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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176564
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】蓄電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231206BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H02J7/00 H
H02J13/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088909
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 和樹
(72)【発明者】
【氏名】武野 佑基
(72)【発明者】
【氏名】大田 準二
【テーマコード(参考)】
5G064
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AC05
5G064AC06
5G064AC08
5G064BA02
5G064BA07
5G064CB06
5G064CB10
5G064DA03
5G064DA05
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA08
5G503CA11
5G503CB11
5G503CC02
5G503DA04
5G503DA07
5G503EA05
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】ユーザが意図したタイミングで動作を変更する。
【解決手段】サーバは、動作モードの切替要求があるか否かを判定するステップ(S100)と、動作モードの切替要求があると判定される場合(S100にてYES)、現在日時を取得するステップ(S102)と、現在日時からの第1動作モードの終了時間を設定するステップ(S104)と、第2動作モードを取得するステップ(S106)と、切替指示を生成するステップ(S108)と、生成した切替指示を送信するステップ(S110)とを含む、処理を実行する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設置される電気機器との間で電力の授受が可能であって、前記建物に設置される蓄電装置と、
前記蓄電装置の充放電に関する複数の動作のうちのいずれかの動作を行なう制御装置と、
前記制御装置と通信可能な端末とを備え、
前記端末は、前記複数の動作のうちの第1動作から第2動作へと動作を切り替える操作を受け付ける場合に、前記第1動作の終了時刻を示す情報と、前記第1動作の後に前記第2動作が行なわれることを示す情報とを用いて切替指示を生成し、生成した前記切替指示を前記制御装置に送信する、蓄電システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記端末から前記切替指示を受信する場合に、前記終了時刻に前記第1動作を終了し、前記第2動作に動作を行なう、請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項3】
前記第1動作の終了時刻を示す情報は、前記切替指示の生成時点における時刻についての情報と、前記生成時点からの前記第1動作を終了させるまでの期間についての情報とを含む、請求項1に記載の蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物に設置される電気機器の電源として商用電源以外に定置式の蓄電システムが用いられる場合がある。
【0003】
このような定置式の蓄電システムに関して、たとえば、特開2017-085781号公報(特許文献1)には、蓄電システムに含まれる蓄電装置の充電を優先したり、電動車両などの他の蓄電装置への電力供給を優先したりするなどの動作をユーザが手動で設定する技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-085781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
定置式の蓄電システムには、上述のようなユーザの意図に沿った動作をするために通信網を介してユーザの指示を受け付けるインターフェースが設けられる場合がある。しかしながら、通信網において発生した通信障害により通信に遅れ等が生じると、ユーザの指示の受信が遅延したり、通信障害が発生している間にユーザの指示を受信できなかったりする場合がある。その結果、蓄電システムにおける動作の変更をユーザが意図したタイミングで実施できない場合がある。
【0006】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ユーザが意図したタイミングで動作の変更を可能とする蓄電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に係る蓄電システムは、建物に設置される電気機器との間で電力の授受が可能であって、建物に設置される蓄電装置と、蓄電装置の充放電に関する複数の動作のうちのいずれかの動作を行なう制御装置と、制御装置と通信可能な端末とを備える。端末は、複数の動作のうちの第1動作から第2動作へと動作を切り替える操作を受け付ける場合に、第1動作の終了時刻を示す情報と、第1動作の後に第2動作が行なわれることを示す情報とを用いて切替指示を生成し、生成した切替指示を制御装置に送信する。
【0008】
このようにすると、端末において、第1動作の終了時刻を示す情報と、第1動作の後に第2動作が行なわれることを示す情報とを含む切替指示が制御装置に送信されるので、制御装置においては、その後に通信に遅延が生じた場合でも、受信した切替指示に従って第1動作から第2動作に切り替えることができる。そのため、ユーザが意図したタイミングで動作を切り替えることができる。
【0009】
ある実施の形態においては、制御装置は、端末から切替指示を受信する場合に、終了時刻に第1動作を終了し、第2動作に動作を行なう。
【0010】
このようにすると、制御装置において、端末から切替指示を受信することにより、その後に通信に遅延が生じた場合でも、受信した切替指示に従って第1動作から第2動作に切り替えることができる。そのため、ユーザが意図したタイミングで動作を切り替えることができる。
【0011】
さらにある実施の形態においては、第1動作の終了時刻を示す情報は、切替指示の生成時点における時刻についての情報と、生成時点からの第1動作を終了させるまでの期間についての情報とを含む。
【0012】
このようにすると、切替指示の生成時点と、生成時点から第1動作を終了させるまでの期間とを用いて終了時刻を取得することができるため、通信に遅延が生じた場合でもユーザが意図したタイミングで動作を切り替えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によると、ユーザが意図したタイミングで動作の変更を可能とする蓄電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】蓄電システムの全体構成の一例を概略的に示す図である。
図2】通信障害による動作モードの切替指示の遅れの発生を説明するための図である。
図3】サーバにおいて実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図4】切替指示を構成する情報の一例を表形式で示した図である。
図5】PCSにおいて実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0016】
図1は、蓄電システム1の全体構成の一例を概略的に示す図である。建物3内には、蓄電システム1の構成の一部と、分電盤4と、電気負荷10とが設けられる。建物3内の電気負荷10には、分電盤4を介在させて、商用電源等に接続される電力網2と、蓄電システム1のパワーコンディショナシステム(以下、PCSと記載する)30(後述)とが接続されている。
【0017】
分電盤4は、蓄電システム1のPCS30と、電力網2と、電気負荷10との間における電力の伝達経路を選択可能に構成される。
【0018】
分電盤4は、たとえば、電力網2から供給される電力を、分電盤4を経由して電気負荷10に供給する電力の伝達経路を選択し得る。さらに分電盤4は、蓄電システム1のPCS30から供給される電力を、分電盤4を経由して電気負荷10に供給する電力の伝達経路を選択し得る。さらに、分電盤4は、電力網2から供給される電力を、分電盤4を経由して蓄電システム1のPCS30に供給する電力の伝達経路を選択し得る。さらに、分電盤4は、蓄電システム1のPCS30から供給される電力を、分電盤4を経由して電力網2に対して供給する電力の伝達経路を選択し得る。
【0019】
電気負荷10は、建物3内あるいは建物3外に設置された電気機器を含む。電気負荷10は、たとえば、照明装置や各種家電製品を含む。
【0020】
蓄電システム1は、太陽光発電装置20と、PCS30と、ルータ40と、電池ユニット70と、サーバ100と、携帯端末150とを含む。電池ユニット70は、建物3の外(屋外)に設置される。なお、電池ユニット70は、建物3内(屋内)に設置されてもよい。
【0021】
太陽光発電装置20は、たとえば、建物3の屋根上などの屋外に設置されるソーラパネル等によって構成される。太陽光発電装置20は、PCS30に接続される。太陽光発電装置20は、太陽光を受けて直流電力を発電し、発電した直流電力をPCS30に供給する。
【0022】
PCS30は、各種電力変換装置(図示せず)と制御装置32と通信装置34とを含む。PCS30は、電池ユニット70および太陽光発電装置20のうちの少なくともいずれかから供給される直流電力を交流電力に変換して分電盤4に供給する。あるいは、PCS30は、太陽光発電装置20から供給される直流電力を電池ユニット70に供給する。あるいは、PCS32は、電力網2から供給される交流電力を直流電力に変換して電池ユニット70に供給する。
【0023】
制御装置32は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ(ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)など)、および、各種信号を入出力するための入出力ポート等を含んで構成されている。制御装置32により実行される各種制御は、ソフトウェア処理、すなわち、メモリに格納されたプログラムがCPUにより読み出されることにより実行される。制御装置32による各種制御は、記憶媒体に記憶されたプログラムを汎用のコンピュータ(図示せず)が実行することによっても実現可能である。制御装置32による各種制御は、ソフトウェア処理に限られず、専用のハードウエア(電子回路)で処理してもよい。
【0024】
通信装置34は、たとえば、ルータ40および電池ユニット70のECU(Electronic Control Unit)80の各々と有線または無線による通信が可能に構成される。通信装置34は、たとえば、ECU80と予め定められた情報を授受する。さらに、通信装置34は、ルータ40とインターネット等の通信網6とを経由してサーバ100と通信可能に構成される。通信網6には、たとえば、無線基地局8が接続されており、携帯端末150と通信可能に接続される。そのため、通信装置34は、ルータ40と通信網6とを経由して携帯端末150とも通信可能に構成される。
【0025】
ルータ40は、建物3内に設置される。ルータ40は、通信装置34以外にも、建物3内のパーソナルコンピュータやスマートフォン等の通信端末と有線または無線による通信が可能に接続されている。
【0026】
電池ユニット70は、ECU80と、組電池(図示せず)とを含む。組電池は、たとえば、複数のセルを用いて構成される。セルは、たとえば、ニッケル水素電池や、液体または固体の電解質を有するリチウムイオン電池によって構成される。組電池は、複数のセルが直列に接続されて構成される。なお、組電池は、たとえば、所定数のセルを並列で接続して構成された電池群を複数個直列で接続して構成されてもよい。
【0027】
電池ユニット70は、たとえば、組電池とPCS30とを接続する、図示しないシステムメインリレー(以下、SMRと記載する)をさらに含む。ECU80は、SMRの動作を制御して、組電池とPCS30とを電気的に接続した導通状態と、組電池とPCS30とを電気に遮断した遮断状態とのうちのいずれか一方から他方に切り替える。ECU80は、たとえば、制御装置32から受信する制御信号に応じてSMRを動作させる。
【0028】
さらに、ECU80は、組電池の状態を管理する。ECU80は、たとえば、組電池内の温度、電流および電圧を用いて組電池のSOCを推定する。SOCは、満充電容量に対する残存する電力量の割合を示す。なお、SOCの算出方法としては、たとえば、電流値積算(クーロンカウント)による手法、または、開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)の推定による手法など、種々の公知の手法を採用できる。
【0029】
サーバ100は、制御装置102と、記憶装置104と、通信装置106と、ユーザインターフェース(以下、UIと記載する)108とを含む端末である。制御装置102と記憶装置104と通信装置106とUI108とは、通信バス110によって互いに通信可能に接続される。
【0030】
制御装置102は、制御装置32と同様に、CPU、メモリ(ROMおよびRAMなど)、および、各種信号を入出力するための入出力ポート等を含んで構成されている。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0031】
記憶装置104は、PCS30、太陽光発電装置20あるいは電池ユニット70などの各種電気機器の動作に関する情報や、ユーザから受け付けた操作指示や制御指示に関する情報を記憶する。
【0032】
通信装置106は、通信装置34と通信網6を経由して双方向の通信が可能に構成される。なお、通信装置106の通信対象としては、通信装置34に限定されるものではなく、建物3と異なる他の建物において電池ユニットに接続されたPCSの通信装置であってもよい。
【0033】
UI108は、たとえば、キーボード、マウスあるいはタッチパネル等の各種入力機器を含む。UI108は、ユーザからの操作を受け付けることによって生じる操作信号を制御装置102に出力する。制御装置102は、UI108から入力される操作信号を用いてユーザの操作指示を取得する。
【0034】
制御装置102は、UI108からの操作信号を用いて取得された操作指示が、電池ユニット70の動作モードを切り替えるための操作指示である場合に動作モードを切り替えための指示をPCS30に送信する。電池ユニット70の動作モードとしては、たとえば、充電モードと、放電モードと、待機モードとが含まれる。充電モードは、PCS30から電池ユニット70の組電池に充電電力を供給して、組電池を充電する動作モードである。放電モードは、電池ユニット70の組電池の電力をPSC30に供給して、組電池を放電する動作モードである。待機モードは、組電池において充電も放電もせずに待機状態とする動作モードである。
【0035】
携帯端末150は、制御装置と、記憶装置と、通信装置と、UI(いずれも図示せず)とを含む。携帯端末150の制御装置と、記憶装置と、通信装置と、UIの機能としては、サーバ100の制御装置102と、記憶装置104と、通信装置106と、UI108の機能と同様である。そのため、それらの詳細な説明は、繰り返さない。
【0036】
以上のような構成を有する蓄電システム1において、通信装置34と通信装置106との間において通信障害が発生すると、通信装置106から電池ユニット70の動作モードを切り替える切替指示が送信されても、通信装置34において切替指示の受信に遅れが発生する場合がある。
【0037】
なお、本実施の形態において、通信障害には、たとえば、通信網6におけるトラフィックの増加や設備の故障に起因するものだけでなく、ルータ40の不調等の建物3内の通信経路上の設備の故障に起因するものも含まれる。
【0038】
以下、図2を参照して、通信障害による動作モードの切替指示の遅れについて説明する。図2は、通信障害による動作モードの切替指示の遅れの発生を説明するための図である。図2には、サーバ100と、PCS30と、電池ユニット70とにおいて授受される各種制御指示や各種情報が示される。
【0039】
図2の(A)に示すように、たとえば、通信網6において通信障害が発生した場合を想定する。このとき、図2の(B)に示すように、サーバ100においてユーザから電池ユニット70の動作モードを切り替えるための操作指示を受け付けた場合には、サーバ100からPCS30に対して電池ユニット70の動作モードを切り替える切替指示が送信される。
【0040】
しかしながら、通信障害が発生していることにより、図2の(C)に示すように、PCS30においてサーバ100からの動作モードの切替指示の受信が遅延すると、切替指示を受信するまで電池ユニット70の動作モードを切り替えることができない。その結果、図2の(D)に示すように、ユーザが意図したタイミングで電池ユニット70の動作モードを切り替えることができない場合がある。
【0041】
そこで、本実施の形態においては、サーバ100は、電池ユニット70の動作モードを切り替える操作を受け付ける場合に、変更前の第1動作モードの終了時刻を示す情報と、第1動作モードの後に第2動作モードに切り替えられることを示す情報とを用いて切替指示を生成し、生成した切替指示をPCS30の制御装置32に送信するものとする。制御装置32は、サーバ100から切替指示を受信する場合に、終了時刻に第1動作モードでの動作を終了し、第2動作モードでの動作を行なうものとする。
【0042】
このようにすると、制御装置32において、切替指示の受信後にサーバ100との間での通信に遅延が生じた場合でも、受信した切替指示に従って電池ユニット70の動作モードを第1動作モードから第2動作モードに切り替えることができる。そのため、ユーザが意図したタイミングで動作を切り替えることができる。
【0043】
以下、サーバ100(具体的には、サーバ100の制御装置102)において実行される処理の一例について図3を参照しつつ説明する。図3は、サーバ100において実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、サーバ100により、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0044】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、サーバ100は、動作モードの切替要求があるか否かを判定する。サーバ100は、たとえば、ユーザの操作指示が電池ユニット70の動作モードを切り替えを指示する操作指示である場合に動作モードの切替要求があると判定する。動作モードの切替要求があると判定される場合(S100にてYES)、処理はS102に移される。
【0045】
S102にて、サーバ100は、現時点の年月日および時刻(以下、現在日時と記載する)を取得する。サーバ100は、たとえば、内蔵する計時装置を用いて現在日時を取得してもよいし、あるいは、通信網6を経由した外部サーバ(たとえば、NTP(Network Time Protocol)サーバ)との通信によって現在日時を取得してもよい。サーバ100は、取得した現在日時を記憶装置104に記憶させる。その後処理はS104に移される。
【0046】
S104にて、サーバ100は、現時点からの第1動作モードの終了時間を設定する。サーバ100は、たとえば、現時点から第1動作モードの動作を終了させるまでの期間を第1動作モードの終了時間として設定する。サーバ100は、たとえば、予め定められた時間を第1動作モードの終了時間として設定してもよいし、第1動作モードから第2動作モードへの動作モードの切替に要する時間を第1動作モードの終了時間として設定してもよいし、あるいは、通信障害により生じる遅延時間に基づいて第1動作モードの終了時間を設定してもよい。予め定められた時間としては、たとえば、数分程度の時間であってもよいし、あるいは、数時間程度の時間であってもよい。サーバ100は、設定された第1動作モードの終了時間を記憶装置104に記憶させる。その後処理はS106に移される。
【0047】
S106にて、サーバ100は、第2動作モードを取得する。サーバ100は、ユーザの操作指示から特定される変更後の動作モードを第2動作モードとして取得する。サーバ100は、取得した第2動作モードを記憶装置104に記憶させる。その後処理はS108に移される。
【0048】
S108にて、サーバ100は、切替指示を生成する。サーバ100は、取得された現在日時と、設定された第1動作モードの終了時間と、取得された第2動作モードとを対応付けた情報を切替指示として生成する。図4は、切替指示を構成する情報の一例を表形式で示した図である。
【0049】
図4に示すように、サーバ100は、S102にて取得された現在日時についての情報と、S104にて設定された第1動作モードの終了時間についての情報と、取得された第2動作モードについての情報とを対応付けて切替指示を生成する。その後処理はS110に移される。
【0050】
S110にて、サーバ100は、切替指示をPCS30の通信装置34に送信する。なお、動作モードの切替要求がないと判定される場合(S100にてNO)、この処理は終了される。
【0051】
次に、PCS30(具体的には、PCS30の制御装置32)において実行される処理の一例について図5を参照しつつ説明する。図5は、PCS30において実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、PCS30により、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0052】
S200にて、PCS30は、切替指示を受信するか否かを判定する。サーバ100から切替指示を受信すると判定される場合(S200にてYES)、処理はS202に移される。
【0053】
S202にて、PCS30は、受信した切替指示を用いて送信先の現在日時を取得する。PCS30は、取得した現在日時を制御装置32のメモリに記憶させる。その後処理はS204に移される。
【0054】
S204にて、PCS30は、受信した切替指示を用い第2動作モードを取得する。PCS30は、取得した第2動作モードを制御装置32のメモリに記憶させる。その後処理はS206に移される。
【0055】
S206にて、PCS30は、第1動作モードを終了させて第2動作モードに切り替える時刻(以下、終了時刻と記載する)を設定する。PCS30は、たとえば、現在日時に終了時間を加算して得られる時刻を終了時刻として設定する。その後処理はS208に移される。
【0056】
S208にて、PCS30は、現在時刻を取得する。現在時刻の取得方法としては、サーバ100による現在時刻の取得方法と同様である。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。その後処理はS210に移される。
【0057】
S210にて、PCS30は、現在時刻が終了時刻に到達したか否かを判定する。PCS30は、たとえば、現在時刻が終了時刻以降の時刻である場合に現在時刻が終了時刻に到達したと判定する。現在時刻が終了時刻に到達したと判定される場合(S210にてYES)、処理はS212に移される。
【0058】
S212にて、PCS30は、電池ユニット70の動作モードを取得された第2動作モードに変更する。なお、切替指示を受信しないと判定される場合(S200にてNO)、この処理は終了される。また、現在時刻が終了時刻に到達していないと判定される場合(S210にてNO)、処理はS210に戻される。
【0059】
以上のような構造およびフローチャートに基づく蓄電システム1の動作の一例について説明する。
【0060】
たとえば、電池ユニット70が待機モードで動作している場合を想定する。この場合、電池ユニット70は、充電も放電もされていない状態を維持する。サーバ100のUI108に対してユーザの操作指示を受け付けて、受け付けた操作指示が動作モードを充電モードに変更する指示に対応するものである場合に、サーバ100において、動作モードの切替要求があると判定される(S100にてYES)。そのため、現在日時が取得されるとともに(S102)、第1動作モードの終了時間が設定される(S104)。受け付けた操作指示に基づいて充電モードが第2動作モードとして取得され(S106)、現在日時と、第1動作モードの終了時間と、第2動作モードとを用いて切替指示が生成され(S108)、PCS30に対して生成された切替指示が送信される(S110)。
【0061】
PCS30において切替指示が受信されると(S200にてYES)、送信先の現在日時が取得されるとともに(S202)、切替指示を用いて第2動作モードが取得されて(S204)、第1動作モードの終了時刻が設定される(S206)。そして、現在時刻が取得されるとともに(S208)、現在時刻が終了時刻に到達しているか否かが判定される(S210)。
【0062】
現在時刻が終了時刻に到達していると判定される場合(S210にてYES)、動作モードが第2動作モード、すなわち、充電モードに変更される(S212)。
【0063】
これにより、たとえば、通信網6あるいはルータ40において通信障害が発生し、切替指示の受信が遅延した場合でも、遅延した時間が終了時間以内の時間であれば、現在時刻が終了時刻に到達したときに動作モードが変更される。そのためユーザの意図に沿った動作モードの変更が可能となる。
【0064】
以上のように、本実施の形態に係る蓄電システム1によると、サーバ100において、第1動作モードの終了時刻を示す情報と、第1動作モードの後に第2動作モードが行なわれることを示す情報とを含む切替指示がPCS30に送信されるので、PCS30においては、その後に通信に遅延が生じた場合でも、受信した切替指示に従って第1動作モードから第2動作モードに切り替えることができる。そのため、ユーザが意図したタイミングで動作を切り替えることができる。したがって、ユーザが意図したタイミングで動作の変更を可能とする蓄電システムを提供することができる。
【0065】
さらに、本実施の形態における蓄電システム1としては、蓄電システムを保有する個人に対して、エネルギーの節約(以下、節エネと記載する)や防災などの価値(以下、個人価値と記載する)を与える役割と、複数の蓄電システムを保有する社会(市町村などの地域)に対して、電力網における電力の調整力などの価値(以下、社会価値と記載する)を与える役割との2つの役割を果たすことができる。そして、蓄電システム1としては、いずれかの役割を優先する場合には、優先する役割に応じてフェールセーフ動作を柔軟に切り替えることが可能となる。
【0066】
たとえば、個人価値を与える役割を優先するときには、蓄電システムが設置される地点における気象警報などの天候情報を受けて第1動作として充電モードに切り替えた後、フェールセーフとしてPCS30単体で動作する第2モードとして、たとえば、節エネ自動制御モードに戻す動作を、上述の切替指示を用いて実現することができる。
【0067】
さらに、たとえば、社会価値を与える役割を優先するときには、複数の蓄電システム1が設置される地域全体でのエネルギー効率化のためにサーバ100が複数の蓄電システム1を協調させて各蓄電システム1を第1モードとして所定の動作モード(充電モードあるいは放電モード)で動作させているときに、通信障害の発生した場合でも、第2動作モードとして、たとえば、待機モードに戻す動作を、上述の切替指示を用いて実現することができる。待機モードに戻すことで、サーバ100の制御指示が届かない蓄電システムにおいて充放電が行なわれることを回避することができる。
【0068】
以下、変形例について記載する。
上述の実施の形態では、PCS30に電池ユニット70が接続される構成を一例として説明したが、PCS30と電池ユニット70との間には、たとえば、PCS30から供給される直流電力を電池ユニット70の組電池90の充電が可能な電力に変換(昇圧または降圧)したり、電池ユニット70から供給される直流電力をPCS30への入力電力として適切な電圧の電力に変換(昇圧または降圧)したりする双方向DC/DCコンバータが設けられてもよい。双方向DC/DCコンバータは、たとえば、ECU80からの制御信号に応じて動作してもよいし、あるいは、PCS30の制御装置(図示せず)からの制御信号に応じて動作してもよい。
【0069】
さらに上述の実施の形態では、PCS30に太陽光発電装置20と電池ユニット70とが接続される構成を一例として説明したが、たとえば、PCS30には、蓄電装置を搭載する車両がさらに接続され、車両の蓄電装置から直流電力が供給されるようにしてもよいし、あるいは、車両の蓄電装置の直流電力が交流電力に変換されて供給されるようにしてもよい。
【0070】
さらに上述の実施の形態では、図5のフローチャートに示す処理がPCS30の制御装置32によって実行される場合を一例として説明したが、電池ユニット70のECU80によって実行されてもよい。
【0071】
さらに上述の実施の形態では、PCS30の制御装置とサーバ100との間の通信障害の発生の有無に関係なく、切替指示において終了時間を設定するものとして説明したが、サーバ100は、たとえば、PCS30の制御装置32とサーバ100との間に通信障害が発生している場合に、切替指示において変更前の動作モードの終了時間を設定してもよい。サーバ100は、たとえば、PCS30の制御装置32に対するピング値等によって示される応答時間が所定値以上であるときにPCS30の制御装置32とサーバ100との間に通信障害による遅延が発生しているとして終了時間を設定してもよい。この場合、応答時間に応じて終了時間を設定してもよい。たとえば、応答時間が長くなるほど時間が長くなるように終了時間を設定してもよい。
【0072】
さらに上述の実施の形態では、サーバ100のUI108において操作指示を受け付けるものとして説明したが、操作指示を受け付けた場合に、現在の電池ユニット70における動作モードの終了時刻をユーザに通知してもよい。
【0073】
さらに上述の実施の形態では、図3のフローチャートに示す処理がサーバ100の制御装置102によって実行される場合を一例として説明したが、サーバ100の制御装置102に代えて携帯端末150の制御装置によって実行されるようにしてもよい。
【0074】
なお、上記した変形例は、その全部または一部を適宜組み合わせて実施してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0075】
1 蓄電システム、2 電力網、3 建物、4 分電盤、6 通信網、8 無線基地局、10 電気負荷、20 太陽光発電装置、30 PCS、32,102 制御装置、34,106 通信装置、40 ルータ、70 電池ユニット、80 ECU、90 組電池、100 サーバ、104 記憶装置、108 UI、110 通信バス、150 携帯端末。
図1
図2
図3
図4
図5