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  • 特開-容器及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176556
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】容器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 21/08 20060101AFI20231206BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20231206BHJP
   B29C 49/42 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B65D21/08
B65D1/02 241
B29C49/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088898
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】菅根 康二
【テーマコード(参考)】
3E033
4F208
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA30
3E033BB01
3E033CA20
3E033DA03
3E033DC10
3E033EA01
3E033EA06
3E033FA03
3E033GA02
4F208AE01
4F208AG07
4F208AH55
4F208AR06
4F208AR12
4F208LA09
4F208LB01
4F208LG01
4F208LW02
4F208LW15
4F208LW26
(57)【要約】
【課題】コンパクトな減容状態を維持しつつ、必要な時に速やかにサイズを大きく変化させることができる容器を提供する。
【解決手段】形状記憶ポリマー又は形状記憶ポリマーとそれ以外の樹脂との混合物によって形成され、形状記憶ポリマーのガラス転移温度が45~100℃であり、口部3、肩部4、胴部5及び底部6をこの順に有する角形ボトル状をなし、互いに対向する2つの側壁をそれぞれ、上下方向に延びる稜線又は凹リブによって形成される折り曲げ予定部を折れ線部として内側に折り込むことにより、折り畳み可能な容器1。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状記憶ポリマー又は形状記憶ポリマーとそれ以外の樹脂との混合物によって形成され、
前記形状記憶ポリマーのガラス転移温度が45~100℃であり、
口部、肩部、胴部及び底部をこの順に有する角形ボトル状をなし、
互いに対向する2つの側壁をそれぞれ、上下方向に延びる稜線又は凹リブによって形成される折り曲げ予定部を折れ線部として内側に折り込むことにより、折り畳み可能な容器。
【請求項2】
前記胴部の厚さが250~500μmである、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
互いに対向する他の2つの側壁がそれぞれ、前記胴部の上端部と下端部のそれぞれにおいて、水平方向に延びる稜線又は凹リブによって形成される折り曲げ予定部を折れ線部として内側に折り込み可能である、請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
形状記憶ポリマー又は形状記憶ポリマーとそれ以外の樹脂との混合物を、形状記憶ポリマーのガラス転移温度以上の内面温度に設定した成形型を用いてブロー成形することで、口部、肩部、胴部及び底部をこの順に有する容器を形成するブロー成形工程と、
前記容器を折り畳む折り畳み工程と、
折り畳み状態の前記容器を前記ガラス転移温度未満まで冷却する冷却工程と、を有する、容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器に関する。
【背景技術】
【0002】
環境への配慮等として、輸送時CO排出減少(容器の省スペース化による輸送効率向上等)や、廃棄処分時における省スペース化が望まれている。この観点から、輸送時や保管時には減容状態(すなわち容積を減少させた状態)で、充填時、使用時などの必要な時にサイズを変化(拡大)させることができる容器にニーズがある。このために形状記憶ポリマーを使用したり、容器に折り畳みのための折り曲げ予定部を設けたりすることが提案されている(例えば特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-2073号公報
【特許文献2】特開平4-253669号公報
【特許文献3】実用新案登録第2604604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献1~3に記載されるような従来の提案に従うだけでは、必要な時にサイズを大きく変化させることができる容器は得られなかった。
【0005】
本発明の目的は、コンパクトな減容状態を維持しつつ、必要な時に速やかにサイズを大きく変化させることができる容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は以下のとおりである。
【0007】
[1]
形状記憶ポリマー又は形状記憶ポリマーとそれ以外の樹脂との混合物によって形成され、
前記形状記憶ポリマーのガラス転移温度が45~100℃であり、
口部、肩部、胴部及び底部をこの順に有する角形ボトル状をなし、
互いに対向する2つの側壁をそれぞれ、上下方向に延びる稜線又は凹リブによって形成される折り曲げ予定部を折れ線部として内側に折り込むことにより、折り畳み可能な容器。
【0008】
[2]
前記胴部の厚さが250~500μmである、[1]に記載の容器。
【0009】
[3]
互いに対向する他の2つの側壁がそれぞれ、前記胴部の上端部と下端部のそれぞれにおいて、水平方向に延びる稜線又は凹リブによって形成される折り曲げ予定部を折れ線部として内側に折り込み可能である、[1]又は[2]に記載の容器。
【0010】
[4]
形状記憶ポリマー又は形状記憶ポリマーとそれ以外の樹脂との混合物を、前記形状記憶ポリマーのガラス転移温度以上の内面温度に設定した成形型を用いてブロー成形することで、口部、肩部、胴部及び底部をこの順に有する容器を形成するブロー成形工程と、
前記容器を折り畳む折り畳み工程と、
折り畳み状態の前記容器を前記ガラス転移温度未満まで冷却する冷却工程と、を有する、容器の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コンパクトな減容状態を維持しつつ、必要な時に速やかにサイズを大きく変化させることができる容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態の容器を示す側面図である。
図2図1とは90°異なる方向から見た時の容器を示す側面図である。
図3図1に示す容器の斜視図である。
図4】(a)は図1のA-A断面図であり、(b)は図1のB-B断面図である。折り畳み時の形状を二点鎖線で示す。
図5図1と同じ方向から見た時の容器の折り畳み時の形状を二点鎖線で示す側面図である。
図6図2と同じ方向から見た時の容器の折り畳み時の形状を二点鎖線で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。
【0014】
本発明の一実施形態において、容器1は、図1図6に実線で示される非折り畳み状態から、図4図6に二点鎖線で示される折り畳み状態へと折り畳み可能である。非折り畳み状態の容器1は内容物(不図示)のための収容空間2を内側に形成する。内容物は特に限定されず例えば、食品、化粧品、薬品などである。
【0015】
本実施形態では、折り畳み状態の容器1は、形状記憶ポリマー又は形状記憶ポリマーとそれ以外の樹脂との混合物を、形状記憶ポリマーのガラス転移温度(Tg)以上の内面温度に設定した成形型(金型)を用いてブロー成形することで、口部3、肩部4、胴部5及び底部6をこの順に有する容器1を形成するブロー成形工程と、容器1を折り畳む折り畳み工程と、折り畳み状態の容器1をガラス転移温度未満まで冷却する冷却工程と、を有する製造方法によって得られる。なお、容器1の折り畳み状態は、図4図6に二点鎖線で示される状態から(例えば胴部5を)更に折り畳んだ状態であってもよい。例えば、折り畳み工程において、図6に二点鎖線で示される状態から更に胴部5を1回以上折り畳んで(例えば、図6の左右方向である第2水平方向の一方側から見て、第2折り曲げ予定部10と第3折り曲げ予定部11をそれぞれ折れ線部として谷折りするとともに胴部5の上下方向中央部を水平な折れ線部として山折りし)、上下方向にも圧縮された折り畳み状態としてもよい。折り畳み工程は、賦形された容器1がガラス転移温度未満まで冷却される前に行ってもよいし、容器1がガラス転移温度未満まで冷却された後に容器1をガラス転移温度以上に加温してから行ってもよい。なお冷却工程における冷却方法は特に限定されず、例えば急冷、徐冷、放冷等を適宜採用できる。
【0016】
形状記憶ポリマーを使用すると、折り畳み状態においてもその状態を維持できる。一方、形状記憶ポリマー以外の樹脂はその弾性力により、折り畳み状態から若干復元気味の状態を維持する。つまり、形状記憶ポリマーは、折り畳み状態において形状記憶ポリマー以外の樹脂よりも小容積の減容状態を維持させることができる。また形状記憶ポリマーを使用すると、折り畳み状態(つまり減容状態)の容器1を加温により非折り畳み状態の所定の形状に拡大できる。したがって、内容物の充填前の容器1の省スペース化による輸送効率向上等により、輸送時CO排出減少を実現できる。また廃棄処分時に加温により折り畳んだ後に冷却し、折り畳み状態を維持することで、廃棄処分時における省スペース化を実現することも可能である。
【0017】
形状記憶ポリマーは特に限定されず、例えば、ポリウレタン系ポリマー、ノルボルネン系ポリマー、スチレン/ブタジエン系共重合体、トランス-イソプレン系ポリマーなど、あるいはこれらの任意の混合物である。形状記憶ポリマーとそれ以外の樹脂との混合物を使用する場合、混合物に占める形状記憶ポリマーの比率は50重量%以上とすることが好ましい。
【0018】
形状記憶ポリマーのガラス転移温度は本実施形態では45~100℃であり、好ましくは45~70℃である。
【0019】
利用可能なブロー成形としては、前駆体としての有底筒状のプリフォームを成形型内で軸方向と径方向の2軸に延伸させて容器1に成形する2軸延伸ブロー成形や、前駆体としての押し出しパリソンを成形型内で径方向に延伸させて容器1に成形する押し出しブロー成形などが挙げられる。2軸延伸ブロー成形の場合、形状記憶ポリマーのガラス転移温度以上で十分に延伸できる温度(例えば射出成形後の余熱により、又は再加熱により得られる)の前駆体(プリフォーム)を用い、ガラス転移温度以上に保ったまま、容器1への賦形と折り畳み工程を行い、冷却工程でガラス転移温度未満まで冷却することが好ましい。押し出しブロー成形の場合、形状記憶ポリマーのガラス転移温度以上で十分に流動する温度の前駆体(押し出しパリソン)を用い、ガラス転移温度以上に保ったまま、容器1への賦形と折り畳み工程を行い、冷却工程でガラス転移温度未満まで冷却することが好ましい。
【0020】
ブロー成形工程において、前駆体は成形型の内面に接触することで冷却される。この時、容器1が形状記憶ポリマーのガラス転移温度未満とならなくとも、ブロー圧と成形型内面温度との関係で形状を記憶させることができる。したがって、成形型内面温度を、延伸開始時の前駆体の温度未満、且つ、形状記憶ポリマーのガラス転移温度以上に設定し、好ましくはガラス転移温度に5~20℃を加えた温度に設定することができる。ここで、ガラス転移温度に5℃を加えた温度未満の温度に設定した場合、ガラス転移温度と余り変わらない温度未満なので成形品の剛性があり過ぎて容易に折り畳むことができないため、好ましくない。ガラス転移温度に20℃を加えた温度を超える温度に設定した場合、高温による収縮が発生してしまい規定の形状より小さくなる不具合が起きてしまうこと及びガラス転移温度より高すぎる温度により成形品が柔軟になり過ぎて形状を保てず綺麗に折り畳むことが困難になるため、好ましくない。
【0021】
口部3は中心軸線Oを中心とする円筒状をなし、外周面に雄ねじ部3a、係止リング3b及びネックリング3cを下方に向けてこの順に有する。雄ねじ部3aは閉塞キャップや吐出器の装着キャップなどの図示しないキャップ部材を係止するために設けられる。なお雄ねじ部3aに代えて、打栓によってキャップ部材を係止するための環状突起を設けてもよい。係止リング3bはキャップ部材の未開封状態を確認するためのタンパーエビデントバンドを係止するために設けられ、環状突起によって形成される。なお口部3は係止リング3bを設けない構成としてもよい。ネックリング3cは、例えば容器1の製造工程において搬送機によって搬送する際の係止部として利用される。なお口部3はネックリング3cを設けない構成としてもよい。口部3は円筒状以外の、例えば角筒状などの筒状をなす構成としてもよい。
【0022】
なお、本実施形態において、上下方向は中心軸線Oに沿う方向であり、径方向は中心軸線Oに直交する直線に沿う方向であり、周方向は中心軸線Oを周回する方向であり、水平断面は中心軸線Oに垂直な断面である。また本実施形態において特に断らずに説明する容器1の形状は、非折り畳み状態での形状を意味する。
【0023】
肩部4は中心軸線Oを中心とする筒状をなし、口部3の下端と胴部5の上端とを連ねる。肩部4の上端部は全周にわたって外側に膨出する膨出部4aとして形成され、肩部4において上端部を除く部分は全周にわたって下方に向けて径方向外側に傾斜する傾斜部4bとして形成される。なお肩部4は膨出部4aと傾斜部4bによって形成される構成に限らず、例えば、膨出部4aのみ又は傾斜部4bのみによって形成される構成としてもよい。
【0024】
胴部5は中心軸線Oを中心とする筒状をなし、肩部4の下端と底部6の外周縁とを連ねる。胴部5の周方向長さは口部3の周方向長さよりも大きい。なお、容器1は口部3、肩部4及び胴部5が共通の中心軸線Oを有する構成に限らない。
【0025】
胴部5の厚さは250~500μmであることが好ましい。胴部5の厚さが250μm未満の場合、加温により容器1を折り畳み状態から非折り畳み状態に復元させにくくなる。胴部5の厚さが500μmを超える場合、容器1を折り畳みにくくなり、また折り畳み状態を維持させにくくなる。
【0026】
底部6は胴部5の下端を閉塞する。底部6は容器1を正立姿勢で水平面に立てて置く時に水平面に接する接地部6aを有する。なお、底部6は接地部6aを有する構成に限らない。
【0027】
容器1は、肩部4と胴部5の全体が、第1水平方向(図1における横方向)に互いに対向する2つの第1側壁7と、第1水平方向に垂直な第2水平方向(図1における紙面に垂直な方向)に互いに対向する2つの第2側壁8とによって形成される、角形ボトル状をなす。肩部4と胴部5の全体は、上下方向の全長にわたり、第1側壁7と第2側壁8を周方向に交互に連ねて形成される。肩部4の傾斜部4bと胴部5において、第1側壁7と第2側壁8の連結部にはそれぞれ、径方向外側に凸となる角部が形成される。
【0028】
2つの第1側壁7は全体として、中心軸線Oを通り第1水平方向に垂直な面に関し実質的に対称な構造を有する。また、2つの第1側壁7は全体として、中心軸線Oを通り第2水平方向に垂直な面に関し実質的に対称な構造を有する。2つの第2側壁8は全体として、中心軸線Oを通り第2水平方向に垂直な面に関し実質的に対称な構造を有する。また、2つの第2側壁8は全体として、中心軸線Oを通り第1水平方向に垂直な面に関し実質的に対称な構造を有する。
【0029】
なお、2つの第1側壁7と2つの第2側壁8は、上記のような実質的に対称な構造に限らない。
【0030】
容器1は、第2水平方向の幅が第1水平方向の幅よりも小さい扁平状をなす。つまり、2つの第1側壁7の第2水平方向の幅は、2つの第2側壁8の第1水平方向の幅よりも小さい。なお、容器1は上記のような扁平状をなす構成に限らない。
【0031】
第1水平方向において、各々の第2側壁8の幅は、少なくとも肩部4の傾斜部4bの上端から胴部5の下端までの全長にわたる部分において、口部3の幅よりも大きい。各々の第1側壁7は、少なくとも肩部4の傾斜部4bの上端から胴部5の下端部までの全長にわたる部分において、第2側壁8よりも第1水平方向の外側に迫り出した形状をなす。より具体的には、各々の第1側壁7は水平断面において外側に凸となるV字形状をなす。各々の第1側壁7は、胴部5の下端部において底部6まで下方に向けて第1水平方向の内側に傾斜して延びる傾斜面部7aを有する。なお傾斜面部7aを設けない構成としてもよい。
【0032】
各々の第2側壁8は、口部3よりも第2水平方向の外側に設けられる。また、各々の第2側壁8は胴部5において、上下方向の実質的な全長にわたり略平面状をなす。
【0033】
2つの第1側壁7はそれぞれ、第1水平方向の外側に凸となり上下方向に延びる稜線によって形成される第1折り曲げ予定部9を有する。第1折り曲げ予定部9はそれぞれ、第1側壁7の第2水平方向の中央部において肩部4の傾斜部4bの上端から胴部5の下端部まで、より具体的には傾斜面部7aの上端まで延在する。なお第1折り曲げ予定部9を胴部5の下端まで延在する構成としてもよい。
【0034】
第1折り曲げ予定部9は稜線と同様の方向に延びる凹リブによって形成してもよい。この場合、凹リブは水平断面において第1水平方向の内側に凸となるU字形状又はV字形状をなす。
【0035】
2つの第2側壁8はそれぞれ、胴部5の上端部において、第1水平方向に延びる凹リブによって形成される第2折り曲げ予定部10を有する。この場合、凹リブは第1水平方向に垂直な断面において第2水平方向の内側に凸となるU字形状又はV字形状をなす。第2折り曲げ予定部10は凹リブと同様の方向に延びる稜線によって形成してもよい。本実施形態では、第2折り曲げ予定部10を形成する凹リブは、胴部5の上端部に全周にわたって設けられる周リブの一部であり、当該周リブは下方に向けて縮径する段差部を形成する。なお、第2折り曲げ予定部10を形成する凹リブの構成はこれに限らない。
【0036】
2つの第2側壁8はそれぞれ、胴部5の下端部において、第1水平方向に延びる凹リブによって形成される第3折り曲げ予定部11を有する。この場合、凹リブは第1水平方向に垂直な断面において第2水平方向の内側に凸となるU字形状又はV字形状をなす。第3折り曲げ予定部11は凹リブと同様の方向に延びる稜線によって形成してもよい。本実施形態では、第3折り曲げ予定部11を形成する凹リブは、第2側壁8の範囲内に限定して設けられる。なお、第3折り曲げ予定部11を形成する凹リブの構成はこれに限らない。
【0037】
2つの第2側壁8はそれぞれ、第2折り曲げ予定部10と第3折り曲げ予定部11の間の領域を商品ラベルなどを設ける加飾領域として使用することができる。
【0038】
2つの第1側壁7はそれぞれ、胴部5の下端部において互いに同じ上下方向高さでそれぞれ第2水平方向の内側から外側に向けて上方に傾斜して延びる凹リブによって形成される2つの第4折り曲げ予定部12を有する。この場合、凹リブは第2水平方向に垂直な断面において第1水平方向の内側に凸となるU字形状又はV字形状をなす。第4折り曲げ予定部12は凹リブと同様の方向に延びる稜線によって形成してもよい。
【0039】
図5図6に示すように、容器1は、2つの第1側壁7をそれぞれ第1折り曲げ予定部9を折れ線部として内側に折り込む(つまり谷折りする)ことにより、折り畳み可能である。より具体的には容器1は、折り畳み工程において、非折り畳み状態から、2つの第1側壁7をそれぞれ、第1折り曲げ予定部9と2つの第4折り曲げ予定部12をそれぞれ折れ線部として内側に折り込み、2つの第2側壁8をそれぞれ、第2折り曲げ予定部10と第3折り曲げ予定部11をそれぞれ折れ線部として内側に折り込むことにより、折り畳み状態とされる。
【0040】
このような折り畳みは、第1折り曲げ予定部9を山折りした場合に比べ、第2水平方向に厚くなり、山折りに比べて折り返しが多くなるため、形状記憶ポリマーを用いない構成の場合では復元力が高まり易く、折り畳み状態を維持しにくくなる。また、第1折り曲げ予定部9を山折りにすると、第1水平方向の面積が大きくなり、保管・輸送の際に不利が生じ易くなる。本実施形態のような第1折り曲げ予定部9の谷折りを含む折り畳みと冷却後の形状記憶によれば、このような問題を回避することができる。
【0041】
本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0042】
したがって、前述した実施形態の容器1は、形状記憶ポリマー又は形状記憶ポリマーとそれ以外の樹脂との混合物によって形成され、形状記憶ポリマーのガラス転移温度が45~100℃であり、口部3、肩部4、胴部5及び底部6をこの順に有する角形ボトル状をなし、互いに対向する2つの側壁をそれぞれ、上下方向に延びる稜線又は凹リブによって形成される折り曲げ予定部を折れ線部として内側に折り込むことにより、折り畳み可能な容器1である限り変更可能である。
【0043】
また、前述した実施形態の容器1の製造方法は、形状記憶ポリマー又は形状記憶ポリマーとそれ以外の樹脂との混合物を、形状記憶ポリマーのガラス転移温度以上の内面温度に設定した成形型を用いてブロー成形することで、口部3、肩部4、胴部5及び底部6をこの順に有する容器1を形成するブロー成形工程と、容器1を折り畳む折り畳み工程と、折り畳み状態の容器1をガラス転移温度未満まで冷却する冷却工程と、を有する、容器1の製造方法である限り変更可能である。
【実施例0044】
形状記憶ポリマーとしてSMPテクノロジーズ社製のMM-4520(Tg45℃グレード、ポリウレタン系)を材料とするプリフォーム(前駆体)を用いた2軸延伸ブロー成形により、図1図6に示す容器のサンプル1~3を製作した。サンプル1~3は胴部の厚さのみを相違させ、サンプル1は250μm、サンプル2は400μm、サンプル3は500μmとした。ブロー成形工程ではプリフォーム温度を130℃とし、ブロー圧を2.5MPaとし、金型内面温度を55℃とした。容器の賦形後に折り畳み工程と冷却工程を行った。折り畳み工程はTg以上となる50℃で行った。なお、同様のサンプルを押し出しブロー成形によって形成する場合、例えば、押し出しパリソン温度を130~200℃とし、ブロー圧を0.5MPaとし、金型内面温度を55℃とすることができる。
【0045】
そして、各々のサンプルについて、折り畳み(第1側面、つまり第1、第4折り曲げ予定部の折り込み、第2側面、つまり第2、第3折り曲げ予定部の折り込み)の容易性、折り畳み状態の持続性をそれぞれ評価した。その結果、サンプル1~3は、第1側面の折り込み容易性、第2側面の折り込み容易性、折り畳み状態の持続性のいずれも良好であった。
【符号の説明】
【0046】
1 容器
2 収容空間
3 口部
3a 雄ねじ部
3b 係止リング
3c ネックリング
4 肩部
4a 膨出部
4b 傾斜部
5 胴部
6 底部
6a 接地部
7 第1側壁
7a 傾斜面部
8 第2側壁
9 第1折り曲げ予定部
10 第2折り曲げ予定部
11 第3折り曲げ予定部
12 第4折り曲げ予定部
O 中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6