(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176587
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】作業履歴計測システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/063 20230101AFI20231206BHJP
G07C 9/28 20200101ALI20231206BHJP
G06Q 10/109 20230101ALI20231206BHJP
【FI】
G06Q10/06 300
G07C9/28
G06Q10/10 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088943
(22)【出願日】2022-05-31
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松井 遼平
(72)【発明者】
【氏名】川原 綾太朗
(72)【発明者】
【氏名】山田 悠
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 新吾
(72)【発明者】
【氏名】皆川 操
(72)【発明者】
【氏名】大城戸 忍
【テーマコード(参考)】
3E138
5L049
【Fターム(参考)】
3E138AA01
3E138AA11
3E138BA01
3E138BB01
3E138DA02
3E138DB02
3E138FA03
3E138GA01
3E138HA04
3E138JA03
3E138JB14
3E138JC14
3E138JC19
3E138JD04
5L049AA10
5L049AA13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ICタグへの書き込みに失敗しても再書き込みを求めることなく、短時間で書き込み手続きを完了した上で、書き込み失敗したデータを回収する。
【解決手段】作業履歴計測システムは、複数の作業者が可搬する可搬式記憶端末102と、作業エリアに設置される1つ以上のゲート端末103と、可搬式記憶端末に記録されたデータを読み出す読み出し部105を備える。ゲート端末は、可搬式記憶端末と通信を行い、可搬式記憶端末に記録された少なくとも個人IDを読み込み、自己ゲート通過レコードを可搬式記憶端末に書き込み、所定の条件を満たす際には、個人IDとタイムスタンプからなるデータを再書き込みバッファに記録し、再書き込みバッファにデータが存在する時には、他者ゲート通過レコードを可搬式記憶端末に書き込む。読み出し部は、自己ゲート通過レコードと他者ゲート通過レコードを読み出し、個人IDとゲートIDとタイムスタンプを出力する。
【選択図】
図3C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する複数の作業者が可搬して個人IDを備える複数の可搬式記憶端末と、作業者が移動するエリアに設置され、ゲートIDと通信部とタイムスタンプ生成部と再書き込みバッファを備える1つ以上のゲート端末と、前記可搬式記憶端末に記録されたデータを読み出す読み出し部を備え、
前記ゲート端末は、前記可搬式記憶端末と近接した時に前記通信部により前記可搬式記憶端末と通信を行い、前記可搬式記憶端末に記録された少なくとも前記個人IDを読み込み、ゲートIDとタイムスタンプを含む自己ゲート通過レコードを前記可搬式記憶端末に書き込み、所定の条件を満たす際には、前記個人IDと前記タイムスタンプからなるデータを前記再書き込みバッファに記録し、再書き込みバッファにデータが存在する時には、前記個人IDと前記ゲートIDと前記タイムスタンプを含む他者ゲート通過レコードを可搬式記憶端末に書き込み、
前記読み出し部は、複数の前記可搬式記憶端末に記録された前記自己ゲート通過レコードと前記他者ゲート通過レコードを読み出し、前記個人IDと前記ゲートIDと前記タイムスタンプを出力する、
ことを特徴とする作業履歴計測システム。
【請求項2】
請求項1に記載の作業履歴計測システムであって、
前記所定の条件とは、前記通信部と前記可搬式記憶端末の通信が失敗することである、
ことを特徴とする作業履歴計測システム。
【請求項3】
請求項1に記載の作業履歴計測システムであって、
個人レコード集計部と個人移動履歴推定部をもつ分析部を備え、
前記個人レコード集計部は、前記読み出し部が読み出したレコードから前記個人IDごとにレコードを集計し、前記個人移動履歴推定部は、前記個人IDごとの個人移動履歴を推定する、
ことを特徴とする作業履歴計測システム。
【請求項4】
請求項1に記載の作業履歴計測システムであって、
前記可搬式記憶端末のうち管理者が可搬する管理者可搬式記憶端末について、
前記管理者可搬式記憶端末は、前記再書き込みバッファにデータが存在する場合には前記個人IDと前記ゲートIDと前記タイムスタンプを含む前記他者ゲート通過レコードを前記管理者可搬式記憶端末に書き込み、
前記読み出し部は、前記管理者可搬式記憶端末に記録された前記自己ゲート通過レコードと前記他者ゲート通過レコードを読み出し、前記個人IDと前記ゲートIDと前記タイムスタンプを出力する、
ことを特徴とする作業履歴計測システム。
【請求項5】
前記可搬式記憶端末に個人IDを書き込む初期化端末を備える請求項1に記載の作業履歴計測システムであって、
時計設計者が可搬して、時刻情報を保持する時計設定可搬式記憶端末について、
前記初期化端末は、前記時計設定可搬式記憶端末の時刻情報を更新し、
前記時計設定可搬式記憶端末の前記通信部は、前記時計設定可搬式記憶端末から時刻情報を読み込み、前記タイムスタンプ生成部の時刻情報を更新する、
ことを特徴とする作業履歴計測システム。
【請求項6】
請求項1に記載の作業履歴計測システムであって、
前記ゲート端末は、前記可搬式記憶端末に記録されたデータ量が大きいと判断した時に、前記可搬式記憶端末に記録された前記自己ゲート通過レコードおよび前記他者ゲート通過レコードを読み込み、読み込んだレコードのうち、所定の量のレコードを再書き込みバッファに転記し、
記録したレコードを前記可搬式記憶端末から削除する、
ことを特徴とする作業履歴計測システム。
【請求項7】
複数のゲート端末を備える請求項1に記載の作業履歴計測システムであって、
1つ以上のゲート端末は、作業ID選択部を備え、前記ゲート端末の前記通信部は、前記作業ID選択部で選択された作業IDと前記タイムスタンプを含む自己作業記録レコードを前記可搬式記憶端末に書き込み、所定の条件を満たす際には、前記個人IDと前記作業IDと前記タイムスタンプからなるデータを作業記録再書き込みバッファに記録し、前記作業記録再書き込みバッファにデータが存在する場合には、前記個人IDと前記作業IDと前記タイムスタンプを含む他者作業記録レコードを前記可搬式記憶端末に書き込み、
前記読み出し部は、前記可搬式記憶端末に記録された前記自己ゲート通過レコードと前記他者ゲート通過レコードと前記自己作業記録レコードと前記他者作業記録レコードを読み出し、前記個人IDと前記ゲートIDと前記作業IDと前記タイムスタンプを出力する、
ことを特徴とする作業履歴計測システム。
【請求項8】
請求項7に記載の作業履歴計測システムであって、
前記所定の条件とは、前記通信部と前記可搬式記憶端末の通信が失敗することである
ことを特徴とする作業履歴計測システム。
【請求項9】
請求項7に記載の作業履歴計測システムであって、
個人レコード集計部と個人移動履歴推定部と個人作業履歴推定部をもつ分析部を備え、
前記個人レコード集計部は、前記読み出し部が読み出したレコードから前記個人IDごとにレコードを集計し、
個人移動履歴推定部は、前記個人IDごとの個人移動履歴を推定し、
前記個人作業履歴推定部は、前記個人IDごとの個人作業履歴を推定する、
ことを特徴とする作業履歴計測システム。
【請求項10】
前記可搬式記憶端末に個人IDを書き込む初期化端末を備える請求項7に記載の作業履歴計測システムであって、
前記初期化端末は、作業者が実施する予定の作業の作業IDを束ねた初期登録作業IDを前記可搬式記憶端末に書き込み、
前記ゲート端末の前記通信部は、前記可搬式記憶端末に書き込まれた前記初期登録作業IDを読み込み、前記作業ID選択部は、前記初期登録作業IDに含まれる前記作業IDを選択候補として提示する、
こと特徴とする作業履歴計測システム。
【請求項11】
請求項10に記載の作業履歴計測システムであって、
前記ゲート端末は、前記可搬式記憶端末から読み込んだ前記初期登録作業IDと前記自己作業記録レコードを照らし合わせて、作業者が次に実施すべき次作業を推定する次作業推定部を備え、
前記作業ID選択部は、推定された次作業の前記作業IDを選択候補として提示する、
ことを特徴とする作業履歴計測システム。
【請求項12】
複数のゲート端末を備える請求項1に記載の作業履歴計測システムであって、
1つ以上の前記ゲート端末は、作業者のゲート通過を客観的に捉える客観ゲート通過検知部を備え、
前記客観ゲート通過検知部は、作業者のゲート通過を検知した際には、前記個人IDと前記タイムスタンプからなるデータを客観ゲート通過バッファに記録し、
前記通信部は、前記客観ゲート通過バッファにデータが存在する場合には、前記個人IDと前記タイムスタンプを含む客観ゲート通過レコードを前記可搬式記憶端末に書き込み、
前記読み出し部は、前記可搬式記憶端末に記録された前記自己ゲート通過レコードと前記他者ゲート通過レコードと前記客観ゲート通過レコードを読み出し、前記個人IDと前記ゲートIDと前記タイムスタンプを出力する、
ことを特徴とする作業履歴計測システム。
【請求項13】
請求項12に記載の作業履歴計測システムであって、
個人レコード集計部と個人移動履歴推定部をもつ分析部を備え、
前記個人レコード集計部は、前記読み出し部が読み出したレコードから前記個人IDごとにレコードを集計し、前記個人移動履歴推定部は、前記個人IDごとの個人移動履歴を推定する、
ことを特徴とする作業履歴計測システム。
【請求項14】
複数のゲート端末を備える請求項1に記載の作業履歴計測システムであって、
1つ以上の前記ゲート端末は、作業の実施状況を客観的に捉える客観作業検知部を備え、
前記客観作業検知部は、作業の実施状況を検知した際には、前記作業IDと前記タイムスタンプからなるデータを客観作業記録バッファに記録し、
前記通信部は、前記客観作業記録バッファにデータが存在する場合には、前記作業IDと前記タイムスタンプを含む客観作業記録レコードを前記可搬式記憶端末に書き込み、
前記読み出し部は、前記可搬式記憶端末に記録された前記自己ゲート通過レコードと前記他者ゲート通過レコードと前記客観作業記録レコードを読み出し、前記個人IDと前記ゲートIDと前記作業IDと前記タイムスタンプを出力する、
ことを特徴とする作業履歴計測システム。
【請求項15】
請求項14に記載の作業履歴計測システムであって、
前記読み出し部が読み出した前記客観作業記録レコードから、前記作業IDごとの作業履歴を推定する各作業履歴推定部を備える、
ことを特徴とする作業履歴計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業履歴計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラントの作業効率化のためには、作業員や作業班ごとの位置情報や作業時間を把握し、分析と改善を行うことが重要である。作業の実施中は、プラント内の様々な場所で大人数の作業員が同時に作業を行う。プラント内にはネットワーク環境(WiFiなどのローカル通信網や公衆電話回線などの広域通信網)が無い場合があり、このようなプラントでは、プラント内で測定した作業者に関するデータをリアルタイムにプラント外に持ち出すことは難しい。
【0003】
そこで、作業者が可搬式記憶端末(以下、ICタグと表現することもある)を持ってプラントに入構し、ICタグを現地の通信機(以下、リーダライタとする)にかざす(以下、タッチとする)ことで部屋の入退室時刻や作業の着完時刻をICタグに記録し、作業者自身がICタグをプラント外に持ち出し、データを回収する方法が有効である。
【0004】
しかし、タッチ時間が不十分であると、リーダライタからICタグへの書き込みが失敗することがある。特に、作業者が厳重な防護服を着用するプラントでは、ICタグの取り回しが難しく、タッチ時間が不十分となることが多い。その結果、書き込みに失敗する可能性が高くなる。
【0005】
この点に関し、特許文献1では、非接触式自動改札機と非接触券との間のデータ授受において、非接触券のデータの読み取り後に非接触券が通信範囲外に出るなどして処理が中断した際に、再タッチを案内すると共に、処理中断の状況に合わせて改札機本体をリセットすることで、乗車料金の2度引きなどの不都合を回避する自動改札機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術では、書き込み失敗時の対応に時間がかかる。例えば特許文献1では、書き込み失敗時には再タッチをする必要がある。
【0008】
プラントでは書き込み失敗が頻発するため、失敗するたびに再タッチを求めると、書き込み手続きに時間がかかる。その結果、多くの作業者が集中する入退室ゲート(プラントの出入口など)では、書き込み手続きのために作業者の待ち行列が発生し、作業効率が低下してしまう。
【0009】
以上のことから本発明の目的は、ICタグへの書き込みに失敗しても再書き込みを求めることなく、短時間で書き込み手続きを完了した上で、書き込み失敗したデータを回収することができる作業履歴計測システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、移動する複数の作業者101が可搬して、個人ID(102A)を備える複数の可搬式記憶端末102と、作業者101が移動するエリアに設置され、ゲートID(103C)と通信部103Dとタイムスタンプ生成部103Eと再書き込みバッファ103Fを備える1つ以上のゲート端末103と、可搬式記憶端末102に記録されたデータを読み出す読み出し部105を備え、通信部103Dは、可搬式記憶端末102と近接した時に通信を行い、可搬式記憶端末102に記録された少なくとも個人ID(102A)を読み込み、ゲートID(103C)とタイムスタンプ103Gを含む自己ゲート通過レコード102Cを可搬式記憶端末102に書き込み、所定の条件を満たす際には、個人ID(102A)とタイムスタンプ103Gからなるデータを再書き込みバッファ103Fに記録し、再書き込みバッファ103Fにデータが存在する時には、個人ID(102A)とゲートID(103C)とタイムスタンプ103Gを含む他者ゲート通過レコード102Dを可搬式記憶端末102に書き込み、読み出し部105は、複数の可搬式記憶端末102に記録された自己ゲート通過レコード102Cと他者ゲート通過レコード102Dを読み出し、個人ID(102A)とゲートID(103C)とタイムスタンプ103Gを出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ICタグへの書き込みに失敗しても再書き込みを求めることなく、短時間で書き込み手続きを完了した上で、書き込み失敗したデータを回収できる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の発明を実施するための形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例1に係る作業履歴計測システムを使用する作業者の動作を示す図。
【
図2A】本発明の実施例1に係る作業履歴計測システムの全体構成例を示すブロック図。
【
図2B】本発明の実施例1に係る自己ゲート通過レコードの構成例を示すブロック図。
【
図2C】本発明の実施例1に係る他者ゲート通過レコードの構成例を示すブロック図。
【
図3A】本発明の実施例1に係る作業履歴計測システムの再書き込みバッファにデータが無い場合の動作例を示す図。
【
図3B】本発明の実施例1に係る作業履歴計測システムの再書き込みバッファにデータを書き込む場合の動作例を示す図。
【
図3C】本発明の実施例1に係る作業履歴計測システムの再書き込みバッファにデータが存在する場合の動作例を示す図。
【
図4A】本発明の実施例1に係るゲート端末の第1構成例を示すブロック図。
【
図4B】本発明の実施例1に係るゲート端末の第2構成例を示すブロック図。
【
図4C】本発明の実施例1に係るゲート端末の第3構成例を示すブロック図。
【
図5A】本発明の実施例1に係る通信部の書き込み成功時の処理例を示すシーケンス図。
【
図5B】本発明の実施例1に係る通信部の書き込み失敗時の処理例を示すシーケンス図。
【
図5C】本発明の実施例1に係る通信部の書き込みタイムアウト時の第1処理例を示すシーケンス図。
【
図5D】本発明の実施例1に係る通信部の書き込みタイムアウト時の第2処理例を示すシーケンス図。
【
図5E】本発明の実施例1に係る通信部の読み込み失敗時の処理例を示すシーケンス図。
【
図5F】本発明の実施例1に係る通信部の読み込み部分成功時の処理例を示すシーケンス図。
【
図5G】本発明の実施例1に係る通信部の読み込みタイムアウト時の処理例を示すシーケンス図。
【
図6A】本発明の実施例1に係るタッチ時に音で通知するゲート端末のインターフェースを示す図。
【
図6B】本発明の実施例1に係るタッチ時に光で通知するゲート端末のインターフェースを示す図。
【
図6C】本発明の実施例1に係るモニタを備えるゲート端末のインターフェースを示す図。
【
図6D】本発明の実施例1に係るモニタを備えてタッチ時にポップアップで通知するゲート端末のインターフェースを示す図。
【
図6E】本発明の実施例1に係るモニタを備えてタッチ時に自己ゲート通過レコードをポップアップに表示して通知するゲート端末のインターフェースを示す図。
【
図6F】本発明の実施例1に係るモニタを備えてタッチ時に他者ゲート通過レコードの記録をポップアップに表示して通知するゲート端末のインターフェースを示す図。
【
図7A】本発明の実施例1に係る再書き込みバッファにデータが存在することを示すインジケータを備えるゲート端末のインターフェースを示す図。
【
図7B】本発明の実施例1に係るモニタを備えて再書き込みバッファにデータが存在することを示すインジケータを表示するゲート端末のインターフェースを示す図。
【
図8A】本発明の実施例1に係る可搬式記憶端末のデータを読み書きする処理例を示すブロック図。
【
図8B】本発明の実施例1に係る保存済みレコード末尾アドレスを備える可搬式記憶端末のデータを読み書きする処理例を示すブロック図。
【
図8C】本発明の実施例1に係る可搬式記憶端末のデータ量が飽和した際に別の可搬式記憶端末に個人IDを転記する処理例を示すブロック図。
【
図9】本発明の実施例1に係る読み出し部が可搬式記憶端末のデータを読み出す処理例を示す図。
【
図10A】本発明の実施例1に係る可搬式記憶端末に書き込まれるデータ構造の第1構成例を示す図。
【
図10B】本発明の実施例1に係る可搬式記憶端末に書き込まれるデータ構造の第2構成例を示す図。
【
図11A】本発明の実施例1に係る可搬式記憶端末に書き込まれるデータ量の第1構成例を示す図。
【
図11B】本発明の実施例1に係る可搬式記憶端末に書き込まれるデータ量の第2構成例を示す図。
【
図11C】本発明の実施例1に係る可搬式記憶端末に書き込まれるタイムスタンプのデータ量の構成例を示す図。
【
図12A】本発明の実施例1に係る可搬式記憶端末の処理例を示すフロー図。
【
図12B】本発明の実施例1に係るゲート端末の書き込みサブルーチンの処理例を示すフロー図。
【
図12C】本発明の実施例1に係るゲート端末の読み込み成功判定サブルーチンの処理例を示すフロー図。
【
図12D】本発明の実施例1に係るゲート端末の書き込み成功判定サブルーチンの処理例を示すフロー図。
【
図12E】本発明の実施例1に係る作業者の始業から終業までの動作例を示すフロー図。
【
図13】本発明の実施例1に係る作業班の構成例を示す図。
【
図14A】本発明の実施例1に係るゲート設定端末と初期化端末の第1設置例を示すプラント平面図。
【
図14B】本発明の実施例1に係るゲート設定端末と初期化端末の第2設置例を示すプラント平面図。
【
図15】本発明の実施例2に係る分析部を備える作業履歴計測システムの全体構成例を示すブロック図。
【
図16】本発明の実施例2に係る分析部を備える作業履歴計測システムの再書き込みバッファにデータが存在する場合の動作例を示す図。
【
図17】本発明の実施例2に係る分析部が個人移動履歴を推定する処理例を示す図。
【
図18】本発明の実施例2に係る分析部が出力する個人移動履歴の構成例を示す図。
【
図19】本発明の実施例2に係る読み出し部と分析部の処理例を示すフロー図。
【
図20A】本発明の実施例2に係る個人移動履歴推定部の処理例を示すフロー図。
【
図20B】本発明の実施例2に係る個人移動履歴推定部が出力する個人移動履歴の構成例を示す図。
【
図21A】本発明の実施例2に係るゲートIDエリア対応表の構成例を示す図。
【
図21B】本発明の実施例2に係るゲートIDエリア対応表を備える個人移動履歴推定部の処理例を示すフロー図。
【
図21C】本発明の実施例2に係るゲートIDエリア対応表を備える個人移動履歴推定部が出力する個人移動履歴の構成例を示す図。
【
図22】本発明の実施例3に係る作業履歴計測システムの管理者可搬式記憶端末の動作例を示す図。
【
図23】本発明の実施例3に係る読み出し部が可搬式記憶端末と管理者可搬式記憶端末のデータを読み出す処理例を示す図。
【
図24】本発明の実施例4に係る作業履歴計測システムの時計設定可搬式端末の構成例を示すブロック図。
【
図25】本発明の実施例4に係る作業履歴計測システムの時計設定可搬式端末の動作例を示す図。
【
図26】本発明の実施例5に係る可搬式記憶端末に記録されたデータを再書き込みバッファに移行する動作例を示す図。
【
図27A】本発明の実施例5に係る容量ひっ迫した可搬式記憶端末に記録されたデータを再書き込みバッファに移行する第1処理例を示すブロック図。
【
図27B】本発明の実施例5に係る容量ひっ迫した可搬式記憶端末に記録されたデータを再書き込みバッファに移行する第2処理例を示すブロック図。
【
図27C】本発明の実施例5に係る後続の作業者の可搬式記憶端末が移行されたデータを回収する処理例を示すブロック図。
【
図28】本発明の実施例5に係る未回収レコードが存在するゲート端末の所在地を表示する画面例を示す図。
【
図29A】本発明の実施例6に係る作業ID選択部を備える作業履歴計測システムの全体構成例を示すブロック図。
【
図29B】本発明の実施例6に係る自己作業記録レコードの第1構成例を示すブロック図。
【
図29C】本発明の実施例6に係る自己作業記録レコードの第2構成例を示すブロック図。
【
図29D】本発明の実施例6に係る自己作業記録レコードの第3構成例を示すブロック図。
【
図29E】本発明の実施例6に係る他者作業記録レコードの構成例を示すブロック図。
【
図30】本発明の実施例6に係る作業ID選択部を備える作業履歴計測システムの動作例を示す図。
【
図31】本発明の実施例6に係る作業ID選択部を備えるゲート端末の構成例を示すブロック図。
【
図32A】本発明の実施例6に係る作業ID選択部のボタン選択式インターフェースを示す図。
【
図32B】本発明の実施例6に係る開始終了属性を選択できる作業ID選択部のボタン選択式インターフェースを示す図。
【
図32C】本発明の実施例6に係る開始終了属性を選択できる作業ID選択部のラジオボタン選択式インターフェースを示す図。
【
図32D】本発明の実施例6に係る開始終了属性を選択できる作業ID選択部のドロップダウンリスト選択式インターフェースを示す図。
【
図32E】本発明の実施例6に係る非作業イベントを選択できる作業ID選択部のボタン選択式インターフェースを示す図。
【
図32F】本発明の実施例6に係る自由記述欄をもつ作業ID選択部のボタン選択式インターフェースを示す図。
【
図33】本発明の実施例6に係る作業品質属性を選択できる作業ID選択部のボタン選択式インターフェースを示す図。
【
図34】本発明の実施例7に係る分析部と作業ID選択部を備える作業履歴計測システムの全体構成例を示すブロック図。
【
図35】本発明の実施例7に係る分析部と作業ID選択部を備える作業履歴計測システムの動作例を示す図。
【
図36】本発明の実施例7に係る分析部が個人移動履歴と個人作業履歴を推定する処理例を示す図。
【
図37】本発明の実施例8に係る可搬式記憶端末に初期登録作業IDを登録する作業履歴計測システムの全体構成例を示すブロック図。
【
図38】本発明の実施例8に係る可搬式記憶端末に初期登録作業IDを登録する作業履歴計測システムの動作例を示す図。
【
図39】本発明の実施例8に係る初期登録作業IDを提示する作業ID選択部のボタン選択式インターフェースを示す図。
【
図40】本発明の実施例9に係る初期登録作業IDと自己作業記録レコードから次作業を推定する作業履歴計測システムの全体構成例を示すブロック図。
【
図41A】本発明の実施例9に係る次作業推定部が読み込む初期登録作業IDと自己作業記録レコードの構成例を示す図。
【
図41B】本発明の実施例9に係る次作業推定部が推定した次作業を提示する作業ID選択部のボタン選択式インターフェースを示す図。
【
図42】本発明の実施例10に係る客観ゲート通過検知部を備える作業履歴計測システムを使用する作業者の動作を示す図。
【
図43A】本発明の実施例10に係る客観ゲート通過検知部を備える作業履歴計測システムの全体構成例を示すブロック図。
【
図43B】本発明の実施例10に係る客観ゲート通過レコードの第1構成例を示すブロック図。
【
図43C】本発明の実施例10に係る客観ゲート通過レコードの第2構成例を示すブロック図。
【
図44】本発明の実施例10に係る客観ゲート通過検知部を備える作業履歴計測システムの動作例を示す図。
【
図45】本発明の実施例11に係る分析部と客観ゲート通過検知部を備える作業履歴計測システムの全体構成例を示すブロック図。
【
図46】本発明の実施例11に係る分析部と客観ゲート通過検知部を備える作業履歴計測システムの動作例を示す図。
【
図47】本発明の実施例11に係る分析部が個人移動履歴を推定する処理例を示す図。
【
図48A】本発明の実施例12に係る客観作業検知部を備える作業履歴計測システムの全体構成例を示すブロック図。
【
図48B】本発明の実施例12に係る客観作業記録レコードの第1構成例を示すブロック図。
【
図48C】本発明の実施例12に係る客観作業記録レコードの第2構成例を示すブロック図。
【
図49】本発明の実施例12に係る客観作業検知部を備える作業履歴計測システムの動作例を示す図。
【
図50】本発明の実施例13に係る各作業履歴推定部と客観作業検知部を備える作業履歴計測システムの全体構成例を示すブロック図である。
【
図51】本発明の実施例13に係る各作業履歴推定部と客観作業検知部を備える作業履歴計測システムの動作例を示す図。
【
図52】本発明の実施例13に係る各作業履歴推定部が各作業履歴を推定する処理例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。実施例は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でもよい。
【0014】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0015】
各種情報の例として、「テーブル」、「リスト」、「キュー」等の表現にて説明することがあるが、各種情報はこれら以外のデータ構造で表現されてもよい。例えば、「XXテーブル」、「XXリスト」、「XXキュー」等の各種情報は、「XX情報」としてもよい。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番 号」等の表現を用いるが、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0016】
同一あるいは同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0017】
実施例において、プログラムを実行して行う処理について説明する場合がある。ここで、計算機は、プロセッサ(例えばCPU、GPU)によりプログラムを実行し、記憶資源(例えばメモリ)やインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら、プログラムで定められた処理を行う。そのため、プログラムを実行して行う処理の主体を、プロセッサとしてもよい。
【0018】
同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路を含んでいてもよい。ここで、専用回路とは、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等である。
【0019】
プログラムは、プログラムソースから計算機にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、実施形態において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0020】
なお本発明は多岐にわたる内容を含むことから、各実施例の概要を予め示しておくと、以下のようである。まず実施例1ではプラントにおいて、作業員がICタグを持ってプラントに入構し、ICタグを現地のリーダライタにタッチすることで部屋の入退室時刻をICタグに記録し、作業者自身がICタグをプラント外に持ち出し、データを回収することについて、実施例2では記録したデータから作業者ごとの個人移動履歴を推定することについて、実施例3では管理者がゲート端末に記録された未回収の他者ゲート通過レコードを回収することについて、実施例4ではゲート端末のタイムスタンプ生成部の時刻を更新することについて、実施例5では可搬式記憶端末のデータ容量に余裕が無いときに、記録されていたデータをゲート端末の再書き込みバッファに移行することで、データ容量に空きを作ることについて、実施例6では作業者が作業の着完時刻をICタグに記録することについて、実施例7では記録したデータから作業者ごとの個人作業履歴を推定することについて、実施例8では作業者が実施する予定の作業のメニューを事前に登録しておくことについて、実施例9ではゲート端末で作業者が次に実施する作業を推定することについて、実施例10では可搬式記憶端末をゲート端末に近接させる以外の手段で作業者のゲート通過を検知し、その検知結果を可搬式記憶端末で回収することについて、実施例11では記録したデータから作業者ごとの個人作業履歴を推定することについて、実施例12では可搬式記憶端末をゲート端末に近接させる以外の手段で作業者の作業の状況を検知し、その検知結果を可搬式記憶端末で回収することについて、実施例13では記録したデータから作業ごとの作業履歴(各作業履歴)を推定することについて、それぞれ説明する。
【実施例0021】
実施例1について
図1から
図14Bを用いて説明する。実施例1では、プラントにおいて、作業員がICタグを持ってプラントに入構し、ICタグを現地のリーダライタにタッチすることで部屋の入退室時刻をICタグに記録し、作業者自身がICタグをプラント外に持ち出し、データを回収する方法について説明する。
【0022】
実施例1によれば、タッチ時間が短くICタグへの書き込みに失敗した場合でも、作業員に再書き込みを求めることなく、短時間で書き込み手続きを完了した上で、書き込み失敗したデータを回収することができる。
【0023】
図1は、本発明の実施例1に係る作業履歴計測システムを使用する作業者の動作を示す図である。作業者101は可搬式記憶端末102を携行する。プラント内にはゲート端末103が設置される。ゲート端末103はリーダライタ103Aを備える。作業者101が可搬式記憶端末102をリーダライタ103Aに近接させることで、リーダライタ103Aと可搬式記憶端末102の通信が実行される。ゲート端末103はモニタ103Bを備えていてもよい。モニタ103Bには、現在時刻や、ゲート端末103の設置場所の名称が表示されるとよい。
【0024】
ここで作業者101とは、プラント内において、保全作業を行う保全作業員や、工事作業を行う工事作業員、加工作業を行う加工作業員、点検作業を行う点検作業員、清掃を行う清掃員、機材や荷物の運搬を行う運搬員、見学を行う見学者、その他あらゆる作業や業務を行う作業員が含まれる。また、これらを監督するリーダーや班長、リーダーや班長を監督する指導員や監督者も作業者101に含まれる。
【0025】
プラントは、発電所、化学プラント、食品プラント、組み立て工場、工事現場、建設現場など、作業者101が業務を行うあらゆる場所が含まれる。また、ビルや、ショッピングモール、駅、空港、劇場、博物館などにおいても本実施例は適用できる。
【0026】
可搬式記憶端末102は、作業者101が携行でき、所定の箇所に近接することで通信が可能であり、内部にデータを格納できる記憶領域を備えたものである。例えば、ICカード、RFID(Radio Frequency Identification)タグ、NFC(Near Field Communication)タグ、磁気カード、携帯電話、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、などを含む。可搬式記憶端末102は、電池を備えずに外部から供給された電源ないし電磁波を用いて駆動するパッシブタイプの通信を行ってもよいし、電池を内蔵して通信を行うアクティブタイプの通信を行ってもよい。可搬式記憶端末102をICタグと表記することもあるが、両者は同義とする。
【0027】
リーダライタ103Aは、可搬式記憶端末102の近接を検知でき、可搬式記憶端末102に読み書きができる機能を備える。
図1に示すようにタッチを促す形態であってもよいし、ビーコンのようにタッチせずとも可搬式記憶端末102の近接を検知できる形態であってもよい。
【0028】
可搬式記憶端末102とリーダライタ103A間の通信方式は、近距離無線通信(NFC)、UHF(Ultra High Frequency)帯の無線通信、HF(High Frequency)帯の無線通信、920MHz帯の無線通信、電磁誘導方式の無線通信、電波方式の無線通信、WiFiによる無線通信、Bluetoothによる無線通信、Zigbeeによる無線通信、などが含まれる。
【0029】
可搬式記憶端末102とリーダライタ103Aの近接の方法は、本実施例ではタッチ動作を想定する。タッチとは、作業者101がICタグを意図的にリーダライタ103Aにかざして、短時間待機してから、ICタグを離す動作である。なお、本実施例では説明を省くが、作業者101がリーダライタ103Aに近づくことで、作業者101が意識せずとも通信が実施される方法(ビーコン方式など)であってもよい。
【0030】
図2Aは、本発明の実施例1に係る作業履歴計測システムの全体構成例を示すブロック図である。可搬式記憶端末102は個人ID(102A)と保存済みレコード102Bを記録している。個人ID(102A)は、作業者101を一意に特定できる識別記号である。社員番号や、氏名や、作業者101ごとに割り振った何らかの数字などが考えられる。保存済みレコード102Bは、自己ゲート通過レコード102Cと他者ゲート通過レコード102Dで構成される。これらの説明については後述する。以下、自己ゲート通過レコード102Cや他者ゲート通過レコード102Dをまとめて「レコード」と表記することがある。
【0031】
初期化端末104は可搬式記憶端末102に個人ID(102A)を書き込むために使用される。例えば、監督者が作業員ごとにNFCタグを用意し、NFCタグに作業者101の個人ID(102A)を書き込むことが考えられる。個人ID(102A)は上書きすることもできる。一度使用したNFCタグに別の個人ID(102A)を上書きして、再利用することもできる。
【0032】
ゲート端末103は可搬式記憶端末102に自己ゲート通過レコード102Cと他者ゲート通過レコード102Dを書き込む。ゲート端末103は、ゲートID(103C)と再書き込みバッファ103Fを記録しており、また、通信部103Dとタイムスタンプ生成部103Eを備える。ゲートID(103C)は、ゲート端末103の設置個所を一意に特定できる識別記号である。部屋の名称や、場所の名称や、設置個所ごとに割り振った何らかの数字などが考えられる。再書き込みバッファ103Fの説明については後述する。通信部103Dは可搬式記憶端末102との通信を実現するものである。例えば、リーダライタ103Aや、ビーコン、アンテナモジュールなどが考えられる。
【0033】
タイムスタンプ生成部103Eは、現在時刻を保持するものである。可搬式記憶端末102がタッチされた時刻を記録するために使用される。プラントはネットワーク環境を備えないことがある。ネットワーク環境が無い場合、ゲート端末103はネットワーク上の時刻同期源(NTP(Network Time Protocol)サーバなど)と時刻同期することができないため、各ゲート端末103がタイムスタンプ生成部103Eを備えて現在時刻を保持する必要がある。
【0034】
読み出し部105は1つ以上の可搬式記憶端末102に記録されたデータを読み出し、個人ID(102A)とゲートID(103C)とタイムスタンプ103Gを出力する。
【0035】
図2Bは本発明の実施例1に係る自己ゲート通過レコード102Cの構成例を示すブロック図である。自己ゲート通過レコード102Cは、ゲートID(103C)とタイムスタンプ103Gを含むデータである。ゲートID(103C)は、可搬式記憶端末102をタッチしたゲート端末103が持つゲートID(103C)である。タイムスタンプ103Gは、可搬式記憶端末102をタッチした際の時刻である。自己ゲート通過レコード102Cは他にも情報を含んでもよい。
【0036】
図2Cは本発明の実施例1に係る他者ゲート通過レコード102Dの構成例を示すブロック図である。他者ゲート通過レコード102Dは、個人ID(102A)とゲートID(103C)とタイムスタンプ103Gを含むデータである。個人ID(102A)は、リーダライタ103Aにタッチした可搬式記憶端末102が持つ個人ID(102A)である。ゲートID(103C)とタイムスタンプ103Gについては、
図2Bで述べた自己ゲート通過レコード102Cと同様である。他者ゲート通過レコード102Dは他にも情報を含んでもよい。
【0037】
図3Aは本発明の実施例1に係る作業履歴計測システムの再書き込みバッファ103Fにデータが無い場合の動作例を示す図である。
図3Aではプラントを簡略化し、プラントは作業エリア1と作業エリア2とその他のエリアに分かれているように表現されている。プラントはさらに多数のエリアに分かれていてもよい。なお作業者がゲートを通過する都度、移動履歴が生成されるものとする。
【0038】
ゲートは各エリアを行き来する境界点を表現している。ゲートの場所は、部屋の出入口や、建物の出入口、敷地の出入口、作業エリアの出入口、なんらかのエリア(柵やフェンスで囲われて形成されてもよい)の内外の境界点、などが考えられる。例えばエリアが部屋である場合、ゲートは部屋のドアが考えられる。ゲートには物理的なドアが無くても構わない。例えばフェンス等で囲われた区画を作業エリアと見なす場合、フェンスの内外を移動する通路部分をゲートと見なすことができる。
【0039】
ゲート端末103は各ゲートの付近に設置される。ゲート端末103は各ゲートに対応するゲートID(103C)を記録している。作業者101はゲートを通過する際に、自身が可搬している可搬式記憶端末102をゲート端末103の通信部103Dに近接(タッチ)することで、可搬式記憶端末102とゲート端末103間の通信処理を発生させる。
【0040】
通信処理は、タッチされた可搬式記憶端末102に書き込まれたデータを読み込み、内容を解釈して、追記するレコードを可搬式記憶端末102に書き込む。具体的には、通信部103Dが可搬式記憶端末102に記録されたデータ(特に個人ID(102A))を読み込み、タイムスタンプ生成部103Eが現在時刻のタイムスタンプ103Gを出力し、通信部103DがゲートID(103C)とタイムスタンプ103Gからなる自己ゲート通過レコード102Cを可搬式記憶端末102に書き込む。これで一連の通信処理が完了する。なお、ここでは再書き込みバッファ103Fにはデータが記録されていない。再書き込みバッファ103Fにデータが記録されている場合の通信処理については
図3Cで後述する。
【0041】
初期化端末は可搬式記憶端末102に個人ID(102A)を書き込むことで初期化を行う。初期化された可搬式記憶端末102には、個人ID(102A)以外のデータは記録されていない。作業者101がプラント内でゲートを通過時にゲート端末103にタッチをすることで、可搬式記憶端末102には自己ゲート通過レコード102Cが蓄積されていく。
図3Aでは、作業者101は3つのゲートでタッチを行ったため、最終的に3つの自己ゲート通過レコード102Cが可搬式記憶端末102に記録された。
【0042】
読み出し部105は、可搬式記憶端末102に保存されたデータ(個人ID(102A)と自己ゲート通過レコード102C)を読み出し、個人ID(102A)とゲートID(103C)とタイムスタンプ103Gを出力する。出力されたデータの扱い方は、作業員管理システムのデータベースに記録する、記憶媒体(ハードディスクやUSBメモリやCDやDVDなど)に記録する、画面上に表示する、表管理ソフトに記録する、紙にプリントアウトする、などが考えられる。
【0043】
図3Bは本発明の実施例1に係る作業履歴計測システムの再書き込みバッファ103Fにデータを書き込む場合の動作例を示す図である。
図3Aの動作例との違いは、ゲート2におけるタッチで発生した通信処理において、書き込みに失敗した点にある。
【0044】
このときゲート端末103は、可搬式記憶端末102から読み込んだ個人ID(102A)と、タッチが行われたタイムスタンプ103Gからなるデータを再書き込みバッファ103Fに記録する。可搬式記憶端末102にはゲート2で自己ゲート通過レコード102Cが書き込まれないため、最終的には、
図3Aと異なり、2つの自己ゲート通過レコード102Cが記録される。再書き込みバッファ103Fに記録されたデータは、同じゲートを通過する別の作業者(後続の作業者101(B))がゲート2でタッチした際に、後続の作業者の可搬式記憶端末507に書き込まれることで、回収される(再書き込みバッファ103Fのデータを書き込む動作例については
図3Cで後述する)。
【0045】
この動作例により、作業者101のゲートでの手続きを短縮化できる。この効果について具体的に述べる。作業者101(A)が急いでゲートを通過する際、可搬式記憶端末102とゲート端末103を短時間しかタッチさせない(タッチ時間が短い)ことが考えられる。タッチ時間が短いと、レコードの書き込みが失敗する確率が高くなる。しかし作業者101(A)は急いでいるため、書き込みが失敗したことに気が付かず、ゲートを通過し、次のエリアに移動してしまうことがある。ここで、書き込むべきレコードを再書き込みバッファ103Fに格納しておくことで、後続の作業者101(B)が再書き込みバッファ103Fからレコードを回収することができる。これにより、作業者101(A)はレコードの書き込みに失敗したかどうかを極力気にすることなく、短時間でゲートを通過できるようになる。
【0046】
ここで、書き込み失敗時に、自動改札機のように作業者101(A)に再書き込み(再タッチ)を求めることもできる。しかしその場合、作業者101(A)は一旦引き返して再タッチする必要があり、ゲートを通過する手続きに時間がかかる。プラントは大勢の作業者101が同一のゲートを通過することがあり、一人当たりの手続き時間は極力短く済むことが求められる。特に、作業者101が厳重な防護服を着用するプラントでは、ICタグの取り回しが難しく、タッチ時間が不十分となることが多く、書き込み失敗する可能性が高い。書き込み失敗のたびに作業者101に再タッチを求めると、ゲートで作業者101の待ち行列ができてしまい、作業の効率を悪化させることが予想される。このような観点から、作業者101には再タッチを求めずにスムーズにゲートを通過できるようにした上で、書き込み失敗したデータを別の手続きで回収する方法が有効である。
【0047】
図3Bでは、書き込みに失敗したことを条件として再書き込みバッファ103Fに記録する動作例を示したが、予め設定できる所定の条件であれば、どんな条件であってもよい。所定の条件は、例えば、可搬式記憶端末102に記録されるレコードが偶数個目のとき、可搬式記憶端末102に記録されるレコードが5の倍数個目のとき、レコードのタイムスタンプ103Gが特定の期間にあるとき(例えば、朝のプラント入域時間である午前8時から午前9の期間にあるとき)、複数の作業者101が同じゲートを短時間に大勢通過したとき(例えば、5分間に20人の作業者101が同一ゲートを通過し、該当のゲートが混雑していたと予想されるとき)、個人ID(102A)が特定の個人ID(102A)のとき(例えば、プラント長や監督者など注目度の高い役職の個人ID(102A)であるとき)、可搬式記憶端末102に記録されたデータ量が一定のデータ量を超えたとき(例えば、可搬式記憶端末102のデータ容量の90%に達しており、データを追記できなくなる懸念があるとき)、作業者101が非定常なゲートを通過するとき(例えば、個人ID(102A)ごとに定常的に通過するゲートを設定しておき、作業者101が非定常なゲートを通過して、非定常な作業が実施されたと予想されるとき)、特定のゲートID(103C)であるとき(例えば、定常的には作業員が立ち入りしないエリアに作業者101が立ち入りし、非定常な作業が実施されたと予想されるとき)、ゲート端末103に不具合が発生したとき(例えば、ゲート端末103の内部プログラムがエラーを出力し、ゲート端末103のメンテナンスが必要と考えられるとき)、可搬式記憶端末102に不具合が発生したとき(例えば、可搬式記憶端末102がゲート端末103にエラー応答をし、可搬式記憶端末102の交換が必要と考えられるとき)、などが考えられる。
【0048】
また、所定の条件を設定しない(条件=any)ことにしてもよい。つまり、ゲート端末103が自己ゲート通過レコード102Cを書き込む際には、常に再書き込みバッファ103Fに記録を行ってもよい。
【0049】
図3Cは、本発明の実施例1に係る作業履歴計測システムの再書き込みバッファ103Fにデータが存在する場合の動作例を示す図である。
図3Aの動作例との違いは、ゲート2のゲート端末103の再書き込みバッファ103Fにデータが記録されている点にある。このとき、ゲート2のゲート端末103は、再書き込みバッファ103Fに記録された個人ID(102A)とタイムスタンプ103Gから他者ゲート通過レコード102Dを作成し、可搬式記憶端末102に書き込む。ゲート2では、自己ゲート通過レコード102Cと他者ゲート通過レコード102Dがそれぞれ書き込まれることになる。
【0050】
最終的には、作業者101(A)の可搬式記憶端末102には、作業者101(A)自身のゲート通過を記録した自己ゲート通過レコード102C3つと、ゲート2で回収した作業者101(B)の他者ゲート通過レコード102Dの1つが記録される。これらのデータ(個人ID(102A)と自己ゲート通過レコード102Cと他者ゲート通過レコード102D)は、読み出し部105が読み出し、個人ID(102A)とゲートID(103C)とタイムスタンプ103Gを出力する。
【0051】
図3Cでは、ゲートで一つの他者ゲート通過レコード102Dを書き込みする例を示した。再書き込みバッファ103Fに複数のデータが保存されている場合には、一度のタッチで複数の他者ゲート通過レコード102Dをまとめて書き込みしてもよい。
【0052】
本動作例の特徴は、ある人物が持つICタグに、他者に紐づくデータを書き込みする点にある。例えば、交通系ICカードなどのユースケースでは、プライバシーやセキュリティの観点から、他者のデータを書き込みすることは受け入れられない。一方で、プラントの作業実態を把握するというユースケースでは、監督者による作業員の業務管理の一環と見なせるため、プライバシーの問題は小さい。データは不特定多数に公開されるのではなく、労務管理されるプラント内の作業員に限定して開示されるため、セキュリティの問題も小さい。また、プラント業務は、作業員が事務所で準備をし、プラント内で作業した後、事務所に戻ってくるという業務フローが多い。この性質上、全作業者のICタグを読み出し部105(例えば事務所に設置される)で読み出してマージする運用が可能であるため、本動作例が実現できる。
【0053】
図4Aは本発明の実施例1に係るゲート端末103の第1構成例を示すブロック図である。ゲート端末103は、リーダライタ103Aを備えた情報処理装置である。例えば、NFCリーダライタモジュールを備えたシングルボードコンピュータで構成される。リーダライタ103Aとコンピュータは物理的に分かれた構成でもよい。例えば、USB接続式のリーダライタ103AとPCで構成されてもよい。
【0054】
ゲート端末103はリーダライタ103Aの他に、CPU103H、RTCモジュール103L、メモリ103I、ストレージ103Jなどで構成される。CPU103Hはリーダライタ103Aを制御し、メモリ103Iに読み書きを行う。RTCモジュール103Lはタイムスタンプ生成部103Eに該当し、CPU103Hにタイムスタンプ103Gを出力する。ストレージ103JはゲートID(103C)と制御プログラム103Kを記録する。ゲートID(103C)は制御プログラム103Kの中に書き込まれていてもよし、ストレージ103J内に別ファイルとして格納されてもよい。
【0055】
ゲート端末103で実行される各種の処理は主にCPU103Hで演算されてもよい。以下では、CPU103Hが実行するとは明記しない。また、各種の処理は制御プログラム103Kに従って実行されてもよい。以下では、制御プログラム103Kに従うとは明記しない。
【0056】
メモリ103Iは制御プログラム103Kを読み込み、また、再書き込みバッファ103Fを記録する。再書き込みバッファ103Fはメモリ103Iではなくストレージ103Jに保存されてもよい。または、物理的に別の外部ストレージ(USBメモリなど)に保存されてもよい。
【0057】
RTCモジュール103Lはゲート端末103のシャットダウン時でもタイムスタンプ103Gを保持するために必要なモジュールである。仮に、ゲート端末103に常時通電ができる場合には、CPUクロックでタイムスタンプ103Gをカウントできるため、RTCモジュール103Lは必要ではないこともある。この場合はCPU103Hがタイムスタンプ生成部103Eの働きをする。
【0058】
ゲートID(103C)は、ストレージ103Jに保存せず、外部から入力してもよい。例えば、ゲートID(103C)を指定する外部スイッチ(サムロータリスイッチなど)を用意し、スイッチの値を読み込むことでゲートID(103C)を指定してもよい。
【0059】
図4Bは、本発明の実施例1に係るゲート端末103の第2構成例を示すブロック図である。
図4Aの構成例との違いは、メモリ103Iにバッファ存在ステータス値103Mが記録されている点である。バッファ存在ステータス値103Mは、再書き込みバッファ103Fにデータが存在するかどうかを記録する。例えば、データが存在する場合にはTrue値を、データが存在しない場合にはFalse値とすることが考えられる。ゲート端末103は、タッチされるたびに、再書き込みバッファ103Fにデータが存在するかどうかを確認する必要がある。CPU103Hは、バッファ存在ステータス値103Mを参照することで、再書き込みバッファ103Fにデータが存在するかどうかを高速に確認することができる。
【0060】
図4Cは、本発明の実施例1に係るゲート端末103の第3構成例を示すブロック図である。
図4Aの構成例との違いは、モニタ103Bを備える点である。モニタ103Bには、タイムスタンプ103GやゲートID(103C)を表示することが考えられる。また、ゲート端末103の設置場所の名称を表示することが考えられる。
【0061】
図5Aは、本発明の実施例1に係る通信部103Dの書き込み成功時の処理例を示すシーケンス図である。作業者101が可搬式記憶端末102を通信部103Dにタッチすること(ICタグをリーダライタ103Aにかざす)をトリガーに通信処理が開始する。まず、通信部103Dが可搬式記憶端末102の個人ID(102A)と保存済みレコード102Bの読み取りリクエストを送り、返答を受け取る。次に、通信部103Dがタイムスタンプ生成部103Eにタイムスタンプ103Gを要求し、返答を付けとる。次に、再書き込みバッファ103Fのデータを読み込み、再書き込みバッファ103Fのデータを受け取る。
【0062】
通信部103Dは、ゲートID(103C)とタイムスタンプ103Gから自己ゲート通過レコード102Cを作成し、再書き込みバッファ103Fから受け取った個人ID(102A)とゲートID(103C)とタイムスタンプ103Gから他者ゲート通過レコード102Dを作成し、可搬式記憶端末102に各レコードの書き込みリクエストを送る。可搬式記憶端末102から書き込み成功返答を受け取ったら、再書き込みバッファ103F内のデータを削除する。作業者101はタッチを終了し(ICタグをリーダライタ103Aから離す)、通信処理が完了する。
【0063】
書き込み成功後に再書き込みバッファ103F内のデータを削除する理由は、後続の作業者の可搬式記憶端末507に2重書き込みすることを防ぐためである。仮に、再書き込みバッファ103Fのデータの削除を行わず、積極的に2重書き込みを行った場合、多くの作業者101の可搬式記憶端末102に同じ他者ゲート通過レコード102Dが存在することになる。読み出し部105で重複したレコードを除外することができるため、システム上は問題ない。ただし、可搬式記憶端末102は一般にデータ容量が小さいため、十分に多くのデータを記録することはできない。2重書き込みを繰り返すと、多くの作業者101の可搬式記憶端末102のデータ量を圧迫してしまう。このため、基本的には2重書き込みは避けるべきである。
【0064】
図5Bは、本発明の実施例1に係る通信部103Dの書き込み失敗時の処理例を示すシーケンス図である。
図5Aの処理例との違いは、可搬式記憶端末102が書き込み失敗返答をする点である。書き込み失敗の原因としては、ICタグの内部処理におけるエラーなどが考えられる。通信部103Dは、書き込み失敗応答を受け取った場合、可搬式記憶端末102から読み出した個人ID(102A)とタイムスタンプ103Gを再書き込みバッファ103Fに書き込む。
【0065】
他者ゲート通過レコード102Dを書き込むことができなかったため、再書き込みバッファ103Fのデータは後続の作業者の可搬式記憶端末507に再度書き込む必要がある。そのため、再書き込みバッファ103Fのデータを削除しない。
【0066】
書き込み失敗返答を受け取った場合、リトライ回数を指定し、書き込みを何度か繰り返すことは有効である。リトライをして書き込み成功した後の処理は、
図5Aの処理例で書き込み成功した後の処理と同様である。
【0067】
図5Cは、本発明の実施例1に係る通信部103Dの書き込みタイムアウト時の第1処理例を示すシーケンス図である。
図5Aの処理例との違いは、通信部103Dが可搬式記憶端末102に書き込み処理をしている間に、作業者101がICタグをリーダライタ103Aから離すことで、正常に書き込みが行われなかった点である。この場合、可搬式記憶端末102は既にリーダライタ103Aの通信距離から離れており、リクエストの返答ができない。通信部103Dから見ると返答がタイムアウトしたように見える。返答がタイムアウトした後の処理は、
図5Bの処理例で書き込み失敗した後の処理と同様である。
【0068】
書き込みがタイムアウトした場合、リトライ回数を指定し、書き込みを何度か繰り返すことは有効である。リトライをして書き込み成功した後の処理は、
図5Aの処理例で書き込み成功した後の処理と同様である。
【0069】
図5Dは、本発明の実施例1に係る通信部103Dの書き込みタイムアウト時の第2処理例を示すシーケンス図である。
図5Cの処理例との違いは、通信部103Dが書き込みを実行する前に作業者101がタッチを終了する点である。可搬式記憶端末102はリーダライタ103Aの通信距離から離れているため、可搬式記憶端末102に書き込むことはできない。通信部103Dから見ると、書き込みリクエストの返答がタイムアウトしたように見える。返答がタイムアウトした後の処理は、
図5Bの処理例で書き込み失敗した後の処理と同様である。
【0070】
図5Eは、本発明の実施例1に係る通信部103Dの読み込み失敗時の処理例を示すシーケンス図である。
図5Aの処理例との違いは、可搬式記憶端末102が読み込み失敗の返答をする点である。読み込み失敗の原因としては、ICタグの内部処理におけるエラーなどが考えられる。この場合、通信処理は終了する。
【0071】
読み込み失敗返答を受け取った場合、リトライ回数を指定し、読み込みを何度か繰り返すことは有効である。リトライをして読み込み成功した後の処理は、
図5Aの処理例で読み込み成功した後の処理と同様である。
【0072】
図5Fは、本発明の実施例1に係る通信部103Dの読み込み部分成功時の処理例を示すシーケンス図である。
図5Aの処理例との違いは、通信部103Dが読み取りを完了する前に作業者101がタッチを終了する点である。可搬式記憶端末102はリーダライタ103Aの通信距離から離れているため、読み取りを完了することはできない。ただし、全ての保存済みレコード102Bを読み取ることはできないとしても、個人ID(102A)だけは読み取りに成功する(部分成功する)可能性がある。この場合には、タイムスタンプ生成部103Eにタイムスタンプ103Gを要求した上で、読み取った個人ID(102A)とタイムスタンプ103Gを再書き込みバッファ103Fに書き込むことができる。
【0073】
個人ID(102A)だけ読み取りに成功する状況について説明する。ICタグへの読み込みリクエストは、一般に、ICタグの全てのデータを一度に読み取るリクエストではなく、データの一部を分割して読み取るリクエストである。そのため、全てのデータを読み取るためには、複数回の読み取りリクエストを成功させる必要がある。複数回の読み取りリクエストを処理している間にICタグが離れると、ICタグが離れるまでに送った読み取りリクエストは成功する。このことから、序盤の回の読み取りリクエストで個人ID(102A)を読み出すように読み取りリクエストを工夫することで、個人ID(102A)だけでも読み出すことに成功する可能性を高めることができる。
【0074】
図5Fの処理例によれば、通信部103Dは個人ID(102A)の読み取りさえ成功できればよく、必ずしも毎回レコードの書き込みを行う必要はない。朝の入域時間帯などの作業者101がゲート通過で混雑するときは、読み取りだけを実行するようにし、夕方の出域時間帯などゲートが混雑していないときに、再書き込みバッファ103Fからデータを回収する、という運用例は効果的である。
【0075】
図5Gは、本発明の実施例1に係る通信部103Dの読み込みタイムアウト時の処理例を示すシーケンス図である。
図5Fの処理例との違いは、読み取りリクエストがタイムアウトする点である。この場合、通信処理は終了する。
【0076】
読み込みがタイムアウトした場合、リトライ回数を指定し、読み込みを何度か繰り返すことは有効である。リトライをして読み込み成功した後の処理は、
図5Aの処理例で読み込み成功した後の処理と同様である。
【0077】
図6Aは、本発明の実施例1に係るタッチ時に音で通知するゲート端末103のインターフェースを示す図である。リーダライタ103Aに可搬式記憶端末102をかざすことでタッチが開始される。可搬式記憶端末102とリーダライタ103A間の通信が発生したことを作業者101に知らせるために、リーダライタ103Aから「ピッ」という通知音600を鳴らすことが考えられる。通知音600の種類や、通知音600を鳴らす機器については、この限りではない。例えば、通知音600を鳴らすスピーカーを備えていてもよい。
【0078】
図6Bは、本発明の実施例1に係るタッチ時に光で通知するゲート端末103のインターフェースを示す図である。可搬式記憶端末102とリーダライタ103A間の通信が発生したことを作業者101に知らせるために、リーダライタ103Aの通信インジケータ601を光らせることが考えられる。通信インジケータ601は例えばLEDなどが考えられる。作業者101が視認できる方法であれば、光を発する機器については、この限りではない。
【0079】
図6Cは、本発明の実施例1に係るモニタ103Bを備えるゲート端末103のインターフェースを示す図である。リーダライタ103Aとモニタ103Bが接続されており、モニタ103Bには現在時刻103ZとゲートID(103C)(ゲートID(103C)に紐づくゲートの名称でもよい)を表示することが考えられる。
【0080】
図6Dは、本発明の実施例1に係るモニタ103Bを備えてタッチ時にポップアップ103Yで通知するゲート端末103のインターフェースを示す図である。可搬式記憶端末102とリーダライタ103A間の通信が発生したことを作業者101に知らせるために、モニタ103Bにポップアップ103Yを表示する。ポップアップ103Yには、個人ID(102A)や、書き込みする自己ゲート通過レコード102Cの要素(タイムスタンプ103GとゲートID(103C))を表示することが考えられる。
【0081】
図6Eは、本発明の実施例1に係るモニタ103Bを備えてタッチ時に自己ゲート通過レコード102Cをポップアップ103Yに表示して通知するゲート端末103のインターフェースを示す図である。
図6Dとの違いは、ポップアップ103Yに、可搬式記憶端末102に記録された自己ゲート通過レコード102Cの履歴を表示する点である。作業者101は、ポップアップ103Yに表示された自己ゲート通過レコード102Cの履歴を確認することで、これまでのゲート通過時にタッチ漏れをしていないか確認することができる。また、各エリア間の移動にどれくらいの時間がかかったのか、その場で知ることができる。
【0082】
図6Fは、本発明の実施例1に係るモニタ103Bを備えてタッチ時に他者ゲート通過レコード102Dの記録をポップアップ103Yに表示して通知するゲート端末103のインターフェースを示す図である。
図6Dとの違いは、ポップアップ103Yに、記録した他者ゲート通過レコード102Dの件数を表示する点である。作業者101は、ポップアップ103Yに表示された件数を確認することで、他者ゲート通過レコード102Dを回収したことを、その場で知ることができる。
【0083】
また、図には記載していないが、可搬式記憶端末102に記録できるデータ量から、追記できるレコード件数を計算し、その値をポップアップ103Yに表示することも効果的である。
【0084】
図7Aは、本発明の実施例1に係る再書き込みバッファ103Fにデータが存在することを示すインジケータを備えるゲート端末103のインターフェースを示す図である。ゲート端末103の再書き込みバッファ103Fにデータが記録されている場合、いずれかの作業員がそのデータを回収する必要がある。そのため、再書き込みバッファ103Fにデータが記録されていることを視認できるように、再書き込みバッファインジケータ701をゲート端末103が備えることが考えられる。再書き込みバッファインジケータ701は、例えばLEDなどが考えられる。
【0085】
図7Bは、本発明の実施例1に係るモニタ103Bを備えて再書き込みバッファ103Fにデータが存在することを示すインジケータを表示するゲート端末103のインターフェースを示す図である。モニタ103Bに再書き込みバッファポップアップ702が表示されている。再書き込みバッファポップアップ702には、再書き込みバッファ103Fには、データが記録されていることを視認できる文言やイラストが表示される。例えば「再書き込みデータあり!!」という文言を表示することが考えられる。
【0086】
図8Aは、本発明の実施例1に係る可搬式記憶端末102のデータを読み書きする処理例を示すブロック図である。可搬式記憶端末102には個人ID(102A)と、保存済みレコード102Bが保存されている。保存済みレコード102Bは、自己ゲート通過レコード102Cと他者ゲート通過レコード102Dで構成される。なお、可搬式記憶端末102には、この他のデータが保存されていてもよい。
【0087】
ゲート端末103は、個人ID(102A)と保存済みレコード102Bを読み出して、内容を解釈し、新規書き込みレコード301を可搬式記憶端末102に書き込む。新規書き込みレコード301は、自己ゲート通過レコード102C、または他者ゲート通過レコード102D、または自己ゲート通過レコード102Cと他者ゲート通過レコード102Dの組み合わせで構成される。書き込み時には、保存済みレコード102Bは削除されない。つまり、新規書き込みレコード301は、可搬式記憶端末102に追記の形式で書き込まれる。
【0088】
書き込みする際には、可搬式記憶端末102の記憶領域のどのアドレスに書き込みするか指定する必要がある。
図8Aでは新規書き込みレコード301が保存済みレコード102Bの末尾に追加されるように表現した。ゲート端末103が保存済みレコード102Bを読み出す理由は、新規書き込みレコード301を書き込むアドレスを特定するためである。例えば、個人ID(102A)と保存済みレコード102Bにより記憶領域のアドレス100番目までが既に記録されている場合、新規書き込みレコード301はアドレス101番目から書き込みすればよいことが分かる。
【0089】
書き込むアドレスを特定する別の方法としては、保存済みデータの量を示す保存済みレコード末尾アドレス302を用意する方法が考えられる。
【0090】
図8Bは、本発明の実施例1に係る保存済みレコード末尾アドレス302を備える可搬式記憶端末102のデータを読み書きする処理例を示すブロック図である。可搬式記憶端末102は、可搬式記憶端末102に保存済みのデータの末尾アドレス(保存済みレコード末尾アドレス302)を持つ。ゲート端末103は、保存済みレコード末尾アドレス302を読み出すことで、新規書き込みレコード301を書き込むアドレスを特定できる。この方法の場合、ゲート端末103は、保存済みレコード102Bを全て読み出す必要が無いので、ゲート端末103の読み出しにかかる処理時間を短縮することができ、通信が失敗する確率を低減できる。
【0091】
また、新規書き込みレコード301を書き込むアドレスは、必ずしもデータの末尾でなくてもよい。個人ID(102A)と保存済みレコード102Bと新規書き込みレコード301を格納する順番には、制限はない。既に書き込まれた保存済みレコード102Bの順番を入れ替えてもよい。例えば、タイムスタンプ103Gで昇順になるように、保存済みレコード102Bと新規書き込みレコード301をソートした上で、保存済みレコード102Bと新規書き込みレコード301を書き込み直してもよい。
【0092】
図8Cは、本発明の実施例1に係る可搬式記憶端末102のデータ量が飽和した際に別の可搬式記憶端末102に個人ID(102A)を転記する処理例を示すブロック図である。可搬式記憶端末102は一般にデータ容量が大きくない。多くのレコードを保存してデータ量が飽和すると、新規レコードを書き込みできなくなる。この場合は、異なる可搬式記憶端末102に個人ID(102A)を転記し、2つの可搬式記憶端末102を併用することが考えられる。
【0093】
ゲート端末103は、容量が飽和した可搬式記憶端末303から個人ID(102A)と保存済みレコード102Bを読み出す。ここで保存済みレコード102Bのデータ量が多く、新しいレコードを書き込むことができないとゲート端末103が判定した場合には、個人IDを転記する可搬式記憶端末304に個人ID(102A)と新規書き込みレコード301を書き込む。個人IDを転記する可搬式記憶端末304はデータ量に余裕があるため、さらにレコードを書き込むことができる。
【0094】
個人IDを転記する可搬式記憶端末304の提供方法としては、例えば、ゲート端末103の付近に、転記用の可搬式記憶端末102を何個か配置しておく。作業者101は、1つ目の可搬式記憶端末102の容量が飽和した際には、転記用の可搬式記憶端末102を持ち出し、個人ID(102A)を転記して、2つ目の可搬式記憶端末102として持ち出せばよい。
【0095】
図9は、本発明の実施例1に係る読み出し部105が可搬式記憶端末102のデータを読み出す処理例を示す図である。3人の作業者101(A)、101(B)、101(C)が使用した3つの可搬式記憶端末102のデータを読み出す例を示す。各可搬式記憶端末102には、自分自身のゲート通過記録である自己ゲート通過レコード102Cと、再書き込みバッファ103Fから回収した他者のゲート通過記録である他者ゲート通過レコード102Dが記録されている。読み出し部105では、これらのデータを読み出し、作業ID(201)とゲートID(103C)とタイムスタンプ103Gを出力することができる。
【0096】
図10Aは、本発明の実施例1に係る可搬式記憶端末102に書き込まれるデータ構造の第1構成例を示す図である。可搬式記憶端末102のデータ容量が小さいため、書き込むデータはなるべくデータ量が小さいデータ構造で書き込むことが望ましい。
図10Aの構成例は、初期設定値と、自己ゲート通過レコード102C、区切り文字、他者ゲート通過レコード102Dを直列に繋げたデータ構造である。初期設定値には個人ID(102A)が含まれる。個人ID(102A)のバイト数を固定にすることで、初期設定値と自己ゲート通過レコード102Cの間に区切り文字は不要となる。自己ゲート通過レコード102Cは複数のレコードが書き込まれるが、各レコードのバイト数を固定とすることで、自己ゲート通過レコード102C間の区切り文字は不要となる。他者ゲート通過レコード102Dも同様に、複数のレコードが書き込まれるが、バイト数を固定とすることで区切り文字は不要である。自己ゲート通過レコード102Cと他者ゲート通過レコード102Dを区別するために、区切り文字が必要となる。
【0097】
このデータ構造では、区切り文字の数が最少で済むためデータ量を小さくできる。しかしながら、書き込み時間が長いのが難点である。なぜならば、新しいレコードを追記する際に、自己ゲート通過レコード102Cと他者ゲート通過レコード102Dの順番を整列して、データを書き直す必要があるからである。例えば、
図10Aのように自己ゲート通過レコード102Cと他者ゲート通過レコード102Dが既に書き込まれた状況で、新しく自己ゲート通過レコード102Cを書き込む場合には、個人ID(102A)と区切り文字の間のアドレスに新しいレコードを配置する。この場合、新しいレコードよりも後ろのアドレスに書き込まれていたデータは、自己ゲート通過レコード102Cの長さの分だけ後ろのアドレスに書き直す必要がある。このため、書き込みに時間がかかってしまう。
【0098】
図10Bは、本発明の実施例1に係る可搬式記憶端末102に書き込まれるデータ構造の第2構成例を示す図である。本構成例は、自己ゲート通過レコード102Cと他者ゲート通過レコード102Dを整理することなく、全てのレコードの間に区切り文字を備えたデータ構造である。
【0099】
このデータ構造では、
図10Aの構成例における書き込み時間が長いという難点を解消できる。レコードを整列する必要がないため、新しいレコードを書き込む際には、常に末尾のアドレスに書き込めばよく、既に書き込まれたレコードを書き直す必要がない。このため、書き込みにかかる時間が短い。しかしながら、レコードの総数から1を引いた数だけの区切り文字が必要となるため、
図10Aの構成例と比べるとデータ量が大きい。
【0100】
なお、可搬式記憶端末102のデータ構造は、
図10Aと
図10Bで示した構成例に限定されるものではなく、他の構造であってもよい。必要に応じて、例示していないデータがデータ構造に含まれてもよい。
【0101】
図11Aは、本発明の実施例1に係る可搬式記憶端末102に書き込まれるデータ量の第1構成例を示す図である。アスキー文字形式で書き込むことを想定し、1文字=1Byte単位でデータを書き込む際に必要なデータ量の例を示す。1Byteは2の8乗=256通りを表現できる。2Byteは2の16乗=65536通りを表現できる。4Byteは2の32乗=4294967296通りを表現できる。
【0102】
個人ID(102A)は、プラントの作業者101の人数よりも多い必要がある。作業者101の人数によって必要データ量は異なる。例えば作業員が1000人の場合には、1Byteでは256人しか記録できないため、データ量が足りない。この場合は2Byteに設定するとよい。
【0103】
ゲートID(103C)は、個人ID(102A)と同様に、ゲート端末103を設置するゲートの数によって必要データ量が異なる。例えばゲート数が100カ所の場合には、1Byteを設定するとよい。
【0104】
タイムスタンプ103Gは、4ByteのUNIX(UNIXは登録商標)時間を設定するとよい。UNIX時間は1970年1月1日0時0分0秒からの経過秒であり、4Byteで4294967296秒まで記録できると、日本時間2106年2月7日15時28分16秒までカウントすることができる。区切り文字は、どんな文字でもよい。例えばカンマ1文字を区切り文字とする場合は1Byteとなる。
【0105】
このデータ量を用いて、
図10Bのデータ構造で記録する場合、例えば自己ゲート通過レコード102C30個と他者ゲート通過レコード102D5個を記録すると221Byteとなる。NFCの規格であるFeliCa Lite-S(FeliCaは登録商標)では、ユーザーメモリー容量が224Byteであり、FeliCa Lite-SのNFCタグに書き込むことができる。
【0106】
図11Bは、本発明の実施例1に係る可搬式記憶端末102に書き込まれるデータ量の第2構成例を示す図である。
図11Aの構成例との違いは、タイムスタンプ103Gを絶対時刻ではなく、初期時刻からの経過時間で表現している点である。初期設定値として初期時刻を4ByteのUNIX時刻で記録する。各レコードのタイムスタンプ103Gは、初期時刻からの経過分と経過秒で記録する。経過分として2Byteを設定すると、0~65535分=1092.25時間=約45日間を記録できる。経過秒として1Byteを設定すると、0~255秒を設定できる。この場合、各レコードのタイムスタンプ103Gは3Byteとなるため、
図11Aの構成例と比べると、レコード1個当たりのデータ量を1Byte節約することができる。
【0107】
経過分のByte数は、作業期間によって異なってよい。例えば3か月におよぶプラント作業を記録する場合には、2Byteの経過分では不十分なため、経過分を3Byteにするか、1Byteの経過日を設定することが考えられる。
【0108】
作業者101の行動管理の時間分解能が、分単位で十分である場合には、経過秒を記録しない方法も効果的である。これにより、経過秒に必要な1Byteを節約することができる。
【0109】
図11Cは、本発明の実施例1に係る可搬式記憶端末102に書き込まれるタイムスタンプ103Gのデータ量の構成例を示す図である。タイムスタンプ103Gの表現方法は様々あり、例を示す。例えば、年を記録する場合は、2000年~2099年を記録するには0~99を表現する必要があり、1byteを設定するとよい。例えば、月日時分を記録する場合には、月と日と時間と分を連結した1つの数字と見なすと、1月1日0時0分は01010000と表現でき、12月31日23時59分は12312359と表現できる。4Byteあればこの期間に該当する数字を表現できる。
【0110】
他にも、タイムスタンプ103Gを数字ではなく文字として記録する方法も考えられる。例えば12月を文字で表現する場合は、’12’のように2文字で表現できるため、2Byteを設定するとよい。文字として記録する場合には、組み合わせに必要なByte数を設定する。例えば時分秒を文字として記録する場合は、合計6文字なので6Byteを設定する。
【0111】
タイムスタンプ103Gの表現方法は
図11A、
図11B、
図11Cで例示した方法の組み合わせでもよいし、別の表現方法を用いてもよい。
【0112】
図12Aは、本発明の実施例1に係る可搬式記憶端末102の処理例を示すフロー図である。可搬式記憶端末102は、まず初期化端末によって個人ID(102A)が書き込まれる(ステップ1200)。その後、可搬式記憶端末102は作業者101によって可搬される。プラント内で作業者101が作業をする中で、作業者101が可搬式記憶端末102をゲート端末103にタッチした際に、ゲート端末103からレコードが書き込まれる(ステップ1201。後述の書き込みサブルーチンに入る)。これを作業者101の作業が終了するまで繰り返す(ステップ1202)。作業が終了した後は、読み出し部105によって記録されたデータを読み出しされる(ステップ1203)。
【0113】
図12Bは、本発明の実施例1に係るゲート端末103の書き込みサブルーチンの処理例を示すフロー図である。ゲート端末103の書き込みサブルーチンでは、まずタイムスタンプ生成部103Eからタイムスタンプ103Gを読み出す(ステップ1204)。次に可搬式記憶端末102から個人ID(102A)と、可搬式記憶端末102に記録されたレコードを読み込む(ステップ1205。後述の読み込み成功判定サブルーチンに入る)。個人ID(102A)の読み込みに失敗した場合には(ステップ1206のNO判定)、書き込みサブルーチンは終了する。レコードの読み込みに失敗した場合には(ステップ1207のNO判定)、可搬式記憶端末102への書き込みを諦める。なぜならば、
図8Aで示したように、新規レコードを書き込む記憶領域のアドレスが特定できないからである。このとき、自己ゲート通過レコード102Cのデータ(個人ID(102A)とタイムスタンプ103G)を再書き込みバッファ103Fに記録する(ステップ1216)。
【0114】
ここで、
図8Bで示したように、保存済みレコード末尾アドレス302を読み込むことができた場合には、書き込むべきアドレスが特定できるので、書き込みを行ってもよい。一方で、レコードの読み込みに失敗した場合には、
図5Fや
図5Gで示したように、既にタッチが終了している可能性が高く、書き込みができない可能性は高い。以上の理由から、レコードの読み込みに失敗したときには、基本的には、個人ID(102A)とタイムスタンプ103Gを再書き込みバッファ103Fに記録し、書き込みサブルーチンを終了する。
【0115】
レコードの読み込みに成功した場合には(ステップ1207のYES判定)、ゲートID(103C)とタイムスタンプ103Gからなる自己ゲート通過レコード102Cを作成する(ステップ1208)。自己ゲート通過レコード102Cを書き込む前に、再書き込みバッファ103Fにデータ(個人ID(102A)とタイムスタンプ103G)があるか確認する(ステップ1209)。データがある場合には(ステップ1209のYES判定)、個人ID(102A)とゲートID(103C)とタイムスタンプ103Gからなる他者ゲート通過レコード102Dを作成し(ステップ1212)、自己ゲート通過レコード102Cと合わせて可搬式記憶端末102に書き込む(ステップ1213。後述する書き込み成功判定サブルーチンに入る)。書き込みに成功した場合には(ステップ1214のYES判定)、二重書き込みを防止するために、書き込みした他者ゲート通過レコード102Dのデータ(個人ID(102A)とタイムスタンプ103G)を再書き込みバッファ103Fから削除する(ステップ1215)。書き込みに失敗した場合には(ステップ1211のNO判定、またはステップ1214のNO判定)、自己ゲート通過レコード102Cのデータ(個人ID(102A)とタイムスタンプ103G)を再書き込みバッファ103Fに記録する(ステップ1216)。
【0116】
図12Cは、ゲート端末103の読み込み成功判定サブルーチンの処理例を示すフロー図である。まず個人ID(102A)の読み込みリクエストを可搬式記憶端末102に送信する(ステップ1217)。可搬式記憶端末102から個人ID(102A)が返答されなかったら(ステップ1218のNo判定)、個人ID(102A)の読み込み失敗と判定する(ステップ1223)。個人ID(102A)が返答されたら(ステップ1218のYes判定)、次に、保存済みレコード120Bの読み込みリクエストを送信する(ステップ1219)。保存済みレコード102Bが返答されなかったら(ステップ1221のNo判定)、レコード読み込み失敗と判定する(ステップ1224)。保存済みレコード102Bが返答されたら(ステップ1221のYes判定)、レコード読み込み成功と判定する(ステップ1222)。
【0117】
図12Dは、ゲート端末103の書き込み成功判定サブルーチンの処理例を示すフロー図である。リトライ回数を設定し、書き込みリトライを行うサブルーチンとなっている(ステップ1225、ステップ1230、ステップ1231の組み合わせ)。可搬式記憶端末102に書き込みリクエストを送信(ステップ1226)すると、応答がタイムアウトするか(ステップ1227のNo判定)、書き込み失敗応答があるか(ステップ1228のNo判定)、書き込み成功応答がある(ステップ1228のYes判定)結果となる。書き込み成功応答ではない場合(ステップ1227のNo判定、またはステップ1228のNo判定)にはリトライを行う。リトライ回数を超過してなお書き込み成功応答が得られない場合には(ステップ1231のNo判定)、書き込み失敗と判定する(ステップ1232)。書き込み成功応答があった場合には(ステップ1228のYes判定)、書き込み成功と判定する(ステップ1229)。
【0118】
図12Eは、本発明の実施例1に係る作業者101の始業から終業までの動作例を示すフロー図である。始業後(ステップ1233)、作業者101はまず自分の個人ID(102A)が書き込まれた可搬式記憶端末102があるか確認する(ステップ1234)。例えば事務所のICタグ収納ボックスにICタグが保管されていることが考えられる。自分のIDが書き込まれた可搬式記憶端末102が無い場合には(ステップ1234のNo判定)、初期化端末を用いて自分の個人ID(102A)が書き込まれた可搬式記憶端末102を用意する(ステップ1240)。作業者101は可搬式記憶端末102を携行してプラントへ向かう(ステップ1235)。プラント内では、エリア移動時に可搬式記憶端末102をゲート端末103にタッチすることで、可搬式記憶端末102にゲート移動の記録を残す(ステップ1236)。これを作業終了まで繰り返す(ステップ1237)。作業終了後は、使用した可搬式記憶端末102を読み出し部105のリーダライタ103Aにタッチすることで、記録したデータを(監督者などに)提出する(ステップ1238)。提出後、可搬式記憶端末102に記録したデータを削除してもよい。使い終わったICタグは、例えばICタグ収納ボックスに収納し、作業者101は終業となる(ステップ1239)。
【0119】
この動作例では1日の始業から終業までの記録をするように表現しているが、複数日をまたいで記録してもよい。例えば、期間が1週間にわたる保守作業においては、1週間分をまとめて記録してもよい。その場合、分析部106のリーダライタ103Aにタッチする手続きを毎日行う必要がなくなるため、作業者101の負担が減る。また、読み出し部105のリーダライタ103Aの台数が少ない場合には、全作業員が毎日リーダライタ103Aを使用すると混雑することが予想される。この場合、2日に1回の頻度で読み出し部105のリーダライタ103Aにタッチする運用とするなど、頻度を減らして読み出し部105の混雑緩和を図ってもよい。しかしながら、可搬式記憶端末102はデータ容量が小さいため、データ容量がひっ迫する前に可搬式記憶端末102内のデータを削除できるよう、読み出し頻度を設定することが望ましい。
【0120】
図13は、本発明の実施例1に係る作業班の構成例を示す図である。プラントでは、班長と班員からなる作業班で作業を行うことがある。班長と班員はまとまって移動することが多い。この場合は、班長のみが可搬式移動端末を携行して記録すれば十分であり、班員は班長と同じ移動経路を辿ったと推定することができる。これにより、人数が多い班員はゲート端末103にタッチしなくてもよい。タッチする人数を減らすことで、作業班がゲートを通過する際の手続きを簡略化することができる。
【0121】
図14Aは、本発明の実施例1に係るゲート設定端末と初期化端末の第1設置例を示すプラント平面図である。このプラントのエリアは、事務所、監視棟、通路、更衣室、作業部屋で構成される。事務所は作業員が毎朝訪れるエリアであり、可搬式記憶端末102の初期化を行う初期化端末が設置される。各エリア間を移動する境界点(出入口など)にはゲート端末103が設置される。この設置例では、エリア移動が発生した時刻を記録することができる。
【0122】
図14Bは、本発明の実施例1に係るゲート設定端末と初期化端末の第2設置例を示すプラント平面図である。
図14Aの設置例との違いは、ゲート端末103が各エリアの境界点ではなく、エリアの中に設置されている点である。この設置例では、エリアの中に滞在していた時刻を記録することができる。
【0123】
図14Aと
図14Bの設置例を比較すると、エリアの滞在期間を正確に測定したい場合には
図14Aの設置例が望ましい。エリアごとの入退時刻を記録できるからである。
図14Bの設置例の場合は、エリアに入場してから、エリアの中のゲート端末103にタッチするまでの時間が測定誤差となる。作業者101が入場してからすぐにタッチすれば誤差は小さいが、タッチを忘れて作業を開始してしまい、時間が経過してから思い出してタッチすることが考えられる。この場合は計測誤差が大きくなる。
【0124】
ゲート端末103の設置容易性の観点では、
図14Bの方が優れている可能性がある。ゲート端末103を長期間稼働させるためにコンセント電源が必要になるが、エリアの出入口の付近にはコンセント電源が無い可能性があり、設置のため電源工事が必要になる可能性がある。
【0125】
ゲート端末103の設置方法は、
図14Aと
図14Bのどちらの設置例でもよく、また、両者の組み合わせでもよい。
個人レコード集計部106Aは、読み出し部105が出力した個人ID(102A)とゲートID(103C)とタイムスタンプ103Gからなる自己ゲート通過レコード102Cと他者ゲート通過レコード102Dを、個人ID(102A)ごとに集計する。集計結果をもって個人移動履歴推定部106Bは個人ごとの移動履歴(個人移動履歴106E)を推定し、出力する。
個人ごとに、ゲートID(103C)とタイムスタンプ103Gから、個人移動履歴106Eを推定することができる。推定結果は、ガントチャート形式で表示すると分かりやすい。これにより、各作業エリアでの滞在時間や、作業エリアの移動にかかった時間、いつもより多くの時間がかかっていたエリア移動などの分析を効率よく実施できる。また、分析から得られた知見よって、ムリ・ムダ・ムラの改善活動などにつなげることができる。例えば、特定のゲートの移動に極端に時間がかかっているという知見が得られれば、ゲートを並列に通れるようにゲートを複線化させる改修工事を行うなどの改善活動を行うことが考えられる。例えば、事務所から現場までの移動に多くの時間がかかっているという知見が得られれば、現場に近い場所に事務所を立て直すなどの改善活動を行うことが考えられる。
本処理例では個人移動履歴106Eの推定結果をガントチャート形式で表示する例を示したが、推定結果の扱い方はこれに限らず、作業員管理システムのデータベースに記録する、記憶媒体(ハードディスクやUSBメモリやCDやDVDなど)に記録する、画面上にグラフ形式で表示する、表管理ソフトに記録する、紙にプリントアウトする、などが考えられる。
ステップ1242について説明する。読み出し部105が可搬式記憶端末102のレコードを読み出した後は、可搬式記憶端末102のデータ量を空けるために、読み出し部105が可搬式記憶端末102に書き込まれたレコードを削除してもよい。削除しない場合には、次回の読み出し時に今回読み出したデータも重複して読み出すことになる。この場合、完全に一致するレコードが重複することなるが、重複したレコードは容易に排除できるため、重複することは問題にはならない。
このとき、可搬式記憶端末102には正しく自己ゲート通過レコード102Cが書き込まれた可能性があるが、ゲート端末103は書き込みが成功したかどうかを判定できない。そのため、ゲート端末103は、レコードが欠損しないように再書き込みバッファ103Fにデータを記録し、後続の作業者101にデータを回収させる。もし書き込みに成功していた場合には、読み出し部105で全ての可搬式記憶端末102を読み出したときに、レコードが重複することになる。