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  • 特開-聴音装置及び聴音装置の制御方法 図1
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  • 特開-聴音装置及び聴音装置の制御方法 図4B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176560
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】聴音装置及び聴音装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20231206BHJP
   G10K 11/178 20060101ALI20231206BHJP
   H04R 5/033 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H04R1/10 101B
G10K11/178
H04R5/033 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088903
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】海和 徹
(72)【発明者】
【氏名】植本 将史
(72)【発明者】
【氏名】内田 孝之
(72)【発明者】
【氏名】堀田 信之
(72)【発明者】
【氏名】押領司 誠
(72)【発明者】
【氏名】青木 隆夫
【テーマコード(参考)】
5D005
5D061
【Fターム(参考)】
5D005BB01
5D005BB08
5D061FF02
(57)【要約】
【課題】聴音装置の無線機能のオンオフを自動で制御する。
【解決手段】本実施形態に係る聴音装置10は、ノイズキャンセル処理部及び集音音声処理部の少なくともいずれか1つを備える、耳装着式の聴音装置であって、無線機器に接続され、無線機器からの音声信号を受信可能な無線通信部14と、聴音装置10が耳に装着されているか否かを検出する装着検出部11と、無線通信部14が無線機器に接続される前に、聴音装置10の耳への装着が検出された場合、無線通信部14をオフとする制御処理部23とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノイズキャンセル処理部及び集音音声処理部の少なくともいずれか1つを備える、耳装着式の聴音装置であって、
無線機器に接続され、前記無線機器からの音声信号を受信可能な無線通信部と、
前記聴音装置が耳に装着されているか否かを検出する装着検出部と、
前記無線通信部が前記無線機器に接続される前に、前記聴音装置の耳への装着が検出された場合、前記無線通信部をオフとする制御処理部と、
を備える、聴音装置。
【請求項2】
前記制御処理部は、前記無線通信部が前記無線機器に接続される前に、前記聴音装置の耳への装着が検出された場合、前記ノイズキャンセル処理部及び前記集音音声処理部の少なくともいずれか1つをオン状態とする、
請求項1に記載の聴音装置。
【請求項3】
前記制御処理部は、前記無線通信部の有する複数の機能のうち一部の機能をオフとする、
請求項1に記載の聴音装置。
【請求項4】
前記装着検出部は、前記聴音装置が耳に装着されていることを自動的に検出するセンサである、
請求項1に記載の聴音装置。
【請求項5】
ノイズキャンセル処理部及び集音音声処理部の少なくともいずれか1つを備える、耳装着式の聴音装置の制御方法であって、
無線機器からの音声信号を受信可能とするように、前記聴音装置の無線通信部を前記無線機器に接続するステップと、
前記聴音装置が耳に装着されているか否かを検出するステップと、
前記聴音装置が前記無線機器に接続される前に、前記聴音装置の耳への装着が検出された場合、無線通信部をオフとするステップを含む、
聴音装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、聴音装置及び聴音装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヘッドホンに温度センサや赤外線センサなどを設け、センサ出力に基づいてヘッドホンが装着されているか否かを判断して、ヘッドホンが装着されていない場合には音量を下げたり、再生動作を一時停止させたり等の省消費電力制御を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-182310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘッドホンやイヤホン等の聴音装置には、ユーザの周囲で発生しているノイズ(騒音)を低減するノイズキャンセル機能や、ユーザの周囲の音を聞き取りやすくするために集音された音声の増幅処理等を行う集音機能を備えるものがある。また、聴音装置は、スマートフォン等の無線機器に無線接続し、情報端末から音声信号を受信する無線機能を有するものがある。このような聴音装置は、電源がオンされると、ノイズキャンセル機能や集音機能だけでなく、無線機能もオンとなる。
【0005】
ユーザが聴音装置のノイズキャンセル機能や集音機能のみを使用したいときでも、無線機能もオンとなっているため、必要以上に電池を消耗することとなる。無線機能のみをオフにして、ノイズキャンセル機能や集音機能を使用するには、ユーザによる追加の操作が必要となる。また、聴音装置の起動時(電源オン時)には、無線機器との接続処理が自動で実行されるため、接続を待った後に無線機能をオフする操作を行うこととなる。
【0006】
再接続先が見つからない場合やペアリング先を探している場合には、所定の時間が経過すると、聴音装置自体の電源がオフとなり、聴音装置単体で継続して使用することができない。また、無線機能がオンで接続待ち受け状態のまま、ノイズキャンセル機能や集音機能を使用した場合、第三者から接続される危険性があった。電池の消耗や他機器との誤接続を低減するために、追加の操作を行うことなく無線機能をオフして、ノイズキャンセル機能、集音機能を使用することが望まれている。
【0007】
本開示は上記の点に鑑みなされたものであり、本開示の目的は、無線機能のオンオフを自動で制御可能な聴音装置及び聴音装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係る聴音装置は、ノイズキャンセル処理部及び集音音声処理部の少なくともいずれか1つを備える、耳装着式の聴音装置であって、無線機器に接続され、前記無線機器からの音声信号を受信可能な無線通信部と、前記聴音装置が耳に装着されているか否かを検出する装着検出部と、前記無線通信部が前記無線機器に接続される前に、前記聴音装置の耳への装着が検出された場合、前記無線通信部をオフとする制御処理部とを備えるものである。
【0009】
一態様に係る聴音装置の制御方法は、ノイズキャンセル処理部及び集音音声処理部の少なくともいずれか1つを備える、耳装着式の聴音装置の制御方法であって、無線機器からの音声信号を受信可能とするように、前記聴音装置の無線通信部を前記無線機器に接続するステップと、前記聴音装置が耳に装着されているか否かを検出するステップとを備え、前記聴音装置が前記無線機器に接続される前に、前記聴音装置の耳への装着が検出された場合、無線通信部をオフとするステップを含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、聴音装置の無線機能のオンオフを自動で制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る聴音装置の構成を示す機能ブロック図である。
図2】実施形態1に係る聴音装置の制御方法を説明するフロー図である。
図3A】実施形態2に係る聴音装置の制御方法を説明するフロー図である。
図3B】実施形態2に係る聴音装置の制御方法を説明するフロー図である。
図4A】実施形態3に係る聴音装置の制御方法を説明するフロー図である。
図4B】実施形態3に係る聴音装置の制御方法を説明するフロー図である。
図5】実施形態1に係る聴音装置の制御方法の変形例を説明するフロー図である。
図6】実施形態2に係る聴音装置の制御方法の変形例を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。ただし、本開示が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0013】
実施形態は、無線機器と無線接続され、該無線機器からの音声信号を出力可能な聴音装置に関する。聴音装置は、ユーザの耳に装着可能な音響機器であり、典型的には、右耳用、左耳用の出力ユニットを備える。聴音装置は、ヘッドバンドを有するオーバーヘッド型のヘッドホンや、カナル型、インナーイヤー型等のイヤホンであり得る。聴音装置は、左右の出力ユニットが独立した左右分離型(完全ワイヤレスタイプ)のイヤホンであってもよい。また、聴音装置は、左右の出力ユニットが接続されたネックバンドタイプなどの左右一体型のイヤホンであってもよい。もちろん、聴音装置は上記の例に限定されるものではない。
【0014】
聴音装置は、Bluetooth(登録商標)等の無線通信により、無線機器と接続される。聴音装置は、出力ユニットを構成するハウジングの外側に配置されたスピーカ、マイク等を備える。無線機器は、例えば、音楽再生機能を備えたスマートフォン、タブレット端末等である。なお、無線機器は、スマートフォン等に限らず、ICレコーダー、音楽プレーヤー等であってもよい。
【0015】
図1は、実施形態に係る聴音装置の構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、聴音装置10は、装着検出部11、音声入力部12、音声出力部13、無線通信部14、制御部20を含む。制御部20は、音声処理部21、ノイズキャンセル処理部22、制御処理部23を含む。
【0016】
装着検出部11は、ユーザが聴音装置10を耳に装着したか否かを検出する。装着検出部11としては、例えば、ユーザから発せられた赤外線を検出する赤外線センサや、ユーザの体温を検出する温度センサ等が用いられる。装着検出部11は、例えば、聴音装置10をユーザが装着したときに、ユーザに対向する位置に配置され得る。装着検出部11は、ユーザが聴音装置10を装着したことを示す検出信号を、制御部20に出力する。
【0017】
音声入力部12は、集音した音を音声信号として取得する機器である。音声入力部12としては、例えば、マイクが用いられる。音声入力部12により集音される音は、例えば、ユーザが会話する相手の音声や、ユーザの周囲で発生するノイズを含む周囲音である。音声入力部12は、例えば、ハウジングの外側、すなわち、ユーザの頭部と反対側を向くように配置される。音声入力部12により集音された音声は音声信号に変換された後、制御部20に送信される。
【0018】
音声出力部13は、装着時に、接続された無線機器からの音声信号や、音声入力部12により集音された音声に対応する音声信号に基づく音を出力する。ここで、「音」は、周波数又は音圧レベルが可聴範囲である可聴音だけでなく、周波数又は音圧レベルが可聴範囲外である非可聴音を含んでいてもよい。
【0019】
無線通信部14は、Bluetooth、Wi-Fi(登録商標)、赤外線通信等の近距離無線通信の規格に基づく通信インターフェースであり、無線機器との通信を行うためのモジュールである。なお、以下では、Bluetoothの規格に準じた通信インターフェースにより送受信する例について説明するが、どのような近距離無線通信を適用してもよい。
【0020】
無線機器は、聴音装置10との間で無線によりデータを送受信するための、図示しない無線通信部を備える。無線機器の無線通信部は、上述した聴音装置10と同じ無線通信規格に基づく。聴音装置10は、通信範囲内に存在する無線機器に対して、Bluetoothアドレスなどの識別情報を交換し合って相互認証することで、ペアリング状態となる。ペアリング登録された無線機器の情報は、図示しない記憶部に記憶される。無線通信部14は、ペアリングが成功して接続された無線機器からの音声信号を受信可能である。
【0021】
なお、無線機器は、液晶パネル等の表示デバイスで構成される表示部と、タッチスクリーン等の操作検出デバイスで構成される入力部等を含むタッチパネルを備え得る(いずれも不図示)。ユーザは、タッチパネルに指等で触ることで、データの入力、動作の指示等を行うことができる。また、ユーザは、スマートフォンにインストールされたアプリケーションプログラムを起動して、聴音装置10に対する各種設定を行うことができる。
【0022】
また、聴音装置は電源部15を内蔵している。電源部15は、例えば二次電池であり、聴音装置10の動作に必要な電力を供給する。電源部15が聴音装置10に内蔵されていることにより、聴音装置10はワイヤレスで動作することができる。二次電池を用いた場合は、ハウジングに設けられた端子(不図示)を介して外部のバッテリーチャージャーから給電することができる。
【0023】
音声処理部21は、音声信号を取得し、左右の出力ユニットから該音声信号に基づく音を出力するための各種処理を行う。音声処理部21は、集音音声処理部21aを含む。集音音声処理部21aは、音声入力部12により集音された音に対して周波数処理や、増幅処理等の所定の音声処理を行うことで、集音器としての集音機能を実現する。ノイズキャンセル処理部22は、音声入力部12により集音された周囲音を位相反転した信号をキャンセル信号として生成する。制御部20は、キャンセル信号を音声信号に加算して音声出力部13から出力することで、外部からのノイズを打ち消すことができる。すなわち、ノイズキャンセル処理部22は、ユーザの周囲で発生しているノイズ(騒音)を低減するノイズキャンセル機能を実現する。なお、図1に示す例では、聴音装置10は、集音機能とノイズキャンセル機能の両方を備えているが、いずれか一方であってもよい。
【0024】
制御処理部23は、装着検出部11からの検出信号に基づいて、無線通信部14による無線機器との通信機能のオンオフを制御する。具体的には、制御処理部23は、無線通信部14が無線機器に接続される前に、聴音装置10の耳への装着が検出された場合に、無線通信部14をオフとする。制御処理部23による、聴音装置10の制御方法については後に詳述する。
【0025】
聴音装置10は、図示しない構成としてプロセッサ、メモリ及び記憶装置を備える。当該記憶装置には、聴音装置10の各構成要素の処理をコンピュータに実行させるプログラムが記憶されている。当該プロセッサは、記憶装置からプログラムをメモリへ読み込ませ、当該プログラムを実行する。これにより、プロセッサは、制御部20の各機能を実現する。
【0026】
又は、聴音装置10の各構成要素は、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各構成要素の一部又は全部は、汎用又は専用の回路等の組合せによって実現されてもよい。各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。プロセッサとしては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を用いることができる。
【0027】
プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0028】
なお、聴音装置10は、その各種動作を設定可能な操作ボタン(不図示)を含んでいてもよい。聴音装置10は、操作ボタンの押下に応じて、割り当てられた動作を実行する。例えば、操作ボタンの押下回数や押下位置、押下方向等に応じて、電源オン/オフ、ノイズキャンセル機能のオン/オフ、集音機能のオン/オフ等の切替えを行うことができる。
【0029】
操作ボタンは、左右の出力ユニットのいずれか一方にのみ設けられていてもよく、それぞれに設けられていてもよい。左右分離型の聴音装置において操作ボタンが一方にのみ設けられている場合、一方の出力ユニットに設けられた操作ボタンに対して行われた操作に関する情報が、他方の出力ユニットに転送されてもよい。また、左右の出力ユニットのそれぞれに操作ボタンが設けられている場合、該操作ボタンに割り当てられる聴音装置10に実行させる動作が異なっていてもよい。また、左右の出力ユニットで独立して、電源や機能等のオン/オフを切り替えてもよい。
【0030】
操作ボタンは、物理的な操作ボタンであってもよく、仮想的な操作ボタンであるタッチセンサ等であってもよい。また、聴音装置10は、音声入力によって操作を受け付ける構成を備えていてもよい。
【0031】
上述したように、ノイズキャンセル機能、集音機能を備える無線聴音装置は、電源がオンされると、ノイズキャンセル機能や集音機能だけでなく、無線機能もオンとなる。実施形態では、ユーザが聴音装置のノイズキャンセル機能や集音機能のみを使用したい場合に、追加の操作を行うことなく無線機能を自動的にオフする。以下、聴音装置10の制御方法について説明する。以降の説明では、聴音装置10の一例として、イヤホンの例について説明する。
【0032】
実施形態1.
図2は、実施形態1に係る聴音装置の制御方法を説明するフロー図である。実施形態1は、左右一体型のワイヤレスイヤホンの制御方法の例である。図2のフロー図は、該イヤホンが、未登録の無線機器からの登録待ち受けを行うペアリングモードのときに、無線機能のオン/オフを制御する例を示している。図2に示すように、イヤホンの電源がオンされると、ノイズキャンセル機能又は集音機能と、無線機能とが起動し(S101)、未登録の無線機器の登録/接続待ち受けが開始される(S102)。
【0033】
そして、イヤホンの装着が検出されたか否かが判断される(S103)。イヤホンの装着が検出された場合(S103YES)、制御処理部23は、ノイズキャンセル機能又は集音機能はオンのまま、無線機能をオフとする(S106)。一方、イヤホンの装着が検出されなかった場合(S103NO)、無線機器から接続されたか否かが判断される(S104)。無線機器から接続されるとは、例えば当該無線機器から識別情報等が聴音装置10に送信され、ペアリングして通信可能な状態となることを指す。無線機器から接続されなかった場合(S104NO)、再度S103に戻り、イヤホンの装着検出が実行される。
【0034】
無線機器から接続された場合(S104YES)、イヤホンは、ノイズキャンセル機能又は集音機能はオンのまま、無線機器からの音声情報に基づく音を出力する無線イヤホンとして動作する(S105)。
【0035】
このように実施形態1によれば、ユーザが追加の操作を行うことなく、聴音装置10の無線機能を自動的にオフすることができる。これにより、電源部15の消耗を抑制することが可能となる。また、無線機能がオフされるため、第三者から接続される危険性を回避することができる。また、ペアリングモードでは、ペアリング先が見つからなかった場合は、所定の時間が経過すると、聴音装置10の電源自体がオフとなるものもある。この場合、実施形態1の構成を適用すれば、所定の時間が経過しても電源がオフとならずにノイズキャンセル機能、集音機能のみを使用することが可能である。
【0036】
実施形態2.
図3A、3Bは、実施形態2に係る聴音装置の制御方法を説明するフロー図である。実施形態2もまた、実施形態1と同様に、左右一体型のワイヤレスイヤホンの制御方法の例である。図3A、3Bのフロー図は、該イヤホンが、登録済みの無線機器に再接続を行うときに、無線機能のオン/オフを制御する例を示している。図3A、3Bのフロー図では、(1)再接続前処理、(2)登録済みの無線機器への再接続処理、(3)未登録の無線機器からの接続待ち受け処理の3つの処理が示されている。
【0037】
(1)再接続前処理
図3Aに示すように、イヤホンの電源がオンされると、ノイズキャンセル機能又は集音機能と、無線機能とが起動する(S201)。そして、イヤホンの装着が検出されたか否かが判断される(S202)。イヤホンの装着が検出された場合(S202YES)、制御処理部23は、ノイズキャンセル機能又は集音機能はオンのまま、無線機能をオフとする(S203)。
【0038】
一方、イヤホンの装着が検出されなかった場合(S202NO)、一定時間が経過したか否かが判断される(S204)。一定時間が経過していない場合(S204NO)、S202へと戻る。このとき、無線機能はオンの状態であるが、登録済みの無線機器への接続トライは実行されない。一定時間が経過すると(S204YES)、前回接続された無線機器への自動接続トライが実行され(S205)、図3BのS206へと進む。
【0039】
(2)登録済みの無線機器への再接続処理
S206では前回の無線機器への接続が成功したか否かが判断される。接続が成功した場合(S206YES)、イヤホンは、ノイズキャンセル機能又は集音機能はオンのまま、無線機器からの音声情報に基づく音を出力する無線イヤホンとして動作する(S207)。接続が成功しなかった場合(S206NO)、前回接続した無線機器以外の、登録済みの無線機器から接続が成功したか否かが判断される(S208)。
【0040】
前回接続した無線機器以外の、登録済みの無線機器からの接続成功は、例えば当該登録済みの無線機器が操作されて、再接続要求が聴音装置10に送信され、通信可能な状態となることを指す。S208において接続が成功した場合(YES)もまた、イヤホンは、ノイズキャンセル機能又は集音機能はオンのまま、無線機器からの音声情報に基づく音を出力する無線イヤホンとして動作する(S207)。
【0041】
S208において接続が成功しなかった場合(NO)、イヤホンの装着が検出されたか否かが判断される(S209)。イヤホンの装着が検出された場合(S209YES)、制御処理部23は、ノイズキャンセル機能又は集音機能はオンのまま、無線機能をオフとする(S203)。
【0042】
一方、イヤホンの装着が検出されなかった場合(S209NO)、一定時間が経過したか否かが判断される(S210)。一定時間が経過していない場合(S210NO)、S206へと戻る。一定時間が経過すると(S210YES)、イヤホン側からの前回接続された無線機器への自動接続がタイムアウトし(S211)、未登録の無線機器からの登録/接続待ち受け処理へと移行する(S212)。
【0043】
(3)未登録の無線機器からの接続待ち受け処理
S212では、未登録の無線機器の登録/接続待ち受けが開始される。そして、イヤホンの装着が検出されたか否かが判断される(S213)。イヤホンの装着が検出された場合(S213YES)、制御処理部23は、ノイズキャンセル機能又は集音機能はオンのまま、無線機能をオフとする(S203)。一方、イヤホンの装着が検出されなかった場合(S213NO)、無線機器から接続されたか否かが判断される(S214)。無線機器から接続されなかった場合(S214NO)、再度S213に戻り、イヤホンの装着検出が実行される。
【0044】
無線機器から接続された場合(S214YES)、イヤホンは、ノイズキャンセル機能又は集音機能はオンのまま、無線機器からの音声情報に基づく音を出力する無線イヤホンとして動作する(S207)。
【0045】
イヤホンの動作の具体的な例として、電源オン後5秒間は、イヤホンが登録済みの無線機器の探索を行わずにイヤホンの装着検出のみを実行する。5秒経過後、10秒間は、イヤホンは、登録済みの機器に接続トライを繰り返しながら、無線機器からの装着がなされる前にイヤホンの装着が検出されるかの判断を繰り返す。10秒経過後に、イヤホンは、接続リトライを停止して、未登録の無線機器の登録待ち受け及び接続待ち受けをしながら、無線機器からの装着がなされる前にイヤホンの装着が検出されるかの判断を繰り返すことができる。
【0046】
このように実施形態2によれば、実施形態1と同様に、ユーザが追加の操作を行うことなく、聴音装置10の無線機能を自動的にオフすることができる。また、ペアリング先が見つからなかった場合でも、ノイズキャンセル機能、集音機能のみを使用することができる。さらに、聴音装置10の起動時に自動で実行される無線機器との接続処理を待つことなく、電源オンとともに直ちにイヤホンの装着検出が実行され、集音機能又はノイズキャンセル機能を使用することが可能となる。
【0047】
実施形態3.
図4A、4Bは、実施形態3に係る聴音装置の制御方法を説明するフロー図である。実施形態3は、左右分離型のワイヤレスイヤホンの制御方法の例である。この左右分離型のイヤホンのうち、ユーザの右耳に装着するものを右イヤホン、左耳に装着するものを左イヤホンとよぶ。右イヤホン、左イヤホンは、両イヤホンが接続された状態での両耳イヤホンとしての使用だけでなく、それぞれ単体で片耳イヤホンとしての使用も可能である。右イヤホン、左イヤホンは、それぞれ図1に示した構成要素を備える。図4A、4Bのフロー図は、該イヤホンが、未登録の無線機器からの登録待ち受けを行うペアリングモードのときに、無線機能のオン/オフを制御する例を示している。図4A、4Bでは、左イヤホンでの処理について記載しているが、右イヤホンも同様に無線機器との接続やイヤホン装着の検出等の処理がなされ得る。
【0048】
図4Aに示すように、左イヤホンの電源がオンされると、ノイズキャンセル機能又は集音機能と、無線機能とが起動する(S301)。左イヤホンは、右イヤホンの接続待ちを行うとともに、未登録の無線機器の登録/接続待ち受けを開始する(S302)。左イヤホンが右イヤホンと接続された場合(S303YES)、図4Bに示すステップへ移行する。
【0049】
一方、左イヤホンが右イヤホンと接続されていない場合(S303NO)、左イヤホン単体での使用を想定した処理がなされる。まず、左イヤホンが無線機器から接続されたか否かが判断される(S304)。無線機器から接続された場合(S304YES)、左イヤホンは、ノイズキャンセル機能又は集音機能はオンのまま、無線機器からの音声情報に基づく音を出力する片耳無線イヤホンとして動作する(S305)。
【0050】
左イヤホンが無線機器から接続されなかった場合(S304NO)、電源オン後一定時間が経過したか否かが判断される(S306)。ここで、S306のように、電源オン後に無線機能が起動され、一定時間の経過を待つ理由は、無線機能をオフすると左イヤホンと右イヤホンとの接続ができなくなるためである。電源オン後一定時間が経過していない場合、再度S303へと戻る。また、電源オン後一定時間が経過した場合、左イヤホンの装着が検出されたか否かが判断される(S307)。
【0051】
左イヤホンの装着が検出された場合(S307YES)、ノイズキャンセル機能又は集音機能はオンのまま、左イヤホンの無線機能をオフとする(S308)。これにより、左イヤホンは、ノイズキャンセル機能又は集音機能のみを有する片耳イヤホンとして動作する。一方、左イヤホンの装着が検出されなかった場合(S307NO)、S303へと戻る。
【0052】
次に、左イヤホンが右イヤホンと接続された場合(S303YES)について説明する。図4Bに示すように、まず、右イヤホンがすでに無線機器と接続されているか否かが判断される(S309)。右イヤホンが無線機器と接続されている場合(S309YES)、両イヤホンのノイズキャンセル機能又は集音機能がオンのまま、両耳無線イヤホンとして動作する(S313)。
【0053】
右イヤホンが無線機器と接続されていない場合(S309NO)、両イヤホンの装着が検出されたか否かが判断される(S310)。例えば、それぞれのイヤホンの装着検出部11がユーザの装着を検出した後に、検出信号を相手のイヤホンに送信することで、両イヤホンの装着を判断することができる。両イヤホンの装着が検出された場合(S310YES)、両イヤホンのノイズキャンセル機能又は集音機能はオンのまま、無線機能がオフされる(S314)。両イヤホンの装着が検出されなかった場合(S310NO)、左右イヤホンのいずれかが無線機器から接続されたかが判断される(S311)。左右イヤホンのいずれかが無線機器から接続された場合(S311YES)、S313へと進み、両イヤホンのノイズキャンセル機能又は集音機能がオンのまま、両耳無線イヤホンとして動作する。
【0054】
左右イヤホンのいずれかも無線機器から接続されなかった場合(S311NO)、右イヤホンが左イヤホンから切断されたか否かが判断される(S312)。右イヤホンが左イヤホンから切断されていない場合は(S312NO)、S310へ戻り、以降のステップが繰り返される。また、右イヤホンが左イヤホンから切断された場合は(S312YES)、図4AのS304へと進み、左イヤホン単体での使用を想定した以降の処理がなされる。
【0055】
このように、実施形態3によれば、左右分離型の聴音装置10においても、同様に、ユーザが追加の操作を行うことなく、聴音装置10の無線機能を自動的にオフすることができる。また、左右イヤホンのいずれか一方であっても、無線機器との接続前にユーザに装着されたことが確認されれば、無線機能をオフしてノイズキャンセル機能又は集音機能のみを使用することができる。
【0056】
なお、聴音装置10は、無線機能がオン/オフのいずれであるか示す情報を報知する報知部をさらに備えていてもよい。報知部としては、当該情報を文字により報知する表示部や、発光により報知するLED等の発光部であってもよい。また、聴音装置10の無線機能がオン/オフのいずれであるか示す情報を、音声出力部13から音声によりユーザに報知してもよい。これにより、ユーザは、聴音装置10が意図した状態(例えば、無線機能のみをオフして、集音機能のみをオンとした集音器としての使用状態や、無線機能を含むすべての機能をオンとした無線イヤホンとしての使用状態等)となっているかを確認することができる。
【0057】
聴音装置10が、ユーザが意図しない状態となった場合には、以下の通り、聴音装置10の各種設定を変更することも可能である。
第1例として、聴音装置10の装着が検出され、無線機能がオフされた後に、無線機器に接続する場合には、一度電源をオフして、再度電源をオンすることで、無線機能をオンとすることができる。上述したように、聴音装置10の電源オフは、例えば、操作ボタンの操作により実行させることができる。また、聴音装置10に設けられた操作ボタンの操作により、無線機能をオンに切り替えることも可能である。
【0058】
第2例として、無線機能をオフしたいのに、ユーザが聴音装置10を装着する前に、無線機器との接続が完了してしまった場合には、聴音装置10と無線機器との接続を切断することができる。切断状態で一定時間が経過することで、聴音装置10の無線機能を自動的にオフとすることができる。聴音装置10と無線機器との切断方法は、無線機器を操作してもよいし、聴音装置10の特定のボタン操作を行ってもよい。又は、電源をオンしたときに登録済みの無線機器を自動的に探索する自動接続機能をオフにして、聴音装置10の特定のボタン操作をすることで無線機器に手動で接続できるようにしてもよい。
【0059】
第3例として、無線機能をオフせずに無線機器とのペアリングをしたいのに、聴音装置10をユーザが装着したためペアリングできなくなる場合、聴音装置10の特定のボタン操作で無線機能をオフにする機能を無効にしてもよい。また、無線機能を利用して聴音装置10と接続可能なスマートフォンにインストールされたアプリケーションプログラムを起動して、聴音装置10の無線機能を自動でオフする機能のオン/オフを設定してもよい。
【0060】
また、無線機能の一部をオフすることも可能である。無線機能を利用して聴音装置10と接続可能なスマートフォンにインストールされたアプリケーションプログラムから聴音装置10のリモコン操作が可能な場合、無線機能を完全にオフにすると、リモコン操作ができず不便である。そこで、無線機能のすべてをオフにせず、一部機能のみをオフにすることも可能である。例えば、聴音装置10が無線機能としてBluetooth4.0規格のうちのBluetooth ClassicとBluetooth Low Energy(BLE)の両方をサポートしている場合、音楽などを伝送するBluetooth Classicをオフにして、リモコン操作の通信路となるBLEのみオンにすることができる。これにより、省電力を実現しつつ、リモコン機能を利用することが可能となる。
【0061】
また、Bluetooth Classicをオフにせず、ペアリングモード(未登録の無線機器からの登録待ち受け状態)をオフとすることもできる。この場合、聴音装置10が無線機器と接続しないことで、省電力を実現し、さらに未登録の第三者から接続される危険性を回避することができる。この場合、登録済みの無線機器を操作すればいつでも手動で聴音装置10と接続することが可能である。以下、聴音装置10の無線機能のうち、登録待ち受けを停止して、接続待ち受けを継続する例について説明する。
【0062】
図5は、実施形態1に係る聴音装置の制御方法の変形例を説明するフロー図である。図5において、図2と同じステップには、同一の符号を付し、説明を適宜省略する。図5に示す例では、図2のS106の代わりに、S400とS401のステップが設けられている。S103において、ユーザがイヤホンを装着したことが検出された場合(YES)、登録待ち受けを停止して、接続待ち受けを継続する(S400)。そして、登録済みの無線機器から接続された場合(S401YES)、聴音装置10を、ノイズキャンセル機能又は集音機能はオンのまま無線イヤホンとして動作させることができる(S105)。
【0063】
図6は、実施形態2に係る聴音装置の制御方法の変形例を説明するフロー図である。図6は、実施形態2の図3Aに対応する。図6において、図3Aと同じステップには、同一の符号を付し、説明を適宜省略する。また、図6において変更されたステップ(S400、S401)は、図5において変更されたステップと同一である。S202において、ユーザがイヤホンを装着したことが検出された場合(YES)、登録待ち受けを停止して、接続待ち受けを継続し(S400)、登録済みの無線機器から接続された場合に(S401YES)、聴音装置10を、ノイズキャンセル機能又は集音機能はオンのまま無線イヤホンとして動作させることができる(S207)。
【0064】
実施形態に係る聴音装置10は、無線機器との接続範囲外で、聴音装置10のノイズキャンセル機能や集音機能のみを使用する場面における使用が想定される。また、聴音装置10を集音器として使用する場合、初回にスマートフォンにインストールされたアプリケーションプログラムによりユーザの聴力に合わせて個人設定を行った後は、アプリケーションプログラムの起動を行わず、聴音装置10のみを使用する場面における使用が想定される。
【0065】
以上説明したように、実施形態によれば、ノイズキャンセル機能や集音機能(周囲音取り込み機能)を備えた聴音装置10において、無線機器接続待ち受け中に、ユーザの耳に装着された場合に、ノイズキャンセル機能や集音機能のみをオンにして、無線イヤホン機能を自動的にオフにすることができる。これにより、電源部15の消耗を抑制し、電源部15の持続時間を長くすることが可能となる。また、他の無線機器の誤接続を回避することができる。
【0066】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0067】
10 聴音装置
11 装着検出部
12 音声入力部
13 音声出力部
14 無線通信部
15 電源部
20 制御部
21 音声処理部
21a 集音音声処理部
22 ノイズキャンセル処理部
23 制御処理部
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6