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特開2023-176558内装柱構造体および内装柱構造体の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176558
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】内装柱構造体および内装柱構造体の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04C 3/32 20060101AFI20231206BHJP
   A47B 5/00 20060101ALI20231206BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20231206BHJP
   F21V 21/00 20060101ALI20231206BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20231206BHJP
   A47B 13/00 20060101ALN20231206BHJP
【FI】
E04C3/32
A47B5/00
F21V33/00 200
F21V21/00 300
H02G3/04 093
H02G3/04
A47B13/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088901
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000105693
【氏名又は名称】コマニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】弁理士法人クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西向 健司郎
【テーマコード(参考)】
2E163
3B053
3K014
5G357
【Fターム(参考)】
2E163FA03
2E163FB06
2E163FB09
2E163FB41
3B053NA04
3K014PB07
5G357DA10
5G357DB01
5G357DB02
5G357DC02
5G357DC04
5G357DC10
5G357DD02
5G357DD05
5G357DE05
5G357DF02
5G357DF03
5G357DG05
(57)【要約】
【課題】容易に天井と床との間に形成することができ、かつ耐震性を兼ね備えた、内装柱構造体および内装柱構造体の施工方法を提供することである。
【解決手段】内装柱構造体100は、長手方向を有する柱中空部材110と、柱中空部材110の内部に取り付けられ、かつ筒部510、520を有するフランジ部材410、420と、天井910または床920に固定可能で、かつ筒部510、520と係合する係合部材310、320とを含み、係合部材310、320および筒部510、520の係合構造は、ネジB10締結および長手方向に沿った長孔310H、320Hにより係合されたものである。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を有する柱中空部材と、
前記柱中空部材の内部に取り付けられ、かつ筒部を有するフランジ部材と、
天井または床に固定可能で、かつ前記筒部と係合する係合部材と、を含み、
前記係合部材および前記筒部の係合構造は、ネジ締結および前記長手方向に沿った長孔により係合された、内装柱構造体。
【請求項2】
前記柱中空部材は、テーブルを配置可能なテーブル支持固定部を有する、請求項1記載の内装柱構造体。
【請求項3】
前記柱中空部材は、丸筒からなる、請求項1または2記載の内装柱構造体。
【請求項4】
前記フランジ部材は、前記柱中空部材の内部に溶接、接着、ビス止めのいずれか1つで固定された、請求項1または2記載の内装柱構造体。
【請求項5】
前記フランジ部材は、前記天井または前記床から通された配線を前記柱中空部材の内部へ連通させる孔を有し、
前記柱中空部材は、コンセントを配置可能なコンセント接続部、液晶画面を配置可能な液晶固定部、照明器具を配置可能な照明固定部のうち少なくとも1つまたは複数を有する、請求項1または2記載の内装柱構造体。
【請求項6】
目隠し筒部をさらに含み、
前記目隠し筒部は、前記柱中空部材と二重筒の関係を有し、
前記フランジ部材と前記係合部材とを内部に収納するとともに、上下動が可能に形成された、請求項1または2記載の内装柱構造体。
【請求項7】
天井および床に係合部材をそれぞれ取り付ける第1工程と、
前記第1工程で取り付けた前記係合部材の間に、長手方向を有し内部に筒部を有するフランジ部材を含む柱中空部材の前記筒部を前記長手方向に形成された長孔を利用してネジ締結する第2工程と、を有する、内装柱構造体の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内空間における天井と床とを繋ぐ内装柱構造体および内装柱構造体の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1(特開2006-183273号公報)には、部屋の間仕切りの取り付けや撤去を容易に且つ安価にすることが可能な間仕切りパネルが開示されている。
【0003】
文献1に記載の間仕切りパネルは、複数の間仕切り柱と該間仕切り柱の柱表裏面側に取り付ける複数の化粧パネルとを備えるとともに、部屋の天井及び床に固定される間仕切りパネルであって、化粧パネルは着脱式のものであり、天井及び床に、間仕切り柱を取り付けるためのT型レール又はL型レールを設け、該T型レール又はL 型レールの凸部に間仕切り柱の上下に設けた溝を差し込み、ガイドピン又はボルトによりT型レール又はL型レールと間仕切り柱とを固定するものである。
【0004】
特許文献2(特許第5655184号公報)には、屏風式建具と免震突っ張り機構装着支柱(以下、免震突っ張り支柱)及び免震突っ張り機構装着家具(以下、免震突っ張り家具)の基本的3アイテムで構成され、基本的3アイテムを様々に組み合わせる又は組み替えることで間仕切りを形成し、住み替え及び間仕切り替えが必要になった場合、間仕切りの転用・追加・部分交換が容易に可能になり、様々な居室に対して適応多能性を持つ、長期的な継続使用が可能な、免震突っ張り機構装着支柱及び家具連結型、屏風式携行間仕切り(以下、携行間仕切り)について開示されている。
【0005】
特許文献2記載の屏風式携行間仕切りは、並列する複数枚のパネルと、隣接するパネル間を連結する着脱式紙丁番装置とを備え、着脱式紙丁番装置は一対の溝形部材と、屏風に用いられる伝統的な紙丁番の羽根と同一の構成で、強度が和紙より強く柔軟性がある素材から形成された、現代の紙丁番とを備え、各溝形部材の溝部は、各パネルの縦端部を嵌め合わせて着脱可能に連結する、ウェブと、ウェブの両側に設けられた1対のフランジとを有し、現代の紙丁番は一対の溝形部材に交互に接着され、隣り合うパネル間で一方のパネルに対して、他方のパネルを360度回転できるように一対の溝形部材を連結し、着脱式紙丁番装置により複数枚のパネルを一連に連結した、屏風式建具が構成されており、また、免震突っ張り機構装着支柱は、免震突っ張り機構を装着しており、免震突っ張り機構は、中空構造の外側筒体と、上下方向へのスライドが可能な中空構造の内側筒体と、ボール支承と、ボール支承のボール材を保持するホルダーを含むことを特徴とする免震部材とを備えて、天井と床間で突っ張ることを可能にし、室内への固定が成立する機構であり、免震突っ張り機構装着支柱と、屏風式建具を構成する複数枚のパネルのうち、一端又は両端に位置するパネルとが、着脱式紙丁番装置により連結されているものである。
【0006】
特許文献3(特開2013-199768号公報)には、意匠に優れたサッシレスの板ガラスで構成し、その剛性不足を補い得る構成を有し、十分な耐震性を備え、かつ設置したそれのメンテナンスも容易であるダブルガラススキン用のインナーガラススキン構造について開示されている。
【0007】
特許文献3のダブルガラススキン用のインナーガラス構造は、ガラスカーテンウォールの内側にこれをアウターガラスとしてこれに一定の間隔をあけて配するダブルガラススキン用のインナーガラススキン構造であって、アウターガラスに対面すべく該アウターガラスの内側に一定間隔をあけて配するインナーガラス用の複数の板ガラスであって、その各々の四辺を剛性を有する枠体で支持していない複数の板ガラスと、複数の板ガラスの各々の下部に配した戸車と、複数の板ガラスの直下の床面に配した下部レール部材及び該複数の板ガラスの直上の天井部に配した該下部レール部材と対になる上部レール部材であって、戸車を介してインナーガラス用の板ガラスの下部を移動自在に支持する下部レール部材及び該板ガラスの直上を移動自在に支持する上部レール部材と、アウターガラスとインナーガラスの間に位置する支持手段に構成した隣接する各一対の板ガラスの各側部の高さ方向の途中を固定保持する固定手段であって、該隣接する各一対の板ガラスの室内側からそれらの隙間を通じて手を挿入して隣接する各一対の板ガラスの各側部に対する固定保持を解除することが可能な固定手段と、で構成したものである。
【0008】
特許文献4(実開昭60-120111号公報)には、パネル固定装置について開示されている。
【0009】
特許文献4記載のパネル固定装置は、対向する第1および第2の固定部材間に固定されるパネル部材と、このパネル部材を弾性的に固定保持する固定手段とを具備したことを特徴とするものである。
【0010】
特許文献5(実開昭61-51051号公報)には、美容室空間形成用パネルについて開示されている。
【0011】
特許文献5記載の美容室空間形成用パネルにおいては、複数本のパイプを多角形状に連結した複数の柱部骨枠と、上記パイプの上下単に突設する丸棒を枢軸として回転可能になる複数の蝶番と、上記下方丸棒に軸芯を揃えて伸縮可能になるアジャスターと、上記蝶番に固定されて柱部骨枠を開閉自在に覆う小型パネルと、さらに他の蝶番に固定されて各柱部骨枠を連結する大型パネルとで連続した美容室が構成されることを特徴とするものである。
【0012】
特許文献6(特許第5781379号公報)には、建物内の床面と天井面の間に、仮に固定して立てる仮設柱の柱構造物について開示されている。
【0013】
特許文献6記載の柱構造物においては、屋内壁面近くの床面と天井面にわたって柱を立てる柱構造物において、柱は、柱の上端を収容するための上端用窪み穴及び上端用窪み穴の底面部に配設される圧縮バネを有する上側支持体及び柱の下端を収容するための下端用窪み穴を有する下側支持体の各窪み穴に挿入され、上側支持体の側面が天井面側の壁面に接し、下側支持体が床面側の壁面と離れるように、柱が傾斜状態で配設されるものである。
【0014】
特許文献7(特開平8-284289号公報)には、免震構造をなす間仕切壁について開示されている。
【0015】
特許文献7記載の間仕切壁においては、床上に所定間隔をあけて立設される支柱間にパネルを介在させて天井と床との間の空間を仕切る間仕切壁であって、支柱の下端を傾動可能に支持する傾動支持機構と、支柱の上端部を天井に取着した天井レールに対して摺傾動及び昇降可能に接続する遊動接続機構とを具備してなるものである。
【0016】
特許文献8(特開平2-279854号公報)には、吊天井構造体及びその支柱装置について開示されている。
【0017】
特許文献8記載の吊天井構造体においては、建造物の上部構造体の下部に吊り下げられる複数の格子部材と上部構造体及び格子部材の間に延びる少なくとも1の伸縮可能な支柱装置とを包有する吊天井構造体において、支柱装置は軸方向に相互に出入可能に挿入される外側支柱部材及び内側支柱部材と、内側支柱部材の第1の端部に固定される固定装置とを備え、内側支柱部材の第1の端部が外側支柱部材内に位置せしめられ、固定装置が外側支柱部材の内面と係止し軸方向の延伸を可能にする反面収縮を抑止するように設けられ、固定装置は弾性を有したディスク状のバネクリップでなり、バネクリップの縁部が外側支柱部材の内面に係止可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2006-183273号公報
【特許文献2】特許第5655184号公報
【特許文献3】特開2013-199768号公報
【特許文献4】実開昭60-120111号公報
【特許文献5】実開昭61-51051号公報
【特許文献6】特許第5781379号公報
【特許文献7】特開平8-284289号公報
【特許文献8】特開平2-279854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
特許文献1から特許文献8に示すように、天井または床の間に柱を形成する構造が開示されている。
しかしながら、近年、オフィスなどの利用状況に変動が生じており、形式的な会議室以外にも気軽に会議等ができる空間等が求められている。さらに、従前はメンバーが指定された机または椅子で業務をこなすことが通常であったが、フリーアドレス制度を求める場合も増加している。
【0020】
このような状況下において、しっかりと容易に天井と床との間に内装柱構造体を固定されるニーズが高まりつつある。特に内装柱構造体が容易に外れないよう、さらには、地震等の災害にも対応可能なことが求められている。
【0021】
本発明の目的は、容易に天井と床との間に形成することができ、かつ耐震性を兼ね備えた、内装柱構造体および内装柱構造体の施工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
(1)
一局面に従う内装柱構造体は、長手方向を有する柱中空部材と、柱中空部材の内部に取り付けられ、かつ筒部を有するフランジ部材と、天井または床に固定可能で、かつ筒部と係合する係合部材と、を含み、係合部材および筒部の係合構造は、ネジ締結および長手方向に沿った長孔により係合されたものである。
【0023】
この場合、係合部材を天井または床に固定し、フランジ部材が取り付けられた柱中空部材を、係合部材と係合させることで容易に内装柱構造体を形成することができる。
特に、既に完成している内装に対しても内装柱構造体を追加形成することができる。
また、天井および床の両方に係合部材をそれぞれ固定させ、内装柱構造体の一端を床側の係合部材と係合させ、内装柱構造体の多端を天井側の係合部材と係合させるだけで容易に天井および床の間に内装柱構造体を設置することができる。
さらに、係合部材と筒部の係合構造は、長手方向に沿った長孔およびネジ締結により係合されていることにより、天井と床との距離が変動した場合においても、長孔とネジ締結により内装柱構造体で変動を吸収することができる。具体的には、地震等の災害時において内装柱構造体により天井または床を破壊することを防止することができる。
なお、ネジ締結には、ボルト、ナット、ネジ、リベットなどの締結を含む。
【0024】
(2)
第2の発明にかかる内装柱構造体は、一局面にかかる内装柱構造体において、柱中空部材は、テーブルを配置可能なテーブル支持固定部を有してもよい。
【0025】
この場合、内装柱構造体の柱中空部材が、テーブル支持固定部を有するので、内装柱構造体にテーブルを形成することができる。また、テーブルの脚を省略できるので、足元の空間を最大限に利用することができる。さらに、テーブルの天板は、テーブル支持固定部に固定されてもよく、テーブル支持固定部と嵌合されてもよい。
【0026】
(3)
第3の発明にかかる内装柱構造体は、一局面または第2の発明にかかる内装柱構造体において、柱中空部材は、丸筒からなってもよい。
【0027】
この場合、柱中空部材は、丸筒からなるので、安全性、デザインおよび意匠性を高めることができる。
【0028】
(4)
第4の発明にかかる内装柱構造体は、一局面または第2の発明にかかる内装柱構造体において、フランジ部材は、柱中空部材の内部に溶接、接着、ビス止めのいずれか1つで固定されてもよい。
【0029】
この場合、フランジ部材が取り付けられた柱中空部材が一体の部材として利用することができるため、係合部材を取り付けた後、ワンタッチで施工することができる。
【0030】
(5)
第5の発明にかかる内装柱構造体は、一局面または第2の発明にかかる内装柱構造体において、フランジ部材は、天井または床から通された配線を柱中空部材の内部へ連通させる孔を有し、柱中空部材は、コンセントを配置可能なコンセント接続部、液晶画面を配置可能な液晶固定部、照明器具を配置可能な照明固定部のうち少なくとも1つまたは複数を有してもよい。
【0031】
この場合、内装柱構造体の柱中空部材に、コンセント、液晶画面、照明器具をさらに配置させることができる。特に、電気的な配線の場合は、電力を供給することができ、ネットワークの配線の場合は、信号の送受信を供給することができる。
【0032】
(6)
第6の発明にかかる内装柱構造体は、一局面または第2の発明にかかる内装柱構造体において、目隠し筒部をさらに含み、目隠し筒部は、柱中空部材と二重筒の関係を有し、フランジ部材と係合部材とを内部に収納するとともに、上下動が可能に形成されてもよい。
【0033】
この場合、目隠し筒部によりフランジ部材と係合部材との係合部分を目隠しすることができる。また、柱中空部材と二重筒の関係となることからデザインまたは意匠性を高めることができる。なお、柱中空部材よりも目隠し筒部の径が小さいことが望ましい。さらに、床側に設けられる目隠し筒部は自重により下方向へ移動するが、天井側に設けられる目隠し筒部は、弾性体、例えば、ばねを設けて上方向へ移動させるようにしてもよい。その結果、天井側のデザイン性または意匠性を高めることができる。
【0034】
(7)
他の局面にかかる内装柱構造体の施工方法は、天井および床に係合部材をそれぞれ取り付ける第1工程と、第1工程で取り付けた係合部材の間に、長手方向を有し内部に筒部を有するフランジ部材を含む柱中空部材の筒部を長手方向に形成された長孔を利用してネジ締結する第2工程と、を有する。
【0035】
この場合、柱中空部材を一つの部材として利用することができるため、係合部材を取り付けた後、ワンタッチで柱中空部材を施工し、内装柱構造体を形成することができる。
また、係合部材と筒部の係合構造は、長手方向に沿った長孔およびネジ締結により係合されていることにより、天井と床との距離が変動した場合においても、長孔とネジ締結により内装柱構造体で変動を吸収することができる。具体的には、地震等の災害時において内装柱構造体により天井または床を破壊することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本実施の形態にかかる内装柱構造体の一例を示す斜視図である。
図2図1の内装柱構造体の内部構造の一例を示す模式的断面図である。
図3】係合部材および筒部の係合構造の一例を示す模式的斜視図である。
図4】フランジ部材の構造の一例を示す模式的切断図である。
図5】内装柱構造体100に取り付けた照明装置、コンセントタップ、テーブルの一例を示す模式的斜視図である。
図6】内装柱構造体に取り付けた液晶表示装置の一例を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明においては、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0038】
[本実施の形態]
図1は、本実施の形態にかかる内装柱構造体100の一例を示す斜視図である。
【0039】
図1に示すように、内装柱構造体100は、天井910および床920の間に設けられる。
また、図1に示すように、内装柱構造体100は、主に柱中空部材110からなる。天井910側に目隠し筒部210が設けられ、床920側に目隠し筒部220が設けられる。
【0040】
柱中空部材110は、円筒柱形状からなり、目隠し筒部210および目隠し筒部220の外径は、柱中空部材110の内径より小さい。そのため、柱中空部材110の一端側と目隠し筒部210と、柱中空部材110の他端側と目隠し筒部220とは、それぞれ一部が二重筒状態となっている。
具体的に柱中空部材110は、主にスチール材等の金属部材からなり、目隠し筒部210および目隠し筒部220は、主にアルミニウムからなる。なお、柱中空部材110および目隠し筒部210、220が、その他の任意の部材からなってもよい。
例えば、柱中空部材110の長さは約2400mm以上3000mm以下であり、直径は、約30mm以上130mm以下であってもよい。また、目隠し筒部210、220の長さは35mm以上75mm以下の範囲であり、直径は、柱中空部材110より約5mm以上9mm以下の範囲で小さな径からなってもよい。
【0041】
次に、図2は、図1の内装柱構造体100の内部構造の一例を示す模式的断面図であり、図3は、係合部材320および筒部520の係合構造の一例を示す模式的斜視図である。
【0042】
(内装柱構造体100の天井910側)
図2に示すように、内装柱構造体100においては、天井910に係合部材310が固定ネジB11で固定されている。
また、内装柱構造体100は、柱中空部材110の天井910側に筒部510と一体に形成されたフランジ部材410が溶接WDで固定されている。フランジ部材410の詳細については、後述する。
天井910側では、筒部510の周囲にばね610を設ける。ばね610の一端側は、フランジ部材410に支持され、ばね610の他端側は、目隠し筒部210に接触するように設けられる。その結果、目隠し筒部210が天井910へ接触する構造となる。
また、筒部510は、係合部材310の長孔310Hに差し込まれたネジB10により固定される。
【0043】
(内装柱構造体100の床920側)
次に、床920側は、ほぼ天井910側と同じ構造であり、異なる点は、床920側は、ばね610を設けない構造である。
図2および図3に示すように、内装柱構造体100においては、床920に係合部材320が固定ネジB11で固定されている。
また、内装柱構造体100は、柱中空部材110の床920側に筒部520と一体に形成されたフランジ部材420が溶接WDで固定されている。
また、筒部520は、係合部材320の長孔320Hに差し込まれたネジB10により固定される。
なお、本実施の形態においては、係合部材310、320は、十字形状を有することしたが、これは、後述する配線CBの取り回しを考慮したものであり、配線CBが必要でない場合には、矩形状、多角形、円形、楕円形、その他の任意の形状であってもよい。
【0044】
(フランジ部材410、420の構造)
図4は、フランジ部材410、420の構造の一例を示す模式的切断図である。
図4においては、一点鎖線で示す部分が切断面を示す。
【0045】
図4に示すように、フランジ部材410、420は、単なる円板状ではなく、切り欠き411、412を有するフランジ部材410、420からなる。
フランジ部材410、420の切り欠き411、412が形成されていない部分において、柱中空部材110の内壁と溶接WDで固定されている。なお、本実施の形態においては、溶接WDで固定することとしているが、これに限定されず、ネジ固定、接着、圧着等任意の固定方法を採用することもできる。
【0046】
次に、フランジ部材410、420の中央部には、筒部510、520が固定されている。なお、筒部510、520とフランジ部材410、420は、一体の部材からなってもよく、別部材を一体に固定させる構造であってもよい。
【0047】
また、フランジ部材410、420の切り欠き411、412は、天井910側または床920側から配線CBを内装柱構造体100の柱中空部材110の内部に通すための切り欠き構造である。本実施の形態においては、切り欠き構造を3か所設けたが、これに限定されず、1個または他の個数であってもよい。
【0048】
(内装柱構造体100に取り付けた照明装置810、コンセントタップ820、テーブル830)
図5は、内装柱構造体100に取り付けた照明装置810、コンセントタップ820、テーブル830の一例を示す模式的斜視図である。
【0049】
図5に示すように、内装柱構造体100には、照明装置810、コンセントタップ820、テーブル830を取り付けることができる。
例えば、内装柱構造体100の柱中空部材110にテーブル支持部材831をネジ固定することでテーブル830を設けることができる。また、テーブル830の高さは、一般的な机または椅子の高さと同じであってもよく、自動販売機の傍で、立ちながらの飲料を置くことができるような高さに配置してもよい。この場合、柱中空部材110が軸周りに回転することもないため、テーブル830が確実に固定され、使用者の安心感を得ることができる。
また、図5のテーブル830は、柱中空部材110を天井910および床920に設置する前にテーブル830を柱中空部材110に貫通させておく必要がある。しかし、図5のテーブル832のように、柱中空部材110に後で取り付けられるように切り欠きを設けて、後にテーブル支持部材831にネジ固定してもよい。
【0050】
また、図5に示すように、床920側から配線CBを挿入できるので、コンセントタップ820を設けてもよい。その結果、テーブル830上にパーソナルコンピュータ等を配置し、仕事を行うこともできる。なお、コンセントタップ820には、電気的な配線CBのみならず、ネットワーク配線等のLANコネクタを設けてもよい。
【0051】
さらに、図5に示すように、天井910側から配線CBを取り回して、照明装置810に電力を供給するようにしてもよい。その結果、間接照明として利用することができる。
【0052】
(内装柱構造体100に取り付けた液晶表示装置850)
図6は、内装柱構造体100に取り付けた液晶表示装置850の一例を示す模式的斜視図である。
【0053】
図6に示すように、内装柱構造体100には、液晶表示装置850を取り付けることができる。その結果、デジタルサイネージとして利用することもでき、さらには、WEBミーティング、広告、テレビ会議等にも有効に利用することができる。
【0054】
(内装柱構造体100の耐震効果について)
本発明にかかる内装柱構造体100においては、内装柱構造体100の長手方向に形成された長孔310Hおよび長孔320Hにより、天井910および床920との距離が地震等により変動した場合であっても、長孔310Hおよび長孔320Hと、ネジB10と、係合部材310、320との構造により、当該変動を吸収することができる。
【0055】
実際に図6に示す内装柱構造体100に重量のある液晶表示装置850を設けた状態で、東日本大震災の震度を持ちいて実験を行ったが、天井910および床920が破損することなく、安全に内装柱構造体100を保持することが確認できた。
【0056】
(内装柱構造体100の施工方法)
次に、内装柱構造体100の施工方法について説明を行う。
まず、内装柱構造体100の柱中空部材110にフランジ部材410、420を取り付けていない場合には、内装柱構造体100の柱中空部材110にフランジ部材410、420を溶接WDで取り付ける(予備準備工程)。
【0057】
次いで、内装柱構造体100を設置する鉛直上の天井910に係合部材310を固定ネジB11で取り付ける。さらに、鉛直下の床920に係合部材320を固定ネジB11で取り付ける(第1工程)。
【0058】
その後、柱中空部材110のフランジ部材410の筒部510にばね610を取り付け、目隠し筒部210を取り付ける。同様に、柱中空部材110の筒部520に目隠し筒部210を取り付ける。
【0059】
最後に、筒部510を係合部材310の長孔310HからネジB10で固定する。同様に、筒部520を係合部材320の長孔320HからネジB10で固定する(第2工程)。
【0060】
本発明においては、内装柱構造体100が「内装柱構造体」に相当し、柱中空部材110が「柱中空部材」に相当し、筒部510、520が「筒部」に相当し、フランジ部材410、420が「フランジ部材」に相当し、天井910が「天井」に相当し、床920が「床」に相当し、係合部材310、320が「係合部材」に相当し、ネジB10が「ネジ」に相当し、長孔310H、320Hが「長孔」に相当し、テーブル830、832が「テーブル」に相当し、テーブル支持部材831が「テーブル支持固定部」に相当し、配線CBが「配線」に相当し、切り欠き411、412が「連通させる孔」に相当し、目隠し筒部210、220が「目隠し筒部」に相当する。
【0061】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施の形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施の形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0062】
100 内装柱構造体
110 柱中空部材
210、220 目隠し筒部
310、320 係合部材
310H、320H 長孔
410、420 フランジ部材
411、412 切り欠き
510、520 筒部
830、832 テーブル
831 テーブル支持部材
910 天井
920 床
B10 ネジ
B11 固定ネジ
CB 配線




図1
図2
図3
図4
図5
図6