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特開2023-17662ベンゾトリアゾール系高分子体およびこれを用いた紫外線吸収剤
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  • 特開-ベンゾトリアゾール系高分子体およびこれを用いた紫外線吸収剤 図1
  • 特開-ベンゾトリアゾール系高分子体およびこれを用いた紫外線吸収剤 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017662
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】ベンゾトリアゾール系高分子体およびこれを用いた紫外線吸収剤
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/36 20060101AFI20230131BHJP
   C08F 216/06 20060101ALI20230131BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20230131BHJP
   C08F 291/08 20060101ALN20230131BHJP
【FI】
C08F220/36
C08F216/06
C09K3/00 104C
C08F291/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122060
(22)【出願日】2021-07-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り https://drive.google.com/file/d/1nav3Mrc4cGwy9tPaM7cYS2PzmT-g_AXC/view 掲載年月日 令和2年10月30日公開
(71)【出願人】
【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
(71)【出願人】
【識別番号】301000675
【氏名又は名称】シプロ化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126549
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 信治
(72)【発明者】
【氏名】阪口 壽一
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 円香
(72)【発明者】
【氏名】橋本 保
(72)【発明者】
【氏名】上坂 敏之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 彰次郎
【テーマコード(参考)】
4J026
4J100
【Fターム(参考)】
4J026AA30
4J026AA38
4J026AC23
4J026AC30
4J026AC35
4J026BA29
4J026BA30
4J026BB01
4J026BB06
4J026CA01
4J026DA02
4J026DA12
4J026DB02
4J026DB09
4J026DB13
4J026DB14
4J026FA03
4J026FA08
4J100AD02Q
4J100AD02R
4J100AG04Q
4J100AG04R
4J100AL08P
4J100BA02P
4J100BA03P
4J100BC43P
4J100BC73P
4J100CA04
4J100CA05
4J100CA31
4J100DA61
4J100DA65
4J100EA03
4J100FA03
4J100FA19
4J100GC07
4J100GC26
4J100GC35
4J100HA09
4J100HB39
4J100JA01
4J100JA07
4J100JA32
4J100JA57
(57)【要約】
【課題】紫外領域全体を吸収し、親水性の化粧基材や有機材料に対して高い溶解性を示しながら水溶液は強酸性ではなく、さらに加水分解を起こさない新規高分子化合物を提供すること。
【解決手段】一般式(1)のベンゾトリアゾール誘導体化合物の構成単位と、一般式(2)の構成単位とを含むベンゾトリアゾール系高分子体とする。[m,nは2以上の整数、Rは水素原子、炭素数1~8のアルキル基、フェニル基、トリル基、ホルミル基、アルキル炭素数1~7のアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、またはトルオイル基、Rは炭素数1~8のアルキレン基、Rは水素原子、またはメチル基]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール誘導体化合物の構成単位と、下記の一般式(2)で表される構成単位とを含むことを特徴とする、ベンゾトリアゾール系高分子体。
【化1】
一般式(1)
[式中、mは2以上の整数を表し、Rは水素原子、炭素数1~8のアルキル基、フェニル基、トリル基、ホルミル基、アルキル炭素数1~7のアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、またはトルオイル基を表し、Rは炭素数1~8のアルキレン基を表し、Rは水素原子、またはメチル基を表す]
【化2】
一般式(2)
[式中、nは2以上の整数を表す]
【請求項2】
上記一般式(1)におけるRが炭素数2~8のアルキル基であり、Rがエチレン基である、請求項1記載のベンゾトリアゾール系高分子体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のベンゾトリアゾール系高分子体を含有する紫外線吸収剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なベンゾトリアゾール系高分子体に関し、さらに、これを含有する紫外線吸収剤に関する。さらに詳しくは、紫外領域全体を吸収し、親水性の化粧基材や有機材料に対して高い溶解性を示しながら水溶液は弱酸性~中性であり、さらに加水分解を起こさない紫外線吸収剤に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光に含まれる紫外線は、UV-A領域(320~400nm)、UV-B領域(290~320nm)、UV-C領域(~290nm)に分けられるが、UV-A領域(320~400nm)およびUV-B領域(290~320nm)の紫外線は、皮膚へ様々な影響を及ぼす。UV-A領域は皮膚の黒化や、血管や皮膚組織への影響があるとされ、UV-B領域は紅斑や水疱の形成、メラニン形成亢進、色素沈着を引き起こすことが知られている。このような光による皮膚への悪影響を防ぐため、従来より各種の紫外線吸収剤が化粧品等に添加されており、例えば、安息香酸系、ケイ皮酸系、ベンゾフェノン系、ジベンゾイルメタン系、サリチル酸系等の化合物が使用されている。
【0003】
また、有機材料は太陽光の紫外線の作用によって劣化し、分解や変色などの現象を引き起こすことがよく知られている。このような光による劣化を防ぐため、従来より各種の紫外線吸収剤が有機材料に添加されており、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、サリシレート系、トリアジン系等の化合物が使用されている。
【0004】
しかし、これら紫外線吸収剤は一般的に疎水性であることから、親水性の化粧品や有機材料への使用は困難であった。親水性の化粧品に紫外線吸収剤の配合が望まれているほか、親水性の有機材料を用いる、水性インク、水性塗料、消臭剤、芳香剤、ヘアケア製品、ボディーケア製品等に紫外線吸収剤の使用が望まれている。
【0005】
現在使用されている親水性の紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物にスルホ基を導入した、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸水和物(商品名「SEESORB 101S」シプロ化成製)がある。親水性置換基であるスルホ基を導入することで、ベンゾフェノン系化合物に親水性を持たせることができるが、スルホ基の影響で水溶液のpHは強酸性であり、使用できる用途は非常に限定される。
【0006】
特許文献1および特許文献2では、ケイ皮酸系化合物に糖鎖を導入して親水性を付与しているが、ケイ皮酸系化合物は主にUV-B領域を吸収するため、紫外線領域全体を吸収するには、他の紫外線吸収剤との併用が必要である。特許文献3では、ベンゾトリアゾール系化合物に親水性を付与できるポリエチレングリコール誘導体化合物をエステル結合により導入することで、親水性の紫外線吸収剤を実現しているが、本発明者が実際に合成して水溶液で保管したところ、徐々にエステル結合が加水分解して分解物が析出することが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9-263596号
【特許文献2】特開平9-268194号
【特許文献3】特開2014―37352号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような状況下、本発明における課題は、紫外領域全体を吸収し、親水性の化粧基材や有機材料に対して高い溶解性を示しながら水溶液は強酸性ではなく、さらに加水分解を起こさないベンゾトリアゾール系高分子体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、紫外線吸収剤として用いることのできる新規のベンゾトリアゾール系高分子体であって、下記の一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール誘導体化合物の構成単位と、下記の一般式(2)で表される構成単位を含むものとすることを上記課題の主要な解決手段とする。
【化1】
一般式(1)
[式中、mは2以上の整数を表し、Rは水素原子、炭素数1~8のアルキル基、フェニル基、トリル基、ホルミル基、アルキル炭素数1~7のアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、またはトルオイル基を表し、Rは炭素数1~8のアルキレン基を表し、Rは水素原子、またはメチル基を表す]
【化2】
一般式(2)
[式中、nは2以上の整数を表す]
【0010】
好ましくは上記一般式(1)で示されるベンゾトリアゾール誘導体化合物の構成単位は、Rが炭素数2~8のアルキル基であり、Rがエチレン基で表される化合物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のベンゾトリアゾール系高分子体は、紫外領域全体を吸収し、親水性の化粧基材や有機材料に対して高い溶解性を示しながら水溶液は弱酸性~中性であり、さらに加水分解を起こさないことから、従来技術の課題を解決し得る紫外線吸収剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明につき詳細に説明する。本発明は、紫外線吸収剤として好適に使用できる、下記の一般式(1)で表されるベンゾトリアゾール誘導体化合物の構成単位と、下記の一般式(2)で表される構成単位を含むベンゾトリアゾール系高分子体である。以下に一般式(1)、および一般式(2)について説明する。
【化1】
一般式(1)
【0013】
一般式(1)中、mは2以上の整数であり、Rは水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基等の炭素数1~8の直鎖または分岐のアルキル基;フェニル基;トリル基;ホルミル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、オクタノイル基、2-エチルヘキサノイル基等のアルキル炭素数1~7の直鎖又は分岐のアルキルカルボニル基;ベンゾイル基;トルオイル基が挙げられ、Rはメチレン基、エチレン基、トリエチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等の炭素数1~8の直鎖または分岐のアルキレン基が挙げられ、Rは水素原子;メチル基が挙げられる。
【0014】
上記一般式(1)で示されるベンゾトリアゾール誘導体化合物の構成単位は、好ましくは、Rが炭素数2~8のアルキル基であり、Rがエチレン基で表される化合物である。
【0015】
上記一般式(1)を含むベンゾトリアゾール系高分子体を合成する際には、ベンゾトリアゾール単量体を用いて重合反応を行う。ベンゾトリアゾール単量体としては、例えば、次に示すものを挙げることができる。2-[2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルメタクリレート、2-[2-(4-エトキシ-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルメタクリレート、2-[2-(4-ブトキシ-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルメタクリレート、2-[2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルメタクリレート、2-[2-(4-ベンゾイルオキシ-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルメタクリレート、4-[2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]ブチルメタクリレート、4-[2-(4-エトキシ-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]ブチルメタクリレート、4-[2-(4-ブトキシ-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]ブチルメタクリレート、4-[2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]ブチルメタクリレート、4-[2-(4-ベンゾイルオキシ-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]ブチルメタクリレート、2-[2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルアクリレート、2-[2-(4-エトキシ-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルアクリレート、2-[2-(4-ブトキシ-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルアクリレート、2-[2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルアクリレート、2-[2-(4-ベンゾイルオキシ-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルアクリレート等。
【0016】
ここに例示する化合物の中で、特に2-[2-(4-エトキシ-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルメタクリレート、2-[2-(4-ブトキシ-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルメタクリレート、2-[2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルメタクリレート、2-[2-(4-エトキシ-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルアクリレート、2-[2-(4-ブトキシ-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルアクリレート、2-[2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルアクリレートが好ましく用いられる。
【0017】
上記一般式(1)を含むベンゾトリアゾール系高分子体を合成する際に用いるベンゾトリアゾール単量体を合成する方法に特に限定はなく、従来公知の反応原理を広く用いることができ、たとえば、下記(化3~化6)に示した反応式を経て合成することができる。ただし、Xはハロゲン原子を表す。
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【0018】
【化2】
一般式(2)
[式中、nは2以上の整数を表す]
【0019】
ベンゾトリアゾール系高分子体の合成法として、ベンゾトリアゾール単量体およびビニルエステル単量体を共重合して、その後にけん化する方法がある。
【0020】
共重合およびけん化によりベンゾトリアゾール系高分子体を合成する際に用いるビニルエステル単量体は、特に制限されるものではなく、例えば、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が用いられ、これらは、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0021】
共重合およびけん化によりベンゾトリアゾール系高分子体を合成する際に、ベンゾトリアゾール単量体とビニルエステル単量体以外に、その他の単量体成分も共重合してもよい。添加するその他の単量体成分は特に制限されるものではなく、種々の単量体成分を用いることができる。例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等のアルケン;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン元素含有の不飽和単量体;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族不飽和単量体;アリルアルコール;ビニルエーテル;ビニルアミン;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和シアン化合物単量体;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基含有不飽和単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有の不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N‐イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N'-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、1-ビニルイミダゾール、N-ビニルカルバゾール、(4-ビニルフェニル)-ジフェニルアミン等の含窒素不飽和単量体等が挙げられる。また、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0022】
共重合およびけん化によりベンゾトリアゾール系高分子体を合成する際の共重合方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の重合方法、例えば、ラジカル重合、イオン重合による連鎖重合反応を用いた溶液重合法、塊状(バルク)重合法、懸濁(パール)重合法、リビング重合法、光重合法等を採用することができる。
【0023】
共重合およびけん化によりベンゾトリアゾール系高分子体を合成する際のけん化方法に特に限定はなく、従来公知のけん化方法を広く用いることができる。例えば、水;メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等の1種、又は2種以上を溶媒として用いることができ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド等の塩基触媒を用いて、ビニルエステルを加水分解し、ビニルアルコールにすることができる。また、塩基触媒量、けん化温度、けん化時間を調整してけん化度を調整し、一部のビニルエステルを残すことができる。
【0024】
ベンゾトリアゾール系高分子体の合成法として、ベンゾトリアゾール単量体と一般式(2)を構成単位とするポリビニルアルコール誘導体化合物をグラフト重合する方法がある。
【0025】
一般式(2)を構成単位とするポリビニルアルコール誘導体化合物としては、具体的には、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル-ビニルアルコール重合体、エチレン-ビニルアルコール重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-ビニルアルコール重合体、アクリルアミド-ビニルアルコール重合体、アクリル酸アルキルエステル-ビニルアルコール重合体、メタクリル酸アルキルエステル-ビニルアルコール重合体、アリルアルコール-ビニルアルコール重合体、ビニルアミン-ビニルアルコール重合体などが挙げられる。
【0026】
ベンゾトリアゾール単量体と一般式(2)を構成単位とするポリビニルアルコール誘導体化合物をグラフト重合する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の重合方法、例えば、ラジカル重合、イオン重合による連鎖重合反応を用いた溶液重合法、塊状(バルク)重合法、懸濁(パール)重合法、リビング重合法、光重合法等を採用することができる。
【0027】
ベンゾトリアゾール系高分子体における上記一般式(1)の構成比は、0.5~50%の範囲が好ましく、上記一般式(2)の構成比は、25~99.5%の範囲が好ましい。
【0028】
ベンゾトリアゾール系高分子体の合成を行う際に、溶液重合法により重合する場合において用いることができる溶媒としては、具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、その他の高沸点の芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら溶媒は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。また、溶媒の使用量は、特に限定されるものではない。
【0029】
ベンゾトリアゾール系高分子体の合成を行う際に、懸濁(パール)重合法により重合する場合において用いることができる分散剤としては、具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、 ポリ(メタ)アクリル酸またはその塩、スチレンとマレイン酸共重合体の塩、α-メチルスチレンとアクリル酸共重合体の塩、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリルアミド、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、デンプン、トラガント、ペクチン、グルー、アルギン酸またはその塩等の高分子界面活性剤;ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリオキシアルキレン系分散剤;ポリオキシエチレン-アルキルエーテル、ポリオキシエチレン-アルキルフェノール、ポリオキシエチレン-多価アルコールエステル、多価アルコールと脂肪酸とのエステル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロック縮合物等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。また、これら分散剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。また、分散剤の使用量は、特に限定されるものではない。
【0030】
また、ベンゾトリアゾール系高分子体の合成を行う際に、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法により重合する場合には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、具体的には、例えば、 2,2'-アゾビス-(2-メチルブチロニトリル) 、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’ -アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t- ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等の油溶性のラジカル重合開始剤;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、t-ブチルパーオキサイド、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]・二塩酸塩、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]・二硫酸・二水和物、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)・二塩酸塩 、2,2-アゾビス〔N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}・二塩酸塩、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-エチルプロパン)・二塩酸塩、2、2-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2-アゾビス(N-ヒドロキシエチルイソブチルアミド)、4,4-アゾビス(4-シアノペンタン酸)等の水溶性のラジカル重合開始剤;過硫酸塩類や有機過酸化物類の重合開始剤にナトリウムスルホオキシレートホルムアルデヒド、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、過酸化水素、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、L-アスコルビン酸、およびその塩、第一銅塩、第一鉄塩などの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いるレドックス系開始剤;ベンゾフェノン、N,N′-テトラアルキル-4,4′-ジアミノベンゾフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパノン-1、4,4′-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-メトキシ-4′-ジメチルアミノベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、アルキルアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2,4-ジ(p-メトキシフェニル)-5-フェニルイミダゾール二量体、2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体、N-フェニルグリシン、N-フェニルグリシン誘導体、9-フェニルアクリジン等のアクリジン誘導体、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(o-ベンゾイルオキシム)]等のオキシムエステル類、7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリン等のクマリン系化合物、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系化合物等の光(主として紫外線)開裂型ラジカル重合開始剤;有機リチウム、ナトリウム化合物、グリニヤール試薬、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムアルコキシド、アルコール/トリブチルホスフィン、アミン類等のアニオン重合開始剤が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、これら重合開始剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。また、重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではない。
【0031】
重合反応温度は、特に限定されるものではないが、室温~200℃の範囲が好ましく、50℃~150℃の範囲がより好ましい。尚、反応時間は、反応温度、或いは、用いる原材料の種類等に応じて、重合反応が完結するように、適宜設定すればよい。
【0032】
ベンゾトリアゾール系高分子体の合成を行う際に、光重合法により重合する場合において用いる光重合開始剤としては、活性エネルギー線の照射によって光重合開始作用を示す公知の光重合開始剤のいずれもが使用できる。例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイドなどを挙げることができ、また、ベンゾフェノンおよび/または2-イソプロピルチオキサントンと重合促進剤の2-エチルヘキシル-4-ジメチルアミノベンゾエートおよび/またはエチル-4-ジメチルアミノベンゾエートといった組み合わせも使用できる。本発明で、これらの光重合開始剤を単独で用いてもよいし、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
本発明のベンゾトリアゾール系高分子体を添加可能な親水性化粧基剤は特に限定されるわけではないが、例えば、グリセリン、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、プロパンジオール1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、キシリット、キシリトール、ラノリン、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、エタノール、精製水などが挙げられる。
【0034】
本発明のベンゾトリアゾール系高分子体を添加可能な親水性有機材料は特に限定されるわけではないが、例えば、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エタノール、メタノールなどの有機溶剤、ポリメタクリル酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キサンタンガム、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の親水性高分子などが挙げられる。
【0035】
本発明のベンゾトリアゾール系高分子体を親水性化粧基剤や親水性有機材料に添加する場合、紫外線吸収剤としては本発明のベンゾトリアゾール系高分子体のみ、あるいは他の紫外線吸収剤と組み合わせて使用できる。本発明のベンゾトリアゾール系高分子体以外の紫外線吸収剤としては、一般に市場で入手できるもので紫外領域を吸収できるものであれば特に限定されない。例えば、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体、サリシレート誘導体、シアノアクリレート誘導体、トリアジン誘導体、ケイ皮酸誘導体等が用いられる。これらの紫外線吸収剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0036】
本発明のベンゾトリアゾール系高分子体は、親水性化粧基剤や親水性有機材料に対して0.01~20重量%の範囲で使用されることが好ましい。
【実施例0037】
以下に本発明で実施したベンゾトリアゾール系高分子体の合成法及び特性を示す。ただし合成方法はこれに限定されるものではない。
【0038】
(中間体合成例1)
[前駆体;2-[5-(2-ヒドロキシエトキシ)-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル]-5-オクチルオキシフェノールの合成]
【化7】
【0039】
1000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、常法にて合成した4-(5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゼン-1,3-ジオールを176.0g(0.684モル)、メチルイソブチルケトン350ml、1-クロロオクタン142.0g(0.955モル)、炭酸ナトリウム62.0g(0.585モル)、ヨウ化カリウム5.2gを入れて、120~130℃で12時間還流脱水した。水200mlを加え、静置して下層部の水層を分離して除去し、温水200mlで洗浄した。メチルイソブチルケトン350mlを減圧で回収し、イソプロピルアルコール450mlを加え、析出した結晶をろ過し、イソプロピルアルコール200mlで洗浄し、乾燥して、2-(5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-オクチルオキシフェノールを216.9g得た。
【0040】
10Lの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、2-(5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-オクチルオキシフェノールを216.9g(0.587モル)、47%臭化水素酸125.8g(0.731モル)、スルホラン1800mlを入れて100~105℃で48時間撹拌した。トルエン800ml、水3500mlを加えて、静置して下層の水層を分離して除去し、温水1300mlで2回洗浄し、トルエン800mlを減圧で回収した。イソプロピルアルコール800ml、水200mlを加えて、5℃まで冷却し、析出する結晶をろ過し、イソプロピルアルコール水溶液(80% V/V)200mlで洗浄し、乾燥して、2-(5-ヒドロキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-オクチルオキシフェノールを126.6g得た。
【0041】
1000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、2-(5-ヒドロキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-オクチルオキシフェノールを126.6g(0.356モル)、メチルイソブチルケトン450ml、2-クロロエタノール35.8g(0.445モル)、炭酸ナトリウム23.5g(0.222モル)、ヨウ化カリウム17.8gを入れて、113~118℃で10時間還流脱水した。250mlの水を加え、静置して下層部の水層を分離して除去し、温水150mlで洗浄した。メチルイソブチルケトン450mlを減圧で回収後にイソプロピルアルコール500mlを加えて10℃まで冷却し、析出した結晶をろ過し、イソプロピルアルコール50mlで洗浄し、乾燥して、2-[5-(2-ヒドロキシエトキシ)-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル]-5-オクチルオキシフェノールを95.3g得た。収率35%(4-(5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゼン-1,3-ジオールから)であった。
【0042】
(中間体合成例2)
[化合物(a);2-[2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルメタクリレートの合成]
【化8】
化合物(a)
【0043】
1000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、2-[5-(2-ヒドロキシエトキシ)-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル]-5-オクチルオキシフェノールを95.3g(0.239モル)、トルエン550ml、メタクリル酸50.6g(0.588モル)、メタンスルホン酸29.8g(0.310モル)を入れて、110~115℃で4時間還流脱水した。水200ml、炭酸ナトリウム32.8g(0.309モル)を加え、静置して下層部の水層を分離して除去し、活性炭1.8gを加え、還流撹拌して脱色させた。熱時にろ過し、そのろ液からトルエン550mlを減圧で回収した後にイソプロピルアルコール750mlを加え、析出した結晶をろ過し、イソプロピルアルコール100mlで洗浄した後、減圧下40℃で乾燥し、白色結晶を88.1g得た。全量をイソプロピルアルコールで再結晶して、減圧下40℃で乾燥し、化合物(a)を77.8g得た。収率70%(2-[5-(2-ヒドロキシエトキシ)-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル]-5-オクチルオキシフェノールから)であった。融点は92℃。
【0044】
また、HPLC分析により、化合物(a)の純度を測定した。
<測定条件>
装置:L-2130((株)日立ハイテクノロジーズ製)
使用カラム:SUMIPAX ODS A-212 6×150mm 5μm
カラム温度:40℃
移動相: メタノール/水=99/1
流速:1.0ml/min
<測定結果>
HPLC面百純度:99.9%
なお、以下の化合物(b)も化合物(a)と同様の測定条件でHPLC分析を行った。
【0045】
また、化合物(a)の紫外~可視吸収スペクトルを測定したところ、最大吸収波長λmaxは350nmであり、この時の吸光度εは30900であった。スペクトルの測定条件は次のとおりである。
<測定条件>
装置:UV-2450((株)島津製作所製)
測定波長:250~ 450nm
溶媒:クロロホルム
濃度:10ppm
セル:1cm石英
なお、以下の化合物(b)、(c)、(d)も化合物(a)と同様の測定条件で紫外~可視吸収スペクトルの測定を行った。
【0046】
また、化合物(a)のNMR解析を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。測定条件は次のとおりである。
<測定条件>
装置:JEOL AL-300
共振周波数:300MHz(1H-NMR)
溶媒:クロロホルム-d
1H-NMRの内部標準物質として、テトラメチルシランを用い、ケミカルシフト値はδ値(ppm)、カップリング定数はHertzで示した。またsはsinglet、dはdoublet、tはtriplet、ddはdouble doublet、mはmultiplet、bはbroadの略とする。以下の化合物(b)、(c)、(d)においても同様である。得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。
δ=11.3(s,OH),8.19(d,1H,J=9.9Hz,benzotriazole-H),7.78(dd,1H,J=9.92Hz,J=0.96Hz,J=0.87Hz,benzotriazole-H),7.0-7.3(m,2H,benzotriazole-H,phenol-H),6.67(d,1H,J=2.91Hz,phenol-H),6.59(dd,1H,J=10.2Hz,J=2.94Hz,J=3.06Hz,=CH-H),6.17(s,1H,phenol-H),5.61(t,1H,=CH-H),4.57(t,2H,O-CH-CH-O-H),4.32(t,2H,O-CH-CH-O-H),4.00(t,2H,pH-O-CH-H),1.80(m,2H,CH-H),1.2-1.6(m,10H,(CH-H),0.89(s,3H,CH-H)
【0047】
(中間体合成例3)
[化合物(b);2-[2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルアクリレートの合成]
【化9】
化合物(b)
【0048】
メタクリル酸をアクリル酸とした以外は中間体合成例2と同様にして、化合物(b)を収率43%(2-[5-(2-ヒドロキシエトキシ)-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル]-5-オクチルオキシフェノールから)で得た。融点86℃、HPLC面百純度98.7%、最大吸収波長λmaxが351nmの時の吸光度εは29700であった。
【0049】
また、化合物(b)のNMR解析を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。測定条件は次のとおりである。
<測定条件>
装置: VARIAN Mercury300
共振周波数:300MHz(1H-NMR)
溶媒:クロロホルム-d
得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。なお、以下の化合物(c)、(d)も化合物(b)と同様の測定条件でNMR測定を行った。
δ=11.3(b,OH),8.21(d,1H,J=9.07Hz,benzotriazole-H),7.79(d,1H,J=9.07Hz,benzotriazole-H),7.18(d,1H,J=2.3Hz,phenol-H),7.16(d,1H,J=2.3Hz,phenol-H),7.15(d,1H,J=1.81,benzotriazole-H,),6.67(s,1H,phenol-H),6.60(m,1H,=CH-H),6.20(q,1H,CH=-H),5.89(dd,1H,J=10.5Hz,J=0.66Hz,J=0.75Hz,=CH-H),4.32(t,2H,O-CH-CH-O-H),4.00(t,2H,O-CH-CH-O-H),0.8-2(m,17H,n-C17-H)
【0050】
(中間体合成例4)
[化合物(c);2-[2-(4-ブトキシ-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルメタクリレートの合成]
【化10】
化合物(c)
【0051】
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、4-(5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゼン-1,3-ジオールを17.0g(0.066モル)、メチルイソブチルケトン35ml、1-ブロモブタン9.2g(0.067モル)、炭酸ナトリウム5.6g(0.053モル)、ヨウ化カリウム4.9gを入れて105~115℃で4時間還流撹拌した。水35mlを加え、静置して下層部の水層を分離して除去し、温水35mlで洗浄した。メチルイソブチルケトン35mlを減圧で回収後にイソプロピルアルコール100mlを加え、析出した結晶をろ過し、イソプロピルアルコール20mlで洗浄し、乾燥して、5-ブトキシ-2-(5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノールを15.0g得た。
【0052】
500mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、5-ブトキシ-2-(5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノールを15.0g(0.048モル)、47%臭化水素酸9.9g(0.058モル)、スルホラン145mlを入れて100~105℃で48時間撹拌した。トルエン70ml、水200mlを加えて、静置して下層の水層を分離して除去し、温水100mlで2回洗浄し、トルエン70mlを減圧で回収した。イソプロピルアルコール30ml、水15mlを加えて、5℃まで冷却し、析出する結晶をろ過し、イソプロピルアルコール水溶液(70% V/V)20mlで洗浄し、乾燥して、5-ブトキシ-2-(5-ヒドロキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノールを6.2g得た。
【0053】
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、5-ブトキシ-2-(5-ヒドロキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノールを6.2g(0.021モル)、メチルイソブチルケトン50ml、2-クロロエタノール7.4g(0.092モル)、炭酸ナトリウム4.9g(0.046モル)、ヨウ化カリウム0.2gを入れて113~118℃で10時間還流脱水した。水50mlを加え、静置して下層部の水層を分離して除去し、温水50mlで洗浄した。メチルイソブチルケトン50mlを減圧で回収後にイソプロピルアルコール25mlを加えて5℃まで冷却し、析出した結晶をろ過し、イソプロピルアルコール15mlで洗浄し、乾燥して、5-ブトキシ-2-(5-(2-ヒドロキシエトキシ)-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノールを3.4g得た。
【0054】
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、5-ブトキシ-2-(5-(2-ヒドロキシエトキシ)-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノールを3.4g(0.010モル)、トルエン40ml、メタクリル酸1.7g(0.020モル)、メタンスルホン酸0.2g(0.002モル)を入れて、110~115℃で4時間還流脱水した。水30ml、炭酸ナトリウム0.7g(0.007モル)を加え、静置して下層部の水層を分離して除去し、活性炭0.1gを加え、還流撹拌して脱色させた。熱時にろ過し、ろ液からトルエン40mlを減圧で回収した後にイソプロピルアルコール30mlを加え、析出した結晶をろ過し、イソプロピルアルコール15mlで洗浄した後、減圧下40℃で乾燥し、白色結晶を2.7g得た。この2.7gをイソプロピルアルコールで再結晶して、減圧下40℃で乾燥し、化合物(c)を2.2g得た。収率8%(4-(5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゼン-1,3-ジオールから)であった。融点101℃、最大吸収波長λmaxが351nmの時の吸光度εは29100であった。
【0055】
また、HPLC分析により、化合物(c)の純度を測定した。
<測定条件>
装置:L-2130((株)日立ハイテクノロジーズ製)
使用カラム:Inertsil ODS-3 4.6×150mm 5μm
カラム温度:25℃
移動相: アセトニトリル/水=9/1(リン酸3ml/L)
流速:1.0ml/min
<測定結果>
HPLC面百純度:98.7%
なお、以下の化合物(d)も化合物(c)と同様の測定条件でHPLC測定を行った。
【0056】
また、化合物(c)のNMR解析を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。
δ=11.3(b,OH),8.21(d,1H,J=9.24Hz,benzotriazole-H),7.80(dd,1H,J=9.1Hz,J=0.66Hz,J=0.66Hz,benzotriazole-H),7.18(d,1H,J=2.31Hz,phenol-H),6.68(d,1H,J=2.64Hz,phenol-H),6.60(dd,1H,J=9.2Hz,J=2.64Hz,J=2.64Hz,benzotriazole-H,),6.18(s,1H,=CH-H),5.62(m,1H,=CH-H),0.9-2.1(m,3H,9H,CH,n-C-H)
【0057】
(中間体合成例5)
[化合物(d);2-[2-(4-エトキシ-2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルメタクリレートの合成]
【化11】
化合物(d)
【0058】
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、4-(5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゼン-1,3-ジオールを10.0g(0.039モル)、メチルイソブチルケトン40ml、ブロモエタン6.4g(0.059モル)、炭酸ナトリウム3.3g(0.031モル)、ヨウ化カリウム3.0gを入れて95~110℃で6時間還流撹拌した。水20mlを加え、静置して下層部の水層を分離して除去し、温水20mlで洗浄した。メチルイソブチルケトン40mlを減圧で回収後にイソプロピルアルコール100mlを加え、析出した結晶をろ過し、イソプロピルアルコール25mlで洗浄し、乾燥して、5-エトキシ-2-(5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノールを8.2g得た。
【0059】
500mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、5-エトキシ-2-(5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノールを8.2g(0.029モル)、47%臭化水素酸6.2g(0.036モル)、スルホラン82mlを入れて100~105℃で33時間撹拌させた。トルエン50ml、水165mlを加えて、静置して下層の水層を分離して除去し、温水80mlで洗浄し、トルエン50mlを減圧で回収した。イソプロピルアルコール35ml、水15mlを加えて、5℃まで冷却し、析出する結晶をろ過し、イソプロピルアルコール水溶液(70% V/V)20mlで洗浄し、乾燥して、5-エトキシ-2-(5-ヒドロキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノールを4.6g得た。
【0060】
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、5-エトキシ-2-(5-ヒドロキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノールを4.6g(0.017モル)、メチルイソブチルケトン35ml、2-クロロエタノール1.7g(0.021モル)、炭酸ナトリウム1.1g(0.010モル)、ヨウ化カリウム0.9gを入れて、113~118℃で8時間還流脱水した。水30mlを加え、静置して下層部の水層を分離して除去し、温水30mlで洗浄した。メチルイソブチルケトン35mlを減圧で回収し、5-エトキシ-2-[5-(2-ヒドロキシエトキシ)-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル]フェノールの固形分を5.0g得た。
【0061】
300mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、5-エトキシ-2-[5-(2-ヒドロキシエトキシ)-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル]フェノールの固形分を5.0g(0.016モル)、トルエン100ml、メタクリル酸2.7g(0.031モル)、メタンスルホン酸2.0g(0.021モル)を入れて、110~115℃で4時間還流脱水した。水80ml、炭酸ナトリウム1.9g(0.018モル)を加え、静置して下層部の水層を分離して除去し、活性炭0.1gを加え、還流撹拌して脱色させた。熱時ろ過し、ろ液からトルエン100mlを減圧で回収した後にイソプロピルアルコール30mlを加え、析出した結晶をろ過し、イソプロピルアルコール20mlで洗浄した後、減圧下40℃で乾燥し、白色結晶を3.2g得た。この3.2gをイソプロピルアルコールで再結晶して、減圧下40℃で乾燥し、化合物(d)を1.6g得た。収率11%(4-(5-メトキシ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)ベンゼン-1,3-ジオールから)であった。融点156℃、HPLC面百純度98.1%、最大吸収波長λmaxが350nmの時の吸光度εは29000であった。
【0062】
また、化合物(d)のNMR解析を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。
δ=11.3(b,OH),8.21(d,1H,J=9.07Hz,benzotriazole-H),7.79(d,1H,J=9.72,benzotriazole-H),7.16(m,1H,phenol-H),6.68(d,1H,J=2.64Hz,phenol-H),6.59(dd,1H,J=9.2,J=2.8,J=2.64,phenol-H,),6.17(s,1H,C=CH-H),5.61(t,1H,=CH-H),4.58(m,2H,O-CH-CH-O-H),4.32(t,2H,O-CH-CH-O-H),4.08(q,2H,-CH-CH-H),1.67(s,3H,C=CH-CH-H),1.57(t,3H,CH-CH-H)
【0063】
(実施例1)
[高分子体(a);化合物(a)と酢酸ビニルの共重合およびけん化体]
【化12】
高分子体(a)
【0064】
100mlフラスコに2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.030gとメタノール30mlを入れて、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル溶液を調整した。別の100mlナスフラスコを窒素置換し、酢酸ビニル26g、化合物(a)0.70gを入れて撹拌し、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル溶液をこの溶液に加え、65℃で24時間撹拌した。反応溶液を300mlのアセトンに加えて生成した重合体を沈殿させた。沈殿物をろ過し、アセトンで3回洗浄し、化合物(a)と酢酸ビニルの共重合体を得た。得られた共重合体を1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100mlに入れ、30℃で48時間撹拌した。その後、0.2mol/Lの塩酸を加えて中和した。沈殿物を遠心分離で回収し、減圧乾燥して、高分子体(a)0.15gを得た。
【0065】
また、高分子体(a)のNMR解析を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。高分子体(a)の構成比は、酢酸ビニル21%、ビニルアルコール50%、化合物(a)29%であった。スペクトルを図1に示す。測定条件は次のとおりである。
<測定条件>
装置:ECX-500(日本電子株式会社製)
共振周波数:500MHz(1H-NMR)
溶媒:クロロホルム-d
【0066】
(実施例2)
[高分子体(b);化合物(b)と酢酸ビニル-ビニルアルコール重合体のグラフト重合体]
【化13】
高分子体(b)
【0067】
100mlナスフラスコに、酢酸ビニル-ビニルアルコール重合体(80%けん化)0.44g、ジメチルスルホキシド50mlを入れて、窒素を吹き込みながら撹拌した。化合物(b)0.23g、過硫酸アンモニウム0.13gを加えて、60℃で24時間撹拌し、その後、ハイドロキノン0.13gを加えて、60℃で2時間撹拌した。反応溶液をエタノール300ml、ヘキサン200mlの混合溶媒に加えて、生成した沈殿物をろ過し、アセトンで3回洗浄した。室温で乾燥させ、高分子体(b)を0.45g得た。
【0068】
また、高分子体(b)のNMR解析を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。高分子体(b)の構成比は、酢酸ビニル20%、ビニルアルコール78%、化合物(b)2%であった。スペクトルを図2に示す。測定条件は次のとおりである。
<測定条件>
装置:ECX-500(日本電子株式会社製)
共振周波数:500MHz(1H-NMR)
溶媒:ジメチルスルホキシド-d6
【0069】
また、高分子体(b)の紫外~可視吸収スペクトルを測定したところ、最大吸収波長λmaxは287nmであった。スペクトルを図3に示す。スペクトルの測定条件は次のとおりである。
<測定条件>
装置:HITACHI U-3900H(株式会社日立ハイテクサイエンス製)
測定波長:250~450nm
溶媒:ジメチルスルホキシド
濃度:0.5g/L
セル:1cm石英
【0070】
[溶解度の測定]
実施例2で得られた高分子体(b)と、比較例として従来の一般的な紫外線吸収剤である化合物(e);2-(2-ヒドロキシ-4-オクチロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、およびベンゾトリアゾール系化合物にポリエチレングリコール誘導体化合物をエステル結合により導入して親水性を付与した化合物(f);α―[4-(4-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-3-ヒドロキシフェノキシ)ブタノイル]-ω-メトキシポリ(オキシエチレン)の、親水性化粧基材かつ親水性有機材料であるエタノール、親水性化粧基材である精製水、および親水性有機材料であるメタノールへの25℃における溶解度を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
[pHの測定]
実施例2で得られた高分子体(b)と、比較例として従来の一般的な親水性の紫外線吸収剤である化合物(g);2-ヒドロキシ4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸三水和物の水溶液のpHを、pH測定装置を用いて測定した。結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
[水溶液の安定性の確認]
実施例2で得られた高分子体(b)0.1gと、比較例として化合物(f)0.1gを、それぞれイオン交換水50mlに溶解させ、25℃で3ヶ月間静置し、濁りの有無を確認した。加水分解してベンゾトリアゾール系化合物が高分子体から脱離した場合、親水性をもたないベンゾトリアゾール系化合物が析出して水溶液に濁りが生じるため、濁りの有無は水溶液における安定性の指標となる。結果を表3に示す。
【0075】
【表3】
【0076】
表1より、高分子体(b)は、従来の一般的な紫外線吸収剤である化合物(e)と比較して、親水性化粧基材や親水性有機材料に対して高い溶解性を示すことがわかる。また、表2より、従来の一般的な親水性の紫外線吸収剤である化合物(g)が強酸性を示すのに対して、高分子体(b)は弱酸性~中性であることがわかり、強酸性では使用できない用途にも使用できる。また、表3より、ベンゾトリアゾール系化合物にポリエチレングリコール誘導体化合物をエステル結合により導入して親水性を付与した化合物(f)が、水溶液での長期保管で分解したのに対して、高分子体(b)は水溶液での長期保管で分解せずに安定であることから、水中で長期間の使用が可能であることがわかり、従来にない有用な親水性紫外線吸収剤であることがわかる。なおpHの測定条件は次の通りである。
<測定条件>
装置:SevenEasy pH(メトラー・トレド製)
温度:22℃
濃度:2000ppm
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の親水性紫外線吸収剤は、紫外領域全体を吸収し、親水性化粧基材や親水性有機材料に対して高い溶解性を示し、水溶液は弱酸性~中性であり、加水分解を起こさないことから、親水性化粧基材や親水性有機材料に対して好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1】高分子体(a)のNMRスペクトルである。
図2】高分子体(b)のNMRスペクトルである。
図3】高分子体(b)の紫外~可視吸収スペクトルである。
図1
図2
図3