左フラップ46の係合は大径状態と同一である。
【0067】
これにより、各フラップ16,26,36,46および各折曲片17,27,37,47からなる構造体が、上壁10、下壁20、右壁30、および、左壁40の後端からボール包装箱100内に向かうように傾斜した状態に保持される。そして、上記構造体の先端に、各折曲片17,27,37,47の先端辺17a,27a,37a,47aが連なった曲線状の辺が配置され、この曲線状の辺によって区画された開口がボール包装箱100の後面に形成される。小径状態の後面の開口の径は、大径状態の後面の開口の径よりも小さい。
なお、小径状態における前面下部、前面上部、後面の組み立て順およびボール110の収容の手順は、大径状態と同様である。
【0068】
図20および図21は、小径状態のボール包装箱100の六面図の一部であって、図20は正面図、図21は背面図を示す。小径状態のボール包装箱100における右側面図、左側面図、平面図、底面図の各々は、大径状態と同様である。
【0069】
図22は、小径状態のボール包装箱100における前後方向に沿った断面構造を、ボール包装箱100に収容されたボール110と共に示す。小径状態において、第1前フラップ22と第2前フラップ23とのなす角αは鋭角である。
【0070】
収容されたボール110の前方上部が、前上フラップ11、前右フラップ33、および、前左フラップ43の先端辺11a,33a,43aに当接し、ボール110の前方下部が、第2前フラップ23の先端辺23aに当接することで、ボール110が前方に転がり出ることが抑えられる。
【0071】
また、ボール110の後部が、上折曲片17、下折曲片27、右折曲片37、左折曲片47の先端辺17a,27a,37a,47aに当接することで、ボール110が後方に転がり出ることが抑えられる。後面の各フラップ16,26,36,46および折曲片17,27,37,47の傾きは、ボール110の直径に応じて変わってもよく、後面の組み立て後にボール110を収容する形態であれば、ボール110の直径に合わせた各フラップ16,26,36,46および折曲片17,27,37,47の傾きの調整が容易である。
【0072】
このように、前面上部での各フラップ11,33,43の先端による支持と、前面下部での第2前フラップ23の先端による支持と、後面での各折曲片17,27,37,47の先端による支持とによって、ボール包装箱100の内部でのボール110の位置が安定する。これにより、ボール110がボール包装箱100の内部に的確に保持される。
【0073】
ボール110の前面下部を支持する第2前フラップ23の先端は、大径状態においてボール110の前面下部を支持する第1前フラップ22よりも上方かつ後方に配置され、各折曲片17,27,37,47の先端から構成される開口は、大径状態において各フラップ16,26,36,46の先端から構成される開口よりも小さくかつ前方に位置する。このように、小径状態では、各部材によるボール110の支持位置が、大径状態よりも狭い範囲に配置される。したがって、小径状態のボール包装箱100には、大径状態よりも小さい直径のボール110を収容することができる。
【0074】
なお、収容されたボール110は、前面上部の各フラップ11,33,43と、第2前フラップ23と、後面の各折曲片17,27,37,47とに同時に接している必要はない。ボール110が前方へ移動しようとしたときに、前面上部の各フラップ11,33,43および第2前フラップ23への当接によって前方への転がりが抑えられ、ボール110が後方へ移動しようとしたときに、後面の各折曲片17,27,37,47への当接によって後方への転がりが抑えられればよい。こうした前面および後面での転がりの規制が可能な範囲の直径を有するボール110であれば、小径状態のボール包装箱100に収容することができる。
【0075】
以上、第1実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)第2前フラップ23の折り曲げ角度の変更によって、ボール包装箱100内でのボール110の支持位置を切替可能である。そのため、直径の異なる複数の種類のボール110を、共通するブランク101から組み立てられたボール包装箱100に収容することができる。したがって、直径の異なるボール110ごとに別々のブランクおよびボール包装箱を用意する必要がないため、ブランク101の製造およびボール包装箱100の管理の効率が高められる。
【0076】
(2)第2前フラップ23の先端辺23aが円弧状の部分を含むことから、先端辺23aがボール110に沿いやすい。それゆえ、第2前フラップ23によるボール110の安定した支持が可能である。
【0077】
(3)小径状態において、規制片32,42によって、第1前フラップ22に対する第2前フラップ23の角度の変化が規制される。そのため、第2前フラップ23の位置が安定することから、ボール110の安定した支持が可能である。
【0078】
(4)折曲片17,27,37,47の折り曲げの有無によって、後面でのボール110の支持位置が変更される。そのため、第2前フラップ23の折り曲げ角度の変更のみによって収容可能なボール110の直径が切り換えられる場合と比較して、収容可能なボール110の直径の範囲をより広げることができる。
【0079】
(5)後面の各フラップ16,26,36,46および各折曲片17,27,37,47の先端辺が円弧状の部分を含むことから、当該先端辺がボール110に沿いやすい。それゆえ、後面でのボール110の安定した支持が可能である。
【0080】
(第2実施形態)
図23図25を参照して、ボール包装箱、ブランク、および、包装箱中間体の第2実施形態を説明する。以下では、第2実施形態と第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0081】
第2実施形態は、ボール包装箱の使用者の利便性を高めることを課題とする。第2実施形態における第1の課題は、ボールの陳列等のために使用者がボール包装箱を移動させるときに、ボール包装箱の運搬を容易とすることである。第2実施形態における第2の課題は、ボール包装箱から使用者がボールを取り出すときに、ボール包装箱の開封を容易とすることである。
【0082】
図23は、第2実施形態のブランク107を示す。ブランク107は、指掛部70と、指当部71,72と、補助折線73~76とを備える点が第1実施形態と異なっており、これら以外の構成は第1実施形態と同様である。なお、第2実施形態でも、図面には、中サイズのブランク107と、このブランク107の組み立てによって形成されるボール包装箱とを示すが、小サイズや大サイズのブランクも同様に用いることができる。
【0083】
指掛部70は、左壁40に位置する。指掛部70においては、略矩形形状や略楕円形状に延びる孔を形成可能に、左壁40の一部に切り込みが入れられている。例えば、孔となる部分の外周縁のうちの上縁部等の一部のみが左壁40の他の部分に繋がり、外周縁のうちの他の部分が周囲から切り離されている。
【0084】
右指当部71は、後右フラップ36における右壁30の付近に位置し、左指当部72は、後左フラップ46における左壁40の付近に位置する。指当部71,72においては、親指よりやや大きい程度の孔を形成可能に、フラップ36,46の一部に切り込みが入れられている。例えば、孔の外周縁のうちの側縁部等の一部のみがフラップ36,46の他の部分に繋がり、外周縁のうちの他の部分が周囲から切り離されている。
【0085】
補助折線73は、二本の斜線からなる山形を構成しており、右壁30と後右フラップ36との間の罫線63fの中央部を山の頂点として右壁30内に延びる。すなわち、二本の斜線間の距離は、罫線63fから離れるほど広がる。
【0086】
同様に、補助折線74は、二本の斜線からなる山形を構成しており、左壁40と後左フラップ46との間の罫線64fの中央部を山の頂点として左壁40内に延びる。すなわち、二本の斜線間の距離は、罫線64fから離れるほど広がる。
【0087】
補助折線75は、二本の斜線からなり、後右フラップ36内において、右指当部71の周囲から、右折曲片37に向かって二本の斜線間の距離が広がるように延びる。同様に、補助折線76は、二本の斜線からなり、後左フラップ46内において、左指当部72の周囲から、左折曲片47に向かって二本の斜線間の距離が広がるように延びる。
【0088】
補助折線73~75においては、他の罫線と同様に、ブランク107が折れやすくなる加工が施されている。こうした加工は、ブランク107のなかで、ボール包装箱の内側となる面にのみ施されていてもよい。補助折線73~75の加工が、ボール包装箱の内側面にのみ施されていれば、ボール包装箱の外側から補助折線73~75が視認されないため、ボール包装箱の意匠性が高められる。
【0089】
なお、第2実施形態のブランク107の組立方法は第1実施形態と同様である。第2実施形態においても、第1実施形態と同様、組立方法を変えることで、大径状態および小径状態のボール包装箱を形成することができる。
【0090】
図24および図25は、第2実施形態のボール包装箱106の斜視構造を示す。なお、図24および図25では、大径状態のボール包装箱106を示すが、上述の通り、ボール包装箱106は小径状態であってもよい。
【0091】
図24に示すように、指掛部70は、左壁40内の上部に位置する。指掛部70に形成した孔に指をかけることで、使用者はボール包装箱106を容易に保持することができる。したがって、使用者はボール包装箱106を容易に移動させることが可能であり、片手で1つのボール包装箱106を運搬することも可能である。指掛部70の孔は、周囲から切り離されている部分をボール包装箱106の内部に折り曲げることによって形成される。指掛部70は、ブランク107において予め形成された貫通孔であってもよいが、ブランク107の一部の折り曲げによって孔が形成される形態であれば、孔の切断面に使用者の手が触れることが抑えられる。
【0092】
これにより、第1の課題の解決が可能であり、使用者の利便性の向上が可能である。なお、指掛部70は、左壁40に代えて右壁30に設けられていてもよいし、右壁30と左壁40との双方に設けられていてもよい。
【0093】
図25に示すように、右指当部71は、後右フラップ36のなかの右壁30付近において上下方向の中央部に位置し、左指当部72は、後左フラップ46のなかの左壁40付近において上下方向の中央部に位置する。使用者は、右指当部71に形成した孔に右親指をかけて、右手で後右フラップ36と右壁30との角部を掴み、左指当部72に形成した孔に左親指を掛けて、左手で後左フラップ46と左壁40との角部を掴む。そして、右壁30と左壁40とを左右方向に押し広げ、後右フラップ36と後左フラップ46とをボール包装箱106に押し込むように力を加える。これにより、後面の各フラップ16,26,36,46の係合が緩み、後面が開くため、ボール包装箱106に収容されているボール110を取り出すことができる。
【0094】
指当部71,72が設けられていることで、ボール包装箱106を開ける際にどの部分を支持すればよいかが使用者にとって把握しやすくなる。それゆえ、ボール包装箱106の取り扱いに不慣れな使用者であっても、ボール包装箱106を容易に開けることができる。
【0095】
また、補助折線73~76の位置でボール包装箱106が折れやすくなっていることから、上述のように力を加えた場合に、右壁30と左壁40とが左右方向に広がるように、ボール包装箱106が変形しやすい。それゆえ、後面が開きやすくなる。これにより、ボール包装箱106の開封がより容易になる。また、補助折線73~76が設けられていることにより、補助折線73~76以外の部分に折れや皺が生じることを抑えることもできる。
【0096】
なお、指当部71,72は、後面の各フラップ16,26,36,46の係合を解除してボール包装箱106を開くときの使用者による支持位置を示す領域であればよく、孔を形成可能に構成された領域に限らず、印刷やエンボス加工等の加工により支持位置を示す領域であってもよい。また、ボール包装箱106は、上下方向に押し広げられることで開かれてもよく、この場合、後上フラップ16および後下フラップ26に指当部が設けられていればよい。
以上により、第2の課題の解決が可能であり、使用者の利便性の向上が可能である。
【0097】
第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)~(5)の効果に加えて、以下に列挙する効果を得ることができる。
【0098】
(6)主壁に指掛部70が設けられているため、使用者はボール包装箱106を容易に保持することができる。したがって、ボール包装箱106の運搬が容易であり、使用者の利便性が高められる。
【0099】
(7)後面に位置する後フラップに指当部71,72が設けられていることにより、ボール包装箱106を開ける際に使用者が支持すべき位置を把握しやすい。それゆえ、ボール包装箱106を容易に開けることが可能であり、使用者の利便性が高められる。
【0100】
(変形例)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。また、以下の変形例は互いに組み合わせて実施してもよい。
【0101】
図26に示すように、前壁21の上端の一部から、延設片28が上方向に延びていてもよい。延設片28は、例えば、前壁21の右端部や左端部から上方向に延びる。延設片28の形状は特に限定されず、延設片28は、例えば矩形形状や台形状である。延設片28は、ボール包装箱108に収容されるボール110に関する情報の表示等に利用される。ブランクにおいて第1前フラップ22の基部付近を前壁21以外の部分から切り離すように構成することで、前壁21から延びる延設片28を形成することができる。
上記構成によれば、ボール包装箱108をより陳列に適した構成とすることができる。
【0102】
・前上フラップ11、前右フラップ33、および、前左フラップ43の先端辺の少なくとも1つは、ボール110を支持可能であれば円弧状でなくてもよく、例えば直線状であってもよい。同様に、後上フラップ16、後下フラップ26、後右フラップ36、および、後左フラップ46の先端辺の少なくとも1つは、ボール110を支持可能であれば円弧状でなくてもよく、例えば直線状であってもよい。また、上折曲片17、下折曲片27、右折曲片37、および、左折曲片47の先端辺の少なくとも1つは、ボール110を支持可能であれば円弧状でなくてもよく、例えば直線状であってもよい。また、第2前フラップ23の先端辺は、ボール110を支持可能であれば円弧状でなくてもよく、例えば直線状であってもよい。
【0103】
ただし、各先端辺が円弧状の部分を有していれば、ボール110と先端辺とが線状の領域で接することから、ボール110と先端辺とが点で接する場合と比較して、ボール110の位置が安定しやすい。
【0104】
・後上フラップ16、後下フラップ26、後右フラップ36、および、後左フラップ46の少なくとも1つには、折曲片が延設されていなくてもよい。例えば、後上フラップ16および後下フラップ26、または、後右フラップ36および後左フラップ46のように、対向する2つの後フラップのみに折曲片が延設されていてもよい。こうした構成であっても、折曲片を延ばした小径状態において、上下または左右からボール110を支持することはできる。ただし、小径状態における後面でのボール110の支持をより安定させるためには、4つのフラップ16,26,36,46のすべてに折曲片が延設されていることが好ましい。
【0105】
・小径状態において、第1前フラップ22に対する第2前フラップ23の角度の変化は、各規制片32,42によって主壁との間に側端片25を挟み込む構造とは異なる構造によって規制されてもよい。例えば、右規制片32と左規制片42との一方のみが設けられていてもよい。
【0106】
・ボール包装箱は、第1前フラップ22と第2前フラップ23とのなす角が鈍角であり、かつ、折曲片17,27,37,47が延ばされた状態に組み立てられてもよい。また、ボール包装箱は、第1前フラップ22と第2前フラップ23とのなす角が鋭角であり、かつ、折曲片17,27,37,47が折り曲げられた状態に組み立てられてもよい。これらの状態の利用によって、ボール包装箱に収容できるボールの直径をより細かく制御することができる。
【0107】
また、第1前フラップ22と第2前フラップ23とのなす角が切替可能であれば、ボール包装箱の後面は、常に特定の位置でボールを支持するように構成されていてもよい。例えば、すべての折曲片17,27,37,47が設けられていなくてもよいし、後面は1つの平面であって開口を有していなくてもよい。
【0108】
後面の構成に関わらず、第1前フラップ22と第2前フラップ23とのなす角が鈍角である状態が第1状態であり、第1前フラップ22と第2前フラップ23とのなす角が鋭角である状態が第2状態である。
【符号の説明】
【0109】
10…上壁
11…前上フラップ
16…後上フラップ
17…上折曲片
20…下壁
21…前壁
22…第1前フラップ
23…第2前フラップ
24…第1側端片
25…第2側端片
26…後上フラップ
27…上折曲片
28…延設片
30…右壁
31…右補助片
32…右規制片
33…前右フラップ
36…後右フラップ
37…右折曲片
40…左壁
41…左補助片
42…左規制片
43…前左フラップ
46…後左フラップ
47…左折曲片
70…指掛部
71…右指当部
72…左指当部
100,106,108…ボール包装箱
101,102,103,107…ブランク
105…包装箱中間体
図1
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