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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176550
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】溶出性に優れた錠剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/53 20060101AFI20231206BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231206BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20231206BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20231206BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20231206BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231206BHJP
   A61K 9/36 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A61K31/53
A61P3/10
A61K47/38
A61K47/04
A61K47/10
A61K47/02
A61K9/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088889
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002912
【氏名又は名称】住友ファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(72)【発明者】
【氏名】村上 貴之
(72)【発明者】
【氏名】淺田 拓海
(72)【発明者】
【氏名】脇坂 美沙
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 広一郎
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA44
4C076BB01
4C076CC21
4C076DD27B
4C076DD27H
4C076DD29H
4C076DD41C
4C076EE23H
4C076EE31B
4C076EE32B
4C076EE32H
4C076FF06
4C076GG14
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC64
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA11
4C086ZC35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】イメグリミンの溶出性に優れた錠剤を提供する。
【解決手段】イメグリミンまたはその薬学的に許容される塩、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される1種または2種以上の結合剤、及び崩壊剤を含有し、コーティング剤でフィルムコーティング化された錠剤とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメグリミンまたはその薬学的に許容される塩、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される1種または2種以上の結合剤、及び崩壊剤を含有し、コーティング剤でフィルムコーティング化された錠剤。
【請求項2】
コーティング剤が、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される1種または2種以上の基材を含有する、請求項1に記載の錠剤。
【請求項3】
コーティング剤が、ヒドロキシプロピルセルロースを含有する、請求項1に記載の錠剤。
【請求項4】
コーティング剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する、請求項1に記載の錠剤。
【請求項5】
コーティング剤が、マクロゴールを含有する請求項1~4のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項6】
コーティング剤が、酸化チタンを含有する請求項1~5のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項7】
コーティング剤が、軽質無水ケイ酸を含有する請求項1~6のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項8】
コーティング剤が、タルクを含有する請求項1~7のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法であって、混合成分としてクロスカルメロースナトリウムが添加される製造方法。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法であって、混合成分としてヒドロキシプロピルセルロースが添加される製造方法。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法であって、混合成分として軽質無水ケイ酸が添加される製造方法。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法であって、造粒成分及び混合成分として軽質無水ケイ酸が添加される製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメグリミンまたはその薬学的に許容される塩を含む医薬品組成物であって、溶出性に優れた錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
イメグリミンは糖尿病治療のための経口薬として広く知られており、それの高い生物学的利用能(Bioavailability)を得るためには、製剤からの速やかな溶出が必要である。
特許文献1でも示されているように、製剤からの溶出が速い方が高い生物学的利用能が得られることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-97968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、イメグリミンの溶出性に優れた錠剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、イメグリミンに、崩壊剤、更に水溶性結合剤を含有させ、更にコーティング剤としてヒドロキシプロピルセルロースまたは/およびヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いてフィルムコーティング化することにより、優れた溶出性を示す錠剤が得られることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[項1]
イメグリミンまたはその薬学的に許容される塩、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される1種または2種以上の結合剤、及び崩壊剤を含有し、コーティング剤でフィルムコーティング化された錠剤。
【0007】
[項2]
コーティング剤が、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される1種または2種以上の基材を含有する、項1に記載の錠剤。
【0008】
[項3]
コーティング剤が、ヒドロキシプロピルセルロースを含有する、項1に記載の錠剤。
【0009】
[項4]
コーティング剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有する、項1に記載の錠剤。
【0010】
[項5]
コーティング剤が、マクロゴールを含有する項1~4のいずれか一項に記載の錠剤。
【0011】
[項6]
コーティング剤が、酸化チタンを含有する項1~5のいずれか一項に記載の錠剤。
【0012】
[項7]
コーティング剤が、軽質無水ケイ酸を含有する項1~6のいずれか一項に記載の錠剤。
【0013】
[項8]
コーティング剤が、タルクを含有する項1~7のいずれか一項に記載の錠剤。
【0014】
[項9]
項1~8のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法であって、混合成分としてクロスカルメロースナトリウムが添加される製造方法。
【0015】
[項10]
項1~8のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法であって、混合成分としてヒドロキシプロピルセルロースが添加される製造方法。
【0016】
[項11]
項1~8のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法であって、混合成分として軽質無水ケイ酸が添加される製造方法。
【0017】
[項12]
項1~8のいずれか一項に記載の錠剤の製造方法であって、造粒成分及び混合成分として軽質無水ケイ酸が添加される製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明の錠剤におけるイメグリミンの溶出性は良好であり、生物学的利用能(Bioavailability)に優れた経口製剤を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明につき、さらに詳しく説明する。
【0020】
(a)錠剤
本発明の錠剤は、素錠の表面にフィルムコートを施したフィルムコート錠である。
【0021】
(b)イメグリミン
本発明における「イメグリミン」とは、糖尿病治療薬として知られている化合物であって、化学名は(6R)-N,N,6-トリメチル-3,6-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(CAS登録番号:775351-65-0)であり、以下の化学構造を有する。また、「イメグリミン」は(6S)-N,N,6-トリメチル-3,6-ジヒドロ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジアミン(CAS登録番号:1251468―04―8)も含む。
【化1】
本発明においては、イメグリミンの全ての形態(例えば、互変異性体、非晶質、結晶性、様々な結晶多形など)を包含し、その光学異性体またはその混合物を包含する。
イメグリミンの薬学的に許容される塩として、酸付加塩が挙げられるがこれに限られない。酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、又はクエン酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、para-トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられ、さらには酸性アミノ酸とのアミノ酸塩も挙げられる。イメグリミンの薬学的に許容される塩として、好ましくは、塩酸塩である。
【0022】
(c)フィルムコーティング
本発明における経口製剤(例えば、錠剤)には、服用を容易にする、又は有効成分の分解を防ぐなどの目的で、コーティング剤によりフィルムコーティングを施すことができる。その場合、本発明の経口製剤は、フィルムコーティング錠であるといえる。フィルムコーティング錠は、通例、素錠に高分子化合物などの適切なコーティング剤でフィルムコーティングを施して製剤化された錠剤である。
【0023】
(d)コーティング剤
コーティング剤とは、製剤の表面を被覆し、水や空気、光との接触の防止や、臭気、苦味のマスキング、徐放性や腸溶性などの製剤的な特性を付与するため、あるいは外観をして商品価値を高めるために用いられるものをいう。
コーティング剤としては、例えば、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーS、アンモニオアルキルメタクリレートコポリマーRS(アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS)、又はアクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマーなどの基材と、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、又はポリエチレングリコール等の可塑剤を組み合わせたものが挙げられる。コーティング剤の基材の粘度及び可塑剤を適切に調節することにより、フィルムコーティングの収率向上と製造時間の短縮が可能である。
なお、「可塑剤」とは、材料に添加して混合することによって、柔らかくて加工しやすい材料にすることができるものをいう。可塑剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、又はポリエチレングリコール等が挙げられる。
また、酸化チタン、タルク、着色剤等の添加剤をコーティング剤に加えることもできる。さらに、フィルムコーティング後に、光沢化剤としてカルナウバロウ、タルク等を加えることもできる。
なお、「着色剤」とは、カプセルや錠剤などの識別、内容医薬品の遮光あるいは商品的付加価値のために用いられるものをいう。着色剤として、例えば、タール色素、レーキ色素、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、又は酸化チタン等が挙げられる
【0024】
(e)優れた溶出性
優れた溶出性とは、例えば日本薬局方一般試験法の溶出試験法(回転バスケット法)に従い以下の溶出試験条件で試作した製剤の溶出試験を実施した際に、30分時点で好ましくは80%以上、85%以上、90%以上、95%以上の溶出率を示し、60分時点で好ましくは97%以上、98%以上、99%以上の溶出率を示す。また60分時点で好ましくは、103%以下、102%以下、100%以下の溶出率を示す。
試験溶液:日本薬局方溶出試験第2液
回転数:100rpm
試験液:900mL
【実施例0025】
以下、実施例および試験例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
本実施例および試験例に使用した薬剤および添加剤は、特に断りがない限り、以下のものを使用した。
イメグリミン塩酸塩:住友ファーマ株式会社
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L):日本曹達株式会社
ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)(TC-5RTM:信越化学工業株式会社
クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-SolTMSD-711):FMC Health and Nutrition
軽質無水ケイ酸(AEROSILTM200):日本アエロジル株式会社
ステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム(植物性)):太平化学産業株式会社
マクロゴール6000(マクロゴール6000):三洋化成工業株式会社
酸化チタン(酸化チタン(IV)):メルク株式会社
タルク(高級タルクMSP):日本タルク株式会社
【0027】
A.イメグリミン塩酸塩500mgを含有する素錠およびフィルムコーティング錠の処方
実施例1~実施例5:イメグリミン塩酸塩を500mg含有する錠剤
表1の組成からなる造粒顆粒、混合末、素錠およびフィルムコーティング錠を製造した。
【表1】
【0028】
B.製造方法
実施例1:イメグリミン塩酸塩を500mg含有する錠剤
(1)7wt%ヒドロキシプロピルセルロース溶液(1)の調製
736gの精製水をSUS製のビーカーにとり、撹拌しながら55.4gのHPC-Lを徐々に投入し、溶解させた。一昼夜静置した後、再度撹拌し、7wt%ヒドロキシプロピルセルロース溶液(1)を調製した。
【0029】
(2)イメグリミン塩酸塩を含有する造粒顆粒の製造
表2に記載の仕込量と表3に記載の製造条件でイメグリミン塩酸塩を含有する造粒顆粒を製造した。まず、表2に記載の仕込量のイメグリミン塩酸塩、軽質無水ケイ酸、クロスカルメロースナトリウムを流動層造粒乾燥機(株式会社パウレック製、マルチプレックスMP-01型)に投入し、排気温度が40℃になるまで流動させながら混合した。続いて、流動させながら表2記載の仕込量の7wt%ヒドロキシプロピルセルロース溶液(1)をスプレーした。その後、流動させながら排気温度が45℃になるまで乾燥した後、容器から取り出した。さらに取り出した顆粒を目開き1.4mm、回転数1400rpmに設定した整粒機(パウレック製、コーミル194S型)を通してイメグリミン塩酸塩を含有する造粒顆粒とした。
【表2】


【表3】
【0030】
(3)イメグリミン塩酸塩を含有する混合末の製造
表4に記載の仕込量でイメグリミン塩酸塩を含有する混合末を製造した。DMXE-01型混合機に、表4に記載の仕込量のイメグリミン塩酸塩を含有する造粒顆粒、軽質無水ケイ酸を加え、40rpmで10分間混合した。続いて、ステアリン酸マグネシウムを投入し、さらに40rpmで5分間混合した。
【表4】
【0031】
(4)イメグリミン塩酸塩を500mg含有する素錠の製造
イメグリミン塩酸塩が1錠中に500mg含有するようにロータリー式打錠機(菊水製作所製、AQUARIUS3型)を用いて表5の条件で打錠し、素錠を製造した。
【表5】
【0032】
(5)フィルムコーティング液(1)の調製
1800gの精製水をSUS製のビーカーにとり、撹拌しながら表6記載の各成分を徐々に投入し、分散・溶解させた。この液を目開き109μmのスクリーンを通して、フィルムコーティング液(1)とした。
【表6】

【0033】
(6)イメグリミン塩酸塩を500mg含有するフィルムコーティング錠の製造
表7に記載の条件でイメグリミン塩酸塩500mgを含有するフィルムコーティング錠を製造した。まず、素錠をコーティング機(フロイント産業株式会社製、ハイコーター HCT-30N型)に投入し、コーティングパンを寸動回転させながら、表7の条件で排気温度が47℃になるまで加温した。続いて、コーティングパンを20rpmで回転させながら、表7の条件でフィルムコーティング液(1)をスプレーし、被膜量が約14mgになるまでフィルムコーティングした。その後、排気温度が55℃になるまで乾燥し、フィルムコーティング錠重量に対して微量のタルクを散布した。
【表7】

【0034】
実施例2~実施例5:イメグリミン塩酸塩を500mg含有する錠剤
【0035】
(1)7wt%ヒドロキシプロピルセルロースの調製
1860gの精製水をSUS製のビーカーにとり、撹拌しながら140gのヒドロキシプロピルセルロースを徐々に投入し、溶解させた。一昼夜静置した後、再度撹拌し、7wt%ヒドロキシプロピルセルロース溶液(1)を調製した。
【0036】
(2)7wt%ヒドロキシプロピルメチルセルロースの調製
930gの精製水をSUS製のビーカーにとり、撹拌しながら70gのヒドロキシプロピルメチルセルロースを徐々に投入し、溶解させた。一昼夜静置した後、再度撹拌し、7wt%ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液(2)を調製した。
【0037】
(3)イメグリミン塩酸塩を含有する造粒顆粒の製造
表8に記載の仕込量と表9に記載の製造条件でイメグリミン塩酸塩を含有する造粒顆粒を製造した。まず、表8に記載の仕込量のイメグリミン塩酸塩、軽質無水ケイ酸、クロスカルメロースナトリウムを流動層造粒乾燥機(株式会社パウレック製、マルチプレックスMP-01型)に投入し、排気温度が40℃になるまで流動させながら混合した。続いて、流動させながら表8に記載の仕込量の7wt%ヒドロキシプロピルセルロース溶液(1)あるいは、7wt%ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液(2)をスプレーした。その後、流動させながら排気温度が45℃になるまで乾燥した後、容器から取り出した。さらに取り出した顆粒を目開き1.4mm、回転数1400rpmに設定した整粒機(パウレック製、コーミル194S型)を通してイメグリミン塩酸塩を含有する造粒顆粒とした。
【表8】


【表9】
【0038】
(4)イメグリミン塩酸塩を含有する混合末の製造
表10に記載の仕込量でイメグリミン塩酸塩を含有する混合末を製造した。DMXE-04混合機に、ステアリン酸マグネシウム以外の添加剤を投入し、40rpmで10分間混合した。続いて、ステアリン酸マグネシウムを投入し、さらに40rpmで5分間混合した。
【表10】
【0039】
(5)イメグリミン塩酸塩を500mg含有する素錠の製造
イメグリミン塩酸塩が1錠中に500mg含有するようにロータリー式打錠機(菊水製作所製、VELA2型)を用いて表11の条件で打錠し、素錠を製造した。
【表11】
【0040】
(6)フィルムコーティング液の調製
1800gの精製水をSUS製のビーカーにとり、撹拌しながら下記の添加剤を徐々に投入し、分散・溶解させた。この液を目開き106μmのスクリーンを通して、フィルムコーティング液とした。
【表12】
【0041】
(7)イメグリミン塩酸塩を500mg含有するフィルムコーティング錠の製造
表13に記載の条件でイメグリミン塩酸塩500mgを含有するフィルムコーティング錠を製造した。まず、素錠をコーティング機(フロイント産業株式会社製、ハイコーターHCT-30N型)に投入し、コーティングパンを寸動回転させながら、表13の条件で排気温度が47℃になるまで加温した。続いて、コーティングパンを20rpmで回転させながら、表13の条件でフィルムコーティング液をスプレーし、素錠の被膜量が約14mgになるまでフィルムコーティングした。その後、排気温度が47℃になるまで乾燥し、フィルムコーティング錠重量に対して微量のタルクを散布した。
【表13】
【0042】
試験例1:溶出試験
実施例1~実施例5で製造した錠剤について、日本薬局方一般試験法に従い、以下の条件で溶出試験を実施し、液体クロマトグラフィーを用いて分析した。
<溶出試験条件>
方法:日本薬局方一般試験法の溶出試験法(回転バスケット法)
回転数:100rpm
試験液量:900mL
試験液温度:37℃±0.5℃
試験液:溶出試験第2液
試験数:N=3
【0043】
溶出試験結果を表14に示す。
【表14】

表14に示したとおり、本発明のフィルムコーティング錠の溶出は速やかであり、生体内での高い吸収性が見込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本願発明により、溶出性に優れたイメグリミンの錠剤を、生産することが可能となることを見出した。