(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176649
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20231206BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20231206BHJP
【FI】
B65D47/34 110
B05B11/00 101H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089046
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 信也
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084DA01
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HC03
3E084HD01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD26
(57)【要約】
【課題】内容物がシリンダの通気孔を通して外部に漏れ出しにくい吐出容器を提供する。
【解決手段】容器本体2と、通気孔32を有し口部2aに取り付けられるシリンダ4と、シリンダ4に対する進退動作によって容器本体2内の内容物をポンプ室10を通して吐出する作動部材6と、シリンダ4に取り付けられる環状部材8と、を有する吐出容器1であって、環状部材8が、作動部材6の進退動作を案内する案内部21aと、外周縁部を固定端とし内周縁部を自由端として前後方向に弾性変形可能な弁体部20cと、を有し、吐出容器1が、容器本体2内の負圧化により、弁体部20cの内周縁部が前方に変位して作動部材6から離れることで、作動部材6と案内部21aの間、作動部材6と弁体部20cの内周縁部の間、通気孔32をこの順に通して容器本体2内に外気を導入可能であり、案内部21aが、弁体部20cの内周縁部の後方への変位を規制する、吐出容器1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部を有する容器本体と、
通気孔を有し前記口部に取り付けられるシリンダと、
前記シリンダと協働してポンプ室を区画し、前記シリンダに対する前方への動作によって前記ポンプ室を縮小させ、前記シリンダに対する進退動作によって前記容器本体内の内容物を前記ポンプ室を通して吐出する作動部材と、
前記作動部材の周りを周回する環状をなし前記シリンダに取り付けられる環状部材と、を有する吐出容器であって、
前記環状部材が、前記作動部材の前記進退動作を案内する案内部と、外周縁部を固定端とし内周縁部を自由端として前後方向に弾性変形可能な弁体部と、を有し、
前記吐出容器が、前記容器本体内の負圧化により、前記弁体部の前記内周縁部が前記前方に変位して前記作動部材から離れることで、前記作動部材と前記案内部の間、前記作動部材と前記弁体部の前記内周縁部の間、前記通気孔をこの順に通して前記容器本体内に外気を導入可能であり、
前記案内部が、前記弁体部の前記内周縁部の後方への変位を規制する、吐出容器。
【請求項2】
前記シリンダが、シリンダ本体壁と、前記シリンダ本体壁の後端から径方向外側に延びるフランジ壁と、を有し、
前記環状部材が弁部材と案内部材を有し、
前記弁部材が、前記シリンダ本体壁の内周面に接する筒状部と、前記筒状部の後端から前記径方向外側に延び前記フランジ壁の後面に接するフランジ部と、前記筒状部の前端から径方向内側に延びる前記弁体部と、を有し、
前記案内部材が、前記案内部と、前記案内部から前記径方向外側に延び前記筒状部の内周面に嵌合によって取り付けられる嵌合部と、を有する、請求項1に記載の吐出容器。
【請求項3】
前記吐出容器が正立姿勢である時も、倒立姿勢である時も、前記容器本体内の前記内容物を前記ポンプ室に吸い込むことを可能にする正倒立吸い込み部材を有する、請求項1又は2に記載の吐出容器。
【請求項4】
前記作動部材が、前記シリンダ上を摺動するピストンと、蓄圧シリンダと、前記蓄圧シリンダ上を摺動する蓄圧ピストンと、蓄圧付勢部材と、外部からの操作によって前記シリンダに対して前記蓄圧シリンダと前記ピストンを伴って進退し、且つ、その進退動作中に前記蓄圧シリンダに対して前記蓄圧ピストンを伴って進退する保持部材と、を有し、
前記蓄圧ピストンが前記蓄圧付勢部材からの前方への付勢力によって前記保持部材の着座部に着座することにより、前記内容物のための前記作動部材の内部流路が閉塞される、請求項1又は2に記載の吐出容器。
【請求項5】
前記作動部材を後方に付勢する付勢部材を有し、
前記環状部材が、前記付勢部材の前端を受ける受け部を有する、請求項1又は2に記載の吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
口部を有する容器本体と、口部に取り付けられるシリンダと、シリンダと協働してポンプ室を区画し、シリンダに対する前方への動作によってポンプ室を縮小させ、シリンダに対する進退動作によって容器本体内の内容物をポンプ室を通して吐出する作動部材と、を有する吐出容器が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吐出容器は、内容物の吐出に伴って容器本体内に内容物に置換される空気を外部から取り込むための通気孔をシリンダに有する場合がある。その場合、吐出容器は、倒立姿勢で操作された場合でも内容物が通気孔を通して外部に漏れ出しにくい構成とすることが求められる。
【0005】
本発明の目的は、内容物がシリンダの通気孔を通して外部に漏れ出しにくい吐出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は以下のとおりである。
【0007】
[1]
口部を有する容器本体と、
通気孔を有し前記口部に取り付けられるシリンダと、
前記シリンダと協働してポンプ室を区画し、前記シリンダに対する前方への動作によって前記ポンプ室を縮小させ、前記シリンダに対する進退動作によって前記容器本体内の内容物を前記ポンプ室を通して吐出する作動部材と、
前記作動部材の周りを周回する環状をなし前記シリンダに取り付けられる環状部材と、を有する吐出容器であって、
前記環状部材が、前記作動部材の前記進退動作を案内する案内部と、外周縁部を固定端とし内周縁部を自由端として前後方向に弾性変形可能な弁体部と、を有し、
前記吐出容器が、前記容器本体内の負圧化により、前記弁体部の前記内周縁部が前記前方に変位して前記作動部材から離れることで、前記作動部材と前記案内部の間、前記作動部材と前記弁体部の前記内周縁部の間、前記通気孔をこの順に通して前記容器本体内に外気を導入可能であり、
前記案内部が、前記弁体部の前記内周縁部の後方への変位を規制する、吐出容器。
【0008】
[2]
前記シリンダが、シリンダ本体壁と、前記シリンダ本体壁の後端から径方向外側に延びるフランジ壁と、を有し、
前記環状部材が弁部材と案内部材を有し、
前記弁部材が、前記シリンダ本体壁の内周面に接する筒状部と、前記筒状部の後端から前記径方向外側に延び前記フランジ壁の後面に接するフランジ部と、前記筒状部の前端から径方向内側に延びる前記弁体部と、を有し、
前記案内部材が、前記案内部と、前記案内部から前記径方向外側に延び前記筒状部の内周面に嵌合によって取り付けられる嵌合部と、を有する、[1]に記載の吐出容器。
【0009】
[3]
前記吐出容器が正立姿勢である時も、倒立姿勢である時も、前記容器本体内の前記内容物を前記ポンプ室に吸い込むことを可能にする正倒立吸い込み部材を有する、[1]又は[2]に記載の吐出容器。
【0010】
[4]
前記作動部材が、前記シリンダ上を摺動するピストンと、蓄圧シリンダと、前記蓄圧シリンダ上を摺動する蓄圧ピストンと、蓄圧付勢部材と、外部からの操作によって前記シリンダに対して前記蓄圧シリンダと前記ピストンを伴って進退し、且つ、その進退動作中に前記蓄圧シリンダに対して前記蓄圧ピストンを伴って進退する保持部材と、を有し、
前記蓄圧ピストンが前記蓄圧付勢部材からの前方への付勢力によって前記保持部材の着座部に着座することにより、前記内容物のための前記作動部材の内部流路が閉塞される、[1]~[3]の何れか1つに記載の吐出容器。
【0011】
[5]
前記作動部材を後方に付勢する付勢部材を有し、
前記環状部材が、前記付勢部材の前端を受ける受け部を有する、[1]~[4]の何れか1つに記載の吐出容器。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、内容物がシリンダの通気孔を通して外部に漏れ出しにくい吐出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態の吐出容器を示す縦断面図である。
【
図2】
図1に示す吐出容器の作動時の状態を示す縦断面図である。
【
図5】
図1に示す案内部材の一部断面側面図である。
【
図6】容器本体内が負圧化する前の状態を示す
図1のA部拡大図である。
【
図7】容器本体内が負圧化した時の状態を示す
図1のA部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。
【0015】
図1に示すように、本発明の一実施形態において吐出容器1は、容器本体2と吐出器3を有する。吐出器3は、シリンダ4、正倒立吸い込み部材5、作動部材6、付勢部材7、環状部材8及び装着キャップ9を有する。なお、吐出器3は、装着キャップ9に着脱可能に取り付けられて作動部材6を覆う図示しないオーバーキャップも有する。作動部材6は、シリンダ4と協働してポンプ室10を区画する。つまり作動部材6とシリンダ4はポンプ室10を区画する。ポンプ室10の上流側には逆流抑制部11が設けられる。逆流抑制部11は玉状の第1移動弁11aによって形成される。なお逆流抑制部11は玉状以外の第1移動弁11aや、第1移動弁11a以外の例えば弾性弁(例えばいわゆる3点弁など)などによって形成してもよい。
【0016】
図1~
図2に示すように、作動部材6は、シリンダ4に対する前方(
図1における下方)への動作によってポンプ室10を縮小させ、シリンダ4に対する後方(
図1における上方)への動作によってポンプ室10を拡大させる。作動部材6は、シリンダ4に対する進退動作(前方と後方への往復動作)によって容器本体2内の図示しない内容物を正倒立吸い込み部材5、ポンプ室10及び作動部材6の内部流路6aを通して吐出する。
【0017】
なお、本実施形態において前後方向とはシリンダ4の中心軸線Oに沿う方向を意味し、径方向とは中心軸線Oに直交する直線に沿う方向を意味し、周方向とは中心軸線Oを周回する方向を意味し、縦断面とは中心軸線Oを含む断面を意味する。また上下方向は、吐出容器1が正立姿勢とされた時を基準とする。したがって、前方は下方に一致し、後方は上方に一致する。
【0018】
作動部材6は、ピストン・シリンダ部材12、ステム部材13、蓄圧ピストンガイド14、蓄圧ピストン15、蓄圧付勢部材16及び押圧ヘッド17によって形成される。本実施形態では作動部材6は、押圧ヘッド17の後面(上面)への押し込み操作によって進退動作する押圧ヘッド式に構成される。なお、作動部材6は押圧ヘッド式に限らず例えば、トリガーへの牽曳操作によって進退動作するトリガー式の構成としてもよい。
【0019】
本実施形態では作動部材6(押圧ヘッド17)は、液状の内容物を霧状に吐出する。なお、作動部材6は内容物を霧状に吐出する構成に限らず、例えば、内容物を連続流状に吐出する構成としてもよい。
【0020】
容器本体2は、口部2a、胴部2b及び図示しない底部を下方に向けてこの順に有するボトル状をなし、内部に図示しない内容物を収容する。口部2aは中心軸線Oを中心とする筒状をなす。内容物は特に限定されず、例えば化粧品、薬品、食品などである。
【0021】
シリンダ4は、中心軸線Oを中心とする筒状のシリンダ本体壁4aと、シリンダ本体壁4aの後端(上端)から径方向外側に延びるフランジ壁4bと、シリンダ本体壁4aの前端部(下端部)に連なるシリンダ底部4cと、を有する。シリンダ底部4cは、シリンダ本体壁4aの前端部に連なり中心軸線Oを中心とする環状をなすシリンダ底壁18と、シリンダ底壁18の内周縁部から前方(下方)に延びる筒状の取り付け筒19と、取り付け筒19の下流側に連なる逆流抑制部11と、を有する。
【0022】
環状部材8は、作動部材6の周りを周回する環状をなしシリンダ4に取り付けられる。また環状部材8は、付勢部材7の前端(下端)を受ける受け部8aを有する。つまり、環状部材8は、付勢部材7の前端を受ける機能を有する。
【0023】
環状部材8は、弁部材20と案内部材21を有する。弁部材20と案内部材21はそれぞれ、非エラストマー系の樹脂(例えば、ポリエチレン等)によって形成される。なお弁部材20と案内部材21の材質はこれに限らない。弁部材20と案内部材21はそれぞれ、一体成形物である。なおこれらの部材は一体成形物に限らず、例えば複数の部材を組み付けて形成される構成としてもよい。
【0024】
図1及び
図3~
図4に示すように、弁部材20は、シリンダ本体壁4aの内周面に接する筒状部20aと、筒状部20aの後端から径方向外側に延びフランジ壁4bの後面に接するフランジ部20bと、筒状部20aの前端から径方向内側に延びる弁体部20cと、を有する。
図1及び
図5に示すように、案内部材21は、作動部材6の進退動作を案内する案内部21aと、案内部21aから径方向外側に延び筒状部20aの内周面に嵌合によって取り付けられる嵌合部21bと、を有する。
【0025】
案内部21aは中心軸線Oを中心とする筒状をなす。嵌合部21bは、案内部21aの前後方向中間部から径方向外側に延び、中心軸線Oを中心とする環状をなす。嵌合部21bの外周面は、弁部材20の筒状部20aの内周面に対し、嵌合によって前方及び後方への移動を規制され、取り付けられる。受け部8aは、案内部21aの上端部の外周面と嵌合部21bの上面と筒状部20aの上端部の内周面とによって形成され、中心軸線Oを中心とする環状の凹状をなす。
【0026】
図6に示すように、筒状部20aは、シリンダ本体壁4aの内周面に設けられる環状の周溝22に嵌合する嵌合筒部23と、嵌合筒部23の下端から下方に向けて段差状の上面を介して縮径する内周面を有する縮径筒部24と、を有する。筒状部20aがシリンダ本体壁4aに嵌合した状態において、嵌合部21bは嵌合筒部23を径方向内側から支持し、その嵌合状態を良好に保持する。縮径筒部24の上面は、受け部8aを介して付勢部材7から案内部材21にかかる下方への荷重を良好に支持することができる。
【0027】
図1に示すように、シリンダ4のフランジ壁4bは、フランジ壁4bがパッキン25を介して口部2aの上面に接し、環状部材8がシリンダ4に取り付けられた状態で、装着キャップ9によって口部2aに取り付けられ、固定される。装着キャップ9は、口部2aの外周面にねじ部を介して係止される装着筒9aと、装着筒9aの上端部から径方向内側に延び、フランジ壁4bの上面とフランジ部20bの上面に接し、中心軸線Oを中心とする環状をなす環状頂壁9bと、環状頂壁9bの内周縁部から上方に延びる案内筒9cと、を有する。なお、装着筒9aは口部2aの外周面にねじ部以外の係止部(例えば、打栓用の係止部)を介して係止される構成としてもよい。口部2aは円筒状以外の多角筒状などの筒状をなす構成としてもよい。
【0028】
付勢部材7は案内筒9cよりも径方向内側に配置される。押圧ヘッド17は、案内筒9cの外周面によって案内される外周壁17aを有する。なお、吐出器3は、押圧ヘッド17の外周壁17aが案内筒9cよりも径方向内側に配置される構成としてもよい。
【0029】
ピストン・シリンダ部材12は、ピストン12aと筒壁部12bとを有する。筒壁部12bは中心軸線Oを中心とする筒状をなし、蓄圧シリンダ26を有する。
図1~
図2に示すように、ピストン12aはシリンダ本体壁4aの内周面上を前後方向に摺動する。蓄圧ピストン15は蓄圧シリンダ26の内周面上を前後方向に摺動する。
【0030】
作動部材6は、外部からの操作によってシリンダ4に対して蓄圧シリンダ26とピストン12aを伴って進退し、且つ、その進退動作中に蓄圧シリンダ26に対して蓄圧ピストン15を伴って進退する保持部材6bを有する。保持部材6bは、押圧ヘッド17、ステム部材13及び蓄圧ピストンガイド14によって形成される。作動部材6の内部流路6aは、蓄圧ピストン15が蓄圧付勢部材16からの前方への付勢力によって保持部材6bの蓄圧ピストンガイド14の着座部14aに着座することにより、閉塞される。したがって、作動部材6は、外部からの操作によって前進動作すると、ポンプ室10が蓄圧されて蓄圧ピストン15が蓄圧付勢部材16の付勢力に抗して着座部14aから後退し、作動部材6の内部流路6aが開放されるので、内容物を始めから勢い良く吐出することができる。
【0031】
このように、本実施形態では作動部材6は、蓄圧シリンダ26、蓄圧ピストン15、蓄圧ピストンガイド14及び蓄圧付勢部材16によって形成される蓄圧機構を有する。なお、作動部材6は蓄圧機構を有する構成に限らない。
【0032】
保持部材6b(ステム部材13)は、前後方向に延びる筒状のステム13aと、ステム13aよりも径方向外側にステム13aと一体に連ねて設けられ、付勢部材7によって後方に付勢される連設部13bと、を有する。蓄圧ピストンガイド14は前後方向に細長く、ステム13aの内周面に取り付けられる。着座部14aは蓄圧ピストンガイド14の外周面によって形成される。蓄圧付勢部材16は、前後方向においてステム13aと蓄圧ピストン15によって圧縮される圧縮ばねによって形成される。なお、作動部材6は、蓄圧付勢部材16が前後方向において連接部と蓄圧ピストン15によって圧縮される圧縮ばねによって形成される構成としてもよい。付勢部材7は、前後方向において連接部と環状部材8の受け部8aによって圧縮される圧縮ばねによって形成される。
【0033】
正倒立吸い込み部材5は、吐出容器1が正立姿勢である時も、倒立姿勢である時も、容器本体2内の内容物をポンプ室10に吸い込むことを可能にする。正倒立吸い込み部材5は、シリンダ底部4cに取り付けられる取り付け部5aと、吐出容器1が正立姿勢である時に内容物を吸い込む図示しない第1吸い込み口(吸い上げパイプ31の下端)と、第1吸い込み口よりも上方に設けられ、吐出容器1が倒立姿勢である時に内容物を吸い込む第2吸い込み口5bと、第1吸い込み口をシリンダ底部4cの第3吸い込み口27に連ねる第1流路5cと、第2吸い込み口5bを第3吸い込み口27に連ねる第2流路5dと、吐出容器1が正立姿勢である時に第2流路5dを閉塞し、吐出容器1が倒立姿勢である時に第2流路5dを開放する開閉部5eと、を有する。開閉部5eは玉状の第2移動弁28によって形成される。なお開閉部5eは玉状以外の第2移動弁28によって形成してもよい。第3吸い込み口27はシリンダ底部4cを通ってポンプ室10に通じる。また第3吸い込み口27には逆流抑制部11が設けられる。
【0034】
正倒立吸い込み部材5は、外側流路部材29、内側流路部材30、第2移動弁28及び吸い上げパイプ31によって形成される。外側流路部材29、内側流路部材30及び吸い上げパイプ31はそれぞれ一体成形物である。なお、これらの部材は一体成形物に限らず、例えば複数の部材を組み付けて形成される構成としてもよい。外側流路部材29、内側流路部材30及び吸い上げパイプ31はそれぞれ、例えば樹脂によって形成される。
【0035】
外側流路部材29は第2吸い込み口5bを有し、取り付け筒19に嵌合によって取り付けられ、固定される。内側流路部材30は第2移動弁28と協働して開閉部5eを形成し、外側流路部材29に嵌合によって取り付けられ、固定される。吸い上げパイプ31の上端部は内側流路部材30に嵌合によって取り付けられ、固定される。吸い上げパイプ31の下端は、第1吸い込み口を形成する。
【0036】
正倒立吸い込み部材5によれば、吐出容器1を倒立姿勢とした場合でも内容物を安定して吐出させることができる。なお、吐出容器1は正倒立吸い込み部材5を有する構成に限らない。
【0037】
シリンダ本体壁4aは、内容物の吐出に伴って容器本体2内に内容物に置換される空気を外部から取り込むための通気孔32を有する。
図6に示すように、ピストン12aは中心軸線Oを中心とする括れ筒部33を有し、括れ筒部33は、シリンダ4上を摺動可能な後側摺動部33aと、後端側摺動部よりも前方に設けられ、シリンダ4上を摺動可能な前側摺動部33bと、後側摺動部33aと前側摺動部33bを連ねる括れ部33cと、を有する。
図1に示すように、作動部材6が後退限界位置にある時は、通気孔32は前側摺動部33bと後側摺動部33aの間に位置し、括れ筒部33によって閉塞される。したがって、作動部材6が操作されない時には、吐出容器1が傾倒姿勢の時でも、容器本体2内の内容物が通気孔32を通して外部に漏れ出すことが抑制される。
【0038】
図6~
図7に示すように、環状部材8(弁部材20)の弁体部20cは、中心軸線Oを中心とする環状をなし、外周縁部を固定端とし内周縁部を自由端として前後方向に弾性変形可能である。また弁体部20cの内周縁部は、弾性変形前の自然状態において作動部材6(ピストン・シリンダ部材12の筒壁部12bの外周面)に接する。また、環状部材8(案内部材21)の案内部21aは、作動部材6との間に外気を導入可能な隙間を有する。
【0039】
したがって、作動部材6の前進動作によって通気孔32が開放され、容器本体2内が負圧化した時は、
図7に示すように、弁体部20cの内周縁部が気圧差によって前方に変位して作動部材6から離れ、外気が作動部材6の外周面と案内部21aの内周面の間、作動部材6の外周面と弁体部20cの内周縁部の間、通気孔32をこの順に通って容器本体2内に導入される。このように、吐出容器1は、容器本体2内の負圧化により、弁体部20cの内周縁部が前方に変位して作動部材6から離れることで、作動部材6と案内部21aの間、作動部材6と弁体部20cの内周縁部の間、通気孔32をこの順に通して容器本体2内に外気を導入可能である。
【0040】
案内部21aは、案内部21aの下端部が弁体部20cの内周縁部に対する接触によって弁体部20cの内周縁部が後方に変位することを規制するように配置される。このように、案内部21aは、弁体部20cの内周縁部の後方への変位を規制する。したがって、吐出容器1が倒立姿勢で操作され、容器本体2内が正圧化した場合でも、弁体部20cが後方に変位して内容物が通気孔32、作動部材6と弁体部20cの内周縁部の間、作動部材6と案内部21aの間をこの順に通って外部に漏れ出すことを抑制することができる。特に蓄圧機構を有する吐出容器1の場合、作動部材6の操作時に容器本体2内が正圧化し易い傾向がある。そのため、倒立姿勢で操作された場合でも内容物が通気孔32を通して外部に漏れ出すことを抑制する環状部材8を有する構成は、蓄圧機構を有する吐出容器1に特に好適である。
【0041】
本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0042】
したがって、前述した実施形態の吐出容器1は、口部2aを有する容器本体2と、通気孔32を有し口部2aに取り付けられるシリンダ4と、シリンダ4と協働してポンプ室10を区画し、シリンダ4に対する前方への動作によってポンプ室10を縮小させ、シリンダ4に対する進退動作によって容器本体2内の内容物をポンプ室10を通して吐出する作動部材6と、作動部材6の周りを周回する環状をなしシリンダ4に取り付けられる環状部材8と、を有する吐出容器1であって、環状部材8が、作動部材6の進退動作を案内する案内部21aと、外周縁部を固定端とし内周縁部を自由端として前後方向に弾性変形可能な弁体部20cと、を有し、吐出容器1が、容器本体2内の負圧化により、弁体部20cの内周縁部が前方に変位して作動部材6から離れることで、作動部材6と案内部21aの間、作動部材6と弁体部20cの内周縁部の間、通気孔32をこの順に通して容器本体2内に外気を導入可能であり、案内部21aが、弁体部20cの内周縁部の後方への変位を規制する、吐出容器1である限り変更可能である。
【0043】
例えば、環状部材8は弁部材20と案内部材21によって形成される構成に限らない。また吐出器3は、環状部材8が受け部8aを有する構成に限らない。吐出器3はオーバーキャップを有する構成に限らない。
【符号の説明】
【0044】
1 吐出容器
2 容器本体
2a 口部
2b 胴部
3 吐出器
4 シリンダ
4a シリンダ本体壁
4b フランジ壁
4c シリンダ底部
5 正倒立吸い込み部材
5a 取り付け部
5b 第2吸い込み口
5c 第1流路
5d 第2流路
5e 開閉部
6 作動部材
6a 内部流路
6b 保持部材
7 付勢部材
8 環状部材
8a 受け部
9 装着キャップ
9a 装着筒
9b 環状頂壁
9c 案内筒
10 ポンプ室
11 逆流抑制部
11a 第1移動弁
12 ピストン・シリンダ部材
12a ピストン
12b 筒壁部
13 ステム部材
13a ステム
13b 連設部
14 蓄圧ピストンガイド
14a 着座部
15 蓄圧ピストン
16 蓄圧付勢部材
17 押圧ヘッド
17a 外周壁
18 シリンダ底壁
19 取り付け筒
20 弁部材
20a 筒状部
20b フランジ部
20c 弁体部
21 案内部材
21a 案内部
21b 嵌合部
22 周溝
23 嵌合筒部
24 縮径筒部
25 パッキン
26 蓄圧シリンダ
27 第3吸い込み口
28 第2移動弁
29 外側流路部材
30 内側流路部材
31 吸い上げパイプ
32 通気孔
33 括れ筒部
33a 後側摺動部
33b 前側摺動部
33c 括れ部
O 中心軸線