(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176588
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】コイル部品、回路基板、電子機器およびコイル部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 27/29 20060101AFI20231206BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20231206BHJP
H01F 27/30 20060101ALI20231206BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20231206BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
H01F27/29 P
H01F27/29 123
H01F17/04 F
H01F27/30 101A
H01F41/04 B
H01F27/28 128
H01F17/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088945
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】荒井 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】柏 智男
【テーマコード(参考)】
5E043
5E062
5E070
【Fターム(参考)】
5E043EB01
5E062FF10
5E062FG11
5E070AA01
5E070AB01
5E070BB03
5E070CB18
5E070DB02
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】外部電極と導体との密着性を向上させる。
【解決手段】一態様に係るコイル部品は、金属磁性粒子が樹脂により結合されてなる磁性基体と、上記磁性基体の内部および表面の少なくとも一方に設けられる導体と、上記磁性基体が有する互いに隣り合った第1面および第2面のうち当該第1面に設けられて当該第1面で上記導体に接続される第1導電性樹脂層と、当該第2面に設けられ、当該第1導電性樹脂層における樹脂の割合よりも低い割合で樹脂を含む第2導電性樹脂層とを有する外部電極とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属磁性粒子が樹脂により結合されてなる磁性基体と、
前記磁性基体の内部および表面の少なくとも一方に設けられる導体と、
前記磁性基体が有する互いに隣り合った第1面および第2面のうち当該第1面に設けられて当該第1面の広がる範囲内で前記導体に接続される第1導電性樹脂層と、当該第2面に設けられ、当該第1導電性樹脂層における樹脂の割合よりも低い割合で樹脂を含む第2導電性樹脂層とを有する外部電極とを備えることを特徴とするコイル部品。
【請求項2】
前記第1面における前記第1導電性樹脂層の面積は、前記第2面における前記第2導電性樹脂層の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第1導電性樹脂層は、前記第2導電性樹脂層の厚みよりも厚いことを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第1導電性樹脂層における樹脂の割合が50vol%以上であることを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第1導電性樹脂層における金属粒子の最長部分の平均長さは、前記第2導電性樹脂層における金属粒子の最長部分の平均長さよりも長いことを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第1導電性樹脂層と前記磁性基体との間に金属の下地層を更に備え、
前記第1導電性樹脂層は前記下地層を介して前記導体に接続されることを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記第1導電性樹脂層および前記第2導電性樹脂層を覆う金属層を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第1面における前記導体と前記第1導電性樹脂層との接続面積は、当該第1面における当該第1導電性樹脂層の面積の10%以下であることを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のコイル部品と、
前記コイル部品が実装された基板と、
を備えたことを特徴とする回路基板。
【請求項10】
請求項9に記載の回路基板を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか1項に記載のコイル部品を製造する製造方法であって、
第1導電性ペーストで前記第1導電性樹脂層を形成する工程と、
前記第1導電性ペーストにおける樹脂の割合よりも低い割合で樹脂を含む第2導電ペーストで前記第2導電性樹脂層を形成する工程と、
前記金属層を形成する工程と、
を有することを特徴とするコイル部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品、回路基板、電子機器およびコイル部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信機器や車載電装機器などの電子機器は、高性能化が進み、これに合わせて電子部品は高い性能と共に小型化が求められている。また、電子部品の使われる用途は広がる一方であり、用途の広がりに伴って、電子部品にはより多くのことが求められている。特に、使用環境に対する要求が高まっており、温度、湿度の厳しい環境に対応できる電子部品が必要となっている。
【0003】
電子部品の小型化は、コイル部品でも同様に進められている。代表的なものとしては、積層コンデンサと同様に積層プロセスが用いられて積層体が形成されることで、0402サイズと称されるコイル部品が実現されている。一方で、絶縁された導体が巻線されて作成されるコイル部品は、小型化の点で遅れており、小型化に対する制約のひとつに外部電極と導体との導通確保がある。
【0004】
磁性基体内部で巻線された周回部と外部電極との接続には引き出し部が必要とされるが、導通確保のため、引き出し部と外部電極との接続強度の向上が望まれる。
例えば、特許文献1には、接続強度向上のため、引き出し端部の露出面が広い構造のコイル部品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、引き出し部はコイル部品におけるインダクタンスなどの磁気的特性に寄与しないため、コイル部品に望まれる磁気的特性は、引き出し部を除いた他の部分で確保する必要がある。従って、例えば特許文献1に開示の露出面が広い構造では引き出し部が占める体積も大きく、コイル部品の小型化を阻害する。つまり、コイル部品の小型化のためには、引き出し部の体積減少(および露出面減少)によっても導通が確保されるように、外部電極と導体との密着性向上が求められる。
そこで、本発明は、コイル部品の小型化を可能とするため、外部電極と導体との密着性向上を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るコイル部品は、金属磁性粒子が樹脂により結合されてなる磁性基体と、上記磁性基体の内部および表面の少なくとも一方に設けられる導体と、上記磁性基体が有する互いに隣り合った第1面および第2面のうち当該第1面に設けられて当該第1面で上記導体に接続される第1導電性樹脂層と、当該第2面に設けられ、当該第1導電性樹脂層における樹脂の割合よりも低い割合で樹脂を含む第2導電性樹脂層とを有する外部電極とを備える。
【0008】
本発明の一態様に係るコイル部品において、上記第1面における上記第1導電性樹脂層の面積は、上記第2面における上記第2導電性樹脂層の面積よりも大きい。
本発明の一態様に係るコイル部品において、上記第1導電性樹脂層は、上記第2導電性樹脂層の厚みよりも厚い。
また、本発明の一態様に係るコイル部品において、上記第1導電性樹脂層における樹脂の割合が50vol%以上である。
また、本発明の一態様に係るコイル部品において、上記第1導電性樹脂層における金属粒子の最長部分の平均長さは、上記第2導電性樹脂層における金属粒子の最長部分の平均長さよりも長い。
【0009】
また、本発明の一態様に係るコイル部品は、上記第1導電性樹脂層と上記磁性基体との間に金属の下地層を更に備え、上記第1導電性樹脂層は上記下地層を介して上記導体に接続される。
また、本発明の一態様に係るコイル部品は、上記第1導電性樹脂層および上記第2導電性樹脂層を覆う金属層を更に備える。
【0010】
また、本発明の一態様に係るコイル部品において、上記第1面における上記導体と上記第1導電性樹脂層との接続面積は、当該第1面における当該第1導電性樹脂層の面積の10%以下である。
また、本発明の一態様に係る回路基板は、いずれかの上記コイル部品と、上記コイル部品が実装された基板と、を備える。
また、本発明の一態様に係る電子機器は、上記回路基板を備える。
【0011】
また、本発明の一態様に係るコイル部品の製造方法は、いずれかの上記コイル部品を製造する製造方法であって、第1導電性ペーストで上記第1導電性樹脂層を形成する工程と、上記第1導電性ペーストにおける樹脂の割合よりも低い割合で樹脂を含む第2導電ペーストで上記第2導電性樹脂層を形成する工程と、上記金属層を形成する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、外部電極と導体との密着性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るコイル部品を示す斜視図である。
【
図6】第1導電性樹脂層における微視的構造を概念的に示した拡大図である。
【
図7】第2導電性樹脂層における微視的構造を概念的に示した拡大図である。
【
図8】第2導電性樹脂層の変形例における微視的構造を概念的に示した拡大図である。
【
図9】第2実施形態に係るコイル部品の断面図である。
【
図10】第1導電性樹脂層と導体との接続面積を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の構成に必須のものとは限らない。実施形態の構成は、本発明が適用される装置の仕様や各種条件(使用条件、使用環境等)によって適宜修正または変更され得る。
【0015】
本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって画定され、以下の個別の実施形態によって限定されない。以下の説明に用いる図面は、各構成を分かり易くするため、実際の構造と縮尺、比率および形状などを異ならせることがある。先に説明した図面に示された構成要素については、後の図面の説明で適宜に参照する場合がある。
【0016】
<コイル部品の構造>
図1は、本発明の第1実施形態に係るコイル部品を示す斜視図である。
コイル部品1は、基板2aに実装されている。基板2aには、例えば2つのランド部3が設けられている。コイル部品1は、1つの磁性基体11と2つの外部電極12とを有する。コイル部品1は各外部電極12とランド部3とがはんだで接合されることで基板2aに実装される。本発明の一実施形態による回路基板2は、コイル部品1と、このコイル部品1が実装された基板2aと、を備える。回路基板2は、様々な電子機器に備えられる。回路基板2を備えた電子機器としては、自動車の電装品、サーバ、ボードコンピュータおよびこれら以外の様々な電子機器が想定される。
【0017】
本明細書においては、文脈上別に解される場合を除き、方向の説明は、
図1の「L軸」方向、「W軸」方向および「H軸」方向を基準に用い、それぞれ、「長さ」方向、「幅」方向および「高さ」方向と称する。「高さ」方向については「厚さ」方向と呼ぶ場合もある。
コイル部品1は、直方体形状の外形を有する。即ちコイル部品1は、長さ方向Lの両端に第1の端面1aおよび第2の端面1bを有し、高さ方向Hの両端に第1の主面1c(上面1c)および第2の主面1d(底面1d)を有し、幅方向Wの両端に前面1eおよび後面1fを有する。
【0018】
直方体形状のコイル部品1における各辺の寸法は、長さ方向Lが例えば1~5mmの範囲にあり、幅方向Wが例えば0.5~4.5mmの範囲にあり、高さ方向Hが例えば0.4~3.5mmの範囲にある。また、高さ方向Hが長さ方向Lより小さく、更には高さ方向Hが幅方向Wより小さくなっている。
コイル部品1の第1の端面1a、第2の端面1b、第1の主面1c、第2の主面1d、前面1eおよび後面1fはいずれも、平坦な平面であってもよいし湾曲した湾曲面であってもよい。また、コイル部品1の8つの角部および12の稜線部は、丸みを有していてもよい。
【0019】
本明細書においては、コイル部品1の第1の端面1a、第2の端面1b、第1の主面1c、第2の主面1d、前面1eおよび後面1fの一部が湾曲している場合や、コイル部品1の角部や稜線部が丸みを有している場合にも、かかる形状を「直方体形状」と称することがある。つまり、本明細書において「直方体」又は「直方体形状」という場合には、数学的に厳密な意味での「直方体」を意味するものではない。
【0020】
本発明の一実施形態におけるコイル部品1は、磁性基体11と外部電極12を有し、内部に導体を有する。本実施形態では、後述するように導体は磁性基体11の内部に配置されている。但し、導体は、ドラムコアと称されるタイプの磁性基体の表面に巻き付けられるものであってもよく、この場合、導体は例えば樹脂の外装部によって覆われてコイル部品1の内部に埋められる。
【0021】
磁性基体11は、磁性材料を含む絶縁体である。磁性基体11は、金属磁性材料を95wt%以上含み、更に樹脂を1wt%以上含み、これら以外の成分を含んでもよい。金属磁性材料は、Fe、NiまたはCoを含む金属磁性粒子であり、金属磁性粒子は、Fe、Ni、Coの他に、Si、Cr、Al、B、Pのいずれかを含んでもよいし、Si、Cr、Al、B、Pのうち複数を含んでもよい。
【0022】
磁性基体11は、複数種の金属磁性粒子の組み合わせで形成されてもよく、セラミック材料、ガラス材料を含んでもよい。磁性基体11は、金属磁性粒子が樹脂で結合されて形成される。金属磁性粒子は絶縁処理が施されたものでもよく、樹脂の存在により絶縁が担保されてもよい。
図2は、
図1に示すコイル部品1の側面図であり、
図3は、
図1に示すコイル部品1の断面図である。
図3には、
図1に示すB-B線に沿った断面が示されている。以下、
図1~
図3を参照して説明する。
【0023】
磁性基体11は直方体形状を有し、長さ方向Lの両端それぞれに端面102を有し、高さ方向Hの一端に底面101を有し、高さ方向Hの他端に上面103を有し、幅方向Wの両端に前面104および後面105を有する。底面101は、コイル部品1が基板2aに実装される際に基板2aと対向する面である。
【0024】
導体14は、導電性に優れた金属材料から成る。導体14用の金属材料としては、例えば、Cu、Al、Ni、もしくはAgのうちの1以上の金属、又はこれらの金属のいずれかを含む合金が用いられ得る。導体14の表面には絶縁被膜が設けられていてもよい。導体14は、
図3に示すように1つの磁性基体11に対して1つ設けられてもよいし、あるいは導体14は、1つの磁性基体11に対して複数設けられてもよい。
【0025】
図3に示す導体14は、導線が周回してなる周回部402と、周回部402から引き出されて外部電極12に繋げられた引き出し部401とを有する。
図3には、導線が磁性基体11の底面101と上面103に沿って周回した、いわゆる水平巻きの周回部402が例示されている。導体14は、導線が磁性基体11の端面102に沿って周回した、いわゆる垂直巻きの周回部を有してもよい。
【0026】
コイル部品1は、第1の端面1a側と第2の端面1b側にそれぞれ外部電極12を備える。本発明の一実施形態における各外部電極12は、磁性基体11の底面101の各一部から各端面102にわたって設けられ、即ち、各外部電極12は、底面101の第1の端面1a側の一部と第1の端面1aの底面101側の一部、底面101の第2の端面1b側の一部と第2の端面1bの底面101側の一部、それぞれに広がっている。
外部電極12は導体14の引き出し部401に底面101で接続される。即ち、外部電極12は、底面101の広がる範囲内で引き出し部401に接続される。言い換えると、外部電極12は、外部電極12の設けられた端面102側と底面101側のうち底面101側で引き出し部401に接続される。
磁性基体11の各端面102は、底面101に隣り合う面であり、コイル部品1の実装時に、基板2aに対して交わる方向に延びる面である。上述したように、外部電極12は基板2a上のランド部3とはんだ4で接合される。
【0027】
また、外部電極12は、各端面102全体に広がっている。また、外部電極12は、端面102を囲む各稜線に掛かり、一部が上面103にわたって設けられ、即ち、底面101と端面102と、上面103における端面102側の一部に広がっている。また、外部電極12は、端面102から前面104および後面105にも各一部にわたって設けられる。
図1に示す外部電極12は、いわゆる5面型の外部電極とは異なり、上面103、前面104および後面105に達する部分は、各面で広がらずに端面102の稜線に沿って細く延びている。外部電極12の底面101における面積は、端面102における面積よりも広い。
【0028】
図4および
図5は、外部電極12の変形例を示す図である。
図4に示す変形例の外部電極12は、磁性基体11の各端面102に広がり、かつ、底面101の一部にも広がっている。また、
図4に示す変形例の外部電極12は、一部が上面103に達しているが、前面104および後面105には達していない。
図5に示す変形例の外部電極12は、磁性基体11の各端面102の一部に広がり、かつ、底面101の一部にも広がっている。また、
図5に示す変形例の外部電極12は、上面103、前面104および後面105には達していない。
【0029】
このように、外部電極12は、各端面102と底面101で広がっているが、上面103、前面104および後面105については、外部電極12が達していないか、あるいは、達していても各端面102の稜線に沿って細く延びている程度である。なお、外部電極12は、前面104と底面101で広がり、かつ、後面105と底面101で広がっていてもよい。
【0030】
<外部電極の構造>
以下、
図1~
図3に示す第1実施形態のコイル部品1について説明を続ける。
第1実施形態における外部電極12は、底面101に設けられる第1導電性樹脂層201と、端面102に設けられる第2導電性樹脂層202と、第1導電性樹脂層201および第2導電性樹脂層202を覆う金属層203とを備える。第1導電性樹脂層201は、底面101の広がる範囲内で引き出し部401に接続される。
第1実施形態における外部電極12は更に、第1導電性樹脂層201および第2導電性樹脂層202と磁性基体11との間に下地電極層204を備える。下地電極層204が備えられる場合は、少なくとも第1導電性樹脂層201と磁性基体11との間に備えられる。第1実施形態において、第1導電性樹脂層201は引き出し部401に下地電極層204を介して接続される。但し、下地電極層204が備えられない場合、第1導電性樹脂層201は引き出し部401に対して直接に接続される。下地電極層204が備えられることで外部電極12と磁性基体11との密着性が向上し、外部電極12と導体14との導通箇所がより堅牢となる。
外部電極12は、第1導電性樹脂層201および第2導電性樹脂層202の他に第3導電性樹脂層(図示省略)を備えてもよいし、金属層203を備えない場合もある。
【0031】
第1導電性樹脂層201および第2導電性樹脂層202は、樹脂と金属材料を含む導電体の層である。第1導電性樹脂層201および第2導電性樹脂層202は、金属材料を80wt%以上含み、更に樹脂を10wt%以上含み、これら以外の成分を含んでもよい。金属材料は、Ag、Cu、Niを含む金属粒子であり、セラミック材料、ガラス材料を含んでもよい。導電性樹脂層201、202は、金属粒子が樹脂で結合された層であり、金属粒子が連続して接している部分の存在により導電性が得られている。
【0032】
導電性樹脂層201、202に用いられる金属粒子としては、粒径の大きいものと小さいものとが知られている。また、金属粒子の形状としては、球形、卵形、板状、針状などが知られている。ここで、金属粒子の粒径とは、1粒子について寸法が最も大きい方向を最長部分とした場合における最長部分の平均長さとする。
【0033】
導電性樹脂層201、202において樹脂量が多い場合には、金属粒子として、最長部分の大きい粒子を多く含むものが選択され、樹脂量が少ない場合には、金属粒子として、最長部分の小さい粒子を多く含むものが選択される。例えば、最長部分の大きい粒子は板状や針状の粒子であり、最長部分の小さい粒子は球形や卵形の粒子である。なお、金属粒子の最長部分としては、立体空間における最長部分に替えて、導電性樹脂層201、202の断面内における最長部分が用いられてもよい。特に、導電性樹脂層201、202の厚さ方向に沿った断面内における最長部分が好ましい。
【0034】
導電性樹脂層201、202には、最長部分の大きい粒子と小さい粒子が組み合わされて用いられてもよい。例えば、第1導電性樹脂層201には、最長部分の大きい板状の粒子と最長部分の小さい球形の粒子が用いられ、第2導電性樹脂層202には最長部分の小さい板状の粒子と最長部分の大きい球形の粒子が用いられてもよい。
第1導電性樹脂層201における金属粒子の粒径(即ち最長部分の平均長さ)は、第2導電性樹脂層202における金属粒子の粒径よりも長いことが望ましい。これにより、引き出し部401に接続される第1導電性樹脂層201における抵抗値が低くなる。
【0035】
本実施形態では、第1導電性樹脂層201における樹脂の割合は、第2導電性樹脂層202における樹脂の割合よりも高い。このため、第1導電性樹脂層201は、樹脂の割合が同じである場合に較べて応力を緩和することができる。この場合、特に、金属層203によって生じる応力が緩和される。また、コイル部品1と基板2aとの間の緩衝効果も得られる。
第1導電性樹脂層201および第2導電性樹脂層202を覆って形成される金属層203については、Ni層の方がSn層よりも応力の原因となりやすい。樹脂の割合が多い第1導電性樹脂層201を備えて応力緩和の効果が得られることにより、十分な厚みのNi層を有する金属層203が採用可能となる。
【0036】
また、第1導電性樹脂層201における樹脂の割合が、第2導電性樹脂層202における樹脂の割合よりも高いことで、第1導電性樹脂層201は、導電性樹脂層全体の樹脂の割合が同じである場合に較べて引き出し部401との密着性が高い。このため、引き出し部401と第1導電性樹脂層201との接続面積が小さい場合であっても十分な接続強度が得られ、引き出し部401と第1導電性樹脂層201との導通が確保される。従って、引き出し部401の占める体積の減少が可能となり、コイル部品1の特性を確保した小型化が可能となる。
また、第2導電性樹脂層202では、樹脂の割合が第1導電性樹脂層201よりも低いため、電気抵抗の上昇が抑制される。
【0037】
第1導電性樹脂層201における樹脂の割合が50vol%以上であることにより、第1導電性樹脂層201と引き出し部401との密着性がより向上する。第1導電性樹脂層201における樹脂の割合は、60vol%以上、かつ、75vol%以下であってもよい。また、第2導電性樹脂層202における樹脂の割合は、40vol%以上が望ましく、50vol%以上、かつ、60vol%以下であってもよい。
【0038】
第1導電性樹脂層201および第2導電性樹脂層202は、金属粒子と樹脂の他に空隙の部分を有する。第2導電性樹脂層202は、第1導電性樹脂層201より空隙の割合が大きい。第2導電性樹脂層202では第1導電性樹脂層201に較べ、粒径の小さい金属粒子を多く含む。この結果、第2導電性樹脂層202では粒径の小さい金属粒子が凝集するように存在することで、凝集の周囲に空隙ができやすい。即ち、樹脂量が少なく、かつ、金属粒子における比表面積が大きいことで、樹脂の少ない空隙の部分が自ずと形成される。第2導電性樹脂層202が第1導電性樹脂層201より多くの空隙を含むことにより、第2導電性樹脂層202においても応力緩和の効果を生じる。このため、第2導電性樹脂層202の厚みはより薄くてもよい。
【0039】
金属層203は、導電性に優れた金属材料から成る。金属材料としては、例えばCu、Agが用いられ、更にNi、Pd、Snが用いられる。金属層203は、それぞれの金属材料を主成分とする層、または一部で合金化した層が重なり、層状に形成される。金属層203は、例えばめっき、金属材料の塗布、スパッタリング法、あるいは蒸着法により形成される。
【0040】
外部電極12は、磁性基体11の表面に設けられ、導体14の引き出し部401と接続される箇所において電気的な導通が図られる。当該箇所では、Snを含む層の一部を介して導体14の引き出し部401と外部電極12との接続が行われる。
図3に示すように、第1実施形態では、導体14と外部電極12との接続は、底面101において引出部401と第1導電性樹脂層201との間で行われ、電気的な導通が得られる。この場合、後述するように応力を緩和する効果が得られ、かつ密着性の高い第1導電性樹脂層201を介することで電気的な導通が確実に維持される。
【0041】
下地電極層204には、Ag、Cu、Ti、Niなどの金属材料が用いられる。下地電極層は、めっき、金属材料の塗布、スパッタリング法、あるいは蒸着法により磁性基体11の表面に設けられる。また、下地電極層204は、厚みが1μm以下であり、一部分が他の部分から離間して存在していてもよい。
【0042】
第1実施形態では、第1導電性樹脂層201は、底面101のうち端面102に近い一部に広がっている。第2導電性樹脂層202は、端面102の全体に広がっており、端面102を囲った各稜線に達している。第2導電性樹脂層202が端面102の全体に拡がっていることにより、コイル部品1の外形寸法への影響が抑えられつつ、磁性基体11と外部電極12との接する面積が大きくなり、磁性基体11と外部電極12との密着性が向上する。また、第1実施形態では、上述したように、底面101における第1導電性樹脂層201の面積が、端面102における第2導電性樹脂層202の面積よりも大きい。このため、それぞれの面積が等しい場合に較べ、底面101における磁性基体11と外部電極12との密着性が向上し、応力も緩和されるため、外部電極12と導体14との導通が確保される。
【0043】
また、第2導電性樹脂層202は一部が底面101に達し、第1導電性樹脂層201における、底面101と端面102との間に在る稜線付近の一部を第2導電性樹脂層202が覆っている。稜線付近で第2導電性樹脂層202が第1導電性樹脂層201の一部を覆っていると、稜線部分でも金属層203を厚くすることなく連続した外部電極12が形成可能となるので好ましい。第2導電性樹脂層202は、第1導電性樹脂層201を覆わずに第1導電性樹脂層201と接していてもよく、あるいは、第2導電性樹脂層202は、第1導電性樹脂層201から離間していてもよい。
【0044】
図1~
図3に示す第1実施形態では、第2導電性樹脂層202は、一部が上面103にも達している。第2導電性樹脂層202の一部が上面103にも達していることで、コイル部品1の外形寸法への影響が抑えられつつ、磁性基体11と外部電極12との接する面積が大きくなり、磁性基体11と外部電極12との密着性が向上する。また、複数方向それぞれからの応力にも耐えることができて耐久性が向上する。
【0045】
図1~
図3に示す第1実施形態では、第2導電性樹脂層202は、一部が前面104および後面105にも達している。上面103、前面104および後面105に達している第2導電性樹脂層202の一部の面積は、底面101に広がる第1導電性樹脂層201の面積の50%以下、または25%以下である。
【0046】
図6は、第1導電性樹脂層201における微視的構造を概念的に示した拡大図である。
図7は、第2導電性樹脂層202における微視的構造を概念的に示した拡大図である。
図6および
図7では、下地電極層204の図示が省略されている。
底面101および端面102には、微視的構造として、金属磁性粒子106に起因した凹凸構造が存在する。そして、第1導電性樹脂層201および第2導電性樹脂層202は、その凹凸構造の上に設けられる。
【0047】
第1導電性樹脂層201の厚みd1は、第2導電性樹脂層202の厚みd2よりも厚い。この厚みの関係(d1>d2)となっていることで、コイル部品1と基板2aとの間の緩衝効果が得られるとともに、底面101に対する第1導電性樹脂層201の密着性が向上する。また、上記厚みの関係となっていることで、底面101以外の部分については無駄に厚みを設けることなく、コイル部品1の小型化が可能となる。なお、厚みd1、d2は、磁性基体11から外側に向かい磁性基体11と直交する方向の厚みであり、例えば厚みd1、d2の代表値としては、各層における最大の厚みが用いられる。
【0048】
外部電極12を形成した各層の存在および厚みについては、外部電極12の断面がSEM等により観察されることで確認可能である。例えば、SEMによる観察が行われることで、磁性基体11と導体14と導電性樹脂層201,202と金属層203と下地電極層204とを区別するそれぞれの接触面の存在が確認できる。また、SEMによる成分分析により金属、炭素、酸素の存在が確認されることで各層が区別される。
【0049】
本実施形態において、第1導電性樹脂層201は、第1金属粒子211と、第2金属粒子212と、樹脂部分213とを有する。また、第2導電性樹脂層202は、第3金属粒子221と、第4金属粒子222と、樹脂部分223とを有する。なお、第1導電性樹脂層201および第2導電性樹脂層202は、図示が省略された空隙部分も有する。粒径の異なる第1金属粒子211と第2金属粒子212が第1導電性樹脂層201に混在し、粒径の異なる第3金属粒子221と第4金属磁性粒子222が第2導電性樹脂層202に混在していることにより、これらの導電性樹脂層201、202における導電性が保たれる。
【0050】
図6に示す例では、第1導電性樹脂層201において第1金属粒子211は第2金属粒子212に較べて最長部分が長い。また、
図7に示す例では、第2導電性樹脂層202において第3金属粒子221は第4金属粒子222に較べて最長部分が短い。そして、
図6および
図7に示す例では、第1導電性樹脂層201における第1金属粒子211の方が、第2導電性樹脂層202における第3金属粒子221に較べて最長部分が長い。また、第1導電性樹脂層201における第2金属粒子212の方が、第2導電性樹脂層202における第4の金属粒子222に較べて最長部分が短い。最長部分の長さは、第1金属粒子211が5~20μmであり、第2金属粒子212が1~10μmであり、第3金属粒子221が1~5μmであり、第4金属粒子222が0.1~0.5μmである。
図6および
図7に示す例では、第1導電性樹脂層201における樹脂部分213の割合は、第2導電性樹脂層202における樹脂部分223の割合よりも多い。なお、樹脂部分213、223の割合としては、導電性樹脂層201、202に直交する方向の直線上で、当該直線と重なる樹脂部分213、223の割合が求められてもよい。
【0051】
第1金属粒子211、第3金属粒子221は、最長部分と平行な平面を持ち、断面で見ると直線の輪郭が存在している。第2金属粒子212、第4金属粒子222は、平行な平面を持たず、断面で見ると弧状の輪郭が存在している。例えば、第1金属粒子211、第3金属粒子221は、外形形状が板状であり、第2金属粒子212、第4金属粒子222は、外形形状が球形、楕円形、卵形である。最長部分の短い第1金属粒子221は、複数の第1金属粒子221の平面どうしが向かい合っている。複数の第1金属粒子221が重なり合って凝集部分を持つ。このように凝集した第1金属粒子221は、応力が掛かると第1金属粒子221同士がずれて応力を緩和することができる。従って、第2導電性樹脂層202は、厚みが薄くても応力緩和の効果を生じ、コイル部品1の小型化に寄与する。
【0052】
<コイル部品の製造工程>
コイル部品1の製造工程は、磁性基体11、導体14、外部電極12の順に作る製造工程であってもよく、あるいは、磁性基体11、導体14、外部電極12の一部、外部電極12の残りの一部の順に作る製造工程であってもよい。
以下、製造方法の代表的なものとして、メタルコンポジットタイプのコイル部品1の製造方法について説明する。
【0053】
メタルコンポジットタイプのコイル部品1は、金属磁性粒子と樹脂を含む複合磁性材料により導体14が封止されて磁性基体11が形成され、磁性基体11に外部電極12が設けられた物である。導体14は絶縁皮膜のある導線が用いて作られてもよく、あるいは、絶縁体にめっきにより導体を設ける方法により作られてもよい。
【0054】
複合磁性材料は、圧力、温度が掛けられることで成形体に成形される。この成形段階で、導体14は複合磁性材料と一体化される。成形における具体的な圧力および温度は、例えば、圧力としては、10~100MPaであり、温度としては、100~200℃である。成形体は、150~200℃に加熱され、複合磁性材料の樹脂の硬化が進められることで磁性基体11となる。
【0055】
また、磁性基体11には、個片化や表面加工などが施され、導体14の端部が磁性基体11の表面に露出される。また、導体14の端部には表面処理が施される。例えば、エッチング処理やプラズマ処理により導体14の端部のごみや酸化物などが取り除かれ、当該端部について、外部電極12との接続に必要な金属表面が得られる。
【0056】
この導体14の端部が存在している磁性基体11の表面に、導電性ペーストがスクリーン印刷や転写、ディップ等により塗布される。例えば、底面101には、スクリーン印刷で導電性ペーストが、10~30μmの厚みとなるように設けられ、端面102には、導電性ペーストが転写やディップにより、10μm以下の厚みとなるように設けられる。例えば、厚みの調整には、余分な導電性ペーストが取り除かれる工程が加えられてもよい。
【0057】
底面101および端面102に設けられた導電性ペーストに、例えば低温での加熱処理などが施されることにより、第1導電性樹脂層201および第2導電性樹脂層202が得られる。底面101に設けられる導電性ペーストは、第1導電性樹脂層201の厚さが底面101の表面粗さRa1より大きくなるように、十分な厚さで設けられる。
【0058】
底面101および端面102に用いられる導電性ペーストは、例えば樹脂の割合が異なる導電性ペーストである。即ち、底面101に用いられる導電性ペーストにおける樹脂の割合の方が、端面102に用いられる導電性ペーストにおける樹脂の割合よりも高い。この結果、樹脂の割合が異なる第1導電性樹脂層201および第2導電性樹脂層202が得られる。
底面101および端面102には、各面における導電性ペーストの厚みを調整するために、導電性ペーストに含まれる金属粒子の粒径の異なるものが用いられてもよい。例えば、導電性ペーストの厚みを薄くする場合には、磁性基体11の表面粗さRaに応じた粒径が選択されるとよい。即ち、表面粗さRaより小さい粒径の金属粒子を含む導電性ペーストが用いられることで、磁性基体11の表面の凹凸に応じた薄さが得られる。特に、1μm以下の粒径の金属粒子の割合が多いと導電性ペーストの厚みが薄くなる。
【0059】
また、端面102の全面に導電性ペーストが転写などで塗布される場合、端面102と隣り合う面(即ち、上面103、前面104および後面105)に濡れ広がりやすいことから、端面102では厚みが薄く、隣り合う面では存在する範囲が一部のみとすることができる。
また、導電性ペーストが塗布される前に、メッキ、スパッタリングにより下地電極層が設けられても良い。下地電極層が設けられると、導電性ペーストの厚みが更に薄くても、その後の金属層203の形成において、必要な部分の全体について金属層203の形成が可能となる。
【0060】
上記の工程で第1導電性樹脂層201および第2導電性樹脂層202が得られた後、第1導電性樹脂層201および第2導電性樹脂層202の上に金属層203が、例えばめっき、金属材料の塗布、スパッタリング法、あるいは蒸着法により形成される。
以上説明した製造工程により、
図6および
図7に示す構造の第1導電性樹脂層201および第2導電性樹脂層202を備えた外部電極12が得られ、
図1~
図3に示すコイル部品1が完成する。
【0061】
図8は、第2導電性樹脂層202の変形例における微視的構造を概念的に示した拡大図である。
図8では、第2導電性樹脂層202中の金属粒子については図示が省略されている。
図8に示す変形例では、第2導電性樹脂層202が、断面で見て複数の層部分225に分離している。断面は、第2導電性樹脂層202の表裏面(即ち表面あるいは裏面)に沿ったいずれか任意の方向における断面であればよい。従って、断面で見て互いに分離した複数の層部分225は、相互に溝で隔てられていてもよいし、切り欠きで部分的に隔てられていてもよいし、間に穴が開いているだけで実際には繋がっていてもよい。
【0062】
図8に示す例では、複数の層部分225の間には、端面102の凹凸構造における凸部が第2導電性樹脂層202の裏面側から表面側に突き出している。なお、複数の層部分225の間は空隙となっていてもよいし、あるいは金属層203が第2導電性樹脂層202の表面側から裏面側へと嵌入していてもよい。
【0063】
いずれかの断面で複数の層部分225に分離した第2導電性樹脂層202によれば、第2導電性樹脂層202の厚みd2がより薄くなり、磁性基体11の外形寸法より極端に大きくはみ出すことなく、外部電極12としての厚みが薄くなる。また、第2導電性樹脂層202で生じる応力自体も小さくなり、金属層203から第2導電性樹脂層202が受ける応力も分散される。
また、金属層203は、金属の充填率が高い。充填率の高い金属層203が存在することで、欠陥を少なく実装に安定して外部電極の形状が維持される。
【0064】
複数の層部分225に分離した第2導電性樹脂層202は、端面102に導電性ペーストが設けられる工程において、導電性ペーストの厚みを薄くする調整の工程が加えられることで実現され得る。即ち、導電性ペーストの厚みを端面102における表面粗さRa2よりも小さくする工程により、導電性ペーストの金属粒子の存在する部分と存在しない部分とが形成される。
【0065】
この結果、導電性ペーストから得られる第2導電性樹脂層202には、穴、溝、あるいは切り欠きが空き、第2導電性樹脂層202は自ずと、いずれかの断面で複数の層部分225に分離した構造となる。なお、端面102に設けられる導電性ペーストは、厚みを薄くする調整の工程を有さずに、印刷などによって直接に、端面102の表面粗さRa2よりも小さい厚みで設けられてもよい。
【0066】
図9は、第2実施形態のコイル部品301の断面図である。
図1~
図3に示す第1実施形態のコイル部品1では、導体14の引き出し部401が底面101へと延びているのに対し、
図9に示す第2実施形態のコイル部品301では、導体14の引き出し部401が端面102へと延びている。そして、第1導電性樹脂層201は、端面102で引き出し部401と接続される。第2実施形態において第2導電性樹脂層202は、端面102に隣り合う底面101に備えられている。
第2実施形態でも、引き出し部401と接続される第1導電性樹脂層201が第2導電性樹脂層202より樹脂の割合が高い。このため、引き出し部401と第1導電性樹脂層201との密着性が高く、外部電極12と導体14との導通が確保される。
【0067】
第1導電性樹脂層201の端面102における面積は、第2導電性樹脂層202の底面101における面積よりも広いため、面積が等しい場合に較べ、端面102における磁性基体11と外部電極12との密着性が向上し、例えば金属層203などによって生じる応力も緩和されるため、外部電極12と導体14との導通が確保される。
第2実施形態でも、第1導電性樹脂層201の方が第2導電性樹脂層202よりも厚いため、外部電極12に応力が生じた場合でも当該応力が緩和され、磁性基体11と外部電極12との密着性が維持される。
第2実施形態でも、下地電極層204が備えられており、外部電極12と磁性基体11との密着性が向上し、外部電極12と導体14との導通箇所がより堅牢となる。
【0068】
図10は、第1導電性樹脂層201と導体14との接続面積を示す図である。
図10には、一例として、第2実施形態における接続面積が示され、端面102に垂直な方向から見た第1導電性樹脂層201と導体14の引き出し部401が示されている。引き出し部401の面積は、即ち、端面102における第1導電性樹脂層201と導体14との接続面積である。そして、第1導電性樹脂層201と導体14との接続面積は、端面102における第1導電性樹脂層201の面積の10%以下となっている。なお、第1実施形態のコイル部品1でも、同様に、第1導電性樹脂層201と導体14との接続面積は小さい。
接続面積が小さいことで引き出し部401の占める体積も小さいため、コイル部品1、301は、必要な特性が確保された小型化が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1、301 コイル部品
2 回路基板
2a 基板
3 ランド部
4 はんだ
11 磁性基体
12 外部電極
14 導体
101 底面
102 端面
103 上面
104 前面
105 後面
201 第1導電性樹脂層
202 第2導電性樹脂層
203 金属層
204 下地電極層
211 第1金属粒子
221 第2金属粒子
212 第3金属粒子
222 第4金属粒子
213、223 樹脂部分
401 引き出し部
402 周回部