(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017664
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】ピッキング指示装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20230131BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20230131BHJP
B65G 1/10 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
B65G1/137 F
B65G1/137 A
B65G1/00 501C
B65G1/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021140518
(22)【出願日】2021-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】509323680
【氏名又は名称】株式会社タクテック
(72)【発明者】
【氏名】山崎 整
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022FF21
3F022JJ11
3F022MM13
3F022MM36
3F022MM61
3F022MM70
3F022PP06
3F022QQ01
3F022QQ13
3F022QQ17
3F522AA02
3F522BB25
3F522BB35
3F522CC01
3F522FF06
3F522FF07
3F522FF23
3F522FF35
3F522GG44
3F522HH03
3F522HH06
3F522HH19
3F522HH30
3F522HH33
3F522LL57
3F522LL58
(57)【要約】 (修正有)
【課題】無人走行車移動方式の物品収納棚に適用できて、物品収容部指定手段を物品収容部毎に1つ設ける必要がなく、無人走行車移動方式の物品収納棚には物品収容部指定手段、配線等が不要で、作業ステーションの作業者の前に位置される無人走行車移動方式の物品収納棚に対して共通して適用できる物品収容部指定手段を備えた物品収容設備を提供すること。
【解決手段】物品収容部2aを複数配列された物品収納棚2と、複数の物品収容部2aに関し物流情報に従い物品の取り出しまたは収容の対象となる1つの物品収容部2aを次々に指定する指定信号を出力する制御部4と、制御部4により出力される物品を取り出す物品収容部2aを指定する投光式指定手段5と、物品の取り出しまたは収容を毎回開始する際に、制御部4が投光式指定手段5に対してスポット光照射を行う指示信号を出力するためのトリガー信号を、制御部4へ出力するトリガー手段11とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を取り出すまたは収容するための複数の物品収容部を縦方向および横方向に配列された物品収納棚と、
複数の前記物品収容部に関し物流情報に従い物品の取り出しまたは収容の対象となる1つの前記物品収容部を次々に指定する指定信号を出力する制御部と、
前記制御部により出力される指定信号に基づいて物品を取り出すまたは収容する物品収容部を指定する投光式指定手段と、
物品の取り出しまたは収容を毎回開始する際に、前記制御部が前記投光式指定手段に対してスポット光照射を行う指示信号を出力するためのトリガー信号を、前記制御部へ出力するトリガー手段とを備える
ことを特徴とする物品収容設備。
【請求項2】
前記物品収納棚は、統括制御部の指示に基づく2つのポイント間を走行する無人走行車により、保管ステーションに保管されている複数の中の1つが作業ステーションに移動される構成である
ことを特徴とする請求項1に記載の物品収容設備。
【請求項3】
前記投光式指定手段は、
プロジェクタ、スポットランプ、またはレーザー光照射装置の少なくとも一つを持ち、複数の前記物品収容部のいずれにも作業者に遮られずに照射できる位置に設けられ、物品を取り出すまたは収容する対象となる物品収容部を指示する信号を前記制御部により受けると、隣接する物品収容部と判別できるよう当該物品収容部の開口周縁部に対し可視光であるスポット光を照射するように設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の物品収容設備。
【請求項4】
前記投光式指定手段は、
物品の取り出しまたは収容を指示された前記物品収容部の前記開口周縁部の範囲内で周回方向または往復同方向に反復移動するようスポット光照射するように設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の物品収容設備。
【請求項5】
各前記物品収容部の前記開口周縁部のそれぞれに、乱反射シールが隣接のものと区別が付くよう添着され、
前記投光式指定手段は、
物品の取り出しまたは収容を指示される前記物品収容部に係る前記乱反射シールに対しスポット光照射を点滅して行うように設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の物品収容設備。
【請求項6】
前記トリガー手段は、フットスイッチ、手押しスイッチ、特定の音や振動を感知するスイッチ、または外付けの重量計に物品を載せて重量パスをしたときにオン出力するスイッチ、発光手段と受光手段との間を掌が横切ったことを検出しオン出力するスイッチ、出力信号間の時間が可変であり時間経過時にオン出力するタイマ―スイッチ、掌の形をビジュアル検知しオン出力するスイッチの少なくともいずれか1つを持つ
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の物品収容設備。
【請求項7】
前記投光式指定手段の他に、物品を取り出すまたは収容する物品収容部の指定および当該物品収容部から取り出すまたは収容する物品の個数の指定に基づき指定内容を表示する表示式指定報知手段をさらに備えている
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の物品収容設備。
【請求項8】
前記表示式指定報知手段を、前記物品収納棚の複数の物品収容部に共通して少なくとも1つ備えた
ことを特徴とする請求項7に記載の物品収容設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が縦横に配列された複数の物品収容部の中、物品の取り出しまたは収容を必要とする複数の物品収容部を1つずつ順に作業者に分かるよう指定できる物品収容設備に関する。
【背景技術】
【0002】
縦横に配列された複数の物品収容部を有する物品収納棚があって、物品収容部毎に異なる種類の物品が収容されており、作業者が物品の取り出しを必要とする1つの物品収容部から物品を取り出して集品箱に収容することを次々に異なる物品収容部に移って行う場合に、毎回の物品取り出しに際してどこの物品収容部が対象となるか、1つの物品収容部の指示がなければ、作業者において円滑な物品取り出し作業が行えない。同様に、物品収納棚の複数の物品収容部の中の、1つの物品収容部(集品箱に相当する)に異なる種類の物品が収容することを次々に異なる物品収容部に移って行う場合に、毎回の物品収容に際してどこの物品収容部が対象となるか、1つの物品収容部の指示がなければ、作業者において円滑な物品取り出し作業が行えない。
【0003】
以下の特許文献1に関する説明で使用する用語・符号は、同特許文献中で使用している用語・符号である。
【0004】
特許文献1に開示されているピッキングシステム1によれば、物品保管側の物品収容棚が固定設置され、縦横に配列された保管部の1つを指定する指示手段が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたピッキングシステム1は、保管部2のそれぞれに表示式の指示手段15が設けられているので、部品点数が多く、配線や制御基板の端子割り当て数が多く、組付け工数が多くなるという問題があっても、物品収容棚が固定設置された構成であるのでシステム構築はできる。
【0007】
しかしながら、先行技術に係る他のピッキングシステムとして、保管ステーションに複数(例えば数百)の無人走行車移動方式の物品収納棚が用意され、統括制御部の指令により無人走行車が1つの物品収納棚をピッキングステーションの作業者の前に移動し、物品取り出しが終了すると、次の物品収納棚と交替するものがある。このピッキングシステムでは、制御部や物品収容部を指定する指定手段等を保管ステーションに待機する全ての物品収納棚の全ての物品収容部に装備することは不経済であり、制御が難しくなり、システムの構築が困難になる。
【0008】
上記の問題は、統括制御部の指令により無人走行車が物品を取り出すまたは収容するための複数の物品収容部を縦方向および横方向に配列された1つの物品収納棚をアソートステーションの作業者の前に移動し、物品のアソートが終了すると、次の物品収納棚と交替する構成においても存在する。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、無人走行車移動方式の物品収納棚に適用できて、物品収容部指定手段を物品収容部毎に1つ設ける必要がなく、無人走行車移動方式の物品収納棚には物品収容部指定手段、配線等が不要で、作業ステーション(ピッキングステーションまたはアソートステーション)の作業者の前に位置される無人走行車移動方式の物品収納棚に対して共通して適用できる物品収容部指定手段を備えた物品収容設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の第1の発明態様に係る物品収容設備は、物品を取り出すまたは収容するための複数の物品収容部を縦方向および横方向に配列された物品収納棚と、複数の前記物品収容部に関し物流情報に従い物品の取り出しまたは収容の対象となる1つの前記物品収容部を次々に指定する指定信号を出力する制御部と、前記制御部により出力される指定信号に基づいて物品を取り出す物品収容部を指定する投光式指定手段と、物品の取り出しまたは収容を毎回開始する際に、前記制御部が前記投光式指定手段に対してスポット光照射を行う指示信号を出力するためのトリガー信号を、前記制御部へ出力するトリガー手段とを備える構成である。
【0011】
本願の第2の発明態様に係る物品収容設備は、上記第1の発明態様の構成に加え、前記物品収納棚は、統括制御部の指示に基づく2つのポイント間を走行する無人走行車により、保管ステーションに保管されている複数の中の1つが作業ステーションに移動される構成である。ここで、「無人走行車」とは、床面に磁気テープや磁気棒を敷設し、それらが発する磁気により誘導されて無人走行する搬送用台車などの自動的に誘導される車両(Automatic Guided Vehicle;AGV)と、ガイド無しでの走行が可能で、自ら判断し、人や障害物を自動的に回避し移動する自律走行搬送ロボット(Autonomous Mobile Robot;AMR)の少なくとも一方を含むものである。
【0012】
本願の第3の発明態様に係る物品収容設備は、第1または2の発明態様に係る構成に加え、前記投光式指定手段が、プロジェクタ、スポットランプ、またはレーザー光照射装置の少なくとも1つを持ち、複数の前記物品収容部のいずれにも作業者に遮られずに照射できる位置に設けられ、物品を取り出すまたは収容する対象となる物品収容部を指示する信号を前記制御部により受けると、隣接する物品収容部と判別できるよう当該物品収容部の開口周縁部に対し可視光であるスポット光を照射するように設けられている構成である。
【0013】
本願の第4の発明態様に係る物品収容設備は、第1ないし3のいずれか1つの発明態様に係る構成に加え、前記投光式指定手段が、物品の取り出しまたは収容を指示された前記物品収容部の前記開口周縁部の範囲内で周回方向または往復同方向に反復移動するようスポット光照射するように設けられている構成である。
【0014】
本願の第5の発明態様に係る物品収容設備は、第1ないし3のいずれか1つの発明態様に係る構成に加え、各前記物品収容部の前記開口周縁部のそれぞれに、乱反射シールが隣接のものと区別が付くよう添着され、前記投光式指定手段が、物品の取り出しまたは収容を指示される前記物品収容部に係る前記乱反射シールに対しスポット光照射を点滅して行うように設けられている構成である。
【0015】
本願の第6の発明態様に係る物品収容設備は、第1ないし5のいずれか1つの発明態様に係る構成に加え、前記トリガー手段が、フットスイッチ、手押しスイッチ、特定の音や振動を感知するスイッチ、または外付けの重量計に物品を載せて重量パスをしたときにオン出力するスイッチ、発光手段と受光手段との間を掌が横切ったことを検出しオン出力するスイッチ、出力信号間の時間が可変であり時間経過時にオン出力するタイマ―スイッチ、掌の形をビジュアル検知しオン出力するスイッチの少なくともいずれか1つを持つ構成である。
【0016】
本願の第7の発明態様に係る物品収容設備は、第1ないし6のいずれか1つの発明態様に係る構成に加え、前記投光式指定手段の他に、物品を取り出すまたは収容する物品収容部の指定および当該物品収容部から取り出すまたは収容する物品の個数の指定に基づき指定内容を表示する表示式指定報知手段をさらに備えている構成である。
【0017】
本願の第8の発明態様に係る物品収容設備は、第7の発明態様に係る構成に加え、前記表示式指定報知手段を、前記物品収納棚の複数の物品収容部に共通して少なくとも1つ備えた構成である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、無人走行車移動方式の物品収納棚に適用できて、物品収容部指定手段を物品収容部毎に1つ設ける必要がなく、無人走行車移動方式の物品収納棚には物品収容部指定手段、配線等が不要で、作業ステーションの作業者の前に位置される無人走行車移動方式の物品収納棚に対して共通して適用できる物品収容部指定手段を備えた物品収容設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態に係る物品収容設備の正面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る物品収容設備の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態に係る物品収容設備について図面を参照して説明する。[基本的構成]
図1,
図2に示すように、本実施の形態に係る物品収容設備1は、基本的構成(請求項1の必須構成要素)として、複数の物品収容部2aを有する物品収納棚2と、物品収納棚2とは切り離されて設けられる指定位置検出手段3とを備えている。指定位置検出手段3には、支柱フレーム13とブラケット14とにより支持される制御部4と投光式指定手段5を含んでいる。
【0021】
[物品収納棚2]
物品収納棚2は、複数の物品が収容される収容空間を有する物品収容部2aを縦方向および横方向に複数配列されるよう構成されている。
【0022】
物品収納棚2は、図示しない統括制御部の指示に基づく2つのポイント間を走行する無人走行車(AGVおよび/またはAMR)16により、保管ステーションに保管されている複数(例えば数百台)の中の1つが作業出ステーション(この実施の形態ではピッキングステーションである)の一人の作業者Mの前に移動される構成である。制御部4は物品収納棚2の移動に関与しない。
【0023】
物品収納棚2は、物品収容部2a毎に異なる種類の物品が予め収容されていて、作業者の手により物品の取り出しが行われる。ここで「物品」とは、物流倉庫にて取り扱う有体物である。
【0024】
物品収納棚2は、図示例では、矩形枠と、各列の仕切り板と各段の仕切り板とからなり、物品収容部2aを縦方向および横方向にそれぞれ4つ有する正列状に設けられているが、斜列状に配列されていてもよい。物品収納棚2は、例えば、複数の物品収容部2aを縦一列に複数設けたものを複数横並びに一体化に組付けられた構成であってもよい。物品収納棚2は、例えば、各物品収容部2aの間口の大きさが、横400mm×縦300mmであり、矩形枠の下面板の四隅より長さ550mmのロック機構を有するキャスター付きの4つの脚部が垂設されている移動式であることが好ましい。物品収納棚2の大きさは、作業者が立ち位置を大きく移動しない範囲内に対応するように設けられる。
【0025】
さらに、物品収納棚2は、無人走行車16を矩形枠の下面板の下側に潜らせて無人走行車16の持上用天板16aを上昇させて矩形枠の下面板をロックし物品収納棚2を20mm持ち上げて移動できることが好ましい。
【0026】
物品収納棚2は、物流システムの規模や内容により、例えば数百台が保管ステーションに配列される。1つの物品収納棚2の物品収容部2aのそれぞれに異なる物品が複数収容(補充)される。そして、物品取り出しが必要な物品収納棚2が無人走行車16によりピッキングステーションに移動され、物品取り出しを終えると保管ステーションに移動されるか、または他の作業者の前に移動される。
【0027】
複数(例えば3~5台)の物品収納棚2が、ピッキングステーションにおいて順番に列をなして待機し、先頭の物品収納棚2に対して物品の取り出しが行われる。これら列をなす複数の物品収納棚2の移動は、無人走行車16または人手により行われる。
【0028】
なお、物品収納棚2は、固定設置された構成であってもよいが、この場合には、物品収納棚2の後側から物品収容部2aに物品の補充が行われるよう構成される。
【0029】
物品は、物品収容部2aを画成している床板上に載置・収容されている。物品収容部2aを画成している床板は、前側に傾斜下降するローラーテーブルであってもよくこの場合には前端にストッパが付設される。各物品収容部2aへの物品の収容は前側と後側のどちらか、または両方より行うことができる構成であってよい。
【0030】
各物品収容部2aには固有の番地(物品収容部ID)が付けられる。例えば、最上段の4つの物品収容部2aには左から右に「01」、「02」、「03」、「04」、上から2段目の4つの物品収容部2aには左から右に「05」、「06」、「07」、「08」、上から3段目の4つの物品収容部2aには左から右に「09」、「10」、「11」、「12」、最下段の4つの物品収容部2aには左から右に「13」、「14」、「15」、「16」という番地が付けられる。
【0031】
番地「01」、「02」、「03」、・・・「14」、「15」、「16」の各物品収容部2aのそれぞれには、物品IDの「A01」、「A02」、「A03」、・・・「A14」、「A15」、「A16」がそれぞれ複数収容される。
【0032】
統括制御部から個別の制御部4に対し物品取り出し対象の物品収納棚2に関する物品収容部IDと物品IDの情報が送信される。
【0033】
[制御部4とトリガー手段11]
ピッキングステーションの一人の作業者の作業に対応して制御部4と投光式指定手段5とトリガー手段11の1式が、物品収納棚2とは切り離して支柱フレーム13とブラケット14とブラケット15とを介して設けられる。
【0034】
これにより、いずれの物品収納棚2がピッキングステーションに移動されてきても、投光式指定手段5とトリガー手段11と手位置検出手段6は、それぞれ接地固定された物品収容設備1の前側の所定相対位置に位置されことになる。例えば、投光式指定手段5は物品収容設備1の前方の位置であって、全ての物品収容部2aに投光できる位置、トリガー手段11(例えばフットスイッチまたは手押しスイッチ)は物品収容設備1の前側で、かつ作業者が作業時の立ち位置から移動することなく容易に操作できる位置にセットされる。
【0035】
トリガー手段11は、フットスイッチ、手押しスイッチ、特定の音や振動を感知するスイッチ、または外付けの重量計に物品を載せて重量パスをしたときにオン出力するスイッチ、発光手段と受光手段との間を掌が横切ったことを検出しオン出力するスイッチ、出力信号間の時間が可変であり時間経過時にオン出力するタイマ―スイッチ、例えば掌を「チョキの形」したことをビジュアル検知しオン出力するスイッチなどの少なくともいずれか1つを備えている。トリガー手段11は、物品の取り出しを毎回開始する際に、制御部4が投光式指定手段5に対してスポット光照射を行う指示信号を出力するためのトリガー信号(スイッチオン信号)を、制御部4へ出力するよう構成されている。
【0036】
制御部4は、例えば、トリガー信号を連続して3回入力するときには、物品収納棚2に対する物品取り出し作業を知らせる作業者からの入力と判断し、統括制御部に対して作業終了を通知するようになっている。これにより、統括制御部は、無人走行車16による物品収納棚2の移動を指示するよう構成されている。
【0037】
[投光式指定手段5]
投光式指定手段5は、プロジェクタ、スポットライト、またはレーザー光照射装置の少なくとも一つを、全ての物品収容部2aのいずれにも投光可能となるように物品収納棚2の前方に離れた位置であって作業者が左右に動いても作業者により光が遮られることがないよう物品収納棚2の前側上方または前側側方の適宜位置に設置されてなる。
【0038】
投光式指定手段5は、指定対象の1つの物品収容部2aを指示するため、制御部4により出力される指定信号(物品収容部2aに付された番地)に基づいてスポット光照射方向を指定された物品収容部2aに向くように投光方向を自己制御し可視光のスポット光を照射することにより物品収容部2aを指定するよう構成されている。
【0039】
投光式指定手段5は、可視光のスポット光を照射による物品収容部2aの指定について、物品収容部2aの開口周縁部の範囲内で可視光のスポット光が大きく周回方向または往復同方向に反復移動することにより実行されるか、または、物品収容部2aの開口部周縁に添着した乱反射シートにスポット光が点滅照射することにより実行されるよう構成されている。
【0040】
[物品収容設備1と他の構成要素との一体的関係]
物品収容設備1が無人走行車16により保管ステーションとピッキングステーションとの間を移動される移動方式の構成であるときは、制御部4と投光式指定手段5とトリガー手段11と手位置検出手段6と手位置正誤判定部7は、物品収納棚2と切り離して設けられる。これにより、いずれの物品収納棚2がピッキングステーションに移動されてきても、投光式指定手段5(深度カメラまたは側域センサ)とトリガー手段11と手位置検出手段6は、それぞれ接地固定された物品収容設備1の前側の所定相対位置に位置されことになる。例えば、投光式指定手段5は物品収容設備1の前方の位置であって、全ての物品収容部2aに投光できる位置、手位置検出手段6は物品収容設備1の前側近傍の上方位置、トリガー手段11(例えばフットスイッチまたは手押しスイッチ)は物品収容設備1の前側で、かつ作業者が作業時の立ち位置から移動することなく容易に操作できる位置にセットされる。
【0041】
また、物品収納棚2が作業者の作業エリアに常に固定され物品収容部2aへの物品の補充が後側から行われるときは、制御部4と投光式指定手段5とトリガー手段11は、物品収納棚2とセットで設けることができる。
【0042】
以上の基本的構成を備えた物品収容設備によれば、以下の作用効果を有する。
【0043】
まず、物流システムの統括制御部において決定される出荷内容と出荷順序に基づいて、数百台の物品収容設備1の中から必要な1つの物品収納棚2が無人走行車16により持ち上げられピッキングステーションの一人の作業者の作業エリア(前位置)に移動され接地固定される。
【0044】
作業者の物品取り出し作業を支援するため、統括制御部から制御部4に作業者の作業エリアに接地固定された物品収容設備1から物品取出しに必要な制御情報としての出荷内容と出荷順序に関する物品取り出し順序となるデータ情報が送信される。
【0045】
作業者がトリガー手段11を入力操作する度に、制御部4は、統括制御部から受信したデータ情報に基づいて、物品取り出しを指定された物品収容部IDの順番に投光式指定手段5が投光して物品取り出しを行なう物品収容部2aを指定する。
【0046】
作業者は、指定された物品収容部2aから物品の取り出しを円滑に行なうことができる。
【0047】
[付加的構成]
本実施の形態に係る物品収容設備1は、付加的構成(従属請求項の外的構成要素)として、表示式指定報知手段10と、手位置検出手段6と、手位置正誤判定部7と、ミス有り報知手段8と、ミス無し報知手段9とを含んでいる。
【0048】
[表示式指定報知手段10]
表示式指定報知手段10は、ミス有り報知手段8に並べて液晶表示装置等の表示手段を1つ設けることができる。表示式指定報知手段10は、表示部に物品収容部2aのID(番地)を表示するか、物品収容部2aの配列に対応する発光配列となっていて点滅表示することで投光式指定手段5による指定と同一の指定を行うようになっており、さらに、発光配列エリアとは別エリアに、物品収容部2aから取り出す物品の個数に関係する表示部(例えば数字)を表示し、もって、物品収容部2aの指定および取り出すべき個数を作業者に報知するよう構成されている。
【0049】
もしも、表示式指定報知手段10を、物品収納棚2に1つ備えるのではなく、特許文献1のピックアップシステムの様に、全ての保管部のそれぞれに指定報知手段を設けることを、無人走行車移動方式の物品収納棚2に適用すれば、物品収納棚2の構成が配線が複雑になり、物品収納棚2を交換するごとに、作業者が制御部と指定報知手段の配線接続を行う必要があり、故障も多くなるという不都合が生じ得る。このような不都合は表示式指定報知手段10を物品収納棚2と切り離して1つ設ける構成では生じない。
【0050】
[手位置検出手段6]
手位置検出手段6は、深度カメラまたは側域センサからなり、物品収納棚2の前側上方または前側側方の適宜位置に設置される。図では、手位置検出手段6は、例えば物品収容設備1の前側近傍の上方位置にセットされる。
【0051】
手位置検出手段6は、レーザー光を物品収納棚2の前面近傍を横切るように扇状にパルス放射し、いずれかの物品収容部2aに差し入れる作業者の手首に照射した反射光を受光しレーザー光のパルスの投射から受光までの時間と方向から手首位置に関するベクトルデータであるポイントデータを取得し出力するよう構成されている。
【0052】
[手位置正誤判定部7]
手位置正誤判定部7は、テーブルデータ部7aと比較演算部7bとを有し、テーブルデータ部7aに物品収納棚2の各物品収容部2aの開口部領域の二次元座標データを記憶していて、制御部4による投光式指定手段5への表示指定信号を入力するよう構成されている。
【0053】
手位置正誤判定部7は、手位置検出手段6と連携し、保存エリアの複数の物品収納棚2の中、当日に物品の出し入れを必要としてピッキングステーションの作業者の前に移動される物品収納棚2に対して物品収容部2aおよび手位置正誤判定を行う。このため、統括制御部から制御部4に対しピッキングステーションの作業者の前に移動される一台分の物品収納棚2の取り出し作業に必要な物品収容部IDと物品取り出し個数の組データのデータ群を送信する。
【0054】
手位置正誤判定部7は、制御部4による投光式指定手段5への表示指定信号の出力と同時に、制御部4により同一の表示指定信号を入力すると、比較演算部7bに、表示指定信号の表示指定に係る物品収容部2aに対応するテーブルデータ部7aの二次元座標データをストアするとともに、手位置検出手段6より出力されるポイントデータを入力し、比較演算部7bで、当該ポイントデータがストアした二次元座標データのエリア内に入っているか否かを判断し、次の処理に必要な信号を出力するよう構成されている。なお、ストアされた二次元座標データおよびポイントデータは次のストア時にインクリメントされる。
【0055】
[ミス有り報知手段8]
ミス有り報知手段8は、手位置正誤判定部7からエリア内に入っていないときの信号を入力するときは手首の物品取り出し位置が間違っていることを作業者に報知するよう構成されている。ミス有り報知手段8は、例えば赤色のLEDの点滅表示や、ブブーといったブザー音いずれか一方または両方であってよい。
【0056】
[ミス無し報知手段9]
ミス無し報知手段9は、ミス有り報知手段8に並べて例えば青色に発行するLEDランプ等の表示手段を1つ設けることができる。作業者は、LEDランプが青色に発行したのを視認して手首の物品取り出し位置が正しいことを認識することができ、円滑に物品収容部2aから物品を取り出すことができる。ミス有り報知手段8が発光しない場合の消極的なミス無し報知よりもミス無し報知手段9による積極的なミス無し報知が行われる方が作業が円滑に促進する。
【0057】
なお、ミス無し報知手段9を設けるときは、手位置正誤判定部7は、比較演算部7bで、手首位置のポイントデータが指定された二次元座標データのエリア内に入っているか否かを判断し、エリア内に入っていると判定したときの信号を制御部4に送信し、制御部4がミス無し報知手段9に対しミス無し報知を行うように信号を出力するよう構成されている。
【0058】
制御部4は、統括制御部から受信したデータ情報に基づいて、手位置正誤判定部7のテーブルデータ部7aに、作業者の作業エリアに接地固定された物品収容設備1の全ての物品収容部2aに対応する二次元座標データを記憶させる。いずれの物品収容部2aであっても配列された物品収容部2aの番地は変わらず、各物品収容部2aに収容される物品は種類が異なる。これに関連し、手位置正誤判定部7のテーブルデータ部7aに記憶される二次元座標データは物品収納棚2が変わっても同一で扱うことができる。
【0059】
作業者がトリガー手段11を「オン」操作すると、制御部4が投光式指定手段5に対して指定信号を出力する。これにより、投光式指定手段5は、物品収容設備1の1つの物品収容部2aに投光する。これにより、作業者は、投光された物品収容部2aが物品の取り出しの対象として指定されたことを把握できる。また、この指定と同時に、制御部4は、手位置正誤判定部7に対し同一表示指定に係る物品収容部2aに対応するテーブルデータ部7aの二次元座標データを比較演算部7bにストアさせるよう制御する。
【0060】
また、作業者がトリガー手段11を「オン」操作すると、手位置検出手段6(深度カメラまたは側域センサ)がレーザー光を物品収納棚2の前面近傍を横切るように扇状に放射することを繰り返す。作業者が手首を指定された物品収容部2aに差し入れると、作業者の手首にレーザー光が照射し、手位置検出手段6が反射光を受光し手首位置に関するベクトルデータであるポイントデータを取得し、このポイントデータを手位置正誤判定部7へ出力する。
【0061】
手位置正誤判定部7は、ポイントデータを入力すると、比較演算部7bで、当該ポイントデータがストアされている二次元座標データのエリア内に入っているか否かを判断し、作業者の手首が指定された物品収容部2a以外の物品収容部2aに差し入れていると判断したときには、入っていないときの信号(次の処理に必要な信号)をミス有り報知の信号を制御部4へ出力する。制御部4は、ミス有り報知の信号を入力すると、ミス有り報知手段8に対してミス有り報知を行うための必要な信号をミス有り報知手段8に出力する。
【0062】
もって、ミス有り報知手段8は、作業者に対してミス有りの報知(例えばビビーという警告音および/またはLEDの2~5回の赤色点滅)を行うことができる。
【0063】
作業者は、投光式指定手段5の投稿によって指定された物品収容部2aから物品の取り出しを円滑に行なうことができる。
【0064】
以上の様に、上記の基本的構成を備えた物品収容設備1によれば、物品収容部指定手段として投光式指定手段を備えた構成であって、物品収容部2a毎に指定手段を1つ設ける(物品収容設備1毎に物品収容部2aの数だけ設ける)構成ではなく、いずれの物品収容設備1であっても共通して投光式指定手段を1つ備えればよいので、部品点数が少なくなり、配線や組付けおよび制御も簡単になりシステム構築が簡単になる物品収容部指定手段を備えた物品収容設備を提供することができる。
【0065】
[本実施の形態に係る物品収容設備1の全体の作用効果]
以上説明してきたように、本実施の形態に係る物品収容設備1によれば、物品収納棚2の複数配列された物品収容部2aに対し、物品を取り出すべき1つの物品収容部2aを投光式指定手段5により指定し、作業者が指定された物品収容部2aに手を差し入れ物品を取り出す際に、手位置検出手段6により手首位置を検出し、手位置正誤判定部7により手首位置が物品出し入れを指示された物品収容部2aの開口部に対して正しく侵入したか否かを判断し、正しく侵入した場合にはミス有り報知手段8によりミス有り報知を行い、また間違って侵入した場合にはミス無し報知手段9によりミス無し報知を行うので、物品の取り出しが遠隔に行われる。そして、ミス有り報知手段8とミス無し報知手段9が物品収容設備1と切り離されて1つ設ける構成であるので、報知手段がない物品収容設備1を設けることができ、部品点数、配線が少なくなりコスト低減につながり、制御が簡単になり、システムの構築が容易になる。
【0066】
上記実施の形態では、物品の取り出しを必要とする複数の物品収容部を1つずつ順に作業者に分かるよう指定できる物品収容設備について説明したが、上記構成は物品の収容を必要とする複数の物品収容部を1つずつ順に作業者に分かるよう指定できる物品収容設備にそっくり適用できる。実施の形態の説明において「物品の取り出し」(ピッキング)を「物品の収容」(アソート)と置き換えることができる。アソートのときは、「物品収容部」は、「物品集品部」に読み替えることができ、「作業ステーション」および「ピッキングステーション」を「アソートステーション」と読み替えることができる。
【符号の説明】
【0067】
1…物品収容設備
2…物品収納棚
2a…物品収容部
2b…脚部
2c…キャスター
3…指定位置検出手段
4…制御部
5…投光式指定手段
6…手位置検出手段
7…手位置正誤判定部
7a…テーブルデータ部
7b…比較演算部
8…ミス有り報知手段
9…ミス無し報知手段
10…表示式指定報知手段
11…トリガー手段
12…乱反射シート
13…支柱フレーム
14…ブラケット
15…ブラケット
16…無人走行車
16a…持上用天板
M…作業者