(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176642
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20231206BHJP
A62B 18/02 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
A41D13/11 A
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089032
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】594137960
【氏名又は名称】株式会社ゴールドウイン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100148253
【弁理士】
【氏名又は名称】今枝 弘充
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 洋史
(72)【発明者】
【氏名】槻尾 友紀
(72)【発明者】
【氏名】前田 恵梨子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤(釜谷) 美翔子
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA07
2E185CC32
(57)【要約】
【課題】着用感に優れたマスクを提供する。
【解決手段】マスク10は、左右方向Xと、上下方向Yと、厚み方向Zとを有し、着用者Pの鼻と、口と、顎とを覆うマスク本体12と、マスク本体12の左右方向Xの両側に設けられ、着用者Pの耳に掛けられる耳掛け部14と、を備える。マスク本体12は、外層16と、形状保持部18と、内層20と、を厚み方向Zに順に有し、左右方向Xの中央が、上下方向Yに沿って、内層20から外層16に向かって凸となる形状である。形状保持部18は、左右方向Xに沿って延びる主形状保持部材44を有し、主形状保持部材44の少なくとも一部は、着用者Pの唇より下側であって、下顎P2の先端より上側に配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向と、上下方向と、厚み方向とを有し、着用者の鼻と、口と、顎とを覆うマスク本体と、
前記マスク本体の前記左右方向の両側に設けられ、前記着用者の耳に掛けられる耳掛け部と、を備え、
前記マスク本体は、
外層と、形状保持部と、内層と、を前記厚み方向に順に有し、
前記左右方向の中央が、前記上下方向に沿って、内層から外層に向かって凸となる形状であり、
前記形状保持部は、前記左右方向に沿って延びる主形状保持部材を有し、
前記主形状保持部材の少なくとも一部は、前記着用者の唇より下側であって、下顎の先端より上側に配置される、マスク。
【請求項2】
前記主形状保持部材は、前記内層に縫い付けられている、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
前記形状保持部は、前記マスク本体の中央に配置された中央形状保持部材をさらに有し、
前記中央形状保持部材は、前記着用者の鼻尖より下側から前記マスク本体の上端に向かって前記上下方向に沿って延びている、請求項1に記載のマスク。
【請求項4】
前記形状保持部は、前記マスク本体の上端部に設けられ、前記左右方向に沿って延びる上部形状保持部材をさらに有する、請求項1に記載のマスク。
【請求項5】
前記形状保持部は、ダブルラッセル編みのシート部を有する、請求項1に記載のマスク。
【請求項6】
前記シート部は、前記厚み方向から見た形状がI字状である、請求項5に記載のマスク。
【請求項7】
前記形状保持部は、塑性変形が可能なフィット片を有する、請求項1に記載のマスク。
【請求項8】
前記形状保持部は、ダブルラッセル編みのシート部と、塑性変形が可能なフィット片とを有する、請求項1に記載のマスク。
【請求項9】
前記フィット片は、前記外層と前記シート部との間に設けられている、請求項8に記載のマスク。
【請求項10】
前記内層は、
中央から左右両側に広がる面を有する第1内層と、
前記第1内層の下端に縫合された第2内層と、を有し、
前記主形状保持部材は、前記左右方向に沿って延びる、塑性変形が可能な第1フィット片を有し、
前記第1内層と前記第2内層とを縫合した第1切替え線に、前記第1フィット片が、縫い付けられている、請求項1に記載のマスク。
【請求項11】
前記内層は、
中央から左側に広がる面を有する左内層と、
中央から右側に広がる面を有する右内層と、を有し、
前記中央形状保持部材は、前記上下方向に沿って延びる、塑性変形が可能な第2フィット片を有し、
前記左内層と前記右内層とを縫合した第2切替え線に、前記第2フィット片が、縫い付けられている、請求項3に記載のマスク。
【請求項12】
前記上部形状保持部材は、前記マスク本体の中央から左右両側へ延びる、塑性変形が可能な第3フィット片を有し、
前記第3フィット片は、前記マスク本体の中央において、左右に分離している、請求項4に記載のマスク。
【請求項13】
前記形状保持部は、前記マスク本体の中央に配置された、前記上下方向に沿って延びる中央形状保持部材をさらに有し、
前記中央形状保持部材は、前記着用者の鼻尖より下側から前記マスク本体の上端に向かって前記上下方向に沿って延びており、
前記中央形状保持部材は、前記上下方向に沿って延びる、塑性変形が可能な第2フィット片を有し、
前記第2フィット片の上端は、前記第3フィット片と分離している、請求項12に記載のマスク。
【請求項14】
前記マスク本体は、
前記外層と前記内層とが外縁において互いに縫合されており、
前記内層の表面積が前記外層の表面積より小さい、請求項1に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
マスクは、例えば、着用者の鼻と口とを覆う通気性の被覆部と、被覆部の周縁部分を顔面にフィットさせることが可能な着用手段とを有するマスクが知られている(例えば、特許文献1)。上記特許文献1のマスクは、被覆部を幅方向に二等分する稜線に沿って延びる第1帯状ワイヤーと、上縁部に沿って稜線の両側に沿って延びる第2帯状ワイヤーとを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のマスクは、上下方向に沿って配置された第1帯状ワイヤーによって、着用者の口元の中央部分の空間を確保できるが、着用手段によって被覆部が左右に引っ張られた状態で着用されるので、口元の左右の被覆部が着用者の口元に触れやすく、口の周囲に十分な空間を確保することが困難である。したがって、上記特許文献1のマスクは、被覆部の内面が着用者の口元に触れやすくなるため、着用感が低下してしまう、という問題があった。
【0005】
本発明は、着用感に優れたマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上下方向と、左右方向と、厚み方向とを有し、着用者の鼻と、口と、顎とを覆うマスク本体と、前記マスク本体の前記左右方向の両側に設けられ、前記着用者の耳に掛けられる耳掛け部と、を備え、前記マスク本体は、外層と、形状保持部と、内層と、を前記厚み方向に順に有し、前記左右方向の中央が、前記上下方向に沿って、内層から外層に向かって凸となる形状であり、前記形状保持部は、前記左右方向に沿って延びる主形状保持部材を有し、前記主形状保持部材の少なくとも一部は、前記着用者の唇より下側であって、下顎の先端より上側に配置される、マスクである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によるマスクは、着用感に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るマスクを示す正面図である。
【
図2】本実施形態に係るマスクを中央で折り畳んだ状態の側面図である。
【
図3】
図1におけるIII-III線に沿った端面図である。
【
図4】本実施形態に係るマスクを示す背面図である。
【
図5】本実施形態に係る内層を正面の外側から見た図である。
【
図6】本実施形態に係るマスクを着用した状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[態様1]
左右方向と、上下方向と、厚み方向とを有し、着用者の鼻と、口と、顎とを覆うマスク本体と、
前記マスク本体の前記左右方向の両側に設けられ、前記着用者の耳に掛けられる耳掛け部と、を備え、
前記マスク本体は、
外層と、形状保持部と、内層と、を前記厚み方向に順に有し、
前記左右方向の中央が、前記上下方向に沿って、内層から外層に向かって凸となる形状であり、
前記形状保持部は、前記左右方向に沿って延びる主形状保持部材を有し、
前記主形状保持部材の少なくとも一部は、前記着用者の唇より下側であって、下顎の先端より上側に配置される、マスク。
マスクは、内層を着用者の肌側とし耳掛け部を着用者の両耳にそれぞれ掛けることによって、マスク本体を着用者の鼻と口とを覆う位置に配置した状態で、着用者の顔に固定される。
形状保持部は、外層よりも内側に配置されているので、外部から視認できない。形状保持部は、内層より外側に配置されているので、着用者の肌に直接触れることが防止される。したがって、マスクは、デザインの自由度を有すると共に、着用感の低下を抑制することができる。
マスク本体は、中央が上下方向に沿って内層から外層に向かって凸となる形状、いわゆる立体マスクの形状を有するので、着用者の鼻骨から顎までの範囲において、着用者の顔に沿いやすいので、フィット感に優れる。主形状保持部材の少なくとも一部は、マスク本体の着用者の唇と顎の間に配置され、左右方向に沿って延びているので、着用者の口元と、マスク本体との間に十分な空間を形成する。マスクは、着用者の口元と、マスク本体との間に十分な空間が形成されるので、内層が着用者の口元に触れることが抑制される。
マスクを着用した着用者が口を開いた場合、マスク本体の下端部が着用者の顎によって下方へ引っ張られ、マスク本体の上端部が着用者の鼻に引っ掛かることによって、マスク本体に上下方向に引っ張る力が作用する。当該力によって、マスク本体の上下方向に沿った中央の形状が、外層に向かって凸となる形状から平坦な形状へ変形し得る。マスク本体の中央の形状が平坦な形状に変形することによって、主形状保持部材は、着用者の唇と顎の間に位置したまま下方へ移動する。すなわち、主形状保持部材は、マスク本体の中央の形状が平坦な形状に変形した場合に、着用者の唇と顎の間に位置したまま移動することによって、着用者の口元の左右方向の空間を維持し、口元の空間が狭くなることを抑制する。したがって、マスクは、例えばスポーツ時に着用者した場合など、着用者が口を開いた場合であっても、着用者の口元と、マスク本体との間に空間を形成し、内層が着用者の口元に触れることが抑制される。
したがってマスクは、着用感に優れる。
【0010】
[態様2]
前記主形状保持部材は、前記内層に縫い付けられている、態様1に記載のマスク。
主形状保持部材は、前記内層に縫い付けられているので、例えば、着用者が大きく息を吸い込んだ場合であっても、着用者の口元に吸い込まれる息によって内層が厚み方向へ変形することが抑制される。したがって、マスクは、スポーツ時などにおいて着用者が大きく息を吸い込んだ際も、着用者の口元とマスク本体との間に空間を形成し、内層が着用者の口に接触することを抑制できる。
【0011】
[態様3]
前記形状保持部は、前記マスク本体の中央に配置された中央形状保持部材をさらに有し、
前記中央形状保持部材は、前記着用者の鼻尖より下側から前記マスク本体の上端に向かって前記上下方向に沿って延びている、態様1又は2に記載のマスク。
中央形状保持部材は、マスク本体の中央に配置され、上下方向に沿って延びているので、着用者の鼻筋に沿って内層から外層に向かって凸となる形状を形成しやすい。さらに中央形状保持部材は、下端が着用者の鼻尖より下側に配置されるので、着用者の口元とマスク本体との間に空間を形成しやすい。
【0012】
[態様4]
前記形状保持部は、前記マスク本体の上端部に設けられ、前記左右方向に沿って延びる上部形状保持部材をさらに有する、態様1~3のいずれか1つに記載のマスク。
上部形状保持部材は、マスク本体の上端部に設けられ、左右方向に沿って延びているので、鼻筋から頬に沿った形状を形成しやすい。さらに上部形状保持部材は、スポーツ時や着用者が大きく口を開いた際の、マスク本体のずれ落ちを抑制する。すなわち、マスクは、着用時におけるマスク本体の位置ずれを防止することによって、着用者の口元と、マスク本体との間に形成された空間を保持しやすい。
【0013】
[態様5]
前記形状保持部は、ダブルラッセル編みのシート部を有する、態様1~4のいずれか1つに記載のマスク。
形状保持部は、ダブルラッセル編みのシート部を有するので、通気性を有しながら、着用者の口元とマスク本体との間に空間をより確実に形成する。したがって、マスクは、マスク本体と着用者の口元の間に空気が籠ることを抑制するので、着用感に優れる。
【0014】
[態様6]
前記シート部は、前記厚み方向から見た形状がI字状である、態様5に記載のマスク。
シート部は、厚み方向から見た形状がI字状であるので、着用者の頬にシート部が配置されていない。したがってマスクは、着用者の肌にダブルラッセル編みのシート部が重ならないので、厚手の生地に触れることによって着用者が感じる違和感を低減できる。したがってマスクは、着用感に優れる。
【0015】
[態様7]
前記形状保持部は、塑性変形が可能なフィット片を有する、態様1~6のいずれか1つに記載のマスク。
形状保持部は、塑性変形が可能なフィット片を有するので、着用者の鼻、口、顎の形状や位置に合わせて変形可能、かつ変形後の形状を保持し得る。したがって、マスクは、着用者に合わせて適宜形状を調整し、その形状を保持し得るので、フィット感に優れる。
【0016】
[態様8]
前記形状保持部は、ダブルラッセル編みのシート部と、塑性変形が可能なフィット片とを有する、態様1~7のいずれか1つに記載のマスク。
形状保持部は、ラッセル生地で形成されたシート部と、塑性変形が可能なフィット片とを有する場合、シート部によって着用者の口元とマスク本体との間に空間が形成され、フィット片によって保持される。したがって、マスクは、着用者の鼻と口元の間に形成された空間を保持しやすいので、着用者が長時間着用した場合の着用感に優れる。
【0017】
[態様9]
前記フィット片は、前記外層と前記シート部との間に設けられている、態様8に記載のマスク。
フィット片は、外層とシート部との間に設けられているので、シート部及び内層を介して着用者の肌と重なる。すなわち、シート部は、着用者の肌とフィット片の間に配置されることによって、フィット片による肌触りの低下を防止する。したがってマスクは、着用感に優れる。
【0018】
[態様10]
前記内層は、
中央から左右両側に広がる面を有する第1内層と、
前記第1内層の下端に縫合された第2内層と、を有し、
前記主形状保持部材は、前記左右方向に沿って延びる、塑性変形が可能な第1フィット片を有し、
前記第1内層と前記第2内層とを縫合した第1切替え線に、前記第1フィット片が、縫い付けられている、態様1~9のいずれか1つに記載のマスク。
第1内層と第2内層とを縫い合わせた第1切替え線は、着用者の唇と下顎の間に配置され得る。マスクは、第1切替え線に第1フィット片が縫い付けられていることによって、第1切替え線に沿って形状が保持されるので、着用者の鼻と口元の間に形成された空間を保持しやすい。
また、第1フィット片は、第1切替え線に縫い付けられているので、例えば、着用者が大きく息を吸い込んだ場合であっても、着用者の口元に吸い込まれる息によって内層が厚み方向へ変形することが抑制される。したがって、マスクは、スポーツ時などにおいて着用者が大きく息を吸い込んだ際も、着用者の口元とマスク本体との間に空間を形成し、内層が着用者の口に接触することを抑制できる。
【0019】
[態様11]
前記内層は、
中央から左側に広がる面を有する左内層と、
中央から右側に広がる面を有する右内層と、を有し、
前記中央形状保持部材は、前記上下方向に沿って延びる、塑性変形が可能な第2フィット片を有し、
前記左内層と前記右内層とを縫合した第2切替え線に、前記第2フィット片が、縫い付けられている、態様3に記載のマスク。
左内層と右内層とを縫い合わせた第2切替え線は、着用者の鼻筋に配置され得る。マスクは、第2切替え線に第2フィット片が縫い付けられていることによって、第2切替え線に沿って形状が保持されるので、着用者の鼻と口元の間に形成された空間を保持しやすい。
【0020】
[態様12]
前記上部形状保持部材は、前記マスク本体の中央から左右両側へ延びる、塑性変形が可能な第3フィット片を有し、
前記第3フィット片は、前記マスク本体の中央において、左右に分離している、態様4に記載のマスク。
第3フィット片は、マスク本体の中央において、左右に分離しているので、着用者の鼻筋から頬にかけて変形しやすい。マスクは、鼻筋と重なる部分に第3フィット片を配置せず、鼻筋と重なる部分のマスク本体の厚みが薄いので、マスク本体が着用者の鼻筋に密着しやすい。したがってマスクは、フィット感に優れる。
【0021】
[態様13]
前記形状保持部は、前記マスク本体の中央に配置された、前記上下方向に沿って延びる中央形状保持部材をさらに有し、
前記中央形状保持部材は、前記着用者の鼻尖より下側から前記マスク本体の上端に向かって前記上下方向に沿って延びており、
前記中央形状保持部材は、前記上下方向に沿って延びる、塑性変形が可能な第2フィット片を有し、
前記第2フィット片の上端は、前記第3フィット片と分離している、態様12に記載のマスク。
中央形状保持部材は、マスク本体の中央に配置され、上下方向に沿って延びているので、着用者の鼻筋に沿って内層から外層に向かって凸となる形状を形成しやすい。また中央形状保持部材は、下端が着用者の鼻尖より下側に配置されるので、着用者の口元とマスク本体との間に空間を形成しやすい。さらに中央形状保持部材は、第2フィット片を有するので、形状が保持される。
マスク本体は、第2フィット片の上端が第3フィット片と分離しているので、マスク本体の中央の上端部分の厚みが薄い。したがってマスクは、マスク本体が着用者の鼻筋に密着しやすいので、フィット感に優れる。
【0022】
[態様14]
前記マスク本体は、
前記外層と前記内層とが外縁において互いに縫合されており、
前記内層の表面積が前記外層の表面積より小さい、態様1~13のいずれか1つに記載のマスク。
マスク本体は、耳掛け部が着用者の耳に掛けられ、着用者に着用されると、上下及び左右方向に引っ張られる。マスク本体が上下及び左右方向に引っ張られることによって、外層は広がる。内層は、表面積が外層の表面積より小さいため、外層から面方向へ引張力を受け、弛みが抑制される。したがって、マスクは、内層の弛みが抑制され、内層が着用者の肌にまとわりつくことが抑制されるので、着用感に優れる。
【0023】
1.マスク
以下、本実施形態に係るマスクについて図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るマスクを示す正面図、
図2は、マスクを中央で折り畳んだ状態の側面図、
図3は
図1におけるIII-III線に沿った端面図、
図4はマスクを示す背面図である。本明細書では、互いに直交する第1方向X、第2方向Y、及び第3方向Zからなる極座標を用いて説明する。第1方向Xを左右方向、第2方向Yを上下方向、第3方向Zを厚み方向と、呼ぶ場合がある。マスクを着用した着用者から見て、右へ向かう向き及び側をそれぞれ左右方向の右向き及び右側とし、左側へ向かう向き及び側をそれぞれ左右方向の左向き及び左側とし、前へ向かう向き及び側をそれぞれ前後方向の前向き及び前側とし、着用者の肌に向かう向き及び側を内向き及び内側、反対側を外向き及び外側とする。ある方向に「沿う」とは、ある方向と平行である場合に限らず、ある方向とのなす角度が45度未満の場合を含む。
【0024】
図1に示すマスク10は、合成樹脂繊維、天然繊維、又はそれらの組合せからなる生地で形成され、マスク本体12と、一対の耳掛け部14とを備える。本明細書において生地は、織物と編み物とを含む。マスク本体12は、当該マスク10を着用した着用者の鼻と、口と、顎とを覆う。マスク本体12は、第1方向X及び第2方向Yに沿って延びる平面を有する。マスク本体12の上端は、第1方向Xの外側から中央に向かって第2方向Yの上向きに凸となる山形状を有する。マスク本体12の下端は、第1方向Xの外側から中央に向かって第2方向Yの下向きに凸となるV字形状を有する。
【0025】
図2に示すように、マスク本体12の第1方向Xの中央は、第2方向Yに沿って、第3方向Zの外側へ向かって凸となる形状を有する。すなわち、マスク本体12は、第1方向Xの中央で第2方向Yに沿って二つ折りにした場合、側面視における左端であるマスク本体12の第2方向Yに沿った折れ線(以下、中央折れ線ともいう)L1が、外側へ向かって凸となる、弓形の形状を有する。
【0026】
図3に示すように、マスク本体12は、厚み方向に順に、外層16と、形状保持部18と、内層20とを有する。外層16は、軟らかい織物、例えばポリエステルの生地で形成され、第1方向Xの中央から左側に広がる面を有する左外層22と、第1方向Xの中央から右側に広がる面を有する右外層24とを有する。左外層22と右外層24とは、第1方向Xの中央において縫合されることによって、一体化している。
【0027】
内層20は、外層16と、外縁において互いに縫合されている。内層20は、軟らかい織物、例えばポリエステルの生地で形成されている。内層20の表面積は、外層16の表面積より小さいことが好ましい。すなわち、マスク本体12のある位置における内層20の第1方向X長さ及び第2方向Y長さは、マスク本体12の同じ位置における外層16の第1方向X長さ及び第2方向Y長さより短いことが好ましい。
【0028】
図4に示すように、第1内層26と、第2内層28とを有する。第1内層26は中央から左右両側に広がる面を有する。第2内層28は、第1内層26の下端に、第1切替え線CL1を介して接続されている。第1切替え線CL1は、第1内層26と第2内層28とを縫合することによって形成され、第1方向Xに沿って延びている。第2内層28は、第1切替え線CL1に接する辺を底辺とする逆三角形状を有する。
【0029】
第1内層26は、第1方向Xの中央から左側に広がる面を有する左内層30と、第1方向Xの中央から右側に広がる面を有する右内層32とを有する。左内層30と右内層32とは、第2切替え線CL2を介して接続されている。第2切替え線CL2は、左内層30と右内層32とを縫合することによって形成され、第1方向Xの中央であって第2方向Yに沿って延びている。左内層30及び右内層32は、第2切替え線CL2に接する辺を下底、マスク本体12の第1方向Xの左右両端をそれぞれ上底とする略台形状を有する。
【0030】
左内層30は、左本体層34と、左口元層36とを有する。左口元層36は、扇形形状を有し、左本体層34の右下に配置されている。左口元層36と左本体層34とは、円弧状の左口元線L2を介して接続されている。左口元線L2は、左口元層36と左本体層34とを縫合することによって形成されている。
【0031】
右内層32は、右本体層38と、右口元層40とを有する。右口元層40は、扇形形状を有し、右本体層38の左下に配置されている。右口元層40と右本体層38とは、円弧状の右口元線L3を介して接続されている。右口元線L3は、右口元層40と右本体層39とを縫合することによって形成されている。
【0032】
左内層30と右内層32とが第2切替え線CL2において一体化されていることによって、左口元層36と右口元層40とが一体化され、上向きに凸となる半円形状の口元層42が形成されている。
【0033】
第1内層26と第2内層28とは、上端及び下端において、それぞれテープ(図示しない)を巻いて縫合することによって一体化されている。
【0034】
形状保持部18は、外層16と内層20との間に配置されている。形状保持部18は、外層16及び内層20に比べ、曲げにくい部材を有する。本実施形態の場合、形状保持部18は、内層20に固定されている。すなわち、形状保持部18は、内層20の外側表面に縫い付けられている。
【0035】
図5を参照して形状保持部18について説明する。
図5は、内層を正面の外側から見た図である。
図5に示すように、形状保持部18は、主形状保持部材44と、中央形状保持部材46と、上部形状保持部材48とを有する。主形状保持部材44は、第1方向Xに沿って延び、第1内層26の下端に接している。中央形状保持部材46は、第1内層26の中央に配置され、第2方向Yに沿って延びている。上部形状保持部材48は、第1内層26の上端部に設けられ、第1方向Xに沿って延びている。主形状保持部材44と、中央形状保持部材46と、上部形状保持部材48とは、それぞれ、シート部と、フィット片とを有する。
【0036】
シート部は、メッシュ生地、より具体的には、合成樹脂繊維をダブルラッセル編みしたメッシュ構造を有するのが好ましい。シート部は、ダブルラッセル編みであることによって、嵩高いので、通気性、クッション性に優れる。シート部は、内層20の外側表面に配置され、内層20に縫い付けられている。シート部は、第3方向Zから見て、略I字状であり、着用者の頬に対応する位置に配置されていないことが好ましい。
【0037】
フィット片は、熱可塑性樹脂や金属で形成された、塑性変形が可能な帯状の部材である。フィット片は、シート部と外層16の間に配置されている。すなわち、フィット片は、シート部の内層20と接する側と反対側のシート部の表面に設けられている。
【0038】
主形状保持部材44は、シート部としての第1シート部50と、フィット片としての第1フィット片52とを有する。第1シート部50は、口元層42に対応する形状を有する。すなわち、第1シート部50は、上向きに凸となる半円形状を有する。第1シート部50は、第1切替え線CL1、第2切替え線CL2、左口元線L2、及び右口元線L3によって、内層20に縫い付けられている。第1フィット片52は、第1方向Xに沿って延び、第1切替え線CL1において第1シート部50に縫い付けられている。第1フィット片52の第1方向X長さは、着用者の唇の左右方向長さより長いことが好ましい。
【0039】
中央形状保持部材46は、シート部としての第2シート部54と、フィット片としての第2フィット片56とを有する。第2シート部54は、第2切替え線CL2によって、内層20に縫い付けられている。第2シート部54は、第2方向Yに沿って延びる直線状であって、下端が第1シート部50の上端に接続されている。第2フィット片56は、第2方向Yに沿って延び、第2切替え線CL2において第2シート部54に縫い付けられている。
図3に示すように、第2シート部54は、左半部と右半部とに分かれており、左内層30と右内層32と共に第1方向Xの中央部において第2方向Yに沿って折り返され、重なった縫い代において縫合されている。さらに第2フィット片56は、当該縫い代に縫い付けられている。縫い代は、第3方向Zの外側、すなわち外層16に向かって突出するように配置される。第2フィット片56は、着用者の鼻尖より下側からマスク本体12の上端部に向かって延びるように形成されている。すなわち、第2フィット片56の下端は、着用者の鼻尖より下側に突出するように形成されている。第2フィット片56の上端は、内層20の上端よりも下側で終端しているのが好ましい。
【0040】
上部形状保持部材48(
図5)は、シート部としての第3シート部58と、フィット片としての第3フィット片60とを有する。第3シート部58は、第1方向Xに沿う方向に沿って延び、中央の下端において、第2シート部54の上端に接続している。第3シート部58は、上端縫合線L4を介して内層20の上端部に接続されている。上端縫合線L4は、第3シートと内層20とを縫合している。第3フィット片60は、マスク本体12の中央から左右両側へ延びており、上端縫合線L4において第3シート部58に縫い付けられている。第3フィット片60は、マスク本体12の中央で左右に分離している。すなわち第3フィット片60は、第3左フィット片60Lと第3右フィット片60Rとを有する。第3左フィット片60Lと、第3右フィット片60Rとは、中央側の端部同士の間が、所定の長さ分だけ離間している。さらに、第2フィット片56の上端は、第3左フィット片60L及び第3右フィット片60Rと、所定の長さ分だけ離間している。
【0041】
一対の耳掛け部14(
図1)は、マスク本体12の第1方向Xの両端部に接続されている。一対の耳掛け部14は、それぞれ、伸縮性を有する1枚の切りっぱなし生地で形成されている。切りっぱなし生地は、端縁が始末されていない、切断されたままの端縁を有する。一対の耳掛け部14は、涙滴型の貫通穴62を有する。貫通穴62は、尖った先端64と、球形状の基端66とを有する。貫通穴62の先端64はマスク本体12側の上端に配置されている。
【0042】
2.作用及び効果
図6を参照して、本実施形態に係るマスク10の作用及び効果を説明する。
図6は、マスク10を着用した状態を模式的に示す図である。
図6においてマスク10は、説明の便宜上、外部から内部を透過した状態が示されている。
図6に示すように、本実施形態に係るマスク10は、マスク本体12の上端を上側、下端を下側に配置し、内層20を着用者Pの肌側に向けて、一対の耳掛け部14をそれぞれ着用者Pの両耳に引っ掛けることによって、着用者Pに装着される。マスク10は、マスク本体12を着用者Pの鼻と口とを覆う位置に配置した状態で、着用者Pの顔に固定される。すなわち、着用されたマスク本体12は、第1方向Xの中央の上端が、着用者の鼻骨P1の近傍に配置され、下端が着用者の下顎P2より下側に配置される。主形状保持部材44の少なくとも一部は、着用者Pの唇より下側であって、下顎P2の先端より上側に配置される。マスク本体12の第1方向Xの中央は、第2方向Yに沿って、外側へ向かって凸となる形状を有するので、着用者Pの鼻骨P1から下顎P2までの範囲において着用者Pの顔に沿いやすい。
【0043】
外層16は、左外層22と右外層24とを第1方向Xの中央において縫合されることによって、一体化している。内層20は、左内層30と右内層32とを第1方向Xの中央における第2切替え線CL2で縫合されている。すなわち、マスク本体12は、中央折れ線L1が第2切替え線CL2と重なるため、中央折れ線L1に沿って、外側に凸となるように山折りしやすいので、着用者Pの顔に沿いやすい。
【0044】
マスク10に設けられた上部形状保持部材48、中央形状保持部材46及び主形状保持部材44は、着用者Pの顔の所定の位置に配置される。すなわち、上部形状保持部材48は、鼻骨P1から第1方向Xに沿って外向きに沿って延びている。中央形状保持部材46は、鼻骨P1から鼻筋を通って、鼻尖P3の下側まで、第2方向Yに沿って延びている。主形状保持部材44は、口元において第1方向Xに沿って延びている。
【0045】
マスク10は、主形状保持部材44によって着用者Pの口元と、マスク本体12との間に十分な空間Sを形成し、内層20が着用者Pの口元に触れることを抑制する。着用者Pが口を開いた場合、マスク本体12の下端部が着用者Pの顎によって下方へ引っ張られ、マスク本体12の上端部が着用者Pの鼻に引っ掛かることによって、マスク本体12に対し第2方向Yに引っ張る力が作用する。当該力によって、マスク本体12は、第2方向Yに沿って外側へ向かって凸となる形状から、平坦な形状となる方向へ変形する。これにより、主形状保持部材44は、着用者Pの唇と顎の間に位置したまま下方へ移動し、着用者Pの口元の第1方向Xの空間Sを維持する。
【0046】
形状保持部18は、外層16と内層20との間に配置されているので、外部から視認できず、しかも、着用者Pの肌に直接触れることがない。したがって、マスク10は、デザインの自由度を有すると共に、着用感の低下を抑制することができる。
【0047】
本実施形態の場合、主形状保持部材44は、内層20に縫い付けられているので、内層20の厚み方向の変形が抑制される。主形状保持部材44は、例えば、着用者Pが大きく息を吸い込んだ場合であっても、着用者Pの口元に吸い込まれる息によって内層20が厚み方向へ変形することを抑制する。したがって、マスク10は、スポーツ時などにおいて着用者Pが大きく息を吸い込んだ際も、着用者Pの口元とマスク本体12との間に空間Sを形成し、内層20が着用者Pの口に接触することを抑制できる。
【0048】
中央形状保持部材46は、下端が着用者Pの鼻尖P3より下側に配置されるので、鼻骨P1から鼻尖P3に向かって、第2方向Yに沿って厚み方向の前側へ傾斜し、鼻尖P3の下側で最大高さとなるので、鼻尖P3の下側におけるマスク本体12の高さが鼻尖P3の高さに維持される。ここでいうマスク本体12の高さとは、着用者Pの肌表面から第3方向の外側に向かう長さをいう。すなわち、マスク本体12は、中央形状保持部によって鼻尖P3の高さが維持された鼻尖P3の下側から、主形状保持部材44によって形成された第1方向Xの空間Sに接続される。したがって、マスク10は、主形状保持部材44と中央形状保持部材46によって、着用者Pの口元とマスク本体12との間に空間Sを形成しやすい。
【0049】
上部形状保持部材48は、第1方向Xに沿う方向に沿って延びているため、鼻骨P1から頬に沿った形状、すなわち、第3方向Zの内側へ凸となる湾曲した形状を形成しやすいので、マスク本体12のずれ落ちを抑制する。したがってマスク10は、主形状保持部材44によって形成された着用者Pの口元とマスク本体12との間の空間Sの位置ずれを抑制する。
【0050】
形状保持部18は、ダブルラッセル編みのシート部を有するのが好ましい。シート部は、メッシュ構造であって嵩高いため、通気性を有しながら、着用者Pの肌とマスク本体12との間に空間Sをより確実に形成する。したがって、マスク10は、マスク本体12と着用者Pの口元の間に空気が籠ることを抑制する。
【0051】
ダブルラッセル編みのシート部は、I字状である、すなわち、口元層42に対応する形状を有する第1シート部50と、第2方向Yに沿って延びる直線状であり下端が第1シート部50の上端に接続された第2シート部54と、上端縫合線L4を介して内層20の上端部に接続された第3シート部58とを有し、着用者Pの頬にシート部が配置されない。したがってマスク10は、着用者Pの頬にダブルラッセル編みのシート部が重ならないので、厚手の生地に触れることによって着用者Pが感じる違和感を低減できる。
【0052】
形状保持部18は、塑性変形可能なフィット片を有するのが好ましい。フィット片は、塑性変形可能なため、着用者Pの鼻、口、顎の形状や位置に合わせて変形し、かつ変形後の形状を保持する。
【0053】
形状保持部18が、シート部とフィット片とを有することによって、シート部によって着用者Pの肌とマスク本体12との間に形成された空間Sを、フィット片によって保持する。したがって、マスク10は、マスク本体12と着用者Pの口元との間に形成された空間Sを、長時間保持することができる。
【0054】
フィット片は、シート部材の厚み方向の外側の表面に縫い付けられることによって、着用者Pの肌に触れることが防止される。しかもシート部は、嵩高いダブルラッセル編みであることによって、クッション性に優れる。したがって、マスク10は、着用者Pの肌とフィット片の間にシート部を介在させているので、フィット片による肌触りの低下を防止できる。
【0055】
主形状保持部材44は、第1方向Xに沿って延びる第1フィット片52が、第1切替え線CL1に縫い付けられていることによって、第1切替え線CL1に沿ってマスク本体12の形状を保持する。第1切替え線CL1は、第1内層26と第2内層28とを縫合すると共に、第1シート部50及び第1フィット片52が縫い付けられていることによって、内層20の厚み方向の変形をより確実に抑制できる。したがって、マスク10は、着用者Pの鼻と口元の間に形成された空間Sを保持しやすい。
【0056】
中央形状保持部材46は、第2方向Yに沿って延びる第2フィット片56が、第2切替え線CL2に縫い付けられていることによって、第2切替え線CL2に沿ってマスク本体12の形状を保持する。第2フィット片56は、着用者Pの鼻尖P3より下側に配置されるので、鼻尖P3の下側までマスク本体12の高さがより確実に維持される。すなわち、マスク本体12は、第2フィット片56によって鼻尖P3の下側においてマスク本体12の位置が鼻尖P3の高さにより確実に維持されるので、主形状保持部材44によって形成された第1方向Xの空間Sと接続することによって、着用者Pの鼻と口元の間に形成された空間Sを保持しやすい。
【0057】
上部形状保持部材48は、左右に互いに分離した第3左フィット片60Lと第3右フィット片60Rとを有する(
図5)ので、着用者Pの鼻筋と第3フィット片60が重ならない。すなわち、マスク本体12は、鼻筋と重なる部分の厚みが薄いので、着用者Pの鼻筋に密着しやすい。またマスク10は、着用者Pの鼻筋に第3フィット片60が重ならないので、硬さを有するフィット片に由来する違和感を抑制できる。
【0058】
第2フィット片56の上端は、第3左フィット片60L及び第3右フィット片60Rの中央側の端部と分離している(
図5)ので、マスク本体12の中央の上端部分の厚みが薄い。したがってマスク10は、マスク本体12が着用者Pの鼻筋に密着しやすい
【0059】
外層16と内層20とは、外縁において互いに縫合されており、内層20の表面積が外層16の表面積より小さいので、内層20は外層16から面方向へ引張力を受けやすく、弛みが抑制される。したがって、マスク10は、内層20の弛みが抑制され、内層20が着用者Pの肌にまとわりつくことが抑制される。
【0060】
第1内層26は、左口元層36と右口元層40とが一体化された口元層42を有する。口元層42は、上向きに凸となる半円形状であって、下端が第1切替え線CL1によって、上端が左口元線L2及び右口元線L3によって、主形状保持部材44と縫合されている。したがって、口元層42は、上端が中央形状保持部材46によって厚み方向外向きの力を受けると共に、下端が主形状保持部材44によって左右方向外向きの力を受けることによって、下端から上端に向かって前向きに傾斜し、第3方向Zの外側へ突出した形状になりやすい。したがって、マスク10は、口元層42を有することによって、着用者Pの口元に空間Sを形成しやすい。
【0061】
耳掛け部14は、伸縮性を有する切りっぱなし生地で形成されている。着用者Pの耳に欠けられる貫通穴62が尖った先端64と、球形状の基端66とを有する涙滴型である。着用者Pに装着された場合、耳掛け部14は着用者Pの耳とマスク本体12の間で引張力が付与される。当該引張力による応力は、上記貫通穴62の先端64が尖った形状を有するので、当該先端64に集中する。耳掛け部14は、応力が先端64に集中することによって、貫通穴62の先端64を中心に変形する。貫通穴62の先端64は、マスク本体12側の上端に配置されていることによって、耳掛け部14は上向きに変形する。したがって、マスク10は、着用者Pの耳たぶに耳掛け部14が引っ掛かることによって、外れにくくなる。
【0062】
3.変形例
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨の範囲内で、適宜変更することができる。例えば、上記実施形態では、形状保持部は、シート部と、フィット片とを有する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、シート部とフィット片の少なくとも一方を有することによって、本発明の効果を得ることができる。
【0063】
上記実施形態では、形状保持部は、主形状保持部材、中央形状保持部材、及び上部形状保持部材を有する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、形状保持部は、少なくとも主形状保持部材を有していればよい。
【符号の説明】
【0064】
10 マスク
12 マスク本体
14 耳掛け部
16 外層
18 形状保持部
20 内層
26 第1内層
28 第2内層
30 左内層
32 右内層
44 主形状保持部材(形状保持部)
46 中央形状保持部材(形状保持部)
48 上部形状保持部材(形状保持部)
50 第1シート部(シート部)
52 第1フィット片
54 第2シート部(シート部)
56 第2フィット片
58 第3シート部(シート部)
60 第3フィット片
CL1 第1切替え線
CL2 第2切替え線
P 着用者
P1 鼻骨
P2 下顎
P3 鼻尖
S 空間
X 第1方向(左右方向)
Y 第2方向(上下方向)
Z 第3方向(厚み方向)