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特開2023-176646販売促進支援装置、販売促進支援方法、および販売促進支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176646
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】販売促進支援装置、販売促進支援方法、および販売促進支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0251 20230101AFI20231206BHJP
【FI】
G06Q30/02 398
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089043
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】山谷 愛子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB07
(57)【要約】
【課題】 ユーザに煩わしさを感じさせないような販促企画の提供を支援する。
【解決手段】 ユーザの行動に関する情報である行動情報と、販促企画を提供する時刻と、のうち少なくとも一つを取得する取得手段と、取得された前記行動情報と、前記時刻と、のうち少なくとも一つに基づいて、販促企画に対する前記ユーザの受容度を推定する受容度推定手段と、前記受容度に応じて、前記ユーザに提供する販促企画を決定する販促企画決定手段と、を備える販売促進支援装置。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの行動に関する情報である行動情報と、販促企画を提供する時刻と、のうち少なくとも一つを取得する取得手段と、
取得された前記行動情報と、前記時刻と、のうち少なくとも一つに基づいて、販促企画に対する前記ユーザの受容度を推定する受容度推定手段と、
前記受容度に応じて、前記ユーザに提供する販促企画を決定する販促企画決定手段と、
を備える販売促進支援装置。
【請求項2】
前記受容度推定手段は、前記行動情報と、時刻とのうち少なくとも一つと、前記受容度と、の関係性を示す情報に基づいて、前記受容度を推定する
請求項1に記載の販売促進支援装置。
【請求項3】
前記販促企画決定手段は、前記受容度に基づいて、前記ユーザに提供する販促企画の種類または量のうち少なくとも一つを決定する
請求項1に記載の販売促進支援装置。
【請求項4】
前記販促企画決定手段は、前記受容度が高くなるほど、前記ユーザが販促企画を実行する負荷がより高い販促企画を、前記ユーザに提供する販促企画として決定する
請求項1に記載の販売促進支援装置。
【請求項5】
前記販促企画決定手段は、前記受容度が低くなるほど、前記ユーザが販促企画を実行する負荷がより低い販促企画を、前記ユーザに提供する販促企画として決定する
請求項1に記載の販売促進支援装置。
【請求項6】
前記行動情報は、前記ユーザがスキャンした商品に関する情報である
請求項1に記載の販売促進支援装置。
【請求項7】
前記行動情報は、前記ユーザの所定時間内の行動履歴に関する情報である
請求項1に記載の販売促進支援装置。
【請求項8】
前記行動情報は、前記ユーザの所定時間内の移動速度を示す情報である
請求項1に記載の販売促進支援装置。
【請求項9】
前記受容度推定手段は、前記行動情報に基づいて推定された、前記ユーザの現在の状況に基づいて、前記受容度を推定する
請求項1に記載の販売促進支援装置。
【請求項10】
前記受容度推定手段は、前記行動情報に基づいて、前記ユーザが店舗外を歩行していることを推定した場合、受容度が基準値未満であると推定する
請求項1に記載の販売促進支援装置。
【請求項11】
前記販促企画決定手段は、前記受容度が基準値以上の場合、販促企画を提供する
請求項1ないし10のいずれかに記載の販売促進支援装置。
【請求項12】
前記販促企画決定手段は、前記ユーザに提供する販促企画として、所定地点における所定操作の実行を決定する
請求項1に記載の販売促進支援装置。
【請求項13】
前記販促企画決定手段は、前記ユーザに提供する販促企画として、動画の視聴を決定する
請求項1に記載の販売促進支援装置。
【請求項14】
前記ユーザが実行した販促企画の量に応じて、前記ユーザに報酬を付与する報酬付与手段
をさらに備える請求項1に記載の販売促進支援装置。
【請求項15】
前記報酬付与手段は、前記ユーザが実行した販促企画の前記量が大きい場合、前記ユーザに大きな報酬を付与する
請求項14に記載の販売促進支援装置。
【請求項16】
コンピュータが、
ユーザの行動に関する情報である行動情報と、販促企画を提供する時刻と、のうち少なくとも一つを取得し、
取得された前記行動情報と、前記時刻と、のうち少なくとも一つに基づいて、販促企画に対する前記ユーザの受容度を推定し、
前記受容度に応じて、前記ユーザに提供する販促企画を決定する、
販売促進支援方法。
【請求項17】
ユーザの行動に関する情報である行動情報と、販促企画を提供する時刻と、のうち少なくとも一つを取得する処理と、
取得された前記行動情報と、前記時刻と、のうち少なくとも一つに基づいて、販促企画に対する前記ユーザの受容度を推定する処理と、
前記受容度に応じて、前記ユーザに提供する販促企画を決定する処理と、
をコンピュータに実行させる販売促進支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザに対する販売促進の提供を支援する技術等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、買い上げ状況に応じて販促企画を設定する販売促進システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-217222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の販売促進システムでは、販促企画を設定する際にユーザの状況が考慮されておらず、ユーザが販促企画に対して煩わしさを感じてしまう可能性がある。
【0005】
本開示の目的の一例は、ユーザに煩わしさを感じさせないような販促企画の提供を支援することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様における販売促進支援装置は、ユーザの行動に関する情報である行動情報と、販促企画を提供する時刻と、のうち少なくとも一つを取得する取得手段と、取得された前記行動情報と、前記時刻と、のうち少なくとも一つに基づいて、販促企画に対する前記ユーザの受容度を推定する受容度推定手段と、前記受容度に応じて、前記ユーザに提供する販促企画を決定する販促企画決定手段と、を備える。
【0007】
本開示の一態様における販売促進支援方法は、コンピュータが、ユーザの行動に関する情報である行動情報と、販促企画を提供する時刻と、のうち少なくとも一つを取得し、取得された前記行動情報と、前記時刻と、のうち少なくとも一つに基づいて、販促企画に対する前記ユーザの受容度を推定し、前記受容度に応じて、前記ユーザに提供する販促企画を決定する。
【0008】
本開示の一態様における販売促進支援プログラムは、コンピュータに、ユーザの行動に関する情報である行動情報と、販促企画を提供する時刻と、のうち少なくとも一つを取得する処理と、取得された前記行動情報と、前記時刻と、のうち少なくとも一つに基づいて、販促企画に対する前記ユーザの受容度を推定する処理と、前記受容度に応じて、前記ユーザに提供する販促企画を決定する処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示による効果の一例は、ユーザに煩わしさを感じさせないような販促企画の提供を支援できることである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態における、販売促進支援装置の構成を示すブロック図である。
図2】本開示における、販売促進支援システムの概念を示す図である。
図3】実施形態における、移動速度を用いて受容度を推定する場合の、販売促進支援装置の構成を示すブロック図である。
図4】実施形態における、移動速度と受容度との関係性を示す情報の一例を示す図である。
図5】実施形態における、時刻と受容度との関係性を示す情報の一例を示す図である。
図6】実施形態における、行動予定と受容度との関係性を示す情報の一例を示す図である。
図7】実施形態における、受容度と販促企画とが関連付けられた情報の一例を示す図である。
図8】実施形態における、受容度と販促企画とが関連付けられた情報の一例を示す図である。
図9】実施形態における、販売促進支援装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図10】変形例1における、販売促進支援装置の構成を示すブロック図である。
図11】本開示における販売促進支援装置をコンピュータ装置とその周辺装置で実現したハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
[実施形態]
図1は、実施形態における販売促進支援装置100の構成を示すブロック図である。図1を参照すると、販売促進支援装置100は、取得部101と、受容度推定部102と、販促企画決定部103と、を備える。取得部101は、受容度の推定に用いられる情報を取得する。受容度推定部102は、販促企画に対する前記ユーザの受容度を推定する。そして、販促企画決定部103は、受容度に応じて、ユーザに提供する販促企画を決定する。
【0013】
本開示の販売促進支援装置100の利用例について説明する。販売促進支援装置100は、ユーザ端末に提供する販売促進支援システムに含まれる。図2は、販売促進支援システム10の概念を示す図である。
【0014】
図2において、販売促進支援システム10は、ユーザ、すなわちユーザ端末に販促企画を提供するシステムである。販促企画とは、販売促進のためにユーザ端末に対して提供される企画である。販促企画は、例えば、商品または店舗を紹介する動画である。また、例えば、販促企画は、ユーザの回遊を促進させるためのスタンプラリーのような企画である。なお、販促企画は、これらの例に限られない。また、ユーザが販促企画を実行する場所は、店舗内または店舗外であってよい。
【0015】
販売促進支援システム10において、販売促進支援装置100が決定した販促企画は、販売促進支援装置100または外部のサーバまたはクラウドコンピューティングシステムによって、ユーザ端末に提供される。
【0016】
例えば、販促企画は、販売を促進したい商品を紹介する動画などの画像のデータがユーザ端末に提供されることにより、ユーザに提供される。また、例えば、販促企画は、ユーザの店舗内における回遊を促進させるための企画をユーザ端末に実行させるデータがユーザ端末に提供されることにより、ユーザに提供する。また、例えば、販促企画は、ユーザのニーズを知るためのアンケートをユーザ端末に実行させるデータをユーザ端末に提供することにより、ユーザに提供される。提供されるデータは、例えば、ユーザ端末のブラウザまたはアプリにおいて、ユーザが販促企画を実行するためのデータである。
【0017】
図2の説明に戻る。販売促進支援システム10は、販売促進支援装置100、ユーザ端末400A、ユーザ端末400B、および、ユーザ端末400Cを含む。ユーザ端末400A、ユーザ端末400B、および、ユーザ端末400Cは、ユーザ端末400ともいう。
販売促進支援システム10において、販売促進支援装置100とユーザ端末400とは、通信可能に接続される。また、販売促進支援装置100およびユーザ端末は、外部のデータベースと通信可能に接続されてもよい。
【0018】
販売促進支援装置100は、以下で説明するように、ユーザの受容度を推定し、受容度に応じて販促企画を決定する。販売促進支援装置100は、サーバまたはクラウドコンピューティングシステムとして実現されてよい。
【0019】
ユーザ端末400は、ユーザが利用する端末装置である。ユーザ端末400は、ユーザが所有する端末でもよいし、店舗のショッピングカートに設置された端末であってもよい。販促企画を提供されるユーザ端末400は、店舗内のユーザ端末400A、店舗外のユーザ端末400B、または、ユーザの自宅のユーザ端末400Cであってよい。すなわち、販売促進支援システム10が受容度の推定および販促企画の決定を行う対象となるユーザは、店舗内のユーザに限られない。また、ユーザ端末400の数は、図2の例に限られない。
【0020】
次に、図1の説明に戻り、実施形態における販売促進支援装置100の構成について詳しく説明する。図1において、取得部101は、ユーザの行動に関する情報である行動情報と、販促企画を提供する時刻と、のうち少なくとも一つを取得する取得手段の一例である。ユーザの行動に関する情報である行動情報と、販促企画を提供する時刻とは、受容度推定部102が、販促企画に対するユーザの受容度を推定するために用いられる情報である。行動情報は、販促企画を提供するときのユーザの行動を推定するために用いられる情報である。例えば、行動情報には、ユーザの行動履歴、ユーザの現在の行動を示す位置情報、移動速度情報、または店舗や屋外の監視カメラによるユーザの画像などの情報、ユーザの行動予定、ユーザの行動に関連する属性情報が含まれる。また、販促企画を提供する時刻は、現在時刻であってよい。または、販促企画を提供する時刻は、販促企画を提供するとあらかじめ決められた未来の時刻であってもよい。取得部101は、これらの情報を、ユーザ端末または外部のデータベースから取得してよい。また、取得部101は、図示しない検出部を備えて、受容度推定に用いられる情報を自ら検出してもよい。
【0021】
受容度推定部102は、ユーザの行動に関する情報である行動情報と、販促企画を提供する時刻と、のうち少なくとも一つに基づいて、販促企画に対するユーザの受容度を推定する受容度推定手段の一例である。受容度とは、ユーザが販促企画を受容するか否かの度合いである。換言すれば、受容度とは、ユーザが販促企画を実行する可能性、ユーザが販促企画に参加する可能性、または、ユーザが販促企画に参加しやすい状況であるか否かの度合いである。受容度推定部102は、例えば、行動情報と受容度との関係性を示す情報と、時刻と受容度との関係性を示す情報と、のうち少なくとも一つに基づいて、受容度を推定する。
【0022】
受容度は、いくつかの段階で表されてよい。例えば、受容度は、「高」、「中」、「低」などと、複数の段階で表されてよい。または、受容度は、「1」から「100」などの数値で表されてもよい。また、受容度は、「なし」または「0(ゼロ)」などのように、受容度がない場合があってもよい。受容度の表し方は、これらの例に限られない。
【0023】
受容度推定部102が受容度を推定する方法の例について説明する。例えば、受容度推定部102は、行動情報または時刻に基づいて、ユーザが急いでいるか否かを推定することにより、ユーザの販促企画に対する受容度を推定する。ユーザは、急いでいる場合は販促企画を実行する余裕がないと想定される。また、反対に、ユーザは、急いでいない場合は販促企画を実行する余裕あると想定される。以下の説明において、ユーザが急いでいるか否かは、時間的受容度とも呼ばれる。
【0024】
まず、受容度推定部102が時間的受容度を行動情報に基づいて推定する例について説明する。例えば、受容度推定部102は、ユーザが急いでいるか否かを、ユーザの移動速度に基づいて推定することにより、受容度を推定する。ユーザの移動速度は、ユーザの行動に関する情報である行動情報の一例である。移動速度は、例えば、現在時刻から所定時間前までの間の平均移動速度、店舗に入店した後の移動速度、現在の移動速度であってよい。
【0025】
受容度がユーザの移動速度に基づいて推定される場合における、販売促進支援装置の一例である販売促進支援装置200について、図3を参照して説明する。
【0026】
図3において、販売促進支援装置200は、移動速度取得部201、受容度推定部202、販促企画決定部203、および、記憶部204を備える。移動速度取得部201は、取得部の一例である。販売促進支援装置200は、販売促進支援装置100と同様に、販売促進支援システムに適用されてよい。
【0027】
移動速度取得部201は、まず、ユーザの移動速度を取得する。ユーザの移動速度は、ユーザ端末の移動速度であってよい。ユーザ端末の移動速度は、例えば、ユーザ端末またはユーザ端末と通信可能に接続される外部装置によって検出される。例えば、ユーザ端末の移動速度は、ユーザ端末の位置情報の変化および時刻の変化を用いて算出されてよい。
【0028】
次に、受容度推定部202は、取得されたユーザの移動速度に基づいて、受容度を推定する。例えば、受容度推定部202は、取得されたユーザの移動速度を用いて、記憶部204に記憶された移動速度と受容度との関係性を示す情報を参照することにより、受容度を推定する。
【0029】
図4は、記憶部204に記憶される移動速度と受容度との関係性を示す情報の一例である。ユーザの移動速度が大きい場合、ユーザは急いで移動している、つまり、ユーザは販促企画を実行する余裕がないと想定される。また、反対に、ユーザの移動速度が小さい場合、ユーザはゆっくりと移動している、つまり、ユーザは販促企画を実行する余裕があると想定される。そのため、図4に示されるように、受容度は、例えば、移動速度が大きいほど低く、移動速度が小さいほど高く設定されてよい。また、図4の例において、受容度は、「高」、「中」、「低」の段階で示される。例えば、図4の例において、ユーザの移動速度が時速2.5km/hであった場合、受容度推定部202は、受容度が「高」である、すなわち、受容度が高いと推定する。
【0030】
また、図4の例に示されるように、移動速度がある値よりも大きい場合、受容度は「なし」と設定されてよい。受容度が「なし」である場合については、変形例2において説明する。
【0031】
なお、移動速度と受容度との関係性を示す情報は、これらの例に限られない。移動速度と受容度との関係性を示す情報は、ユーザごとに設定されてよい。この場合、移動速度と受容度との関係は、例えば、ユーザの過去の移動速度の平均値、中央値、最大値、最小値などを用いて設定されてよい。例えば、平均値からマイナス0.5からプラス0.5の範囲の速度は受容度「中」、または、最大値からマイナス1.0以上の範囲の速度は受容度「高」、などと設定されてよい。
【0032】
または、移動速度と受容度との関係性を示す情報は、ユーザの属性ごとに設定されてよい。移動速度と受容度との関係性が変化すると考えられるユーザの属性は、移動速度すなわち歩行速度に差がある、年代、歩行補助具の有無、子供の有無などである。
【0033】
また、移動速度と受容度との関係性を示す情報がユーザごとまたはユーザの属性ごとに設定される場合、受容度推定部202は、ユーザまたはユーザの属性の識別情報を取得する。そして、受容度推定部202は、ユーザまたはユーザの属性の識別情報に関連付けられた、移動速度と受容度との関係性を示す情報を参照して、受容度を推定すればよい。ユーザの識別情報は、ユーザを識別可能な情報である。識別情報は、例えば、文字列である。また、ユーザの識別情報は、ユーザ端末の識別情報であってもよい。
【0034】
なお、移動速度を用いてユーザが急いでいるか否かを推定することにより受容度を推定する方法は、販売促進支援装置200の例に限られない。例えば、記憶部204は、外部に通信可能に接続される記憶装置であってもよい。
【0035】
次に、受容度推定部102が時間的受容度を時刻に基づいて推定する例について説明する。例えば、受容度推定部102は、ユーザが急いでいるか否かを、現在の時刻に基づいて推定することにより、受容度を推定する。ユーザの受容度は、時刻によって変化することがあると考えられる。この場合、受容度推定部102は、まず、現在の時刻を取得する。次に、受容度推定部102は、時刻に基づいて、受容度を推定する。例えば、受容度推定部102は、取得された時刻を用いて、時刻と受容度との関係性を示す情報を参照することにより、受容度を推定する。時刻と受容度との関係性を示す情報は、販売促進支援装置100の内部または外部に通信可能に接続される記憶部に格納される。
【0036】
図5は、時刻と受容度との関係性を示す情報の一例である。図5は、ユーザが働いていることによって一日の中で受容度が変化する場合の、時刻と受容度との関係性を示す情報の一例である。
【0037】
図5に示されるように、受容度は、例えば、ユーザが昼間に仕事をしていると想定される場合、通勤時間、労働時間を考慮して設定される。例えば、図5の例において、家を出るまでの時間帯、および、労働時間と予想される時間帯において、受容度は「なし」と設定される。通勤時間帯および退勤時間帯において、受容度は「低」と設定される。家を出るまでの時間帯、および、通勤時間帯はユーザが急いでいる可能性が高いために、受容度「なし」および「低」であると想定される。また、退勤時間帯は、ユーザに子供がいる場合に子供の迎え等があり急いでいる可能性が高いために、受容度「低」であると想定される。また、図3に示されるように、休憩時間と予想される時間帯において、受容度は「中」と設定される。帰宅後と予想される時間帯において、受容度は、「高」と設定される。休憩時間および帰宅後は、ユーザが急いでいないと想定されるため、休憩時間および帰宅後である時間帯は、受容度「中」および「高」と設定される。例えば、現在時刻が8時15分であった場合、受容度推定部102は、受容度が「低」であると推定する。
【0038】
なお、時刻と受容度との関係は、これらの例に限られない。例えば、時刻と受容度との関係は、1日の所定の時間だけに設定されてもよい。例えば、朝の時間帯の受容度は、低く設定され、他の時間帯は他の方法により受容度を推定する、などというように設定されてよい。
【0039】
また、例えば、時刻と受容度との関係性を示す情報は、ユーザごとに設定されてよい。この場合、時刻と受容度との関係は、例えば、ユーザ端末の操作ログを用いて設定されてよい。ユーザ端末が操作されていない傾向にある時間帯は、ユーザがユーザ端末を操作して販促企画を実行する可能性が低いと考えられるため、受容度が低めに設定されてよい。または、時刻と受容度との関係は、ユーザの入力により設定されてもよい。
【0040】
または、時刻と受容度との関係性を示す情報は、ユーザの属性ごとに設定されてよい。時刻と受容度との関係が異なると考えられるユーザの属性は、職業、子供の有無などである。また、時刻と受容度との関係性を示す情報は、平日と土日祝日、または、出勤日と休日で異なるように設定されてよい。
【0041】
また、時刻と受容度との関係性を示す情報がユーザごとまたはユーザの属性ごとに設定される場合、受容度推定部102は、ユーザまたはユーザの属性の識別情報を取得する。そして、受容度推定部102は、ユーザまたはユーザの属性の識別情報に関連付けられた、時刻と受容度との関係性を示す情報を参照して、受容度を推定すればよい。
【0042】
次に、受容度推定部102が時間的受容度を、行動情報および時刻に基づいて推定する例について説明する。例えば、受容度推定部102は、ユーザが急いでいるか否かを、ユーザの行動予定に基づいて推定することにより、受容度を推定する。ユーザの行動予定は、ユーザの行動に関する情報である行動情報の一例である。行動予定は、少なくとも予定のある時間の情報を含む。また、行動予定は、予定の内容、重要度、場所などの情報を含んでもよい。行動予定は、例えば、アンケートによってユーザが入力したものであってよい。この場合、行動予定は、ユーザの識別情報に関連付けられて、販売促進支援装置100の記憶部に記憶されたものであってよい。または、行動予定は、ユーザが利用する端末装置内のカレンダーアプリケーション等にユーザが入力し、ユーザ端末の内部または外部に通信可能に接続される記憶部に記憶されたものであってもよい。
【0043】
この場合、受容度推定部102は、まず、ユーザの識別情報を取得する。そして、受容度推定部102は、ユーザの識別情報が関連付けられたユーザの行動予定を取得する。次に、受容度推定部102は、ユーザの行動予定に基づいて、受容度を推定する。例えば、受容度推定部102は、ユーザの行動予定と、行動予定と受容度との関係性を示す情報と、を用いて受容度を推定する。行動予定と受容度との関係性を示す情報は、内部または外部に通信可能に接続される記憶部に格納される。
【0044】
図6は、行動予定の有無および行動予定までの時間と受容度との関係性を示す情報の一例である。予定時間に近い場合、ユーザは、準備や移動のために急いでいる可能性があると想定される。そのため、例えば、図6に示されるようにある時刻における受容度は、その時刻に予定がなければ高く、時刻が予定時間に近付くほど低く、時刻が、予定時間である間はなしと設定されてよい。例えば、取得部101は、ユーザの行動予定がある場合、現在時刻を取得する。そして、受容度推定部102は、予定がある時間帯である予定時間が開始するまでの時間を算出する。そして、受容度推定部102は、算出された時間と、図6に示される行動予定の有無と受容度との関係性を示す情報とに応じて、受容度を推定する。なお、行動予定の有無および行動予定までの時間と受容度との関係性を示す情報はこれらに限られない。
【0045】
また、行動予定が受容度の推定に用いられる場合、受容度推定部102は、さらにユーザの位置情報を利用して受容度を推定してもよい。行動予定に行動予定場所が含まれる場合、取得部101は、現在位置から行動予定場所までの移動に必要な時間を取得する。そして、受容度推定部102は、行動予定の開始時刻と現在時刻との差分と、取得された、現在位置から行動予定場所までの移動に必要な時間と、を比較する。例えば、受容度推定部102は、行動予定の開始時刻までの時間が、移動に必要な時間よりも長いほど、受容度をより高く推定すればよい。
【0046】
次に、受容度推定部102が受容度を推定する方法の他の例について説明する。例えば、受容度推定部102は、行動情報と、時刻と、のうち少なくとも一つに基づいて、動き回りやすいか否かを推定することにより、ユーザの販促企画に対する受容度を推定する。この場合、販促企画は、来店の促進、または、店舗内での回遊を促進するための企画である。
【0047】
店舗内での回遊を促進するための企画は、例えば、所定地点における所定操作の実行である。具体的には、店舗内での回遊を促進するための企画は、所定地点である店舗内の商品のバーコード、または、所定地点である店舗内の商品棚等に設置された二次元コード等を、ユーザ端末で読み取る所定操作を実行するスタンプラリーのような企画であってよい。また、店舗内での回遊を促進するための企画は、この例に限られない。
【0048】
受容度推定部102は、動き回りやすいか否かを、ユーザの行動に関する情報である行動情報に基づいて推定する。以下の説明において、ユーザが動き回りやすいか否かは、歩き回り受容度とも呼ばれる。
【0049】
例えば、受容度推定部102は、行動情報であるユーザの行動履歴に基づいて、ユーザの動き回りやすさを推定する。ユーザは、荷物の量、または、連れている人や動物によって、動き回りやすさが変化することが考えられる。例えば、受容度推定部102は、ユーザの所定の期間の行動履歴に基づいて、荷物の量、または、連れている人や動物を推定することにより、受容度を推定する。
【0050】
ユーザの行動履歴は、例えば、ユーザ端末の位置情報の履歴から推定される、ユーザが訪問した施設を示す情報である。または、ユーザの行動履歴は、ユーザ端末の位置情報の履歴から推定される、ユーザが利用する交通手段を示す情報でもよい。ユーザ端末、または、受容度推定部102は、位置情報の履歴に基づいて、行動履歴を推定する。ユーザの行動履歴は、ユーザの識別情報に関連付けられて、販売促進支援装置100の内部または外部に通信可能に接続される記憶部に格納されてよい。また、記憶部に格納されるユーザの行動履歴は、直近の所定期間の行動履歴であって良い。
【0051】
例えば、受容度推定部102は、ユーザの行動履歴に基づいて、ユーザが子供を連れているかどうかを推定する。まず、受容度推定部102は、ユーザ端末の位置情報を取得する。受容度推定部102は、ユーザ端末の位置情報の履歴から、ユーザが、午後に職場を出て店舗に来るまでに保育園、幼稚園、塾などの子供向けの施設に立ち寄っているかどうかを判定する。例えば、受容度推定部102は、所定の施設において位置情報が一定時間以上変化しない場合に、ユーザがその施設に立ち寄ったと判定する。ユーザが保育園、幼稚園、塾など子供向けの施設に立ち寄ったと判定された場合、受容度推定部102は、ユーザが子供を連れて来店していると推定する。子供を連れていると、商品を見て回ることが難しいと考えられるため、この場合、受容度推定部102は、受容度が低いと推定してよい。
【0052】
また、例えば、受容度推定部102は、ユーザの行動履歴に基づいて、ユーザが荷物を持っているかどうか推定する。ユーザの行動履歴に基づいて、ユーザが他の複数の店に立ち寄っていると判定された場合、ユーザは、他の店で買物した荷物を持っていると想定される。荷物が多い場合、ユーザが歩き回ることが大変になると考えられるため、この場合、受容度推定部102は、受容度が低いと推定してよい。また、受容度推定部102は、行動履歴に加えて、ユーザの決済情報などの他の店での購買情報を利用して、荷物の量を推定してもよい。
【0053】
受容度推定部102は、ここまで説明した受容度の推定の方法を複数組み合わせて受容度を推定してもよい。例えば、受容度推定部102は、時間的受容度と歩き回り受容度との合計値を、ユーザの受容度としてもよい。
【0054】
また、受容度推定部102は、行動情報および時刻と、ユーザの販促企画実行の有無との関係を表すデータを教師データとして学習した学習済みモデルに、行動情報および時刻を入力することで、販促企画実行の可能性、すなわち受容度を推定してもよい。より具体的には、行動情報および時刻と、ユーザの販促企画実行の有無との関係を表すデータは、ユーザの行動情報および時刻に対して、ユーザが販促企画を実行したか否かが正解ラベルとしてラベル付けされたデータである。
【0055】
販促企画決定部103は、受容度に応じて、ユーザに提供する販促企画を決定する販促企画決定手段の一例である。販促企画決定部103は、受容度推定部102が推定した受容度に応じて、販促企画の種類または量のうち少なくとも一つを決定する。例えば、販促企画決定部103は、受容度を用いて、あらかじめ定められた、受容度と販促企画の種類または量のうち少なくとも一つとが関連付けられた情報を参照して、販促企画を決定する。受容度と販促企画の種類または量のうち少なくとも一つとが関連付けられた情報は、販売促進支援装置100の内部または外部に通信可能に接続される記憶部に格納される。
【0056】
販促企画の種類とは、広告動画の視聴、店舗内の商品をスキャンして回るスタンプラリー企画、アンケート回答などの、企画自体の種類である。販促企画の種類は、一つまたは複数であってよい。
【0057】
また、それぞれの販促企画の種類ごとに、さらに商品やメーカーなどの内容の種類があってよい。販促企画の内容の種類は、ユーザの嗜好に合わせて決定されてよい。ユーザの嗜好は、例えば、ユーザの識別情報に関連付けられて記憶される、ユーザの属性、ユーザの購買履歴情報、ユーザの興味を示す情報などに基づいて推定される。ユーザの興味を示す情報は、店舗内歩行時またはウェブブラウザ閲覧時の滞留時間から興味のある商品やカテゴリが推定されてもよいし、ユーザがアンケート等により入力した情報でもよい。
【0058】
販促企画の量とは、ユーザが販促企画を実行する数または時間である。販促企画の量が多いと、ユーザが販促企画を実行する負荷は大きくなる。販促企画の量は、動画の視聴であれば時間、スタンプラリーであればスキャン数、または、アンケートであれば設問数であってよい。または、スタンプラリーやアンケートにかかる予想所要時間であってもよい。
【0059】
販促企画決定部103は、受容度が高くなるほど、ユーザが販促企画を実行する負荷がより高い販促企画を、ユーザに提供する販促企画として決定する。また、販促企画決定部103は、受容度が低くなるほど、ユーザが販促企画を実行する負荷がより低い販促企画を、ユーザに提供する販促企画として決定する。
【0060】
ユーザが販促企画を実行する負荷は、例えば、前述した販促企画の量の多さである。負荷が高い販促企画をユーザが実行するには、高い受容度が必要である。また、ユーザが販促企画を実行する負荷は、販促企画の種類によっても変化する。例えば、ユーザが店舗内を動き回る必要がある販促企画は、動き回るという視点における負荷が高い。すなわち、ユーザが店舗内を動き回る必要がある販促企画は、止まっていても実行可能な動画の視聴やアンケート回答などの販促企画と比較して負荷が高い。
【0061】
販促企画決定部103は、例えば、推定された受容度を用いて、受容度と販促企画とが関連付けられた情報を参照することにより、ユーザに提供する販促企画を決定する。
【0062】
図7は、受容度と販促企画とが関連付けられた情報の一例である。図7において、販促企画の種類は動画のみであり、受容度と販促企画の量とが関連付けられた情報が表されている。販促企画の量は、受容度が高いほど、販促企画の負荷が高くなる、すなわち、動画の長さが長くなるように設定されている。販促企画決定部103は、図5に示される情報に基づいて、例えば、受容度「中」であった場合、販促企画決定部103は、ユーザに提供する販促企画として、30秒の動画を決定する。販促企画の内容の種類が複数ある場合、販促企画決定部103は、ユーザの嗜好に基づいて、30秒の動画を販促企画データベースから検索することにより、販促企画を決定してもよい。
【0063】
ここで、販促企画データベースとは、販促企画の情報を格納するデータベースである。販促企画の情報は、例えば、販促企画を提供するためのプログラムまたはデータ、販促企画の種類、販促企画の内容、販促企画の量、関連があるユーザの嗜好のカテゴリの情報を含む。販促企画データベースは、販売促進支援装置100の内部または通信可能な外部に設けられてよい。
【0064】
図8は、受容度と販促企画とが関連付けられた情報の他の例である。図8において、販促企画の種類はスタンプラリーおよび動画であり、受容度と、販促企画の種類と、販促企画の量と、が関連付けられた情報が表されている。販促企画の種類が複数ある場合、販促企画決定部103は、受容度と、販促企画の種類と、販促企画の量と、が関連付けられた情報に応じて、販促企画を決定する。
【0065】
受容度と販促企画とが関連付けられた情報は、これらに限られない。
【0066】
また、販促企画決定部103は、時間的受容度と歩き回り受容度との組み合わせに対して、販促企画を決定してもよい。
【0067】
以上のように構成された販売促進支援装置100の動作について、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0068】
図9は、実施形態における販売促進支援装置100の動作の概要を示すフローチャートである。なお、このフローチャートによる処理は、プロセッサによるプログラム制御に基づいて、実行されてもよい。
【0069】
図9に示すように、まず、取得部101は、時刻およびユーザの行動情報のうち少なくとも一つを取得する(ステップS101)。
【0070】
次に、受容度推定部102は、ステップS101において取得された時刻およびユーザの行動情報のうち少なくとも一つに基づいて、ユーザの受容度を推定する(ステップS102)。
【0071】
次に、販促企画決定部103は、ステップS103において推定された受容度に応じて、販促企画を決定する(ステップS103)。
【0072】
以上で、販売促進支援装置100は、一連の動作を終了する。これら一連の動作は、繰り返し実行されてよい。また、販売促進支援装置100は、ユーザごとに一連の動作を繰り返し実行してよい。また、決定された販促企画は、販売促進支援装置100または外部のサーバ等によって、ユーザ端末に提供されてよい。
【0073】
上述した本実施形態における販売促進支援装置は、受容度推定部が、ユーザの行動に関する情報である行動情報と、時刻と、のうち少なくとも一つに基づいて、販促企画に対するユーザの受容度を推定する。そして、販促企画決定部が、受容度に応じて、ユーザに提供する販促企画を決定する。
【0074】
販売促進支援装置100は、このように構成されることにより、ユーザの状況に応じて受容できる販促企画を決定し、ユーザは、受容しやすい販促企画を提供されることができる。その結果、本実施形態における販売促進支援装置は、ユーザに煩わしさを感じさせないような販促企画の提供を支援することができる。
【0075】
[変形例1]
次に、本開示の実施形態の変形例1について、図面を参照して詳細に説明する。
【0076】
図10は、本開示の実施形態の変形例1にかかる販売促進支援装置の構成を示すブロック図である。実施形態の変形例1の販売促進支援装置300は、実施形態の構成に加えて、報酬付与部305を含む。販売促進支援装置300は、販売促進支援装置100と同様に、販売促進支援システムに適用されてよい。
【0077】
報酬付与部305は、ユーザが実行した販促企画の量に応じて、ユーザに報酬を付与する報酬付与手段の一例である。例えば、まず、報酬付与部305は、ユーザが実行した販促企画の量を取得する。次に、報酬付与部305は、ユーザが実行した販促企画の量を用いて、あらかじめ定められた、販促企画の量と報酬とが関連付けられた情報を参照することにより、ユーザに付与する報酬を決定する。そして、報酬付与部305は、報酬をユーザに対して付与する。
【0078】
報酬は、例えば、値引きクーポンである。値引きクーポンは、販促企画の内容である商品やメーカーに関連する特定商品に対する者であってもよい。また、報酬は、ポイントの加算、試供品や商品のプレゼントの提供であってもよい。このような報酬があることにより、ユーザの販促企画への参加がより促進される。
【0079】
報酬付与部305は、例えば、ユーザが実行した販促企画の量が大きいほど、ユーザに大きな報酬を付与してよい。このように、販促企画の量によって報酬が変化することで、ユーザの販促企画への参加が、より促進される。
【0080】
[変形例2]
実施形態の変形例2において、受容度推定部102が、受容度が基準値未満であると推定する場合、および、販促企画決定部103が販促企画を提供しない場合について説明する。
【0081】
受容度推定部102は、前述した行動情報に基づいて、ユーザが販促企画を実行するべきでない状況である場合、または、ユーザが販促企画を実行する可能性が著しく低い場合に、受容度が基準値未満であると推定する。以下の説明において、受容度の基準値は、ユーザが販促企画を実行可能な受容度の下限である。なお、基準値はこの例に限られず、販売促進支援装置100は、ユーザの状況に応じて、販促企画を提供しないことを選択可能に構成されてよい。
【0082】
例えば、図4の例に示されるように、移動速度がある値よりも大きい場合、受容度は基準値未満である(図4の例では受容度「なし」)と設定されてよい。これは、移動速度が大きい場合、ユーザは、店舗外を移動している可能性または急いでいる可能性が高いため、ユーザが販促企画に参加する可能性が低いと想定されるからである。
【0083】
同様に、図5および図6の例においても、ユーザが販促企画に参加する可能性が低いと想定される、家を出るまでの時間帯、就業時間帯、予定がある時間帯は、受容度が基準値未満(図5、6の例では受容度「なし」)と設定される。
【0084】
そして、受容度が基準値未満である場合、販促企画決定部103は、ユーザに対して販促企画を提供しないことを決定してよい。
【0085】
図7および図8の例に示されるように、販促企画決定部103は、受容度が基準値以上、例においては受容度「低」以上の場合に、販促企画を決定する。すなわち、販促企画決定部103は、受容度が基準値未満、例においては受容度「なし」の場合、販促企画を提供しないことを決定する。
【0086】
例えば、ユーザが道路を歩行している場合、前を見ずに端末装置を見ながらの歩行は危険であるため、販促企画を実行するべきでないと考えられる。ユーザの位置情報および移動速度に基づいて、ユーザが店舗外の道路等を歩行していると想定される場合、受容度推定部102は、ユーザの受容度が基準値未満であると推定する。そして、販促企画決定部103は、受容度が基準値未満であるため、販促企画をユーザに提供しないことを決定する。
【0087】
また、例えば、ユーザが就業時間中である場合、ユーザは販促企画を実行する可能性が著しく低いと考えられる。ユーザの位置情報または行動予定に基づいて、ユーザが就業時間中であると想定される場合、受容度推定部102は、ユーザの受容度が基準値未満であると推定する。そして、販促企画決定部103は、受容度が基準値未満であるため、販促企画をユーザに提供しないことを決定する。
【0088】
販促企画を提供しない場合、すなわち、受容度推定部102が、受容度が基準値以下であると推定する場合は、これらの例に限られない。販売促進支援装置100は、行動情報および時刻の少なくとも一つに基づいて、ユーザが販促企画を実行するべきでない場合、または、ユーザが販促企画を実行する可能性が著しく低い場合に、販促企画を提供しないことを決定するように構成されればよい。
【0089】
[変形例3]
実施形態の変形例3において、販促企画決定部103が販促企画の選択肢を提示する場合について説明する。
【0090】
販促企画決定部103は、複数の販促企画の候補をユーザに提示してもよい。これにより、ユーザは、販促企画を自分の都合または好みに合わせて選択することができる。また、ユーザが選択可能な販促企画は、一つまたは複数であってよい。
【0091】
図7および図8の受容度と販促企画とが関連付けられた情報の例においては、受容度の段階ごとに、販促企画の種類と量の組み合わせを一つ設定されているが、変形例3においては、受容度の段階ごとに、販促企画の種類と量の組み合わせが複数設定されてよい。または、販促企画決定部103は、推定された受容度に対応する販促企画に加えて、受容度の段階が近い販促企画、例えば、一段階上の受容度に対応する販促企画、または、一段階下の受容度に対応する販促企画を、販促企画の選択肢としてユーザ端末に表示させ、ユーザに販促企画を選択させてもよい。
【0092】
また、選択肢を提示した場合、ユーザが選択した販促企画と、その時のユーザの状況のデータは、販売促進支援装置100または200の内部または外部に通信可能に接続される記憶部に蓄積されてもよい。蓄積されたデータは、受容度推定および販促企画決定に用いられてよい。例えば、蓄積されたデータは、行動情報と受容度との関係性を示す情報、時刻と受容度との関係性を示す情報、受容度と販促企画とが関連付けられた情報の作成または更新に用いられてよい。または、蓄積されたデータは、受容度推定や販促企画決定に用いられる学習済みモデルの学習に利用されてもよい。
【0093】
[利用シーン例]
再び、図2の販売促進支援システム10の概念を示す図を参照して、本開示の利用シーン例について説明する。
【0094】
販売促進支援装置100の取得部101は、ユーザの受容度を推定するために用いる行動情報を、例えば、ユーザ端末400から取得する。または、販売促進支援装置100の取得部101は、ユーザの受容度を推定するために用いる行動情報を、ユーザ端末400が通信可能に接続してユーザに関する情報を格納する他のサーバまたはデータベースから取得してもよい。受容度推定部102は、取得された行動情報および時刻の少なくとも一つに基づいて、ユーザ端末400を使用するユーザの受容度を推定する。
【0095】
販売促進支援装置100の販促企画決定部103は、決定した販促企画をユーザが実行するためのデータをユーザ端末400に出力する。販促企画をユーザが実行するためのデータは、例えば、動画のデータ、動画にアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)、アンケートにアクセスするためのURL、スタンプラリー企画を実行するためのデータまたはプログラムなどであってよい。
【0096】
ユーザ端末400は、販売促進支援装置100から取得した販促企画を実行するためのデータを用いて、販促企画をユーザに実行させる。
【0097】
販売促進支援装置が販売促進支援装置300である場合、すなわち、報酬付与部305がある場合、ユーザ端末400において実行された販促企画の量をユーザ端末400から取得し、ユーザに付与する報酬を決定する。そして、ユーザ端末400は、報酬付与部305から、報酬を取得する。
【0098】
販売促進支援システム10は、提供可能な販促企画の種類に応じて、ユーザが店舗内にいるかどうか、すなわち、ユーザ端末400が店舗内にあるかどうかを判断してもよい。例えば、店舗内の商品のバーコードをスキャンして回るスタンプラリーのように、店舗内の回遊性を高める販促企画は、ユーザが店舗内にいるときに提供される。また、動画、アンケートなどは自宅などの店舗外でもユーザが参加可能である。
【0099】
この場合、例えば、受容度推定部102が、ユーザが店舗内に入ったことを認識し、回遊性を高めるための販促企画に対する受容度があることを推定してもよい。そして、販促企画決定部103は、受容度に応じて、販促企画を決定すればよい。
【0100】
ユーザが店舗内に入ったことを認識する方法は、ユーザ端末の位置情報の利用、ユーザ端末による店舗内の二次元コードなどの読み取り、ユーザ端末と店舗の無線通信の接続などであってよい。また、ユーザが店舗内に入ったことを認識する方法に用いられる、店舗内の二次元コードの読み取り、店舗の無線通信の接続は、ユーザの店舗に入るという行動を示す行動情報の一例である。
【0101】
次に、販売促進支援システム10による、店舗内での販促企画の提供の一例について説明する。
【0102】
例えば、ユーザが急いでいても、レジに並んだことによって移動速度が小さくなる場合がある。これに対し、受容度推定部102が現在の移動速度を用いて受容度を推定している場合、レジ待ちの時間を販促企画に利用できる。
【0103】
また、受容度推定部102は、移動速度に加えて、店舗の監視カメラの映像を行動情報として利用して受容度を推定してよい。例えば、店舗の監視カメラの映像と、ユーザ端末の入店時刻や移動速度とを比較することにより、受容度推定部102は、映像内のユーザを特定する。そして、特定されたユーザがレジ待ちの列に並んでいれば、受容度推定部102は、受容度があると推定してもよい。
【0104】
また、この場合、受容度推定部102は、ユーザが並んでいるために歩き回り受容度は低い、または基準値以下である、と推定する。これにより、販促企画決定部103は、ユーザがレジ待ち列に並んだまま実行できる販促企画を、ユーザに提供する販促企画として提供することができる。
【0105】
次に、販売促進支援システム10による、販促企画の提供開始の一例について説明する。
【0106】
例えば、販売促進支援システム10は、ユーザが所有するユーザ端末400を、ユーザが起動し、操作している場合に、販促企画が提供可能であることを通知してもよい。
【0107】
受容度推定部102は、この場合、ユーザの行動情報として、ユーザの端末の起動の有無、または操作の有無を利用して受容度を推定してもよい。受容度推定部102が、ユーザの受容度が基準値以上であると推定された場合、販促企画決定部103は、ユーザに提供する販促企画を決定する。
【0108】
ユーザ端末400において、販促企画は、アプリケーションまたはウェブサイトにおいて提供および実行される。ユーザ端末400が販促企画を実行可能なアプリケーションまたはウェブサイトを開いていない場合、販促企画決定部103は、販促企画が提供可能であることをユーザに対して通知する。
【0109】
また、ユーザ端末400が販促企画を実行可能なアプリケーションまたはウェブサイトを開いている場合、表示画面の一部に、販促企画を開始するためのボタンを表示してよい。
【0110】
また、例えば、店舗外で販促企画を提供する場合、販促企画を提供するか否かの基準値は、店舗内で販促企画を提供する場合に対して、高く設定されてもよい。換言すれば、受容度推定部102は、ユーザの行動情報に基づいて、ユーザが店舗外にいると推定される場合、店舗内にいると推定される場合に比べて、受容度が低いと推定してもよい。
【0111】
以上のように、ユーザが店舗内にいるか店舗外にいるかを示す情報を含むユーザの状況に合わせて販促企画が決定されることで、本開示の販売促進支援装置、販売促進支援システムは、ユーザに煩わしさを感じさせないような販促企画の提供を支援することができる。
【0112】
次に、販売促進支援システム10による、店舗内での販促企画の提供の他の例について説明する。
【0113】
例えば、ユーザが購入しようとしている商品によって、店舗内で長時間過ごすことが好ましくない場合がある。例えば、温度変化がある商品、すなわち、冷凍品、生鮮品などの冷たい商品、または、出来立ての惣菜、弁当、パンなどの温かい商品を、ユーザが購入しようとしている場合、ユーザはそれらの商品の温度の変化が小さいうちに店舗を出たいと考えられる。これに対し、販売促進支援装置100は、ユーザが購入しようとしている商品に応じて、提供する販促企画を決定するとよい。
【0114】
この場合、まず、取得部101は、ユーザが購入しようとしている商品の商品情報を取得する。ユーザが購入しようとしている商品の商品情報は、ユーザの行動情報の一例である。例えば、取得部101は、ユーザが手に取った商品、または、ユーザが買い物カゴに入れた商品を、ユーザが購入しようとしている商品として、商品の種類、名称、または識別番号を認識する。取得部101は、これらの商品を、店舗の監視カメラ、商品棚のカメラまたは重量センサ、買い物カゴのカメラ、ユーザ端末のカメラなどによって、商品の種類、名称、または識別番号を認識してよい。または、取得部101は、ユーザが購入対象商品をスキャンしながら買い物している場合にスキャンされた商品を、ユーザが購入しようとしている商品として、商品の識別番号を認識してもよい。取得部101は、これらの認識した商品の商品情報を、商品情報データベースから取得する。商品情報データベースには、前述の商品の種類、名称、識別番号などの商品を識別する情報に、商品情報がそれぞれ関連付けられて保存される。商品情報には、その商品が、ユーザが早く持ち帰りたいものであるか否かを示す情報、例えば、冷凍品であるか否かを示す情報が含まれる。
【0115】
受容度推定部102は、行動情報である、ユーザが購入しようとしている商品の商品情報に基づいて、ユーザの販促企画に対する受容度を推定する。例えば、ユーザが購入しようとしている商品に、冷凍品、生鮮品などの冷たい商品、または、出来立ての惣菜、弁当、パンなどの温かい商品などの温度変化がある商品が含まれる場合、ユーザの受容度を低く、または基準値未満であると推定する。
【0116】
販促企画決定部103は、ユーザが購入しようとしている商品の商品情報に基づいて推定された受容度に応じて、時間のかからない販促企画、または、販促企画を提供しないことを決定する。時間のかからない販促企画は、例えば、短い動画、設問数の少ないアンケートである。
【0117】
なお、ユーザが店舗内で長時間過ごすことが好ましくない場合、および、ユーザが早く持ち帰りたい商品は、これらの例に限られない。
【0118】
以上のように、ユーザが店舗内で長時間過ごすことが好ましくない場合においても、本開示の販売促進支援装置、販売促進支援システムは、ユーザに煩わしさを感じさせないような販促企画の提供を支援することができる。
【0119】
[ハードウェア構成]
以上説明した、本開示の実施形態および変形例における各装置又はシステムの各構成要素の一部又は全部は、例えば図10に示すような情報処理装置1000とプログラムとの任意の組み合わせにより実現される。情報処理装置1000は、一例として、以下のような構成を含む。
【0120】
・CPU(Central Processing Unit)1001
・ROM(Read Only Memory)1002
・RAM(Random Access Memory)1003
・RAM1003にロードされるプログラム1004
・プログラム1004を格納する記憶装置1005
・記録媒体1006の読み書きを行うドライブ装置1007
・通信ネットワーク1009と接続する通信I/F1008
・データの入出力を行う入出力I/F1010
・各構成要素を接続するバス1011
なお、I/Fは、Interfaceの略である。
【0121】
各実施形態における各装置又はシステムの各構成要素は、これらの機能を実現するプログラムをCPU1001が取得して実行することで実現される。各装置の各構成要素の機能を実現するプログラムは、例えば、あらかじめ記憶装置1005やRAM1003に格納されており、必要に応じてCPU1001が読み出す。なお、プログラム1004は、通信ネットワークを介してCPU1001に供給されてもよいし、あらかじめ記録媒体1006に格納されており、ドライブ装置1007が当該プログラムを読み出してCPU1001に供給してもよい。
【0122】
各装置の実現方法には、様々な変形例がある。例えば、各装置又はシステムは、構成要素ごとにそれぞれ別個の情報処理装置1000とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。また、各装置が備える複数の構成要素が、一つの情報処理装置1000とプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0123】
また、各装置又はシステムの各構成要素の一部又は全部は、プロセッサ等を含む汎用または専用の回路(circuitry)や、これらの組み合わせによって実現される。回路は、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)である。また、回路は、AI(Artificial Intelligence)処理専用のLSI(Large Scale Integration)であってもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0124】
各装置又はシステムの各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントアンドサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0125】
以上、各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しえる様々な変更をすることができる。
【0126】
また、複数の動作をフローチャートの形式で順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の動作を実行する順番を限定するものではない。このため、各実施形態を実施するときには、その複数の動作の順番は、内容的に支障しない範囲で変更されてよい。
【符号の説明】
【0127】
10 販売促進支援システム
100 販売促進支援装置
101 取得部
102 受容度推定部
103 販促企画決定部
200 販売促進支援装置
201 移動速度取得部
202 受容度推定部
203 販促企画決定部
204 記憶部
300 販売促進支援装置
305 報酬付与部
400A ユーザ端末
400B ユーザ端末
400C ユーザ端末
1000 情報処理装置
1001 CPU
1002 ROM
1003 RAM
1004 プログラム
1005 記憶装置
1006 記録媒体
1007 ドライブ装置
1008 通信I/F
1009 通信ネットワーク
1010 入出力I/F
1011 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11