(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176625
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】冷温水製造システム
(51)【国際特許分類】
F25B 29/00 20060101AFI20231206BHJP
F24H 15/156 20220101ALI20231206BHJP
F24H 15/375 20220101ALI20231206BHJP
F25B 27/02 20060101ALI20231206BHJP
F24H 4/02 20220101ALI20231206BHJP
F24H 15/215 20220101ALI20231206BHJP
F25B 1/00 20060101ALN20231206BHJP
【FI】
F25B29/00 431Z
F24H15/156
F24H15/375
F25B29/00 361Z
F25B27/02 R
F24H4/02 G
F24H15/215
F25B1/00 397E
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089008
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】大下 悟
(72)【発明者】
【氏名】大谷 和之
(72)【発明者】
【氏名】淺村 仁志
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA14
3L122AA23
3L122AA54
3L122AB12
3L122BB13
3L122EA06
(57)【要約】
【課題】温熱需要と冷熱需要に応答して、熱源装置を効率よく運転することのできる冷温水製造システムを提供すること。
【解決手段】冷温水製造システム1であって、第1電気式ヒートポンプ11により第1用水W1Aを加熱しつつ、第2用水W1Bを冷却する第1熱源装置10と、第2電気式ヒートポンプ21により第1用水W1Aを加熱しつつ、空気を冷却する第2熱源装置20と、を備え、制御手段は、負荷設備での温熱需要と冷熱需要が共にある場合に、第1熱源装置10を先行して起動した後、負荷設備での温熱需要に応じて、第1熱源装置10の単独運転、並びに、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転の切り替えを実行し、負荷設備での冷熱需要がない場合に、第2熱源装置20を先行して起動した後、負荷設備での温熱需要に応じて、第2熱源装置20の単独運転、並びに、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転の切り替えを実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業所内の負荷設備で利用する用水を冷温水化する冷温水製造システムであって、
第1電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、第2用水を冷却する第1熱源装置と、
第2電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、空気を冷却する第2熱源装置と、
前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の運転を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記負荷設備での温熱需要と冷熱需要が共にある場合に、前記第1熱源装置を先行して起動した後、前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第1熱源装置の単独運転、並びに、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の協調運転の切り替えを実行し、
前記負荷設備での冷熱需要がない場合に、前記第2熱源装置を先行して起動した後、前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第2熱源装置の単独運転、並びに、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の協調運転の切り替えを実行する冷温水製造システム。
【請求項2】
事業所内の負荷設備で利用する用水を冷温水化する冷温水製造システムであって、
第1電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、第2用水を冷却する第1熱源装置と、
第3電気式ヒートポンプにより第2用水を冷却しつつ、空気を加熱する第3熱源装置と、
前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の運転を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記負荷設備での温熱需要と冷熱需要が共にある場合に、前記第1熱源装置を先行して起動した後、前記負荷設備での冷熱需要に応じて、前記第1熱源装置の単独運転、並びに、前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転の切り替えを実行し、
前記負荷設備での温熱需要がない場合に、前記第3熱源装置を先行して起動した後、前記負荷設備での冷熱需要に応じて、前記第3熱源装置の単独運転、並びに、前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転の切り替えを実行する冷温水製造システム。
【請求項3】
事業所内の負荷設備で利用する用水を冷温水化する冷温水製造システムであって、
第1電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、第2用水を冷却する第1熱源装置と、
第2電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、空気を冷却する第2熱源装置と、
第3電気式ヒートポンプにより第2用水を冷却しつつ、空気を加熱する第3熱源装置と、
前記第1熱源装置、前記第2熱源装置および前記第3熱源装置の運転を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記負荷設備での温熱需要と冷熱需要が共にある場合に、前記第1熱源装置を先行して起動した後、前記負荷設備での温熱需要および冷熱需要に応じて、前記第1熱源装置の単独運転、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の協調運転、前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転、並びに、前記第1熱源装置、前記第2熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転の切り替えを実行し、
前記負荷設備での冷熱需要がない場合に、前記第2熱源装置を先行して起動した後、前記負荷設備での温熱需要および冷熱需要に応じて、前記第2熱源装置の単独運転、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の協調運転、前記第2熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転、並びに、前記第1熱源装置、前記第2熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転の切り替えを実行し、
前記負荷設備での温熱需要がない場合に、前記第3熱源装置を先行して起動した後、前記負荷設備での温熱需要および冷熱需要に応じて、前記第3熱源装置の単独運転、前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転、前記第2熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転、並びに、前記第1熱源装置、前記第2熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転の切り替えを実行する冷温水製造システム。
【請求項4】
前記第2熱源装置は、前記第3熱源装置で加熱された空気を前記第2電気式ヒートポンプの熱源流体として第1用水を加熱する請求項3に記載の冷温水製造システム。
【請求項5】
燃焼式ボイラにより第1用水を加熱する補助加熱装置を備え、
前記制御手段は、前記第1熱源装置の運転中、前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記補助加熱装置を運転させる請求項1~4のいずれか1項に記載の冷温水製造システム。
【請求項6】
燃焼式ボイラにより第1用水を加熱する補助加熱装置を備え、
前記制御手段は、前記第2熱源装置の運転中、前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記補助加熱装置を運転させる請求項1、3、4のいずれか1項に記載の冷温水製造システム。
【請求項7】
吸収式または吸着式冷凍機により第2用水を冷却する補助冷却装置を備え、
前記制御手段は、前記第1熱源装置の運転中、前記負荷設備での冷水需要に応じて、前記補助冷却装置を運転させる請求項1~4のいずれか1項に記載の冷温水製造システム。
【請求項8】
吸収式または吸着式冷凍機により第2用水を冷却する補助冷却装置を備え、
前記制御手段は、前記第3熱源装置の運転中、前記負荷設備での冷水需要に応じて、前記補助冷却装置を運転させる請求項2~4のいずれか1項に記載の冷温水製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷温水製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食料品・飲料の製造工場や自動車・金属製品・機械器具の製造工場などでは、生産プロセスで多量の温熱および冷熱を消費している。近年、多くの工場では、温室効果ガスであるCO2の排出量を削減できると共に、省エネルギー効果の高い熱源装置への転換が進められている。そこで、特許文献1に示されるように、冷温水製造システムの熱源装置として、冷温水同時取出形の電気式ヒートポンプを採用することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工場の生産設備(負荷設備)においては、温熱需要と冷熱需要がバランスしていることは稀であり、生産プロセスや生産エリアごとの設備稼働状況によって温熱需要と冷熱需要にアンバランスが生じる。また、このアンバランスの程度は、操業中の時間帯によって拡大したり縮小したりもする。そこで、温熱と冷熱の過不足を補完するため、冷温水同時取出形ヒートポンプとは別の熱源装置を設置することが必要になる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、温熱需要と冷熱需要に応答して、熱源装置を効率よく運転することのできる冷温水製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)事業所内の負荷設備で利用する用水を冷温水化する冷温水製造システムであって、第1電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、第2用水を冷却する第1熱源装置と、第2電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、空気を冷却する第2熱源装置と、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の運転を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記負荷設備での温熱需要と冷熱需要が共にある場合に、前記第1熱源装置を先行して起動した後、前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第1熱源装置の単独運転、並びに、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の協調運転の切り替えを実行し、前記負荷設備での冷熱需要がない場合に、前記第2熱源装置を先行して起動した後、前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第2熱源装置の単独運転、並びに、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の協調運転の切り替えを実行する冷温水製造システム。
【0007】
(2)事業所内の負荷設備で利用する用水を冷温水化する冷温水製造システムであって、第1電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、第2用水を冷却する第1熱源装置と、第3電気式ヒートポンプにより第2用水を冷却しつつ、空気を加熱する第3熱源装置と、前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の運転を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記負荷設備での温熱需要と冷熱需要が共にある場合に、前記第1熱源装置を先行して起動した後、前記負荷設備での冷熱需要に応じて、前記第1熱源装置の単独運転、並びに、前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転の切り替えを実行し、前記負荷設備での温熱需要がない場合に、前記第3熱源装置を先行して起動した後、前記負荷設備での冷熱需要に応じて、前記第3熱源装置の単独運転、並びに、前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転の切り替えを実行する冷温水製造システム。
【0008】
(3)事業所内の負荷設備で利用する用水を冷温水化する冷温水製造システムであって、第1電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、第2用水を冷却する第1熱源装置と、第2電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、空気を冷却する第2熱源装置と、第3電気式ヒートポンプにより第2用水を冷却しつつ、空気を加熱する第3熱源装置と、前記第1熱源装置、前記第2熱源装置および前記第3熱源装置の運転を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記負荷設備での温熱需要と冷熱需要が共にある場合に、前記第1熱源装置を先行して起動した後、前記負荷設備での温熱需要および冷熱需要に応じて、前記第1熱源装置の単独運転、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の協調運転、前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転、並びに、前記第1熱源装置、前記第2熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転の切り替えを実行し、前記負荷設備での冷熱需要がない場合に、前記第2熱源装置を先行して起動した後、前記負荷設備での温熱需要および冷熱需要に応じて、前記第2熱源装置の単独運転、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の協調運転、前記第2熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転、並びに、前記第1熱源装置、前記第2熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転の切り替えを実行し、前記負荷設備での温熱需要がない場合に、前記第3熱源装置を先行して起動した後、前記負荷設備での温熱需要および冷熱需要に応じて、前記第3熱源装置の単独運転、前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転、前記第2熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転、並びに、前記第1熱源装置、前記第2熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転の切り替えを実行する冷温水製造システム。
【0009】
(4)前記第2熱源装置は、前記第3熱源装置で加熱された空気を前記第2電気式ヒートポンプの熱源流体として第1用水を加熱する(3)の冷温水製造システム。
【0010】
(5)燃焼式ボイラにより第1用水を加熱する補助加熱装置を備え、前記制御手段は、前記第1熱源装置の運転中、前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記補助加熱装置を運転させる(1)~(4)のいずれかの冷温水製造システム。
【0011】
(6)燃焼式ボイラにより第1用水を加熱する補助加熱装置を備え、前記制御手段は、前記第2熱源装置の運転中、前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記補助加熱装置を運転させる(1)、(3)、(4)のいずれかの冷温水製造システム。
【0012】
(7)吸収式または吸着式冷凍機により第2用水を冷却する補助冷却装置を備え、前記制御手段は、前記第1熱源装置の運転中、前記負荷設備での冷水需要に応じて、前記補助冷却装置を運転させる(1)~(4)のいずれかの冷温水製造システム。
【0013】
(8)吸収式または吸着式冷凍機により第2用水を冷却する補助冷却装置を備え、前記制御手段は、前記第3熱源装置の運転中、前記負荷設備での冷水需要に応じて、前記補助冷却装置を運転させる(2)~(4)のいずれかの冷温水製造システム。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、温熱需要と冷熱需要に応答して、熱源装置を効率よく運転することのできる冷温水製造システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る冷温水製造システムの構成を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係る冷温水製造システムの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の冷温水製造システム1の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0017】
図1は、第1実施形態に係る冷温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。冷温水製造システム1は、第1熱源装置10と、第2熱源装置20と、第3熱源装置30と、制御手段100と、を備える。本実施形態の冷温水製造システム1は更に、温水タンク80Aと、補助加熱装置60と、温水側配水ラインL10Aと、温水側返水ラインL20Aと、を備える。また、本実施形態の冷温水製造システム1は更に、冷水タンク80Bと、補助冷却装置70と、冷水側配水ラインL10Bと、冷水側返水ラインL20Bと、を備える。冷温水製造システム1は、事業所内の負荷設備200で利用する用水W1を冷温水化する。
【0018】
ここで、事業所は、物の生産またはサービスの提供が事業として行われている個々の場所をいい、工場、商業施設、医療機関、福祉施設、宿泊施設、研究施設などである。用水は、物の生産またはサービスの提供に伴って使用する水をいう。負荷設備は、事業所が工場である場合、例えば食料品・飲料の製造工場、自動車・金属製品・機械器具の製造工場などの生産設備(物の生産に直接関わっている設備)をいう。温水化された用水は、洗浄水等に直接使用するほか、熱媒水として間接使用する。工場の生産設備以外の負荷設備としては、暖房用の空調設備や蒸気ボイラ装置(生産設備の稼働に関わっている熱源設備)が例示され、温水化された用水の一部を空気加熱やボイラ給水に利用する。一方、冷水化された用水は、冷却水等に直接使用するほか、熱媒水として間接使用する。工場の生産設備以外の負荷設備としては、冷房用の空調設備が例示され、冷水化された用水の一部を空気冷却に利用する。
【0019】
<温水タンク>
温水タンク80Aは、温水である第1用水W1Aを貯留水として貯留する。本実施形態の温水タンク80Aは、開放式のタンクである。温水タンク80Aは、第1水位センサ81Aを備える。第1水位センサ81Aにより自然蒸発による温水タンク80A内の減水が検知されると、補給水ラインL00Aを通じて温水タンク80A内に補給水が第1用水W1Aとして供給される。温水タンク80Aには不図示の温度センサが設けられており、温水タンク80A内の貯留水の温度が、温水タンク80Aの蓄熱温度Thtとして検知される。
<冷水タンク>
冷水タンク80Bは、冷水である第2用水W1Bを貯留水として貯留する。本実施形態の冷水タンク80Bは、開放式のタンクである。冷水タンク80Bは、第2水位センサ81Bを備える。第2水位センサ81Bにより自然蒸発による冷水タンク80B内の減水が検知されると、補給水ラインL00Bを通じて冷水タンク80B内に補給水が第2用水W1Bとして供給される。冷水タンク80Bには不図示の温度センサが設けられており、冷水タンク80B内の貯留水の温度が、冷水タンク80Bの蓄熱温度Tctとして検知される。
【0020】
<温水側ライン>
本実施形態においては、温水タンク80Aから第1負荷設備200Aに温水の往き配管である温水側配水ラインL10Aが敷設されていると共に、第1負荷設備200Aから温水タンク80Aに温水の戻り配管である温水側返水ラインL20Aが敷設されている。これにより、温水ループ系の循環ライン(温水回路)が形成されている。本実施形態における第1負荷設備200Aは、温水化された第1用水W1Aを熱媒水として間接使用(すなわち温熱出力)する。
【0021】
温水側配水ラインL10Aは、温水タンク80A内の温水である第1用水W1Aを、第1負荷設備200Aに供給するためのラインである。温水側配水ラインL10Aには、給水ポンプ50Aが設けられている。
【0022】
温水側返水ラインL20Aは、第1負荷設備200Aからの第1用水W1Aを、温水タンク80Aに戻すためのラインである。
【0023】
温水側返水ラインL20Aには、後述の第1熱源装置10の温水側の中間熱交換器12Aが配置されている。温水側返水ラインL20Aを流通する第1用水W1Aは、第1熱源装置10の温水側の中間熱交換器12Aにより加熱される。
【0024】
温水側返水ラインL20Aには、後述の第2熱源装置20の温水側の中間熱交換器22Aが配置されている。温水側返水ラインL20Aを流通する第1用水W1Aは、第2熱源装置20の中間熱交換器22Aにより加熱される。
【0025】
第1熱源装置10の温水側の中間熱交換器12Aおよび第2熱源装置20の中間熱交換器22Aは直列的に配置されている。このように、本実施形態においては、温水側返水ラインL20Aに第1熱源装置10の温水側の中間熱交換器12Aと、第2熱源装置20の中間熱交換器22Aを順に配置し、流通水を加熱する。
【0026】
温水側配水ラインL10Aには、温度センサ41Aが設けられていてもよい。温度センサ41Aは、第1負荷設備200Aの上流側において、温水側配水ラインL10Aを流通する温水の往き温水温度Th0を検知する。
【0027】
温水側返水ラインL20Aの中間熱交換器12Aおよび中間熱交換器22Aが配置されている位置よりも上流側に、温度センサ40Aが設けられている。温度センサ40Aは、中間熱交換器12Aおよび中間熱交換器22Aの上流側において、温水側返水ラインL20Aを流通する温水の戻り温水温度Thrを検知する。
【0028】
<冷水側ライン>
本実施形態においては、冷水タンク80Bから第2負荷設備200Bに冷水の往き配管である冷水側配水ラインL10Bが敷設されていると共に、第2負荷設備200Bから冷水タンク80Bに冷水の戻り配管である冷水側返水ラインL20Bが敷設されている。これにより、冷水ループ系の循環ライン(冷水回路)が形成されている。本実施形態における第2負荷設備200Bは、冷水化された第2用水W1Bを熱媒水として間接使用(すなわち冷熱出力)する。
【0029】
冷水側配水ラインL10Bは、冷水タンク80B内の冷水である第2用水W1Bを、第2負荷設備200Bに供給するためのラインである。冷水側配水ラインL10Bには、給水ポンプ50Bが設けられている。
【0030】
冷水側返水ラインL20Bは、第2負荷設備200Bからの第2用水W1Bを、冷水タンク80Bに戻すためのラインである。
【0031】
冷水側返水ラインL20Bには、後述の第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bが配置されている。冷水側返水ラインL20Bを流通する第2用水W1Bは、第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bにより冷却される。
【0032】
冷水側返水ラインL20Bには、後述の第3熱源装置30の冷水側の中間熱交換器32Bが配置されている。冷水側返水ラインL20Bを流通する第2用水W1Bは、第3熱源装置30の中間熱交換器32Bにより冷却される。
【0033】
第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bおよび第3熱源装置30の中間熱交換器32Bは直列的に配置されている。このように、本実施形態においては、冷水側返水ラインL20Bに第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bと、第3熱源装置30の中間熱交換器32Bを順に配置し、流通水を冷却する。
【0034】
冷水側配水ラインL10Bには、温度センサ41Bが設けられていてもよい。温度センサ41Bは、第2負荷設備200Bの上流側において、冷水側配水ラインL10Bを流通する冷水の往き冷水温度Tc0を検知する。
【0035】
冷水側返水ラインL20Bの中間熱交換器12Bが配置されている位置よりも上流側に、温度センサ40Bが設けられている。温度センサ40Bは、中間熱交換器12Bの上流側において、冷水側返水ラインL20Bを流通する冷水の戻り冷水温度Tcrを検知する。
【0036】
<第1熱源装置>
第1熱源装置10は、第1電気式ヒートポンプ11により第1用水W1Aを加熱しつつ、第2用水W1Bを冷却する。第1熱源装置10は、第1電気式ヒートポンプ11(略号:HP)と、温水側の中間熱交換器12Aと、冷水側の中間熱交換器12Bと、循環ポンプ13Aと、循環ポンプ13Bと、循環ラインLS1Aと、循環ラインLS1Bと、を有する。
【0037】
循環ラインLS1Aは、温水側の中間熱交換器12Aと、第1電気式ヒートポンプ11の凝縮器とを接続する。循環ラインLS1Aを循環する中間媒体R1Aには水(例えば軟化水)を用いてもよい。特に、給湯用途では、凝縮器のパンク時に冷媒を給水に混入させない観点から水が好ましい。
【0038】
循環ラインLS1Bは、冷水側の中間熱交換器12Bと、第1電気式ヒートポンプ11の蒸発器とを接続する。循環ラインLS1Aを循環する中間媒体R1Aには水(例えば軟化水)を用いてもよい。
【0039】
第1電気式ヒートポンプ11は、冷媒圧縮機を有する。第1電気式ヒートポンプ11は、循環ラインLS1Aを循環する中間媒体R1Aを加熱する。第1電気式ヒートポンプ11は、循環ラインLS1Bを循環する中間媒体R1Bを冷却する。本実施形態の第1電気式ヒートポンプ11は、冷温水同時取り出しが可能なヒートポンプチラーである。
【0040】
温水側の中間熱交換器12Aは、温水側返水ラインL20Aを流通する第1用水W1Aと循環ラインLS1Aを流通する中間媒体R1Aとの間の熱交換を行い、第1用水W1Aを加熱する。温水側の中間熱交換器12Aは、温水側返水ラインL20A(給水設備からの給水ライン・負荷設備からの温水側返水ライン・温水タンクとの循環ライン)に配置される。温水側返水ラインL20Aの温水側の中間熱交換器12Aの下流側には不図示の温度センサが設けられており、温水側の中間熱交換器12Aを通過した後の温水側返水ラインL20Aを流通する温水の温度が、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA1として検知される。また、温水側返水ラインL20Aの温水側の中間熱交換器12Aの上流側には不図示の温度センサが設けられており、温水側の中間熱交換器12Aを通過する前の温水側返水ラインL20Aを流通する温水の温度が、温水側の中間熱交換器12Aの入口温度TA0として検知される。この入口温度TA0と出口温度TA1との差分により、温水側の中間熱交換器12Aの入口・出口温度差が検出される。
【0041】
冷水側の中間熱交換器12Bは、冷水側返水ラインL20Bを流通する第2用水W1Bと循環ラインLS1Bを流通する中間媒体R1Bとの間の熱交換を行い、第2用水W1Bを冷却する。冷水側の中間熱交換器12Bは、冷水側返水ラインL20B(給水設備からの給水ライン・負荷設備からの冷水側返水ライン・冷水タンクとの循環ライン)に配置される。冷水側返水ラインL20Bの冷水側の中間熱交換器12Bの下流側には不図示の温度センサが設けられており、冷水側の中間熱交換器12Bを通過した後の冷水側返水ラインL20Bを流通する冷水の温度が、冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1として検知される。また、冷水側返水ラインL20Bの冷水側の中間熱交換器12Bの上流側には不図示の温度センサが設けられており、冷水側の中間熱交換器12Bを通過する前の冷水側返水ラインL20Bを流通する冷水の温度が、冷水側の中間熱交換器12Bの入口温度TB0として検知される。この入口温度TB0と出口温度TB1との差分により、冷水側の中間熱交換器12Bの入口・出口温度差が検出される。
【0042】
循環ポンプ13Aは、循環ラインLS1Aに設けられている。循環ポンプ13Aは、循環ラインLS1Aを流通する中間媒体R1Aを循環させる。
【0043】
循環ポンプ13Bは、循環ラインLS1Bに設けられている。循環ポンプ13Bは、循環ラインLS1Bを流通する中間媒体R1Bを循環させる。
【0044】
なお、第1熱源装置10の構成は、温水側返水ラインL20Aが第1電気式ヒートポンプ11の凝縮器に直接接続されている構成であってもよい。この場合、温水側の中間熱交換器12Aおよび循環ラインLS1Aを省略することができる。また、第1熱源装置10の構成は、冷水側返水ラインL20Bが第1電気式ヒートポンプ11の蒸発器に直接接続されている構成であってもよい。この場合、冷水側の中間熱交換器12Bおよび循環ラインLS1Bを省略することができる。
【0045】
<第2熱源装置>
第2熱源装置20は、第2電気式ヒートポンプ21により第1用水W1Aを加熱しつつ、空気を冷却する。第2熱源装置20は、第2電気式ヒートポンプ21(略号:HP)と、中間熱交換器22Aと、循環ポンプ23Aと、循環ラインLS2Aと、を有する。
【0046】
循環ラインLS2Aは、温水側の中間熱交換器22Aと、第2電気式ヒートポンプ21の凝縮器とを接続する。循環ラインLS2Aを循環する中間媒体R2には水(例えば軟化水)を用いてもよい。特に、給湯用途では、凝縮器のパンク時に冷媒を給水に混入させない観点から水が好ましい。
【0047】
第2電気式ヒートポンプ21は、冷媒圧縮機を有する。第2電気式ヒートポンプ21は、循環ラインLS2Aを循環する中間媒体R2を加熱する。本実施形態の第2電気式ヒートポンプ21は、空気熱源型である。
【0048】
中間熱交換器22Aは、温水側返水ラインL20Aを流通する第1用水W1Aと循環ラインLS2Aを流通する中間媒体R2との間の熱交換を行い、第1用水W1Aを加熱する。中間熱交換器22Aは、温水側返水ラインL20A(給水設備からの給水ライン・負荷設備からの温水側返水ライン・温水タンクとの循環ライン)に配置される。温水側返水ラインL20Aの中間熱交換器22Aの下流側には不図示の温度センサが設けられており、中間熱交換器22Aを通過した後の温水側返水ラインL20Aを流通する温水の温度が、中間熱交換器22Aの出口温度TA2として検知される。
【0049】
循環ポンプ23Aは、循環ラインLS2Aに設けられている。循環ポンプ23Aは、循環ラインLS2Aを流通する中間媒体R2を循環させる。
【0050】
なお、第2熱源装置20の構成は、温水側返水ラインL20Aが第2電気式ヒートポンプ21の凝縮器に直接接続されている構成であってもよい。この場合、中間熱交換器22Aおよび循環ラインLS2Aを省略することができる。
【0051】
<第3熱源装置>
第3熱源装置30は、第3電気式ヒートポンプ31により第2用水W1Bを冷却しつつ、空気を加熱する。第3熱源装置30は、第3電気式ヒートポンプ31(略号:HP)と、中間熱交換器32Bと、循環ポンプ33Bと、循環ラインLS3Bと、を有する。
【0052】
循環ラインLS3Bは、冷水側の中間熱交換器32Bと、第3電気式ヒートポンプ31の蒸発器とを接続する。循環ラインLS3Bを循環する中間媒体R3には水(例えば軟化水)を用いてもよい。
【0053】
第3電気式ヒートポンプ31は、冷媒圧縮機を有する。第3電気式ヒートポンプ31は、循環ラインLS3Bを循環する中間媒体R3を冷却する。本実施形態の第3電気式ヒートポンプ31は、空気熱源型である。
【0054】
中間熱交換器32Bは、冷水側返水ラインL20Bを流通する第2用水W1Bと循環ラインLS3Bを流通する中間媒体R3との間の熱交換を行い、第2用水W1Bを冷却する。中間熱交換器32Bは、冷水側返水ラインL20B(給水設備からの給水ライン・負荷設備からの冷水側返水ライン・冷水タンクとの循環ライン)に配置される。冷水側返水ラインL20Bの中間熱交換器32Bの下流側には不図示の温度センサが設けられており、中間熱交換器32Bを通過した後の冷水側返水ラインL20Bを流通する冷水の温度が、中間熱交換器32Bの出口温度TB2として検知される。
【0055】
循環ポンプ33Bは、循環ラインLS3Bに設けられている。循環ポンプ33Bは、循環ラインLS3Bを流通する中間媒体R3を循環させる。
【0056】
なお、第3熱源装置30の構成は、冷水側返水ラインL20Bが第3電気式ヒートポンプ31の蒸発器に直接接続されている構成であってもよい。この場合、中間熱交換器32Bおよび循環ラインLS3Bを省略することができる。
【0057】
ここで、第2熱源装置20は、第3熱源装置30で加熱された空気を第2電気式ヒートポンプ21の熱源流体として用いて第1用水W1Aを加熱する構成としてもよい。第3熱源装置30を構成する第3電気式ヒートポンプ31は、空気熱源型のチラーであるので、その運転時には凝縮器を通じて排熱を含む空気が放出される。
【0058】
<補助加熱装置>
補助加熱装置60は、燃焼式ボイラにより第1用水W1Aを加熱する。補助加熱装置60は、燃焼式ボイラを含む。燃焼式ボイラは、蒸気ボイラまたは温水ボイラであってもよい。本実施形態の補助加熱装置60は、ボイラ給水を加熱して蒸気を発生する蒸気ボイラ(略号:BS)と、蒸気熱交換器62と、第1循環ラインL30Aと、蒸気ラインL40と、を含む。
【0059】
第1循環ラインL30Aは、温水タンク80A内の温水である第1用水W1Aを循環させるためのラインである。第1循環ラインL30Aには、補助加熱装置60の蒸気熱交換器62が配置されている。第1循環ラインL30Aには、温水循環ポンプ57Aが設けられている。
【0060】
蒸気ラインL40は、蒸気ボイラからの蒸気Sを蒸気熱交換器62に供給する。具体的には、蒸気ボイラから蒸気ヘッダを介して延設した蒸気ラインL40を接続する構成である。蒸気ラインL40には、不図示の給蒸弁(比例制御弁)を設けておき、蒸気Sの供給と遮断、並びに供給中の流量を調整する。
【0061】
蒸気熱交換器62は、第1循環ラインL30Aを流通する第1用水W1Aと蒸気ラインL40を流通する蒸気Sとの間の熱交換を行い、第1循環ラインL30Aを流通する第1用水W1Aを加熱する。
【0062】
なお、補助加熱装置60の構成は、温水側返水ラインL20Aに蒸気熱交換器を配置し、温水タンク80Aに流入する第1用水W1Aを間接加熱する構成であってもよい。
【0063】
また、補助加熱装置60は、燃焼式ボイラを利用した他の加熱手段を用いて、温水タンク80Aの貯留水を加熱する装置であってもよい。例えば、補助加熱装置60の加熱手段として、(1)温水タンク80A内部に設置した蒸気吹き込み管(直接加熱)、(2)温水タンク80A内部に設置した蒸気ヒータ(間接加熱)を用いてもよい。
【0064】
なお、燃焼式ボイラは、炭化水素、水素、アンモニアから選ばれる燃料を使用するボイラであってもよい。燃焼式ボイラは、蒸気ボイラ、温水ボイラのいずれでもよい。温水ボイラは、真空式温水ヒータや無圧式温水ヒータを含む。
【0065】
<補助冷却装置>
補助冷却装置70は、冷凍機により第2用水W1Bを冷却する。補助冷却装置70は、冷凍機71を含む。冷凍機71は、吸収式または吸着式の冷凍機であってもよい。本実施形態の補助冷却装置70は、冷凍機71(略号:RA)と、熱交換器72と、第2循環ラインL30Bと、循環ポンプ73と、循環ラインLS4と、を含む。
【0066】
第2循環ラインL30Bは、冷水タンク80B内の冷水である第2用水W1Bを循環させるためのラインである。第2循環ラインL30Bには、補助冷却装置70の熱交換器72が配置されている。第2循環ラインL30Bには、冷水循環ポンプ57Bが設けられている。
【0067】
循環ラインLS4は、熱交換器72と、冷凍機71とを接続する。循環ラインLS4を循環する中間媒体R4には水(例えば軟化水)を用いてもよい。
【0068】
冷凍機71は、循環ラインLS4を循環する中間媒体R4を冷却する。
【0069】
熱交換器72は、第2循環ラインL30Bを流通する第2用水W1Bと循環ラインLS4を流通する中間媒体R4との間の熱交換を行い、第2循環ラインL30Bを流通する第2用水W1Bを冷却する。
【0070】
循環ポンプ73は、循環ラインLS4に設けられている。循環ポンプ73は、循環ラインLS4を流通する中間媒体R4を循環させる。
【0071】
<制御部>
制御手段100は、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の運転を制御する。制御手段100は更に、補助加熱装置60および補助冷却装置70の運転を制御する。制御手段100は、例えば、情報取得部110と、運転制御部120と、記憶部130と、を備える。
【0072】
なお、制御手段100は、サーバであってもよい。また、制御手段100は、上述のように複数の機能ブロックにより構成されているが、各機能ブロックは必ずしも物理的に分かれている必要は無く、1つのCPUが、複数の機能ブロックの機能を実現してもよい。また、制御手段100は、制御対象部の配置等を考慮して、2つ以上に場所に分かれて配置されていてもよい。また、1つの機能ブロックが2つ以上の場所に分かれて、分散制御されていてもよい。なお、記憶部は、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、または着脱可能なメモリカード等の記録媒体で構成される。記録媒体としては、一時的でない有形の媒体(non-transitory tangible media)が挙げられる。なお、制御手段100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサを含んで構成される。制御手段100の各種機能は、例えば記憶部に格納されたプログラム(アプリケーション)を実行することで実現される。プログラム(アプリケーション)は、ネットワークを介して提供されてもよいし、CD-ROM(Compact Disc Read only memory)またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(computer readable storage medium)に記録されて提供されてもよい。なお、制御手段100の各機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
【0073】
制御手段100の情報取得部110は、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に関する情報を取得する、例えば、情報取得部110は、温熱需要情報として、温水回路の戻り温水温度Thr等の情報を取得する。情報取得部110は、冷熱需要情報として、冷水回路の戻り冷水温度Tcr等の情報を取得する。
【0074】
制御手段100の運転制御部120は、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に基づいて、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の運転を制御する。制御手段100は更に、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に基づいて、補助加熱装置60および補助冷却装置70の運転を制御する。制御手段100は、これらの装置の運転を制御する上で、第1電気式ヒートポンプ11の冷媒圧縮機、第2電気式ヒートポンプ21の冷媒圧縮機、第3電気式ヒートポンプ31の冷媒圧縮機、燃焼式ボイラのバーナ、冷凍機に付帯する熱源機、各種ポンプ、各種通水弁といった、冷温水製造システム1を構成する各種の機器を制御する。
【0075】
ここで、「温熱需要」とは、負荷設備で温水から温熱のみを取り出して消費する場合と、負荷設備で温水を直接消費する場合の両方を含む概念である。すなわち、本発明では「温熱需要」は「温水需要」を含む概念である。また、「冷熱需要」とは、負荷設備で冷水から冷熱のみを取り出して消費する場合と、負荷設備で冷水を直接消費する場合の両方を含む概念である。すなわち、本発明では「冷熱需要」は「冷水需要」を含む概念である。そして、「冷熱需要がない・温熱需要がない」とは、時間当たりの需要量がゼロである状態だけでなく、戻り温水温度の下降幅や戻り冷水温度の上昇幅が規定値に達していなかったり、タンクの減水量が規定量に達していなかったりして時間当たりの需要量が微小である状態を含む。
【0076】
温水回路の第1用水W1Aの戻り温水温度の下降幅が規定値に達しているか否かは、簡便には、温水の往き温水温度の目標値から下降幅の規定値ΔTxを減じた設定値(後述する第1温度T1等)と、温度センサ40Aによって取得される温水の戻り温水温度Thrとの比較により判定される。また、これに替えて、温度センサ41Aによって取得される温水の往き温水温度Th0(実測値)から下降幅の規定値ΔTxを減じた比較値と、温度センサ40Aによって取得される温水の戻り温水温度Thrとの比較により判定されてもよい。
【0077】
冷水回路の第2用水W1Bの戻り冷水温度の上昇幅が規定値に達しているか否かは、簡便には、冷水の往き冷水温度の目標値に上昇幅の規定値ΔTyを加えた設定値(後述する第6温度T6等)と、温度センサ40Bによって取得される冷水の戻り冷水温度Tcrとの比較により判定される。また、これに替えて、温度センサ41Bによって取得される冷水の往き冷水温度Tc0(実測値)に上昇幅の規定値ΔTyを加えた比較値と、温度センサ40Bによって取得される冷水の戻り冷水温度Thrとの比較により判定されてもよい。
【0078】
制御手段100(運転制御部120)は、例えば、温水回路の戻り温水温度Thrによって負荷設備(第1負荷設備200A)の温熱需要を判断する。戻り温水温度Thrが低くなるほど温熱需要が大きい。温熱需要の判断時に戻り温水温度Thrと比較する設定値は、例えば、第1温度T1>第2温度T2>第3温度T3の3設定値である。
【0079】
制御手段100(運転制御部120)は、冷水回路の戻り冷水温度Tcrによって負荷設備(第2負荷設備200B)の冷熱需要を判断する。戻り冷水温度Tcrが高くなるほど冷熱需要が大きい。冷熱需要を判断時に戻り冷水温度Tcrと比較する設定値は、例えば、第4温度T4>第5温度T5>第6温度T6の3設定値である。なお、第4温度T4は、第3温度T3よりも低い(T3>T4)。
【0080】
なお、各設定値は、外部からの入力情報に基づいて設定可能となっていてもよい。また、各設定値は、制御手段100の記憶部130に記憶されていてもよい。
【0081】
制御手段100(運転制御部120)は、Thr≦T1で温熱需要あり、Thr>T1で温熱需要なし、Tcr≧T6で冷熱需要あり、Tcr<T6で冷熱需要なしの判定を行う。ここで、[a]温熱需要あり+冷熱需要あり、[b]温熱需要あり+冷熱需要なし、[c]温熱需要なし+冷熱需要あり、の3つ状態を温度変化のタイムラグによる影響を受けずに区別するため、所定の判定確認時間を設ける。
【0082】
以下、制御手段100による制御例について説明する。第1熱源装置10、第2熱源装置20、第3熱源装置30、補助加熱装置60、補助冷却装置70の全てが停止中の状態を起点として、第1~第3熱源装置の起動優先順位を変える。
【0083】
《A:第1熱源装置10が最先で起動されるケース》
制御手段100は、負荷設備での温熱需要と冷熱需要が共にある場合に、第1熱源装置10を先行して起動した後、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に応じて、第1熱源装置10の単独運転、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転、並びに、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行する。
【0084】
〔A-1〕 第1~第3熱源装置の停止中、Thr≦T1を検知、かつ、Tcr≧T6を検知すると、第1熱源装置10を第1優先で起動する(単独運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA1が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Thr>T1を検知、または、Tcr<T6を検知すると、第1熱源装置10を停止する。
なお、第1熱源装置10の運転中、冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1はなりゆきとなるため、冷水タンク80Bの蓄熱温度Tctが[冷水目標温度+ΔTβ]以上となった場合には補助冷却装置70を起動する。以下の〔A-2〕についても同様である。
【0085】
〔A-2〕 第1熱源装置10の単独運転中、Thr≦T2を検知すると、第2熱源装置20を第2優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの入口・出口温度差TA1-TA0が温水目標温度差になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Thr>T2を検知すると、第2熱源装置20を停止する。
【0086】
〔A-3〕 第1熱源装置10と第2熱源装置20の協調運転中、Tcr≧T5を検知すると、第3熱源装置30を第3優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1はなりゆきであり、第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Tcr<T5を検知すると、第3熱源装置30を停止する。
【0087】
〔A-4〕 第1熱源装置10の単独運転中、Tcr≧T5を検知すると、第3熱源装置30を第2優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1はなりゆきであり、第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Tcr<T5を検知すると、第3熱源装置30を停止する。
【0088】
〔A-5〕 第1熱源装置10と第3熱源装置30の協調運転中、Thr≦T2を検知すると、第2熱源装置20を第3優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの入口・出口温度差TA1-TA0が温水目標温度差になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Thr>T2を検知すると、第2熱源装置20を停止する。
【0089】
〔変更例〕第1熱源装置10の出力制御は、温水の出口温度を調整するのではなく、冷水の出口温度を調整してもよい。具体的には、冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。冷水側の入口・出口温度差TB1-TB0を調整する場合も同様である。
なお、第1熱源装置10の運転中、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA1はなりゆきとなるため、温水タンク80Aの蓄熱温度Thtが[温水目標温度-ΔTα]以下となった場合には、補助加熱装置60を起動する。
【0090】
《B:第2熱源装置20が最先で起動されるケース》
制御手段100は、負荷設備での冷熱需要がない場合に、第2熱源装置20を先行して起動した後、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に応じて、第2熱源装置20の単独運転、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転、並びに、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行する。
【0091】
〔B-1〕 第1~第3熱源装置の停止中、Thr≦T1を検知、かつ、Tcr<T6を検知すると、第2熱源装置20を第1優先で起動する(単独運転)。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Thr>T1を検知すると、第2熱源装置20を停止する。
【0092】
〔B-2〕 第2熱源装置20の単独運転中、Thr≦T2を検知、かつ、Tcr≧T6を検知すると、第1熱源装置10を第2優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの入口・出口温度差TA1-TA0が温水目標温度差になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Thr>T2を検知、または、Tcr<T6を検知すると、第1熱源装置10を停止する。
なお、第1熱源装置10の運転中、冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1はなりゆきとなるため、冷水タンク80Bの蓄熱温度Tctが[冷水目標温度+ΔTβ]以上となった場合には補助冷却装置70を起動する。
【0093】
〔B-3〕 第2熱源装置20と第1熱源装置10の協調運転中、Tcr≧T5を検知すると、第3熱源装置30を第3優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1はなりゆきであり、第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Tcr<T5を検知すると、第3熱源装置30を停止する。
【0094】
〔B-4〕 第2熱源装置20の単独運転中、Tcr≧T6を検知すると、第3熱源装置30を第2優先で起動する(協調運転)。第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Tcr<T6を検知すると、第3熱源装置30を停止する。
【0095】
〔B-5〕 第2熱源装置20と第3熱源装置30の協調運転中、Thr≦T2を検知、かつ、Tcr≧T5を検知すると、第1熱源装置10を第3優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの入口・出口温度差TA1-TA0が温水目標温度差になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Thr>T2を検知、または、Tcr<T5を検知すると、第1熱源装置10を停止する。
【0096】
《C:第3熱源装置30が最先で起動されるケース》
制御手段100は、負荷設備での温熱需要がない場合に、第3熱源装置30を先行して起動した後、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に応じて、第3熱源装置30の単独運転、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転、並びに、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行する。
【0097】
〔C-1〕 第1~第3熱源装置の停止中、Tcr≧T6を検知、かつ、Thr>T1を検知すると、第3熱源装置30を第1優先で起動する(単独運転)。第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Tcr<T6を検知すると、第3熱源装置30を停止する。
【0098】
〔C-2〕 第3熱源装置30の単独運転中、Thr≦T1を検知、かつ、Tcr≧T5を検知すると、第1熱源装置10を第2優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA1が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Thr>T1を検知、または、Tcr<T5を検知すると、第1熱源装置10を停止する。
なお、第1熱源装置10の運転中、冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1はなりゆきとなるが、第3熱源装置30により中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度に調整される。
【0099】
〔C-3〕 第3熱源装置30と第1熱源装置10の協調運転中、Thr≦T2を検知すると、第2熱源装置20を第3優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの入口・出口温度差TA1-TA0が温水目標温度差になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Thr>T2を検知すると、第2熱源装置20を停止する。
【0100】
〔C-4〕 第3熱源装置30の単独運転中、Thr≦T1を検知すると、第2熱源装置20を第2優先で起動する(協調運転)。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Thr>T1を検知すると、第2熱源装置20を停止する。
【0101】
〔C-5〕 第3熱源装置30と第2熱源装置20の協調運転中、Thr≦T2を検知、かつ、Tcr≧T5を検知すると、第1熱源装置10を第3優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの入口・出口温度差TA1-TA0が温水目標温度差になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Thr>T2を検知、または、Tcr<T5を検知すると、第1熱源装置10を停止する。
【0102】
《D:共通制御》
制御手段100は、第1熱源装置10および/または第2熱源装置20の運転中、負荷設備での温熱需要に応じて、補助加熱装置60を運転させる。
また、制御手段100は、第1熱源装置10および/または第3熱源装置30の運転中、負荷設備での冷水需要に応じて、補助冷却装置70を運転させる。
【0103】
〔D-1〕 補助加熱装置60の停止中、Thr≦T3を検知すると、補助加熱装置60を起動する。補助加熱装置60は、温水タンク80Aの蓄熱温度Thtが温水目標温度になるように蒸気熱交換器62への給蒸量を調整する。補助加熱装置60の運転中、Thr>T3を検知すると、補助加熱装置60を停止し、温水側の温水循環ポンプ57Aを停止する。なお、補助加熱装置60の起動後は、第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの入口・出口温度差TA2-TA1が温水目標温度差になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整するのがよい。
【0104】
〔D-2〕 補助冷却装置70の停止中、Thr≧T4を検知すると、補助冷却装置70を起動する。補助冷却装置70は、冷水タンク80Bの蓄熱温度Tctが冷水目標温度になるように冷凍機の出力(例:中間媒体R4の循環流量)を調整する。補助冷却装置70の運転中、Thr>T4を検知すると、補助冷却装置70を停止し、冷水側の冷水循環ポンプ57Bを停止する。なお、補助冷却装置70の起動後は、第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの入口・出口温度差TB2-TB1が冷水目標温度差になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整するのがよい。
【0105】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
図2は、本実施形態における冷温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0106】
図2に示すように、本実施形態の冷温水製造システム1は、給水設備からの給水ラインL50を有する。給水ラインL50は、給水設備からの補給水を用水W1A,W1Bとして、温水タンク80Aおよび冷水タンク80Bに供給するためのラインである。給水ラインL50は、温水タンク80Aに接続される温水側の給水ラインL50Aと、冷水タンク80Bに接続される冷水側の給水ラインL50Bと、を含む。本実施形態においては、給水ラインL50は、温水側の給水ラインL50Aおよび冷水側の給水ラインL50Bに分岐している。
【0107】
温水側の給水ラインL50Aは、第1給水ラインL50A1と、第2給水ラインL50A2と、第3給水ラインL50A3と、を有する。温水側の給水ラインL50Aは、途中で3つのラインL50A1、L50A2、L50A3に分岐して、温水タンク80Aに接続される前に再度合流している。温水側の給水ラインL50Aには、第1用水W1Aが流通する。
【0108】
冷水側の給水ラインL50Bは、第1給水ラインL50B1と、第2給水ラインL50B2と、第3給水ラインL50B3と、を有する。冷水側の給水ラインL50Bは、途中で3つのラインL50B1、L50B2、L50B3に分岐して、冷水タンク80Bに接続される前に再度合流している。冷水側の給水ラインL50Bには、第2用水W1Bが流通する。
【0109】
温水側の第1給水ラインL50A1には、第1給水ポンプ54A1と、第1通水弁51A1と、第1熱源装置10の温水側の中間熱交換器12Aと、が配置されている。
温水側の第2給水ラインL50A2には、第2給水ポンプ54A2と、第2通水弁51A2と、第2熱源装置20の中間熱交換器22Aと、が配置されている。
温水側の第3給水ラインL50A3には、第3給水ポンプ54A3および第3通水弁51A3が配置されている。
【0110】
冷水側の第1給水ラインL50B1には、第1給水ポンプ54B1と、第1通水弁51B1と、第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bと、が配置されている。
冷水側の第2給水ラインL50B2には、第2給水ポンプ54B2と、第2通水弁51B2と、第3熱源装置30の中間熱交換器32Bと、が配置されている。
冷水側の第3給水ラインL50B3には、第3給水ポンプ54B3および第3通水弁51B3が配置されている。
【0111】
各給水ラインL50A1~L50B3上の通水弁51A1~51B3は、同じ給水ライン上の給水ポンプ54A1~54B3の起動/停止に連動して開閉される。
【0112】
第1熱源装置10および第2熱源装置20は、温水側の給水ラインL50Aを流通する給水としての第1用水W1Aを加熱する。より詳細には、第1熱源装置10は、温水側の第1給水ラインL50A1を流通する給水としての第1用水W1Aを加熱する。第2熱源装置20は、温水側の第2給水ラインL50A2を流通する給水としての第1用水W1Aを加熱する。
【0113】
第1熱源装置10および第3熱源装置30は、冷水側の給水ラインL50Bを流通する給水としての第2用水W1Bを冷却する。より詳細には、第1熱源装置10は、冷水側の第1給水ラインL50B1を流通する給水としての第2用水W1Bを冷却する。第3熱源装置30は、冷水側の第2給水ラインL50B2を流通する給水としての第2用水W1Bを冷却する。
【0114】
第1熱源装置10の温水側の中間熱交換器12Aは、温水側の第1給水ラインL50A1に配置される。第1熱源装置10の温水側の中間熱交換器12Aは、温水側の第1給水ラインL50A1を流通する第1用水W1Aと循環ラインLS1Aを流通する中間媒体R1Aとの間の熱交換を行い、温水側の第1給水ラインL50A1を流通する第1用水W1Aを加熱する。
【0115】
第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bは、冷水側の第1給水ラインL50B1に配置される。第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bは、冷水側の第1給水ラインL50B1を流通する第2用水W1Bと循環ラインLS1Bを流通する中間媒体R1Bとの間の熱交換を行い、冷水側の第1給水ラインL50B1を流通する第2用水W1Bを冷却する。
【0116】
第2熱源装置20の中間熱交換器22Aは、温水側の第2給水ラインL50A2に配置される。第2熱源装置20の中間熱交換器22Aは、温水側の第2給水ラインL50A2を流通する第1用水W1Aと循環ラインLS2Aを流通する中間媒体R2との間の熱交換を行い、温水側の第2給水ラインL50A2を流通する第1用水W1Aを加熱する。
【0117】
第3熱源装置30の中間熱交換器32Bは、冷水側の第2給水ラインL50B2に配置される。第3熱源装置30の中間熱交換器32Bは、冷水側の第2給水ラインL50B2を流通する第2用水W1Bと循環ラインLS3Bを流通する中間媒体R3との間の熱交換を行い、冷水側の第2給水ラインL50B2を流通する第2用水W1Bを冷却する。
【0118】
本実施形態の温水タンク80Aは、開放式のタンクである。温水タンク80Aは、第1水位センサ81Aを備える。第1水位センサ81Aは、温水タンク80Aの温水水位Lhwを検知する。
【0119】
本実施形態の冷水タンク80Bは、開放式のタンクである。冷水タンク80Bは、第2水位センサ81Bを備える。第2水位センサ81Bは、冷水タンク80Bの冷水水位Lcwを検知する。
【0120】
温水タンク80Aから第1負荷設備200Aに温水の往き配管である温水側配水ラインL10Aが敷設されている(単管給湯)。温水側配水ラインL10Aには、給水ポンプ50Aが配置されている。本実施形態における第1負荷設備200Aは、温水化された第1用水W1Aを洗浄水等として直接使用(すなわち温水出力)する。
【0121】
冷水タンク80Bから第2負荷設備200Bに温水の往き配管である冷水側配水ラインL10Bが敷設されている(単管給湯)。冷水側配水ラインL10Bには、給水ポンプ50Bが配置されている。本実施形態における第2負荷設備200Bは、冷水化された第2用水W1Bを冷却水等として直接使用(すなわち冷水出力)する。
【0122】
制御手段100の情報取得部110は、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に関する情報を取得する、例えば、情報取得部110は、温熱需要情報として、温水タンク80Aの温水水位Lhw等の情報を取得する。情報取得部110は、冷熱需要情報として、冷水タンク80Bの冷水水位Lcw等の情報を取得する。
【0123】
制御手段100の運転制御部120は、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に基づいて、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の運転を制御する。制御手段100は更に、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に基づいて、補助加熱装置60および補助冷却装置70の運転を制御する。制御手段100は、これらの装置の運転を制御する上で、第1電気式ヒートポンプ11の冷媒圧縮機、第2電気式ヒートポンプ21の冷媒圧縮機、第3電気式ヒートポンプ31の冷媒圧縮機、燃焼式ボイラのバーナ、冷凍機に付帯する熱源機、各種ポンプ、各種通水弁といった、冷温水製造システム1を構成する各種の機器を制御する。
【0124】
制御手段100(運転制御部120)は、例えば、温水タンク80Aの温水水位Lhwによって負荷設備(第1負荷設備200A)の温熱需要(=温水需要)を判断する。温水水位Lhwが低くなるほど温熱需要が大きい。温熱需要の判断時に温水水位Lhwと比較する設定値は、例えば、第1水位L1>第2水位L2>第3水位L3>第4水位L4の4設定値である。
【0125】
制御手段100(運転制御部120)は、例えば、冷水タンク80Bの冷水水位Lcwによって負荷設備(第2負荷設備200B)の冷熱需要(=冷水需要)を判断する。冷水水位Lcwが低くなるほど冷熱需要が大きい。冷熱需要の判断時に冷水水位Lcwと比較する設定値は、例えば、第1水位L1>第2水位L2>第3水位L3>第4水位L4の4設定値である。
【0126】
制御手段100(運転制御部120)は、Lhw≦L2で温熱需要あり、Lhw>L2で温熱需要なし、Lcw≦L2で冷熱需要あり、Lcw>L2で冷熱需要なしの判定を行う。ここで、[a]温熱需要あり+冷熱需要あり、[b]温熱需要あり+冷熱需要なし、[c]温熱需要なし+冷熱需要あり、の3つ状態を水位変化のタイムラグによる影響を受けずに区別するため、所定の判定確認時間を設ける。
【0127】
以下、制御手段100による制御例について説明する。第1熱源装置10、第2熱源装置20、第3熱源装置30、補助加熱装置60、補助冷却装置70の全てが停止中の状態を起点として、第1~第3熱源装置の起動優先順位を変える。
【0128】
《A:第1熱源装置10が最先で起動されるケース》
制御手段100は、負荷設備での温熱需要と冷熱需要が共にある場合に、第1熱源装置10を先行して起動した後、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に応じて、第1熱源装置10の単独運転、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転、並びに、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行する。
【0129】
〔A-1〕 第1~第3熱源装置の停止中、Lhw≦L2を検知、かつLcw≦L2を検知すると、温水側の第1給水ポンプ54A1を駆動すると共に、冷水側の第1給水ポンプ54B1を駆動し、第1熱源装置10を第1優先で起動する(単独運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA1が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Lhw>L1、または、Lcw>L1を検知すると、第1熱源装置10を停止し、温水側および冷水側の第1給水ポンプ54A1,54B1を停止する。
なお、第1熱源装置10の運転中、冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1はなりゆきとなるため、冷水タンク80Bの蓄熱温度Tctが[冷水目標温度+ΔTβ]以上となった場合には補助冷却装置70を起動する。以下の〔A-2〕~〔A-5〕についても同様である。
【0130】
〔A-2〕 第1熱源装置10の単独運転中、Lhw≦L3を検知すると、温水側の第2給水ポンプ54A2を駆動し、第2熱源装置20を第2優先で起動する(協調運転)。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Lhw>L2を検知すると、第2熱源装置20を停止し、温水側の第2給水ポンプ54A2を停止する。
【0131】
〔A-3〕 第1熱源装置10と第2熱源装置20の協調運転中、Lcw≦L3を検知すると、冷水側の第2給水ポンプ54B2を駆動し、第3熱源装置30を第3優先で起動する(協調運転)。第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Lcw>L2を検知すると、第3熱源装置30を停止し、冷水側の第2給水ポンプ54B2を停止する。
【0132】
〔A-4〕 第1熱源装置10の単独運転中、Lcw≦L3を検知すると、冷水側の第2給水ポンプ54B2を駆動し、第3熱源装置30を第2優先で起動する(協調運転)。第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Lcw>L2を検知すると、第3熱源装置30を停止し、冷水側の第2給水ポンプ54B2を停止する。
【0133】
〔A-5〕 第1熱源装置10と第3熱源装置30の協調運転中、Lhw≦L3を検知すると、温水側の第2給水ポンプ54A2を駆動し、第2熱源装置20を第3優先で起動する(協調運転)。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Lhw>L2を検知すると、第2熱源装置20を停止し、温水側の第2給水ポンプ54A2を停止する。
【0134】
〔変更例〕第1熱源装置10の出力制御は、温水の出口温度を調整するのではなく、冷水の出口温度を調整してもよい。具体的には、冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。
なお、第1熱源装置10の運転中、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA1はなりゆきとなるため、温水タンク80Aの蓄熱温度Thtが[温水目標温度-ΔTα]以下となった場合には、補助加熱装置60を起動する。
【0135】
《B:第2熱源装置20が最先で起動されるケース》
制御手段100は、負荷設備での冷熱需要がない場合に、第2熱源装置20を先行して起動した後、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に応じて、第2熱源装置20の単独運転、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転、並びに、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行する。
【0136】
〔B-1〕 第1~第3熱源装置の停止中、Lhw≦L2を検知、かつ、Lcw>L1を検知すると、温水側の第2給水ポンプ54A2を駆動し、第2熱源装置20を第1優先で起動する(単独運転)。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Lhw>L1を検知すると、第2熱源装置20を停止し、温水側の第2給水ポンプ54A2を停止する。
【0137】
〔B-2〕 第2熱源装置20の単独運転中、Lhw≦L3を検知、かつ、Lcw≦L2を検知すると、温水側の第1給水ポンプ54A1を駆動すると共に、冷水側の第1給水ポンプ54B1を駆動し、第1熱源装置10を第2優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA1が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Lhw>L2を検知、または、Lcw>L1を検知すると、第1熱源装置10を停止し、温水側および冷水側の第1給水ポンプ54A1,54B1を停止する。
なお、第1熱源装置10の運転中、冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1はなりゆきとなるため、冷水タンク80Bの蓄熱温度Tctが[冷水目標温度+ΔTβ]以上となった場合には補助冷却装置70を起動する。以下の〔B-3〕,〔B-5〕についても同様である。
【0138】
〔B-3〕 第2熱源装置20と第1熱源装置10の協調運転中、Lcw≦L3を検知すると、冷水側の第2給水ポンプ54B2を駆動し、第3熱源装置30を第3優先で起動する(協調運転)。第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Lcw>L2を検知すると、第3熱源装置30を停止し、冷水側の第2給水ポンプ54B2を停止する。
【0139】
〔B-4〕 第2熱源装置20の単独運転中、Lcw≦L2を検知すると、冷水側の第2給水ポンプ54B2を駆動し、第3熱源装置30を第2優先で起動する(協調運転)。第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Lcw>L1を検知すると、第3熱源装置30を停止し、冷水側の第2給水ポンプ54B2を停止する。
【0140】
〔B-5〕 第2熱源装置20と第3熱源装置30の協調運転中、Lhw≦L3、かつ、Lcw≦L3を検知すると、温水側の第1給水ポンプ54A1を駆動すると共に、冷水側の第1給水ポンプ54B1を駆動し、第1熱源装置10を第3優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA1が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Lhw>L2を検知、または、Lhw>L2を検知すると、第1熱源装置10を停止し、温水側および冷水側の第1給水ポンプ54A1,54A2を停止する。
【0141】
《C:第3熱源装置30が最先で起動されるケース》
制御手段100は、負荷設備での温熱需要がない場合に、第3熱源装置30を先行して起動した後、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に応じて、第3熱源装置30の単独運転、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転、並びに、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行する。
【0142】
〔C-1〕 第1~第3熱源装置の停止中、Lcw≦L2を検知、かつ、Lhw>L1を検知すると、冷水側の第2給水ポンプ54B2を駆動し、第3熱源装置30を第1優先で起動する(単独運転)。第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Lcw>L1を検知すると、第3熱源装置30を停止し、冷水側の第2給水ポンプ54B2を停止する。
【0143】
〔C-2〕 第3熱源装置30の単独運転中、Lhw≦L2を検知、かつ、Lcw≦L3を検知すると、温水側の第1給水ポンプ54A1を駆動すると共に、冷水側の第1給水ポンプ54B1を駆動し、第1熱源装置10を第2優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Lhw>L1を検知、または、Lcw>L2を検知すると、第1熱源装置10を停止し、温水側および冷水側の第1給水ポンプ54A1,54B1を停止する。
なお、第1熱源装置10の運転中、冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1はなりゆきとなるため、冷水タンク80Bの蓄熱温度Tctが[冷水目標温度+ΔTβ]以上となった場合には補助冷却装置70を起動する。以下の〔C-3〕,〔C-5〕についても同様である。
【0144】
〔C-3〕 第3熱源装置30と第1熱源装置10の協調運転中、Lhw≦L3を検知すると、温水側の第2給水ポンプ54A2を駆動し、第2熱源装置20を第3優先で起動する(協調運転)。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Lhw>L2を検知すると、第2熱源装置20を停止し、温水側の第2給水ポンプ54A2を停止する。
【0145】
〔C-4〕 第3熱源装置30の単独運転中、Lhw≦L2を検知すると、温水側の第2給水ポンプ54A2を駆動し、第2熱源装置20を第2優先で起動する(協調運転)。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Lhw>L1を検知すると、第2熱源装置20を停止し、温水側の第2給水ポンプ54A2を停止する。
【0146】
〔C-5〕 第3熱源装置30と第2熱源装置20の協調運転中、Lhw≦L3を検知、かつ、Lcw≦L3を検知すると、温水側の第1給水ポンプ54A1を駆動すると共に、冷水側の第1給水ポンプ54B1を駆動し、第1熱源装置10を第3優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA1が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Lhw>L2を検知、または、Lcw≦L2を検知すると、第1熱源装置10を停止し、温水側および冷水側の第1給水ポンプ54A1,54B1を停止する。
【0147】
《D:共通制御》
制御手段100は、第1熱源装置10および/または第2熱源装置20の運転中、負荷設備での温熱需要に応じて、補助加熱装置60を運転させる。
また、制御手段100は、第1熱源装置10および/または第3熱源装置30の運転中、負荷設備での冷水需要に応じて、補助冷却装置70を運転させる。
【0148】
〔D-1〕 補助加熱装置60の停止中、Lhw≦L4を検知すると、温水側の第3給水ポンプ54A3を駆動し、補助加熱装置60を起動する。補助加熱装置60は、温水タンク80Aの蓄熱温度Thtが温水目標温度になるように蒸気熱交換器62への給蒸量を調整する。補助加熱装置60の運転中、Lhw>L3を検知すると、補助加熱装置60を停止し、温水側の第3給水ポンプ54A3を停止する。
【0149】
〔D-2〕 補助冷却装置70の停止中、Lcw≦L4を検知すると、冷水側の第3給水ポンプ54B3を駆動し、補助冷却装置70を起動する。補助冷却装置70は、冷水タンク80Bの蓄熱温度Tctが冷水目標温度になるように冷凍機の出力(例:中間媒体R4の循環流量)を調整する。補助冷却装置70の運転中、Lcw>L3を検知すると、補助冷却装置70を停止し、冷水側の第3給水ポンプ54B3を停止する。
【0150】
(その他の実施形態)
〔i〕 第1実施形態の冷温水製造システム1は、温水系統と冷水系統が共に水循環(第1負荷設備200Aでの温熱出力、第2負荷設備200Bでの冷熱出力)であり、第2実施形態の冷温水製造システム1は、温水系統と冷水系統が共に一過流通(第1負荷設備200Aでの温水出力、第2負荷設備200Bでの冷水出力)である。
これらに限らず、一方の系統が水循環であり、他方の系統が一過流通である構成(温熱出力と冷水出力の組み合わせや冷熱出力と温水出力の組み合わせ)であってもよい。例えば、冷水系統が冷房(冷水循環)、温水系統が給湯の構成が該当する。なお、水循環の系統の熱需要は、循環水の戻り温度により判断し、一過流通の系統の水需要は、貯留水の水位により判断する。
【0151】
〔ii〕 第1実施形態および第2実施形態において、第1熱源装置10と、第2熱源装置20と、第3熱源装置30と、を備える冷温水製造システムについて説明したが、少なくとも第1熱源装置10および第2熱源装置20を備える冷温水製造システムであってもよい。
この場合、制御手段100は、負荷設備での温熱需要と冷熱需要が共にある場合に、第1熱源装置10を先行して起動した後、負荷設備での温熱需要に応じて、第1熱源装置10の単独運転、並びに、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転の切り替えを実行してもよい。
また、制御手段100は、負荷設備での冷熱需要がない場合に、第2熱源装置20を先行して起動した後、負荷設備での温熱需要に応じて、第2熱源装置20の単独運転、並びに、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転の切り替えを実行してもよい。
【0152】
〔iii〕 第1実施形態および第2実施形態において、第1熱源装置10と、第2熱源装置20と、第3熱源装置30と、を備える冷温水製造システムについて説明したが、少なくとも第1熱源装置10および第3熱源装置30を備える冷温水製造システムであってもよい。
この場合、制御手段100は、負荷設備での温熱需要と冷熱需要が共にある場合に、第1熱源装置10を先行して起動した後、負荷設備での冷熱需要に応じて、第1熱源装置10の単独運転、並びに、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行してもよい。
また、制御手段100は、負荷設備での温熱需要がない場合に、第3熱源装置30を先行して起動した後、負荷設備での冷熱需要に応じて、第3熱源装置30の単独運転、並びに、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行してもよい。
【0153】
以上説明した上述の実施形態の冷温水製造システム1によれば、以下のような効果を奏する。
【0154】
(1)事業所内の負荷設備200で利用する用水W1を冷温水化する冷温水製造システム1であって、第1電気式ヒートポンプ11により第1用水W1Aを加熱しつつ、第2用水W1Bを冷却する第1熱源装置10と、第2電気式ヒートポンプ21により第1用水W1Aを加熱しつつ、空気を冷却する第2熱源装置20と、第1熱源装置10および第2熱源装置20の運転を制御する制御手段100と、を備え、制御手段100は、第1負荷設備200Aでの温熱需要と第2負荷設備200Bでの冷熱需要が共にある場合に、第1熱源装置10を先行して起動した後、第1負荷設備200Aでの温熱需要に応じて、第1熱源装置10の単独運転、並びに、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転の切り替えを実行し、第2負荷設備200Bでの冷熱需要がない場合に、第2熱源装置20を先行して起動した後、第1負荷設備200Aでの温熱需要に応じて、第2熱源装置20の単独運転、並びに、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転の切り替えを実行する。これにより、温熱需要と冷熱需要に応答して、熱源装置を効率よく運転することのできる冷温水製造システムを提供することができる。
【0155】
第1負荷設備200Aでの温熱需要と第2負荷設備200Bでの冷熱需要が共にある場合、第1熱源装置10を温熱・冷熱需要に対するベースロード機として先行起動後、第2熱源装置20を温熱需要に対するピークロード機として運転する。これにより、温熱と冷熱を同時に消費する操業状態では、冷温水同時取出形ヒートポンプを優先的に活用して、用水W1を効率よく加熱・冷却することができる。
第2負荷設備200Bでの冷熱需要がない場合、第2熱源装置20を温熱需要に対するベースロード機として先行起動後、第1熱源装置10を温熱需要に対するピークロード機、かつ冷熱需要に対するベースロード機として運転する。これにより、温熱を大量に消費する操業状態では、温水単独取出形ヒートポンプを優先的に活用して、用水W1を効率よく加熱することができる。
【0156】
(2)事業所内の負荷設備200で利用する用水W1を冷温水化する冷温水製造システム1であって、 第1電気式ヒートポンプ11により第1用水W1Aを加熱しつつ、第2用水W1Bを冷却する第1熱源装置10と、第3電気式ヒートポンプ31により第2用水W1Bを冷却しつつ、空気を加熱する第3熱源装置30と、第1熱源装置10および第3熱源装置30の運転を制御する制御手段100と、を備え、制御手段100は、第1負荷設備200Aでの温熱需要と第2負荷設備200Bでの冷熱需要が共にある場合に、第1熱源装置10を先行して起動した後、第2負荷設備200Bでの冷熱需要に応じて、第1熱源装置10の単独運転、並びに、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行し、第1負荷設備200Aでの温熱需要がない場合に、第3熱源装置30を先行して起動した後、第2負荷設備200Bでの冷熱需要に応じて、第3熱源装置30の単独運転、並びに、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行する。これにより、温熱需要と冷熱需要に応答して、熱源装置を効率よく運転することのできる冷温水製造システムを提供することができる。
【0157】
第1負荷設備200Aでの温熱需要と第2負荷設備200Bでの冷熱需要が共にある場合、第1熱源装置10を温熱・冷熱需要に対するベースロード機として先行起動後、第3熱源装置30を冷熱需要に対するピークロード機として運転する。これにより、温熱と冷熱を同時に消費する操業状態では、冷温水同時取出形ヒートポンプを優先的に活用して、用水W1を効率よく加熱・冷却することができる。
第1負荷設備200Aでの温熱需要がない場合、第3熱源装置30を冷水需要に対するベースロード機として先行起動後、第1熱源装置10を冷熱需要に対するピークロード機、かつ温熱需要に対するベースロード機として運転する。これにより、冷熱を大量に消費とする操業状態では、冷水単独取出形ヒートポンプを優先的に活用して、用水W1を効率よく冷却することができる。
【0158】
(3)事業所内の負荷設備200で利用する用水W1を冷温水化する冷温水製造システムであって、第1電気式ヒートポンプ11により第1用水W1Aを加熱しつつ、第2用水W1Bを冷却する第1熱源装置10と、第2電気式ヒートポンプ21により第1用水W1Aを加熱しつつ、空気を冷却する第2熱源装置20と、第3電気式ヒートポンプ31により第2用水W1Bを冷却しつつ、空気を加熱する第3熱源装置30と、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の運転を制御する制御手段100と、を備え、制御手段100は、第1負荷設備200Aでの温熱需要と第2負荷設備200Bでの冷熱需要が共にある場合に、第1熱源装置10を先行して起動した後、第1負荷設備200Aでの温熱需要および第2負荷設備200Bでの冷熱需要に応じて、第1熱源装置10の単独運転、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転、並びに、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行し、第2負荷設備200Bでの冷熱需要がない場合に、第2熱源装置20を先行して起動した後、第1負荷設備200Aでの温熱需要および第2負荷設備200Bでの冷熱需要に応じて、第2熱源装置20の単独運転、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転、並びに、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行し、第1負荷設備200Aでの温熱需要がない場合に、第3熱源装置30を先行して起動した後、第1負荷設備200Aでの温熱需要および第2負荷設備200Bでの冷熱需要に応じて、第3熱源装置30の単独運転、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転、並びに、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行する。これにより、温熱需要と冷熱需要に応答して、熱源装置を効率よく運転することのできる冷温水製造システムを提供することができる。
【0159】
第1負荷設備200Aでの温熱需要と第2負荷設備200Bでの冷熱需要が共にある場合、第1熱源装置10を温熱・冷熱需要に対するベースロード機として先行起動後、第2熱源装置20を温熱需要に対するピークロード機として運転し、第3熱源装置30を冷熱需要に対するピークロード機として運転する。これにより、温熱と冷熱を同時に消費する操業状態では、冷温水同時取出形ヒートポンプを優先的に活用して、用水W1を効率よく加熱・冷却することができる。
第2負荷設備200Bでの冷熱需要がない場合、第2熱源装置20を温熱需要に対するベースロード機として先行起動後、第1熱源装置10を温熱需要に対するピークロード機、かつ冷熱需要に対するベースロード機として運転し、第3熱源装置30を冷熱需要に対するピークロード機として運転する。これにより、温熱を大量に消費する操業状態では、温水単独取出形ヒートポンプを優先的に活用して、用水W1を効率よく加熱することができる。
第1負荷設備200Aでの温熱需要がない場合、第3熱源装置30を冷熱需要に対するベースロード機として先行起動後、第1熱源装置10を冷熱需要に対するピークロード機、かつ温熱需要に対するベースロード機として運転し、第2熱源装置20を温熱需要に対するピークロード機として運転する。これにより、冷熱を大量に消費する操業状態では、冷水単独取出形ヒートポンプを優先的に活用して、用水W1を効率よく冷却することができる。
【0160】
(4)(3)の冷温水製造システム1において、第2熱源装置20は、第3熱源装置30で加熱された空気を第2電気式ヒートポンプ21の熱源流体として第1用水W1Aを加熱する。
【0161】
温熱・冷熱のピーク需要に対して第2熱源装置20と第3熱源装置30を同時に運転しているときは、空気を中間媒体として、第2用水W1Bから第1用水W1Aに熱を移動させる。これにより、これらの装置パッケージを第1熱源装置10(冷温水同時取出形ヒートポンプ)に匹敵するレベルの高効率で運転することができる。
【0162】
(5)(1)~(4)の冷温水製造システム1は、燃焼式ボイラにより第1用水W1Aを加熱する補助加熱装置60を備え、制御手段100は、第1熱源装置の運転中、第1負荷設備200Aでの温熱需要に応じて、補助加熱装置60を運転させる。
【0163】
これにより、第1熱源装置10の温水製造能力を超える温熱需要が発生した場合に、補助加熱装置60を運転させることで温熱供給量を増強することができる。また、第1熱源装置10のみでは達成困難な温度の温水(例えば90℃以上)を製造することもできる。
【0164】
(6)(1)、(3)、(4)の冷温水製造システム1は、燃焼式ボイラにより第1用水W1Aを加熱する補助加熱装置60を備え、制御手段100は、第2熱源装置20の運転中、第1負荷設備200Aでの温熱需要に応じて、補助加熱装置60を運転させる。
【0165】
これにより、第2熱源装置20の温水製造能力を超える温熱需要が発生した場合に、補助加熱装置60を運転させることで温熱供給量を増強することができる。また、第2熱源装置20のみでは達成困難な温度の温水(例えば90℃以上)を製造することもできる。
【0166】
(7)(1)~(4)の冷温水製造システム1は、吸収式または吸着式冷凍機により第2用水W1Bを冷却する補助冷却装置70を備え、制御手段100は、第1熱源装置10の運転中、第2負荷設備200Bでの冷水需要に応じて、補助冷却装置70を運転させる。
【0167】
これにより、第1熱源装置10の温水製造能力を超える冷熱需要が発生した場合に、補助冷却装置70を運転させることで冷熱供給量を増強することができる。
【0168】
(8)(2)~(4)の冷温水製造システム1は、吸収式または吸着式冷凍機により第2用水W1Bを冷却する補助冷却装置70を備え、制御手段100は、第3熱源装置30の運転中、第2負荷設備200Bでの冷水需要に応じて、補助冷却装置70を運転させる。
【0169】
これにより、第3熱源装置30の温水製造能力を超える冷熱需要が発生した場合に、補助冷却装置70を運転させることで冷熱供給量を増強することができる。
【0170】
以上、本発明の冷温水製造システムの好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。上記実施形態の個々の構成を2つ以上組み合わせたものも本発明である。
【符号の説明】
【0171】
1 冷温水製造システム
10 第1熱源装置
11 第1電気式ヒートポンプ
12A 温水側の中間熱交換器
12B 冷水側の中間熱交換器
20 第2熱源装置
21 第2電気式ヒートポンプ
22A 中間熱交換器
30 第3熱源装置
31 第3電気式ヒートポンプ
32A 中間熱交換器
40A 温度センサ
40B 温度センサ
60 補助加熱装置
70 補助冷却装置
80A 温水タンク
80B 冷水タンク
81A 水位センサ
81B 水位センサ
100 制御手段
200A 第1負荷設備
200B 第2負荷設備
【手続補正書】
【提出日】2023-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業所内の第1負荷設備で利用する第1用水を温水化すると共に第2負荷設備で利用する第2温水を冷水化する冷温水製造システムであって、
第1電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、第2用水を冷却する第1熱源装置と、
第2電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、空気を冷却する第2熱源装置と、
前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の運転を制御する制御手段と、を備え、
前記第1負荷設備は、温水化された前記第1用水を間接使用または直接使用することにより温熱需要が発生するものであり、
前記第2負荷設備は、冷水化された前記第2用水を間接使用または直接使用することにより冷熱需要が発生するものであり、
前記制御手段は、
前記第1負荷設備の温熱需要を判断しつつ、この温熱需要に応じて前記第1熱源装置および前記第2熱源装置を運転させ、
前記第2負荷設備の冷熱需要を判断しつつ、この冷熱需要に応じて前記第1熱源装置を運転させ、
前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の停止中に前記第1負荷設備の温熱需要があり、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要があると判断した場合に、前記第1熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するベースロード機、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要に対するベースロード機として先行して起動した後、前記第1熱源装置の運転中に前記第2熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するピークロード機として運転または停止させることにより、前記第1熱源装置の単独運転、並びに、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の協調運転の切り替えを実行し、
前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の停止中に前記第1負荷設備の温熱需要があり、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要がないと判断した場合に、前記第2熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するベースロード機として先行して起動した後、前記第2熱源装置の運転中に前記第1熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するピークロード機として運転または停止させることにより、前記第2熱源装置の単独運転、並びに、前記第2熱源装置および前記第1熱源装置の協調運転の切り替えを実行する冷温水製造システム。
【請求項2】
事業所内の第1負荷設備で利用する第1用水を温水化すると共に第2負荷設備で利用する第2用水を冷水化する冷温水製造システムであって、
第1電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、第2用水を冷却する第1熱源装置と、
第3電気式ヒートポンプにより第2用水を冷却しつつ、空気を加熱する第3熱源装置と、
前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の運転を制御する制御手段と、を備え、
前記第1負荷設備は、温水化された前記第1用水を間接使用または直接使用することにより温熱需要が発生するものであり、
前記第2負荷設備は、冷水化された前記第2用水を間接使用または直接使用することにより冷熱需要が発生するものであり、
前記制御手段は、
前記第1負荷設備の温熱需要を判断しつつ、この温熱需要に応じて前記第1熱源装置を運転させ、
前記第2負荷設備の冷熱需要を判断しつつ、この冷熱需要に応じて前記第1熱源装置および前記第3熱源装置を運転させ、
前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の停止中に前記第1負荷設備の温熱需要があり、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要があると判断した場合に、前記第1熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するベースロード機、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要に対するベースロード機として先行して起動した後、前記第1熱源装置の運転中に前記第3熱源装置を前記第2負荷設備の冷熱需要に対するピークロード機として運転または停止させることにより、前記第1熱源装置の単独運転、並びに、前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転の切り替えを実行し、
前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の停止中に前記第1負荷設備の温熱需要がなく、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要があると判断した場合に、前記第3熱源装置を前記第2負荷設備の冷熱需要に対するベースロード機として先行して起動した後、前記第3熱源装置の運転中に前記第1熱源装置を前記第2負荷設備の冷熱需要に対するピークロード機として運転または停止させることにより、前記第3熱源装置の単独運転、並びに、前記第3熱源装置および前記第1熱源装置の協調運転の切り替えを実行する冷温水製造システム。
【請求項3】
事業所内の第1負荷設備で利用する第1用水を温水化すると共に第2負荷設備で利用する第2用水を冷水化する冷温水製造システムであって、
第1電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、第2用水を冷却する第1熱源装置と、
第2電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、空気を冷却する第2熱源装置と、
第3電気式ヒートポンプにより第2用水を冷却しつつ、空気を加熱する第3熱源装置と、
前記第1熱源装置、前記第2熱源装置および前記第3熱源装置の運転を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記第1負荷設備は、温水化された前記第1用水を間接使用または直接使用することにより温熱需要が発生するものであり、
前記第2負荷設備は、冷水化された前記第2用水を間接使用または直接使用することにより冷熱需要が発生するものであり、
前記第1負荷設備の温熱需要を判断しつつ、この温熱需要に応じて前記第1熱源装置および前記第2熱源装置を運転させ、
前記第2負荷設備の冷熱需要を判断しつつ、この冷熱需要に応じて前記第1熱源装置および前記第3熱源装置を運転させ、
前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の停止中に前記第1負荷設備の温熱需要があり、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要があると判断した場合に、前記第1熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するベースロード機、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要に対するベースロード機として先行して起動した後、前記第1熱源装置の運転中に前記第2熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するピークロード機として運転または停止させると共に、前記第3熱源装置を前記第2負荷設備の冷熱需要に対するピークロード機として運転または停止させることにより、前記第1熱源装置の単独運転、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の協調運転、前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転、並びに、前記第1熱源装置、前記第2熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転の切り替えを実行し、
前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の停止中に前記第1負荷設備の温熱需要があり、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要がないと判断した場合に、前記第2熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するベースロード機として先行して起動した後、前記第2熱源装置の運転中に前記第1熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するピークロード機、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要に対するベースロード機として運転または停止させると共に、前記第3熱源装置を前記第2負荷設備の冷熱需要に対するピークロード機として運転または停止させることにより、前記第2熱源装置の単独運転、前記第2熱源装置および前記第1熱源装置の協調運転、前記第2熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転、並びに、前記第2熱源装置、前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転の切り替えを実行し、
前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の停止中に前記第1負荷設備の温熱需要がなく、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要があると判断した場合に、前記第3熱源装置を前記第2負荷設備の冷熱需要に対するベースロード機として先行して起動した後、前記第3熱源装置の運転中に前記第1熱源装置を前記第2負荷設備の冷熱需要に対するピークロード機、かつ前記第1負荷設備の温熱需要に対するベースロード機として運転または停止させると共に、前記第2熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するピークロード機として運転または停止させることにより、前記第3熱源装置の単独運転、前記第3熱源装置および前記第1熱源装置の協調運転、前記第3熱源装置および前記第2熱源装置の協調運転、並びに、前記第3熱源装置、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の協調運転の切り替えを実行する冷温水製造システム。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記第1負荷設備に対して形成された温水回路における温水の戻り温度によって前記第1用水の間接使用による温熱需要を判断、または前記第1負荷設備に対して付設された温水タンクの水位によって前記第1用水の直接使用による温熱需要を判断し、
前記第2負荷設備に対して形成された冷水回路における冷水の戻り温度によって前記第2用水の間接使用による温熱需要を判断、または前記第2負荷設備に対して付設された冷水タンクの水位によって前記第2用水の直接使用による冷熱需要を判断する請求項1~3のいずれか1項に記載の冷温水製造システム。
【請求項5】
前記第2熱源装置は、前記第3熱源装置で加熱された空気を前記第2電気式ヒートポンプの熱源流体として前記第1用水を加熱する請求項3に記載の冷温水製造システム。
【請求項6】
燃焼式ボイラにより前記第1用水を加熱する補助加熱装置を備え、
前記制御手段は、前記第1熱源装置の運転中、前記第1負荷設備の温熱需要に応じて、前記補助加熱装置を運転させる請求項1~3および5のいずれか1項に記載の冷温水製造システム。
【請求項7】
燃焼式ボイラにより前記第1用水を加熱する補助加熱装置を備え、
前記制御手段は、前記第2熱源装置の運転中、前記第1負荷設備の温熱需要に応じて、前記補助加熱装置を運転させる請求項1、3および5のいずれか1項に記載の冷温水製造システム。
【請求項8】
吸収式または吸着式冷凍機により前記第2用水を冷却する補助冷却装置を備え、
前記制御手段は、前記第1熱源装置の運転中、前記第2負荷設備の冷熱需要に応じて、前記補助冷却装置を運転させる請求項1~3および5のいずれか1項に記載の冷温水製造システム。
【請求項9】
吸収式または吸着式冷凍機により前記第2用水を冷却する補助冷却装置を備え、
前記制御手段は、前記第3熱源装置の運転中、前記第2負荷設備の冷熱需要に応じて、前記補助冷却装置を運転させる請求項2、3および5のいずれか1項に記載の冷温水製造システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷温水製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食料品・飲料の製造工場や自動車・金属製品・機械器具の製造工場などでは、生産プロセスで多量の温熱および冷熱を消費している。近年、多くの工場では、温室効果ガスであるCO2の排出量を削減できると共に、省エネルギー効果の高い熱源装置への転換が進められている。そこで、特許文献1に示されるように、冷温水製造システムの熱源装置として、冷温水同時取出形の電気式ヒートポンプを採用することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工場の生産設備(負荷設備)においては、温熱需要と冷熱需要がバランスしていることは稀であり、生産プロセスや生産エリアごとの設備稼働状況によって温熱需要と冷熱需要にアンバランスが生じる。また、このアンバランスの程度は、操業中の時間帯によって拡大したり縮小したりもする。そこで、温熱と冷熱の過不足を補完するため、冷温水同時取出形ヒートポンプとは別の熱源装置を設置することが必要になる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、温熱需要と冷熱需要に応答して、熱源装置を効率よく運転することのできる冷温水製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)事業所内の第1負荷設備で利用する第1用水を温水化すると共に第2負荷設備で利用する第2温水を冷水化する冷温水製造システムであって、第1電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、第2用水を冷却する第1熱源装置と、第2電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、空気を冷却する第2熱源装置と、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の運転を制御する制御手段と、を備え、前記第1負荷設備は、温水化された前記第1用水を間接使用または直接使用することにより温熱需要が発生するものであり、前記第2負荷設備は、冷水化された前記第2用水を間接使用または直接使用することにより冷熱需要が発生するものであり、前記制御手段は、前記第1負荷設備の温熱需要を判断しつつ、この温熱需要に応じて前記第1熱源装置および前記第2熱源装置を運転させ、前記第2負荷設備の冷熱需要を判断しつつ、この冷熱需要に応じて前記第1熱源装置を運転させ、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の停止中に前記第1負荷設備の温熱需要があり、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要があると判断した場合に、前記第1熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するベースロード機、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要に対するベースロード機として先行して起動した後、前記第1熱源装置の運転中に前記第2熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するピークロード機として運転または停止させることにより、前記第1熱源装置の単独運転、並びに、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の協調運転の切り替えを実行し、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の停止中に前記第1負荷設備の温熱需要があり、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要がないと判断した場合に、前記第2熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するベースロード機として先行して起動した後、前記第2熱源装置の運転中に前記第1熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するピークロード機として運転または停止させることにより、前記第2熱源装置の単独運転、並びに、前記第2熱源装置および前記第1熱源装置の協調運転の切り替えを実行する冷温水製造システム。
【0007】
(2)事業所内の第1負荷設備で利用する第1用水を温水化すると共に第2負荷設備で利用する第2用水を冷水化する冷温水製造システムであって、第1電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、第2用水を冷却する第1熱源装置と、第3電気式ヒートポンプにより第2用水を冷却しつつ、空気を加熱する第3熱源装置と、前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の運転を制御する制御手段と、を備え、前記第1負荷設備は、温水化された前記第1用水を間接使用または直接使用することにより温熱需要が発生するものであり、前記第2負荷設備は、冷水化された前記第2用水を間接使用または直接使用することにより冷熱需要が発生するものであり、前記制御手段は、前記第1負荷設備の温熱需要を判断しつつ、この温熱需要に応じて前記第1熱源装置を運転させ、前記第2負荷設備の冷熱需要を判断しつつ、この冷熱需要に応じて前記第1熱源装置および前記第3熱源装置を運転させ、前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の停止中に前記第1負荷設備の温熱需要があり、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要があると判断した場合に、前記第1熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するベースロード機、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要に対するベースロード機として先行して起動した後、前記第1熱源装置の運転中に前記第3熱源装置を前記第2負荷設備の冷熱需要に対するピークロード機として運転または停止させることにより、前記第1熱源装置の単独運転、並びに、前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転の切り替えを実行し、前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の停止中に前記第1負荷設備の温熱需要がなく、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要があると判断した場合に、前記第3熱源装置を前記第2負荷設備の冷熱需要に対するベースロード機として先行して起動した後、前記第3熱源装置の運転中に前記第1熱源装置を前記第2負荷設備の冷熱需要に対するピークロード機として運転または停止させることにより、前記第3熱源装置の単独運転、並びに、前記第3熱源装置および前記第1熱源装置の協調運転の切り替えを実行する冷温水製造システム。
【0008】
(3)事業所内の第1負荷設備で利用する第1用水を温水化すると共に第2負荷設備で利用する第2用水を冷水化する冷温水製造システムであって、第1電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、第2用水を冷却する第1熱源装置と、第2電気式ヒートポンプにより第1用水を加熱しつつ、空気を冷却する第2熱源装置と、第3電気式ヒートポンプにより第2用水を冷却しつつ、空気を加熱する第3熱源装置と、前記第1熱源装置、前記第2熱源装置および前記第3熱源装置の運転を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1負荷設備は、温水化された前記第1用水を間接使用または直接使用することにより温熱需要が発生するものであり、前記第2負荷設備は、冷水化された前記第2用水を間接使用または直接使用することにより冷熱需要が発生するものであり、前記第1負荷設備の温熱需要を判断しつつ、この温熱需要に応じて前記第1熱源装置および前記第2熱源装置を運転させ、前記第2負荷設備の冷熱需要を判断しつつ、この冷熱需要に応じて前記第1熱源装置および前記第3熱源装置を運転させ、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の停止中に前記第1負荷設備の温熱需要があり、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要があると判断した場合に、前記第1熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するベースロード機、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要に対するベースロード機として先行して起動した後、前記第1熱源装置の運転中に前記第2熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するピークロード機として運転または停止させると共に、前記第3熱源装置を前記第2負荷設備の冷熱需要に対するピークロード機として運転または停止させることにより、前記第1熱源装置の単独運転、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の協調運転、前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転、並びに、前記第1熱源装置、前記第2熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転の切り替えを実行し、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の停止中に前記第1負荷設備の温熱需要があり、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要がないと判断した場合に、前記第2熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するベースロード機として先行して起動した後、前記第2熱源装置の運転中に前記第1熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するピークロード機、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要に対するベースロード機として運転または停止させると共に、前記第3熱源装置を前記第2負荷設備の冷熱需要に対するピークロード機として運転または停止させることにより、前記第2熱源装置の単独運転、前記第2熱源装置および前記第1熱源装置の協調運転、前記第2熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転、並びに、前記第2熱源装置、前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の協調運転の切り替えを実行し、前記第1熱源装置および前記第3熱源装置の停止中に前記第1負荷設備の温熱需要がなく、かつ前記第2負荷設備の冷熱需要があると判断した場合に、前記第3熱源装置を前記第2負荷設備の冷熱需要に対するベースロード機として先行して起動した後、前記第3熱源装置の運転中に前記第1熱源装置を前記第2負荷設備の冷熱需要に対するピークロード機、かつ前記第1負荷設備の温熱需要に対するベースロード機として運転または停止させると共に、前記第2熱源装置を前記第1負荷設備の温熱需要に対するピークロード機として運転または停止させることにより、前記第3熱源装置の単独運転、前記第3熱源装置および前記第1熱源装置の協調運転、前記第3熱源装置および前記第2熱源装置の協調運転、並びに、前記第3熱源装置、前記第1熱源装置および前記第2熱源装置の協調運転の切り替えを実行する冷温水製造システム。
【0009】
(4)前記制御手段は、前記第1負荷設備に対して形成された温水回路における温水の戻り温度によって前記第1用水の間接使用による温熱需要を判断、または前記第1負荷設備に対して付設された温水タンクの水位によって前記第1用水の直接使用による温熱需要を判断し、前記第2負荷設備に対して形成された冷水回路における冷水の戻り温度によって前記第2用水の間接使用による温熱需要を判断、または前記第2負荷設備に対して付設された冷水タンクの水位によって前記第2用水の直接使用による冷熱需要を判断する(1)~(3)のいずれかの冷温水製造システム。
【0010】
(5)前記第2熱源装置は、前記第3熱源装置で加熱された空気を前記第2電気式ヒートポンプの熱源流体として前記第1用水を加熱する(3)の冷温水製造システム。
【0011】
(6)燃焼式ボイラにより前記第1用水を加熱する補助加熱装置を備え、前記制御手段は、前記第1熱源装置の運転中、前記第1負荷設備の温熱需要に応じて、前記補助加熱装置を運転させる(1)~(3)および(5)のいずれかの冷温水製造システム。
【0012】
(7)燃焼式ボイラにより前記第1用水を加熱する補助加熱装置を備え、前記制御手段は、前記第2熱源装置の運転中、前記第1負荷設備の温熱需要に応じて、前記補助加熱装置を運転させる(1)、(3)および(5)のいずれかの冷温水製造システム。
【0013】
(8)吸収式または吸着式冷凍機により前記第2用水を冷却する補助冷却装置を備え、前記制御手段は、前記第1熱源装置の運転中、前記第2負荷設備の冷熱需要に応じて、前記補助冷却装置を運転させる(1)~(3)および(5)のいずれかの冷温水製造システム。
【0014】
(9)吸収式または吸着式冷凍機により前記第2用水を冷却する補助冷却装置を備え、前記制御手段は、前記第3熱源装置の運転中、前記第2負荷設備の冷熱需要に応じて、前記補助冷却装置を運転させる(2)、(3)および(5)のいずれかの冷温水製造システム。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、温熱需要と冷熱需要に応答して、熱源装置を効率よく運転することのできる冷温水製造システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る冷温水製造システムの構成を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係る冷温水製造システムの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の冷温水製造システム1の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0018】
図1は、第1実施形態に係る冷温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。冷温水製造システム1は、第1熱源装置10と、第2熱源装置20と、第3熱源装置30と、制御手段100と、を備える。本実施形態の冷温水製造システム1は更に、温水タンク80Aと、補助加熱装置60と、温水側配水ラインL10Aと、温水側返水ラインL20Aと、を備える。また、本実施形態の冷温水製造システム1は更に、冷水タンク80Bと、補助冷却装置70と、冷水側配水ラインL10Bと、冷水側返水ラインL20Bと、を備える。冷温水製造システム1は、事業所内の負荷設備200で利用する用水W1を冷温水化する。
【0019】
ここで、事業所は、物の生産またはサービスの提供が事業として行われている個々の場所をいい、工場、商業施設、医療機関、福祉施設、宿泊施設、研究施設などである。用水は、物の生産またはサービスの提供に伴って使用する水をいう。負荷設備は、事業所が工場である場合、例えば食料品・飲料の製造工場、自動車・金属製品・機械器具の製造工場などの生産設備(物の生産に直接関わっている設備)をいう。温水化された用水は、洗浄水等に直接使用するほか、熱媒水として間接使用する。工場の生産設備以外の負荷設備としては、暖房用の空調設備や蒸気ボイラ装置(生産設備の稼働に関わっている熱源設備)が例示され、温水化された用水の一部を空気加熱やボイラ給水に利用する。一方、冷水化された用水は、冷却水等に直接使用するほか、熱媒水として間接使用する。工場の生産設備以外の負荷設備としては、冷房用の空調設備が例示され、冷水化された用水の一部を空気冷却に利用する。
【0020】
<温水タンク>
温水タンク80Aは、温水である第1用水W1Aを貯留水として貯留する。本実施形態の温水タンク80Aは、開放式のタンクである。温水タンク80Aは、第1水位センサ81Aを備える。第1水位センサ81Aにより自然蒸発による温水タンク80A内の減水が検知されると、補給水ラインL00Aを通じて温水タンク80A内に補給水が第1用水W1Aとして供給される。温水タンク80Aには不図示の温度センサが設けられており、温水タンク80A内の貯留水の温度が、温水タンク80Aの蓄熱温度Thtとして検知される。
<冷水タンク>
冷水タンク80Bは、冷水である第2用水W1Bを貯留水として貯留する。本実施形態の冷水タンク80Bは、開放式のタンクである。冷水タンク80Bは、第2水位センサ81Bを備える。第2水位センサ81Bにより自然蒸発による冷水タンク80B内の減水が検知されると、補給水ラインL00Bを通じて冷水タンク80B内に補給水が第2用水W1Bとして供給される。冷水タンク80Bには不図示の温度センサが設けられており、冷水タンク80B内の貯留水の温度が、冷水タンク80Bの蓄熱温度Tctとして検知される。
【0021】
<温水側ライン>
本実施形態においては、温水タンク80Aから第1負荷設備200Aに温水の往き配管である温水側配水ラインL10Aが敷設されていると共に、第1負荷設備200Aから温水タンク80Aに温水の戻り配管である温水側返水ラインL20Aが敷設されている。これにより、温水ループ系の循環ライン(温水回路)が形成されている。本実施形態における第1負荷設備200Aは、温水化された第1用水W1Aを熱媒水として間接使用(すなわち温熱出力)する。
【0022】
温水側配水ラインL10Aは、温水タンク80A内の温水である第1用水W1Aを、第1負荷設備200Aに供給するためのラインである。温水側配水ラインL10Aには、給水ポンプ50Aが設けられている。
【0023】
温水側返水ラインL20Aは、第1負荷設備200Aからの第1用水W1Aを、温水タンク80Aに戻すためのラインである。
【0024】
温水側返水ラインL20Aには、後述の第1熱源装置10の温水側の中間熱交換器12Aが配置されている。温水側返水ラインL20Aを流通する第1用水W1Aは、第1熱源装置10の温水側の中間熱交換器12Aにより加熱される。
【0025】
温水側返水ラインL20Aには、後述の第2熱源装置20の温水側の中間熱交換器22Aが配置されている。温水側返水ラインL20Aを流通する第1用水W1Aは、第2熱源装置20の中間熱交換器22Aにより加熱される。
【0026】
第1熱源装置10の温水側の中間熱交換器12Aおよび第2熱源装置20の中間熱交換器22Aは直列的に配置されている。このように、本実施形態においては、温水側返水ラインL20Aに第1熱源装置10の温水側の中間熱交換器12Aと、第2熱源装置20の中間熱交換器22Aを順に配置し、流通水を加熱する。
【0027】
温水側配水ラインL10Aには、温度センサ41Aが設けられていてもよい。温度センサ41Aは、第1負荷設備200Aの上流側において、温水側配水ラインL10Aを流通する温水の往き温水温度Th0を検知する。
【0028】
温水側返水ラインL20Aの中間熱交換器12Aおよび中間熱交換器22Aが配置されている位置よりも上流側に、温度センサ40Aが設けられている。温度センサ40Aは、中間熱交換器12Aおよび中間熱交換器22Aの上流側において、温水側返水ラインL20Aを流通する温水の戻り温水温度Thrを検知する。
【0029】
<冷水側ライン>
本実施形態においては、冷水タンク80Bから第2負荷設備200Bに冷水の往き配管である冷水側配水ラインL10Bが敷設されていると共に、第2負荷設備200Bから冷水タンク80Bに冷水の戻り配管である冷水側返水ラインL20Bが敷設されている。これにより、冷水ループ系の循環ライン(冷水回路)が形成されている。本実施形態における第2負荷設備200Bは、冷水化された第2用水W1Bを熱媒水として間接使用(すなわち冷熱出力)する。
【0030】
冷水側配水ラインL10Bは、冷水タンク80B内の冷水である第2用水W1Bを、第2負荷設備200Bに供給するためのラインである。冷水側配水ラインL10Bには、給水ポンプ50Bが設けられている。
【0031】
冷水側返水ラインL20Bは、第2負荷設備200Bからの第2用水W1Bを、冷水タンク80Bに戻すためのラインである。
【0032】
冷水側返水ラインL20Bには、後述の第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bが配置されている。冷水側返水ラインL20Bを流通する第2用水W1Bは、第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bにより冷却される。
【0033】
冷水側返水ラインL20Bには、後述の第3熱源装置30の冷水側の中間熱交換器32Bが配置されている。冷水側返水ラインL20Bを流通する第2用水W1Bは、第3熱源装置30の中間熱交換器32Bにより冷却される。
【0034】
第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bおよび第3熱源装置30の中間熱交換器32Bは直列的に配置されている。このように、本実施形態においては、冷水側返水ラインL20Bに第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bと、第3熱源装置30の中間熱交換器32Bを順に配置し、流通水を冷却する。
【0035】
冷水側配水ラインL10Bには、温度センサ41Bが設けられていてもよい。温度センサ41Bは、第2負荷設備200Bの上流側において、冷水側配水ラインL10Bを流通する冷水の往き冷水温度Tc0を検知する。
【0036】
冷水側返水ラインL20Bの中間熱交換器12Bが配置されている位置よりも上流側に、温度センサ40Bが設けられている。温度センサ40Bは、中間熱交換器12Bの上流側において、冷水側返水ラインL20Bを流通する冷水の戻り冷水温度Tcrを検知する。
【0037】
<第1熱源装置>
第1熱源装置10は、第1電気式ヒートポンプ11により第1用水W1Aを加熱しつつ、第2用水W1Bを冷却する。第1熱源装置10は、第1電気式ヒートポンプ11(略号:HP)と、温水側の中間熱交換器12Aと、冷水側の中間熱交換器12Bと、循環ポンプ13Aと、循環ポンプ13Bと、循環ラインLS1Aと、循環ラインLS1Bと、を有する。
【0038】
循環ラインLS1Aは、温水側の中間熱交換器12Aと、第1電気式ヒートポンプ11の凝縮器とを接続する。循環ラインLS1Aを循環する中間媒体R1Aには水(例えば軟化水)を用いてもよい。特に、給湯用途では、凝縮器のパンク時に冷媒を給水に混入させない観点から水が好ましい。
【0039】
循環ラインLS1Bは、冷水側の中間熱交換器12Bと、第1電気式ヒートポンプ11の蒸発器とを接続する。循環ラインLS1Aを循環する中間媒体R1Aには水(例えば軟化水)を用いてもよい。
【0040】
第1電気式ヒートポンプ11は、冷媒圧縮機を有する。第1電気式ヒートポンプ11は、循環ラインLS1Aを循環する中間媒体R1Aを加熱する。第1電気式ヒートポンプ11は、循環ラインLS1Bを循環する中間媒体R1Bを冷却する。本実施形態の第1電気式ヒートポンプ11は、冷温水同時取り出しが可能なヒートポンプチラーである。
【0041】
温水側の中間熱交換器12Aは、温水側返水ラインL20Aを流通する第1用水W1Aと循環ラインLS1Aを流通する中間媒体R1Aとの間の熱交換を行い、第1用水W1Aを加熱する。温水側の中間熱交換器12Aは、温水側返水ラインL20A(給水設備からの給水ライン・負荷設備からの温水側返水ライン・温水タンクとの循環ライン)に配置される。温水側返水ラインL20Aの温水側の中間熱交換器12Aの下流側には不図示の温度センサが設けられており、温水側の中間熱交換器12Aを通過した後の温水側返水ラインL20Aを流通する温水の温度が、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA1として検知される。また、温水側返水ラインL20Aの温水側の中間熱交換器12Aの上流側には不図示の温度センサが設けられており、温水側の中間熱交換器12Aを通過する前の温水側返水ラインL20Aを流通する温水の温度が、温水側の中間熱交換器12Aの入口温度TA0として検知される。この入口温度TA0と出口温度TA1との差分により、温水側の中間熱交換器12Aの入口・出口温度差が検出される。
【0042】
冷水側の中間熱交換器12Bは、冷水側返水ラインL20Bを流通する第2用水W1Bと循環ラインLS1Bを流通する中間媒体R1Bとの間の熱交換を行い、第2用水W1Bを冷却する。冷水側の中間熱交換器12Bは、冷水側返水ラインL20B(給水設備からの給水ライン・負荷設備からの冷水側返水ライン・冷水タンクとの循環ライン)に配置される。冷水側返水ラインL20Bの冷水側の中間熱交換器12Bの下流側には不図示の温度センサが設けられており、冷水側の中間熱交換器12Bを通過した後の冷水側返水ラインL20Bを流通する冷水の温度が、冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1として検知される。また、冷水側返水ラインL20Bの冷水側の中間熱交換器12Bの上流側には不図示の温度センサが設けられており、冷水側の中間熱交換器12Bを通過する前の冷水側返水ラインL20Bを流通する冷水の温度が、冷水側の中間熱交換器12Bの入口温度TB0として検知される。この入口温度TB0と出口温度TB1との差分により、冷水側の中間熱交換器12Bの入口・出口温度差が検出される。
【0043】
循環ポンプ13Aは、循環ラインLS1Aに設けられている。循環ポンプ13Aは、循環ラインLS1Aを流通する中間媒体R1Aを循環させる。
【0044】
循環ポンプ13Bは、循環ラインLS1Bに設けられている。循環ポンプ13Bは、循環ラインLS1Bを流通する中間媒体R1Bを循環させる。
【0045】
なお、第1熱源装置10の構成は、温水側返水ラインL20Aが第1電気式ヒートポンプ11の凝縮器に直接接続されている構成であってもよい。この場合、温水側の中間熱交換器12Aおよび循環ラインLS1Aを省略することができる。また、第1熱源装置10の構成は、冷水側返水ラインL20Bが第1電気式ヒートポンプ11の蒸発器に直接接続されている構成であってもよい。この場合、冷水側の中間熱交換器12Bおよび循環ラインLS1Bを省略することができる。
【0046】
<第2熱源装置>
第2熱源装置20は、第2電気式ヒートポンプ21により第1用水W1Aを加熱しつつ、空気を冷却する。第2熱源装置20は、第2電気式ヒートポンプ21(略号:HP)と、中間熱交換器22Aと、循環ポンプ23Aと、循環ラインLS2Aと、を有する。
【0047】
循環ラインLS2Aは、温水側の中間熱交換器22Aと、第2電気式ヒートポンプ21の凝縮器とを接続する。循環ラインLS2Aを循環する中間媒体R2には水(例えば軟化水)を用いてもよい。特に、給湯用途では、凝縮器のパンク時に冷媒を給水に混入させない観点から水が好ましい。
【0048】
第2電気式ヒートポンプ21は、冷媒圧縮機を有する。第2電気式ヒートポンプ21は、循環ラインLS2Aを循環する中間媒体R2を加熱する。本実施形態の第2電気式ヒートポンプ21は、空気熱源型である。
【0049】
中間熱交換器22Aは、温水側返水ラインL20Aを流通する第1用水W1Aと循環ラインLS2Aを流通する中間媒体R2との間の熱交換を行い、第1用水W1Aを加熱する。中間熱交換器22Aは、温水側返水ラインL20A(給水設備からの給水ライン・負荷設備からの温水側返水ライン・温水タンクとの循環ライン)に配置される。温水側返水ラインL20Aの中間熱交換器22Aの下流側には不図示の温度センサが設けられており、中間熱交換器22Aを通過した後の温水側返水ラインL20Aを流通する温水の温度が、中間熱交換器22Aの出口温度TA2として検知される。
【0050】
循環ポンプ23Aは、循環ラインLS2Aに設けられている。循環ポンプ23Aは、循環ラインLS2Aを流通する中間媒体R2を循環させる。
【0051】
なお、第2熱源装置20の構成は、温水側返水ラインL20Aが第2電気式ヒートポンプ21の凝縮器に直接接続されている構成であってもよい。この場合、中間熱交換器22Aおよび循環ラインLS2Aを省略することができる。
【0052】
<第3熱源装置>
第3熱源装置30は、第3電気式ヒートポンプ31により第2用水W1Bを冷却しつつ、空気を加熱する。第3熱源装置30は、第3電気式ヒートポンプ31(略号:HP)と、中間熱交換器32Bと、循環ポンプ33Bと、循環ラインLS3Bと、を有する。
【0053】
循環ラインLS3Bは、冷水側の中間熱交換器32Bと、第3電気式ヒートポンプ31の蒸発器とを接続する。循環ラインLS3Bを循環する中間媒体R3には水(例えば軟化水)を用いてもよい。
【0054】
第3電気式ヒートポンプ31は、冷媒圧縮機を有する。第3電気式ヒートポンプ31は、循環ラインLS3Bを循環する中間媒体R3を冷却する。本実施形態の第3電気式ヒートポンプ31は、空気熱源型である。
【0055】
中間熱交換器32Bは、冷水側返水ラインL20Bを流通する第2用水W1Bと循環ラインLS3Bを流通する中間媒体R3との間の熱交換を行い、第2用水W1Bを冷却する。中間熱交換器32Bは、冷水側返水ラインL20B(給水設備からの給水ライン・負荷設備からの冷水側返水ライン・冷水タンクとの循環ライン)に配置される。冷水側返水ラインL20Bの中間熱交換器32Bの下流側には不図示の温度センサが設けられており、中間熱交換器32Bを通過した後の冷水側返水ラインL20Bを流通する冷水の温度が、中間熱交換器32Bの出口温度TB2として検知される。
【0056】
循環ポンプ33Bは、循環ラインLS3Bに設けられている。循環ポンプ33Bは、循環ラインLS3Bを流通する中間媒体R3を循環させる。
【0057】
なお、第3熱源装置30の構成は、冷水側返水ラインL20Bが第3電気式ヒートポンプ31の蒸発器に直接接続されている構成であってもよい。この場合、中間熱交換器32Bおよび循環ラインLS3Bを省略することができる。
【0058】
ここで、第2熱源装置20は、第3熱源装置30で加熱された空気を第2電気式ヒートポンプ21の熱源流体として用いて第1用水W1Aを加熱する構成としてもよい。第3熱源装置30を構成する第3電気式ヒートポンプ31は、空気熱源型のチラーであるので、その運転時には凝縮器を通じて排熱を含む空気が放出される。
【0059】
<補助加熱装置>
補助加熱装置60は、燃焼式ボイラにより第1用水W1Aを加熱する。補助加熱装置60は、燃焼式ボイラを含む。燃焼式ボイラは、蒸気ボイラまたは温水ボイラであってもよい。本実施形態の補助加熱装置60は、ボイラ給水を加熱して蒸気を発生する蒸気ボイラ(略号:BS)と、蒸気熱交換器62と、第1循環ラインL30Aと、蒸気ラインL40と、を含む。
【0060】
第1循環ラインL30Aは、温水タンク80A内の温水である第1用水W1Aを循環させるためのラインである。第1循環ラインL30Aには、補助加熱装置60の蒸気熱交換器62が配置されている。第1循環ラインL30Aには、温水循環ポンプ57Aが設けられている。
【0061】
蒸気ラインL40は、蒸気ボイラからの蒸気Sを蒸気熱交換器62に供給する。具体的には、蒸気ボイラから蒸気ヘッダを介して延設した蒸気ラインL40を接続する構成である。蒸気ラインL40には、不図示の給蒸弁(比例制御弁)を設けておき、蒸気Sの供給と遮断、並びに供給中の流量を調整する。
【0062】
蒸気熱交換器62は、第1循環ラインL30Aを流通する第1用水W1Aと蒸気ラインL40を流通する蒸気Sとの間の熱交換を行い、第1循環ラインL30Aを流通する第1用水W1Aを加熱する。
【0063】
なお、補助加熱装置60の構成は、温水側返水ラインL20Aに蒸気熱交換器を配置し、温水タンク80Aに流入する第1用水W1Aを間接加熱する構成であってもよい。
【0064】
また、補助加熱装置60は、燃焼式ボイラを利用した他の加熱手段を用いて、温水タンク80Aの貯留水を加熱する装置であってもよい。例えば、補助加熱装置60の加熱手段として、(1)温水タンク80A内部に設置した蒸気吹き込み管(直接加熱)、(2)温水タンク80A内部に設置した蒸気ヒータ(間接加熱)を用いてもよい。
【0065】
なお、燃焼式ボイラは、炭化水素、水素、アンモニアから選ばれる燃料を使用するボイラであってもよい。燃焼式ボイラは、蒸気ボイラ、温水ボイラのいずれでもよい。温水ボイラは、真空式温水ヒータや無圧式温水ヒータを含む。
【0066】
<補助冷却装置>
補助冷却装置70は、冷凍機により第2用水W1Bを冷却する。補助冷却装置70は、冷凍機71を含む。冷凍機71は、吸収式または吸着式の冷凍機であってもよい。本実施形態の補助冷却装置70は、冷凍機71(略号:RA)と、熱交換器72と、第2循環ラインL30Bと、循環ポンプ73と、循環ラインLS4と、を含む。
【0067】
第2循環ラインL30Bは、冷水タンク80B内の冷水である第2用水W1Bを循環させるためのラインである。第2循環ラインL30Bには、補助冷却装置70の熱交換器72が配置されている。第2循環ラインL30Bには、冷水循環ポンプ57Bが設けられている。
【0068】
循環ラインLS4は、熱交換器72と、冷凍機71とを接続する。循環ラインLS4を循環する中間媒体R4には水(例えば軟化水)を用いてもよい。
【0069】
冷凍機71は、循環ラインLS4を循環する中間媒体R4を冷却する。
【0070】
熱交換器72は、第2循環ラインL30Bを流通する第2用水W1Bと循環ラインLS4を流通する中間媒体R4との間の熱交換を行い、第2循環ラインL30Bを流通する第2用水W1Bを冷却する。
【0071】
循環ポンプ73は、循環ラインLS4に設けられている。循環ポンプ73は、循環ラインLS4を流通する中間媒体R4を循環させる。
【0072】
<制御部>
制御手段100は、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の運転を制御する。制御手段100は更に、補助加熱装置60および補助冷却装置70の運転を制御する。制御手段100は、例えば、情報取得部110と、運転制御部120と、記憶部130と、を備える。
【0073】
なお、制御手段100は、サーバであってもよい。また、制御手段100は、上述のように複数の機能ブロックにより構成されているが、各機能ブロックは必ずしも物理的に分かれている必要は無く、1つのCPUが、複数の機能ブロックの機能を実現してもよい。また、制御手段100は、制御対象部の配置等を考慮して、2つ以上に場所に分かれて配置されていてもよい。また、1つの機能ブロックが2つ以上の場所に分かれて、分散制御されていてもよい。なお、記憶部は、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、または着脱可能なメモリカード等の記録媒体で構成される。記録媒体としては、一時的でない有形の媒体(non-transitory tangible media)が挙げられる。なお、制御手段100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサを含んで構成される。制御手段100の各種機能は、例えば記憶部に格納されたプログラム(アプリケーション)を実行することで実現される。プログラム(アプリケーション)は、ネットワークを介して提供されてもよいし、CD-ROM(Compact Disc Read only memory)またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(computer readable storage medium)に記録されて提供されてもよい。なお、制御手段100の各機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
【0074】
制御手段100の情報取得部110は、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に関する情報を取得する、例えば、情報取得部110は、温熱需要情報として、温水回路の戻り温水温度Thr等の情報を取得する。情報取得部110は、冷熱需要情報として、冷水回路の戻り冷水温度Tcr等の情報を取得する。
【0075】
制御手段100の運転制御部120は、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に基づいて、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の運転を制御する。制御手段100は更に、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に基づいて、補助加熱装置60および補助冷却装置70の運転を制御する。制御手段100は、これらの装置の運転を制御する上で、第1電気式ヒートポンプ11の冷媒圧縮機、第2電気式ヒートポンプ21の冷媒圧縮機、第3電気式ヒートポンプ31の冷媒圧縮機、燃焼式ボイラのバーナ、冷凍機に付帯する熱源機、各種ポンプ、各種通水弁といった、冷温水製造システム1を構成する各種の機器を制御する。
【0076】
ここで、「温熱需要」とは、負荷設備で温水から温熱のみを取り出して消費する場合と、負荷設備で温水を直接消費する場合の両方を含む概念である。すなわち、本発明では「温熱需要」は「温水需要」を含む概念である。また、「冷熱需要」とは、負荷設備で冷水から冷熱のみを取り出して消費する場合と、負荷設備で冷水を直接消費する場合の両方を含む概念である。すなわち、本発明では「冷熱需要」は「冷水需要」を含む概念である。そして、「冷熱需要がない・温熱需要がない」とは、時間当たりの需要量がゼロである状態だけでなく、戻り温水温度の下降幅や戻り冷水温度の上昇幅が規定値に達していなかったり、タンクの減水量が規定量に達していなかったりして時間当たりの需要量が微小である状態を含む。
【0077】
温水回路の第1用水W1Aの戻り温水温度の下降幅が規定値に達しているか否かは、簡便には、温水の往き温水温度の目標値から下降幅の規定値ΔTxを減じた設定値(後述する第1温度T1等)と、温度センサ40Aによって取得される温水の戻り温水温度Thrとの比較により判定される。また、これに替えて、温度センサ41Aによって取得される温水の往き温水温度Th0(実測値)から下降幅の規定値ΔTxを減じた比較値と、温度センサ40Aによって取得される温水の戻り温水温度Thrとの比較により判定されてもよい。
【0078】
冷水回路の第2用水W1Bの戻り冷水温度の上昇幅が規定値に達しているか否かは、簡便には、冷水の往き冷水温度の目標値に上昇幅の規定値ΔTyを加えた設定値(後述する第6温度T6等)と、温度センサ40Bによって取得される冷水の戻り冷水温度Tcrとの比較により判定される。また、これに替えて、温度センサ41Bによって取得される冷水の往き冷水温度Tc0(実測値)に上昇幅の規定値ΔTyを加えた比較値と、温度センサ40Bによって取得される冷水の戻り冷水温度Thrとの比較により判定されてもよい。
【0079】
制御手段100(運転制御部120)は、例えば、温水回路の戻り温水温度Thrによって負荷設備(第1負荷設備200A)の温熱需要を判断する。戻り温水温度Thrが低くなるほど温熱需要が大きい。温熱需要の判断時に戻り温水温度Thrと比較する設定値は、例えば、第1温度T1>第2温度T2>第3温度T3の3設定値である。
【0080】
制御手段100(運転制御部120)は、冷水回路の戻り冷水温度Tcrによって負荷設備(第2負荷設備200B)の冷熱需要を判断する。戻り冷水温度Tcrが高くなるほど冷熱需要が大きい。冷熱需要を判断時に戻り冷水温度Tcrと比較する設定値は、例えば、第4温度T4>第5温度T5>第6温度T6の3設定値である。なお、第4温度T4は、第3温度T3よりも低い(T3>T4)。
【0081】
なお、各設定値は、外部からの入力情報に基づいて設定可能となっていてもよい。また、各設定値は、制御手段100の記憶部130に記憶されていてもよい。
【0082】
制御手段100(運転制御部120)は、Thr≦T1で温熱需要あり、Thr>T1で温熱需要なし、Tcr≧T6で冷熱需要あり、Tcr<T6で冷熱需要なしの判定を行う。ここで、[a]温熱需要あり+冷熱需要あり、[b]温熱需要あり+冷熱需要なし、[c]温熱需要なし+冷熱需要あり、の3つ状態を温度変化のタイムラグによる影響を受けずに区別するため、所定の判定確認時間を設ける。
【0083】
以下、制御手段100による制御例について説明する。第1熱源装置10、第2熱源装置20、第3熱源装置30、補助加熱装置60、補助冷却装置70の全てが停止中の状態を起点として、第1~第3熱源装置の起動優先順位を変える。
【0084】
《A:第1熱源装置10が最先で起動されるケース》
制御手段100は、負荷設備での温熱需要と冷熱需要が共にある場合に、第1熱源装置10を先行して起動した後、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に応じて、第1熱源装置10の単独運転、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転、並びに、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行する。
【0085】
〔A-1〕 第1~第3熱源装置の停止中、Thr≦T1を検知、かつ、Tcr≧T6を検知すると、第1熱源装置10を第1優先で起動する(単独運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA1が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Thr>T1を検知、または、Tcr<T6を検知すると、第1熱源装置10を停止する。
なお、第1熱源装置10の運転中、冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1はなりゆきとなるため、冷水タンク80Bの蓄熱温度Tctが[冷水目標温度+ΔTβ]以上となった場合には補助冷却装置70を起動する。以下の〔A-2〕についても同様である。
【0086】
〔A-2〕 第1熱源装置10の単独運転中、Thr≦T2を検知すると、第2熱源装置20を第2優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの入口・出口温度差TA1-TA0が温水目標温度差になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Thr>T2を検知すると、第2熱源装置20を停止する。
【0087】
〔A-3〕 第1熱源装置10と第2熱源装置20の協調運転中、Tcr≧T5を検知すると、第3熱源装置30を第3優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1はなりゆきであり、第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Tcr<T5を検知すると、第3熱源装置30を停止する。
【0088】
〔A-4〕 第1熱源装置10の単独運転中、Tcr≧T5を検知すると、第3熱源装置30を第2優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1はなりゆきであり、第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Tcr<T5を検知すると、第3熱源装置30を停止する。
【0089】
〔A-5〕 第1熱源装置10と第3熱源装置30の協調運転中、Thr≦T2を検知すると、第2熱源装置20を第3優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの入口・出口温度差TA1-TA0が温水目標温度差になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Thr>T2を検知すると、第2熱源装置20を停止する。
【0090】
〔変更例〕第1熱源装置10の出力制御は、温水の出口温度を調整するのではなく、冷水の出口温度を調整してもよい。具体的には、冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。冷水側の入口・出口温度差TB1-TB0を調整する場合も同様である。
なお、第1熱源装置10の運転中、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA1はなりゆきとなるため、温水タンク80Aの蓄熱温度Thtが[温水目標温度-ΔTα]以下となった場合には、補助加熱装置60を起動する。
【0091】
《B:第2熱源装置20が最先で起動されるケース》
制御手段100は、負荷設備での冷熱需要がない場合に、第2熱源装置20を先行して起動した後、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に応じて、第2熱源装置20の単独運転、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転、並びに、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行する。
【0092】
〔B-1〕 第1~第3熱源装置の停止中、Thr≦T1を検知、かつ、Tcr<T6を検知すると、第2熱源装置20を第1優先で起動する(単独運転)。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Thr>T1を検知すると、第2熱源装置20を停止する。
【0093】
〔B-2〕 第2熱源装置20の単独運転中、Thr≦T2を検知、かつ、Tcr≧T6を検知すると、第1熱源装置10を第2優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの入口・出口温度差TA1-TA0が温水目標温度差になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Thr>T2を検知、または、Tcr<T6を検知すると、第1熱源装置10を停止する。
なお、第1熱源装置10の運転中、冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1はなりゆきとなるため、冷水タンク80Bの蓄熱温度Tctが[冷水目標温度+ΔTβ]以上となった場合には補助冷却装置70を起動する。
【0094】
〔B-3〕 第2熱源装置20と第1熱源装置10の協調運転中、Tcr≧T5を検知すると、第3熱源装置30を第3優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1はなりゆきであり、第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Tcr<T5を検知すると、第3熱源装置30を停止する。
【0095】
〔B-4〕 第2熱源装置20の単独運転中、Tcr≧T6を検知すると、第3熱源装置30を第2優先で起動する(協調運転)。第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Tcr<T6を検知すると、第3熱源装置30を停止する。
【0096】
〔B-5〕 第2熱源装置20と第3熱源装置30の協調運転中、Thr≦T2を検知、かつ、Tcr≧T5を検知すると、第1熱源装置10を第3優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの入口・出口温度差TA1-TA0が温水目標温度差になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Thr>T2を検知、または、Tcr<T5を検知すると、第1熱源装置10を停止する。
【0097】
《C:第3熱源装置30が最先で起動されるケース》
制御手段100は、負荷設備での温熱需要がない場合に、第3熱源装置30を先行して起動した後、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に応じて、第3熱源装置30の単独運転、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転、並びに、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行する。
【0098】
〔C-1〕 第1~第3熱源装置の停止中、Tcr≧T6を検知、かつ、Thr>T1を検知すると、第3熱源装置30を第1優先で起動する(単独運転)。第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Tcr<T6を検知すると、第3熱源装置30を停止する。
【0099】
〔C-2〕 第3熱源装置30の単独運転中、Thr≦T1を検知、かつ、Tcr≧T5を検知すると、第1熱源装置10を第2優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA1が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Thr>T1を検知、または、Tcr<T5を検知すると、第1熱源装置10を停止する。
なお、第1熱源装置10の運転中、冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1はなりゆきとなるが、第3熱源装置30により中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度に調整される。
【0100】
〔C-3〕 第3熱源装置30と第1熱源装置10の協調運転中、Thr≦T2を検知すると、第2熱源装置20を第3優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの入口・出口温度差TA1-TA0が温水目標温度差になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Thr>T2を検知すると、第2熱源装置20を停止する。
【0101】
〔C-4〕 第3熱源装置30の単独運転中、Thr≦T1を検知すると、第2熱源装置20を第2優先で起動する(協調運転)。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Thr>T1を検知すると、第2熱源装置20を停止する。
【0102】
〔C-5〕 第3熱源装置30と第2熱源装置20の協調運転中、Thr≦T2を検知、かつ、Tcr≧T5を検知すると、第1熱源装置10を第3優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの入口・出口温度差TA1-TA0が温水目標温度差になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Thr>T2を検知、または、Tcr<T5を検知すると、第1熱源装置10を停止する。
【0103】
《D:共通制御》
制御手段100は、第1熱源装置10および/または第2熱源装置20の運転中、負荷設備での温熱需要に応じて、補助加熱装置60を運転させる。
また、制御手段100は、第1熱源装置10および/または第3熱源装置30の運転中、負荷設備での冷水需要に応じて、補助冷却装置70を運転させる。
【0104】
〔D-1〕 補助加熱装置60の停止中、Thr≦T3を検知すると、補助加熱装置60を起動する。補助加熱装置60は、温水タンク80Aの蓄熱温度Thtが温水目標温度になるように蒸気熱交換器62への給蒸量を調整する。補助加熱装置60の運転中、Thr>T3を検知すると、補助加熱装置60を停止し、温水側の温水循環ポンプ57Aを停止する。なお、補助加熱装置60の起動後は、第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの入口・出口温度差TA2-TA1が温水目標温度差になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整するのがよい。
【0105】
〔D-2〕 補助冷却装置70の停止中、Thr≧T4を検知すると、補助冷却装置70を起動する。補助冷却装置70は、冷水タンク80Bの蓄熱温度Tctが冷水目標温度になるように冷凍機の出力(例:中間媒体R4の循環流量)を調整する。補助冷却装置70の運転中、Thr>T4を検知すると、補助冷却装置70を停止し、冷水側の冷水循環ポンプ57Bを停止する。なお、補助冷却装置70の起動後は、第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの入口・出口温度差TB2-TB1が冷水目標温度差になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整するのがよい。
【0106】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
図2は、本実施形態における冷温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0107】
図2に示すように、本実施形態の冷温水製造システム1は、給水設備からの給水ラインL50を有する。給水ラインL50は、給水設備からの補給水を用水W1A,W1Bとして、温水タンク80Aおよび冷水タンク80Bに供給するためのラインである。給水ラインL50は、温水タンク80Aに接続される温水側の給水ラインL50Aと、冷水タンク80Bに接続される冷水側の給水ラインL50Bと、を含む。本実施形態においては、給水ラインL50は、温水側の給水ラインL50Aおよび冷水側の給水ラインL50Bに分岐している。
【0108】
温水側の給水ラインL50Aは、第1給水ラインL50A1と、第2給水ラインL50A2と、第3給水ラインL50A3と、を有する。温水側の給水ラインL50Aは、途中で3つのラインL50A1、L50A2、L50A3に分岐して、温水タンク80Aに接続される前に再度合流している。温水側の給水ラインL50Aには、第1用水W1Aが流通する。
【0109】
冷水側の給水ラインL50Bは、第1給水ラインL50B1と、第2給水ラインL50B2と、第3給水ラインL50B3と、を有する。冷水側の給水ラインL50Bは、途中で3つのラインL50B1、L50B2、L50B3に分岐して、冷水タンク80Bに接続される前に再度合流している。冷水側の給水ラインL50Bには、第2用水W1Bが流通する。
【0110】
温水側の第1給水ラインL50A1には、第1給水ポンプ54A1と、第1通水弁51A1と、第1熱源装置10の温水側の中間熱交換器12Aと、が配置されている。
温水側の第2給水ラインL50A2には、第2給水ポンプ54A2と、第2通水弁51A2と、第2熱源装置20の中間熱交換器22Aと、が配置されている。
温水側の第3給水ラインL50A3には、第3給水ポンプ54A3および第3通水弁51A3が配置されている。
【0111】
冷水側の第1給水ラインL50B1には、第1給水ポンプ54B1と、第1通水弁51B1と、第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bと、が配置されている。
冷水側の第2給水ラインL50B2には、第2給水ポンプ54B2と、第2通水弁51B2と、第3熱源装置30の中間熱交換器32Bと、が配置されている。
冷水側の第3給水ラインL50B3には、第3給水ポンプ54B3および第3通水弁51B3が配置されている。
【0112】
各給水ラインL50A1~L50B3上の通水弁51A1~51B3は、同じ給水ライン上の給水ポンプ54A1~54B3の起動/停止に連動して開閉される。
【0113】
第1熱源装置10および第2熱源装置20は、温水側の給水ラインL50Aを流通する給水としての第1用水W1Aを加熱する。より詳細には、第1熱源装置10は、温水側の第1給水ラインL50A1を流通する給水としての第1用水W1Aを加熱する。第2熱源装置20は、温水側の第2給水ラインL50A2を流通する給水としての第1用水W1Aを加熱する。
【0114】
第1熱源装置10および第3熱源装置30は、冷水側の給水ラインL50Bを流通する給水としての第2用水W1Bを冷却する。より詳細には、第1熱源装置10は、冷水側の第1給水ラインL50B1を流通する給水としての第2用水W1Bを冷却する。第3熱源装置30は、冷水側の第2給水ラインL50B2を流通する給水としての第2用水W1Bを冷却する。
【0115】
第1熱源装置10の温水側の中間熱交換器12Aは、温水側の第1給水ラインL50A1に配置される。第1熱源装置10の温水側の中間熱交換器12Aは、温水側の第1給水ラインL50A1を流通する第1用水W1Aと循環ラインLS1Aを流通する中間媒体R1Aとの間の熱交換を行い、温水側の第1給水ラインL50A1を流通する第1用水W1Aを加熱する。
【0116】
第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bは、冷水側の第1給水ラインL50B1に配置される。第1熱源装置10の冷水側の中間熱交換器12Bは、冷水側の第1給水ラインL50B1を流通する第2用水W1Bと循環ラインLS1Bを流通する中間媒体R1Bとの間の熱交換を行い、冷水側の第1給水ラインL50B1を流通する第2用水W1Bを冷却する。
【0117】
第2熱源装置20の中間熱交換器22Aは、温水側の第2給水ラインL50A2に配置される。第2熱源装置20の中間熱交換器22Aは、温水側の第2給水ラインL50A2を流通する第1用水W1Aと循環ラインLS2Aを流通する中間媒体R2との間の熱交換を行い、温水側の第2給水ラインL50A2を流通する第1用水W1Aを加熱する。
【0118】
第3熱源装置30の中間熱交換器32Bは、冷水側の第2給水ラインL50B2に配置される。第3熱源装置30の中間熱交換器32Bは、冷水側の第2給水ラインL50B2を流通する第2用水W1Bと循環ラインLS3Bを流通する中間媒体R3との間の熱交換を行い、冷水側の第2給水ラインL50B2を流通する第2用水W1Bを冷却する。
【0119】
本実施形態の温水タンク80Aは、開放式のタンクである。温水タンク80Aは、第1水位センサ81Aを備える。第1水位センサ81Aは、温水タンク80Aの温水水位Lhwを検知する。
【0120】
本実施形態の冷水タンク80Bは、開放式のタンクである。冷水タンク80Bは、第2水位センサ81Bを備える。第2水位センサ81Bは、冷水タンク80Bの冷水水位Lcwを検知する。
【0121】
温水タンク80Aから第1負荷設備200Aに温水の往き配管である温水側配水ラインL10Aが敷設されている(単管給湯)。温水側配水ラインL10Aには、給水ポンプ50Aが配置されている。本実施形態における第1負荷設備200Aは、温水化された第1用水W1Aを洗浄水等として直接使用(すなわち温水出力)する。
【0122】
冷水タンク80Bから第2負荷設備200Bに温水の往き配管である冷水側配水ラインL10Bが敷設されている(単管給湯)。冷水側配水ラインL10Bには、給水ポンプ50Bが配置されている。本実施形態における第2負荷設備200Bは、冷水化された第2用水W1Bを冷却水等として直接使用(すなわち冷水出力)する。
【0123】
制御手段100の情報取得部110は、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に関する情報を取得する、例えば、情報取得部110は、温熱需要情報として、温水タンク80Aの温水水位Lhw等の情報を取得する。情報取得部110は、冷熱需要情報として、冷水タンク80Bの冷水水位Lcw等の情報を取得する。
【0124】
制御手段100の運転制御部120は、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に基づいて、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の運転を制御する。制御手段100は更に、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に基づいて、補助加熱装置60および補助冷却装置70の運転を制御する。制御手段100は、これらの装置の運転を制御する上で、第1電気式ヒートポンプ11の冷媒圧縮機、第2電気式ヒートポンプ21の冷媒圧縮機、第3電気式ヒートポンプ31の冷媒圧縮機、燃焼式ボイラのバーナ、冷凍機に付帯する熱源機、各種ポンプ、各種通水弁といった、冷温水製造システム1を構成する各種の機器を制御する。
【0125】
制御手段100(運転制御部120)は、例えば、温水タンク80Aの温水水位Lhwによって負荷設備(第1負荷設備200A)の温熱需要(=温水需要)を判断する。温水水位Lhwが低くなるほど温熱需要が大きい。温熱需要の判断時に温水水位Lhwと比較する設定値は、例えば、第1水位L1>第2水位L2>第3水位L3>第4水位L4の4設定値である。
【0126】
制御手段100(運転制御部120)は、例えば、冷水タンク80Bの冷水水位Lcwによって負荷設備(第2負荷設備200B)の冷熱需要(=冷水需要)を判断する。冷水水位Lcwが低くなるほど冷熱需要が大きい。冷熱需要の判断時に冷水水位Lcwと比較する設定値は、例えば、第1水位L1>第2水位L2>第3水位L3>第4水位L4の4設定値である。
【0127】
制御手段100(運転制御部120)は、Lhw≦L2で温熱需要あり、Lhw>L2で温熱需要なし、Lcw≦L2で冷熱需要あり、Lcw>L2で冷熱需要なしの判定を行う。ここで、[a]温熱需要あり+冷熱需要あり、[b]温熱需要あり+冷熱需要なし、[c]温熱需要なし+冷熱需要あり、の3つ状態を水位変化のタイムラグによる影響を受けずに区別するため、所定の判定確認時間を設ける。
【0128】
以下、制御手段100による制御例について説明する。第1熱源装置10、第2熱源装置20、第3熱源装置30、補助加熱装置60、補助冷却装置70の全てが停止中の状態を起点として、第1~第3熱源装置の起動優先順位を変える。
【0129】
《A:第1熱源装置10が最先で起動されるケース》
制御手段100は、負荷設備での温熱需要と冷熱需要が共にある場合に、第1熱源装置10を先行して起動した後、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に応じて、第1熱源装置10の単独運転、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転、並びに、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行する。
【0130】
〔A-1〕 第1~第3熱源装置の停止中、Lhw≦L2を検知、かつLcw≦L2を検知すると、温水側の第1給水ポンプ54A1を駆動すると共に、冷水側の第1給水ポンプ54B1を駆動し、第1熱源装置10を第1優先で起動する(単独運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA1が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Lhw>L1、または、Lcw>L1を検知すると、第1熱源装置10を停止し、温水側および冷水側の第1給水ポンプ54A1,54B1を停止する。
なお、第1熱源装置10の運転中、冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1はなりゆきとなるため、冷水タンク80Bの蓄熱温度Tctが[冷水目標温度+ΔTβ]以上となった場合には補助冷却装置70を起動する。以下の〔A-2〕~〔A-5〕についても同様である。
【0131】
〔A-2〕 第1熱源装置10の単独運転中、Lhw≦L3を検知すると、温水側の第2給水ポンプ54A2を駆動し、第2熱源装置20を第2優先で起動する(協調運転)。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Lhw>L2を検知すると、第2熱源装置20を停止し、温水側の第2給水ポンプ54A2を停止する。
【0132】
〔A-3〕 第1熱源装置10と第2熱源装置20の協調運転中、Lcw≦L3を検知すると、冷水側の第2給水ポンプ54B2を駆動し、第3熱源装置30を第3優先で起動する(協調運転)。第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Lcw>L2を検知すると、第3熱源装置30を停止し、冷水側の第2給水ポンプ54B2を停止する。
【0133】
〔A-4〕 第1熱源装置10の単独運転中、Lcw≦L3を検知すると、冷水側の第2給水ポンプ54B2を駆動し、第3熱源装置30を第2優先で起動する(協調運転)。第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Lcw>L2を検知すると、第3熱源装置30を停止し、冷水側の第2給水ポンプ54B2を停止する。
【0134】
〔A-5〕 第1熱源装置10と第3熱源装置30の協調運転中、Lhw≦L3を検知すると、温水側の第2給水ポンプ54A2を駆動し、第2熱源装置20を第3優先で起動する(協調運転)。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Lhw>L2を検知すると、第2熱源装置20を停止し、温水側の第2給水ポンプ54A2を停止する。
【0135】
〔変更例〕第1熱源装置10の出力制御は、温水の出口温度を調整するのではなく、冷水の出口温度を調整してもよい。具体的には、冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。
なお、第1熱源装置10の運転中、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA1はなりゆきとなるため、温水タンク80Aの蓄熱温度Thtが[温水目標温度-ΔTα]以下となった場合には、補助加熱装置60を起動する。
【0136】
《B:第2熱源装置20が最先で起動されるケース》
制御手段100は、負荷設備での冷熱需要がない場合に、第2熱源装置20を先行して起動した後、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に応じて、第2熱源装置20の単独運転、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転、並びに、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行する。
【0137】
〔B-1〕 第1~第3熱源装置の停止中、Lhw≦L2を検知、かつ、Lcw>L1を検知すると、温水側の第2給水ポンプ54A2を駆動し、第2熱源装置20を第1優先で起動する(単独運転)。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Lhw>L1を検知すると、第2熱源装置20を停止し、温水側の第2給水ポンプ54A2を停止する。
【0138】
〔B-2〕 第2熱源装置20の単独運転中、Lhw≦L3を検知、かつ、Lcw≦L2を検知すると、温水側の第1給水ポンプ54A1を駆動すると共に、冷水側の第1給水ポンプ54B1を駆動し、第1熱源装置10を第2優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA1が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Lhw>L2を検知、または、Lcw>L1を検知すると、第1熱源装置10を停止し、温水側および冷水側の第1給水ポンプ54A1,54B1を停止する。
なお、第1熱源装置10の運転中、冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1はなりゆきとなるため、冷水タンク80Bの蓄熱温度Tctが[冷水目標温度+ΔTβ]以上となった場合には補助冷却装置70を起動する。以下の〔B-3〕,〔B-5〕についても同様である。
【0139】
〔B-3〕 第2熱源装置20と第1熱源装置10の協調運転中、Lcw≦L3を検知すると、冷水側の第2給水ポンプ54B2を駆動し、第3熱源装置30を第3優先で起動する(協調運転)。第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Lcw>L2を検知すると、第3熱源装置30を停止し、冷水側の第2給水ポンプ54B2を停止する。
【0140】
〔B-4〕 第2熱源装置20の単独運転中、Lcw≦L2を検知すると、冷水側の第2給水ポンプ54B2を駆動し、第3熱源装置30を第2優先で起動する(協調運転)。第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Lcw>L1を検知すると、第3熱源装置30を停止し、冷水側の第2給水ポンプ54B2を停止する。
【0141】
〔B-5〕 第2熱源装置20と第3熱源装置30の協調運転中、Lhw≦L3、かつ、Lcw≦L3を検知すると、温水側の第1給水ポンプ54A1を駆動すると共に、冷水側の第1給水ポンプ54B1を駆動し、第1熱源装置10を第3優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA1が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Lhw>L2を検知、または、Lhw>L2を検知すると、第1熱源装置10を停止し、温水側および冷水側の第1給水ポンプ54A1,54A2を停止する。
【0142】
《C:第3熱源装置30が最先で起動されるケース》
制御手段100は、負荷設備での温熱需要がない場合に、第3熱源装置30を先行して起動した後、負荷設備での温熱需要および冷熱需要に応じて、第3熱源装置30の単独運転、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転、並びに、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行する。
【0143】
〔C-1〕 第1~第3熱源装置の停止中、Lcw≦L2を検知、かつ、Lhw>L1を検知すると、冷水側の第2給水ポンプ54B2を駆動し、第3熱源装置30を第1優先で起動する(単独運転)。第3熱源装置30は、中間熱交換器32Bの出口温度TB2が冷水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R3の循環流量は一定とする。第3熱源装置30の運転中、Lcw>L1を検知すると、第3熱源装置30を停止し、冷水側の第2給水ポンプ54B2を停止する。
【0144】
〔C-2〕 第3熱源装置30の単独運転中、Lhw≦L2を検知、かつ、Lcw≦L3を検知すると、温水側の第1給水ポンプ54A1を駆動すると共に、冷水側の第1給水ポンプ54B1を駆動し、第1熱源装置10を第2優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Lhw>L1を検知、または、Lcw>L2を検知すると、第1熱源装置10を停止し、温水側および冷水側の第1給水ポンプ54A1,54B1を停止する。
なお、第1熱源装置10の運転中、冷水側の中間熱交換器12Bの出口温度TB1はなりゆきとなるため、冷水タンク80Bの蓄熱温度Tctが[冷水目標温度+ΔTβ]以上となった場合には補助冷却装置70を起動する。以下の〔C-3〕,〔C-5〕についても同様である。
【0145】
〔C-3〕 第3熱源装置30と第1熱源装置10の協調運転中、Lhw≦L3を検知すると、温水側の第2給水ポンプ54A2を駆動し、第2熱源装置20を第3優先で起動する(協調運転)。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Lhw>L2を検知すると、第2熱源装置20を停止し、温水側の第2給水ポンプ54A2を停止する。
【0146】
〔C-4〕 第3熱源装置30の単独運転中、Lhw≦L2を検知すると、温水側の第2給水ポンプ54A2を駆動し、第2熱源装置20を第2優先で起動する(協調運転)。第2熱源装置20は、中間熱交換器22Aの出口温度TA2が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R2の循環流量は一定とする。第2熱源装置20の運転中、Lhw>L1を検知すると、第2熱源装置20を停止し、温水側の第2給水ポンプ54A2を停止する。
【0147】
〔C-5〕 第3熱源装置30と第2熱源装置20の協調運転中、Lhw≦L3を検知、かつ、Lcw≦L3を検知すると、温水側の第1給水ポンプ54A1を駆動すると共に、冷水側の第1給水ポンプ54B1を駆動し、第1熱源装置10を第3優先で起動する(協調運転)。第1熱源装置10は、温水側の中間熱交換器12Aの出口温度TA1が温水目標温度になるように冷媒圧縮機の出力(回転数)を調整する。中間媒体R1A,R1Bの循環流量は一定とする。第1熱源装置10の運転中、Lhw>L2を検知、または、Lcw≦L2を検知すると、第1熱源装置10を停止し、温水側および冷水側の第1給水ポンプ54A1,54B1を停止する。
【0148】
《D:共通制御》
制御手段100は、第1熱源装置10および/または第2熱源装置20の運転中、負荷設備での温熱需要に応じて、補助加熱装置60を運転させる。
また、制御手段100は、第1熱源装置10および/または第3熱源装置30の運転中、負荷設備での冷水需要に応じて、補助冷却装置70を運転させる。
【0149】
〔D-1〕 補助加熱装置60の停止中、Lhw≦L4を検知すると、温水側の第3給水ポンプ54A3を駆動し、補助加熱装置60を起動する。補助加熱装置60は、温水タンク80Aの蓄熱温度Thtが温水目標温度になるように蒸気熱交換器62への給蒸量を調整する。補助加熱装置60の運転中、Lhw>L3を検知すると、補助加熱装置60を停止し、温水側の第3給水ポンプ54A3を停止する。
【0150】
〔D-2〕 補助冷却装置70の停止中、Lcw≦L4を検知すると、冷水側の第3給水ポンプ54B3を駆動し、補助冷却装置70を起動する。補助冷却装置70は、冷水タンク80Bの蓄熱温度Tctが冷水目標温度になるように冷凍機の出力(例:中間媒体R4の循環流量)を調整する。補助冷却装置70の運転中、Lcw>L3を検知すると、補助冷却装置70を停止し、冷水側の第3給水ポンプ54B3を停止する。
【0151】
(その他の実施形態)
〔i〕 第1実施形態の冷温水製造システム1は、温水系統と冷水系統が共に水循環(第1負荷設備200Aでの温熱出力、第2負荷設備200Bでの冷熱出力)であり、第2実施形態の冷温水製造システム1は、温水系統と冷水系統が共に一過流通(第1負荷設備200Aでの温水出力、第2負荷設備200Bでの冷水出力)である。
これらに限らず、一方の系統が水循環であり、他方の系統が一過流通である構成(温熱出力と冷水出力の組み合わせや冷熱出力と温水出力の組み合わせ)であってもよい。例えば、冷水系統が冷房(冷水循環)、温水系統が給湯の構成が該当する。なお、水循環の系統の熱需要は、循環水の戻り温度により判断し、一過流通の系統の水需要は、貯留水の水位により判断する。
【0152】
〔ii〕 第1実施形態および第2実施形態において、第1熱源装置10と、第2熱源装置20と、第3熱源装置30と、を備える冷温水製造システムについて説明したが、少なくとも第1熱源装置10および第2熱源装置20を備える冷温水製造システムであってもよい。
この場合、制御手段100は、負荷設備での温熱需要と冷熱需要が共にある場合に、第1熱源装置10を先行して起動した後、負荷設備での温熱需要に応じて、第1熱源装置10の単独運転、並びに、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転の切り替えを実行してもよい。
また、制御手段100は、負荷設備での冷熱需要がない場合に、第2熱源装置20を先行して起動した後、負荷設備での温熱需要に応じて、第2熱源装置20の単独運転、並びに、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転の切り替えを実行してもよい。
【0153】
〔iii〕 第1実施形態および第2実施形態において、第1熱源装置10と、第2熱源装置20と、第3熱源装置30と、を備える冷温水製造システムについて説明したが、少なくとも第1熱源装置10および第3熱源装置30を備える冷温水製造システムであってもよい。
この場合、制御手段100は、負荷設備での温熱需要と冷熱需要が共にある場合に、第1熱源装置10を先行して起動した後、負荷設備での冷熱需要に応じて、第1熱源装置10の単独運転、並びに、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行してもよい。
また、制御手段100は、負荷設備での温熱需要がない場合に、第3熱源装置30を先行して起動した後、負荷設備での冷熱需要に応じて、第3熱源装置30の単独運転、並びに、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行してもよい。
【0154】
以上説明した上述の実施形態の冷温水製造システム1によれば、以下のような効果を奏する。
【0155】
(1)事業所内の負荷設備200で利用する用水W1を冷温水化する冷温水製造システム1であって、第1電気式ヒートポンプ11により第1用水W1Aを加熱しつつ、第2用水W1Bを冷却する第1熱源装置10と、第2電気式ヒートポンプ21により第1用水W1Aを加熱しつつ、空気を冷却する第2熱源装置20と、第1熱源装置10および第2熱源装置20の運転を制御する制御手段100と、を備え、制御手段100は、第1負荷設備200Aでの温熱需要と第2負荷設備200Bでの冷熱需要が共にある場合に、第1熱源装置10を先行して起動した後、第1負荷設備200Aでの温熱需要に応じて、第1熱源装置10の単独運転、並びに、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転の切り替えを実行し、第2負荷設備200Bでの冷熱需要がない場合に、第2熱源装置20を先行して起動した後、第1負荷設備200Aでの温熱需要に応じて、第2熱源装置20の単独運転、並びに、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転の切り替えを実行する。これにより、温熱需要と冷熱需要に応答して、熱源装置を効率よく運転することのできる冷温水製造システムを提供することができる。
【0156】
第1負荷設備200Aでの温熱需要と第2負荷設備200Bでの冷熱需要が共にある場合、第1熱源装置10を温熱・冷熱需要に対するベースロード機として先行起動後、第2熱源装置20を温熱需要に対するピークロード機として運転する。これにより、温熱と冷熱を同時に消費する操業状態では、冷温水同時取出形ヒートポンプを優先的に活用して、用水W1を効率よく加熱・冷却することができる。
第2負荷設備200Bでの冷熱需要がない場合、第2熱源装置20を温熱需要に対するベースロード機として先行起動後、第1熱源装置10を温熱需要に対するピークロード機、かつ冷熱需要に対するベースロード機として運転する。これにより、温熱を大量に消費する操業状態では、温水単独取出形ヒートポンプを優先的に活用して、用水W1を効率よく加熱することができる。
【0157】
(2)事業所内の負荷設備200で利用する用水W1を冷温水化する冷温水製造システム1であって、 第1電気式ヒートポンプ11により第1用水W1Aを加熱しつつ、第2用水W1Bを冷却する第1熱源装置10と、第3電気式ヒートポンプ31により第2用水W1Bを冷却しつつ、空気を加熱する第3熱源装置30と、第1熱源装置10および第3熱源装置30の運転を制御する制御手段100と、を備え、制御手段100は、第1負荷設備200Aでの温熱需要と第2負荷設備200Bでの冷熱需要が共にある場合に、第1熱源装置10を先行して起動した後、第2負荷設備200Bでの冷熱需要に応じて、第1熱源装置10の単独運転、並びに、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行し、第1負荷設備200Aでの温熱需要がない場合に、第3熱源装置30を先行して起動した後、第2負荷設備200Bでの冷熱需要に応じて、第3熱源装置30の単独運転、並びに、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行する。これにより、温熱需要と冷熱需要に応答して、熱源装置を効率よく運転することのできる冷温水製造システムを提供することができる。
【0158】
第1負荷設備200Aでの温熱需要と第2負荷設備200Bでの冷熱需要が共にある場合、第1熱源装置10を温熱・冷熱需要に対するベースロード機として先行起動後、第3熱源装置30を冷熱需要に対するピークロード機として運転する。これにより、温熱と冷熱を同時に消費する操業状態では、冷温水同時取出形ヒートポンプを優先的に活用して、用水W1を効率よく加熱・冷却することができる。
第1負荷設備200Aでの温熱需要がない場合、第3熱源装置30を冷水需要に対するベースロード機として先行起動後、第1熱源装置10を冷熱需要に対するピークロード機、かつ温熱需要に対するベースロード機として運転する。これにより、冷熱を大量に消費とする操業状態では、冷水単独取出形ヒートポンプを優先的に活用して、用水W1を効率よく冷却することができる。
【0159】
(3)事業所内の負荷設備200で利用する用水W1を冷温水化する冷温水製造システムであって、第1電気式ヒートポンプ11により第1用水W1Aを加熱しつつ、第2用水W1Bを冷却する第1熱源装置10と、第2電気式ヒートポンプ21により第1用水W1Aを加熱しつつ、空気を冷却する第2熱源装置20と、第3電気式ヒートポンプ31により第2用水W1Bを冷却しつつ、空気を加熱する第3熱源装置30と、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の運転を制御する制御手段100と、を備え、制御手段100は、第1負荷設備200Aでの温熱需要と第2負荷設備200Bでの冷熱需要が共にある場合に、第1熱源装置10を先行して起動した後、第1負荷設備200Aでの温熱需要および第2負荷設備200Bでの冷熱需要に応じて、第1熱源装置10の単独運転、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転、並びに、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行し、第2負荷設備200Bでの冷熱需要がない場合に、第2熱源装置20を先行して起動した後、第1負荷設備200Aでの温熱需要および第2負荷設備200Bでの冷熱需要に応じて、第2熱源装置20の単独運転、第1熱源装置10および第2熱源装置20の協調運転、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転、並びに、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行し、第1負荷設備200Aでの温熱需要がない場合に、第3熱源装置30を先行して起動した後、第1負荷設備200Aでの温熱需要および第2負荷設備200Bでの冷熱需要に応じて、第3熱源装置30の単独運転、第1熱源装置10および第3熱源装置30の協調運転、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転、並びに、第1熱源装置10、第2熱源装置20および第3熱源装置30の協調運転の切り替えを実行する。これにより、温熱需要と冷熱需要に応答して、熱源装置を効率よく運転することのできる冷温水製造システムを提供することができる。
【0160】
第1負荷設備200Aでの温熱需要と第2負荷設備200Bでの冷熱需要が共にある場合、第1熱源装置10を温熱・冷熱需要に対するベースロード機として先行起動後、第2熱源装置20を温熱需要に対するピークロード機として運転し、第3熱源装置30を冷熱需要に対するピークロード機として運転する。これにより、温熱と冷熱を同時に消費する操業状態では、冷温水同時取出形ヒートポンプを優先的に活用して、用水W1を効率よく加熱・冷却することができる。
第2負荷設備200Bでの冷熱需要がない場合、第2熱源装置20を温熱需要に対するベースロード機として先行起動後、第1熱源装置10を温熱需要に対するピークロード機、かつ冷熱需要に対するベースロード機として運転し、第3熱源装置30を冷熱需要に対するピークロード機として運転する。これにより、温熱を大量に消費する操業状態では、温水単独取出形ヒートポンプを優先的に活用して、用水W1を効率よく加熱することができる。
第1負荷設備200Aでの温熱需要がない場合、第3熱源装置30を冷熱需要に対するベースロード機として先行起動後、第1熱源装置10を冷熱需要に対するピークロード機、かつ温熱需要に対するベースロード機として運転し、第2熱源装置20を温熱需要に対するピークロード機として運転する。これにより、冷熱を大量に消費する操業状態では、冷水単独取出形ヒートポンプを優先的に活用して、用水W1を効率よく冷却することができる。
【0161】
(4)(3)の冷温水製造システム1において、第2熱源装置20は、第3熱源装置30で加熱された空気を第2電気式ヒートポンプ21の熱源流体として第1用水W1Aを加熱する。
【0162】
温熱・冷熱のピーク需要に対して第2熱源装置20と第3熱源装置30を同時に運転しているときは、空気を中間媒体として、第2用水W1Bから第1用水W1Aに熱を移動させる。これにより、これらの装置パッケージを第1熱源装置10(冷温水同時取出形ヒートポンプ)に匹敵するレベルの高効率で運転することができる。
【0163】
(5)(1)~(4)の冷温水製造システム1は、燃焼式ボイラにより第1用水W1Aを加熱する補助加熱装置60を備え、制御手段100は、第1熱源装置の運転中、第1負荷設備200Aでの温熱需要に応じて、補助加熱装置60を運転させる。
【0164】
これにより、第1熱源装置10の温水製造能力を超える温熱需要が発生した場合に、補助加熱装置60を運転させることで温熱供給量を増強することができる。また、第1熱源装置10のみでは達成困難な温度の温水(例えば90℃以上)を製造することもできる。
【0165】
(6)(1)、(3)、(4)の冷温水製造システム1は、燃焼式ボイラにより第1用水W1Aを加熱する補助加熱装置60を備え、制御手段100は、第2熱源装置20の運転中、第1負荷設備200Aでの温熱需要に応じて、補助加熱装置60を運転させる。
【0166】
これにより、第2熱源装置20の温水製造能力を超える温熱需要が発生した場合に、補助加熱装置60を運転させることで温熱供給量を増強することができる。また、第2熱源装置20のみでは達成困難な温度の温水(例えば90℃以上)を製造することもできる。
【0167】
(7)(1)~(4)の冷温水製造システム1は、吸収式または吸着式冷凍機により第2用水W1Bを冷却する補助冷却装置70を備え、制御手段100は、第1熱源装置10の運転中、第2負荷設備200Bでの冷水需要に応じて、補助冷却装置70を運転させる。
【0168】
これにより、第1熱源装置10の温水製造能力を超える冷熱需要が発生した場合に、補助冷却装置70を運転させることで冷熱供給量を増強することができる。
【0169】
(8)(2)~(4)の冷温水製造システム1は、吸収式または吸着式冷凍機により第2用水W1Bを冷却する補助冷却装置70を備え、制御手段100は、第3熱源装置30の運転中、第2負荷設備200Bでの冷水需要に応じて、補助冷却装置70を運転させる。
【0170】
これにより、第3熱源装置30の温水製造能力を超える冷熱需要が発生した場合に、補助冷却装置70を運転させることで冷熱供給量を増強することができる。
【0171】
以上、本発明の冷温水製造システムの好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。上記実施形態の個々の構成を2つ以上組み合わせたものも本発明である。
【符号の説明】
【0172】
1 冷温水製造システム
10 第1熱源装置
11 第1電気式ヒートポンプ
12A 温水側の中間熱交換器
12B 冷水側の中間熱交換器
20 第2熱源装置
21 第2電気式ヒートポンプ
22A 中間熱交換器
30 第3熱源装置
31 第3電気式ヒートポンプ
32A 中間熱交換器
40A 温度センサ
40B 温度センサ
60 補助加熱装置
70 補助冷却装置
80A 温水タンク
80B 冷水タンク
81A 水位センサ
81B 水位センサ
100 制御手段
200A 第1負荷設備
200B 第2負荷設備