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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176548
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20231206BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20231206BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20231206BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B60W30/06
B60W50/14
G08G1/16 C
G08G1/09 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088886
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前島 康平
(72)【発明者】
【氏名】丸木 大樹
(72)【発明者】
【氏名】水瀬 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】日栄 悠
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241BC01
3D241BC02
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC11
3D241CC17
3D241CE04
3D241CE06
3D241DA23Z
3D241DA52Z
3D241DA58Z
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB20Z
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC27
5H181LL01
5H181LL02
(57)【要約】
【課題】 車両走行中に駐車支援制御を開始可能である場合、当該制御を開始可能な状態がいつまで継続するかを運転者が容易に認識することを可能にする。
【解決手段】 駐車支援装置は、撮像装置11と、立体物情報を取得可能な立体物情報取得装置12、13と、車両を登録経路に沿って自動的に移動させて駐車位置に駐車させる駐車支援制御を実行可能な制御ユニット10を備える。制御ユニットは、開始位置から駐車位置まで運転者が車両を運転したときの経路を、経路の周囲の俯瞰画像から抽出された特徴点及び立体物情報に含まれる立体物とともに登録経路として記憶装置に登録し、特徴点及び立体物が検出された場合、特徴点及び立体物の位置に基づいて登録経路を演算し、駐車支援制御を開始可能であると判定された場合に成立する開始条件が成立しているとき、駐車支援制御を開始可能である第1区間を表示又は音声により運転者に報知する。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲を撮像して画像情報を取得可能な撮像装置と、
前記車両の周囲に存在する立体物の位置を含む立体物情報を取得可能な立体物情報取得装置と、
所定の開始位置から所定の駐車位置まで前記車両の運転者が前記車両を運転したときの経路を登録経路として登録しておき、前記車両を前記登録経路に沿って自動的に移動させて前記駐車位置に駐車させる制御を含む駐車支援制御を実行可能な制御ユニットと、
を備える駐車支援装置において、
前記制御ユニットは、
前記開始位置から前記駐車位置まで前記運転者が前記車両を運転している期間中、前記車両が所定の距離を走行する毎に、前記画像情報に基づいて生成された俯瞰画像から路面の特徴点を抽出し、前記立体物情報に含まれる前記立体物の位置を取得し、前記開始位置に対する前記車両の相対位置を演算し、
所定の基準点に対する前記車両の前記相対位置の位置座標群を、前記基準点に対する前記特徴点の位置座標及び前記立体物の位置座標とともに前記登録経路として記憶装置に登録し、
前記登録経路の近傍において、前記俯瞰画像及び前記立体物情報に基づいて、登録されている前記特徴点及び/又は前記立体物が検出された場合、当該特徴点の位置座標及び/又は当該立体物の位置座標に基づいて前記登録経路を演算し、
前記登録経路に対する前記車両の相対位置及び相対方位に基づいて前記駐車支援制御を開始可能であると判定された場合に成立する開始条件が成立しているとき、前記駐車支援制御を開始可能である第1区間を表示又は音声により前記運転者に報知する、
ように構成された、
駐車支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車支援装置において、
更に、前記運転者が視認可能な位置に表示画面を備え、
前記制御ユニットは、
前記開始条件が成立している場合、前記第1区間を、前記登録経路を含む領域、又は、前記登録経路上で前記車両の進行方向を示す記号若しくは図形として前記表示画面に表示する、
ように構成された、
駐車支援装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の駐車支援装置において、
前記制御ユニットは、
前記開始条件が成立していない場合において前記登録経路に対する前記車両の前記相対位置及び前記相対方位に基づいて前記車両が前記登録経路に合流可能であると判定された場合に成立する合流条件が成立しているとき、少なくとも前記登録経路に合流可能である第2区間を表示により前記運転者に報知する、
ように構成された、
駐車支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の駐車支援装置において、
前記制御ユニットは、
前記合流条件が成立している場合、前記第2区間へ合流するために必要な運転操作に関する助言を表示又は音声により行う、
ように構成された、
駐車支援装置。
【請求項5】
請求項3に記載の駐車支援装置において、
更に、前記運転者が視認可能な位置に表示画面を備え、
前記制御ユニットは、
前記合流条件が成立している場合、前記第2区間を、前記登録経路を含む領域、又は、前記登録経路上で前記車両の進行方向を示す記号若しくは図形として前記表示画面に表示する、
ように構成された、
駐車支援装置。
【請求項6】
請求項4に記載の駐車支援装置において、
更に、前記運転者が視認可能な位置に表示画面を備え、
前記制御ユニットは、
前記合流条件が成立している場合、前記第2区間を、前記登録経路を含む領域、又は、前記登録経路上で前記車両の進行方向を示す記号若しくは図形として前記表示画面に表示する、
ように構成された、
駐車支援装置。
【請求項7】
請求項1に記載の駐車支援装置において、
更に、前記運転者が視認可能な位置に表示画面を備え、
前記制御ユニットは、
前記開始条件が成立している場合、前記車両が現在の進行方向に沿って直進を継続すると仮定したときに現在位置から前記開始条件が不成立に転じる位置までの残距離を前記第1区間として前記表示画面に表示する、
ように構成された、
駐車支援装置。
【請求項8】
請求項1に記載の駐車支援装置において、
更に、所定の音声を出力可能な音声出力装置を備え、
前記制御ユニットは、
前記開始条件が成立している場合、前記車両が現在の進行方向に沿って直進を継続すると仮定したときに現在位置から前記開始条件が不成立に転じる位置までの残距離に応じた音声を前記第1区間として前記音声出力装置に出力させる、
ように構成された、
駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事前に登録された経路に沿って車両を自動的に移動させて所定の駐車位置に駐車させる制御を含む駐車支援制御を実行する駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の駐車位置(駐車スペース)を事前に登録しておき、当該登録された駐車位置(登録駐車位置)に車両を自動的に駐車させる駐車支援制御を実行する駐車支援装置が知られている。例えば、特許文献1には、登録駐車位置の入口の特徴点(入口特徴点)を利用して駐車支援制御を実行する駐車支援装置が記載されている。具体的には、この駐車支援装置は、運転者が登録を希望する駐車位置を撮像した撮像画像から当該駐車位置の入口特徴点を抽出し、当該駐車位置を登録駐車位置として入口特徴点に関連付けて登録しておく。登録後、駐車支援装置は、車両の周囲を撮像した撮像画像から入口特徴点を探索する。入口特徴点が検出された場合、駐車支援装置は、当該入口特徴点に関連付けて登録されている登録駐車位置までの経路を演算し、当該経路に沿って車両を自動的に移動させることにより駐車支援制御を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-062717号公報
【発明の概要】
【0004】
特許文献1の駐車支援装置は、登録駐車位置の入口特徴点を探索することにより登録駐車位置までの経路を演算するように構成されている。このため、駐車支援制御を開始するためには車両が登録駐車位置の近傍(より詳細には、駐車支援装置が入口特徴点を検出できる程度には近傍)に位置している必要があり、利便性の観点で改善の余地があった。
【0005】
そこで、近年、入口特徴点を登録する代わりに駐車位置までの経路を登録することにより駐車支援制御を実行する駐車支援装置の研究開発が行われている。この駐車支援装置は、「運転者が登録の開始を希望する位置(登録開始位置)」から「運転者が登録を希望する駐車位置(登録駐車位置)」まで運転者が車両を運転したときの経路を登録する。具体的には、登録開始位置は、その周囲に存在する特徴点の位置及び周囲の立体物の位置に関連付けて登録される。なお、立体物の位置は、例えば超音波センサから取得され得る。経路は、登録開始位置に対する車両の相対位置群として登録開始位置に関連付けて登録される。なお、相対位置は、例えば、登録開始位置からの「転舵輪の転舵角」及び「車輪の回転量」に基づいて車両が所定の距離を走行する毎に演算され得る。以下では、登録開始位置に関連付けて登録される特徴点及び立体物に関する情報を「登録開始位置周囲情報」とも称する。
【0006】
この駐車支援装置は、車両が所定の車速閾値以下の車速で走行している最中に登録開始位置周囲情報に基づいて登録開始位置が検出された場合、駐車支援制御を開始可能(利用可能)である旨を例えば音声で運転者に報知(提案)する。運転者が当該報知を契機として車両を停止させて所定の開始ボタンを押下すると、駐車支援装置は、登録開始位置に関連付けて登録されている経路に沿って駐車支援制御を開始する。この構成によれば、車両が登録駐車位置から比較的に離れた地点に位置していても駐車支援制御を開始することができ、利便性が向上する。
【0007】
しかしながら、上記構成によれば、報知は車両が走行している最中に行われるため、運転者が開始ボタンを押下した時点では車両が既に登録開始位置を通過している可能性がある。この場合、駐車支援装置は登録開始位置周囲情報を適切に取得できないため、経路を演算(復元)できず、結果として、駐車支援制御を開始することができなくなってしまう。運転者にとっては、報知を契機として開始ボタンを押下したにも関わらず駐車支援制御が開始されない事態が発生するため、別の点で利便性が低下する。
【0008】
本発明は、上述した問題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の一つは、車両走行中に駐車支援制御を開始可能である場合、当該制御を開始可能な状態がいつまで継続するかを運転者が容易に認識することが可能な駐車支援装置を提供することにある。
【0009】
本発明による駐車支援装置(以下、「本発明装置」と称する。)は、
車両の周囲を撮像して画像情報を取得可能な撮像装置(11)と、
前記車両の周囲に存在する立体物(31乃至36)の位置を含む立体物情報を取得可能な立体物情報取得装置(12、13)と、
所定の開始位置(P1)から所定の駐車位置(P3)まで前記車両の運転者が前記車両を運転したときの経路(R)を登録経路(Rreg)として登録しておき、前記車両を前記登録経路(Rreg)に沿って自動的に移動させて前記駐車位置(Pr)に駐車させる制御を含む駐車支援制御を実行可能な制御ユニット(10)と、
を備える駐車支援装置において、
前記制御ユニット(10)は、
前記開始位置(P1)から前記駐車位置(P3)まで前記運転者が前記車両を運転している期間中、前記車両が所定の距離(d1、d2)を走行する毎に、前記画像情報に基づいて生成された俯瞰画像から路面の特徴点(F)を抽出し、前記立体物情報に含まれる前記立体物(31乃至36)の位置を取得し、前記開始位置(P1)に対する前記車両の相対位置を演算し、
所定の基準点(O)に対する前記車両の前記相対位置の位置座標群を、前記基準点(O)に対する前記特徴点(F)の位置座標及び前記立体物(31乃至36)の位置座標とともに前記登録経路(Rreg)として記憶装置(ROM)に登録し、
前記登録経路(Rreg)の近傍において、前記俯瞰画像及び前記立体物情報に基づいて、登録されている前記特徴点(F)及び/又は前記立体物(31乃至36)が検出された場合、当該特徴点(F)の位置座標及び/又は当該立体物(31乃至36)の位置座標に基づいて前記登録経路(Rreg)を演算し、
前記登録経路(Rreg)に対する前記車両の相対位置及び相対方位に基づいて前記駐車支援制御を開始可能であると判定された場合に成立する開始条件が成立しているとき(ステップ745:Yes、ステップ1710:Yes)、前記駐車支援制御を開始可能である第1区間を表示又は音声により前記運転者に報知する(ステップ750、ステップ1720)、
ように構成された、
駐車支援装置。
【0010】
本発明装置では、開始条件(駐車支援制御を可能であると判定された場合に成立する条件)が成立している場合、第1区間(駐車支援制御を開始可能である区間)が表示又は音声により運転者に報知される。第1区間が表示により報知される場合、運転者は、駐車支援制御を開始可能な区間を視覚的に認識できる。一方、第1区間が音声により報知される場合、運転者は、駐車支援制御を開始可能な区間を聴覚的に認識できる。このため、運転者は、駐車支援制御を開始可能な状態がいつまで継続するかを容易に認識することができる。この構成によれば、運転者が気付かないうちに駐車支援制御が可能な区間を通過してしまう可能性を大幅に低減できる。また、駐車支援制御を開始可能な区間のうち運転者が停車させ易い地点まで車両を移動させてから駐車支援制御を開始することが可能となる。その結果、駐車支援制御の利便性を格段に向上させることができる。なお、俯瞰画像は、実施形態においては「特定俯瞰画像」と記載している。
【0011】
加えて、本発明装置では、登録開始位置の周囲の特徴点及び立体物の位置だけではなく、経路(基準点に対する車両の相対位置の位置座標群)の周囲の特徴点及び立体物の位置も登録される。より詳細には、これらの特徴点及び立体物の位置が、基準点に対する位置座標に変換されて登録される。このため、登録経路の途中からでも駐車支援制御を開始することができ、駐車支援制御の利便性が更に向上する。
【0012】
本発明の一側面では、
更に、前記運転者が視認可能な位置に表示画面(25a)を備え、
前記制御ユニット(10)は、
前記開始条件が成立している場合(ステップ745:Yes)、前記第1区間を、前記登録経路(Rreg)を含む領域(R1)、又は、前記登録経路(Rreg)上で前記車両の進行方向を示す記号(A1)若しくは図形として前記表示画面(25a)に表示する(ステップ750)、
ように構成されている。
【0013】
この構成によれば、運転者は表示画面に表示されている領域又は記号若しくは図形を確認することにより第1区間を適切に視認できる。特に、第1区間が車両の進行方向を示す記号又は図形として表示されている場合、運転者は車両の進行方向を適切に把握することができる。
【0014】
本発明の一側面では、
前記制御ユニット(10)は、
前記開始条件が成立していない場合において前記登録経路(Rreg)に対する前記車両の前記相対位置及び前記相対方位に基づいて前記車両が前記登録経路(Rreg)に合流可能であると判定された場合に成立する合流条件が成立しているとき(ステップ770:Yes)、少なくとも前記登録経路(Rreg)に合流可能である第2区間を表示により前記運転者に報知する(ステップ775)、
ように構成されている。
【0015】
本発明装置では、合流条件が成立している場合、第2区間(少なくとも登録経路に合流可能である区間)が表示により運転者に報知される。このため、運転者は、第2区間に合流するように車両を運転(移動)すれば駐車支援制御が開始可能になることを視覚的に認識できる。この構成によれば、現時点では駐車支援制御を開始できなくても、車両を適切な位置及び方向に運転することにより当該制御を開始できるようになるため、駐車支援制御を利用できるシチュエーションが増加し、当該制御の利便性がより一層向上する。
【0016】
本発明の一側面では、
前記制御ユニット(10)は、
前記合流条件が成立している場合(ステップ770:Yes)、前記第2区間へ合流するために必要な運転操作に関する助言を表示又は音声により行う(ステップ775)、
ように構成されている。
【0017】
この構成によれば、助言に基づいて車両を運転することにより、運転者は車両を第2区間に適切に合流させることができる(即ち、第2区間に逆方向から合流してしまう可能性を低減できる。)。
【0018】
本発明の一側面では、
更に、前記運転者が視認可能な位置に表示画面(25a)を備え、
前記制御ユニット(10)は、
前記合流条件が成立している場合(ステップ770:Yes)、前記第2区間を、前記登録経路(Rreg)を含む領域(R2)、又は、前記登録経路(Rreg)上で前記車両の進行方向を示す記号(A2)若しくは図形として前記表示画面(25a)に表示する(ステップ775)、
ように構成されている。
【0019】
この構成によれば、運転者は表示画面に表示されている領域又は記号若しくは図形を確認することにより第2区間を適切に視認できる。特に、第2区間が車両の進行方向を示す記号又は図形として表示されている場合、運転者は車両をどちらの方向に運転(移動)すればよいか把握できるため、車両を第2区間により適切に合流させることができる。
【0020】
本発明の一側面では、
更に、前記運転者が視認可能な位置に表示画面(25a)を備え、
前記制御ユニット(10)は、
前記開始条件が成立している場合(ステップ1710:Yes)、前記車両が現在の進行方向に沿って直進を継続すると仮定したときに現在位置から前記開始条件が不成立に転じる位置までの残距離(dr)を前記第1区間として前記表示画面(25a)に表示する(ステップ1720)、
ように構成されている。
【0021】
この構成によれば、運転者は表示画面に表示されている残距離を確認することにより第1区間を適切に視認できる。
【0022】
本発明の一側面では、
更に、所定の音声を出力可能な音声出力装置(126)を備え、
前記制御ユニット(110)は、
前記開始条件が成立している場合(ステップ1710:Yes)、前記車両が現在の進行方向に沿って直進を継続すると仮定したときに現在位置から前記開始条件が不成立に転じる位置までの残距離に応じた音声を前記第1区間として前記音声出力装置(126)に出力させる、
ように構成されている。
【0023】
この構成によれば、運転者は音声出力装置から出力される音声(残距離に応じた音声)を聞くことにより、第1区間を適切に把握できる。
【0024】
上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成要件に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態に係る駐車支援装置の概略構成図である。
図2】カメラセンサ、第1超音波センサ及び第2超音波センサの設置位置を示す自車両の平面図である。
図3】表示画面の表示領域のレイアウトを示す図である。
図4】登録モードにおける駐車支援ECUのCPUの処理の流れを示すフローチャートである。
図5】登録モードにおいて経路を登録する場面を例示した図である。
図6A】登録開始位置において生成された俯瞰画像に対応する路面上の撮像範囲を示す図である。
図6B】駐車位置において生成された俯瞰画像に対応する路面上の撮像範囲を示す図である。
図7A】駐車支援モードにおけるCPUの処理の流れを示すフローチャート(その1)である。
図7B】駐車支援モードにおけるCPUの処理の流れを示すフローチャート(その2)である。
図8】駐車支援モードについて説明するための図である。
図9】自車両が図8の位置Paを通過する際に表示画面に表示される支援可能領域を示す図である。
図10】自車両が図8の位置Pbを通過する際に表示画面に表示される支援可能領域を示す図である。
図11】自車両が図8の位置Pcを通過する際に表示画面に表示される支援可能領域を示す図である。
図12】自車両が図8の位置Paを通過する際に表示画面に表示される支援可能領域の別の表示例を示す図である。
図13】自車両が図8の位置Paを通過する際に表示画面に表示される支援可能領域の更に別の表示例を示す図である。
図14】本発明の第2実施形態における駐車支援モードについて説明するための図である。
図15】自車両が図14の位置Paを通過する際に表示画面に表示される支援可能矢印を示す図である。
図16】自車両が図14の位置Pcを通過する際に表示画面に表示される支援可能矢印を示す図である。
図17】本発明の第3実施形態における駐車支援装置のECUのCPUの処理の流れを示すフローチャートである。
図18】表示画面に表示される残距離を示す図である。
図19】本発明の第4実施形態における駐車支援装置の概略構成図である。
図20】表示画面に表示される画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して本実施形態に係る駐車支援装置(以下、「第1実施装置」とも称する。)について説明する。図1に示すように、第1実施装置は、駐車支援ECU10、及び、これに接続されたカメラセンサ11、第1超音波センサ12、第2超音波センサ13、起動スイッチ14、車速センサ15、GPS受信機16、駆動装置21、制動装置22、操舵装置23、シフト切替装置24、及び、表示装置25を備える。駐車支援ECU10は、マイクロコンピュータを主要部として備える。ECUは、Electronic Control Unitの略である。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM及びインターフェース(I/F)等を含み、CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。なお、これらの機能の一部は図示しない別のECUにより実行されてもよい。以下では、第1実施装置が搭載された車両を「自車両」と称する。
【0027】
駐車支援ECU10は、上記要素11乃至16が送信する信号(情報)を所定の時間が経過する毎に取得し、取得した信号に基づいて装置21乃至25を制御するように構成されている。以下では、駐車支援ECU10を、単に「ECU10」とも称する。
【0028】
図2に示すように、カメラセンサ11(撮像装置)は、自車両の前端中央部に設けられたカメラセンサ11aと、自車両の後端中央部に設けられたカメラセンサ11bと、右サイドミラーの下部に設けられたカメラセンサ11cと、左サイドミラーの下部に設けられたカメラセンサ11dと、を含む。
【0029】
カメラセンサ11は、撮像範囲に対応する領域を撮像して画像データ(画像情報)を取得する。具体的には、カメラセンサ11aは、自車両の前方領域を撮像して前方画像データを取得する。カメラセンサ11bは、自車両の後方領域を撮像して後方画像データを取得する。カメラセンサ11cは、自車両の右側方領域を撮像して右側方画像データを取得する。カメラセンサ11dは、自車両の左側方領域を撮像して左側方画像データを取得する。カメラセンサ11a乃至11dは、撮像して得られたこれらの画像データをECU10に送信する。各カメラセンサ11a乃至11dは、その撮像範囲が互いに異なるだけで、基本的には同一の構成を有する。なお、カメラセンサ11の個数及び設置位置は、上記に限られない。
【0030】
ECU10は、前方画像データ又は後方画像データに基づいて、自車両の進行方向の領域を表示する進行方向画像を生成する。具体的には、自車両が前進中、又は、前進中に停止した場合、ECU10は、前方画像データに基づいて自車両の前方領域を示す進行方向画像を生成する。一方、自車両が後退中、又は、後退中に停止した場合、ECU10は、後方画像データに基づいて自車両の後方領域を示す進行方向画像を生成する。ECU10は、所定の条件下でこれらの進行方向画像の何れかを表示装置25のディスプレイ25aに表示する(後述)。
【0031】
加えて、ECU10は、前方画像データ、後方画像データ、右側方画像データ、及び、左側方画像データに基づいて、自車両の周辺領域をその真上から俯瞰したように見える画像を生成する。そして、この画像に、予めECU10のROMに格納されている車両の平面画像を重畳することにより俯瞰画像を生成する。ECU10は、所定の条件下で俯瞰画像をディスプレイ25aに表示する(後述)。
【0032】
第1超音波センサ12(立体物情報取得装置)は、自車両の右前方角部及び左前方角部にそれぞれ設けられた第1超音波センサ12a及び第1超音波センサ12bと、自車両の右後方角部及び左後方角部にそれぞれ設けられた第1超音波センサ12c及び第1超音波センサ12dと、を含む。
【0033】
第1超音波センサ12は、超音波を所定の範囲に送信し、立体物から反射された反射波を受信する。そして、超音波の送信から受信までの時間に基づいて立体物の位置(即ち、自車両から立体物までの距離及び自車両に対する立体物の方位)を演算し、演算結果を第1立体物情報として取得する(別言すれば、立体物を検出する)。具体的には、第1超音波センサ12a乃至12dは、それぞれ、自車両の右斜め前方領域、左斜め前方領域、右斜め後方領域及び左斜め後方領域に存在する立体物の第1立体物情報を取得し、これらの第1立体物情報をECU10に送信する。各第1超音波センサ12a乃至12dは、超音波の送信範囲が互いに異なるだけで、基本的には同一の構成を有する。なお、第1超音波センサ12は、静止している立体物(例えば、ポール又は縁石)の演算結果のみを第1立体物情報として取得するように構成されている。第1超音波センサ12の個数及び設置位置は、上記に限られない。
【0034】
第2超音波センサ13(立体物情報取得装置)は、自車両の前端部にそれぞれ分散して設けられた第2超音波センサ13a乃至13dと、自車両の後端部にそれぞれ分散して設けられた第2超音波センサ13e乃至13hと、を含む。
【0035】
第2超音波センサ13は、自車両からより近辺に位置する立体物を検出するように構成されている点で第1超音波センサ12と相違しているが、基本的な構成は同一である。第2超音波センサ13は、超音波の送信から受信までの時間に基づいて立体物の位置を演算し、演算結果を第2立体物情報として取得する(別言すれば、立体物を検出する)。具体的には、第2超音波センサ13a乃至13dは、それぞれ、自車両の右斜め前方領域、前方右側領域、前方左側領域、左斜め前方領域に存在する立体物の第2立体物情報を取得し、これらの第2立体物情報をECU10に送信する。第2超音波センサ13e乃至13hは、それぞれ、自車両の右斜め後方領域、後方右側領域、後方左側領域、左斜め後方領域に存在する立体物の第2立体物情報を取得し、これらの第2立体物情報をECU10に送信する。各第2超音波センサ13a乃至13hは、超音波の送信範囲が互いに異なるだけで、基本的には同一の構成を有する。なお、第2超音波センサ13は、静止している立体物の演算結果のみを第2立体物情報として取得するように構成されている。第2超音波センサ13の個数及び設置位置は、上記に限られない。
【0036】
以下では、第1立体物情報及び第2立体物情報を「立体物情報」と総称する。なお、第1実施装置は、第1及び第2超音波センサ12及び13に加えて又は代えて、レーダセンサを備えていてもよい。このレーダセンサは、自車両の周囲に存在する立体物の位置を含む立体物情報を取得するように構成され得る。
【0037】
図1に戻って説明を続ける。起動スイッチ14は、後述する登録モードを起動又は停止するために運転者により押下(操作)されるスイッチである。
【0038】
車速センサ15は、自車両の速度(車速)を検出し、検出した車速を表す信号をECU10に送信する。なお、車速センサ15は、厳密には車輪速センサである。
【0039】
GPS受信機16は、自車両の絶対位置(緯度及び経度)を演算するためのGPS信号を受信し、受信したGPS信号をECU10に送信する。
【0040】
駆動装置21は、自車両を走行させるための駆動力をその駆動輪に付与するための装置である。ECU10は、駆動装置21の作動を制御する駆動制御を行うことにより、駆動輪に付与される駆動力を制御する。なお、自車両の種類は特に限定されず、例えば、エンジン車、ハイブリッド車(HEV: Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV: Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、燃料電池車(FCEV: Fuel Cell Electric Vehicle)、及び、電気自動車(BEV: Battery Electric Vehicle)等であってもよい。
【0041】
制動装置22は、自車両を制動するための制動力をその車輪に付与するための装置である。ECU10は、制動装置22の作動を制御する制動制御を行うことにより、車輪に付与される制動力を制御する。
【0042】
操舵装置23は、自車両の転舵輪を転舵させるための操舵トルクをステアリング機構(図示省略)に付与するための装置である。ECU10は、操舵装置23の作動を制御する操舵制御を行うことにより、ステアリング機構に付与される操舵トルク(ひいては、転舵輪の舵角)を制御する。
【0043】
シフト切替装置24は、シフトレバー(図示省略)の位置(典型的には、「D」、「R」、「P」等)に応じて車両の変速機及び/又は駆動方向切替機構を操作するための装置である。ECU10は、シフト切替装置24の作動を制御するシフト切替制御を行うことにより、シフトレバーの位置を自動的に切り替えて変速機及び/又は駆動方向切替機構を制御する。
【0044】
表示装置25は、運転者が視認可能な位置に設けられたディスプレイ25a(表示画面)を有する。表示装置25は、典型的には、ナビゲーションシステムが備える表示装置であり、ディスプレイ25aにはタッチパネルが用いられ得る。図3に示すように、ディスプレイ25aは、左側に設けられた表示領域ALと、右側に設けられた表示領域ARと、により構成されている。表示領域ALには進行方向画像を含む各種画像及びメッセージが表示され、表示領域ARには俯瞰画像を含む各種画像が表示され得る。ECU10は、表示装置25を制御することにより、ディスプレイ25aの表示領域AL及びARに、後述する駐車支援制御の制御段階に応じた画像を表示する。
【0045】
<作動の詳細>
続いて、ECU10の作動の詳細について説明する。ECU10は、駐車支援制御を実行可能に構成されている。駐車支援制御は、登録モードと駐車支援モードの2種類のモードを含む。登録モードは、運転者が任意の或る位置から登録を希望する駐車位置(以下、「登録駐車位置」と称する。)まで自車両を運転したときの経路を登録経路として事前にECU10のROMに登録しておくことができるモードである。駐車支援モードは、「登録経路に沿って自車両を自動的に移動させて登録駐車位置に駐車させる制御」及び「登録経路に沿った自車両の移動を支援することにより自車両を登録駐車位置に駐車させる制御」を駐車支援制御として実行するモードである。前者の制御は、ECU10が駆動制御、制動制御、操舵制御及びシフト切替制御を実行することにより行われる。後者の制御は、ECU10が駆動制御、制動制御、操舵制御及びシフト切替制御のうちの少なくとも1つを実行し、残りの運転操作(例えば、シフトレバーの操作)を運転者が実行することにより行われる。本実施形態では、ECU10が前者の制御を駐車支援制御として実行する場合を例示する。
【0046】
(登録モード)
まず、登録モードについて図4乃至図6Bを参照して説明する。図4は、登録モード時のECU10のCPUの処理の流れを示すフローチャートである。図5は、運転者が位置P1から位置P3まで自車両Vを運転したときの経路Rを登録する場面を例示した図である。図5に示すように、位置P3は、運転者の自宅の駐車場PL内に位置している。位置P1は、位置P3から比較的に離れた位置に位置している。自宅の入口付近には、6個のポール31乃至36が設置されている。この例では、運転者は、自車両Vを位置P1から位置P2まで前進させ、位置P2から位置P3まで後退させることにより位置P3に並列駐車しようとしている(破線参照)。
【0047】
運転者が位置P1(即ち、経路の登録開始を希望する位置(以下、「登録開始位置」と称する。))で自車両Vを停止させた状態で起動スイッチ14を押下すると登録モードが起動し、これにより、図4のステップ400にて登録モードが開始される。登録モードが開始されると、CPUは、ディスプレイ25aに登録開始ボタン(図示省略)を表示する。続いて、CPUはステップ405に処理を進め、運転者により登録開始ボタンがタッチされたか否かを判定する。登録開始ボタンがタッチされていない場合(ステップ405:No)、CPUは、ステップ405に処理を戻す。一方、登録開始ボタンがタッチされた場合(ステップ405:Yes)、CPUはステップ410に処理を進めて経路の登録処理を開始する。なお、CPUは、登録開始ボタンがタッチされる代わりに、運転者による音声指示(例えば、「登録を開始して」という音声指示)を契機としてステップ410に処理を進めるように構成されてもよい。
【0048】
ステップ410では、CPUは、GPS受信機16から送信されるGPS信号に基づいて登録開始位置における自車両Vの絶対位置(緯度及び経度)及び方位を演算する。自車両Vの方位は、絶対位置を時間微分することにより演算され得る。以下では、GPS信号に基づいて演算された自車両Vの絶対位置及び方位を、それぞれ「GPS位置」及び「GPS方位」と称する。CPUは、登録開始位置のGPS位置及びGPS方位をECU10のRAMに格納する(以下、ECU10のRAMを単に「RAM」と称する。)。なお、厳密には、CPUは、イグニッションスイッチがオン状態にある期間中、常時GPS位置を演算している。そして、ステップ405にて登録開始ボタンがタッチされた時点におけるGPS方位を保持する(RAMに格納する)ようになっている。
【0049】
続いて、CPUはステップ415に処理を進め、座標系を設定する。具体的には、CPUは、位置P1内の任意の位置(本実施形態では、自車両Vの車幅方向中央)に原点Oを設定し、車幅右側方向が+x方向となるようにx軸を設定するとともに前後軸方向(車幅方向と直交する方向)における前方が+y方向となるようにy軸を設定する(図5参照)。
【0050】
次いで、CPUはステップ420に処理を進め、登録開始位置における周囲の特徴点情報を取得する。特徴点情報は、特徴点Fの位置座標及び濃淡情報等を含む情報である。特徴点情報の取得方法は周知であるため、以下では簡単な説明に留める(詳細については、特開2021-062684を参照)。
【0051】
まず、CPUは、カメラセンサ11から送信される画像データを用いて俯瞰画像データ(画像データを俯瞰方向から見たときの画像に変換した画像データ)を生成する。次に、CPUは、俯瞰画像データに基づいて俯瞰画像を生成する。即ち、CPUは、前方画像データ及び後方画像データを用いてそれぞれ生成される前方俯瞰画像データ及び後方俯瞰画像データに基づいて、前方俯瞰画像及び後方俯瞰画像をそれぞれ生成する。また、CPUは、右側方画像データ及び左側方画像データを用いてそれぞれ生成される右側方俯瞰画像データ及び左側方俯瞰画像データに基づいて右側方俯瞰画像及び左側方俯瞰画像をそれぞれ生成する。図6Aは、登録開始位置において生成された俯瞰画像に対応する路面上の撮像範囲41乃至44を示す図である。撮像範囲41乃至44は、前方俯瞰画像、後方俯瞰画像、右側方俯瞰画像及び左側方俯瞰画像にそれぞれ対応している。撮像範囲41乃至44は、何れも長方形形状を有しており、その大きさは互いに等しい。
【0052】
俯瞰画像を生成すると、CPUは、これらの俯瞰画像を画像解析することにより特徴点Fを抽出する。ここで、特徴点Fは、輝度の変化が比較的に大きい部分を含む正方形形状の微小な画像(例えば、一辺が20画素の正方形画像)である。図6Aの例では、CPUは、前方俯瞰画像から4個の特徴点Fを抽出し、後方俯瞰画像から3個の特徴点Fを抽出し、右側方俯瞰画像から3個の特徴点Fを抽出し、左側方俯瞰画像から4個の特徴点Fを抽出する。その後、CPUは、各特徴点Fの位置座標及び濃淡情報等を演算し、これにより特徴点情報を取得する。なお、上記俯瞰画像は特定の用途(特徴点の抽出及び検出)に用いられる画像であるため、以下では、上記俯瞰画像を「特定俯瞰画像」とも称する。特定俯瞰画像は、上述した表示用の俯瞰画像とは異なる。以上が特徴点情報の取得方法についての説明である。
【0053】
CPUは、このようにして取得された登録開始位置における周囲の特徴点情報をRAMに格納する。
【0054】
続いて、CPUは、ステップ425乃至ステップ440の処理と、ステップ445乃至ステップ455の処理と、を並行して行う。以下、順に説明する。CPUは、ステップ425に進むと、自車両Vの走行距離が距離d1に到達したか否かを判定する。ここで、走行距離は、車輪の回転量に基づいて演算され得る。車輪の回転量は、車速センサ15から送信される信号に基づいて演算され得る。本実施形態では、距離d1は1[cm]に設定されるが、この値に限られない。
【0055】
走行距離がまだ距離d1に到達していない場合(ステップ425:No)、CPUは、ステップ425に処理を戻す。一方、走行距離が距離d1に到達した場合(ステップ425:Yes)、CPUは、ステップ430に処理を進める。
【0056】
ステップ430では、CPUは、転舵輪の転舵角及び車輪の回転量に基づいて、自車両Vの位置座標を演算する。なお、転舵輪の転舵角は、運転者による操舵ハンドル(図示省略)の操舵操作量(例えば、操舵角、操舵トルク及び操舵角速度)に基づいて演算され得る。CPUは、自車両Vの位置座標をRAMに格納する。
【0057】
次いで、CPUは、ステップ435に進み、第1超音波センサ12及び第2超音波センサ13から送信される立体物情報に基づいて、検出された立体物(図5の例では、例えば、ポール31乃至36)の位置座標を演算する(別言すれば、自車両Vを基準とした立体物の位置を、原点Oを基準とした位置座標に変換する)。CPUは、立体物の位置座標をRAMに格納する。
【0058】
その後、CPUは、ステップ440に進み、図示しないシフト位置センサから送信される信号に基づいて、シフトレバーのシフト位置が「P」であるか否かを判定する。シフト位置が「P」ではない場合(ステップ440:No)、CPUは、ステップ425に処理を戻す。なお、「シフト位置が『P』ではない」とは、運転者が駐車位置に向かって自車両Vを運転している最中であることを意味する。一方、シフト位置が「P」になった場合(ステップ440:Yes)、CPUは、ステップ460(後述)に処理を進める。なお、「シフト位置が『P』になった」とは、自車両Vが駐車位置(図5の例では、位置P3)に到達して運転者がシフトレバーを「P」に切り替えたことを意味する。
【0059】
これに対し、CPUは、ステップ445に進むと、自車両Vの走行距離が距離d2に到達したか否かを判定する。本実施形態では、距離d2は1乃至5[m]の範囲内の所定の値に設定されるが、この範囲内の値に限られない。
【0060】
走行距離がまだ距離d2に到達していない場合(ステップ445:No)、CPUは、ステップ445に処理を戻す。一方、走行距離が距離d2に到達した場合(ステップ445:Yes)、CPUは、ステップ450に処理を進める。
【0061】
ステップ450では、CPUは、現在位置における周囲の特徴点情報を取得する。即ち、CPUは、ステップ420の処理と同様に、画像データを用いて生成された俯瞰画像データに基づいて特定俯瞰画像を生成する。そして、当該特定俯瞰画像から特徴点Fを抽出して特徴点情報を取得する。ステップ450において生成される特定俯瞰画像の撮像範囲は、ステップ420における撮像範囲41乃至44(図6A参照)と等しい。CPUは、現在位置における周囲の特徴点情報をRAMに格納する。
【0062】
その後、CPUは、ステップ455に進み、シフトレバーのシフト位置が「P」であるか否かを判定する。シフト位置が「P」ではない場合(ステップ455:No)、CPUは、ステップ445に処理を戻す。一方、シフト位置が「P」になった場合(ステップ455:Yes)、CPUは、ステップ460に処理を進める。
【0063】
ステップ460では、CPUは、駐車位置における周囲の特徴点情報を取得する。即ち、CPUは、ステップ420及びステップ450の処理と同様に、画像データを用いて生成された俯瞰画像データに基づいて特定俯瞰画像を生成する。そして、当該特定俯瞰画像から特徴点Fを抽出して特徴点情報を取得する。但し、ステップ460では、CPUは、ステップ420及びステップ450にて生成された特定俯瞰画像よりも大きい特定俯瞰画像を生成するように構成されている。図6Bは、駐車位置において生成された特定俯瞰画像に対応する路面上の撮像範囲41L乃至44Lを示す図である。図6Bに示すように、撮像範囲41L乃至44Lは、何れも長方形形状を有しており、その大きさは互いに等しいが、撮像範囲41乃至44(図6A参照)よりも大きくなっている。この構成によれば、CPUは、より広い範囲から特徴点Fを抽出できるため、より多くの特徴点Fを抽出できる可能性が高くなる(図6B参照)。その結果、後述するステップ465にて駐車位置をより精度良く登録することができる。CPUは、駐車位置における周囲の特徴点情報をRAMに格納する。
【0064】
続いて、CPUは、ステップ465に処理を進め、登録開始位置のGPS位置及びGPS方位を、登録GPS位置及び登録GPS方位としてECU10のROMに格納する(登録する)。加えて、CPUは、自車両Vの位置座標群(原点Oから点Pcを経由して点Prまでの経路R上の位置座標群)を登録経路RregとしてROMに格納する(登録する)。更に、CPUは、特徴点情報、及び、立体物の位置座標(群)をROMに格納する(登録する)。このとき、CPUは、当該立体物を登録立体物として登録する。なお、登録開始位置の周囲の特徴点情報を登録することは、登録開始位置を登録することと同義であり、駐車位置の周囲の特徴点情報を登録することは、駐車位置を登録することと同義である。以下、このようにして登録される駐車位置を「登録駐車位置」と称する。ステップ465の処理により、登録経路Rreg及びその周囲の特徴点情報及び立体物の位置座標(群)が登録GPS位置及び登録方位とともにROMに格納される。なお、ROMに格納されるこれらの要素は、登録駐車位置に関連付けてまとめて登録される。これにより、第1実施装置が複数の駐車位置を登録可能に構成されている場合であっても、これらの要素は登録駐車位置毎に登録され得る。ステップ465の処理を終了すると、CPUは、ステップ495に進んで経路Rの登録処理を終了する。
【0065】
本実施形態では、原点Oは登録開始位置(図5の例では、位置P1)の内部に設定されるが、この構成に限られず、原点Oは登録開始位置の外部に設定されてもよい。この場合、ステップ420では、CPUは、更に自車両Vの位置座標(別言すれば、経路Rの始点)を演算してRAMに格納する処理を行うように構成され得る。
【0066】
(駐車支援モード)
次に、駐車支援モードについて図7A乃至図11を参照して説明する。図7A及び図7Bは、駐車支援モード時のCPUの処理の流れを示すフローチャートである。図8は、自車両Vが車速閾値以下の車速で位置Pa、位置Pb及び位置Pcをそれぞれ通過している場面を例示した図である(説明の便宜上、以下では、各場面を順に「ケースA」、「ケースB」及び「ケースC」と称する。)。図8の例では、経路R(図5参照)が登録経路Rregとして登録されている。
【0067】
駐車支援モードは、登録モードにおいて経路Rが登録されることにより利用可能となる。駐車支援モードは、自車両Vが所定の車速閾値(例えば、30[km/h])で走行している期間中、常に起動状態に維持されている。このため、駐車支援モードを起動するためのスイッチ操作は不要である。別言すれば、自車両Vが車速閾値以下の車速で走行している期間中に後述する開始条件(駐車支援制御を開始可能であると判定された場合に成立する条件)が成立している場合、CPUは、運転者が駐車支援制御の利用意図を表明しているか否かに関わらず、駐車支援制御を開始可能であることを運転者に報知(提案)する。
【0068】
従って、経路Rが登録されている場合において車速が車速閾値以下になると、図7Aのステップ700にて駐車支援モードが開始される。駐車支援モードが開始されると、CPUは、ステップ705に処理を進め、GPS信号に基づいて現在位置におけるGPS位置及びGPS方位を演算する。なお、何らかの要因でGPS信号を受信できない場合、CPUは、後述するステップ730に処理を進める。
【0069】
続いて、CPUは、ステップ710に処理を進め、ステップ705にて演算されたGPS位置に基づいて、自車両Vが登録GPS位置の近辺を走行しているか否か(別言すれば、登録GPS位置に対するGPS位置の差分が所定の差分閾値以下であるか否か)を判定する。この処理は、開始条件の成立可否の判定は自車両Vが登録GPS位置の近辺を走行している場合にのみ行えば十分であることから導入されている。差分閾値は、GPS信号の誤差を考慮して比較的に大きい値に設定されている。自車両Vが登録GPS位置に対して遠方を走行している場合(ステップ710:No)、CPUは、ステップ705に処理を戻す。一方、自車両Vが登録GPS位置の近辺を走行している場合(ステップ710:Yes)、CPUは、ステップ715に処理を進める。図8の例では、ケースA乃至Cの全ての場合についてステップ710において「Yes」と判定される。
【0070】
ステップ715では、CPUは、ステップ705にて演算されたGPS方位の登録GPS方位に対する差分を演算する。
【0071】
次いで、CPUは、ステップ720に処理を進め、カメラセンサ11から送信される画像データを用いて生成された俯瞰画像データに基づいて特定俯瞰画像を生成する。加えて、CPUは、第1超音波センサ12及び第2超音波センサ13から送信される立体物情報に含まれる立体物(図8の例では、例えば、ポール31乃至36)の位置(自車両Vに対する相対位置)を取得する。
【0072】
続いて、CPUは、ステップ725に進み、ステップ715にて演算された方位の差分に基づいて、ステップ720にて生成された特定俯瞰画像及び取得された立体物の位置を補正する。具体的には、特定俯瞰画像及び立体物の位置をそれぞれ方位の差分だけ回転させる。
【0073】
その後、CPUは、ステップ730に進み、特徴点F及び/又は登録立体物が検出されたか否かを判定する。具体的には、CPUは、ステップ725において補正された特定俯瞰画像に対してテンプレートマッチングを行うことにより特徴点Fを探索する。テンプレートマッチングとは、所定の画像からテンプレート画像との類似度が高い画像を探索する周知の処理である。CPUは、各特徴点Fをテンプレート画像とし、その濃淡情報に基づいて補正後の特定俯瞰画像の全域に亘ってテンプレートマッチングを行う。補正後の特定俯瞰画像に類似度が所定の類似度閾値以上の画像が含まれていた場合、CPUは、当該特定俯瞰画像から特徴点Fが検出されたと判定する。また、CPUは、登録立体物の位置座標(群)の中から、ステップ725において補正された立体物の位置(群)と立体物の分布状態が一致する(即ち、一致度が所定の一致度閾値以上である)位置座標(群)を探索する。一致度が一致度閾値以上の位置座標(群)が存在する場合、CPUは、登録立体物が検出されたと判定する。なお、第1超音波センサ12及び第2超音波センサ13が立体物の形状を取得可能に構成されている場合、CPUは、立体物の形状を加味して登録立体物の検出を行ってもよい。
【0074】
このようにして特徴点F及び/又は登録立体物が検出された場合(ステップ730:Yes)、CPUは、ステップ735に処理を進める。一方、特徴点F又は登録立体物が何れも検出されなかった場合(ステップ730:No)、CPUは、ステップ705に処理を戻す。GPS信号には誤差が含まれ得るため、ステップ710にて「Yes」と判定された場合であっても実際には自車両Vが登録GPS位置の近辺には位置していないことがある。このような場合、CPUは、ステップ730にて「No」と判定する。図8の例では、ケースA乃至Cの全ての場合についてステップ730において「Yes」と判定される。
【0075】
ステップ735では、CPUは、ステップ730にて検出された特徴点F及び/又は登録立体物の位置座標をROMから読みだし、当該位置座標に基づいて登録経路Rregを演算する。
【0076】
続いて、CPUは、図7Bのステップ740に処理を進め、駐車支援制御の開始条件が成立しているか否かを判定する。開始条件は、現時点において駐車支援制御が開始可能である場合に成立する条件である。具体的には、CPUは、検出された特徴点F及び/又は登録立体物に対する自車両Vの相対位置に基づいて登録経路Rregに対する自車両Vの相対位置を演算し、演算結果に基づいて自車両Vが登録経路Rreg上に位置しているか否かを判定する。ここで、「自車両Vが登録経路Rreg上に位置している」とは、平面視において自車両Vの車体の少なくとも一部が登録経路Rregとオーバーラップしていることを意味する。駐車支援制御は、現時点において自車両Vが登録経路Rreg上に位置していない場合は開始できないようになっている。このため、自車両Vが登録経路Rreg上に位置している場合(ステップ740:Yes)、CPUは、開始条件が成立する可能性があると判定してステップ745に処理を進める。一方、自車両Vが登録経路Rreg上に位置していない場合(ステップ740:No)、CPUは、開始条件は不成立であると判定して後述するステップ770に処理を進める。
【0077】
図8の例では、自車両Vは、ケースA及びBにおいては登録経路Rreg上に位置しており、ケースCにおいては登録経路Rreg上から逸脱している。このため、CPUは、ケースA及びBについてはステップ740にて「Yes」と判定し、ケースCについてはステップ740にて「No」と判定する。
【0078】
ステップ745では、CPUは、自車両Vが登録経路Rregに沿って進行可能か否かを判定する。具体的には、CPUは、検出された特徴点F及び/又は登録立体物に対する自車両Vの相対方位に基づいて登録経路Rregに対する自車両Vの相対方位を演算する。そして、登録経路Rregに対する自車両Vの相対位置(ステップ740参照)及び相対方位に基づいて、自車両Vが現在の走行状態を維持した場合に登録経路Rregに沿って進行可能か否かを判定する。駐車支援制御は、自車両Vが登録経路Rregに沿って進行可能である場合に開始できるようになっている。このため、進行可能である場合(ステップ745:Yes)、CPUは、開始条件が成立していると判定してステップ750に処理を進める。一方、進行可能ではない場合(ステップ745:No)、CPUは、開始条件は不成立であると判定して後述するステップ765に処理を進める。
【0079】
図8の例では、ケースAにおいては、自車両Vは登録経路Rreg上に位置しており且つその進行方向は登録経路Rregの延在方向によく一致している。一方、ケースBについては、自車両Vは登録経路Rreg上に位置しているものの、その進行方向は登録経路Rregの延在方向から大幅にずれている。このため、CPUは、ケースAについてはステップ745にて「Yes」と判定し(即ち、開始条件が成立していると判定し)、ケースBについてはステップ745にて「No」と判定する(即ち、開始条件が不成立であると判定する)。
【0080】
ステップ750では、CPUは、ディスプレイ25aに各種表示を行うことにより開始条件が成立していることを運転者に報知する。図9を参照して具体的に説明する。図9は、ケースAにおけるディスプレイ25aの表示画像を示す図である。図9に示すように、ディスプレイ25aの表示領域ALには、進行方向画像I1並びにメッセージM1及びM2が表示されており、表示領域ARには、俯瞰画像I2及び開始ボタンBが表示されている(図10以降のディスプレイ25aについては、表示領域AL及びARの符号の記載を省略する。)。
【0081】
進行方向画像I1には、支援開始可能領域R1が重畳表示されている。図9の例における支援開始可能領域R1は、駐車支援制御を開始可能である区間(第1区間)の少なくとも一部を示す領域であり、登録経路Rregを含み、登録経路Rregと直交する方向に所定の幅を有する領域として表示される。図9の例では、登録経路Rregのうち、現在のシフト位置(即ち、「D」)に対応する部分(即ち、駐車支援制御により自車両Vが前進する部分)が領域R1として表示される。
【0082】
メッセージM1は、駐車支援制御が開始可能であるか否かに関するメッセージである。図9の例では開始条件が成立しており、直ちに(即ち、現在位置において)駐車支援制御が開始可能である。このため、メッセージM1として「支援開始可能です」とのメッセージ(支援開始可能メッセージ)が表示される。メッセージM2は、運転者への注意喚起を示すメッセージである。本明細書では、メッセージM2として「車両周辺を直接確認してください」とのメッセージが表示される(図10以降のディスプレイ25aについては、メッセージM2についての説明を省略する)。
【0083】
俯瞰画像I2には、支援開始可能領域R1が重畳表示されている。領域R1の表示パターンは、進行方向画像I1と俯瞰画像I2とで共通である。即ち、俯瞰画像I2に表示される領域R1も、登録経路Rregのうち現在のシフト位置に対応する部分の領域として表示される。なお、俯瞰画像I2中の自車両Vの車両画像の表示倍率は固定されており、車両画像の位置は俯瞰画像I2の中央に固定されている。このため、進行方向画像I1と俯瞰画像I2において表示される領域R1の表示範囲は、必ずしも一致していない。
【0084】
開始ボタンBは、駐車支援制御を開始する際に運転者により押下(操作)されるボタンである。図9の例では開始条件が成立しているため、開始ボタンBは操作可能な態様で表示されている。
【0085】
このように、CPUは、ステップ750において、ディスプレイ25aに支援開始可能領域R1、支援開始可能メッセージ、及び、開始ボタンB(操作可能態様)を表示する。
【0086】
続いて、CPUは、ステップ755に処理を進め、開始ボタンBが押下されたか否かを判定する。開始ボタンBが押下されていない場合(ステップ755:No)、CPUは、運転者は駐車支援制御の開始を希望していないと判定し、ステップ705に処理を戻す。一方、開始ボタンBが押下された場合(ステップ755:Yes)、CPUは、運転者は駐車支援制御の開始を希望していると判定し、ステップ760に処理を進める。
【0087】
ステップ760では、CPUは、登録経路Rregに沿って駐車支援制御を開始する。その後、CPUは、ステップ795に進んで処理を終了する。
【0088】
他方、ステップ745にて「No」と判定した場合、CPUは、ステップ765に処理を進め、ディスプレイ25aに各種表示を行うことにより開始条件が成立していないことを運転者に報知する。図10を参照して具体的に説明する。図10は、ケースBにおけるディスプレイ25aの表示画像を示す図である。図10の例では開始条件は成立しておらず、駐車支援制御を開始することは不可能である。即ち、支援開始可能領域R1は存在しない。このため、進行方向画像I1及び俯瞰画像I2には領域R1が表示されない。また、メッセージM1として「支援不可です」とのメッセージ(支援不可メッセージ)が表示される。加えて、開始ボタンBは表示されない。
【0089】
このように、CPUは、ステップ765において、ディスプレイ25aに支援不可メッセージを表示する一方で開始ボタンBを非表示にする。その後、CPUは、ステップ705に処理を戻す。
【0090】
これに対し、ステップ740にて「No」と判定した場合、CPUは、ステップ770に処理を進め、駐車支援制御の合流条件が成立しているか否かを判定する。合流条件は、現時点では駐車支援制御を開始することは不可能であるものの、運転者の運転操作により自車両Vが登録経路Rregに合流できる可能性が高い場合に成立する条件である。具体的には、CPUは、登録経路Rregに対する自車両Vの相対位置及び相対方位に基づいて自車両Vが適切に運転操作されたと仮定した場合に登録経路Rregに合流可能であるか否かを判定する。合流可能である場合(ステップ770:Yes)、CPUは、合流条件が成立していると判定してステップ775に処理を進める。一方、合流可能ではない場合(ステップ770:No)、CPUは、合流条件は不成立であると判定してステップ765に処理を進める。ステップ765の処理は上述したとおりである。
【0091】
図8の例では、ケースCにおいて、自車両Vは登録経路Rreg上には位置していない(開始条件が成立していない)ものの、運転者が自車両Vを前進させつつ右方向に旋回すれば自車両Vが登録経路Rregに合流できる可能性が高い。このため、CPUは、ケースCについてステップ770にて「Yes」と判定する(即ち、合流条件が成立していると判定する。)。
【0092】
ステップ775では、CPUは、ディスプレイ25aに各種表示を行うことにより合流条件が成立していることを運転者に報知する。図11を参照して具体的に説明する。図11は、ケースCにおけるディスプレイ25aの表示画像を示す図である。図11に示すように、進行方向画像I1には、支援開始可能領域R2が重畳表示されている。図11の例における支援開始可能領域R2は、登録経路Rregに合流可能である区間(第2区間)を含む領域であり、図9の例と同様、登録経路Rregを含み、登録経路Rregと直交する方向に所定の幅を有する領域として表示される。この領域R2は、駐車支援制御により自車両Vが後退する部分である。即ち、図11の例では、CPUは、現在のシフト位置(即ち、「D」)に関わらず、登録経路Rregのうち自車両Vが合流可能な区間(第2区間)を含む部分が領域R2として表示される。
【0093】
また、メッセージM1としては、支援開始可能領域R2(厳密には、登録経路Rreg)に自車両Vを合流させるために必要な運転操作に関する助言が表示される。図11の例では、「右方向に旋回して表示領域に進入すると支援を開始できます」とのメッセージ(助言メッセージ)が表示される。
【0094】
俯瞰画像I2には、支援開始可能領域R2が重畳表示されている。領域R2の表示パターンは、進行方向画像I1と俯瞰画像I2とで共通である。また、図11の例では開始条件は成立していないため、開始ボタンBは操作不能な態様で表示されている。なお、現時点では直ちに駐車支援制御を開始することができないものの、自車両Vが領域R2に合流できれば当該制御が直ちに開始可能になる(開始ボタンBが操作可能になる)ため、開始ボタンBは非表示ではなく敢えて操作不能な態様で表示されている。
【0095】
このように、CPUは、ステップ775において、ディスプレイ25aに支援開始可能領域R2、助言メッセージ、及び、開始ボタンB(操作不能態様)を表示する。
【0096】
その後、CPUは、ステップ705に処理を戻す。運転者の運転操作により自車両Vが登録経路Rregに合流すると、CPUは、ステップ740及びステップ745にてそれぞれ「Yes」と判定し(開始条件が成立していると判定し)、ステップ750に処理を進める。
【0097】
以上説明したように、第1実施装置では、開始条件が成立している場合、ディスプレイ25aに支援開始可能領域R1が表示される。これにより、運転者は、駐車支援制御を開始可能な領域を視覚的に認識できる。このため、運転者は、駐車支援制御を開始可能な状態がいつまで継続するかを容易に認識することができる。この構成によれば、運転者が気付かないうちに駐車支援制御が可能な区間を通過してしまう可能性を大幅に低減できる。また、駐車支援制御を開始可能な区間のうち運転者が停車させ易い地点まで車両を移動させてから駐車支援制御を開始することが可能となる。その結果、駐車支援制御の利便性を格段に向上させることができる。
【0098】
加えて、第1実施装置では、登録開始位置の周囲の特徴点及び立体物の位置だけではなく、経路の周囲の特徴点及び立体物の位置も登録される。より詳細には、これらの特徴点及び立体物の位置が、基準点に対する位置座標に変換されて登録される。このため、登録経路の途中からでも駐車支援制御を開始することができ、駐車支援制御の利便性が更に向上する。
【0099】
また、第1実施装置では、合流条件が成立している場合、ディスプレイ25aに支援開始可能領域R2が表示される。これにより、運転者は、当該領域R2に合流するように自車両Vを運転すれば駐車支援制御が開始可能になることを視覚的に認識できる。この構成によれば、駐車支援制御を利用できるシチュエーションが増加し、当該制御の利便性がより一層向上する。
【0100】
更に、本実施形態では、合流条件が成立している場合、ディスプレイ25aに助言メッセージが表示される。助言メッセージに基づいて自車両Vを運転することにより、運転者は自車両Vを登録経路Rregに適切に合流させることができる(即ち、登録経路Rregに逆方向から合流してしまう可能性を低減できる。)。
【0101】
なお、開始条件が成立している場合においてディスプレイ25aに表示される支援開始可能領域R1の表示パターンは、図9に示す表示パターンに限られない。例えば、図12に示すように、第1実施装置は、現在のシフト位置に関わらず、登録経路Rregの全体(即ち、駐車支援制御により自車両Vが前進する部分と後退する部分)を領域R1として表示するように構成されてもよい。或いは、図13に示すように、第1実施装置は、登録開始位置の周囲のみを領域R1として表示するように構成されてもよい。
【0102】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態に係る駐車支援装置(以下、「第2実施装置」とも称する。)について説明する。第2実施形態では、第1実施形態の構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付している。これは、後述する第3実施形態及び第4実施形態についても同様である。
【0103】
第2実施装置は、登録経路Rregを領域の形態ではなく矢印(記号)の形態でディスプレイ25aに表示する点で第1実施装置と相違している。図14は、自車両Vが車速閾値以下の車速で位置Pa及び位置Pcをそれぞれ通過している場面を例示した図である(説明の便宜上、以下では、各場面を順に「ケースD」及び「ケースE」と称する。)。図14の例では、経路R(図5参照)が登録経路Rregとして登録されている。ケースDについては開始条件が成立しており、ケースEについては合流条件が成立している。
【0104】
CPUは、開始条件が成立している場合(図7Bのステップ745:Yes)、ステップ750の処理に代えて、以下の処理を行う。
・支援開始可能矢印表示
・支援開始可能メッセージ表示
・開始ボタン表示(操作可能態様)
【0105】
図15を参照して具体的に説明する。図15は、ケースDにおけるディスプレイ25aの表示画像を示す図である。図15に示すように、進行方向画像I1には、支援開始可能矢印A1が表示されている。図15の例における支援開始可能矢印A1は、駐車支援制御を開始可能である区間(第1区間)の少なくとも一部を示す矢印であり、登録経路Rreg上に配置されている。矢印A1の向きは、自車両Vの進行方向を示している。進行方向画像I1において矢印A1が表示されている範囲は、図14における区間S1(太線参照)に対応している。なお、矢印A1が表示される範囲はこれに限られない。しかしながら、登録経路Rregが自車両Vが前進する部分と後退する部分とを含む場合、自車両Vがオーバーラップしているほうの部分に対応する登録経路Rreg(図14の例では、原点Oから点Pcまでの登録経路Rreg)のみが矢印A1として表示される(図15参照)。また、メッセージM1として「支援開始可能です」とのメッセージが表示される。
【0106】
俯瞰画像I2には、支援開始可能矢印A1が重畳表示されている。矢印A1の表示パターンは、進行方向画像I1と俯瞰画像I2とで共通である。また、開始ボタンBが操作可能な態様で表示されている。
【0107】
このように、CPUは、開始条件が成立している場合、ディスプレイ25aに支援開始可能矢印A1、支援開始可能メッセージ、及び、開始ボタンB(操作可能態様)を表示する。
【0108】
また、CPUは、合流条件が成立している場合(図7Bのステップ770:Yes)、ステップ775の処理に代えて、以下の処理を行う。
・支援開始可能矢印表示
・助言メッセージ表示
・開始ボタン表示(操作不能態様)
【0109】
図16を参照して具体的に説明する。図16は、ケースEにおけるディスプレイ25aの表示画像を示す図である。図16に示すように、進行方向画像I1には、支援開始可能矢印A2が重畳表示されている。図16の例における支援開始可能矢印A2は、登録経路Rregに合流可能である区間(第2区間)を含む矢印であり、図15の例と同様、登録経路Rreg上に配置されている。矢印A2の向きは、自車両Vが合流する際に進むべき進行方向を示している。進行方向画像I1において矢印A2が表示されている範囲は、図14における区間S2(太線参照)に対応している。なお、矢印A2が表示される範囲はこれに限られない。
【0110】
また、メッセージM1としては、支援開始可能矢印A2の向きに自車両Vを合流させるために必要な運転操作に関する助言が表示される。図16の例では、「矢印に合わせるように車両を移動させると支援を開始できます」とのメッセージ(助言メッセージ)が表示される。
【0111】
俯瞰画像I2には、支援開始可能矢印A2が重畳表示されている。矢印A2の表示パターンは、進行方向画像I1と俯瞰画像I2とで共通である。また、開始ボタンBが操作不能な態様で表示されている。
【0112】
このように、CPUは、合流条件が成立している場合、ディスプレイ25aに支援開始可能矢印A2、助言メッセージ、及び、開始ボタンB(操作不能態様)を表示する。
【0113】
第2実施装置によれば、第1実施装置と同様の作用効果を奏することができる。加えて、第2実施装置では、開始条件が成立した場合には支援開始可能矢印A1が表示されるため、運転者は自車両Vの進行方向を適切に把握できる。また、合流条件が成立した場合には支援開始可能矢印A2が表示されるため、運転者は自車両Vをどちらの方向に運転(移動)すればよいか把握できるため、自車両Vを登録経路Rregにより適切に合流させることができる。なお、ディスプレイ25aに表示される登録経路Rregの表示形態は矢印A1又はA2に限られず、例えば、車両を表す図形が登録経路Rreg上に表示されてもよい。この図形は、例えば、登録経路Rreg上に複数個連続して又は間隔を空けて配置されてもよい。この車両の向きは、開始条件成立時には自車両Vの進行方向を示し、合流条件成立時には自車両Vが合流する際に進むべき進行方向を示すように構成され得る。この構成によっても、第2実施装置と同様の作用効果を奏することができる。
【0114】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係る駐車支援装置(以下、「第3実施装置」とも称する。)について説明する。第3実施装置は、開始条件が成立している場合、登録経路Rregを領域の形態で表示する代わりに、「現在位置から開始条件が不成立に転じる位置までの残距離dr」を駐車支援制御が開始可能な区間としてディスプレイ25aに表示する点で第1及び第2実施装置と相違している。加えて、第3実施装置は、開始条件が不成立の場合には合流条件の成立可否を判定しない点で第1及び第2実施装置と相違している。
【0115】
第3実施形態では、CPUは、図7Bに示すフローチャートに代えて、図17に示すフローチャートに従って処理を実行する。但し、図7Bのフローチャートの処理と同一の処理については、同一のステップ番号を付している。
【0116】
図7Aのステップ735にて登録経路Rregが演算されると、CPUは、図17のステップ1700に処理を進め、自車両Vが登録経路Rreg上に位置しているか否かを判定する。自車両Vが登録経路Rreg上に位置している場合(ステップ1700:Yes)、CPUは、開始条件が成立する可能性があると判定してステップ1710に処理を進める。一方、自車両Vが登録経路Rreg上に位置していない場合(ステップ1700:No)、CPUは、開始条件は不成立であると判定して後述するステップ1750に処理を進める。
【0117】
ステップ1710では、CPUは、自車両Vが登録経路Rregに沿って進行可能か否かを判定する。進行可能である場合(ステップ1710:Yes)、CPUは、開始条件が成立していると判定し、ステップ1720に処理を進める。一方、進行可能ではない場合(ステップ1710:No)、CPUは、開始条件は不成立であると判定してステップ1750に処理を進める。
【0118】
ステップ1720では、CPUは、ディスプレイ25aに各種表示を行うことにより開始条件が成立していることを運転者に報知する。図18を参照して具体的に説明する。図18に示すように、進行方向画像I1には、残距離drとして「残り 3m」との文言が表示されている。残距離drとは、開始条件が成立している場合において、自車両Vが現在の進行方向に沿って直進を継続すると仮定したときに現在位置から開始条件が不成立に転じる位置までの距離である。また、メッセージM1として「支援開始可能です」とのメッセージが表示される。更に、俯瞰画像I2には開始ボタンBが操作可能な態様で表示されている。
【0119】
このように、CPUは、ステップ1720において、ディスプレイ25aに残距離dr、支援開始可能メッセージ、及び、開始ボタンB(操作可能態様)を表示する。
【0120】
その後の処理は、第1及び第2実施形態で述べた通りである。これに対し、ステップ1750では、CPUは、ディスプレイ25aに支援不可メッセージを表示する一方で開始ボタンBを非表示にする(図10参照)。即ち、本実施形態では、自車両Vが登録経路Rreg上に位置していないと判定された場合、合流条件の成立可否を判定せず、駐車支援制御は開始不可能であると判定する。
【0121】
第3実施装置によれば、運転者はディスプレイ25aに表示されている残距離drを確認することにより、駐車支援制御を開始可能な区間(第1区間)を視覚的に認識できる。このため、運転者は、駐車支援制御が開始可能な状態がいつまで継続するかを容易に認識することができる。
【0122】
(第4実施形態)
続いて、第4実施形態に係る駐車支援装置(以下、「第4実施装置」とも称する。)について説明する。図19に示すように、第4実施装置のECU110は、第1乃至第3実施装置のECU10が備える要素に加えて、所定の音声を出力可能な音声出力装置126を備える。ECU10は、音声出力装置126を制御する。
【0123】
第4実施装置は、残距離drに応じた音声を駐車支援制御が開始可能な区間として出力する点で第3実施装置と異なっている。CPUは、開始条件が成立している場合(図17のステップ1710:Yes)、ステップ1720の処理に代えて、以下の処理を行う。
・残距離drに応じた音声出力
・支援開始可能メッセージ表示
・開始ボタン表示(操作可能態様)
【0124】
具体的には、装置126は、「ピー」という音を繰り返し出力可能となっている。CPUは、残距離drが短くなるにつれて、「ピー」という音の間隔が短くなるように装置126を制御する。なお、本実施形態においても、図20に示すように、ディスプレイ25aには進行方向画像I1、メッセージM1及びM2、並びに、俯瞰画像I2(開始ボタンBを含む)が表示される。
【0125】
このように、CPUは、開始条件が成立している場合、音声出力装置126により残距離drに応じた音声を出力するとともに、ディスプレイ25aに支援開始可能メッセージ、及び、開始ボタンB(操作可能態様)を表示する。
【0126】
この構成によれば、運転者は音声出力装置から出力される音声(残距離に応じた音声)を聞くことにより、駐車支援制御を開始可能な区間(第1区間)を聴覚的に認識できる。具体的には、運転者は、音の間隔に基づいて残距離drを把握することができる。このため、運転者は、駐車支援制御が開始可能な状態がいつまで継続するかを容易に認識することができる。
【0127】
以上、実施形態に係る駐車支援装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限り、種々の変更が可能である。
【0128】
例えば、本発明は、バレー駐車にも適用され得る。また、駐車の種類は並列駐車に限られず、縦列駐車であってもよい。更に、ECU10(又はECU110)は、GPS信号を用いずに駐車支援制御を行うように構成されてもよい。加えて、合流条件が成立した場合、助言メッセージの表示に代えて、又は、加えて、助言メッセージが音声により運転者に報知されてもよい。
【符号の説明】
【0129】
10:駐車支援ECU、11:カメラセンサ、12:第1超音波センサ、13:第2超音波センサ、14:駐車支援スイッチ、15:車速センサ、16:GPS受信機、21:駆動装置、22:制動装置、23:操舵装置、24:シフト切替装置、25:表示装置、25a:ディスプレイ、31,32,33,34,35,36:ポール、41,42,43,44:撮像範囲、41L,42L,43L,44L:撮像範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20