(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176626
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】温水製造システム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/10 20220101AFI20231206BHJP
F24H 15/355 20220101ALI20231206BHJP
F24H 15/375 20220101ALI20231206BHJP
F24H 4/02 20220101ALI20231206BHJP
【FI】
F24H15/10
F24H15/355
F24H15/375
F24H4/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089009
(22)【出願日】2022-05-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】大谷 和之
(72)【発明者】
【氏名】淺村 仁志
(72)【発明者】
【氏名】三津 有也
(72)【発明者】
【氏名】平野 正晃
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA14
3L122AA23
3L122AA34
3L122AA43
3L122AA54
3L122AB24
3L122BB06
3L122BB13
3L122CA13
3L122DA01
3L122DA21
3L122EA07
3L122EA09
(57)【要約】
【課題】電動式ヒートポンプの短所を補いつつ、電力需要調整の実施の有無に応じて最適な水加熱を行うことができる温水製造システムを提供すること。
【解決手段】事業所内の負荷設備200で利用する用水を温水化する温水製造システム1であって、電気式ヒートポンプ11により用水を加熱する第1加熱装置10と、燃焼式ボイラ21により用水を加熱する第2加熱装置20と、電力需要調整の実施の有無に応じて、複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段110と、加熱モード選択手段110により選択された加熱モードに応じて、第1加熱装置10および第2加熱装置20の運転を制御する制御手段120と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業所内の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、
電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、
燃焼式ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置と、
電力需要調整の実施の有無に応じて、複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段と、
前記加熱モード選択手段により選択された前記加熱モードに応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の運転を制御する制御手段と、を備える温水製造システム。
【請求項2】
複数の前記加熱モードは、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含み、
前記加熱モード選択手段は、
電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、
電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、
電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、
前記制御手段は、
前記第1加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、前記負荷設備での温熱需要、または前記第1加熱装置の熱出力に応じて、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行し、
前記第2加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、または前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第2加熱装置の単独運転を実行し、
前記第3加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、または前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第1加熱装置の単独運転を実行する請求項1に記載の温水製造システム。
【請求項3】
複数の前記加熱モードは、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含み、
前記加熱モード選択手段は、
電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、
電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、
電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、
前記制御手段は、
前記第1加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、前記負荷設備での温熱需要、または前記第1加熱装置の熱出力に応じて、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行し、
前記第2加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、または前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第2加熱装置の単独運転、並びに、前記第2加熱装置および前記第1加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第2加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第2加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第2加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御し、
前記第3加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、または前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第3加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第1加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第1加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御する請求項1に記載の温水製造システム。
【請求項4】
複数の前記加熱モードは、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含み、
前記加熱モード選択手段は、
電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、
電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、
電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、
前記制御手段は、
前記第1加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、前記負荷設備での温熱需要、または前記第1加熱装置の熱出力に応じて、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行し、
前記第2加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、または前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第2加熱装置の単独運転、並びに、前記第2加熱装置および前記第1加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第2加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第2加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第2加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御し、
前記第3加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、または前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第1加熱装置の単独運転を実行する請求項1に記載の温水製造システム。
【請求項5】
複数の前記加熱モードは、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含み、
前記加熱モード選択手段は、
電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、
電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、
電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、
前記制御手段は、
前記第1加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、前記負荷設備での温熱需要、または前記第1加熱装置の熱出力に応じて、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行し、
前記第2加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、または前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第2加熱装置の単独運転を実行し、
前記第3加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、または前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第3加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第1加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第1加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御する請求項1に記載の温水製造システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第2加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記燃焼式ボイラを制御する請求項2または請求項5に記載の温水製造システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第3加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプを制御する請求項2または請求項4に記載の温水製造システム。
【請求項8】
前記第2加熱装置は、前記燃焼式ボイラで生成した蒸気と用水を熱交換することにより用水を加熱する請求項1に記載の温水製造システム。
【請求項9】
前記燃焼式ボイラは、炭化水素、水素、アンモニアから選ばれる燃料を使用する請求項1に記載の温水製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食料品・飲料の製造工場や自動車・金属製品・機械器具の製造工場などでは、生産プロセスで多量の温水および温熱を消費している。近年、多くの工場では、温室効果ガスであるCO2の排出量削減を目的として、化石燃料から脱却する「脱炭素」への取り組みが進められている。そこで、特許文献1に示されるように、温水製造システムの水加熱装置として、電気式ヒートポンプを採用することが増えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気式ヒートポンプは、CO2の排出量削減に極めて効果的な熱源装置であるが、燃焼式ボイラに比べて熱出力当たりの設備コストが10倍前後に達するという短所がある。また、電気式ヒートポンプは、燃焼式ボイラに比べて出熱時の瞬発力が低く、冷態起動後から欲しい温度の温水が得られるまでの待ち時間が長いという短所がある。ヒートポンプの導入を促進するためには、これらの短所を補うことのできるシステム構築が求められる。
また近年、電力の需給バランスを調整するための仕組みとして、バーチャルパワープラント(VPP:Virtual Power Plant)システムが注目されている。VPPシステムでは、電力市場の要求に応じて、需要家側にて需要調整(デマンドレスポンス:DR)を計画的に行うことが望まれている。デマンドレスポンスには、電力消費を抑制する「下げDR」と、電力消費を促進する「上げDR」がある。ヒートポンプの導入を促進しつつ需要家がVPPシステムに参加するためには、これらDRへの対応を可能としたシステム構築も求められる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、電気式ヒートポンプの短所を補いつつ、電力需要調整の実施の有無に応じて最適な水加熱を行うことができる温水製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)事業所内の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、燃焼式ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置と、電力需要調整の実施の有無に応じて、複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段と、前記加熱モード選択手段により選択された前記加熱モードに応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の運転を制御する制御手段と、を備える温水製造システム。
【0007】
(2)複数の前記加熱モードは、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含み、前記加熱モード選択手段は、電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、前記制御手段は、前記第1加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、前記負荷設備での温熱需要、または前記第1加熱装置の熱出力に応じて、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行し、前記第2加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、または前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第2加熱装置の単独運転を実行し、前記第3加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、または前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第1加熱装置の単独運転を実行する(1)の温水製造システム。
【0008】
(3)複数の前記加熱モードは、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含み、前記加熱モード選択手段は、電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、前記制御手段は、前記第1加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、前記負荷設備での温熱需要、または前記第1加熱装置の熱出力に応じて、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行し、前記第2加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、または前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第2加熱装置の単独運転、並びに、前記第2加熱装置および前記第1加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第2加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第2加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第2加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御し、前記第3加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、または前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第3加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第1加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第1加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御する(1)の温水製造システム。
【0009】
(4)複数の前記加熱モードは、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含み、前記加熱モード選択手段は、電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、前記制御手段は、前記第1加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、前記負荷設備での温熱需要、または前記第1加熱装置の熱出力に応じて、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行し、前記第2加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、または前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第2加熱装置の単独運転、並びに、前記第2加熱装置および前記第1加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第2加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第2加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第2加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御し、前記第3加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、または前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第1加熱装置の単独運転を実行する(1)の温水製造システム。
【0010】
(5)複数の前記加熱モードは、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含み、前記加熱モード選択手段は、電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、前記制御手段は、前記第1加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、前記負荷設備での温熱需要、または前記第1加熱装置の熱出力に応じて、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行し、前記第2加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、または前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第2加熱装置の単独運転を実行し、前記第3加熱モードでは、前記負荷設備での温水需要、または前記負荷設備での温熱需要に応じて、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第3加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第1加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第1加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御する(1)の温水製造システム。
【0011】
(6)前記制御手段は、前記第2加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記燃焼式ボイラを制御する(2)または(5)の温水製造システム。
【0012】
(7)前記制御手段は、前記第3加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプを制御する(2)または(4)の温水製造システム。
【0013】
(8)前記第2加熱装置は、前記燃焼式ボイラで生成した蒸気と用水を熱交換することにより用水を加熱する(1)の温水製造システム。
【0014】
(9)前記燃焼式ボイラは、炭化水素、水素、アンモニアから選ばれる燃料を使用する(1)の温水製造システム。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電気式ヒートポンプの短所を補いつつ、電力需要調整の実施の有無に応じて最適な水加熱を行うことができる温水製造システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。
【
図3】本発明の第3実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。
【
図4】本発明の第4実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。
【
図5】本発明の第5実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。
【
図6】本発明の第6実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。
【
図7】本発明の第7実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。
【
図8】本発明の第8実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。
【
図9】本発明の第9実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。
【
図10】本発明の第10実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。
【
図11】本発明の第11実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。
【
図12】本発明の第12実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の温水製造システム1の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0018】
図1は、第1実施形態に係る温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。温水製造システム1は、電気式ヒートポンプ11により用水W1を加熱する第1加熱装置10と、燃焼式ボイラ21により用水W1を加熱する第2加熱装置20と、制御部100と、を備える。本実施形態の温水製造システム1は更に、温水タンク30と、配水ラインL10と、返水ラインL20と、を有する。温水製造システム1は、事業所内の負荷設備200で利用する用水W1を温水化する。
【0019】
ここで、事業所は、物の生産またはサービスの提供が事業として行われている個々の場所をいい、工場、商業施設、医療機関、福祉施設、宿泊施設、研究施設などである。用水W1は、物の生産またはサービスの提供に伴って使用する水をいう。負荷設備200は、事業所が工場である場合、例えば食料品・飲料の製造工場、自動車・金属製品・機械器具の製造工場などの生産設備(物の生産に直接関わっている設備)をいう。温水化された用水W1は、洗浄水等に直接使用するほか、熱媒水として間接使用する。工場の生産設備以外の負荷設備200としては、蒸気ボイラ装置(生産設備の稼働に関わっている熱源設備)が例示され、温水化された用水W1の一部をボイラ給水に利用する。
本実施形態における負荷設備200は、温水化された用水W1を熱媒水として間接使用(すなわち温熱出力)する。
【0020】
<温水タンク>
温水タンク30は、温水である用水W1を貯留水として貯留する。本実施形態の温水タンク30は、開放式のタンクである。温水タンク30は、水位センサ31を備える。水位センサ31により自然蒸発による温水タンク30内の減水が検知されると、補給水ラインL00を通じて温水タンク30内に補給水W0が供給される。温水タンク30には不図示の温度センサが設けられており、温水タンク30内の貯留水の温度が、温水タンク30の蓄熱温度TCとして検知される。
【0021】
<各種ライン>
本実施形態においては、温水タンク30から負荷設備200に温水の往き配管である配水ラインL10が敷設されていると共に、負荷設備200から温水タンク30に温水の戻り配管である返水ラインL20が敷設されている。これにより、温水ループ系の循環ラインが形成されている。
【0022】
配水ラインL10は、温水タンク30内の温水である用水W1を、負荷設備200に供給するためのラインである。配水ラインL10には、供給ポンプ50が設けられている。
【0023】
返水ラインL20は、負荷設備200からの用水W1を、温水タンク30に戻すためのラインである。返水ラインL20は、分岐点Pから、第1加熱対象ラインL21および第2加熱対象ラインL22に分岐する。
【0024】
第1加熱対象ラインL21には、後述の第1加熱装置10の第1サブ熱交換器12が配置されている。第1加熱対象ラインL21を流通する用水W1は、第1サブ熱交換器12により加熱される。第1加熱対象ラインL21には、通水弁51が設けられている。
【0025】
第2加熱対象ラインL22には、後述の第2加熱装置20の第2サブ熱交換器22が配置されている。第2加熱対象ラインL22を流通する用水W1は、第2サブ熱交換器22により加熱される。第2加熱対象ラインL22には、通水弁52が設けられている。
【0026】
返水ラインL20の分岐点Pよりも上流側に、温度センサ40が設けられている。温度センサ40は、返水ラインの分岐点Pよりも上流側において返水ラインL20を流通する温水の戻り温度Trを検知する。
【0027】
<第1加熱装置>
第1加熱装置10は、電気式ヒートポンプ11(略号:HP)と、第1サブ熱交換器12と、第1サブ循環ポンプ13と、第1サブ循環ラインLS1と、を有する。
【0028】
第1サブ循環ラインLS1は、第1サブ熱交換器12と、ヒートポンプ11の凝縮器とを接続する。第1サブ循環ラインLS1を循環する熱媒体R1は水でもよい。特に、給湯用途では、凝縮器のパンク時に冷媒を用水W1に混入させない観点から、熱媒体R1は水が好ましい。
【0029】
ヒートポンプ11は、第1サブ循環ラインLS1を循環する熱媒体R1を加熱する。ヒートポンプ11は、空気熱源型、水熱源型(地下水、廃温水など)のいずれでもよい。また、冷温水同時取り出しが可能なヒートポンプチラーでもよい。
【0030】
第1サブ熱交換器12は、第1加熱対象ラインL21を流通する用水W1と第1サブ循環ラインLS1を流通する熱媒体R1との間の熱交換を行い、用水W1を加熱する。第1サブ熱交換器12は、第1加熱対象ラインL21(各実施形態における負荷設備からの返水ライン、温水タンクとの循環ライン、給水設備からの給水ラインを含む)に配置される。第1加熱対象ラインL21の第1サブ熱交換器12の下流側には不図示の温度センサが設けられており、第1サブ熱交換器12を通過した後の第1加熱対象ラインL21を流通する温水の温度が、第1サブ熱交換器12の出口温度TAとして検知される。また、第1加熱対象ラインL21の第1サブ熱交換器12の上流側には不図示の温度センサが設けられており、第1サブ熱交換器12を通過する前の第1加熱対象ラインL21を流通する温水の温度が、第1サブ熱交換器12の入口温度TA0として検知される。この入口温度TA0と出口温度TAとの差分により、第1サブ熱交換器12の出入口温度差が検出される。
【0031】
第1サブ循環ポンプ13は、第1サブ循環ラインLS1に設けられている。第1サブ循環ポンプ13は、第1サブ循環ラインLS1を流通する熱媒体R1を循環させる。
【0032】
なお、第1加熱装置10の構成は、第1加熱対象ラインL21がヒートポンプ11の凝縮器に直接接続されている構成であってもよい。この場合、第1サブ熱交換器12および第1サブ循環ラインLS1を省略することができる。
【0033】
<第2加熱装置>
第2加熱装置20は、燃焼式ボイラ21と、第2サブ熱交換器22と、第2サブ循環ポンプ23と、第2サブ循環ラインLS2と、を有する。
【0034】
第2サブ循環ラインLS2は、第2サブ熱交換器22と、燃焼式ボイラ21の温水ボイラ本体とを接続する。第2サブ循環ラインLS2を循環する熱媒体R2は水であってもよい。
【0035】
燃焼式ボイラ21は、第2サブ循環ラインLS2を循環する熱媒体R2を加熱する。燃焼式ボイラ21は、炭化水素、水素、アンモニアから選ばれる燃料を使用するボイラであってもよい。燃焼式ボイラ21は、温水ボイラ(略号:BH)、蒸気ボイラ(略号:BS)のいずれでもよい。本実施形態においては、燃焼式ボイラとして温水ボイラ21を用いている。温水ボイラ21は、真空式温水ヒータや無圧式温水ヒータを含む。
【0036】
第2サブ熱交換器22は、第2加熱対象ラインL22を流通する用水W1と第2サブ循環ラインLS2を流通する熱媒体R2との間の熱交換を行い、用水W1を加熱する。第2サブ熱交換器22は、第2加熱対象ラインL22(各実施形態における負荷設備からの返水ライン、温水タンクとの循環ライン、給水設備からの給水ラインを含む)に配置される。第2加熱対象ラインL22の第2サブ熱交換器22の下流側には不図示の温度センサが設けられており、第2サブ熱交換器22を通過した後の第2加熱対象ラインL22を流通する温水の温度が、第2サブ熱交換器22の出口温度TBとして検知される。また、第2加熱対象ラインL22の第2サブ熱交換器22の上流側には不図示の温度センサが設けられており、第2サブ熱交換器22を通過する前の第2加熱対象ラインL22を流通する温水の温度が、第2サブ熱交換器22の入口温度TB0として検知される。この入口温度TB0と出口温度TBとの差分により、第2サブ熱交換器22の出入口温度差が検出される。
【0037】
第2サブ循環ポンプ23は、第2サブ循環ラインLS2に設けられている。第2サブ循環ポンプ23は、第2サブ循環ラインLS2を流通する熱媒体R2を循環させる。
【0038】
なお、第2加熱装置20は、燃焼式ボイラ21で生成した蒸気と用水W1を熱交換することにより用水W1を加熱する装置であってもよい。例えば、第2加熱装置20の構成は、第2加熱対象ラインL22(各実施形態における負荷設備からの返水ライン、温水タンクとの循環ライン、給水設備からの給水ラインを含む)に第2サブ熱交換器22を配置し、第2サブ熱交換器22に蒸気ボイラから蒸気ヘッダを介して延設した蒸気ラインを接続する構成であってもよい。蒸気ラインには、給蒸弁(比例制御弁)を設ける。
【0039】
このように、第2加熱装置20を構成する燃焼式ボイラ21は、温水ボイラだけでなく、蒸気ボイラを用いることができる。蒸気ボイラを熱源機とする場合、蒸気と用水を間接熱交換、または直接熱交換することにより用水を温水化する。例えば、小型貫流蒸気ボイラで発生させた絶対圧力0.3MPa~2MPaの蒸気を使用すると、飽和温度が150~215℃に達するため、80~90℃の温水を製造する場合でも加熱操作時間の短縮が可能である。その結果、CO2排出量の増加が抑制されることになる。
【0040】
なお、温水製造システム1は、熱回収型の電気式ヒートポンプによりボイラ給水を加熱する第3加熱装置を更に備えていてもよい。廃温水等を熱源とする熱回収型の電気式ヒートポンプを組み込んだ第3加熱装置を設置し、蒸気ボイラのボイラ給水を加熱する。これにより、第3加熱モードで蒸気エネルギーを利用する際に、燃焼式ボイラのCO2排出量を大幅に削減することができる。
【0041】
なお、第2加熱装置20は、後述の他の実施形態にも示されるように、温水タンク30の貯留水を加熱する装置であってもよい。この場合、第2加熱装置20の加熱手段として、(A)温水タンク30内部に設置した蒸気吹き込み管(直接加熱)、(B)温水タンク30内部に設置した蒸気ヒータ25(間接加熱)、(C)温水タンク30外部に設置した蒸気熱交換器(水循環による間接加熱)の何れかを用いてもよい。
【0042】
以上のように、本実施形態の温水製造システム1は、温水タンク30に用水を供給する加熱対象ラインとしての返水ラインL20を有し、第1加熱装置10および第2加熱装置20は、加熱対象ラインを流通する用水W1を加熱する。また、加熱対象ラインは分岐しており、第1加熱装置10および第2加熱装置20が並列的に配置されている。
【0043】
<制御部>
制御部100は、加熱モード選択手段としての加熱モード選択部110と、制御手段としての運転制御部120と、記憶部130と、を備える。
【0044】
なお、制御部100は、サーバであってもよい。また、制御部100は、上述のように複数の機能ブロックにより構成されているが、各機能ブロックは必ずしも物理的に分かれている必要は無く、1つのCPUが、複数の機能ブロックの機能を実現してもよい。また、制御部100は、制御対象部の配置等を考慮して、2つ以上に場所に分かれて配置されていてもよい。また、1つの機能ブロックが2つ以上の場所に分かれて、分散制御されていてもよい。なお、記憶部は、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、または着脱可能なメモリカード等の記録媒体で構成される。記録媒体としては、一時的でない有形の媒体(non-transitory tangible media)が挙げられる。なお、制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサを含んで構成される。制御部100の各種機能は、例えば記憶部に格納されたプログラム(アプリケーション)を実行することで実現される。プログラム(アプリケーション)は、ネットワークを介して提供されてもよいし、CD-ROM(Compact Disc Read only memory)またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(computer readable storage medium)に記録されて提供されてもよい。なお、制御部100の各機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
【0045】
加熱モード選択部110は、電力需要調整の実施の有無に応じて、複数の加熱モードの中から一つの加熱モードを選択する。複数の加熱モードは、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含む。加熱モード選択部110は、電力需要調整を実施しない場合に、第1加熱モードを選択し、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、第2加熱モードを選択し、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、第3加熱モードを選択する。加熱モード選択部110は、外部からの入力情報に基づいて、複数の加熱モードの中から一つのモードを選択する。外部からの入力情報は、例えば、リソースアグリゲーター(需要家とVPPサービス契約を直接締結してリソース制御を行う事業者)等により提供される上げ下げDRの発動に関する情報である。
【0046】
なお、第2加熱モードは、第2加熱モードAと、第2加熱モードBといった、複数種類の加熱モードがあってもよい。温水製造システム1は、第2加熱モードとして、第2加熱モードAのみを実行できるように構成されていてもよいし、第2加熱モードBのみを実行できるように構成されていてもよいし、いずれか一方を選択的に実行できるように構成されていてもよい。また、第3加熱モードは、第3加熱モードAと、第3加熱モードBといった、複数種類の加熱モードがあってもよい。温水製造システム1は、第3加熱モードとして、第3加熱モードAのみを実行できるように構成されていてもよいし、第3加熱モードBのみを実行できるように構成されていてもよいし、いずれか一方を選択的に実行できるように構成されていてもよい。
【0047】
また、第2加熱モードAと第2加熱モードBのいずれか一方を選択的に実行できるように構成されている場合、第2加熱モードを実行する際、事業所の操業時間帯や必要とする電力調整量などに応じて随時、第2加熱モードAと第2加熱モードBを切り替えてもよい。さらに、第2加熱モードAの実行途中おいて、第2加熱モードBに移行させてもよい。第3加熱モードAと第3加熱モードBのいずれか一方を選択的に実行できるように構成されている場合についても同様である。
【0048】
運転制御部120は、加熱モード選択部110により選択された加熱モードに応じて、第1加熱装置10および第2加熱装置20の運転を制御する。運転制御部120は、第1加熱装置10および第2加熱装置20の運転を制御する上で、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機、第1サブ熱交換器12の通水弁51、温水ボイラ21のバーナ、第2サブ熱交換器22の通水弁52、第1サブ循環ポンプ13、第2サブ循環ポンプ23といった、温水製造システム1を構成する各種の機器を制御する。
【0049】
運転制御部120は、例えば、温度センサ40が検知した戻り温度Tr、第1サブ熱交換器12の出口温度TA、第2サブ熱交換器22の出口温度TBの情報を取得し、これらの情報に基づいて、第1加熱装置10および第2加熱装置20の運転を制御する。運転制御部120は、温度センサ40が検知した戻り温度Trと、複数の設定温度とを比較し、第1加熱装置10および第2加熱装置20の運転を制御してもよい。運転制御部120は、例えば、温度センサ40が検知した戻り温度Trと、3段階の設定温度T1>T2>T3とを比較し、第1加熱装置10および第2加熱装置20の運転を制御してもよい。なお、各設定温度は、外部からの入力情報に基づいて設定可能となっていてもよい。また、各設定温度は、制御部100の記憶部130に記憶されていてもよい。
【0050】
《第1加熱モードの制御》
上述した通り、第1加熱モードは、電力需要調整を実施しない場合に、加熱モード選択部110により選択される。運転制御部120は、第1加熱モードでは、負荷設備200での温水需要、負荷設備200での温熱需要、または第1加熱装置10の熱出力に応じて、第1加熱装置10の単独運転、並びに、第1加熱装置10および第2加熱装置20の協調運転の切り替えを実行する。本実施形態においては、運転制御部120は、負荷設備200での温熱需要に応じて、第1加熱装置10および第2加熱装置20の運転を制御する。負荷設備200の温熱需要を示す指標として、例えば、温水ループ系における負荷設備200側からの温水の戻り温度Trが挙げられる。戻り温度Trが低いほど、温熱需要が大きいことを示す。
【0051】
以下、第1加熱モードにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0052】
〔1〕各設定温度は、例えば、T1=70℃(負荷ゼロでの戻り温度、すなわち目標給湯温度相当)、T2=60℃(平均ベース負荷での戻り温度相当)、T3=50℃(平均ピーク負荷での戻り温度相当)とする。ただし、各設定温度の数値例について、温水循環に伴う熱損失は考慮していない。
【0053】
〔2〕第1サブ熱交換器12の通水弁51は、負荷設備200から温水タンク30へ温水を返送するため、常時開放しておく。第2サブ熱交換器22の通水弁52は、第2加熱装置20の運転開始時に開放し、運転終了時に閉鎖する。
【0054】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧70℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止する。
【0055】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0056】
〔5〕戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧60℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止する。
【0057】
〔6〕戻り温度Trが設定温度T3未満(Tr<50℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。
【0058】
《第2加熱モードAの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。運転制御部120は、第2加熱モードAでは、負荷設備200での温水需要、または負荷設備200での温熱需要に応じて、第2加熱装置20の単独運転を実行する。本実施形態においては、運転制御部120は、負荷設備200での温熱需要に応じて、第2加熱装置20の単独運転を実行する。
【0059】
以下、第2加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0060】
〔1〕第2加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。そのため、設定温度T1を70℃から90℃に、設定温度T2を60℃から70℃に変更する。本加熱モードでは、第1加熱装置10との協調運転はしない。
【0061】
〔2〕第2サブ熱交換器22の通水弁52は、負荷設備200から温水タンク30へ温水を返送するため、常時開放しておく。第1サブ熱交換器12の通水弁51は閉鎖する。
【0062】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧90℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止する。
【0063】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<70℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第2加熱装置20の燃料消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。
【0064】
このように、運転制御部120は、第2加熱モードにおける第2加熱装置20の熱出力が、第1加熱モードにおける第2加熱装置20の熱出力よりも大きくなるように、燃焼式ボイラ21を制御することが好ましい。
【0065】
《第3加熱モードAの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。運転制御部120は、第3加熱モードAでは、負荷設備200での温水需要、または負荷設備200での温熱需要に応じて、第1加熱装置10の単独運転を実行する。本実施形態においては、運転制御部120は、負荷設備200での温熱需要に応じて、第1加熱装置10の単独運転を実行する。
【0066】
以下、第3加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0067】
〔1〕第3加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。そのため、設定温度T1を70℃から90℃に、設定温度T2を60℃から70℃に変更する。本加熱モードでは、第2加熱装置20との協調運転はしない。
【0068】
〔2〕第1サブ熱交換器12の通水弁51は、負荷設備200から温水タンク30へ温水を返送するため、常時開放しておく。第2サブ熱交換器22の通水弁52は閉鎖する。
【0069】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧90℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止する。
【0070】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<70℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第1加熱装置10の電力消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。
【0071】
このように、運転制御部120は、第3加熱モードにおける第1加熱装置10の熱出力が、第1加熱モードにおける第1加熱装置10の熱出力よりも大きくなるように、電気式ヒートポンプ11を制御することが好ましい。
【0072】
《第2加熱モードBの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。運転制御部120は、第2加熱モードBでは、負荷設備200での温水需要、または負荷設備200での温熱需要に応じて、第2加熱装置20の単独運転、並びに、第2加熱装置20および第1加熱装置10の協調運転の切り替えを実行すると共に、第2加熱モードBの協調運転では、第1加熱装置10と第2加熱装置20の熱出力合計に対する第2加熱装置20の出力割合が、第1加熱モードの協調運転における第2加熱装置20の出力割合よりも大きくなるように、電気式ヒートポンプ11および燃焼式ボイラ21を制御する。本実施形態においては、運転制御部120は、負荷設備200での温熱需要に応じて、このような制御を実行する。
【0073】
以下、第2加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0074】
〔1〕各設定温度T1~T3は、第1加熱モードと同じとする。
【0075】
〔2〕第2サブ熱交換器22の通水弁52は、負荷設備200から温水タンク30へ温水を返送するため、常時開放しておく。第1サブ熱交換器12の通水弁51は、第1加熱装置10の運転開始時に開放し、運転終了時に閉鎖する。
【0076】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧70℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止する。
【0077】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。
【0078】
〔5〕戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧60℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止する。
【0079】
〔6〕戻り温度Trが設定温度T3未満(Tr<50℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第2目標温度(例:80℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。また、第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第3目標温度(例:60℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。第1加熱モードよりも第2加熱装置20の出口温度を上げ(すなわち、出力割合を上げる)、第1加熱装置10の出口温度を下げる(すなわち、出力割合を下げる)ことで、協調運転を行いつつも第1加熱装置10の電力消費を抑制できる。
【0080】
《第3加熱モードBの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。運転制御部120は、第3加熱モードBでは、負荷設備200での温水需要、または負荷設備200での温熱需要に応じて、第1加熱装置10の単独運転、並びに、第1加熱装置10および第2加熱装置20の協調運転の切り替えを実行すると共に、第3加熱モードBの協調運転では、第1加熱装置10と第2加熱装置20の熱出力合計に対する第1加熱装置10の出力割合が、第1加熱モードの協調運転における第1加熱装置10の出力割合よりも大きくなるように、電気式ヒートポンプ11および燃焼式ボイラ21を制御する。本実施形態においては、運転制御部120は、負荷設備200での温熱需要に応じて、このような制御を実行する。
【0081】
以下、第3加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0082】
〔1〕各設定温度T1~T3は、第1加熱モードと同じとする。
【0083】
〔2〕第1サブ熱交換器12の通水弁52は、負荷設備200から温水タンク30へ温水を返送するため、常時開放しておく。第2サブ熱交換器22の通水弁52は、第2加熱装置20の運転開始時に開放し、運転終了時に閉鎖する。
【0084】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧70℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止する。
【0085】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0086】
〔5〕戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧60℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止する。
【0087】
〔6〕戻り温度Trが設定温度T3未満(Tr<50℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第2目標温度(例:80℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第3目標温度(例:60℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。第1加熱モードよりも第1加熱装置10の出口温度を上げ(すなわち、出力割合を上げる)、第2加熱装置20の出口温度を下げる(すなわち、出力割合を下げる)ことで、協調運転を行いつつも第1加熱装置10の電力消費を促進できる。
【0088】
<温水需要・温熱需要・熱出力の指標>
なお、上述の制御例において、運転制御部120は、負荷設備200の温熱需要としての戻り温度Trに応じて、第1加熱装置10および第2加熱装置20の運転を制御している。しかしながら、運転制御部120は、負荷設備200での温水需要、負荷設備200での温熱需要、または第1加熱装置10の熱出力に応じて、第1加熱装置10および第2加熱装置20の運転を制御することができる。以下、(1)負荷設備200の温水需要を示す指標、(2)負荷設備200の温熱需要を示す指標、および(3)第1加熱装置10の熱出力を示す指標について説明する。
【0089】
(1)負荷設備200の温水需要を示す指標として、温水タンク30ありのシステムでは貯留水の水位(=貯湯量・残湯量)、温水タンク30なしのシステムでは補給水流量(=温水消費流量)が挙げられる。貯湯量が少ないほど、または給水流量が多いほど、温水需要が大きい(=時間当たりの補給水の供給量が多くなる)ことを示す。第1加熱モードの協調運転が選択されている場合、負荷設備200の温水需要が大きくなると、第1加熱装置10では加熱できない分量の補給水を第2加熱装置20で加熱することにより、負荷設備200に対して時間当たりの給湯量を加増する。
【0090】
(2)負荷設備200の温熱需要を示す指標として、温水ループ系における負荷設備200側からの温水の戻り温度Trが挙げられる。戻り温度Trが低いほど、温熱需要が大きいことを示す。指標は、往き温度と戻り温度の差でも代替できる。温度差が大きいほど、温熱需要が大きいことを示す。第1加熱モードの協調運転が選択されている場合、負荷設備200の温熱需要が大きくなると、第1加熱装置10の出湯温度や温水タンク30の蓄熱温度TCが負荷設備200での要求温度に満たない場合には、第2加熱装置20で加熱することにより要求温度まで昇温する。
【0091】
(3)第1加熱装置10の熱出力を示す指標として、運転中の出湯温度(用水の出口温度)が挙げられる。第1加熱装置10の出湯温度が低い場合には、第2加熱装置20の協調運転を実行し、燃焼エネルギーを利用して昇温のバックアップを行う。ここで、第1加熱装置10の出湯温度が低い場合とは、例えば以下のような場合を指す。
(a)ヒートポンプ11の熱源空気の温度低下(冬期などの低温の外気)や、熱源水の温度低下(操業開始時などの低温の廃温水)により、冷媒圧縮機の出力を増やしても目標の出湯温度が得られない場合。
(b)給水設備からの給水の温度低下(冬期などの低温の給水)や、負荷設備200からの戻り温水の温度低下(操業開始時などの低温の循環水)により、冷媒圧縮機の出力を増やしても目標の出湯温度が得られない場合。
(c)冷温水同時取出型ヒートポンプを使用しており、冷水温度を目標温度に維持する制御のため、温水温度がなりゆきとなり、しかも温度低下している場合。
(d)ヒートポンプ11の加熱能力の低下(主に熱源温度や入口温度の低下に基因)により、目標温度を下げている場合。
【0092】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
図2は、本実施形態における温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
本実施形態における負荷設備200は、温水化された用水W1を熱媒水として間接使用(すなわち温熱出力)する。
【0093】
図2に示すように、本実施形態の温水製造システム1の返水ラインL20は、分岐せずに、温水タンク30に接続されている。本実施形態の温水製造システム1の第1加熱装置10および第2加熱装置20は、加熱対象ラインとしての返水ラインL20において、直列的に配置されており、返水ラインL20を流通する用水W1を加熱する。
【0094】
第1加熱装置10の第1サブ熱交換器12は、加熱対象ラインとしての返水ラインL20に配置される。第1サブ熱交換器12は、返水ラインL20を流通する用水W1と第1サブ循環ラインLS1を流通する熱媒体R1との間の熱交換を行い、返水ラインL20を流通する用水W1を加熱する。
【0095】
第2加熱装置20の第2サブ熱交換器22は、加熱対象ラインとしての返水ラインL20に配置される。第2サブ熱交換器22は、返水ラインL20を流通する用水W1と第2サブ循環ラインLS2を流通する熱媒体R2との間の熱交換を行い、返水ラインL20を流通する用水W1を加熱する。
【0096】
返水ラインL20における第1サブ熱交換器12および第2サブ熱交換器22が配置されている位置よりも上流側には、戻り温度Trを検知する温度センサ40が設けられている。
【0097】
以上のように、本実施形態においては、返水ラインL20に第1加熱装置10の第1サブ熱交換器12と、第2加熱装置20の第2サブ熱交換器22を順に配置し、流通水を加熱する。
【0098】
以下、本実施形態における、運転制御部120による各加熱モードの制御例について説明する。
【0099】
《第1加熱モードの制御》
上述した通り、第1加熱モードは、電力需要調整を実施しない場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第1加熱モードにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0100】
〔1〕各設定温度は、例えば、T1=70℃(負荷ゼロでの戻り温度、すなわち目標給湯温度相当)、T2=60℃(平均ベース負荷での戻り温度相当)、T3=50℃(平均ピーク負荷での戻り温度相当)とする。ただし、各設定温度の数値例について、温水循環に伴う熱損失は考慮していない。
【0101】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧70℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止する。
【0102】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0103】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧60℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止する。
【0104】
〔5〕戻り温度Trが設定温度T3未満(Tr<50℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出入口温度差が第1目標温度差(例:10℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。
【0105】
《第2加熱モードAの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0106】
〔1〕第2加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。そのため、設定温度T1のみ70℃から90℃に変更する。本加熱モードでは、第1加熱装置10との協調運転はしない。
【0107】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧90℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止する。
【0108】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第2加熱装置20の燃料消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。
【0109】
《第3加熱モードAの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0110】
〔1〕第3加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。そのため、設定温度T1のみ70℃から90℃に変更する。本加熱モードでは、第2加熱装置20との協調運転はしない。
【0111】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧90℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止する。
【0112】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第1加熱装置10の電力消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。
【0113】
《第2加熱モードBの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0114】
〔1〕各設定温度T1~T3は、第1加熱モードと同じとする。
【0115】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧70℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止する。
【0116】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。
【0117】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧60℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止する。
【0118】
〔5〕戻り温度Trが設定温度T3未満(Tr<50℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出入口温度差が第2目標温度差(例:5℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。第1加熱モードよりも第1加熱装置10の出入口温度差を下げる(すなわち、出力割合を下げる)ことで、第2加熱装置20と協調運転を行いつつも電力消費を抑制できる。
【0119】
《第3加熱モードBの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0120】
〔1〕各設定温度T1~T3は、第1加熱モードと同じとする。
【0121】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧70℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止する。
【0122】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0123】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧60℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止する。
【0124】
〔5〕戻り温度Trが設定温度T3未満(T5<50℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第3目標温度差(例:15℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第2目標温度(例:70℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。第1加熱モードよりも第1加熱装置10の出入口温度差を上げる(すなわち、出力割合を上げる)ことで、第2加熱装置20と協調運転を行いつつも電力消費を促進できる。
【0125】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
図3は、本実施形態における温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
本実施形態における負荷設備200は、温水化された用水W1を熱媒水として間接使用(すなわち温熱出力)する。
【0126】
図3に示すように、本実施形態の温水製造システム1の返水ラインL20には、第1加熱装置10および第2加熱装置20が配置されていない。返水ラインL20は分岐せずに、温水タンク30に直接接続されている。本実施形態の温水製造システム1は、温水タンク30内の貯留水を循環する加熱対象ラインとしての循環ラインL30を備える。第1加熱装置10および第2加熱装置20は、循環ラインL30を流通する循環水としての用水W1を加熱する。
【0127】
循環ラインL30は、温水タンク30内の温水である用水W1を循環させるためのラインである。循環ラインL30は、分岐点Pから、第1循環ラインL31および第2循環ラインL32に分岐し、その後、合流する。
【0128】
第1循環ラインL31には、第1加熱装置10の第1サブ熱交換器12が配置されている。第1循環ラインL31には、第1循環ポンプ53が設けられている。
【0129】
第2循環ラインL32には、第2加熱装置20の第2サブ熱交換器22が配置されている。第2循環ラインL32には、第2循環ポンプ54が設けられている。
【0130】
第1サブ熱交換器12は、第1循環ラインL31を流通する用水W1と第1サブ循環ラインLS1を流通する熱媒体R1との間の熱交換を行い、第1循環ラインL31を流通する用水W1を加熱する。
【0131】
第2サブ熱交換器22は、第2循環ラインL32を流通する用水W1と第2サブ循環ラインLS2を流通する熱媒体R2との間の熱交換を行い、第2循環ラインL32を流通する用水W1を加熱する。
【0132】
返水ラインL20には、戻り温度Trを検知する温度センサ40が設けられている。
【0133】
以上のように、本実施形態においては、温水タンク30に接続した第1循環ラインL31に第1加熱装置10の第1サブ熱交換器12と第1循環ポンプ53を配置し、循環水を加熱する。また、温水タンク30に接続した第2循環ラインL32に第2加熱装置20の第2サブ熱交換器22と第2循環ポンプ54を配置し、循環水を加熱する。
【0134】
以下、本実施形態における、運転制御部120による各加熱モードの制御例について説明する。
【0135】
《第1加熱モードの制御》
上述した通り、第1加熱モードは、電力需要調整を実施しない場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第1加熱モードにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0136】
〔1〕各設定温度は、例えば、T1=70℃(負荷ゼロでの戻り温度、すなわち目標給湯温度相当)、T2=60℃(平均ベース負荷での戻り温度相当)、T3=50℃(平均ピーク負荷での戻り温度相当)とする。ただし、各設定温度の数値例について、温水循環に伴う熱損失は考慮していない。
【0137】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧70℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1循環ポンプを停止する。
【0138】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1循環ポンプを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0139】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧60℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止し、第2循環ポンプを停止する。
【0140】
〔5〕戻り温度Trが設定温度T3未満(Tr<50℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2循環ポンプを駆動し、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。
【0141】
《第2加熱モードAの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0142】
〔1〕第2加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。そのため、設定温度T1を70℃から90℃に、設定温度T2を60℃から70℃に変更する。本加熱モードでは、第1加熱装置10との協調運転はしない。
【0143】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧90℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止し、第2循環ポンプを停止する。
【0144】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<70℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2循環ポンプを駆動し、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第2加熱装置20の燃料消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。
【0145】
《第3加熱モードAの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0146】
〔1〕第3加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。そのため、設定温度T1を70℃から90℃に、設定温度T2を60℃から70℃に変更する。本加熱モードでは、第2加熱装置20との協調運転はしない。
【0147】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧90℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1循環ポンプを停止する。
【0148】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<70℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1循環ポンプを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第1加熱装置10の電力消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。
【0149】
《第2加熱モードBの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0150】
〔1〕各設定温度T1~T3は、第1加熱モードと同じとする。
【0151】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧70℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止し、第2循環ポンプを停止する。
【0152】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2循環ポンプを駆動し、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。
【0153】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧60℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1循環ポンプを停止する。
【0154】
〔5〕戻り温度Trが設定温度T3未満(Tr<50℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1循環ポンプを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第2目標温度(例:80℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。また、第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第3目標温度(例:60℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。第1加熱モードよりも第2加熱装置20の出口温度を上げ(すなわち、出力割合を上げる)、第1加熱装置10の出口温度を下げる(すなわち、出力割合を下げる)ことで、協調運転を行いつつも第1加熱装置10の電力消費を抑制できる。
【0155】
《第3加熱モードBの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0156】
〔1〕各設定温度T1~T3は、第1加熱モードと同じとする。
【0157】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧70℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1循環ポンプを停止する。
【0158】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1循環ポンプを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0159】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧60℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止し、第2循環ポンプを停止する。
【0160】
〔5〕戻り温度Trが設定温度T3未満(Tr<50℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2循環ポンプを駆動し、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第2目標温度(例:80℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第3目標温度(例:60℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。第1加熱モードよりも第1加熱装置10の出口温度を上げ(すなわち、出力割合を上げる)、第2加熱装置20の出口温度を下げる(すなわち、出力割合を下げる)ことで、協調運転を行いつつも第1加熱装置10の電力消費を促進できる。
【0161】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。
図4は、本実施形態における温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
本実施形態における負荷設備200は、温水化された用水W1を熱媒水として間接使用(すなわち温熱出力)する。
【0162】
図4に示すように、本実施形態の温水製造システム1の返水ラインL20は分岐せずに、温水タンク30に接続されている。第1加熱装置10は加熱対象ラインとしての返水ラインL20を流通する用水W1を加熱する。第2加熱装置20は、温水タンク30内の貯留水としての用水W1を加熱する。
【0163】
第1加熱装置10の第1サブ熱交換器12は、加熱対象ラインとしての返水ラインL20に配置される。第1サブ熱交換器12は、返水ラインL20を流通する用水W1と第1サブ循環ラインLS1を流通する熱媒体R1との間の熱交換を行い、返水ラインL20を流通する用水W1を加熱する。
【0164】
第2加熱装置20は、不図示の蒸気ボイラと、蒸気ヒータ25と、給蒸弁26と、蒸気ラインと、を備える。
【0165】
蒸気ラインL40は、蒸気ボイラからの蒸気Sを蒸気ヒータ25に供給する。蒸気ヒータ25で熱交換された後の蒸気Sは、蒸気ラインL40を通じて蒸気ヒータ25から排出される。
【0166】
蒸気ヒータ25は、温水タンク30の内部に設置されている。蒸気ヒータ25は、温水タンク30内の貯留水としての用水W1と蒸気ラインL40を流通する蒸気Sとの間の熱交換を行い、貯留水を加熱する。
【0167】
給蒸弁26は、蒸気ラインL40を流通する蒸気Sの流通状態を制御する。給蒸弁26は、開度を調整可能な比例制御弁であることが好ましい。
【0168】
返水ラインL20における第1サブ熱交換器12が配置されている位置よりも上流側には、戻り温度Trを検知する温度センサ40が設けられている。
【0169】
以上のように、本実施形態においては、返水ラインL20に第1加熱装置10の第1サブ熱交換器12を配置して用水W1としての流通水を加熱する。温水タンク30内に第2加熱装置20の蒸気ヒータ25を配置して用水W1としての貯留水を加熱する。蒸気ヒータ25(蒸気熱交換器)には、蒸気ボイラで生成した蒸気Sが給蒸弁26を介して供給される。
【0170】
以下、本実施形態における、運転制御部120による各加熱モードの制御例について説明する。
【0171】
《1加熱モードの制御》
上述した通り、第1加熱モードは、電力需要調整を実施しない場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第1加熱モードにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0172】
〔1〕各設定温度は、例えば、T1=70℃(負荷ゼロでの戻り温度、すなわち目標給湯温度相当)、T2=60℃(平均ベース負荷での戻り温度相当)、T3=50℃(平均ピーク負荷での戻り温度相当)とする。ただし、各設定温度の数値例について、温水循環に伴う熱損失は考慮していない。
【0173】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧70℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止する。
【0174】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0175】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧60℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止する。
【0176】
〔5〕戻り温度Trが設定温度T3未満(Tr<50℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出入口温度差が第1目標温度差(例:10℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、給蒸弁26の開度を調整する。
【0177】
《第2加熱モードAの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0178】
〔1〕第2加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。そのため、設定温度T1のみ70℃から90℃に変更する。本加熱モードでは、第1加熱装置10との協調運転はしない。
【0179】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧90℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止する。
【0180】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第2加熱装置20の燃料消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。
【0181】
《第3加熱モードAの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0182】
〔1〕第3加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。そのため、設定温度T1のみ70℃から90℃に変更する。本加熱モードでは、第2加熱装置20との協調運転はしない。
【0183】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧90℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止する。
【0184】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第1加熱装置10の電力消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。
【0185】
《第2加熱モードBの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0186】
〔1〕各設定温度T1~T3は、第1加熱モードと同じとする。
【0187】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧70℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止する。
【0188】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。
【0189】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧60℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止する。
【0190】
〔5〕戻り温度Trが設定温度T3未満(Tr<50℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出入口温度差が第2目標温度差(例:5℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。第1加熱モードよりも第1加熱装置10の出入口温度差を下げる(すなわち、出力割合を下げる)ことで、第2加熱装置20と協調運転を行いつつも電力消費を抑制できる。
【0191】
《第3加熱モードBの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0192】
〔1〕各設定温度T1~T3は、第1加熱モードと同じとする。
【0193】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧70℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止する。
【0194】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0195】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧60℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止する。
【0196】
〔5〕戻り温度Trが設定温度T3未満(Tr<50℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第3目標温度差(例:15℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第2目標温度(例:70℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。第1加熱モードよりも第1加熱装置10の出入口温度差を上げる(すなわち、出力割合を上げる)ことで、第2加熱装置20と協調運転を行いつつも電力消費を促進できる。
【0197】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。
図5は、本実施形態における温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。なお、本実施形態において、第4実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
本実施形態における負荷設備200は、温水化された用水W1を熱媒水として間接使用(すなわち温熱出力)する。
【0198】
図5に示すように、本実施形態の温水製造システム1の返水ラインL20には、第1加熱装置10が配置されていない。本実施形態の温水製造システム1は、温水タンク30内の貯留水を循環する加熱対象ラインとしての第1循環ラインL31を備える。第1加熱装置10は、第1循環ラインL31を流通する循環水としての用水W1を加熱する。第2加熱装置20は、第4実施形態と同様に、温水タンク30内の貯留水としての用水W1を加熱する。
【0199】
第1循環ラインL31は、温水タンク30内の温水である用水W1を循環させるためのラインである。
【0200】
第1循環ラインL31には、第1加熱装置10の第1サブ熱交換器12が配置されている。第1循環ラインL31には、第1循環ポンプ53が設けられている。
【0201】
第1サブ熱交換器12は、第1循環ラインL31を流通する用水W1と第1サブ循環ラインLS1を流通する熱媒体R1との間の熱交換を行い、第1循環ラインL31を流通する用水W1を加熱する。
【0202】
返水ラインL20には、戻り温度Trを検知する温度センサ40が設けられている。
【0203】
以上のように、本実施形態においては、温水タンク30に接続した第1循環ラインL31に第1加熱装置10の第1サブ熱交換器12と第1循環ポンプ53を配置し、循環水としての用水W1を加熱する。また、温水タンク30内に第2加熱装置20の蒸気ヒータ25を配置して用水W1としての貯留水を加熱する。蒸気ヒータ25(蒸気熱交換器)には、蒸気ボイラで生成した蒸気Sが給蒸弁26を介して供給される。
【0204】
以下、本実施形態における、運転制御部120による各加熱モードの制御例について説明する。
【0205】
《第1加熱モードの制御》
上述した通り、第1加熱モードは、電力需要調整を実施しない場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第1加熱モードにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0206】
〔1〕各設定温度は、例えば、T1=70℃(負荷ゼロでの戻り温度、すなわち目標給湯温度相当)、T2=60℃(平均ベース負荷での戻り温度相当)、T3=50℃(平均ピーク負荷での戻り温度相当)とする。ただし、各設定温度の数値例について、温水循環に伴う熱損失は考慮していない。
【0207】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧70℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1循環ポンプを停止する。
【0208】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1循環ポンプを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0209】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧60℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止する。
【0210】
〔5〕戻り温度Trが設定温度T3未満(Tr<50℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出入口温度差が第1目標温度差(例:10℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、給蒸弁26の開度を調整する。
【0211】
《第2加熱モードAの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0212】
〔1〕第2加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。そのため、設定温度T1のみ70℃から90℃に変更する。本加熱モードでは、第1加熱装置10との協調運転はしない。
【0213】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧90℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止する。
【0214】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第2加熱装置20の燃料消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。
【0215】
《第3加熱モードAの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0216】
〔1〕第3加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。そのため、設定温度T1のみ70℃から90℃に変更する。本加熱モードでは、第2加熱装置20との協調運転はしない。
【0217】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧90℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1循環ポンプを停止する。
【0218】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1循環ポンプを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第1加熱装置10の電力消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。
【0219】
《第2加熱モードBの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0220】
〔1〕各設定温度T1~T3は、第1加熱モードと同じとする。
【0221】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧70℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止する。
【0222】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。
【0223】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧60℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1循環ポンプを停止する。
【0224】
〔5〕戻り温度Trが設定温度T3未満(Tr<50℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1循環ポンプを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10と第2加熱装置20の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出入口温度差が第2目標温度差(例:5℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、温水タンク30の蓄熱温度TCが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。第1加熱モードよりも第1加熱装置10の出入口温度差を下げる(すなわち、出力割合を下げる)ことで、第2加熱装置20と協調運転を行いつつも電力消費を抑制できる。
【0225】
《第3加熱モードBの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0226】
〔1〕各設定温度T1~T3は、第1加熱モードと同じとする。
【0227】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧70℃)になると、第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1循環ポンプを停止する。
【0228】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1循環ポンプを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0229】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧60℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止する。
【0230】
〔5〕戻り温度Trが設定温度T3未満(Tr<50℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第3目標温度差(例:15℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第2目標温度(例:70℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。第1加熱モードよりも第1加熱装置10の出入口温度差を上げる(すなわち、出力割合を上げる)ことで、第2加熱装置20と協調運転を行いつつも電力消費を促進できる。
【0231】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。
図6は、本実施形態における温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。なお、本実施形態において、第4実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
本実施形態における負荷設備200は、温水化された用水W1を熱媒水として間接使用(すなわち温熱出力)する。
【0232】
図6に示すように、本実施形態の温水製造システム1の返水ラインL20は途中で分岐しており、複数台の第1加熱装置10が並列的に配置されている。並列的に配置された複数台の第1加熱装置10は、返水ラインL20を流通する用水W1を加熱する。本実施形態においては、第1加熱装置10としての第1加熱装置群は、1号機10A、2号機10B、3号機10Cで構成される。第2加熱装置20は、第4実施形態と同様に、温水タンク30内の貯留水としての用水W1を加熱する。
【0233】
返水ラインL20は、分岐点Pより下流側で、複数の第1加熱対象ラインL21A、L21B、L21Cに分岐する。複数の第1加熱対象ラインL21A、21B、21Cにはそれぞれ、第1加熱装置10A、10B、10Cが配置されている。
【0234】
第1加熱装置群を構成する複数の第1加熱装置10A、10B、10Cはそれぞれ、第1実施形態の第1加熱装置10と同様の構成である。なお、
図6においては、第1加熱装置10B、10Cは第1サブ熱交換器12のみを示し、他の構成の図示は省略している。複数の第1加熱装置10A、10B、10Cはそれぞれ、第1加熱対象ラインL21A、L21B、L21Cを流通する用水W1を加熱する。
【0235】
第1加熱装置群の台数制御(運転台数の増減あり)を行う場合、複数の第1加熱対象ラインL21A、21B、21Cにはそれぞれ、通水弁51A、51B、51Cが配置されている。第1加熱装置群の一括制御(運転台数の増減なし)を行う場合、通水弁51A、51B、51Cの配置は不要である。
【0236】
第2加熱装置20は、第4実施形態と同様、蒸気ヒータ25を用いて、温水タンク30内の貯留水としての用水W1を加熱する。蒸気ボイラからの蒸気Sは、蒸気ラインL40を通じて蒸気ヒータ25に供給される。
【0237】
なお、第2加熱装置20を構成する燃焼式ボイラは、蒸気ボイラに替えて温水ボイラでもよい。温水ボイラに置き換えた場合、例えば
図2に示されるように、第1加熱装置群の後段に第2加熱装置20を設置し、バーナの燃焼量により熱出力を調整してもよい。
【0238】
返水ラインL20の分岐点Pよりも上流側に、温度センサ40が設けられている。温度センサ40は、返水ラインの分岐点Pよりも上流側において返水ラインL20を流通する温水の戻り温度Trを検知する。
【0239】
以上のように、本実施形態においては、返水ラインL20を途中で分岐し、複数台の第1加熱装置10A、10B、10Cの第1サブ熱交換器12を並列接続する。
【0240】
以下、本実施形態における、運転制御部120による各加熱モードの制御例について説明する。第1加熱装置群の一括制御は、全台の運転開始および全台の運転終了を同時に行うものであり、各加熱モードの制御は、第4実施形態に準じた内容となる。第1加熱装置群の台数制御は、下記の各加熱モードの制御説明に従うものとする。第1加熱装置群の台数制御は、例えば、返水ラインL20を流通する温水の戻り温度Trを5段階の設定温度T1>T2>T3>T4>T5と比較し、運転台数を増減する。
【0241】
《第1加熱モードの制御:第1加熱装置群の台数制御》
上述した通り、第1加熱モードは、電力需要調整を実施しない場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第1加熱モードにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0242】
〔1〕各設定温度は、例えば、T1=70℃(負荷ゼロでの戻り温度、すなわち目標給湯温度相当)、T2=66℃、T3=63℃、T4=60℃(それぞれ平均ベース負荷の変動範囲での戻り温度相当)、T5=50℃(平均ピーク負荷での戻り温度相当)とする。ただし、各設定温度の数値例について、温水循環に伴う熱損失は考慮していない。
【0243】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧70℃)になると、第1加熱装置10A(1号機)の運転を終了する。戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<66℃)になると、第1加熱装置10A(1号機)の運転を開始する。戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧66℃)になると、第1加熱装置10B(2号機)の運転を終了する。戻り温度Trが設定温度T3未満(Tr<63℃)になると、第1加熱装置10B(2号機)の運転を開始する。戻り温度Trが設定温度T3以上(Tr≧63℃)になると、第1加熱装置10C(3号機)の運転を終了する。戻り温度Trが設定温度T4未満(Tr<60℃)になると、第1加熱装置10C(3号機)の運転を開始する。
第1加熱装置10の単独運転中(すなわち、1号機~3号機のいずれかが運転中)、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0244】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧60℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止する。
【0245】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T3未満(Tr<50℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。
第1加熱装置10の協調運転中(すなわち、1号機~3号機のすべてが運転中)、第1サブ熱交換器12の出入口温度差が第1目標温度差(例:10℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。
【0246】
《第2加熱モードAの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0247】
〔1〕第2加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。そのため、設定温度T1のみ70℃から90℃に変更する。本加熱モードでは、第1加熱装置10との協調運転はしない。
【0248】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧90℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止する。
【0249】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第2加熱装置20の燃料消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。
【0250】
《第3加熱モードAの制御:第1加熱装置群の台数制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0251】
〔1〕第3加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させるため、設定温度T1を70℃から90℃に、設定温度T2を66℃から80℃に、設定温度T3を63℃から70℃に変更する。本加熱モードでは、第2加熱装置20との協調運転はしない。
【0252】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧90℃)になると、第1加熱装置10A(1号機)の運転を終了する。戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<80℃)になると、第1加熱装置10A(1号機)の運転を開始する。戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧80℃)になると、第1加熱装置10B(2号機)の運転を終了する。戻り温度Trが設定温度T3未満(Tr<70℃)になると、第1加熱装置10B(2号機)の運転を開始する。戻り温度Trが設定温度T3以上(Tr≧70℃)になると、第1加熱装置10C(3号機)の運転を終了する。戻り温度Trが設定温度T4未満(Tr<60℃)になると、第1加熱装置10C(3号機)の運転を開始する。
第1加熱装置10の単独運転中(すなわち、1号機~3号機のいずれかが運転中)、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第1加熱装置10の電力消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。
【0253】
《第2加熱モードBの制御:第1加熱装置群の台数制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0254】
〔1〕各設定温度T1~T5は、第1加熱モードと同じとする。
【0255】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧70℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止する。
【0256】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<60℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。第2加熱装置20の単独運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。
【0257】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧70℃)になると、第1加熱装置10A(1号機)の運転を終了する。戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<66℃)になると、第1加熱装置10A(1号機)の運転を開始する。戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧66℃)になると、第1加熱装置10B(2号機)の運転を終了する。戻り温度Trが設定温度T3未満(Tr<63℃)になると、第1加熱装置10B(2号機)の運転を開始する。戻り温度Trが設定温度T3以上(Tr≧63℃)になると、第1加熱装置10C(3号機)の運転を終了する。戻り温度Trが設定温度T4未満(Tr<60℃)になると、第1加熱装置10C(3号機)の運転を開始する。
第1加熱装置10の協調運転中(すなわち、1~3号機のすべてが運転中)、第1サブ熱交換器12の出入口温度差が第2目標温度差(例:5℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。第1加熱モードよりも第1加熱装置10の出入口温度差を下げる(すなわち、出力割合を下げる)ことで、第2加熱装置20と協調運転を行いつつも電力消費を抑制できる。
【0258】
《第3加熱モードBの制御:第1加熱装置群の台数制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0259】
〔1〕各設定温度T1~T5は、第1加熱モードと同じとする。
【0260】
〔2〕戻り温度Trが設定温度T1以上(Tr≧70℃)になると、第1加熱装置10A(1号機)の運転を終了する。戻り温度Trが設定温度T2未満(Tr<66℃)になると、第1加熱装置10A(1号機)の運転を開始する。戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧66℃)になると、第1加熱装置10B(2号機)の運転を終了する。戻り温度Trが設定温度T3未満(Tr<63℃)になると、第1加熱装置10B(2号機)の運転を開始する。戻り温度Trが設定温度T3以上(Tr≧63℃)になると、第1加熱装置10C(3号機)の運転を終了する。戻り温度Trが設定温度T4未満(Tr<60℃)になると、第1加熱装置10C(3号機)の運転を開始する。
第1加熱装置10の単独運転中(すなわち、1号機~3号機のいずれかが運転中)、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0261】
〔3〕戻り温度Trが設定温度T2以上(Tr≧60℃)になると、第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止する。
【0262】
〔4〕戻り温度Trが設定温度T3未満(T5<50℃)になると、第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。
第1加熱装置10の協調運転中(すなわち、1~3号機のすべてが運転中)、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第3目標温度差(例:15℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第2目標温度(例:70℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。第1加熱モードよりも第1加熱装置10の出入口温度差を上げる(すなわち、出力割合を上げる)ことで、第2加熱装置20と協調運転を行いつつも電力消費を促進できる。
【0263】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。
図7は、本実施形態における温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0264】
図7に示すように、本実施形態の温水製造システム1は、給水設備からの給水ラインL50を有する。第1加熱装置10および第2加熱装置20は、給水ラインL50を流通する給水としての用水W1を加熱する。前述の第1実施形態~第6実施形態の温水製造システム1は、主に水循環により負荷設備200への給熱(すなわち負荷設備200では温熱出力)を行うものであったが、本実施形態の温水製造システム1は、主に一過流通により負荷設備200への給湯(すなわち負荷設備200では温水出力)を行うものである。
【0265】
本実施形態の温水タンク30は、開放式のタンクである。温水タンク30は、水位センサ31を備える。水位センサ31は、温水タンク30の水位を検知し、例えば、3段階の設定水位L1>L2>L3と比較する。水位センサ31により温水消費による減水が検知されると、給水ラインL50を通じて給水設備からの補給水が用水W1として供給される。
【0266】
温水タンク30から負荷設備200に温水の往き配管である配水ラインL10が敷設されている(単管給湯)。なお、負荷設備200から温水タンク30に余剰温水の戻り配管である返水ラインL20が敷設されていてもよい(循環給湯)。
【0267】
給水ラインL50は、給水設備からの補給水を用水W1として、温水タンク30に供給するためのラインである。給水ラインL50は、分岐点Pから、第1給水ラインL51および第2給水ラインL52に分岐する。
【0268】
第1給水ラインL51には、第1加熱装置10の第1サブ熱交換器12が配置されている。循環給湯の場合、第1給水ラインL51には、通水弁51が設けられる。
【0269】
第2給水ラインL52には、第2加熱装置20の第2サブ熱交換器22が配置されている。循環給湯の場合、第2給水ラインL52には、通水弁52が設けられる。
【0270】
給水ラインL50の分岐点Pより上流側において、給水ラインL50に2台の給水ポンプ55A、55Bを並列に設置する。各給水ポンプ55A、55Bの回転数(駆動周波数)は一定とし、温水タンク30の検知水位に応じて各給水ポンプ55A、55Bの駆動/停止を切り替え、給水流量を2段階で調整する。第1給水ポンプ55Aのみを駆動した場合は第1流量での給水となり、第1給水ポンプ55Aおよび第2給水ポンプ55Bを共に駆動した場合は第2流量(>第1流量)での給水となる。
【0271】
第1加熱装置10の第1サブ熱交換器12は、加熱対象ラインとしての第1給水ラインL51に配置される。第1サブ熱交換器12は、第1給水ラインL51を流通する用水W1と第1サブ循環ラインLS1を流通する熱媒体R1との間の熱交換を行い、第1給水ラインL51を流通する用水W1を加熱する。
【0272】
第2加熱装置20の第2サブ熱交換器22は、加熱対象ラインとしての第2給水ラインL52に配置される。第2サブ熱交換器22は、第2給水ラインL52を流通する用水W1と第2サブ循環ラインLS2を流通する熱媒体R2との間の熱交換を行い、第2給水ラインL52を流通する用水W1を加熱する。
【0273】
以上のように、本実施形態の温水製造システム1は、温水タンク30に用水を供給する加熱対象ラインとしての給水ラインL50を有し、第1加熱装置10および第2加熱装置20は、加熱対象ラインを流通する用水W1を加熱する。また、加熱対象ラインは分岐しており、第1加熱装置10および第2加熱装置20が並列的に配置されている。
【0274】
以下、本実施形態における、運転制御部120による各加熱モードの制御例について説明する。
【0275】
《第1加熱モードの制御》
上述した通り、第1加熱モードは、電力需要調整を実施しない場合に、加熱モード選択部110により選択される。本実施形態においては、第1加熱モードでは、運転制御部120は、負荷設備200での温水需要に応じて、第1加熱装置10および第2加熱装置20の運転を制御する。負荷設備200の温水需要を示す指標として、例えば、温水タンク30内の貯留水の水位(=貯湯量・残湯量)が挙げられる。貯湯量が少ないほど、温水需要が大きい(=時間当たりの補給水の供給量が多くなる)ことを示す。
【0276】
以下、第1加熱モードにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0277】
〔1〕循環給湯の場合、第1サブ熱交換器12の通水弁51は、負荷設備200から温水タンク30へ温水を返送するため、常時開放しておく。第2サブ熱交換器22の通水弁52は、第2加熱装置20の運転開始時に開放し、運転終了時に閉鎖する。
【0278】
〔2〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0279】
〔3〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0280】
〔4〕検知水位が設定水位L2以上になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止し、第2給水ポンプ55Bを停止する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
【0281】
〔5〕検知水位が設定水位L3未満になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2給水ポンプ55Bを駆動し、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。
【0282】
《第2加熱モードAの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。本実施形態においては、運転制御部120は、第2加熱モードAでは、負荷設備200での温水需要に応じて、第2加熱装置20の単独運転を実行する。
【0283】
以下、第2加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0284】
〔1〕第2加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。本加熱モードでは、第1加熱装置10との協調運転はしない。
【0285】
〔2〕循環給湯の場合、第2サブ熱交換器22の通水弁52は、負荷設備200から温水タンク30へ温水を返送するため、常時開放しておく。第1サブ熱交換器12の通水弁51は閉鎖する。
【0286】
〔3〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0287】
〔4〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第2加熱装置20の燃料消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。負荷設備200では、高温水と常温水を混合して適温に調節するので、蓄熱温度TCが高いと所要温度の温水をより多く取り出せる。
【0288】
《第3加熱モードAの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。本実施形態においては、運転制御部120は、第3加熱モードAでは、負荷設備200での温水需要に応じて、第1加熱装置の単独運転を実行する。
【0289】
以下、第3加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0290】
〔1〕第3加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。本加熱モードでは、第2加熱装置20との協調運転はしない。
【0291】
〔2〕循環給湯の場合、第1サブ熱交換器12の通水弁51は、負荷設備200から温水タンク30へ温水を返送するため、常時開放しておく。第2サブ熱交換器22の通水弁52は閉鎖する。
【0292】
〔3〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0293】
〔4〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第1加熱装置10の電力消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。負荷設備200では、高温水と常温水を混合して適温に調節するので、蓄熱温度TCが高いと所要温度の温水をより多く取り出せる。
【0294】
《第2加熱モードBの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。本実施形態においては、運転制御部120は、第2加熱モードBでは、負荷設備200での温水需要に応じて、第2加熱装置20の単独運転、並びに、第2加熱装置20および第1加熱装置10の協調運転の切り替えを実行すると共に、第2加熱モードBの協調運転では、第1加熱装置10と第2加熱装置20の熱出力合計に対する第2加熱装置20の出力割合が、第1加熱モードの協調運転における第2加熱装置20の出力割合よりも大きくなるように、電気式ヒートポンプ11および燃焼式ボイラ21を制御する。
【0295】
以下、第2加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0296】
〔1〕第2サブ熱交換器22の通水弁52は、負荷設備200から温水タンク30へ温水を返送するため、常時開放しておく。第1サブ熱交換器12の通水弁51は、第1加熱装置10の運転開始時に開放し、運転終了時に閉鎖する。
【0297】
〔2〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0298】
〔3〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。
【0299】
〔4〕検知水位が設定水位L2以上になると、第2流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第2給水ポンプ55Bを停止する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
【0300】
〔5〕検知水位が設定水位L3未満になると、第2流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第2給水ポンプ55Bを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第2目標温度(例:80℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。また、第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第3目標温度(例:60℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。第1加熱モードよりも第2加熱装置20の出口温度を上げ(すなわち、出力割合を上げる)、第1加熱装置10の出口温度を下げる(すなわち、出力割合を下げる)ことで、協調運転を行いつつも第1加熱装置10の電力消費を抑制できる。
【0301】
《第3加熱モードBの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。本実施形態においては、運転制御部120は、第3加熱モードBでは、負荷設備200での温水需要に応じて、第1加熱装置10の単独運転、並びに、第1加熱装置10および第2加熱装置20の協調運転の切り替えを実行すると共に、第3加熱モードBの協調運転では、第1加熱装置10と第2加熱装置20の熱出力合計に対する第1加熱装置10の出力割合が、第1加熱モードの協調運転における第1加熱装置10の出力割合よりも大きくなるように、電気式ヒートポンプ11および燃焼式ボイラ21を制御する。
【0302】
以下、第3加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0303】
〔1〕第1サブ熱交換器12の通水弁51は、負荷設備200から温水タンク30へ温水を返送するため、常時開放しておく。第2サブ熱交換器22の通水弁52は、第2加熱装置20の運転開始時に開放し、運転終了時に閉鎖する。
【0304】
〔2〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0305】
〔3〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0306】
〔4〕検知水位が設定水位L2以上になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止し、第2給水ポンプ55Bを停止する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
【0307】
〔5〕検知水位が設定水位L3未満になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2給水ポンプ55Bを駆動し、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第2目標温度(例:80℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第3目標温度(例:60℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。第1加熱モードよりも第1加熱装置10の出口温度を上げ(すなわち、出力割合を上げる)、第2加熱装置20の出口温度を下げる(すなわち、出力割合を下げる)ことで、協調運転を行いつつも第1加熱装置10の電力消費を促進できる。
【0308】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。
図8は、本実施形態における温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。なお、本実施形態において、第7実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
本実施形態における負荷設備200は、温水化された用水W1を洗浄水等として直接使用(すなわち温水出力)する。
【0309】
図8に示すように、本実施形態の温水製造システム1の給水ラインL50は、分岐せずに、温水タンク30に接続されている。本実施形態の温水製造システム1の第1加熱装置10および第2加熱装置20は、加熱対象ラインとしての給水ラインL50において、直列的に配置されており、給水ラインL50を流通する用水W1を加熱する。ここで、加熱対象ライン(給水ラインL50)において、第1加熱装置10および第2加熱装置20が直列的に配置されている構成については、第2実施形態と同様であるため、説明は省略する。なお、循環給湯の場合、分岐ラインに通水弁を設ける。
【0310】
以下、本実施形態における、運転制御部120による各加熱モードの制御例について説明する。
【0311】
《第1加熱モードの制御》
上述した通り、第1加熱モードは、電力需要調整を実施しない場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第1加熱モードにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0312】
〔1〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0313】
〔2〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0314】
〔3〕検知水位が設定水位L2以上になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止し、第2給水ポンプ55Bを停止する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
【0315】
〔4〕検知水位が設定水位L3未満になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2給水ポンプ55Bを駆動し、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出入口温度差が第1目標温度差(例:30℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。
【0316】
《第2加熱モードAの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0317】
〔1〕第2加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。本加熱モードでは、第1加熱装置10との協調運転はしない。
【0318】
〔2〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0319】
〔3〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第2加熱装置20の燃料消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。負荷設備200では、高温水と常温水を混合して適温に調節するので、蓄熱温度TCが高いと所要温度の温水をより多く取り出せる。
【0320】
《第3加熱モードAの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0321】
〔1〕第3加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。本加熱モードでは、第2加熱装置20との協調運転はしない。
【0322】
〔2〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0323】
〔3〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第1加熱装置10の電力消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。負荷設備200では、高温水と常温水を混合して適温に調節するので、蓄熱温度TCが高いと所要温度の温水をより多く取り出せる。
【0324】
《第2加熱モードBの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0325】
〔1〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0326】
〔2〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。
【0327】
〔3〕検知水位が設定水位L2以上になると、第2流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第2給水ポンプ55Bを停止する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
【0328】
〔4〕検知水位が設定水位L3未満になると、第2流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第2給水ポンプ55Bを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出入口温度差が第2目標温度差(例:25℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。第1加熱モードよりも第1加熱装置10の出入口温度差を下げる(すなわち、出力割合を下げる)ことで、第2加熱装置20と協調運転を行いつつも電力消費を抑制できる。
【0329】
《第3加熱モードBの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0330】
〔1〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第21給水ポンプを停止する。
【0331】
〔2〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0332】
〔3〕検知水位が設定水位L2以上になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止し、第2給水ポンプ55Bを停止する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
【0333】
〔4〕検知水位が設定水位L3未満になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2給水ポンプ55Bを駆動し、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第3目標温度差(例:35℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第2目標温度(例:70℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。第1加熱モードよりも第1加熱装置10の出入口温度差を上げる(すなわち、出力割合を上げる)ことで、第2加熱装置20と協調運転を行いつつも電力消費を促進できる。
【0334】
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について説明する。
図9は、本実施形態における温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。なお、本実施形態において、第7実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
本実施形態における負荷設備200は、温水化された用水W1を洗浄水等として直接使用(すなわち温水出力)する。
【0335】
図9に示すように、本実施形態の温水製造システム1の給水ラインL50には、第1加熱装置10および第2加熱装置20が配置されていない。給水ラインL50は分岐せずに、温水タンク30に直接接続されている。本実施形態の温水製造システム1は、温水タンク30内の貯留水を循環する加熱対象ラインとしての循環ラインL30を備える。第1加熱装置10および第2加熱装置20は、循環ラインL30を流通する循環水としての用水W1を加熱する。ここで、循環ラインL30に第1加熱装置10および第2加熱装置20が並列的に配置されている構成については、第3実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0336】
以下、本実施形態における、運転制御部120による各加熱モードの制御例について説明する。
【0337】
《第1加熱モードの制御》
上述した通り、第1加熱モードは、電力需要調整を実施しない場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第1加熱モードにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0338】
〔1〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1循環ポンプを停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0339】
〔2〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第1循環ポンプを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0340】
〔3〕検知水位が設定水位L2以上になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止し、第2循環ポンプを停止し、第2給水ポンプ55Bを停止する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
【0341】
〔4〕検知水位が設定水位L3未満になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2給水ポンプ55Bを駆動し、第2循環ポンプを駆動し、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。
【0342】
《第2加熱モードAの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0343】
〔1〕第2加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。本加熱モードでは、第1加熱装置10との協調運転はしない。
【0344】
〔2〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止し、第2循環ポンプを停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0345】
〔3〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第2循環ポンプを駆動し、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第2加熱装置20の燃料消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。負荷設備200では、高温水と常温水を混合して適温に調節するので、蓄熱温度TCが高いと所要温度の温水をより多く取り出せる。
【0346】
《第3加熱モードAの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0347】
〔1〕第3加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。本加熱モードでは、第2加熱装置20との協調運転はしない。
【0348】
〔2〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1循環ポンプを停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0349】
〔3〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第1循環ポンプを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第1加熱装置10の電力消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。負荷設備200では、高温水と常温水を混合して適温に調節するので、蓄熱温度TCが高いと所要温度の温水をより多く取り出せる。
【0350】
《第2加熱モードBの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0351】
〔1〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止し、第2循環ポンプを停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0352】
〔2〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第2循環ポンプを駆動し、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。
【0353】
〔3〕検知水位が設定水位L2以上になると、第2流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1循環ポンプを停止し、第2給水ポンプ55Bを停止する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
【0354】
〔4〕検知水位が設定水位L3未満になると、第2流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第2給水ポンプ55Bを駆動し、第1循環ポンプを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第2目標温度(例:80℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。また、第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第3目標温度(例:60℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。第1加熱モードよりも第2加熱装置20の出口温度を上げ(すなわち、出力割合を上げる)、第1加熱装置10の出口温度を下げる(すなわち、出力割合を下げる)ことで、協調運転を行いつつも第1加熱装置10の電力消費を抑制できる。
【0355】
《第3加熱モードBの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0356】
〔1〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1循環ポンプを停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0357】
〔2〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第1循環ポンプを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0358】
〔3〕検知水位が設定水位L2以上になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、温水ボイラ21のバーナを停止し、第2サブ循環ポンプ23を停止し、第2循環ポンプを停止し、第2給水ポンプ55Bを停止する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
【0359】
〔4〕検知水位が設定水位L3未満になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2給水ポンプ55Bを駆動し、第2循環ポンプを駆動し、第2サブ循環ポンプ23を駆動し、温水ボイラ21のバーナを作動する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第2目標温度(例:80℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第3目標温度(例:60℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。第1加熱モードよりも第1加熱装置10の出口温度を上げ(すなわち、出力割合を上げる)、第2加熱装置20の出口温度を下げる(すなわち、出力割合を下げる)ことで、協調運転を行いつつも第1加熱装置10の電力消費を促進できる。
【0360】
(第10実施形態)
次に、第10実施形態について説明する。
図10は、本実施形態における温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。なお、本実施形態において、第7実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
本実施形態における負荷設備200は、温水化された用水W1を洗浄水等として直接使用(すなわち温水出力)する。
【0361】
図10に示すように、本実施形態の温水製造システム1の給水ラインL50は分岐せずに、温水タンク30に接続されている。第1加熱装置10は加熱対象ラインとしての給水ラインL50を流通する用水W1を加熱する。第2加熱装置20は、温水タンク30内の貯留水としての用水W1を加熱する。ここで、第1加熱装置10が、加熱対象ライン(給水ラインL50)を流通する用水W1を加熱する構成と、第2加熱装置20が温水タンク内の貯留水としての用水W1を加熱する構成は、第4実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0362】
以下、本実施形態における、運転制御部120による各加熱モードの制御例について説明する。
【0363】
《第1加熱モードの制御》
上述した通り、第1加熱モードは、電力需要調整を実施しない場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第1加熱モードにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0364】
〔1〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0365】
〔2〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0366】
〔3〕検知水位が設定水位L2以上になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止し、第2給水ポンプ55Bを停止する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
【0367】
〔4〕検知水位が設定水位L3未満になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2給水ポンプ55Bを駆動し、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出入口温度差が第1目標温度差(例:30℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、給蒸弁26の開度を調整する。
【0368】
《第2加熱モードAの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0369】
〔1〕第2加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。本加熱モードでは、第1加熱装置10との協調運転はしない。
【0370】
〔2〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0371】
〔3〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第2加熱装置20の燃料消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。負荷設備200では、高温水と常温水を混合して適温に調節するので、蓄熱温度TCが高いと所要温度の温水をより多く取り出せる。
【0372】
《第3加熱モードAの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0373】
〔1〕第3加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。本加熱モードでは、第2加熱装置20との協調運転はしない。
【0374】
〔2〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0375】
〔3〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第1加熱装置10の電力消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。負荷設備200では、高温水と常温水を混合して適温に調節するので、蓄熱温度TCが高いと所要温度の温水をより多く取り出せる。
【0376】
《第2加熱モードBの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0377】
〔1〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0378】
〔2〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。
【0379】
〔3〕検知水位が設定水位L2以上になると、第2流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第2給水ポンプ55Bを停止する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
【0380】
〔4〕検知水位が設定水位L3未満になると、第2流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第2給水ポンプ55Bを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出入口温度差が第2目標温度差(例:25℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。第1加熱モードよりも第1加熱装置10の出入口温度差を下げる(すなわち、出力割合を下げる)ことで、第2加熱装置20と協調運転を行いつつも電力消費を抑制できる。
【0381】
《第3加熱モードBの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0382】
〔1〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第21給水ポンプを停止する。
【0383】
〔2〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0384】
〔3〕検知水位が設定水位L2以上になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止し、第2給水ポンプ55Bを停止する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
【0385】
〔4〕検知水位が設定水位L3未満になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2給水ポンプ55Bを駆動し、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第3目標温度差(例:35℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第2目標温度(例:70℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。第1加熱モードよりも第1加熱装置10の出入口温度差を上げる(すなわち、出力割合を上げる)ことで、第2加熱装置20と協調運転を行いつつも電力消費を促進できる。
【0386】
(第11実施形態)
次に、第11実施形態について説明する。
図11は、本実施形態における温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。なお、本実施形態において、第10実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。本実施形態における負荷設備200は、温水化された用水W1を洗浄水等として直接使用(すなわち温水出力)する。
【0387】
図11に示すように、本実施形態の温水製造システム1の給水ラインL50には、第1加熱装置10が配置されていない。本実施形態の温水製造システム1は、温水タンク30内の貯留水を循環する加熱対象ラインとしての第1循環ラインL31を備える。第1加熱装置10は、第1循環ラインL31を流通する循環水としての用水W1を加熱する。第2加熱装置20は、第10実施形態と同様に、温水タンク30内の貯留水としての用水W1を加熱する。ここで、第1加熱装置10が、第1循環ラインL31を流通する循環水としての用水W1を加熱する構成は、第5実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0388】
以下、本実施形態における、運転制御部120による各加熱モードの制御例について説明する。
【0389】
《第1加熱モードの制御》
上述した通り、第1加熱モードは、電力需要調整を実施しない場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第1加熱モードにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0390】
〔1〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1循環ポンプを停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0391】
〔2〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第1循環ポンプを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0392】
〔3〕検知水位が設定水位L2以上になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止し、第2給水ポンプ55Bを停止する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
【0393】
〔4〕検知水位が設定水位L3未満になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2給水ポンプ55Bを駆動し、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、給蒸弁26の開度を調整する。
【0394】
《第2加熱モードAの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0395】
〔1〕第2加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。本加熱モードでは、第1加熱装置10との協調運転はしない。
【0396】
〔2〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0397】
〔3〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第2加熱装置20の燃料消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。負荷設備200では、高温水と常温水を混合して適温に調節するので、蓄熱温度TCが高いと所要温度の温水をより多く取り出せる。
【0398】
《第3加熱モードAの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0399】
〔1〕第3加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。本加熱モードでは、第2加熱装置20との協調運転はしない。
【0400】
〔2〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1循環ポンプを停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0401】
〔3〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第1循環ポンプを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第1加熱装置10の電力消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。負荷設備200では、高温水と常温水を混合して適温に調節するので、蓄熱温度TCが高いと所要温度の温水をより多く取り出せる。
【0402】
《第2加熱モードBの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0403】
〔1〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0404】
〔2〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。
第2加熱装置20の単独運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。
【0405】
〔3〕検知水位が設定水位L2以上になると、第2流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1循環ポンプを停止し、第2給水ポンプ55Bを停止する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
【0406】
〔4〕検知水位が設定水位L3未満になると、第2流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第2給水ポンプ55Bを駆動し、第1循環ポンプを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
第2加熱装置20の協調運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第2目標温度(例:80℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。また、第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第3目標温度(例:60℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。第1加熱モードよりも第2加熱装置20による蓄熱温度TCを上げ(すなわち、出力割合を上げる)、第1加熱装置10の出口温度を下げる(すなわち、出力割合を下げる)ことで、協調運転を行いつつも第1加熱装置10の電力消費を抑制できる。
【0407】
《第3加熱モードBの制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0408】
〔1〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を終了する。具体的には、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を停止し、第1サブ循環ポンプ13を停止し、第1循環ポンプを停止し、第1給水ポンプ55Aを停止する。
【0409】
〔2〕検知水位が設定水位L2未満になると、第1流量での給水および第1加熱装置10の運転を開始する。具体的には、第1給水ポンプ55Aを駆動し、第1循環ポンプを駆動し、第1サブ循環ポンプ13を駆動し、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機を駆動する。
第1加熱装置10の単独運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0410】
〔3〕検知水位が設定水位L2以上になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を終了する。具体的には、給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止し、第2給水ポンプ55Bを停止する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
【0411】
〔4〕検知水位が設定水位L3未満になると、第2流量での給水および第2加熱装置20の運転を開始する。具体的には、第2給水ポンプ55Bを駆動し、給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動する。第1給水ポンプ55Aは、駆動を継続する。
第1加熱装置10の協調運転中、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第2目標温度(例:80℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第3目標温度(例:60℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。第1加熱モードよりも第1加熱装置10の出口温度を上げ(すなわち、出力割合を上げる)、第2加熱装置20による蓄熱温度TCを下げる(すなわち、出力割合を下げる)ことで、協調運転を行いつつも第1加熱装置10の電力消費を促進できる。
【0412】
(第12実施形態)
次に、第12実施形態について説明する。
図12は、本実施形態における温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。なお、本実施形態において、第10実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
本実施形態における負荷設備200は、温水化された用水W1を洗浄水等として直接使用(すなわち温水出力)する。
【0413】
図12に示すように、本実施形態の温水製造システム1の給水ラインL50は途中で分岐しており、複数台の第1加熱装置10が並列的に配置されている。並列的に配置された複数台の第1加熱装置10は、給水ラインL50を流通する用水W1を加熱する。本実施形態においては、第1加熱装置10としての第1加熱装置群は、1号機10A、2号機10B、3号機10Cで構成される。第2加熱装置20は、第10実施形態と同様に、温水タンク30内の貯留水としての用水W1を加熱する。ここで、並列的に配置された複数台の第1加熱装置10が、加熱対象ライン(給水ラインL50)を流通する用水W1を加熱する構成は、第6実施形態と同様であるため、説明は省略する。給水ラインL50には、回転数(駆動周波数)をインバータ制御可能な給水ポンプ55を設置する。給水ポンプ55は、インバータ制御により、第1流量<第2流量<第3流量<第4流量で給水を行う。なお、給水ラインL50に流量計56を設置して、給水ラインL50を流れる流量を検知してもよい。
【0414】
第1加熱装置群の一括制御は、全台の運転開始および全台の運転終了を同時に行うものであり、各加熱モードの制御は、第10実施形態に準じた内容となる。第1加熱装置群の台数制御は、下記の各加熱モードの制御説明に従うものとする。例えば、温水タンク30の水位を検知し、5段階の設定水位「L1>L2>L3>L4>L5」と比較し、給水流量を4段階で調整する。第1加熱装置群の台数制御は、検知水位(すなわち、給水流量)に応じて運転台数を増減する。
【0415】
以下、本実施形態における、運転制御部120による各加熱モードの制御例について説明する。
【0416】
《第1加熱モードの制御:第1加熱装置群の台数制御》
上述した通り、第1加熱モードは、電力需要調整を実施しない場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第1加熱モードにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0417】
〔1〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1加熱装置10A(1号機)の運転を終了し、給水ポンプを停止する。検知水位が設定水位L2未満になると、給水ポンプを第1流量で駆動し、第1加熱装置10A(1号機)の運転を開始する。検知水位が設定水位L2以上になると、第1加熱装置10B(2号機)の運転を終了し、給水ポンプを第2流量から第1流量に移行させる。検知水位が設定水位L3未満になると、給水ポンプを第1流量から第2流量に移行させ、第1加熱装置10B(2号機)の運転を開始する。検知水位が設定水位L3以上になると、第1加熱装置10C(3号機)の運転を終了し、給水ポンプを第3流量から第2流量に移行させる。検知水位が設定水位L4未満になると、給水ポンプを第2流量から第3流量に移行させ、第1加熱装置10C(3号機)の運転を開始する。
第1加熱装置10の単独運転中(すなわち、1号機~3号機のいずれかが運転中)、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0418】
〔2〕検知水位が設定水位L4以上になると、第2加熱装置20の運転を終了(給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止)し、給水ポンプを第4流量から第3流量に移行させる。検知水位が設定水位L5未満になると、給水ポンプを第3流量から第4流量に移行させ、第2加熱装置20の運転を開始(給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動)する。
第1加熱装置10の協調運転中(すなわち、1号機~3号機のすべてが運転中)、第1サブ熱交換器12の出入口温度差が第1目標温度差(例:30℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、給蒸弁26の開度を調整する。
【0419】
《第2加熱モードAの制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0420】
〔1〕第2加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。本加熱モードでは、第1加熱装置10との協調運転はしない。
【0421】
〔2〕検知水位が設定水位L1以上になると、第2加熱装置20の運転を終了(給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止)する。検知水位が設定水位L4未満になると、給水ポンプを第3流量で駆動し、第2加熱装置20の運転を開始(給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動)する。
第2加熱装置20の単独運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第2加熱装置20の燃料消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。負荷設備200では、高温水と常温水を混合して適温に調節するので、蓄熱温度TCが高いと所要温度の温水をより多く取り出せる。
【0422】
《第3加熱モードAの制御:第1加熱装置群の台数制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードAにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0423】
〔1〕第3加熱モードAでは、給湯の目標温度を高めて系内の蓄熱量を増加させる。本加熱モードでは、第2加熱装置20との協調運転はしない。
【0424】
〔2〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1加熱装置10A(1号機)の運転を終了し、給水ポンプを停止する。検知水位が設定水位L2未満になると、給水ポンプを第1流量で駆動し、第1加熱装置10A(1号機)の運転を開始する。検知水位が設定水位L2以上になると、第1加熱装置10B(2号機)の運転を終了し、給水ポンプを第2流量から第1流量に移行させる。検知水位が設定水位L3未満になると、給水ポンプを第1流量から第2流量に移行させ、第1加熱装置10B(2号機)の運転を開始する。検知水位が設定水位L3以上になると、第1加熱装置10C(3号機)の運転を終了し、給水ポンプを第3流量から第2流量に移行させる。検知水位が設定水位L4未満になると、給水ポンプを第2流量から第3流量に移行させ、第1加熱装置10C(3号機)の運転を開始する。
第1加熱装置10の単独運転中(すなわち、1号機~3号機のいずれかが運転中)、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第2目標温度(例:90℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。第1加熱モードよりも温水タンク30の蓄熱温度TCを高くすることで、第1加熱装置10の電力消費を促進する単独運転を継続しつつ、負荷設備200のピーク需要も充足させる。負荷設備200では、高温水と常温水を混合して適温に調節するので、蓄熱温度TCが高いと所要温度の温水をより多く取り出せる。
【0425】
《第2加熱モードBの制御:第1加熱装置群の台数制御》
上述した通り、第2加熱モードは、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第2加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0426】
〔1〕検知水位が設定水位L1以上になると、第2加熱装置20の運転を終了(給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止)し、給水ポンプを停止する。検知水位が設定水位L2未満になると、給水ポンプを第1流量で駆動し、第2加熱装置20の運転を開始(給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動)する。
第2加熱装置20の単独運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。
【0427】
〔2〕検知水位が設定水位L2以上になると、第1加熱装置10A(1号機)の運転を終了し、給水ポンプを第2流量から第1流量に移行させる。検知水位が設定水位L3未満になると、給水ポンプを第1流量から第2流量に移行させ、第1加熱装置10A(1号機)の運転を開始する。検知水位が設定水位L3以上になると、第1加熱装置10B(2号機)の運転を終了し、給水ポンプを第3流量から第2流量に移行させる。検知水位が設定水位L4未満になると、給水ポンプを第2流量から第3流量に移行させ、第1加熱装置10B(2号機)の運転を開始する。検知水位が設定水位L4以上になると、第1加熱装置10C(3号機)の運転を終了し、給水ポンプを第4流量から第3流量に移行させる。検知水位が設定水位L5未満になると、給水ポンプを第3流量から第4流量に移行させ、第1加熱装置10C(3号機)の運転を開始する。
第1加熱装置10の協調運転中(すなわち、1号機~3号機のいずれかが運転中)、第1サブ熱交換器12の出入口温度差が第2目標温度差(例:25℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、温水タンク30の蓄熱温度TCが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、蒸気ヒータ25の給蒸弁26の開度を調整する。第1加熱モードよりも第1加熱装置10の出入口温度差を下げる(すなわち、出力割合を下げる)ことで、第2加熱装置20と協調運転を行いつつも電力消費を抑制できる。
【0428】
《第3加熱モードBの制御:第1加熱装置群の台数制御》
上述した通り、第3加熱モードは、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、加熱モード選択部110により選択される。以下、第3加熱モードBにおける、運転制御部120による制御例について説明する。
【0429】
〔1〕検知水位が設定水位L1以上になると、第1加熱装置10A(1号機)の運転を終了し、給水ポンプを停止する。検知水位が設定水位L2未満になると、給水ポンプを第1流量で駆動し、第1加熱装置10A(1号機)の運転を開始する。検知水位が設定水位L2以上になると、第1加熱装置10B(2号機)の運転を終了し、給水ポンプを第2流量から第1流量に移行させる。検知水位が設定水位L3未満になると、給水ポンプを第1流量から第2流量に移行させ、第1加熱装置10B(2号機)の運転を開始する。検知水位が設定水位L3以上になると、第1加熱装置10C(3号機)の運転を終了し、給水ポンプを第3流量から第2流量に移行させる。検知水位が設定水位L4未満になると、給水ポンプを第2流量から第3流量に移行させ、第1加熱装置10C(3号機)の運転を開始する。
第1加熱装置10の単独運転中(すなわち、1号機~3号機のいずれかが運転中)、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第1目標温度(例:70℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。
【0430】
〔2〕検知水位が設定水位L4以上になると、給水ポンプを第4流量から第3流量に移行させ、第2加熱装置20の運転を終了(給蒸弁26を閉鎖して蒸気ヒータ25を停止)する。検知水位が設定水位L3未満になると、給水ポンプを第3流量から第4流量に移行させ、第2加熱装置20の運転を開始(給蒸弁26を開放して蒸気ヒータ25を作動)する。
第1加熱装置10の協調運転中(すなわち、1~3号機のすべてが運転中)、第1サブ熱交換器12の出口温度TAが第3目標温度差(例:35℃)に収束するように、ヒートポンプ11の冷媒圧縮機の回転数を調整する。また、第2加熱装置20の協調運転中、第2サブ熱交換器22の出口温度TBが第2目標温度(例:70℃)に収束するように、温水ボイラ21のバーナの燃焼量を調整する。第1加熱モードよりも第1加熱装置10の出入口温度差を上げる(すなわち、出力割合を上げる)ことで、第2加熱装置20と協調運転を行いつつも電力消費を促進できる。
【0431】
以上説明した上述の実施形態の温水製造システム1によれば、以下のような効果を奏する。
【0432】
(1)温水製造システム1は、事業所内の負荷設備200で利用する用水を温水化する温水製造システム1であって、電気式ヒートポンプ11により用水を加熱する第1加熱装置10と、燃焼式ボイラ21により用水を加熱する第2加熱装置20と、電力需要調整の実施の有無に応じて、複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段110(加熱モード選択部110)と、加熱モード選択手段110により選択された加熱モードに応じて、第1加熱装置10および第2加熱装置20の運転を制御する制御手段120(運転制御部120)と、を備える。これにより、電気式ヒートポンプの短所を補いつつ、電力需要調整の実施の有無に応じて最適な水加熱を行うことができる温水製造システム1を提供することができる。
【0433】
電気式ヒートポンプ11を利用した第1加熱装置10と、燃焼式ボイラ21(温水ボイラまたは蒸気ボイラ)を利用した第2加熱装置20を組み合わせ、複数の加熱モードの中から一つを選んで運転するように構成した。小売電気事業者、VPP事業者、自家発電設備などの電力供給状況に応じて、最適な加熱モードを選択することにより、温水を安定して製造することができる。
また、燃焼式ボイラ21は、電気式ヒートポンプ11に比べると、燃焼エネルギーによる加熱能力が大きく、しかも熱出力の瞬発力が高い。そのため、第1加熱装置10と第2加熱装置20を併用する加熱モードにおいては、電気式ヒートポンプ11と燃焼式ボイラ21の長所を生かした熱供給が可能である。
【0434】
(2)(1)の温水製造システム1において、複数の加熱モードは、第1加熱モード、第2加熱モードAおよび第3加熱モードAを含み、加熱モード選択手段110は、電力需要調整を実施しない場合に、第1加熱モードを選択し、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、第2加熱モードAを選択し、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、第3加熱モードAを選択し、制御手段120は、第1加熱モードでは、負荷設備200での温水需要、負荷設備200での温熱需要、または第1加熱装置10の熱出力に応じて、第1加熱装置10の単独運転、並びに、第1加熱装置10および第2加熱装置20の協調運転の切り替えを実行し、第2加熱モードAでは、負荷設備200での温水需要、または負荷設備200での温熱需要に応じて、第2加熱装置20の単独運転を実行し、第3加熱モードAでは、負荷設備200での温水需要、または負荷設備200での温熱需要に応じて、第1加熱装置10の単独運転を実行する。
【0435】
第1加熱モードでは、第1加熱装置10の単独運転と、第1加熱装置10および第2加熱装置20の協調運転(共同運転)とを切り替えながら温水を製造する。電気料金の価格設定が適正な時期においては、第1加熱装置10をベースロード機、第2加熱装置20をピークロード機として運転することにより、負荷設備200での需要変化に対する熱供給の追従性を高め、しかもランニングコストとCO2排出量の最小化を同時に図ることもできる。
第2加熱モードAでは、第2加熱装置20を単独運転して温水を製造する。電気料金の価格設定の引き上げ期においては、第2加熱装置20をベースロード機およびピークロード機として運転し、燃焼エネルギーを活用して電力消費を制限することにより、一時的なCO2排出量の増加を許容しつつ、ランニングコストの削減を図ることができる。
第3加熱モードAでは、第1加熱装置10を単独運転して温水を製造する。電力料金の価格設定の引き下げ期においては、第1加熱装置10をベースロード機およびピークロード機として運転し、電気エネルギーを活用して燃料消費を制限することにより、ランニングコストとCO2排出量の削減を同時に図ることができる。
【0436】
(3)(1)の温水製造システム1において、複数の加熱モードは、第1加熱モード、第2加熱モードBおよび第3加熱モードBを含み、加熱モード選択手段110は、電力需要調整を実施しない場合に、第1加熱モードを選択し、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、第2加熱モードBを選択し、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、第3加熱モードBを選択し、制御手段120は、第1加熱モードでは、負荷設備200での温水需要、負荷設備200での温熱需要、または第1加熱装置10の熱出力に応じて、第1加熱装置10の単独運転、並びに、第1加熱装置10および第2加熱装置20の協調運転の切り替えを実行し、第2加熱モードBでは、負荷設備200での温水需要、または負荷設備200での温熱需要に応じて、第2加熱装置20の単独運転、並びに、第2加熱装置20および第1加熱装置10の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第2加熱モードBの協調運転では、第1加熱装置10と第2加熱装置20の熱出力合計に対する第2加熱装置20の出力割合が、第1加熱モードの協調運転における第2加熱装置20の出力割合よりも大きくなるように、電気式ヒートポンプ11および燃焼式ボイラ21を制御し、第3加熱モードBでは、負荷設備200での温水需要、または負荷設備200での温熱需要に応じて、第1加熱装置10の単独運転、並びに、第1加熱装置10および第2加熱装置20の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第3加熱モードBの協調運転では、第1加熱装置10と第2加熱装置20の熱出力合計に対する第1加熱装置10の出力割合が、第1加熱モードの協調運転における第1加熱装置10の出力割合よりも大きくなるように、電気式ヒートポンプ11および燃焼式ボイラ21を制御する。
【0437】
第1加熱モードでは、第1加熱装置10の単独運転と、第1加熱装置10および第2加熱装置20の協調運転(共同運転)とを切り替えながら温水を製造する。電気料金の価格設定が適正な時期においては、第1加熱装置10をベースロード機、第2加熱装置20をピークロード機として運転することにより、負荷設備200での需要変化に対する熱供給の追従性を高め、しかもランニングコストとCO2排出量の最小化を同時に図ることもできる。
第2加熱モードBでは、第2加熱装置20の単独運転と、第2加熱装置20および第1加熱装置10の協調運転とを切り替えながら温水を製造する。電気料金の価格設定の引き上げ期においては、第2加熱装置20をベースロード機、第1加熱装置10をピークロード機として運転し、燃焼エネルギーを活用して電力消費を制限することにより、一時的なCO2排出量の増加を許容しつつ、ランニングコストの削減を図ることができる。また、第2加熱モードBの協調運転では、ベースロード機である第2加熱装置20の出力割合を第1加熱モードよりも高めて運転し、負荷設備200のピーク需要に対して大部分の熱量を燃焼式ボイラ21で供給する。一方、電気式ヒートポンプ11は、ピーク需要に対して一部分の熱量のみを補完するように運転するため、システムの電力消費を最小限に止めることができる。
第3加熱モードBでは、第1加熱装置10を単独運転と、第1加熱装置10および第2加熱装置20の協調運転とを切り替えながら温水を製造する。電力料金の価格設定の引き下げ期においては、第1加熱装置10をベースロード機、第2加熱装置20をピークロード機として運転し、電気エネルギーを活用して燃料消費を制限することにより、ランニングコストとCO2排出量の削減を同時に図ることができる。また、第3加熱モードBの協調運転では、ベースロード機である第1加熱装置10の出力割合を第1加熱モードよりも高めて運転し、負荷設備200のピーク需要に対して大部分の熱量を電気式ヒートポンプ11で供給する。一方、燃焼式ボイラ21は、ピーク需要に対して一部分の熱量のみを補完するように運転するため、システムの消費電力を最大限にまで引き上げることができる。
【0438】
(4)(1)の温水製造システム1において、複数の加熱モードは、第1加熱モード、第2加熱モードBおよび第3加熱モードAを含み、加熱モード選択手段110は、電力需要調整を実施しない場合に、第1加熱モードを選択し、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、第2加熱モードBを選択し、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、第3加熱モードAを選択し、制御手段120は、第1加熱モードでは、負荷設備200での温水需要、負荷設備200での温熱需要、または第1加熱装置10の熱出力に応じて、第1加熱装置10の単独運転、並びに、第1加熱装置10および第2加熱装置20の協調運転の切り替えを実行し、第2加熱モードBでは、負荷設備200での温水需要、または負荷設備200での温熱需要に応じて、第2加熱装置20の単独運転、並びに、第2加熱装置20および第1加熱装置10の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第2加熱モードBの協調運転では、第1加熱装置10と第2加熱装置20の熱出力合計に対する第2加熱装置20の出力割合が、第1加熱モードの協調運転における第2加熱装置20の出力割合よりも大きくなるように、電気式ヒートポンプ11および燃焼式ボイラ21を制御し、第3加熱モードAでは、負荷設備200での温水需要、または負荷設備200での温熱需要に応じて、第1加熱装置10の単独運転を実行する。
【0439】
第1加熱モードでは、第1加熱装置10の単独運転と、第1加熱装置10および第2加熱装置20の協調運転(共同運転)とを切り替えながら温水を製造する。電気料金の価格設定が適正な時期においては、第1加熱装置10をベースロード機、第2加熱装置20をピークロード機として運転することにより、負荷設備200での需要変化に対する熱供給の追従性を高め、しかもランニングコストとCO2排出量の最小化を同時に図ることもできる。
第2加熱モードBでは、第2加熱装置20の単独運転と、第2加熱装置20および第1加熱装置10の協調運転とを切り替えながら温水を製造する。電気料金の価格設定の引き上げ期においては、第2加熱装置20をベースロード機、第1加熱装置10をピークロード機として運転し、燃焼エネルギーを活用して電力消費を制限することにより、一時的なCO2排出量の増加を許容しつつ、ランニングコストの削減を図ることができる。また、第2加熱モードBの協調運転では、ベースロード機である第2加熱装置20の出力割合を第1加熱モードよりも高めて運転し、負荷設備200のピーク需要に対して大部分の熱量を燃焼式ボイラ21で供給する。一方、電気式ヒートポンプ11は、ピーク需要に対して一部分の熱量のみを補完するように運転するため、システムの電力消費を最小限に止めることができる。
第3加熱モードAでは、第1加熱装置10を単独運転して温水を製造する。電力料金の価格設定の引き下げ期においては、第1加熱装置10をベースロード機およびピークロード機として運転し、電気エネルギーを活用して燃料消費を制限することにより、ランニングコストとCO2排出量の削減を同時に図ることができる。
【0440】
(5)(1)の温水製造システム1において、複数の加熱モードは、第1加熱モード、第2加熱モードAおよび第3加熱モードBを含み、加熱モード選択手段110は、電力需要調整を実施しない場合に、第1加熱モードを選択し、電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、第2加熱モードAを選択し、電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、第3加熱モードBを選択し、制御手段120は、第1加熱モードでは、負荷設備200での温水需要、負荷設備200での温熱需要、または第1加熱装置10の熱出力に応じて、第1加熱装置10の単独運転、並びに、第1加熱装置10および第2加熱装置20の協調運転の切り替えを実行し、第2加熱モードAでは、負荷設備200での温水需要、または負荷設備200での温熱需要に応じて、第2加熱装置20の単独運転を実行し、第3加熱モードBでは、負荷設備200での温水需要、または負荷設備200での温熱需要に応じて、第1加熱装置10の単独運転、並びに、第1加熱装置10および第2加熱装置20の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第3加熱モードBの協調運転では、第1加熱装置10と第2加熱装置20の熱出力合計に対する第1加熱装置10の出力割合が、第1加熱モードの協調運転における第1加熱装置10の出力割合よりも大きくなるように、電気式ヒートポンプ11および燃焼式ボイラ21を制御する。
【0441】
第1加熱モードでは、第1加熱装置10の単独運転と、第1加熱装置10および第2加熱装置20の協調運転(共同運転)とを切り替えながら温水を製造する。電気料金の価格設定が適正な時期においては、第1加熱装置10をベースロード機、第2加熱装置20をピークロード機として運転することにより、負荷設備200での需要変化に対する熱供給の追従性を高め、しかもランニングコストとCO2排出量の最小化を同時に図ることもできる。
第2加熱モードAでは、第2加熱装置20を単独運転して温水を製造する。電気料金の価格設定の引き上げ期においては、第2加熱装置20をベースロード機およびピークロード機として運転し、燃焼エネルギーを活用して電力消費を制限することにより、一時的なCO2排出量の増加を許容しつつ、ランニングコストの削減を図ることができる。
第3加熱モードBでは、第1加熱装置10を単独運転と、第1加熱装置10および第2加熱装置20の協調運転とを切り替えながら温水を製造する。電力料金の価格設定の引き下げ期においては、第1加熱装置10をベースロード機、第2加熱装置20をピークロード機として運転し、電気エネルギーを活用して燃料消費を制限することにより、ランニングコストとCO2排出量の削減を同時に図ることができる。また、第3加熱モードBの協調運転では、ベースロード機である第1加熱装置10の出力割合を第1加熱モードよりも高めて運転し、負荷設備200のピーク需要に対して大部分の熱量を電気式ヒートポンプ11で供給する。一方、燃焼式ボイラ21は、ピーク需要に対して一部分の熱量のみを補完するように運転するため、システムの消費電力を最大限にまで引き上げることができる。
【0442】
(6)(2)または(5)の温水製造システム1において、制御手段120は、第2加熱モードAにおける第2加熱装置20の熱出力が、第1加熱モードにおける第2加熱装置20の熱出力よりも大きくなるように、燃焼式ボイラ21を制御する。
【0443】
第1加熱モードの協調運転では、燃焼式ボイラ21を所定の出力ポイントで作動させ、50~70℃程度の温水を製造する。一方、第2加熱モードAの単独運転では、電力に替えて燃料の消費を優先させるため、燃焼式ボイラ21をより高い出力ポイントで作動させ、80~90℃程度の高温水を製造する。市場から安定して購入できる燃料を積極的に高温の熱エネルギーに変換して温水タンク30に蓄熱しておくことにより、第2加熱装置20の単独運転であっても、負荷設備200のベース需要だけでなく、ピーク需要にも柔軟かつ安定して応答することができる。なお、負荷設備200で高温水を利用する際には、高温水と常温水を混合したり、高温水と常温水を熱交換したりすることで、所要温度の温水が得られる。
【0444】
(7)(2)または(4)の温水製造システム1において、制御手段120は、第3加熱モードAにおける第1加熱装置10の熱出力が、第1加熱モードにおける第1加熱装置10の熱出力よりも大きくなるように、電気式ヒートポンプ11を制御する。
【0445】
第1加熱モードの単独運転および協調運転では、電気式ヒートポンプ11を所定の出力ポイントで駆動し、50~70℃程度の温水を製造する。一方、第3加熱モードAでは、電力供給元で発生した余剰電力を消費するため、電気式ヒートポンプ11をより高い出力ポイントで駆動し、80~90℃程度の高温水を製造する。市場に余っている電力を積極的に高温の熱エネルギーに変換して温水タンク30に蓄熱しておくことにより、第1加熱装置10の単独運転であっても、負荷設備200のベース需要だけでなく、ピーク需要にも柔軟かつ安定して応答することができる。なお、負荷設備200で高温水を利用する際には、高温水と常温水を混合したり、高温水と常温水を熱交換したりすることで、所要温度の温水が得られる。
【0446】
(8)(1)の温水製造システム1において、第2加熱装置20は、燃焼式ボイラ21で生成した蒸気と用水を熱交換することにより用水を加熱する。
【0447】
第2加熱装置20を構成する燃焼式ボイラ21は、温水ボイラだけでなく、蒸気ボイラを用いることができる。蒸気ボイラを熱源機とする場合、蒸気と用水を間接熱交換、または直接熱交換することにより用水を温水化する。例えば、小型貫流蒸気ボイラで発生させた絶対圧力0.3MPa~2MPaの蒸気を使用すると、飽和温度が150~215℃に達するため、80~90℃の温水を製造する場合でも加熱操作時間の短縮が可能である。その結果、CO2排出量の増加が抑制されることになる。
【0448】
(9)(1)の温水製造システム1において、燃焼式ボイラ21は、炭化水素、水素、アンモニアから選ばれる燃料を使用する。
【0449】
燃焼式ボイラ21のガス燃料として、メタンを主成分とする炭化水素ガス(都市ガス13A、バイオガス等)、プロパンを主成分とする炭化水素ガス、水素ガス、アンモニアガスを使用することができる。また、燃焼式ボイラ21の油燃料として、炭化水素を含有する灯油、軽油、重油のほか、水分調整したバイオエタノールを使用することもできる。
水素ガスまたはアンモニアガスを使用する場合には、燃焼によるCO2の発生がないことから、環境保全に配慮した脱炭素型のシステムを構築することができるというメリットがある。バイオメタンやバイオエタノールを使用する場合には、燃焼によるCO2の発生があるものの、カーボンニュートラル型のシステムを構築することができる。
【0450】
以上、本発明の温水製造システムの好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。上記実施形態の個々の構成を2つ以上組み合わせたものも本発明である。
【符号の説明】
【0451】
1 温水製造システム
10 第1加熱装置
11 ヒートポンプ
12 第1サブ熱交換器
20 第2加熱装置
21 燃焼ボイラ(温水ボイラ)
22 第2サブ熱交換器
30 温水タンク
31 水位センサ
40 温度センサ
100 制御部
110 加熱モード選択部(加熱モード選択手段)
120 運転制御部(制御手段)
200 負荷設備
L10 配水ライン
L20 返水ライン
L21 第1加熱対象ライン
L22 第2加熱対象ライン
L30 循環ライン
L31 第1循環ライン
L32 第2循環ライン
L50 給水ライン
L51 第1給水ライン
L52 第2給水ライン
【手続補正書】
【提出日】2023-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業所内の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、
電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、
燃焼式ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置と、
電力需要調整の実施の有無に応じて、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含む複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段と、
前記加熱モード選択手段により選択された前記加熱モードに応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の運転を制御する制御手段と、を備え、
前記負荷設備は、温水化された用水を直接使用することにより温水需要が発生するものであり、
前記加熱モード選択手段は、
電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、
前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、
前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、
前記制御手段は、
前記負荷設備に対して付設された温水タンクの水位、または、補給水の流量によって前記負荷設備の温水需要を検知しつつ、検知された温水需要に応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置を運転させ、
前記第1加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させ、
前記第2加熱モードでは、前記第2加熱装置をベースロード機およびピークロード機として、前記第2加熱装置の単独運転を実行すると共に、当該第2加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させ、
前記第3加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機およびピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転を実行すると共に、当該第3加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプを制御することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させる、
温水製造システム。
【請求項2】
事業所内の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、
電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、
燃焼式ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置と、
電力需要調整の実施の有無に応じて、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含む複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段と、
前記加熱モード選択手段により選択された前記加熱モードに応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の運転を制御する制御手段と、を備え、
前記負荷設備は、温水化された用水を間接使用することにより温熱需要が発生するものであり、
前記加熱モード選択手段は、
電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、
前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、
前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、
前記制御手段は、
前記負荷設備に対して形成された温水ループ系における温水の戻り温度、または、前記温水ループ系における温水の往き温度と戻り温度の差によって前記負荷設備の温熱需要を検知しつつ、検知された温熱需要に応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置を運転させ、
前記第1加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させ、
前記第2加熱モードでは、前記第2加熱装置をベースロード機およびピークロード機として、前記第2加熱装置の単独運転を実行すると共に、当該第2加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させ、
前記第3加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機およびピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転を実行すると共に、当該第3加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプを制御することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させる、
温水製造システム。
【請求項3】
事業所内の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、
電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、
燃焼式ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置と、
電力需要調整の実施の有無に応じて、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含む複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段と、
前記加熱モード選択手段により選択された前記加熱モードに応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の運転を制御する制御手段と、を備え、
前記負荷設備は、温水化された用水を直接使用することにより温水需要が発生するものであり、
前記加熱モード選択手段は、
電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、
前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、
前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、
前記制御手段は、
前記負荷設備に対して付設された温水タンクの水位、または、補給水の流量によって前記負荷設備の温水需要を検知しつつ、検知された温水需要に応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置を運転させ、
前記第1加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させ、
前記第2加熱モードでは、前記第2加熱装置をベースロード機、前記第1加熱装置をピークロード機として、前記第2加熱装置の単独運転、並びに、前記第2加熱装置および前記第1加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第2加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第2加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第2加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させ、
前記第3加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第3加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第1加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第1加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させる、
温水製造システム。
【請求項4】
事業所内の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、
電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、
燃焼式ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置と、
電力需要調整の実施の有無に応じて、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含む複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段と、
前記加熱モード選択手段により選択された前記加熱モードに応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の運転を制御する制御手段と、を備え、
前記負荷設備は、温水化された用水を間接使用することにより温熱需要が発生するものであり、
前記加熱モード選択手段は、
電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、
前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、
前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、
前記制御手段は、
前記負荷設備に対して形成された温水ループ系における温水の戻り温度、または、前記温水ループ系における温水の往き温度と戻り温度の差によって前記負荷設備の温熱需要を検知しつつ、検知された温熱需要に応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置を運転させ、
前記第1加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させ、
前記第2加熱モードでは、前記第2加熱装置をベースロード機、前記第1加熱装置をピークロード機として、前記第2加熱装置の単独運転、並びに、前記第2加熱装置および前記第1加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第2加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第2加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第2加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させ、
前記第3加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第3加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第1加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第1加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させる、
温水製造システム。
【請求項5】
事業所内の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、
電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、
燃焼式ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置と、
電力需要調整の実施の有無に応じて、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含む複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段と、
前記加熱モード選択手段により選択された前記加熱モードに応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の運転を制御する制御手段と、を備え、
前記負荷設備は、温水化された用水を直接使用することにより温水需要が発生するものであり、
前記加熱モード選択手段は、
電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、
前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、
前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、
前記制御手段は、
前記負荷設備に対して付設された温水タンクの水位、または、補給水の流量によって前記負荷設備の温水需要を検知しつつ、検知された温水需要に応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置を運転させ、
前記第1加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させ、
前記第2加熱モードでは、前記第2加熱装置をベースロード機、前記第1加熱装置をピークロード機として、前記第2加熱装置の単独運転、並びに、前記第2加熱装置および前記第1加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第2加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第2加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第2加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させ、
前記第3加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機およびピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転を実行すると共に、当該第3加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプを制御することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させる、
温水製造システム。
【請求項6】
事業所内の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、
電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、
燃焼式ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置と、
電力需要調整の実施の有無に応じて、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含む複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段と、
前記加熱モード選択手段により選択された前記加熱モードに応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の運転を制御する制御手段と、を備え、
前記負荷設備は、温水化された用水を間接使用することにより温熱需要が発生するものであり、
前記加熱モード選択手段は、
電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、
前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、
前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、
前記制御手段は、
前記負荷設備に対して形成された温水ループ系における温水の戻り温度、または、前記温水ループ系における温水の往き温度と戻り温度の差によって前記負荷設備の温熱需要を検知しつつ、検知された温熱需要に応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置を運転させ、
前記第1加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させ、
前記第2加熱モードでは、前記第2加熱装置をベースロード機、前記第1加熱装置をピークロード機として、前記第2加熱装置の単独運転、並びに、前記第2加熱装置および前記第1加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第2加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第2加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第2加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させ、
前記第3加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機およびピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転を実行すると共に、当該第3加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプを制御することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させる、
温水製造システム。
【請求項7】
事業所内の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、
電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、
燃焼式ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置と、
電力需要調整の実施の有無に応じて、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含む複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段と、
前記加熱モード選択手段により選択された前記加熱モードに応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の運転を制御する制御手段と、を備え、
前記負荷設備は、温水化された用水を直接使用することにより温水需要が発生するものであり、
前記加熱モード選択手段は、
電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、
前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、
前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、
前記制御手段は、
前記負荷設備に対して付設された温水タンクの水位、または、補給水の流量によって前記負荷設備の温水需要を検知しつつ、検知された温水需要に応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置を運転させ、
前記第1加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させ、
前記第2加熱モードでは、前記第2加熱装置をベースロード機およびピークロード機として、前記第2加熱装置の単独運転を実行すると共に、当該第2加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させ、
前記第3加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第3加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第1加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第1加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させる、
温水製造システム。
【請求項8】
事業所内の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、
電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、
燃焼式ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置と、
電力需要調整の実施の有無に応じて、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含む複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段と、
前記加熱モード選択手段により選択された前記加熱モードに応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の運転を制御する制御手段と、を備え、
前記負荷設備は、温水化された用水を間接使用することにより温熱需要が発生するものであり、
前記加熱モード選択手段は、
電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、
前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、
前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、
前記制御手段は、
前記負荷設備に対して形成された温水ループ系における温水の戻り温度、または、前記温水ループ系における温水の往き温度と戻り温度の差によって前記負荷設備の温熱需要を検知しつつ、検知された温熱需要に応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置を運転させ、
前記第1加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させ、
前記第2加熱モードでは、前記第2加熱装置をベースロード機およびピークロード機として、前記第2加熱装置の単独運転を実行すると共に、当該第2加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させ、
前記第3加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第3加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第1加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第1加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させる、
温水製造システム。
【請求項9】
前記制御手段は、
前記第1加熱装置の運転中の出湯温度によって前記第1加熱装置の熱出力を検知し、
前記第1加熱モードでは、前記第1加熱装置の熱出力に応じて、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行する、
請求項1~8のいずれかに記載の温水製造システム。
【請求項10】
前記第2加熱装置を構成する前記燃焼式ボイラとして蒸気ボイラが用いられ、蒸気と用水を直接熱交換または間接熱交換することにより用水を温水化する、
請求項1~8のいずれかに記載の温水製造システム。
【請求項11】
前記燃焼式ボイラは、水素、アンモニア、バイオメタン、バイオエタノールから選ばれる燃料を使用する、
請求項1~8のいずれかに記載の温水製造システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
食料品・飲料の製造工場や自動車・金属製品・機械器具の製造工場などでは、生産プロセスで多量の温水および温熱を消費している。近年、多くの工場では、温室効果ガスであるCO
2
の排出量削減を目的として、化石燃料から脱却する「脱炭素」への取り組みが進められている。そこで、特許文献1に示されるように、温水製造システムの水加熱装置として、電気式ヒートポンプを採用することが増えている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
(1)本発明は、事業所内の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、燃焼式ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置と、電力需要調整の実施の有無に応じて、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含む複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段と、前記加熱モード選択手段により選択された前記加熱モードに応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の運転を制御する制御手段と、を備え、前記負荷設備は、温水化された用水を直接使用することにより温水需要が発生するものであり、前記加熱モード選択手段は、電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、前記制御手段は、前記負荷設備に対して付設された温水タンクの水位、または、補給水の流量によって前記負荷設備の温水需要を検知しつつ、検知された温水需要に応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置を運転させ、前記第1加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させ、前記第2加熱モードでは、前記第2加熱装置をベースロード機およびピークロード機として、前記第2加熱装置の単独運転を実行すると共に、当該第2加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させ、前記第3加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機およびピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転を実行すると共に、当該第3加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプを制御することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させる、温水製造システムに関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
(2)また、本発明は、事業所内の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、燃焼式ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置と、電力需要調整の実施の有無に応じて、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含む複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段と、前記加熱モード選択手段により選択された前記加熱モードに応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の運転を制御する制御手段と、を備え、前記負荷設備は、温水化された用水を間接使用することにより温熱需要が発生するものであり、前記加熱モード選択手段は、電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、前記制御手段は、前記負荷設備に対して形成された温水ループ系における温水の戻り温度、または、前記温水ループ系における温水の往き温度と戻り温度の差によって前記負荷設備の温熱需要を検知しつつ、検知された温熱需要に応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置を運転させ、前記第1加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させ、前記第2加熱モードでは、前記第2加熱装置をベースロード機およびピークロード機として、前記第2加熱装置の単独運転を実行すると共に、当該第2加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させ、前記第3加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機およびピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転を実行すると共に、当該第3加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプを制御することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させる、温水製造システムに関する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
(3)また、本発明は、事業所内の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、燃焼式ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置と、電力需要調整の実施の有無に応じて、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含む複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段と、前記加熱モード選択手段により選択された前記加熱モードに応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の運転を制御する制御手段と、を備え、前記負荷設備は、温水化された用水を直接使用することにより温水需要が発生するものであり、前記加熱モード選択手段は、電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、前記制御手段は、前記負荷設備に対して付設された温水タンクの水位、または、補給水の流量によって前記負荷設備の温水需要を検知しつつ、検知された温水需要に応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置を運転させ、前記第1加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させ、前記第2加熱モードでは、前記第2加熱装置をベースロード機、前記第1加熱装置をピークロード機として、前記第2加熱装置の単独運転、並びに、前記第2加熱装置および前記第1加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第2加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第2加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第2加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させ、前記第3加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第3加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第1加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第1加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させる、温水製造システムに関する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
(4)また、本発明は、事業所内の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、燃焼式ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置と、電力需要調整の実施の有無に応じて、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含む複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段と、前記加熱モード選択手段により選択された前記加熱モードに応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の運転を制御する制御手段と、を備え、前記負荷設備は、温水化された用水を間接使用することにより温熱需要が発生するものであり、前記加熱モード選択手段は、電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、前記制御手段は、前記負荷設備に対して形成された温水ループ系における温水の戻り温度、または、前記温水ループ系における温水の往き温度と戻り温度の差によって前記負荷設備の温熱需要を検知しつつ、検知された温熱需要に応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置を運転させ、前記第1加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させ、前記第2加熱モードでは、前記第2加熱装置をベースロード機、前記第1加熱装置をピークロード機として、前記第2加熱装置の単独運転、並びに、前記第2加熱装置および前記第1加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第2加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第2加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第2加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させ、前記第3加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第3加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第1加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第1加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させる、温水製造システムに関する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
(5)また、本発明は、事業所内の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、燃焼式ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置と、電力需要調整の実施の有無に応じて、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含む複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段と、前記加熱モード選択手段により選択された前記加熱モードに応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の運転を制御する制御手段と、を備え、前記負荷設備は、温水化された用水を直接使用することにより温水需要が発生するものであり、前記加熱モード選択手段は、電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、前記制御手段は、前記負荷設備に対して付設された温水タンクの水位、または、補給水の流量によって前記負荷設備の温水需要を検知しつつ、検知された温水需要に応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置を運転させ、前記第1加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させ、前記第2加熱モードでは、前記第2加熱装置をベースロード機、前記第1加熱装置をピークロード機として、前記第2加熱装置の単独運転、並びに、前記第2加熱装置および前記第1加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第2加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第2加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第2加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させ、前記第3加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機およびピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転を実行すると共に、当該第3加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプを制御することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させる、温水製造システムに関する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
(6)また、本発明は、事業所内の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、燃焼式ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置と、電力需要調整の実施の有無に応じて、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含む複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段と、前記加熱モード選択手段により選択された前記加熱モードに応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の運転を制御する制御手段と、を備え、前記負荷設備は、温水化された用水を間接使用することにより温熱需要が発生するものであり、前記加熱モード選択手段は、電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、前記制御手段は、前記負荷設備に対して形成された温水ループ系における温水の戻り温度、または、前記温水ループ系における温水の往き温度と戻り温度の差によって前記負荷設備の温熱需要を検知しつつ、検知された温熱需要に応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置を運転させ、前記第1加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させ、前記第2加熱モードでは、前記第2加熱装置をベースロード機、前記第1加熱装置をピークロード機として、前記第2加熱装置の単独運転、並びに、前記第2加熱装置および前記第1加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第2加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第2加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第2加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させ、前記第3加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機およびピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転を実行すると共に、当該第3加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第1加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプを制御することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させる、温水製造システムに関する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
(7)また、本発明は、事業所内の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、燃焼式ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置と、電力需要調整の実施の有無に応じて、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含む複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段と、前記加熱モード選択手段により選択された前記加熱モードに応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の運転を制御する制御手段と、を備え、前記負荷設備は、温水化された用水を直接使用することにより温水需要が発生するものであり、前記加熱モード選択手段は、電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、前記制御手段は、前記負荷設備に対して付設された温水タンクの水位、または、補給水の流量によって前記負荷設備の温水需要を検知しつつ、検知された温水需要に応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置を運転させ、前記第1加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させ、前記第2加熱モードでは、前記第2加熱装置をベースロード機およびピークロード機として、前記第2加熱装置の単独運転を実行すると共に、当該第2加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させ、前記第3加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第3加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第1加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第1加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温水需要の変化に対して温水供給を追従させる、温水製造システムに関する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
(8)また、本発明は、事業所内の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、燃焼式ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置と、電力需要調整の実施の有無に応じて、第1加熱モード、第2加熱モードおよび第3加熱モードを含む複数の加熱モードの中から一つを選択する加熱モード選択手段と、前記加熱モード選択手段により選択された前記加熱モードに応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の運転を制御する制御手段と、を備え、前記負荷設備は、温水化された用水を間接使用することにより温熱需要が発生するものであり、前記加熱モード選択手段は、電力需要調整を実施しない場合に、前記第1加熱モードを選択し、前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を抑制する電力需要調整を実施する場合に、前記第2加熱モードを選択し、前記第1加熱モードの選択時よりも電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、前記第3加熱モードを選択し、前記制御手段は、前記負荷設備に対して形成された温水ループ系における温水の戻り温度、または、前記温水ループ系における温水の往き温度と戻り温度の差によって前記負荷設備の温熱需要を検知しつつ、検知された温熱需要に応じて、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置を運転させ、前記第1加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させ、前記第2加熱モードでは、前記第2加熱装置をベースロード機およびピークロード機として、前記第2加熱装置の単独運転を実行すると共に、当該第2加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力が、前記第1加熱モードにおける前記第2加熱装置の熱出力よりも大きくなるように、前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させ、前記第3加熱モードでは、前記第1加熱装置をベースロード機、前記第2加熱装置をピークロード機として、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行すると共に、当該第3加熱モードの協調運転では、前記第1加熱装置と前記第2加熱装置の熱出力合計に対する前記第1加熱装置の出力割合が、前記第1加熱モードの協調運転における前記第1加熱装置の出力割合よりも大きくなるように、前記電気式ヒートポンプおよび前記燃焼式ボイラを制御することにより、前記負荷設備の温熱需要の変化に対して温熱供給を追従させる、温水製造システムに関する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
(9)また、上記(1)~(8)のいずれかの温水製造システムにおいて、前記制御手段は、前記第1加熱装置の運転中の出湯温度によって前記第1加熱装置の熱出力を検知し、前記第1加熱モードでは、前記第1加熱装置の熱出力に応じて、前記第1加熱装置の単独運転、並びに、前記第1加熱装置および前記第2加熱装置の協調運転の切り替えを実行するようにしてもよい。
(10)また、上記(1)~(8)のいずれかの温水製造システムにおいて、前記第2加熱装置を構成する前記燃焼式ボイラとして蒸気ボイラが用いられ、蒸気と用水を直接熱交換または間接熱交換することにより用水を温水化するようにしてもよい。
(11)また、上記(1)~(8)のいずれかの温水製造システムにおいて、前記燃焼式ボイラは、水素、アンモニア、バイオメタン、バイオエタノールから選ばれる燃料を使用するようにしてもよい。