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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176605
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】車両用シートのアームレスト
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/75 20180101AFI20231206BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
B60N2/75
A47C7/54 C
A47C7/54 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088977
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 和人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩介
(72)【発明者】
【氏名】本田 親典
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DC02
3B087DC04
(57)【要約】
【課題】車両の走行中において、手に持った表示媒体の揺れを抑制できる車両用シートのアームレストを得る。
【解決手段】シートバック14の側部14Aに一端部が回動可能に支持され、シートバック14の側部14Aにシート上方側へ延在するように配置される非使用位置とシートバック14の側部14Aからシート前方側へ回動してシート前方側へ延在するように配置される使用位置とを選択的に採る第1アームレスト部22と、第1アームレスト部22の他端部に一端部が回動可能に支持され、使用位置において、第1アームレスト部22の上面側に配置される格納位置と第1アームレスト部22の上面側からシート前方側へ回動して側面視でシート斜め上方側へ延在するとともに平面視でシート幅方向内側へ斜めに延在するように配置される展開位置とを選択的に採る第2アームレスト部24と、を備えた車両用シート10のアームレスト20とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックの側部に一端部が回動可能に支持され、前記シートバックの側部にシート上方側へ延在するように配置される非使用位置と前記シートバックの側部からシート前方側へ回動してシート前方側へ延在するように配置される使用位置とを選択的に採る第1アームレスト部と、
前記第1アームレスト部の他端部に一端部が回動可能に支持され、前記使用位置において、前記第1アームレスト部の上面側に配置される格納位置と前記第1アームレスト部の上面側からシート前方側へ回動して側面視でシート斜め上方側へ延在するとともに平面視でシート幅方向内側へ斜めに延在するように配置される展開位置とを選択的に採る第2アームレスト部と、
を備えた車両用シートのアームレスト。
【請求項2】
前記第2アームレスト部は、直方体形状に形成されており、その上面が正面視でシート幅方向内側上方を向くように斜めに配置されている請求項1に記載の車両用シートのアームレスト。
【請求項3】
前記第2アームレスト部の他端部に一端部が回動可能に支持され、前記展開位置において、前記第2アームレスト部の上面側に配置される収納位置と前記第2アームレスト部の上面側からシート前方側へ回動して側面視でシート斜め上方側へ延在するように配置される延長位置とを選択的に採る第3アームレスト部を備えた請求項1又は請求項2に記載の車両用シートのアームレスト。
【請求項4】
前記第2アームレスト部は、前記第1アームレスト部の上面側からシート前方側へ回動する際に前記シートバックの側部に接触しないようにするための切欠部を有する請求項1又は請求項2に記載の車両用シートのアームレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートのアームレストに関する。
【背景技術】
【0002】
アームレスト本体の高さ及びアームレスト本体の上面の傾斜角度の双方を調整可能に構成された車両用シートのアームレストは、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。また、近年ではスマホ、タブレット等の表示媒体が普及されているため、例えば車内において、アームレストに肘を置いた状態で、手に持ったスマホ等の画面を見る機会が多くなってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-226999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アームレストに肘を置いてスマホの画面を見ていても、車両の走行中における振動により、スマホを持つ手が肘を支点として揺れるため、そのスマホの画面が見え難くなったり、スマホに対する操作性が低減したりすることがあった。また、長時間下を向いた姿勢で、揺れるスマホの画面を注視することになるため、首部に痛みが生じたり、車酔いが発生したりする可能性が高くなっていた。
【0005】
そこで、本発明は、車両の走行中において、手に持った表示媒体の揺れを抑制できる車両用シートのアームレストを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の車両用シートのアームレストは、シートバックの側部に一端部が回動可能に支持され、前記シートバックの側部にシート上方側へ延在するように配置される非使用位置と前記シートバックの側部からシート前方側へ回動してシート前方側へ延在するように配置される使用位置とを選択的に採る第1アームレスト部と、前記第1アームレスト部の他端部に一端部が回動可能に支持され、前記使用位置において、前記第1アームレスト部の上面側に配置される格納位置と前記第1アームレスト部の上面側からシート前方側へ回動して側面視でシート斜め上方側へ延在するとともに平面視でシート幅方向内側へ斜めに延在するように配置される展開位置とを選択的に採る第2アームレスト部と、を備えている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、第1アームレスト部が、シートバックの側部からシート前方側へ回動してシート前方側へ延在するように配置される使用位置において、第2アームレスト部が、第1アームレスト部の上面側からシート前方側へ回動することにより、展開位置を採る。これにより、第2アームレスト部が、側面視でシート斜め上方側へ延在するとともに平面視でシート幅方向内側へ斜めに延在するように配置される。したがって、その第2アームレスト部により、車両用シートに着座した乗員の肘から手の甲までが適切な角度で支持される。よって、車両の走行中において、手に持った表示媒体の揺れが抑制される。
【0008】
また、請求項2に記載の車両用シートのアームレストは、請求項1に記載の車両用シートのアームレストであって、前記第2アームレスト部は、直方体形状に形成されており、その上面が正面視でシート幅方向内側上方を向くように斜めに配置されている。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、第2アームレスト部が、直方体形状に形成されており、その上面が正面視でシート幅方向内側上方を向くように斜めに配置されている。したがって、第2アームレスト部の上面が正面視でシート上方側を向いている場合に比べて、車両用シートに着座した乗員の肘から手の甲までが、表示媒体をより見え易くなるような適切な(自然な)角度で支持される。
【0010】
また、請求項3に記載の車両用シートのアームレストは、請求項1又は請求項2に記載の車両用シートのアームレストであって、前記第2アームレスト部の他端部に一端部が回動可能に支持され、前記展開位置において、前記第2アームレスト部の上面側に配置される収納位置と前記第2アームレスト部の上面側からシート前方側へ回動して側面視でシート斜め上方側へ延在するように配置される延長位置とを選択的に採る第3アームレスト部を備えている。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、第2アームレスト部の展開位置において、第3アームレスト部が、第2アームレスト部の上面側からシート前方側へ回動することにより、延長位置を採る。これにより、第3アームレスト部が、側面視でシート斜め上方側へ延在するように配置される。したがって、その第3アームレスト部により、車両用シートに着座した乗員の肘から手の甲までが、表示媒体をより見え易くなるような適切な(自然な)角度で支持される。
【0012】
また、請求項4に記載の車両用シートのアームレストは、請求項1又は請求項2に記載の車両用シートのアームレストであって、前記第2アームレスト部は、前記第1アームレスト部の上面側からシート前方側へ回動する際に前記シートバックの側部に接触しないようにするための切欠部を有している。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、第2アームレスト部に、第1アームレスト部の上面側からシート前方側へ回動する際にシートバックの側部に接触しないようにするための切欠部が形成されている。したがって、第2アームレスト部は、スムーズに第1アームレスト部の上面側からシート前方側へ回動することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明に係る車両用シートのアームレストによれば、車両の走行中において、手に持った表示媒体の揺れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係るアームレストが設けられた車両用シートを示す概略斜視図である。
図2】(A)第1実施形態に係る第2アームレスト部の展開前を示す概略側面図である。(B)第1実施形態に係る第2アームレスト部の展開後を示す概略側面図である。
図3】(A)第1実施形態に係る第2アームレスト部の展開前を示す概略平面図である。(B)第1実施形態に係る第2アームレスト部の展開後を示す概略平面図である。
図4】(A)第1実施形態に係る第2アームレスト部の展開前を示す概略正面図である。(B)第1実施形態に係る第2アームレスト部の展開後を示す概略正面図である。
図5】(A)第2実施形態に係る第2アームレスト部の展開前を示す概略側面図である。(B)第2実施形態に係る第2アームレスト部の展開後を示す概略側面図である。
図6】(A)第2実施形態に係る第2アームレスト部の展開前を示す概略平面図である。(B)第2実施形態に係る第2アームレスト部の展開後を示す概略平面図である。
図7】(A)第2実施形態に係る第2アームレスト部の展開前を示す概略正面図である。(B)第2実施形態に係る第2アームレスト部の展開後を示す概略正面図である。
図8】(A)第3実施形態に係る第2アームレスト部及び第3アームレスト部の展開前を示す概略側面図である。(B)第3実施形態に係る第2アームレスト部及び第3アームレスト部の展開後を示す概略側面図である。
図9】(A)第3実施形態に係る第2アームレスト部及び第3アームレスト部の展開前を示す概略平面図である。(B)第3実施形態に係る第2アームレスト部及び第3アームレスト部の展開後を示す概略平面図である。
図10】(A)第3実施形態に係る第2アームレスト部及び第3アームレスト部の展開前を示す概略正面図である。(B)第3実施形態に係る第2アームレスト部及び第3アームレスト部の展開後を示す概略正面図である。
図11】(A)第4実施形態に係る第2アームレスト部の展開前を示す概略側面図である。(B)第4実施形態に係る第2アームレスト部の展開後を示す概略側面図である。
図12】(A)第4実施形態に係る第2アームレスト部の展開前を示す概略平面図である。(B)第4実施形態に係る第2アームレスト部の展開後を示す概略平面図である。
図13】第4実施形態に係る第2アームレスト部の展開前を示す概略背面図である。
図14】(A)参考例に係る第2アームレスト部の展開前を示す概略側面図である。(B)参考例に係る第2アームレスト部の展開後を示す概略側面図である。
図15】(A)参考例に係る第2アームレスト部の展開前を示す概略平面図である。(B)参考例に係る第2アームレスト部の展開後を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各図において適宜示す矢印UPをシート上方向、矢印FRをシート前方向、矢印RHをシート右方向、矢印LHをシート左方向とする。したがって、以下の説明で、特記することなく上下、前後、左右の方向を記載した場合は、図1に示される車両用シート10における上下、前後、左右を示すものとする。また、左右方向は、シート幅方向と同義である。
【0017】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態に係るアームレスト20について説明する。図1に示されるように、車両(図示省略)に設けられている車両用シート10は、乗員が着座する(乗員の大腿部及び臀部を支持する)シートクッション12と、乗員の背部を支持するシートバック14と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト16と、乗員の前腕部(後述するように、肘から手の甲まで)を支持するアームレスト20と、を有している。
【0018】
図2図4に示されるように、アームレスト20は、直方体形状の第1アームレスト部22と直方体形状の第2アームレスト部24とを備えた折り畳み式とされており、シートバック14の左右両側部14A(図1参照)に左右対称で設けられている。なお、アームレスト20は、シートバック14の左右両側部14Aに設けられる構成に限定されるものではなく、車両幅方向外側又は内側の側部14Aのみに設けられていてもよい。
【0019】
第1アームレスト部22は、その長手方向一端部22Aが、シートバック14の側部14Aにシート幅方向を軸方向として設けられた軸部18により、所定の回動抵抗(摩擦)を有して回動可能に支持されている。そして、第1アームレスト部22は、シートバック14の側部14Aに沿って上方側へ延在するように配置される非使用位置と、その長手方向他端部22Bがシートバック14の側部14Aから前方側へ回動して、その前方側へ延在するように配置される使用位置と、を選択的に採れるように構成されている。
【0020】
第2アームレスト部24は、その長手方向一端部24Aが、第1アームレスト部22の長手方向他端部22Bとの間に設けられたヒンジ部23により、所定の回動抵抗(摩擦)を有して回動可能に支持されている。そして、第2アームレスト部24は、第1アームレスト部22の使用位置において、第1アームレスト部22の上面側に配置される格納位置と、その長手方向他端部24Bが第1アームレスト部22の上面側から前方側へ回動して、側面視で斜め上方側へ延在し、かつ平面視でシート幅方向内側へ斜めに延在するように配置される展開位置と、を選択的に採れるように構成されている。
【0021】
具体的に説明すると、第1アームレスト部22の使用位置において、第1アームレスト部22の長手方向他端部22Bにおける端面は、図2(A)に示される側面視で上端部から前方下側へ向かって所定の角度(上下方向に対してα°/2)で傾斜し、かつ図3(A)に示される平面視でシート幅方向内側端部からシート幅方向外側前方へ向かって所定の角度(左右方向に対してβ°/2)で傾斜する傾斜面22Cとされている。
【0022】
そして、第2アームレスト部24の格納位置(第1アームレスト部22の使用位置)において、第2アームレスト部24の長手方向一端部24Aにおける端面は、図2(A)に示される側面視で下端部から前方上側へ向かって所定の角度(上下方向に対してα°/2)で傾斜し、かつ図3(A)に示される平面視でシート幅方向内側端部からシート幅方向外側前方へ向かって所定の角度(左右方向に対してβ°/2)で傾斜する傾斜面24Cとされている。
【0023】
また、図4(A)に示されるように、ヒンジ部23は、その回動軸23Aが、第2アームレスト部24の格納位置において、傾斜面22Cの上方側で、かつ傾斜面24Cの下方側に、正面視でシート幅方向を軸方向として配置されるように、その傾斜面22Cと傾斜面24Cとの間に設けられている。
【0024】
これにより、第2アームレスト部24が、回動軸23Aを中心に上方側から回動して展開位置を採ったときに、傾斜面22Cに傾斜面24Cが当接し、第1アームレスト部22の延在方向に対して、図2(B)に示される側面視で斜め上方側へ所定の角度(α°:例えばα°=40°~50°)で延在し、かつ図3(B)に示される平面視でシート幅方向内側へ所定の角度(β°:例えばβ°=40°~50°)で斜めに延在するように配置される構成になっている。
【0025】
以上のような構成とされた第1実施形態に係るアームレスト20において、次にその作用について説明する。
【0026】
図2(A)、図3(A)、図4(A)に示されるように、第1アームレスト部22が、シートバック14の側部14Aから前方側へ回動して、その前方側へ延在するように配置される使用位置において、第2アームレスト部24が、第1アームレスト部22の上面側から前方側へ回動することにより、図2(B)、図3(B)、図4(B)に示されるように、展開位置を採る。
【0027】
第2アームレスト部24が展開位置を採ると、その第2アームレスト部24は、第1アームレスト部22の延在方向に対して、側面視で斜め上方側へ所定の角度(α°)で延在し、かつ平面視でシート幅方向内側へ所定の角度(β°)で斜めに延在するように配置される。
【0028】
したがって、その第1アームレスト部22の上面から第2アームレスト部24の上面にかけて、車両用シート10に着座した乗員の肘から手の甲までを楽な姿勢で置くことができる。すなわち、アームレスト20(第1アームレスト部22及び第2アームレスト部24)によって、車両用シート10に着座した乗員の肘から手の甲までを適切な角度で効果的に支持することができる。
【0029】
これにより、車両の走行中において、表示媒体の一例であるスマホを持った手を肘よりも高い位置(胸部付近)に楽に保持することができる。よって、スマホを手に持って、その画面(動画、静止画、文章等)を見ていても、その車両の走行中における振動により、手に持ったスマホが揺れるのを抑制することができる。つまり、スマホの画面が見え難くなったり、スマホに対する操作性が低減されたりすることを抑制することができる。
【0030】
また、スマホと乗員の視線との相対的な動きが低減されるため、長時間下を向いた姿勢で揺れるスマホの画面を注視することによる車酔いの発生を低減させることができる。また、スマホの保持位置が高い位置に安定的に維持されるため、乗員において、長時間下を向いた姿勢を維持することによる首部痛の発生も低減させることができる。更に、乗員の視野が高い位置に維持されるため、その乗員の視覚による車両周辺情報の取得が容易になる。
【0031】
また、アームレスト20は、第1アームレスト部22と第2アームレスト部24とで構成された折り畳み式とされている。そのため、このアームレスト20は、省スペース性に優れるとともに、車両用シート10(シートバック14)に対する搭載性も大幅に向上させることができる。
【0032】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るアームレスト20について説明する。なお、上記第1実施形態と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明(共通する作用も含む)は適宜省略する。
【0033】
図5図7に示されるように、この第2実施形態に係るアームレスト20は、ヒンジ部23の回動軸23Aが正面視でシート幅方向に対して傾いている点だけが、第1実施形態と異なっている。すなわち、この回動軸23Aは、図7(A)に示される正面視で、シート幅方向外側端部からシート幅方向内側下方へ向けて所定の角度(左右方向に対してγ°:例えばγ°=5°~15°)で傾斜するように設けられている。
【0034】
したがって、第2アームレスト部24が、展開位置を採ると、その上面は、第1実施形態の場合よりも、更にシート幅方向内側を向く。つまり、第2アームレスト部24の上面は、第1実施形態の場合に比べて、正面視で、より鉛直方向に近い角度でシート幅方向内側上方を向くように斜めに配置される。
【0035】
これにより、第2アームレスト部24の上面が、正面視で上方側を向いている場合に比べて、車両用シート10に着座した乗員の肘から手の甲までを、その第2アームレスト部24の上面に、より楽な姿勢で置くことができる。つまり、第2アームレスト部24の上面によって、車両用シート10に着座した乗員の肘から手の甲までを、手に持ったスマホの画面がより一層見え易く、かつ操作し易くなるような適切な角度(より自然な角度)で効果的に支持することができる。
【0036】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係るアームレスト20について説明する。なお、上記第1実施形態及び第2実施形態と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明(共通する作用も含む)は適宜省略する。
【0037】
図8図10に示されるように、この第3実施形態に係るアームレスト20は、第2アームレスト部24の長手方向他端部24B側に第3アームレスト部26を回動可能に備えるとともに、その第3アームレスト部26の長さの分だけ、第2アームレスト部24の長さが短くされている点だけが、第1実施形態と異なっている。
【0038】
第3アームレスト部26は、シート幅方向を高さ方向として見た場合で略三角注状に形成されており、その先端部26B(後述するヒンジ部25側とは反対側)は、図8(A)に示される側面視で鋭角状に尖っている。そして、第2アームレスト部24は、格納位置において、その長手方向他端部24Bにおける下端部が、第3アームレスト部26を収容可能なように、シート幅方向を高さ方向として見た場合で略三角柱状に切り欠かれている。
【0039】
第3アームレスト部26は、その基端部(一端部)26Aが、第2アームレスト部24の長手方向他端部24Bとの間に設けられたヒンジ部25により、所定の回動抵抗(摩擦)を有して回動可能に支持されている。そして、第3アームレスト部26は、第2アームレスト部24の展開位置において、第2アームレスト部24の上面側に配置される収納位置と、その先端部26Bが第2アームレスト部24の上面側から前方側へ回動して、側面視で斜め上方側へ延在するように配置される延長位置と、を選択的に採れるように構成されている。
【0040】
具体的に説明すると、第2アームレスト部24の格納位置(第1アームレスト部22の使用位置)において、第2アームレスト部24の長手方向他端部24Bにおける端面は、図8(A)に示される側面視で上端部から前方下側へ向かって所定の角度で傾斜する傾斜面24Dとされている。そして、第3アームレスト部26の基端部26Aにおける端面は、図8(A)に示される側面視で下端部から前方上側へ向かって所定の角度で傾斜する傾斜面26Cとされている。
【0041】
また、図10(A)に示されるように、ヒンジ部25は、その回動軸25Aが、第2アームレスト部24の格納位置において、傾斜面24Dの下方側で、かつ傾斜面26Cの上方側に、正面視でシート幅方向を軸方向として配置されるように、その傾斜面24Dと傾斜面26Cとの間に設けられている。
【0042】
これにより、第3アームレスト部26が、回動軸25Aを中心に上方側から回動して延長位置を採ったときに、傾斜面24Dに傾斜面26Cが当接し、第2アームレスト部24の延在方向に対して、側面視で斜め上方側へ所定の角度で延在するように配置される構成になっている。
【0043】
したがって、その第1アームレスト部22の上面から第2アームレスト部24及び第3アームレスト部26の上面にかけて、車両用シート10に着座した乗員の肘から手の甲までを楽な姿勢で置くことができる。つまり、アームレスト20(第1アームレスト部22、第2アームレスト部24及び第3アームレスト部26)によって、車両用シート10に着座した乗員の肘から手の甲までを、手に持ったスマホの画面が見え易く、かつ操作し易くなるような適切な角度で効果的に支持することができる。
【0044】
なお、この第3実施形態に係るアームレスト20において、上記第2実施形態と同様に、ヒンジ部23の回動軸23Aを正面視でシート幅方向に対して傾かせてもよい。すなわち、その回動軸23Aが、正面視で、シート幅方向外側端部からシート幅方向内側下方へ向けて所定の角度(左右方向に対してγ°)で傾斜するように設けられていてもよい。これによれば、車両用シート10に着座した乗員の肘から手の甲までをより一層適切な角度(より自然な角度)で効果的に支持することができる。
【0045】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係るアームレスト20について説明する。なお、上記第1実施形態及び第2実施形態と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明(共通する作用も含む)は適宜省略する。
【0046】
図11図13に示されるように、この第4実施形態に係るアームレスト20は、第2アームレスト部24が、第1アームレスト部22の上面側から前方側へ回動する際に、シートバック14の側部14Aに接触しないようにするための切欠部28を有している点だけが、第1実施形態及び第2実施形態と異なっている。
【0047】
具体的には、第2アームレスト部24の格納位置において、シートバック14の側部14Aと対向する長手方向他端部24Bにおけるシート幅方向内側の領域には、所定の幅W(側部14Aとオーバーラップする第2アームレスト部24の長手方向に沿った長さ)及び所定の深さDとされた切欠部28が、第2アームレスト部24の全高に亘って形成されている。したがって、第2アームレスト部24は、シートバック14の側部14Aに干渉(摺接)することなく、スムーズに第1アームレスト部22の上面側から前方側へ回動することができる。
【0048】
<参考例>
最後に、参考例に係るアームレスト20について説明する。なお、上記第1実施形態と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明(共通する作用も含む)は適宜省略する。
【0049】
図14図15に示されるように、この参考例に係るアームレスト20は、第1アームレスト部22の使用位置において、第2アームレスト部24が、第1アームレスト部22の下面側に配置されて格納されている点と、その格納位置と前方側へ回動した展開位置とを採る際に、第2アームレスト部24を第1アームレスト部22に対して固定するロック機構30を有している点だけが、第1実施形態と異なっている。
【0050】
具体的に説明すると、第1アームレスト部22の使用位置において、第1アームレスト部22の長手方向他端部22Bにおける端面は、図14(A)に示される側面視で上端部から前方下側へ向かって所定の角度(上下方向に対してα°/2)で傾斜し、かつ図15(A)に示される平面視でシート幅方向内側端部からシート幅方向外側前方へ向かって所定の角度(左右方向に対してβ°/2)で傾斜する傾斜面22Cとされている。
【0051】
そして、第2アームレスト部24の格納位置(第1アームレスト部22の使用位置)において、第2アームレスト部24の長手方向一端部24Aにおける端面は、図14(A)に示される側面視で下端部から前方上側へ向かって所定の角度(上下方向に対してα°/2)で傾斜し、かつ図15(A)に示される平面視でシート幅方向内側端部からシート幅方向外側前方へ向かって所定の角度(左右方向に対してβ°/2)で傾斜する傾斜面24Cとされている。
【0052】
また、図14に示されるように、ヒンジ部23は、その回動軸23Aが、第2アームレスト部24の格納位置において、傾斜面22Cの下方側で、かつ傾斜面24Cの上方側に、正面視でシート幅方向を軸方向として配置されるように、その傾斜面22Cと傾斜面24Cとの間に設けられている。
【0053】
これにより、第2アームレスト部24が、回動軸23Aを中心に下方側から回動して展開位置を採ったときに、傾斜面22Cに傾斜面24Cが当接し、第1アームレスト部22の延在方向に対して、図14(B)に示される側面視で斜め上方側へ所定の角度(α°)で延在し、かつ図15(B)に示される平面視でシート幅方向内側へ所定の角度(β°)で斜めに延在するように配置される構成になっている。
【0054】
そして、ロック機構30は、第2アームレスト部24を第1アームレスト部22に対して、格納位置と展開位置とに保持できるように構成されている。すなわち、第2アームレスト部24のシート幅方向外側を向く外側面には、そのシート幅方向外側へ突出する円柱状のガイドピン27(図14参照)が突設されており、ロック機構30は、このガイドピン27を格納位置と展開位置とにそれぞれ保持するようになっている。
【0055】
ロック機構30は、ケース32内に円弧状のガイド溝34を有しており、ガイドピン27は、このガイド溝34に挿入され、このガイド溝34に沿って移動するように構成されている。また、ケース32におけるガイド溝34の延在方向一端側には、第2アームレスト部24が格納位置を採ったときのガイドピン27を保持可能な板バネ36の一端部36Aが配置されており、ケース32におけるガイド溝34の延在方向他端側には、第2アームレスト部24が展開位置を採ったときのガイドピン27を保持可能な板バネ36の他端部36Bが配置されている。
【0056】
板バネ36の一端部36Aは、ガイド溝34内に所定の角度で張り出しており、ガイドピン27は、その板バネ36の一端部36Aを弾性変形させつつ乗り越えることで、そのガイド溝34内の延在方向一端側に保持されるようになっている。つまり、第2アームレスト部24が格納位置に保持されるようになっている。
【0057】
同様に、板バネ36の他端部36Bも、ガイド溝34内に所定の角度で張り出しており、ガイドピン27は、その板バネ36の他端部36Bを弾性変形させつつ乗り越えることで、そのガイド溝34内の延在方向他端側に保持されるようになっている。つまり、第2アームレスト部24が展開位置に保持されるようになっている。
【0058】
このような構成とされた参考例に係るアームレスト20によれば、第1実施形態~第4実施形態とは異なり、使用位置に配置された第1アームレスト部22の高さ位置を、第2アームレスト部24が展開位置に配置されたときでも変わらないようにすることができる(同じ高さ位置のまま維持することができる)利点がある。
【0059】
以上、本実施形態に係る車両用シート10のアームレスト20について、図面を基に説明したが、本実施形態に係る車両用シート10のアームレスト20は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。
【0060】
例えば、使用位置に配置された第1アームレスト部22及び展開位置に配置された第2アームレスト部24において、乗員の肘から手の甲までを置く各上面を、その長手方向と直交する断面視で、僅かに凹んだ略円弧形状等に形成してもよい。これによれば、乗員の肘から手の甲までの第1アームレスト部22の上面及び第2アームレスト部24の上面によるホールド性を向上させることができる。
【0061】
また、第3実施形態においては、第3アームレスト部26が設けられていることにより、第2アームレスト部24の長さが第1実施形態及び第2実施形態の場合よりも短くされている。そのため、第3実施形態における第2アームレスト部24を展開位置へ回動させる際、第4実施形態のような切欠部28を設けていなくても、シートバック14の側部14Aに干渉(摺接)することがない。つまり、この第3実施形態における第2アームレスト部24も、スムーズに展開位置へ回動させることができる。
【符号の説明】
【0062】
10 車両用シート
14 シートバック
14A 側部
20 アームレスト
22 第1アームレスト部
24 第2アームレスト部
26 第3アームレスト部
28 切欠部
図1
図2
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