(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176612
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】電子レンジ調理用容器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
A47J27/00 107
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022088986
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】592199869
【氏名又は名称】エビス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100224627
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 稔
(72)【発明者】
【氏名】原田 陽平
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA10
4B055BA54
4B055CA21
4B055CB03
4B055CB09
4B055CC56
4B055DB15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】加工食品の加工食品の味または食感を損なうことを抑制する。
【解決手段】電子レンジ調理用容器は、上部に開口を有する容器本体と、複数の貫通孔が設けられ、加工食品が載せ置かれる載置面を有し、容器本体に取り付けられた笊部材と、上方に湾曲した形状を有し、載置面を覆うように笊部材に取り付けられた蓋体とを備える。蓋体は、中心部から周縁部に向かって水平方向に対する傾斜が大きくなるように形成されている。蓋体は、中心部を有する上面部と、周縁部から上面部に向かって上方に立ち上がって設けられ、上面部の傾斜よりも大きい傾斜を有する蓋体側壁部とを備える。蓋体には、蓋体の内面から突出する複数のリブが設けられている。複数のリブの各々は、上面部のうち中心部とは異なる部分に位置する一端部から蓋体側壁部に向かって延び、上面部内で終端している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部および前記底部の外縁部から上方に立ち上がった本体側壁部を有し、上部に開口を有する容器本体と、
複数の貫通孔を含む載置面であって、加工食品が載置される載置面を有し、前記載置面が前記底部から間隔を開けて配置される笊部材と、
中心部と前記中心部を取り囲む周縁部とを有する蓋体であって、前記中心部が頂点になるように上方に湾曲した形状を有し、前記載置面を覆うように配置される蓋体と
を備え、
前記蓋体は、
前記中心部を含む上面部であって、前記中心部から前記周縁部側に向かって下り勾配を有する上面部と、
前記周縁部から前記上面部に向かって上方に立ち上がって設けられ、前記上面部側から前記周縁部に向かって、前記上面部の前記下り勾配の角度よりも大きな角度の下り勾配を有する蓋体側壁部と、
前記蓋体の内面から突出する複数のリブと
を備え、
前記複数のリブの各々は、前記上面部のうち前記中心部とは異なる部分に位置する一端部から前記蓋体側壁部に向かって延び、前記上面部内で終端している、電子レンジ調理用容器。
【請求項2】
前記複数のリブは、前記中心部から放射状に延びており、
前記複数のリブの前記一端部は、互いに間隔を開けて配置されている、請求項1に記載の電子レンジ調理用容器。
【請求項3】
前記載置面の面積に対する前記複数の貫通孔の開口面積の割合である開口率が40%以上である、請求項1または2に記載の電子レンジ調理用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ調理用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中華まんや焼売等(以下、加工食品という場合がある)を加熱調理するために電子レンジが用いられることがある。加工食品をそのまま電子レンジで加熱すると、加工食品に含まれる水分が蒸発する。これに伴って、加工食品が乾燥し、パサついたり、加工食品の一部が硬くなったりすることがある。このような状況に鑑み、加工食品の水分の蒸発を抑制する電子レンジ調理用容器が提供されている(例えば、特許文献1参照)。この種の電子レンジ調理用容器は、上部が開放した容器本体と、容器本体に収められ、加工食品を載せる笊と、笊上の加工食品を覆う蓋体とを備え、蓋体によって加工食品から蒸発する水分が外部に放出されることを抑制するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記構成の電子レンジ調理用容器では、加工食品から出た水分(蒸気)が、蓋体の内面で冷えて凝縮し、水滴が加工食品の上に落下することがある。その結果、加工食品がふやけたり水っぽくなったりして、加工食品の味または食感を損なうことがある。
【0005】
本発明は、加工食品の味または食感を損なうことを抑制することができる電子レンジ調理用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、以下のように構成する。
本発明の一態様に係る容器は、
底部および前記底部の外縁部から上方に立ち上がった本体側壁部を有し、上部に開口を有する容器本体と、
複数の貫通孔を含む載置面であって、加工食品が載置される載置面を有し、前記載置面が前記底部から間隔を開けて配置される笊部材と、
中心部と前記中心部を取り囲む周縁部とを有する蓋体であって、前記中心部が頂点になるように上方に湾曲した形状を有し、前記載置面を覆うように配置される蓋体と
を備え、
前記蓋体は、
前記中心部を含む上面部であって、前記中心部から前記周縁部側に向かって下り勾配を有する上面部と、
前記周縁部から前記上面部に向かって上方に立ち上がって設けられ、前記上面部側から前記周縁部に向かって、前記上面部の前記下り勾配の角度よりも大きな角度の下り勾配を有する蓋体側壁部と、
前記蓋体の内面から突出する複数のリブと
を備え、
前記複数のリブの各々は、前記上面部のうち前記中心部とは異なる部分に位置する一端部から前記蓋体側壁部に向かって延び、前記上面部内で終端している。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、加工食品の味または食感を損なうことを抑制することができる電子レンジ調理用容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態の電子レンジ調理用容器の分解斜視図。
【
図2】
図1に示す電子レンジ調理用容器の縦断面図。
【
図3】
図1に示す電子レンジ調理用容器の容器本体の上面図。
【
図4】
図1に示す電子レンジ調理用容器の笊部材の上面図。
【
図6】
図1に示す電子レンジ調理用容器の蓋体の底面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者らは、加工食品(ここでは中華まん)の味または食感を損なうことを抑制するために鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
【0010】
上述したように、従来の電子レンジ調理用容器では、容器内で発生した蒸気が、蓋体の内面で冷えて凝縮し、水滴が加工食品の上に落下することがある。その結果、加工食品がふやけたり水っぽくなったりして、加工食品の味または食感を損なうことがある。
【0011】
そこで、本発明者らは、緩やかな傾斜(下り勾配)を有する上面部と、上面部に接続され、上面部よりも急な傾斜(上面部での下り勾配の角度よりも大きな角度の下り勾配)を有する蓋体側壁部とを有する蓋体を備える電子レンジ調理用容器において、以下の構成を見出した。すなわち、本発明者らは、蓋体の内面に、上面部のうち蓋体の中心部とは異なる部分に位置する一端部から蓋体側壁部に向かって延び、上面部内で終端している複数のリブを設けるという構成を見出した。
【0012】
この構成によれば、以下に述べるように、加工食品の味または食感が損なわれることを抑制することができる。
【0013】
リブに付着し成長した水滴は、リブに沿って蓋体側壁部に向かって流れる。また、隣接する2つのリブの間に付着した水滴は、リブに付着した水滴と結合して、リブに沿って蓋体側壁部に向かって流れる。蓋体側壁部に達した水滴は、真下に落ちることなく、蓋体側壁部に沿って蓋体の周縁部まで流れる。これにより、蓋体の内面で発生した水滴が加工食品の上に落下することを抑制することができ、加工食品の味または食感が損なうことを抑制することができる。
【0014】
蓋体の中心部は傾斜が緩やかな部分であるため、リブが蓋体の中心部にまで延びている場合、リブに付着し成長した水滴がリブに沿って流れず、加工食品の上に落下することがある。これに対して、この構成によれば、リブの一端部が蓋体の中心部とは異なる部分に位置しているので、蓋体の中心部に付着した水滴が成長して、加工食品の上に落下することを抑制することができる。その結果、加工食品の味または食感が損なうことを抑制することができる。
【0015】
また、リブが蓋体側壁部にまで延びている場合、蓋体側壁部において隣接する2つのリブの間の間隔が広くなるため、蓋体側壁部に付着した水滴がリブに付着した水滴と結合できず、真下に落ちることがある。これに対して、この構成によれば、リブが上面部内で終端しており、蓋体側壁部にまで延びていないため、リブに沿って流れた水滴は、蓋体側壁部では蓋体側壁部に沿って広がりながら流れる。これにより、蓋体側壁部に付着した水滴はリブから流れてきた水滴と結合して蓋体側壁部に沿って蓋体の周縁部に流れるため、蓋体の内面で発生した水滴が加工食品の上に落下することを抑制することができる。その結果、加工食品の味または食感が損なうことを抑制することができる。
【0016】
また、従来の電子レンジ調理用容器として、容器内に水またはお湯を入れて電子レンジによる加熱調理時に水またはお湯を沸騰させることで、容器内に蒸気を発生させるものがある。このような電子レンジ調理用容器では、加工食品を載せる笊部材の開口率が小さい場合、容器の底に入れられた水が蒸発することで発生した蒸気が、十分に加工食品に供給されないことがある。その結果、加工食品の乾燥が十分に抑制できないことがある。
【0017】
そこで、本発明者らは、複数の貫通孔が設けられ、加工食品が載せ置かれる載置面を有する笊部材を備える容器において、以下の構成を見出した。すなわち、本発明者らは、載置面の面積に対する複数の貫通孔の開口面積の割合である開口率が40%以上、好ましくは50%以上であるという構成を見出した。この構成によれば、開口率が40%以上(好ましくは50%以上)であるため、発生した蒸気を十分に加工食品に供給することができ、加工食品の乾燥を抑制することができる。
【0018】
また、従来の電子レンジ調理用容器では、加工食品のうち笊部材の貫通孔の上方にある部分には、蒸気が十分に供給される一方で、加工食品のうち笊部材の貫通孔が設けられていない部分に載せられた部分には、蒸気が十分に供給されないことがある。その結果、加工食品を均等に加熱できないことがある。
【0019】
そこで、本発明者らは、笊部材の加工食品が載せ置かれる載置面が、互いに間隔を開けて配置され、上下方向に交差する方向に延びた複数の第1仕切部と、互いに間隔を開けて配置され、前記複数の第1仕切部と交差して延びた複数の第2仕切部とを有する電子レンジ調理用容器において、以下の構成を見出した。すなわち、本発明者らは、第2仕切部の上端部が第1仕切部の上端部よりも下方に位置するという構成を見出した。この構成によれば、加工食品を載置面に載せ置いたとき、加工食品が第1仕切部の上端部により支持されるため、加工食品と第2仕切部との間には隙間が形成される。この隙間を蒸気が通過することで、加工食品の加熱を均等にすることができる。
【0020】
また、従来の電子レンジ調理用容器として、容器内に水またはお湯を入れて電子レンジによる加熱調理時に水またはお湯を沸騰させることで、容器内に蒸気を発生させるものがある。このような電子レンジ調理用容器では、容器内の水が加熱されても沸騰しない状態、つまり過熱状態になり、十分に蒸気が発生しないことがある。このため、短い加熱時間では、加工食品の乾燥を抑制するための十分な量の蒸気が発生しないことがある。
【0021】
そこで、本発明者らは、水または熱湯を入れる容器本体の底部に複数の突起を配置するという構成を見出した。この構成によれば、底部に配置された突起をもとに沸騰が起きるため、容器本体に入れた水が過熱状態になることを抑制することができる。その結果、蒸気の発生を促進することができ、短い加熱時間でも、加工食品の乾燥を抑制するための十分な量の蒸気を発生させることができる。
【0022】
これらの新規な知見に基づき、本発明者らは、以下の発明に至った。
【0023】
本発明の一態様によれば、
底部および前記底部の外縁部から上方に立ち上がった本体側壁部を有し、上部に開口を有する容器本体と、
複数の貫通孔を含む載置面であって、加工食品が載置される載置面を有し、前記載置面が前記底部から間隔を開けて配置される笊部材と、
中心部と前記中心部を取り囲む周縁部とを有する蓋体であって、前記中心部が頂点になるように上方に湾曲した形状を有し、前記載置面を覆うように配置される蓋体と
を備え、
前記蓋体は、
前記中心部を含む上面部であって、前記中心部から前記周縁部側に向かって下り勾配を有する上面部と、
前記周縁部から前記上面部に向かって上方に立ち上がって設けられ、前記上面部側から前記周縁部に向かって、前記上面部の前記下り勾配の角度よりも大きな角度の下り勾配を有する蓋体側壁部と、
前記蓋体の内面から突出する複数のリブと
を備え、
前記複数のリブの各々は、前記上面部のうち前記中心部とは異なる部分に位置する一端部から前記蓋体側壁部に向かって延び、前記上面部内で終端している容器を提供する。
【0024】
この構成によれば、加工食品の味または食感が損なわれることを抑制することができる。
【0025】
一実施形態では、前記複数のリブは、前記中心部から放射状に延びてもよく、前記複数のリブの前記一端部は、互いに間隔を開けて配置されてもよい。
【0026】
一実施形態では、前記載置面の面積に対する前記複数の貫通孔の開口面積の割合である開口率が40%以上(好ましくは50%以上)であってもよい。
【0027】
この構成によれば、開口率が40%以上(好ましくは50%以上)であるため、発生した蒸気を十分に加工食品に供給することができ、加工食品の乾燥を抑制することができる。
【0028】
一実施形態では、前記載置面は、互いに間隔を開けて配置され、上下方向に交差する方向に延びた複数の第1仕切部と、互いに間隔を開けて配置され、前記複数の第1仕切部と交差して延びた複数の第2仕切部とを備えてもよく、前記複数の第1仕切部と前記複数の第2仕切部とにより前記複数の貫通孔が画定されてもよく、前記第2仕切部の上端部は、第1仕切部の上端部よりも下方に位置してもよい。
【0029】
この構成によれば、加工食品を載置面に載せ置いたとき、加工食品が第1仕切部の上端部により支持されるため、加工食品と第2仕切部との間には隙間が形成される。この隙間を蒸気が通過することで、加工食品の加熱を均等にすることができる。
【0030】
一実施形態では、前記底部には、複数の突起が配置されてもよい。
【0031】
この構成によれば、底部に配置された突起をもとに沸騰が起きるため、容器本体に入れた水が過熱状態になることを抑制することができる。その結果、蒸気の発生を促進することができ、短い加熱時間でも、加工食品の乾燥を抑制するための十分な量の蒸気を発生させることができる。
【0032】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。この実施形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0033】
また、以下では、説明の便宜上、通常使用時の状態を想定して「上」、「下」、「前」、「後」、「横」等の方向を示す用語を用いるが、本発明に係る容器の使用状態等を限定することを意味するものではない。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子レンジ調理用容器(以下、単に容器という)1の分解斜視図である。また、
図2は、
図1に示す容器1の縦断面図である。本実施形態の容器1は、内部に加工食品(本実施形態においては中華まん)H(
図2に示す)を収容可能であり、電子レンジによる加熱調理に使用できる。
【0035】
図1および
図2を参照すると、容器1は、全体として円柱状または略円柱状である。容器1の中心軸Cは、上下方向に延びている。以下の説明において、容器1の中心軸Cを単に中心軸Cという場合がある。また、以下の説明において、本実施形態では、中心軸Cを中心とする仮想円の径方向を単に径方向という場合があり、中心軸Cを中心とする仮想円の周方向を単に周方向という場合がある。
【0036】
容器1は、上部に開口10aを有する容器本体10と、笊部材20と、蓋体30とを有する。
【0037】
容器本体10は、有底筒状である。容器本体10の材料は、例えば、ポリプロピレンである。容器本体10は、円形状の底部11と、底部11の外縁部から上方に立ち上がった円筒状の本体側壁部12と、本体側壁部12の上端部から径方向の外側に延びた本体フランジ部13とを備える。容器本体10は、底部11と本体側壁部12により画定された空間に水を収容可能に構成されている。底部11は、中央部が上方に突出した湾曲面状である。また、本体側壁部12の上端部により、容器本体10の開口10aが画定されている。また、本体フランジ部13は、本体側壁部12の上端部の全周に設けられている。
【0038】
図3は、
図1に示す容器本体10の上面図である。
図3に示すように、底部11の上面には、上方に向けて突出した複数個の突起14が配置されている。1個の突起14が中心軸C上に配置されている。また、突起14は、中心軸Cを中心として同心状に配置された4つの仮想円C1~C4上に複数個ずつ配置されている。具体的には、仮想円C1上には、4個の突起14が周方向に等間隔に配置されている。仮想円C2上には、8個の突起14が周方向に等間隔に配置されている。仮想円C3上には、8個の突起14が周方向に等間隔に配置されている。仮想円C4上には、12個の突起14が周方向に等間隔に配置されている。
【0039】
図1および
図2を参照すると、笊部材20は、有底筒状である。笊部材20の材料は、例えば、ポリプロピレンである。笊部材20は、円形状の載置面21と、載置面21の外縁部から上方に立ち上がった円筒状の笊部材側壁部22と、笊部材側壁部22の上端部から側方に延びた笊部材フランジ部23とを有する。笊部材フランジ部23は、笊部材側壁部22の上端部の全周に渡って設けられている。
【0040】
載置面21は、
図2に示すように、加工食品の加工食品Hが載せ置かれるように構成されている。
図4は、
図1に示す笊部材20の上面図である。
図1および
図4を参照すると、載置面21は、複数の貫通孔21aが設けられた網目状である。具体的には、載置面21は、互いに間隔を開けて配置され、上下方向に交差する方向(
図4では横方向)に延びた7本の第1仕切部21bと、互いに間隔を開けて配置され、第1仕切部21bに交差して延びた3本の第2仕切部21cとを有する。本実施形態では、7本の第1仕切部21bは、縦方向(
図4では上下方向)互いに間隔を開けて配置されており、横方向(
図4では左右方向)に延びた板状である。本実施形態では、3本の第2仕切部21cは、横方向に間隔を開けて配置され、縦方向に延びた板状である。
【0041】
本実施形態では、笊部材側壁部22と、第1仕切部21bと、第2仕切部21cとにより貫通孔21aが画定されている。上面視において、載置面21の面積に対する複数の貫通孔21aの合計の開口面積の割合である開口率は、50%よりも大きい。つまり、載置面21の面積のうち、複数の貫通孔21aの合計の開口面積は、第1仕切部21bと第2仕切部21cとの合計の面積よりも大きい。開口率は、40%以上(好ましくは50%以上)であればよい。
【0042】
図5は、
図4のV-V線断面図である。
図5を参照すると、本実施形態では、第1仕切部21bの厚みT1は、第2仕切部21cの厚みT2よりも厚い。また、第1仕切部21bと第2仕切部21cとの交差部21dの厚みT3は、第1仕切部21bの厚みT1と同じである。また、第2仕切部21cの上端部は、第1仕切部21bの上端部よりも下方に位置している。これにより、載置面21の上面には、凹凸が形成されている一方で、載置面21の下面は、平坦面になっている。
【0043】
図2に明瞭に示すように、笊部材フランジ部23は、笊部材側壁部22の上端部から周方向に延びた円環状の第1横壁23aと、第1横壁23aの径方向の外側の端部から上方に立ち上がって設けられた円筒状の縦壁23bと、縦壁23bの上端部から周方向に延びた円環状の第2横壁23cとを備える。笊部材フランジ部23の第1横壁23aが容器本体10の本体フランジ部13に下方から支持されることで、笊部材20は、容器本体10に取り付けられる。
【0044】
図1および
図2に示すように、本実施形態の蓋体30は、全体としてドーム形状であり、下部に円形の開口を有している。蓋体30は、中心部30aと中心部30aを取り囲む周縁部30bとを含み、中心部30aが頂点になるように上方に湾曲した形状を有している。蓋体30は、中心部30aから周縁部30bに向かって下り勾配を有する。言い換えれば、蓋体30は、中心部30aから周縁部30bに向かって上下方向に直交する水平方向に対する傾斜θが徐々に大きくなるように形成されている。傾斜θは、蓋体30上の任意の点における接平面と水平面とのなす角度である。周縁部30b、つまり後述する蓋体側壁部により蓋体30の開口が画定されている。
【0045】
蓋体30は、中心部30aを含む上面部31と、周縁部30bから上面部31の外縁部に立ち上がって設けられた略円筒状の蓋体側壁部32と、蓋体側壁部32の下端部から径方向に延びた蓋体フランジ部33とを備える。蓋体フランジ部33は、蓋体側壁部32の下端部の全周に渡って設けられている。
【0046】
上面部31は、中心部30aが上方に突出した湾曲面である。上面部31は、中心部30aから周縁部30b側に向かって下り勾配を有する。上面部31は、中心部30aを含む頂部領域31aと、頂部領域31aと蓋体側壁部32とを接続する接続領域31bとを有する。頂部領域31aは、接線の傾斜θが12度未満(例えば、2度から11度)の領域である。また、接続領域31bは、接線の傾斜θが12度から30度まで変化する領域である。この実施形態では、接続領域31bは、曲面状であるが、屈曲部を介して接続された複数の平面から構成されてもよい。
【0047】
蓋体側壁部32は、
図2に示す断面において、略円弧状である。蓋体側壁部32は、上面部31側から周縁部30bに向かって、上面部31の下り勾配の角度よりも大きな角度の下り勾配を有する。蓋体側壁部32は、傾斜θが30度以上(例えば30度から83度)である。蓋体側壁部32の傾斜θは、周縁部30bに近づくにしたがって、垂直に近づくように形成されている。蓋体側壁部32の下端部、つまり周縁部30bが笊部材フランジ部23の第1横壁23aに支持されることで、蓋体30は笊部材20に取り付けられる。
【0048】
図6は、
図1に示す蓋体30の底面図である。
図6を参照すると、蓋体30の内面には、内面から突出し、中心部30aを中心に放射状に延びた6本のリブ34が設けられている。
図2および
図6を併せて参照すると、リブ34は、上面部31のうち中心部30aとは異なる部分に位置する一端部34aから蓋体側壁部32に向かって延び、上面部31内で終端している。リブ34の一端部34aは、頂部領域31aに配置されている。リブ34の一端部34aは、頂部領域31aのうち傾斜θが5度以上の部分に配置されることが好ましい。リブ34の他端部34bは、接続領域31bに配置されている。
【0049】
本実施形態の容器1によれば、以下に説明するように、加工食品Hの味または食感が損なわれることを抑制することができる。
【0050】
リブ34に付着し成長した水滴は、リブ34に沿って蓋体側壁部32に向かって流れる。また、隣接する2つのリブ34の間に付着した水滴は、リブ34に付着した水滴と結合して、リブ34に沿って蓋体側壁部32に向かって流れる。蓋体側壁部32に達した水滴は、真下に落ちることなく、蓋体側壁部32に沿って周縁部まで流れる。これにより、蓋体30の内面で発生した水滴が加工食品Hの上に落下することを抑制することができ、加工食品Hの味または食感が損なうことを抑制することができる。
【0051】
蓋体30の中心部30aは傾斜が小さい部分であるため、リブ34が蓋体30の中心部30aにまで延びている場合、リブ34に付着し成長した水滴がリブ34に沿って流れず、加工食品Hの上に落下することがある。これに対して、本実施形態では、リブ34の一端部34aが蓋体30の中心部30aとは異なる部分に位置しているので、蓋体30の中心部30aに付着した水滴が成長して、加工食品Hの上に落下することを抑制することができる。その結果、加工食品Hの味または食感が損なうことを抑制することができる。
【0052】
リブ34が蓋体側壁部32にまで延びている場合、蓋体側壁部32において隣接する2つのリブ34の間の間隔が広くなるため、蓋体側壁部32に付着した水滴がリブ34に付着した水滴と結合できず、真下に落ちることがある。これに対して、本実施形態では、リブ34が上面部内で終端しており、蓋体側壁部32にまで延びていないため、リブ34に沿って流れた水滴は、蓋体側壁部32では蓋体側壁部32に沿って広がりながら流れる。これにより、蓋体側壁部32に付着した水滴はリブ34から流れてきた水滴と結合して蓋体側壁部32に沿って周縁部に流れるため、蓋体30の内面で発生した水滴が加工食品Hの上に落下することを抑制することができる。その結果、加工食品Hの味または食感が損なうことを抑制することができる。
【0053】
載置面21の面積に対する複数の貫通孔21aの開口面積の割合である開口率が40%未満であると、発生した蒸気が十分に加工食品Hに届かないことがある。この場合、加工食品Hの乾燥を十分に抑制することができないことがある。これに対して、本実施形態では、開口率が40%以上であるため、発生した蒸気を十分に加工食品Hに供給することができ、加工食品Hの乾燥を抑制することができる。
【0054】
本実施形態では、第2仕切部21cの上端部が第1仕切部21bの上端部よりも下方に位置する。加工食品Hを載置面21に載せ置いたとき、加工食品Hは、第1仕切部21bの上端部により支持されるため、加工食品Hと第2仕切部21cとの間には隙間が形成される。この隙間を蒸気が通過することで、加工食品Hの加熱を均等にすることができる。
【0055】
本実施形態では、容器本体10の底部11に複数の突起14が配置されている。突起14をもとに沸騰が起きることで、容器本体10に入れた水が過熱状態になることを抑制することができる。その結果、蒸気の発生を促進することができ、加熱時間を短縮することできる。
【0056】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は前記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、前記実施形態で記載した内容の一部を削除または置換したものを、この発明の一実施形態としてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 容器
10 容器本体
10a 開口
11 底部
12 本体側壁部
13 本体フランジ部
14 突起
20 笊部材
21 載置面
21a 貫通孔
21b 第1仕切部
21c 第2仕切部
21d 交差部
22 笊部材側壁部
23 笊部材フランジ部
23a 第1横壁
23b 縦壁
23c 第2横壁
30 蓋体
30a 中心部
30b 周縁部
31 上面部
31a 頂部領域
31b 接続領域
32 蓋体側壁部
33 蓋体フランジ部
34 リブ
34a 一端部
34b 他端部