(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023176658
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】モビリティサービスシステム、及びデータ量の低減方法
(51)【国際特許分類】
H04W 28/06 20090101AFI20231206BHJP
H04W 28/10 20090101ALI20231206BHJP
H04W 4/06 20090101ALI20231206BHJP
H04W 4/40 20180101ALI20231206BHJP
【FI】
H04W28/06
H04W28/10
H04W4/06 170
H04W4/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089071
(22)【出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小見山 正俊
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA41
5K067BB21
5K067HH22
5K067HH23
(57)【要約】
【課題】モビリティサービスシステムにおいて、適切なサービスをエンドユーザに提供しつつ、通信及び/又は保存するデータ量を低減することが可能な技術を提供する。
【解決手段】モビリティサービスシステムは、車載装置と、管理サーバと、を備える。車載装置は、実行部と、イベント検知部と、車載機側縮小部と、アップロード部と、を備える。車載機側縮小部は、コンテンツのデータ量を、アプリケーションプログラムに応じた車載機縮小基準で縮小して、車載機部分コンテンツを生成する。管理サーバは、サーバ側縮小部と、端末送信部と、を備える。サーバ側縮小部は、車載機部分コンテンツのデータ量を、車載装置に関連する情報に応じたサーバ縮小基準で縮小して、サーバ部分コンテンツを生成する。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像又は音声を含むコンテンツを取得する取得装置(222)を備える車両(8A,8B)に搭載された車載装置(2A,2B)と、前記車両を含む複数の車両に搭載された複数の車載装置からデータを収集して保存するように構成された管理サーバ(3,5A,5B)と、を備えるモビリティサービスシステム(100)であって、
前記車載装置は、
アプリケーションプログラムを実行するように構成された実行部(211,27)と、
前記実行部による前記アプリケーションプログラムの実行中に、前記アプリケーションプログラムに関連するイベントを検知するように構成されたイベント検知部(211,S10)と、
前記イベント検知部により前記イベントが検知された場合に、前記取得装置により取得されたコンテンツのデータ量を、前記アプリケーションプログラムに応じた車載機縮小基準で縮小して、車載機部分コンテンツを生成するように構成された車載機側縮小部(211,S20)と、
前記車載機側縮小部により生成された前記車載機部分コンテンツを前記管理サーバへアップロードするように構成されたアップロード部(211,S30)と、を備え、
前記管理サーバは、
前記アップロード部によりアップロードされた前記車載機部分コンテンツのデータ量を、前記車載装置に関連する情報に応じたサーバ縮小基準で縮小して、サーバ部分コンテンツを生成するように構成されたサーバ側縮小部(311,511,S120,S230)と、
前記サーバ側縮小部により生成された前記サーバ部分コンテンツに基づいて、前記アプリケーションプログラムに対応したサービスを利用するエンドユーザの端末装置(7A,7B)へ端末用コンテンツを送信するように構成された端末送信部(511,S260)と、を備える、
モビリティサービスシステム。
【請求項2】
前記管理サーバ(3,5A,5B)は、第1管理ユニット(3)と、第2管理ユニット(5A,5B)と、を含み、
前記サーバ縮小基準は、複数の車載装置に関するグルーピングに応じて定められる第1管理ユニット縮小基準を含み、
前記第1管理ユニットは、
前記サーバ側縮小部に含まれた第1管理ユニット縮小部であって、前記アップロード部(211,S30)によりアップロードされた前記車載機部分コンテンツのデータ量を、前記第1管理ユニット縮小基準でデータ量を縮小して、第1管理ユニット部分コンテンツを生成するように構成された第1管理ユニット縮小部(311,S120)を有し、
前記第1管理ユニット縮小部により生成された前記第1管理ユニット部分コンテンツを保存するように構成された記憶部(33)と、
前記第2管理ユニットからの要求に応じて、前記記憶部に記憶されている第1管理ユニット部分コンテンツのうち前記要求に対応する第1管理ユニット部分コンテンツを、前記第2管理ユニットへ送信するように構成された第1送信部(311,S150)と、を備え、
前記第2管理ユニットは、
前記第1送信部により送信された前記第1管理ユニット部分コンテンツを受信するように構成された受信部(511,S210)と、
前記端末送信部(511,S260)と、を備え、
前記端末送信部は、前記第1管理ユニット部分コンテンツに基づいて、前記端末装置へ前記端末用コンテンツを送信するように構成されている、
請求項1に記載のモビリティサービスシステム。
【請求項3】
前記管理サーバ(3,5A,5B)は、第1管理ユニット(3)と、第2管理ユニット(5A,5B)と、を含み、
前記サーバ縮小基準は、前記車載装置に関連する識別情報に応じて定められる第2管理ユニット基準を含み、
前記第1管理ユニットは、
前記アップロード部(211,S30)によりアップロードされた前記車載機部分コンテンツに基づいた第1管理ユニット部分コンテンツを保存するように構成された記憶部(33)と、
前記第2管理ユニットからの要求に応じて、前記記憶部に記憶されている第1管理ユニット部分コンテンツのうち前記要求に対応する第1管理ユニット部分コンテンツを、前記第2管理ユニットへ送信するように構成された第1送信部(311,S150)と、を備え、
前記第2管理ユニットは、
前記第1送信部により送信された前記第1管理ユニット部分コンテンツを受信するように構成された受信部(511,S210)と、
前記サーバ側縮小部に含まれる第2管理ユニット縮小部であって、前記受信部により受信された前記第1管理ユニット部分コンテンツのデータ量を第2管理ユニット基準で縮小して、前記第2管理ユニット部分コンテンツを生成するように構成された第2管理ユニット縮小部(511,S230)と、
前記端末送信部(511,S260)と、を備え、
前記端末送信部は、前記第2管理ユニット部分コンテンツに基づいて、前記端末装置へ前記端末用コンテンツを送信するように構成されている、
請求項1に記載のモビリティサービスシステム。
【請求項4】
前記サーバ縮小基準は、前記車載装置に関連する識別情報に応じて定められる第2管理ユニット縮小基準を含み、
前記第2管理ユニット(5A,5B)は、
前記サーバ側縮小部に含まれる第2管理ユニット縮小部であって、前記受信部(511,S210)により受信された前記第1管理ユニット部分コンテンツのデータ量を前記第2管理ユニット縮小基準でデータ量を縮小して、第2管理ユニット部分コンテンツを生成するように構成された第2管理ユニット縮小部(511,S230)を更に備え、
前記端末送信部は、前記第2管理ユニット部分コンテンツに基づいて、前記端末装置へ端末用コンテンツを送信するように構成されている、
請求項2に記載のモビリティサービスシステム。
【請求項5】
前記サーバ縮小基準は、複数の車載装置に関するグルーピングに応じて定められる第1管理ユニット縮小基準を含み、
前記第1管理ユニット(3)は、
前記サーバ側縮小部に含まれた第1管理ユニット縮小部であって、前記アップロード部(211,S30)によりアップロードされた前記車載機部分コンテンツのデータ量を第1管理ユニット基準で縮小して、前記第1管理ユニット部分コンテンツを生成するように構成された第1管理ユニット縮小部(311,S120)を更に備える、
請求項3に記載のモビリティサービスシステム。
【請求項6】
前記第2管理ユニット縮小部(511,S230)は、前記エンドユーザ又は前記車載装置又は前記車両のユーザの識別情報が高いステータスに対応している場合は、前記エンドユーザ又は前記車載装置又は前記車両のユーザの識別情報が低いステータスに対応している場合よりも、前記データの縮小量を小さくするように構成されている、
請求項4又は5に記載のモビリティサービスシステム。
【請求項7】
前記グルーピングによる1つのグループには、1つのサービス事業者が前記第2管理ユニット(5A,5B)を介してサービスを提供する複数のエンドユーザが属する、
請求項4又は5に記載のモビリティサービスシステム。
【請求項8】
前記グルーピングによる1つのグループは、複数のサブグループを含み、
前記第1管理ユニット縮小部(311,S120)は、前記複数のサブグループの各々毎に、前記データ量の縮小量を変えるように構成されている、
請求項4又は5に記載のモビリティサービスシステム。
【請求項9】
前記コンテンツは映像を含み、
前記データ量の縮小は、映像時間の短縮、画質の低下、及びフレームの間引きのいずれかに相当する、
請求項1~5のいずれか1項に記載のモビリティサービスシステム。
【請求項10】
前記第1管理ユニット(3)は、
前記第1管理ユニット部分コンテンツを前記記憶部(33)に保存してから設定期間経過した場合に、前記記憶部から前記第1管理ユニット部分コンテンツを削除するように構成された削除部(311,S170)を更に備える、
請求項2~5のいずれか1項に記載のモビリティサービスシステム。
【請求項11】
前記第1管理ユニット(3)は、
前記第1送信部が前記第1管理ユニット部分コンテンツを前記第2管理ユニットへ送信した回数が、設定回数を超えた場合に、前記記憶部から前記第1管理ユニット部分コンテンツを削除するように構成された削除部(311)を更に備える、
請求項2~5のいずれか1項に記載のモビリティサービスシステム。
【請求項12】
映像又は音声を含むコンテンツを取得する取得装置(222)を備える車両(8A,8B)に搭載された車載装置(2A,2B)と、前記車両を含む複数の車両に搭載された複数の車載装置からデータを収集して保存するように構成された管理サーバ(3,5A,5B)と、を備えるモビリティサービスシステムが実行するデータ量の低減方法であって、
前記車載装置は、
アプリケーションプログラムを実行し、
前記アプリケーションプログラムの実行中に、前記アプリケーションプログラムに関連するイベントを検知し、
前記イベントを検知したことに応じて、前記取得装置により取得されたコンテンツのデータ量を、前記アプリケーションプログラムに応じた車載機縮小基準で縮小して、車載機部分コンテンツを生成し、
生成した前記車載機部分コンテンツを前記管理サーバへアップロードし、
前記管理サーバは、
アップロードされた前記車載機部分コンテンツのデータ量を、前記車載装置に関連する情報に応じたサーバ縮小基準で縮小して、サーバ部分コンテンツを生成し、
前記サーバ部分コンテンツに基づいて、前記アプリケーションプログラムに対応したサービスを利用するエンドユーザの端末装置(7)へ端末用コンテンツを送信する、
データ量の低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モビリティサービスシステムにおいて、データ量を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車両をネットワーク上のクラウドサーバ等に接続して、車両とクラウドとの間で、種々のデータをアップロード及びダウンロードする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両からクラウドへ種々のデータをアップロードすることで、サービス事業者は、クラウドに保存されたデータを利用して、様々のサービスをエンドユーザに提供することができる。しかしながら、車両からクラウドへ大量のデータをアップロードし、クラウドで大量のデータを保存する場合、通信料、データベースの維持費などの運用費が過大になり、エンドユーザのサービス利用料が増大し得る。
【0005】
本開示の1つの局面は、モビリティサービスシステムにおいて、適切なサービスをエンドユーザに提供しつつ、通信及び/又は保存するデータ量を低減することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面のモビリティサービスシステムは、映像又は音声を含むコンテンツを取得する取得装置(222)を備える車両(8A,8B)に搭載された車載装置(2A,2B)と、車両を含む複数の車両に搭載された複数の車載装置からデータを収集して保存するように構成された管理サーバ(3,5A,5B)と、を備える。車載装置は、実行部(211,27)と、イベント検知部(211,S10)と、車載機側縮小部(211,S20)と、アップロード部(211,S30)と、を備える。実行部は、アプリケーションプログラムを実行する。イベント検知部は、実行部によるアプリケーションプログラムの実行中に、アプリケーションプログラムに関連するイベントを検知する。車載機側縮小部は、イベント検知部によりイベントが検知された場合に、取得装置により取得されたコンテンツのデータ量を、アプリケーションプログラムに応じた車載機縮小基準で縮小して、車載機部分コンテンツを生成する。アップロード部は、車載機縮小部により生成された車載機部分コンテンツを管理サーバへアップロードする。管理サーバは、サーバ側縮小部(311,511,S120,S230)と、端末送信部(511,S260)と、を備える。サーバ側縮小部は、アップロード部によりアップロードされた車載機部分コンテンツのデータ量を、車載装置に関連する情報に応じたサーバ縮小基準で縮小して、サーバ部分コンテンツを生成する。端末送信部は、サーバ側縮小部により生成されたサーバ部分コンテンツに基づいて、アプリケーションプログラムに対応したサービスを利用するエンドユーザの端末装置(7A,7B)へ端末用コンテンツを送信する。
【0007】
本開示の1つの局面のモビリティサービスシステムにおいて、車載装置は、車載機縮小基準でコンテンツのデータ量を縮小して、管理サーバへアップロードする。また、上記モビリティサービスシステムにおいて、管理サーバは、サーバ縮小基準に応じた基準でアップロードされたコンテンツのデータ量を縮小して、データ量を縮小したコンテンツに基づいて、エンドユーザの端末装置へ端末用コンテンツを送信する。車先縮小基準は、アプリケーションプログラムに応じ、サーバ縮小基準は、車載装置に関連する情報に応じている。したがって、上記モビリティサービスシステムは、端末装置を介して適切なサービスをエンドユーザへ提供するとともに、車載装置と管理サーバ―間での通信量を低減することができる。
【0008】
本開示の別の1つの局面のデータ量の低減方法は、映像又は音声を含むコンテンツを取得する取得装置(222)を備える車両(8A,8B)に搭載された車載装置(2A,2B)と、車両を含む複数の車両に搭載された複数の車載装置からデータを収集して保存するように構成された管理サーバ(3,5A,5B)と、を備えるモビリティサービスシステムが実行する。車載装置は、アプリケーションプログラムを実行し、アプリケーションプログラムの実行中に、アプリケーションプログラムに関連するイベントを検知し、イベントを検知したことに応じて、取得装置により取得されたコンテンツのデータ量を、アプリケーションプログラムに応じた車載機縮小基準で縮小して、車載機部分コンテンツを生成し、生成した車載機部分コンテンツを管理サーバへアップロードする。管理サーバは、アップロードされた車載機部分コンテンツのデータ量を、車載装置に関連する情報に応じたサーバ縮小基準で縮小して、サーバ部分コンテンツを生成し、サーバ部分コンテンツに基づいて、アプリケーションプログラムに対応したサービスを利用するエンドユーザの端末装置(7)へ端末用コンテンツを送信する。
【0009】
モビリティサービスシステムが上記方法を実行することにより、上記モビリティシステムと同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】モビリティIoTシステムの構成を示す概略図である。
【
図2】エッジ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】エッジ装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】標準化車両データの第1階層とデータフォーマットとを示す図である。
【
図6】車載装置が実行するコンテンツアップロード処理を示すフローチャートである。
【
図7】モビリティIoTシステムにおけるデータ量の段階的な低減を模式的に示す図である。
【
図8】管理サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図9】管理サーバの機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図10】モビリティGW及びデータ管理部の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図14】管理サーバが実行するコンテンツ保存処理を示すフローチャートである。
【
図15】サービスサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図16】サービスサーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図17】サービスサーバが実行するコンテンツ取得処理を示すフローチャートである。
【
図18】モビリティIoTシステムにおいて通常時の動作を示すシーケンス図である。
【
図19】モビリティIoTシステムにおいてイベント検知時のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
<1-1.全体構成>
図1に示すモビリティIoTシステム100は、エッジ装置2A,2Bと、管理サーバ3と、サービスサーバ5A,5Bと、端末装置7A,7Bとを備える。IoTは、Internet of Thingsの略である。管理サーバ3及びサービスサーバ5は、クラウドサーバとして構成されてもよい。以下では、エッジ装置2A,2Bをまとめてエッジ装置2と称し、サービスサーバ5A,5Bをまとめてサービスサーバ5と称する。また、端末装置7A,7Bをまとめて端末装置7と称する。なお、モビリティIoTシステム100が本開示のモビリティサービスシステムに相当し、エッジ装置2A,2Bが本開示の車載装置に相当する。また、管理サーバ3が本開示の第1管理ユニットに相当し、サービスサーバ5A,5Bが本開示の第2管理ユニットに相当する。
【0012】
エッジ装置2A,2Bは、互いに異なる登録車両8A,8Bに搭載されている。以下では、登録車両8A,8Bをまとめて登録車両8と称する。エッジ装置2は、自身が搭載されている登録車両8の車両データを収集し、収集した車両データを管理サーバ3へアップロードする。エッジ装置2は、管理サーバ3からの指示に従って車両制御を実行する。
【0013】
エッジ装置2は、サービスサーバ5からアプリケーションプログラム(以下、アプリ)をダウンロードしてインストールし、アプリを実行する。エッジ装置2の識別情報(具体的には、エッジ装置ID)は、アプリをダウンロードしたサービスサーバ5に登録される。
【0014】
管理サーバ3は、広域通信ネットワークNWを介してエッジ装置2の各々及びサービスサーバ5の各々との通信を行う。管理サーバ3は、エッジ装置2の各々からアップロードされる車両データをデータベースに蓄積する。管理サーバ3は、サービスサーバ5の各々に対して、管理サーバ3のデータベース、及び登録車両8にアクセスするためのインタフェースを提供する。
【0015】
サービスサーバ5は、管理サーバ3が提供するインタフェースを利用して、登録車両8に対応する車両データの収集及び登録車両8の車両制御等を実行する。サービスサーバ5は、サービスユーザにより所有又は管理される。サービスユーザは、サービスサーバ5介して、管理サーバ3の種々のデータを利用して、エンドユーザに対して種々のサービスを提供する。サービスユーザは、例えば、フリート事業者やカーシェア事業者である。フリート事業者は、運送業者などのエンドユーザにフリートサービスを提供する。カーシェアサービスは、一般のドライバなどのエンドユーザにカーシェアサービスを提供する。
【0016】
端末装置7は、スマートフォン、タブレット、PCなどである。端末装置7の各々は、エンドユーザによって所有される。端末装置7の各々は、サービスを受けるサービスサーバ5と通信を行う。端末装置7の各々は、エッジ装置2にインストールされたアプリと対応するアプリを実行する。エッジ装置2は、エッジ装置2が搭載された登録車両8、その登録車両8の車両ユーザ、及び、その登録車両8に関するサービスを受けるエンドユーザと、紐付けられている。
【0017】
エッジ装置2にインストールされるアプリは、サービスユーザが提供するサービスに関連する。エンドユーザは、所望のサービスを提供するサービスユーザと契約して、契約したサービスユーザのサービスサーバ5から1つ以上のアプリをダウンロードする。1つのサービスに2つ以上のアプリが対応していることもある。
【0018】
例えば、エンドユーザが、フリートサービス事業者からフリートサービスを受ける場合は、フリートサービス事業者のサービスサーバ5から、フリートサービスに関連する不審者検知アプリA1と喫煙検知アプリA2をダウンロードする(
図7参照)。
【0019】
なお、モビリティIoTシステム100は、エッジ装置2に加えて、1つの以上の別のエッジ装置200を備えていてもよい。別のエッジ装置200の各々は、自身が搭載されている車両の車両データを収集し、収集した車両データを管理サーバ3へアップロードするが、サービスサーバ5からアプリケーションプログラムをダウンロードせず、サービスサーバ5に登録されていない。すなわち、別のエッジ装置200に関連するユーザは、サービスサーバ5からサービスの提供を受けない。
【0020】
本実施形態では、サービスサーバ5は、管理サーバ3とは別体に設けられているが、管理サーバ3と一体に設けられていてもよい。また、モビリティIoTシステム100は、3つ以上のサービスサーバ5を備えていてもよいし、3つ以上のエッジ装置2を備えていてもよい。
【0021】
<2.エッジ装置>
<2-1.ハードウェア構成>
図2に示すように、エッジ装置2は、制御部21と、車両インタフェース(以下、車両I/F)22と、通信部23と、記憶部24とを備える。
【0022】
制御部21は、CPU211と、ROM212と、RAM213とを備える。制御部21の各種機能は、CPU211が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。本実施形態では、ROM212が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。
【0023】
車両IF部22は、登録車両8の車載ネットワーク等を介して、種々の車載機器に接続され、車載機器から種々の情報を取得する。車載ネットワークには、CAN、及びイーサネットが含まれてもよい。CANは、Controller Area Networkの略である。CANは登録商標である。イーサネットは登録商標である。車両IF部22に接続される車載機器には、登録車両8に当初から搭載されている機器の他、後付けされる外装装置が含まれてもよい。車載機器には、1つ以上の取得装置222、1つ以上の周辺監視センサ223が含まれる。取得装置222は、車室内を撮影するビデオカメラ及び/又は音声を収集するマイクであり、映像及び/又は音声を含むデジタルコンテンツを取得する。周辺監視センサ223は、例えば、登録車両8の周囲3m以内の検知範囲に存在する障害物を検知するソナー、ライダー、レーダなどである。さらに、車載器機には、センサ、音響装置、及び表示装置等が含まれてもよい。
【0024】
通信部23は、無線通信により広域通信ネットワークNWを介して、管理サーバ3及びサービスサーバ5とのデータ通信を行う。
記憶部24は、車両IF部22を介して取得される車両データ等を記憶する。記憶部24に蓄積される車両データは、通信部23を介して、管理サーバ3にアップロードされる。
【0025】
<2-2.機能構成>
図3に示すように、エッジ装置2は、システムウェア25と、コア機能実行部26と、アプリ実行部27との機能を備える。これら各部25~27の機能は、ROM212に格納されたプログラムをCPU211が実行することで実現される。
【0026】
システムウェア25は、ハードウェアを抽象化し、アプリケーションプログラムの実行に必要な各種サービスを提供する基本ソフトウェアと、標準化できない特殊な処理等をサポートするためのドライバとを含む。基本ソフトウェアは、オペレーティングシステム(以下、OS)やハードウェア抽象化レイヤ(以下、HAL)等を含む。システムウェア25による抽象化の対象となるハードウェアは、エッジ装置2が備えるハードウェアの他、車両IF部22を介してエッジ装置2に接続される車載機器及び外装装置を含む。
【0027】
コア機能実行部26及びアプリ実行部27は、システムウェア25上で動作するソフトウェアによって実現される。
【0028】
<2-2-1.コア機能実行部>
コア機能実行部26は、管理サーバ3と登録車両8との間を仲介するエッジコンピュータの形態を有する。具体的には、コア機能実行部26は、基本アップロード部261と、車両制御部262とを備える。基本アップロード部261は、登録車両8の車両データを収集して管理サーバ3にアップロードする。車両制御部262は、管理サーバ3からの指示に従って登録車両8を制御する。
【0029】
ここで、基本アップロード部261が管理サーバ3に提供する車両データについて説明する。
基本アップロード部261は、車両IF部22を介して登録車両8から車両データを繰り返し収集する。基本アップロード部261は、収集した車両データを、標準フォーマットに変換し、階層化された分類に対応づけて記憶部24に記憶する。以下、階層化された車両データを標準化車両データという。
【0030】
図4に示すように、車両データの標準フォーマットは、項目として、「ユニークラベル」、「ECU」、「データ型」、「データサイズ」、「データ値」、及び「データ単位」を含んでもよい。
【0031】
「ユニークラベル」は、個々の物理量を識別するための情報である。例えば、「ETHA」は吸気温を示し、「NE1」はエンジン回転数を示す。
「ECU」は、車両データの生成元となった電子制御装置(以下、ECU)を示す情報である。例えば、「ENG」は、エンジンECUにてデータが生成されたことを示す。
【0032】
「データ型」は、「データ値」の性質を定義するための情報である。「データ型」は、例えば、整数型、浮動小数点型、論理型、文字型等を含んでもよい。
「データサイズ」は、「データ値」が何byteで表現されているかを示す情報である。
【0033】
「データ値」は、「ユニークラベル」で特定される物理量の値を示す情報である。
「データ単位」は、データ値の単位を示す情報である。
なお、「データ値」は、車種及び車両製造メーカに関わらず同一の物理量が同一の単位で表されるように正規化される。
【0034】
また、「ユニークラベル」は、登録車両8から得られる「生データ」を識別する以外に「加工データ」を識別する情報が含まれてもよい。「加工データ」は、一つ以上の「生データ」に所定演算を施すことによって、ユーザにとってより理解のしやすい形式に変換されたデータをいう。
【0035】
標準化車両データは、複数の階層構造を有する。例えば、
図4に示すように、標準化車両データは、最上位の第1階層に設定される項目として、「属性情報」、「パワトレ」、「エネルギー」、「ADAS/AD」、「ボデー」、「マルチメディア」及び「その他」を備える。ADASは、Advanced Driver Assistance Systemの略である。ADは、Autonomous Drivingの略である。第1階層に属する各項目は、車両データのカテゴリを表す。
【0036】
図5に示すように、標準化車両データは、第1階層に加えて、第2階層及び第3階層を備えてもよい。第2階層は第1階層の直下の階層であり、第3階層は第2階層の直下の階層である。
【0037】
例えば、第1階層の項目である「属性情報」は、第2階層の項目として、「車両識別情報」、「車両属性」、「トランスミッション構成」及び「ファームウェアバージョン」等を備える。第1階層の項目である「パワトレ」は、第2階層の項目として、「アクセルペダル」、「エンジン」及び「エンジンオイル」等を備える。第1階層の項目である「エネルギー」は、第2階層の項目として、「バッテリ状態」、「バッテリ構成」及び「燃料」等を備える。これら、第2階層に属する各項目も、車両データのカテゴリを表す。
【0038】
例えば、第2階層の項目である「車両識別情報」は、第3階層の項目として、「車両識別番号」、「車体番号」及び「ナンバープレート」を備える。第2階層の項目である「車両属性」は、第3階層の項目として、「ブランド名」、「モデル」及び「製造年」等を備える。第2階層の項目である「トランスミッション構成」は、第3階層の項目として、「トランスミッション種別」を備える。図示は省略するが、第2階層の項目である「アクセルペダル」は、第3階層の項目として「アクセルペダルの状態」、「アクセルペダルの開度」等を備える。第2階層の項目である「エンジン」には、第3階層の項目として「エンジンの状態」「回転数」等を備える。これら第3階層の各項目は、標準フォーマットの「ユニークラベル」に対応する。つまり、個々の車両データは、第3階層の各項目に対応づけて記憶される。標準化車両データに属する個々の車両データは、アイテムとも称する。
【0039】
このように、第1階層の各項目には、1以上の第2階層の項目が含まれ、第2階層の各項目には、1以上の第3階層の項目、すなわち、車両データが含まれる。
例えば、「ユニークラベル」が「車両識別情報」である車両データは、標準化車両データにおいて第1階層が「属性情報」であり且つ第2階層が「車両識別情報」であり且つ第3階層が「車両識別番号」である格納領域に格納される。
【0040】
第1階層の項目である「その他」には、例えば、登録車両8に搭載されたGPS装置から車両IF部22を介して取得される位置情報、すなわち、緯度、経度、高度が含まれてもよい。
【0041】
次に、基本アップロード部261が、管理サーバ3に、車両データをアップロードする手順を説明する。
標準化車両データに属する個々の車両データには、管理サーバ3にデータを送信する送信周期が、それぞれ設定される。送信周期は、データが変化する度合いやデータの重要度等に応じて、頻繁に変化するデータほど、また、重要度が高いデータほど短くなるように設定される。つまり、各車両データは、その特性に応じた頻度で送信される。送信周期は、例えば、500ms周期、2s周期、4s周期、30s周期、300s周期、12時間周期等である。
【0042】
また、送信タイミングは、例えば、250ms周期に設定される。各車両データは、スケジュールに従って、決められた送信タイミングでアップロードされる。スケジュールは、同じ送信タイミングに多くの車両データの送信が集中することがないように設定される。
【0043】
<2-2-2.アプリ実行部>
図3に戻り、アプリ実行部27は、後付けで任意にインストールされるアプリケーションプログラム(以下、外部アプリ)A1,A2,…を実行する機能を提供する。アプリ実行部27は、仮想環境プラットフォーム271と、ライブラリ272とを備える。
【0044】
仮想環境プラットフォーム271は、システムウェア25が有するOSを仮想化することによって、コンテナ化された外部アプリAiの実行と管理を簡易化する機能を有する。外部アプリAiは、仮想環境プラットフォーム271上で実行される。外部アプリAiは、不審者検知アプリA1や喫煙検知アプリA2を含む。
【0045】
ライブラリ272は、外部アプリAiによって共通に利用される定型の機能を提供するためのプログラム群である。ライブラリ272は、イベント通知プログラムP1、及び映像アップロードプログラムP2を含む。イベント通知プログラムP1は、外部アプリAiからの指示に従って、サービスサーバ5に対してイベント通知を送信する機能を提供する。映像アップロードプログラムP2は、外部アプリAiからの指示に従って、取得装置222によって取得された映像を、サービスサーバ5にアップロードする機能を提供する。
【0046】
<2-3.コンテンツアップロード処理>
エッジ装置2のCPU211が実行するコンテンツデータのアップロード処理について、
図6のフローチャートを参照して説明する。本実施形態では、CPU211が不審者検知アプリA1の実行中における、コンテンツデータのアップロード処理について説明する。
【0047】
なお、CPU211は、不審者検知アプリA1以外の外部アプリAiの実行中に、コンテンツデータのアップロード処理を実行してもよい。他の外部アプリAiは、例えば、喫煙検知アプリA2が挙げられる。CPU211は、喫煙検知アプリA2を実行して、喫煙を検知した場合に、上述したアップロード処理を実行してもよい。
【0048】
S10では、CPU211は、不審者を検知したか否か判定する。CPU211は、不審者検知アプリA1の実行を開始すると、登録車両8が駐車状態か判定し、登録車両8が駐車状態である場合に、車両IF部22を介して、周辺監視センサ223を起動する。CPU211は、周辺監視センサ223により移動物体が検知された場合に、車両IF部22を介して取得装置222を起動してコンテンツの取得を開始する。そして、CPU211は、取得装置222により取得されたコンテンツに含まれる映像から、不審者が検知されたか否か判定する。
【0049】
具体的には、CPU211は、映像に基づいて移動物体が人であると判定され、且つ、人であると判定された移動物体が周辺監視センサ223の検知範囲内に一定時間以上継続して存在する場合に、不審者を検知する。ここでの不審者は、エッジ装置2が搭載された登録車両8のユーザとして、予め登録されている車両ユーザ以外である。
【0050】
S10において、CPU211は、不審者が検知されていないと判定した場合は、S10の処理を繰り返し実行し、不審者が検知されたと判定した場合は、S20の処理へ進む。
S20では、CPU211は、取得装置222により取得されたコンテンツのデータ量を、車載機縮小基準で縮小する。本実施形態では、取得されたコンテンツは映像である。車載機縮小基準は、コンテンツのデータ量の縮小率、縮小量、又は、縮小後のデータ量に相当する。すなわち、CPU211は、取得装置222が起動してから現時点までのコンテンツのデータ量を減らす。
【0051】
本実施形態において、縮小は、コンテンツそのものの情報量を減らすこと、換言すると、不可逆でコンテンツの情報量を減らすことである。すなわち、本実施形態において、縮小は、情報量を元に戻すことが可能なコンテンツの情報量を圧縮は含まない。具体的には、本実施形態において、縮小は、コンテンツの情報の一部を切り出すことや、コンテンツの情報を間引くことに相当する。コンテンツの情報の一部分の切り出しは、画像の一部を切り出す(あるいは抽出する)こと、映像の最初と最後をカットし中間部分を抽出すること、を含む。情報を間引くことは、解像度/画質を落とすこと、映像のフレームを間引いて(例えば、5フレームにつき1フレーム抽出する)、連続的な静止画にすること、を含む。
【0052】
また、本実施形態において、縮小基準は、コンテンツの情報の減少量(すなわち、減少させる量)、及び/又は、情報量の切り出し方や間引き方の手法を示す。例えば、縮小基準は、コンテンツの情報の減少量を〇〇byte、××分間、□□フレーム数のように示す。また、縮小基準は、例えば、最初の1分と最後の1分のカットや、フルハイビジョン(HD)画質を標準(SD)画質に落とす、のように減少の手法を示す。
【0053】
さらに、本実施形態では、縮小基準を大きくすることは、コンテンツの情報の減少量を増やすことに相当し、ひいては、コンテンツの縮小率又は縮小量を大きくすることに相当する。また、縮小基準を小さくすることは、コンテンツの情報の減少量を減らすことに相当し、ひいては、コンテンツの縮小率又は縮小量を小さくすることに相当する。
【0054】
コンテンツが映像である場合、コンテンツのデータ量は、映像の時間、フレーム数、画質(あるいは解像度)に依存する。コンテンツが映像である場合、CPU211は、車載機縮小基準で、(i)映像時間を短縮する、(ii)映像の画質を低下させる、又は(iii)映像のフレームを間引くことによって、映像のデータ量を縮小する。車載機縮小基準は、CPU211が実行中の外部アプリAiに応じており、エッジ装置2がサービスサーバ5から外部アプリAiをダウンロードしたときに、外部アプリAi、外部アプリAiのアプリIDとともにダウンロードされる。アプリID及び車載機縮小基準は、エッジ装置2の記憶部24に格納される。
【0055】
サービスユーザが提供するサービス内容によって、サービスを実現するために必要なコンテンツのデータ量は異なる。サービスユーザが提供するサービスは、CPU211が実行するアプリに対応している。そこで、CPU211は、実行中のアプリに応じて、アプリに関連するコンテンツのデータ量の縮小率、縮小量、又は縮小後のデータ量を変える。
【0056】
例えば、
図7に示すように、不審者検知アプリA1の実行中では、CPU211は、コンテンツ(具体的には、映像)のデータ量を縮小して、1分間の車載機部分コンテンツを生成する。この1分間は、不審者を検知した時点を中心とする。また、喫煙検知アプリA2の実行中では、CPU211は、コンテンツのデータ量を縮小して、10秒間の車載機部分コンテンツを生成する。この1秒間は、喫煙を検知した時点を中心とする。
【0057】
続いて、S30では、CPU211は、S20において生成した車載機部分コンテンツをアプリID及びエッジ装置IDと紐付けて管理サーバ3へアップロードして、本処理を終了する。
【0058】
<3.管理サーバ>
<3-1.ハードウェア構成>
図8に示すように、管理サーバ3は、制御部31と、通信部32と、記憶部33とを備える。管理サーバ3は、本開示の第1管理ユニットに相当する。
【0059】
制御部31は、CPU311と、ROM312と、RAM313とを備える。制御部31の各種機能は、CPU311が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、ROM312が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。
【0060】
通信部32は、広域通信ネットワークNWを介して、複数のエッジ装置2及びサービスサーバ5との間でデータ通信を行う。なお、エッジ装置2との通信には、例えば、パブリッシュ/サブスクライブ型のシンプルで軽量なプロトコルであるMQTTを用いてもよい。MQTTは、Message Queue Telemetry Transportの略である。
【0061】
記憶部33は、エッジ装置2から提供される車両データ、コンテンツデータ等を記憶するデータベースである。
【0062】
<3-2.機能構成>
図9に示すように、管理サーバ3は、車両側ユニット110と、サービス側ユニット120との機能を備える。
【0063】
管理サーバ3が備えるこれらの機能を実現する手法はソフトウェアに限るものではなく、その一部又は全部の要素について、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現してもよい。例えば、上記機能がハードウェアである電子回路によって実現される場合、その電子回路は多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路、あるいはこれらの組合せによって実現してもよい。
【0064】
車両側ユニット110は、モビリティゲートウェイ(以下、モビリティGW)111を備える。
そしてモビリティGW111は、シャドウ管理部112と、車両制御部130とを備える。シャドウ管理部112は、エッジ装置2を搭載する車両毎に設けられたシャドウ114を管理する機能を備える。シャドウ114は、エッジ装置2から送信される標準化車両データに基づいて生成される。車両制御部130は、サービスサーバ5からの指示に従って、エッジ装置2を搭載している登録車両8を制御する機能を備える。
【0065】
サービス側ユニット120は、データ管理部121と、API提供部122とを備える。APIは、Application Programming Interfaceの略である。
データ管理部121は、車両の接続状態の変化に依存しない車両アクセスを提供するための仮想空間であるデジタルツイン123を管理する機能を備える。デジタルツイン123は、記憶部33上に構築されるデータベースの一つである。
【0066】
API提供部122は、サービスサーバ5がモビリティGW111及びデータ管理部121へアクセスするための標準インタフェースである。
【0067】
<3-2-1.データ蓄積機能>
図10に示すように、シャドウ管理部112は、エッジ装置2から取得した車両データを蓄積する機能を実現する構成として、シャドウ作成部115と、シャドウ記憶部113と、最新インデックス作成部116と、最新インデックス記憶部117とを備える。
【0068】
シャドウ作成部115は、エッジ装置2から車両データが送信される毎に、送信された車両データを、構造化された標準化車両データの該当領域に上書きすることにより、標準化車両データを更新する。つまり、標準化車両データは、車両毎に設けられ、それぞれ非同期に更新される。
【0069】
シャドウ作成部115は、更新された標準化車両データを用いて、一定周期で、全ての車両について新たなシャドウ114を同時に作成する。シャドウ作成部115は、作成したシャドウ114をシャドウ記憶部113に蓄積する。これにより、シャドウ記憶部113には、車両毎に、時系列的に作成された複数のシャドウ114が記憶される。つまり、シャドウ114は、エッジ装置2,200が搭載された車両のある時刻における状態をコピーしたものとみなすことができる。
【0070】
図11に示すように、シャドウ114は、車両データ格納部114aと、デバイスデータ格納部114bとを備える。
車両データ格納部114aは、エッジ装置2,200が搭載された車両(以下、搭載車両)に関するデータとして、「object-id」、「Shadow_version」及び「mobility-data」を格納する。
【0071】
「object-id」は、搭載車両を識別する文字列であり、パーティションキーとして機能する。
「Shadow_version」は、シャドウ114のバージョンを示す数値であり、シャドウ114が作成される毎に、作成された時刻を示すタイムスタンプが設定される。
【0072】
「mobility-data」は、タイムスタップが表す時刻における標準化車両データの値である。
デバイスデータ格納部114bは、エッジ装置2に搭載されているハードウェア、ソフトウェア、及び状態に関するデータとして、「object-id」、「update_time」、「version」、「power_status」、「power_status_timestamp」、「notify_reason」を格納する。
【0073】
「object-id」は、搭載車両を識別する文字列であり、パーティションキーとして機能する。
「update_time」は、ハードウェア及びソフトウェアの更新時刻を示す数値である。
【0074】
「version」は、ハードウェア及びソフトウェアのバージョンを示す文字列である。
「power_status」は、エッジ装置2のシステム状態を示す文字列である。具体的には、全ての機能を利用可能な「電源オン」状態、一部の機能を停止した低消費電力の「電源オフ」状態がある。
【0075】
「power_status_timestamp」は、システム状態の通知時刻を示す数値である。
「notify_reason」は、通知理由を示す文字列である。
【0076】
上記デバイスデータ格納部114bに格納される「version」「power_status」「notify_reason」等は変化が生じたときに、エッジ装置2から上記の標準化車両データとは別に通知される。
【0077】
図10に戻り、最新インデックス作成部116は、シャドウ記憶部113から車両毎に最新のシャドウ114を取得し、取得したシャドウ114を用いて最新インデックス118を作成する。そして最新インデックス作成部116は、作成した最新インデックス118を最新インデックス記憶部117に記憶する。最新インデックス記憶部117には、車両毎(すなわち、object-id毎)に1つの最新インデックス118が記憶される。
【0078】
図12に示すように、最新インデックス118は、「gateway-id」、「object-id」、「shadow-version」、「vin」、「location-lon」、「location-lat」及び「location-alt」を格納する。
【0079】
「object-id」、「shadow-version」は、シャドウ114にて説明したものと同様である。
「gateway-id」は、モビリティGW111を識別する情報である。管理サーバ3が、例えば、国別に設けられる等して複数存在する場合に、これらを識別する情報である。
【0080】
「vin」は、搭載車両に割り当てられた固有の登録番号である。
「location-lon」は、搭載車両が存在する緯度を示す情報である。
「location-lat」は、搭載車両が存在する経度を示す情報である。
【0081】
「location-alt」は、搭載車両が存在する高度を示す情報である。
図10に戻り、データ管理部121は、シャドウ管理部112から取得された最新インデックス118をインデックス126として蓄積する機能を実現する構成として、インデックス作成部124と、インデックス記憶部125とを備える。
【0082】
インデックス作成部124は、最新インデックス記憶部117から予め設定された取得スケジュールに従って最新インデックス118を取得し、取得した最新インデックス118を用いてデジタルツイン123用のインデックス126を作成する。そしてインデックス作成部124は、作成したインデックス126をインデックス記憶部125に順次記憶する。これにより、インデックス記憶部125には、車両毎に、時系列的に作成された複数のインデックス126が記憶される。つまり、インデックス記憶部125に記憶されたインデックス126のそれぞれが、仮想的な時空間であるデジタルツイン123上に存在する車両を表す。
【0083】
図13に示すように、インデックス126は、「timestamp」、「schedule-type」、「gateway-id」、「object-id」、「shadow-version」、「vin」、「location」及び「alt」を格納する。
【0084】
「timestamp」は、インデックス126が作成された時刻をミリ秒単位で示すタイムスタンプである。
「schedule-type」は、データ作成元のスケジューラが定期であるかイベントであるかを示す。定期である場合には「schedule-type」は「Repeat」に設定され、イベントである場合には「schedule-type」は「Event」に設定される。
【0085】
「gateway-id」、「object-id」「shadow-version」、「vin」は、最新インデックス118から引き継いだ情報である。
「location」は、最新インデックス118の「location-lon」、「location-lat」から引き継いだ情報であり、「alt」は、最新インデックス118の「location-alt」から引き継いだ情報である。
【0086】
<3-2-2.データ提供機能>
図9及び
図10に示すように、サービス側ユニット120は、API提供部122を備える。API提供部122は、管理サーバ3が有する機能及び/又はデータを、サービスサーバ5等を介して外部のサービスユーザに利用させるために用意されたインタフェースである。
【0087】
API提供部122は、
図10に示すように、認証情報記憶部141と、認可情報記憶部142と、車両識別情報記憶部143と、認証処理部144とを備える。また、サービスユーザに提供するAPIの種類として、ログインAPI145と、データ取得API146と、車両制御API148とを備える。
【0088】
認証情報記憶部141は、「サービスユーザID」に対応づけて「認証情報」を記憶する。「サービスユーザID」は、サービスユーザを一意に識別する識別情報である。「認証情報」は、あらかじめ設定されたパスワードである。
【0089】
認可情報記憶部142は、「サービスユーザID」に対応づけて「認可情報」を記憶する。「認可情報」は、管理サーバ3が提供する全てのサービスのうち、利用可能なサービスの範囲を、サービスユーザ毎に指定した情報である。
【0090】
車両識別情報記憶部143は、搭載車両に一意に割り当てられた「object-id」と、そのエッジ搭載車両の「vin」とを対応づけたテーブル情報を記憶する。
認証処理部144は、ログインAPI145を介して認証要求が行われた場合に、認証処理を実行し、データ取得API146及び車両制御API148を介してアクセス要求が行われた場合に、認可処理を実行する。
【0091】
ログインAPI145は、管理サーバ3にログインする際に用いられる。ログインAPI145がサービスユーザからの認証要求を受け付けると、認証処理部144が認証処理を実行する。認証処理では、ログインAPI145により入力された「サービスユーザID」「認証情報」を、認証情報記憶部141の登録内容と照合する。照合の結果、情報が一致した場合、すなわち、認証に成功した場合は、管理サーバ3へのアクセスを許可する。
【0092】
データ取得API146は、
図9中のL1に示すように、管理サーバ3に蓄積された車両データ(すなわち、インデックス126及びシャドウ114)へのアクセスに用いるAPIである。車両制御API148は、
図9中のL2に示すように、エッジ搭載車両へのアクセスに用いるAPIである。
【0093】
データ取得API146及び車両制御API148は、サービスユーザからのアクセス要求を受け付けたときに、認可処理を行ってもよい。認可処理は、サービスユーザに予め付与された権限に従って、アクセス要求を許可又は拒否する処理である。
【0094】
なお、データ取得API146及び車両制御API148では、車両を特定する情報として、「object-id」及び「vin」のいずれを用いてもよい。車両を特定する情報として「vin」が用いられている場合は、車両識別情報記憶部143を参照し、車両を特定する情報を、「vin」から「object-id」に変換してもよい。
【0095】
<3-2-3.データ取得機能>
図10に示すように、管理サーバ3は、データ取得API146を介したアクセス要求(以下、データ取得要求)を処理するための構成として、インデックス取得部127と、データ取得部119とを備える。
【0096】
データ取得API146がサービスユーザからのデータ取得要求を受け付けたときに、インデックス取得部127及びデータ取得部119が実行するデータ取得処理について説明する。
【0097】
データ取得要求は、車両指定情報と、時間指定情報と、データ指定情報とを含む。
車両指定情報は、車両データの提供元となる車両(以下、対象車両)を指定するための情報である。車両指定情報は、対象車両の車両ID(すなわち、object-id又はvin)をリスト形式で列挙する方法と、対象車両が存在する地理的領域を指定(以下、エリア指定)する方法とがある。
【0098】
時間指定情報は、データが生成されたタイミングを指定する情報である。時間指定情報は、起点となる時刻、及びレンジによって表される。レンジは、例えば、最新インデックス118の生成周期を単位時間として、時間幅を1以上の整数で表した値である。
【0099】
データ指定情報は、取得するデータを指定する情報である。データ指定情報は、標準化車両データに示されたデータのアイテム名をリスト形式で表してもよいし、標準化車両データに示されたカテゴリ名を指定することで表してもよい。カテゴリ名を指定した場合、そのカテゴリに属するすべてのアイテムが指定されたことに相当する。また、アイテム名及びカテゴリ名がいずれも指定されていない場合は、全アイテムが指定されたことに相当する。
【0100】
なお、ここで示した車両指定情報、時間指定情報、データ指定情報の設定の仕方は一例であり、上記方法に限定されるものではない。
インデックス取得部127は、データ取得要求に示された車両指定情報から特定される全ての車両について、時間指定情報に示された時間範囲内の「timestamp」を有する全てのインデックス126を抽出する。
【0101】
インデックス取得部127は、抽出されたインデックス126のそれぞれについて、インデックス126に示された「object-id」と「shadow-version」とを組み合わせたシャドウ特定情報を生成する。これにより、シャドウ特定情報を列挙したシャドウリストを生成する。
【0102】
インデックス取得部127は、生成されたシャドウリストに、データ取得要求に示されたデータ指定情報を付加したシャドウアクセス要求を、シャドウ管理部112のデータ取得部119に出力する。
【0103】
つまり、インデックス取得部127は、データ取得API146からのデータ取得要求に示された車両指定情報及び時間指定情報を取得条件とし、この取得条件に従って、シャドウリストを生成する。また、インデックス取得部127は、生成したシャドウリストとデータ指定情報とを組み合わせたシャドウアクセス要求をデータ取得部119に出力する。
【0104】
データ取得部119は、インデックス取得部127からのシャドウアクセス要求が入力されると、シャドウ記憶部113を参照して、シャドウアクセス要求のシャドウリストに示された各シャドウ特定情報に対応するシャドウ114を抽出する。さらに、データ取得部119は、抽出されたシャドウ114のそれぞれから、シャドウアクセス要求のデータ指定情報に示されたデータである指定データを抽出し、抽出した指定データをアクセス結果として、要求元となったデータ取得API146に返送する。
【0105】
<3-2-4.車両制御機能>
図10に示すように、管理サーバ3は、車両制御API148を介したアクセス要求(以下、車両制御要求)を処理するための構成として車両制御部130を備える。
【0106】
車両制御API148がサービスユーザからの車両制御要求を受け付けたときに、車両制御部130が実行する車両制御処理について説明する。
車両制御要求は、車両指定情報と、実行対象情報と、制御指定情報とを含む。車両制御要求には、更に、優先度情報、制限時間情報、車両認証情報が含まれてもよい。
【0107】
車両指定情報には、一つの車両IDが示される。車両IDから特定される車両が制御の対象となる対象車両である。
実行対象情報は、制御指定情報に示された制御内容を、登録車両8に実装されたどのアプリケーションに実行させるかを指定する情報であり、アプリケーションを識別するアプリIDが示される。
【0108】
制御指定情報は、登録車両8に実行させる具体的な制御の内容を示す。例えば、各席のドア及びトランクドア等の各種ドアの鍵操作、ホーン及びブザー等の音響機器の操作、ヘッドランプ及びハザードランプ等の各種ランプの操作、取得装置222及びレーダ等の各種センサの操作が含まれてもよい。制御指定情報は、一つの制御が示されてもよいし、連続して実行される複数の制御がリスト形式で示されてもよい。なお、リスト形式で示された制御は、リスト順に実行される。
【0109】
優先度情報は、車両制御要求に基づいて生成される制御指示を、登録車両8に向けて送信する際の優先度を示す。優先度情報は、要求元となるサービスユーザによって設定されてもよいし、制御指定情報に示された制御の内容に応じて自動的に設定されてもよい。
【0110】
制限時間情報は、登録車両8での制御が許容される最終時刻を示す。制限時間情報は、例えば、車両制御要求が入力された時刻+10分を限度として設定される。制限時間情報は、優先度情報と同様に、要求元となるサービスユーザによって設定されてもよいし、車両に要求する制御の内容に応じて自動的に設定されてもよい。
【0111】
車両認証情報は、対象車両が制御指示を受け入れてよいか否かの判定に用いる情報であり、対象車両の所有者を識別するオーナーIDとパスワードとで構成されてもよい。車両認証情報は、登録車両8に保持されると共に、その車両へのアクセスが許可されたサービスユーザにも保持される。
【0112】
車両制御部130は、車両制御API148から車両制御要求が入力されると、車両制御要求に基づいて生成される1又は複数の制御指示を対象車両に向けて送信する。
エッジ装置2は、管理サーバ3から制御指示を受信すると、制御指示に示された車両認証情報と、自車両が有する車両認証情報とを照合して認証を行う。
【0113】
認証に成功した場合、エッジ装置2は、実施指定情報から特定されるアプリケーションに、制御指定情報に示された制御を実行させる。また、エッジ装置2は、制御の実施結果を含んだ応答を管理サーバ3に送信する。
応答を受信した車両制御部130は、応答内容を車両制御API148に返送する。
【0114】
<3-3.データ保存処理>
管理サーバ3のCPU311が実行するコンテンツ保存処理について、
図14のフローチャートを参照して説明する。CPU311は、所定の周期でコンテンツ保存処理を繰り返し実行する。
【0115】
S100では、CPU311は、エッジ装置2から管理サーバ3に車載機部分コンテンツがアップロードされたか否か判定する。すなわち、CPU311は、エッジ装置2から車載機部分コンテンツを受信したか否か判定する。CPU311は、車載機部分コンテンツがアップロードされたと判定した場合は、S110の処理へ進み、車載機部分コンテンツがアップロードされていないと判定した場合は、S100の処理を繰り返し実行する。
【0116】
S110では、CPU311は、アップロードされた車載機部分コンテンツに対応するサービスユーザ種別、具体的にはサービスユーザIDを確認する。サービスユーザ種別は、複数の車載装置に関するグルーピングによって分けられた1つのグループに対応し、その1つのグループには、1つのサービス事業者が、サービスサーバ5を介してサービスを提供する複数のエンドユーザが属する。
【0117】
サービスユーザの各々は、複数のエッジ装置2に紐付けられた1以上のエンドユーザに、所定のサービスを提供する。エンドユーザは、1つ以上のエッジ装置2の各々が1つ以上のアプリを実行することにより、所定のサービスを受ける。
【0118】
例えば、
図7に示すように、サービスユーザAAAは、フリートサービスaを提供し、フリートサービスaに関連する第1エッジ装置グループ、第1車両グループ、又は第1車両ユーザグループを束ねる。サービスユーザBBBは、カーシェアサービスbを提供し、カーシェアサービスbに関連する第2エッジ装置グループ、第2車両グループ、又は第2車両ユーザグループを束ねる。第1エッジ装置グループは、「XXX」及び「YYY」を含む複数のエッジ装置IDを有する複数のエッジ装置2に相当する。第1車両グループは、第1エッジ装置グループが搭載された複数の登録車両8に相当する。第1車両ユーザグループは、第1車両グループの1以上の車両ユーザに相当する。第2エッジ装置グループは、「ZZZ」を含む複数のエッジ装置IDを有する複数のエッジ装置2に相当する。第2車両グループは、第2エッジ装置グループが搭載された複数の登録車両8に相当する。第2車両ユーザグループは、第2車両グループの1以上の車両ユーザに相当する。
【0119】
さらに、1つのサービスユーザに対応するグループが、所定の特徴に応じて、複数のサブグループに分かれていてもよい。所定の特徴は、例えば、車種であり、1つのサービスユーザに対応するグループが、軽自動車のグループ、普通自動車のグループ、トラックのグループに分かれていてもよい。すなわち、サービスユーザは、同じ種類のサービスを提供する1つのグループを複数のサブグループに分け、サブグループごとにサービスの内容に差異を設けてもよい。例えば、サービスユーザAAAは、普通自動車のグループに提供するフリートサービスの内容を、トラックのグループに提供するフリートサービスの内容と変えてもよい。
【0120】
図7に示すように、管理サーバ3は、アプリID、サービスユーザID、第1管理ユニット縮小基準、及びエッジ装置IDを、互いに紐付けて、記憶部33に格納している。管理サーバ3は、記憶部33を参照して、車載機部分コンテンツに紐付けられたエッジ装置IDに対応するサービスユーザIDを取得する。
【0121】
S120では、CPU311は、管理サーバ3にアップロードされた車載機部分コンテンツを、第1管理ユニット縮小基準で縮小して、第1管理ユニット部分コンテンツを生成する。第1管理ユニット縮小基準は、車載機部分コンテンツのデータ量の縮小率、縮小量、又は、縮小後のデータ量に相当する。第1管理ユニット縮小基準は、サービスユーザIDなどの、複数のエッジ装置2、複数の登録車両8又は複数の車両ユーザを束ねるグループの識別情報に応じて異なる。例えば、管理サーバ3は、サービスユーザ毎に、契約内容に応じて第1管理ユニット縮小基準を設定し、サービスユーザIDに紐付けて記憶部33に格納している。CPU311は、S110で確認したサービスユーザ種別に対応した第1管理ユニット縮小基準を用いる。
【0122】
CPU311は、S110で確認したサービスユーザIDに対応した第1管理ユニット縮小基準で、(i)車載機部分コンテンツの映像時間を短縮する、(ii)車載機部分コンテンツの画質を低下させる、又は(iii)車載機部分コンテンツのフレームを間引くことによって、車載機部分コンテンツのデータ量を縮小する。
【0123】
サービスユーザが提供するサービス内容に応じて、必要なコンテンツのデータ量は異なる。そのため、サービスユーザ毎に、管理サーバ3に保存するデータ量に関する契約が異なる。例えば、
図7に示すように、サービスユーザAAAは、不審者検知アプリA1に関して1分のコンテンツ保存を管理サーバ3と契約している。そこで、管理サーバ3は、第1の車載機部分コンテンツを縮小して、1分間の第1管理ユニット部分コンテンツを生成する。第1の車載機部分コンテンツは、「XXX」又は「YYY」のエッジ装置IDを有するエッジ装置2からアップロードされたコンテンツである。また、サービスユーザBBBは、第2の車載機部分コンテンツを縮小して、30秒の第1管理ユニット部分コンテンツを生成する。第2の車載機部分コンテンツは、「ZZZ」のエッジ装置IDを有するエッジ装置2からアップロードされたコンテンツである。
【0124】
また、1つのサービスユーザに対応するグループが複数のサブグループを含んでいる場合は、第1管理ユニット縮小基準は、サブグループごとに設定されている。したがって、CPU311は、サブグループごとに、データ量の縮小量を変える。CPU311は、サブグループごとに、対応する第1管理ユニット縮小基準で車載機部分コンテンツを縮小して、第1管理ユニット部分コンテンツを生成する。
【0125】
なお、第1管理ユニット部分コンテンツのデータ量は、車載機部分コンテンツのデータ量よりも必ずしも縮小されている必要はなく、車載機部分コンテンツのデータ量と同じでもよい。例えば、車載機縮小基準及び第1管理ユニット縮小基準の両方が、1分間の映像時間である場合、第1管理ユニット部分コンテンツは車載機部分コンテンツから縮小されず、車載機部分コンテンツと同一のコンテンツになる。
【0126】
続いて、S130では、CPU311は、S120で生成された第1管理ユニット部分コンテンツを、アプリID、エッジ装置ID及びサービスユーザIDと紐付けて記憶部33に保存する。
続いて、S140では、CPU311は、サービスサーバ5のいずれかからコンテンツ要求があるか否か判定する。CPU311は、コンテンツ要求が有ると判定した場合は、S150の処理へ進み、コンテンツ要求が無いと判定した場合は、S140の処理を繰り返し実行する。
【0127】
S150では、CPU311は、コンテンツを要求したサービスユーザを確認する。すなわち、CPU311は、コンテンツを要求したサービスサーバ5(すなわち、サービスユーザ)に紐付けられたサービスユーザIDを確認する。そして、CPU311は、確認したサービスユーザのサービスサーバ5へ、そのサービスユーザが利用する第1管理ユニット部分コンテンツを送信する。
【0128】
続いて、S160では、CPU311は、保存されている第1管理ユニット部分コンテンツの各々の保存期間が、所定期間を超えているか否か判定する。CPU311は、すべての第1管理ユニット部分コンテンツの保存期間が所定期間以下である場合は、S160の処理を繰り返し実行する。CPU311は、いずれかの第1管理ユニット部分コンテンツの保存期間が所定期間を超えている場合は、S170の処理へ進む。
【0129】
S170では、保存期間が所定期間を超えた第1管理ユニット部分コンテンツを記憶部33から削除し、本処理を終了する。なお、S160において、CPU311は、保存期間が所定期間を超えているか否か判定する代わりに、保存されている第1管理ユニット部分コンテンツの各々の送信回数が、設定回数を超えたか否か判定してもよい。送信回数は、管理サーバ3からサービスサーバ5へ第1管理ユニット部分コンテンツを送信した回数である。そして、S170において、CPU311は、送信回数が設定回数を超えた第1管理ユニット部分コンテンツを記憶部33から削除してもよい。
【0130】
<4.サービスサーバ>
<4-1.ハードウェア構成>
図15に示すように、サービスサーバ5は、制御部51と、通信部52と、記憶部53とを備える。サービスサーバ5は、本開示の第2管理ユニットに相当する。
【0131】
制御部51は、CPU511と、ROM512と、RAM513とを備える。制御部51の各種機能は、CPU511が非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、ROM512が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。
【0132】
通信部52は、広域通信ネットワークNWを介してエッジ装置2、管理サーバ3、及び端末装置7との通信を行う。なお、端末装置7との通信には、管理サーバ3との通信に用いるネットワークとは異なるネットワークを用いてもよい。
記憶部53は、サービスの提供に必要な種々の情報を記憶する。
【0133】
<4-2.機能構成>
図16に示すように、サービスサーバ5は、データ収集部61と、遠隔操作部62と、イベント管理部63と、を備える。また、サービスサーバ5は、複数のデータベース(以下、DB)、具体的には、車両DB531と、映像DB532と、ユーザDB533と、地
図DB534と、ジオフェンスDB535とを備える。
【0134】
車両DB531は、データ収集部61が管理サーバ3から取得する車両データを記憶する。映像DB532は、エッジ装置2からアップロードされる映像データを記憶する。ユーザDB533は、登録車両8のドライバに関する情報であるドライバ情報を記憶する。ドライバ情報には、ドライバに対応づけられる登録車両8の車両ID、及び端末装置7への連絡方法(例えば、電話番号、メールアドレス等)が含まれる。地
図DB534は、ナビゲーション等で使用される地図情報が記憶される。ジオフェンスDB535は、車両DB531に記憶された登録車両8の位置と地
図DB534に記憶された地図情報とに基づいて設定されるジオフェンスが記憶される。ジオフェンスは、仮想的な地理的境界線で囲まれたエリアである。
【0135】
データ収集部61は、管理サーバ3によって提供されるデータ取得APIを利用して、全ての登録車両8の位置情報を繰り返し取得して、各登録車両8の最新の位置情報を車両DB531に記憶する。
【0136】
遠隔操作部62は、端末装置7からの指示に従い、管理サーバ3によって提供される車両制御API148を利用して、指定された登録車両8の車両制御を実行する。
イベント管理部63は、エッジ装置2からイベント通知を受信すると、イベント通知の内容に応じた処理を実行する。
【0137】
<4-3.コンテンツ取得処理>
サービスサーバ5のCPU511が実行するコンテンツ取得処理について、
図17のフローチャートを参照して説明する。CPU511は、所定の周期でコンテンツ取得処理を繰り返し実行する。
【0138】
S200では、CPU511は、サービスユーザが契約している管理サーバ3へ、契約内容に応じたコンテンツを要求する。
S210では、CPU511は、管理サーバ3から送信された第1管理ユニット部分コンテンツを取得する。
【0139】
S220では、CPU511は、S210で取得した第1管理ユニット部分コンテンツに対応するエンドユーザ種別、具体的にはエンドユーザIDを確認する。例えば、
図7に示すように、サービスユーザAAAのサービスサーバ5は、アプリID、エンドユーザID、エッジ装置ID、会員ステータス及び第2管理ユニット縮小基準を、互いに紐付けて、記憶部53に格納している。CPU511は、第1管理ユニット部分コンテンツに紐付けられたエッジ装置IDに対応するエンドユーザIDを取得する。エンドユーザ種別は、本開示のサービスを利用するエンドユーザ又は車載装置又は車両ユーザの識別情報に相当する。
【0140】
続いて、S230では、CPU511は、受信した第1管理ユニット部分コンテンツを、第2管理ユニット縮小基準で縮小して、第2管理ユニット部分コンテンツを生成する。第2管理ユニット縮小基準は、第1管理ユニット部分コンテンツのデータ量の縮小率、縮小量、又は、縮小後のデータ量に相当する。第2管理ユニット縮小基準は、エンドユーザIDなどの、サービスサーバ5が提供するサービスに対応した、エンドユーザ、エッジ装置2、登録車両8、又は車両ユーザの識別情報に応じて変わる。
【0141】
サービスユーザは、エンドユーザの各々に会員ステータスを付与し、エンドユーザIDと会員ステータスを紐付けている。そして、サービスユーザは、会員ステータスに応じて、提供するサービスの内容を変える。例えば、サービスユーザは、会員ステータスが比較的高いエンドユーザには、会員ステータスが比較的低いエンドユーザよりも、充実したサービスを提供する。そのため、会員ステータスに応じてサービス縮小基準は変わり、CPU511は、エンドユーザIDに対応する会員ステータスが高くなるに従って、データ量の縮小量を小さくする。
【0142】
CPU511は、S220で確認したエンドユーザIDに対応した第2管理ユニット縮小基準で、(i)第1管理ユニット部分コンテンツの映像時間を短縮する、(ii)第1管理ユニット部分コンテンツの画質を低下させる、又は(iii)第1管理ユニット部分コンテンツのフレームを間引くことによって、第1管理ユニット部分コンテンツのデータ量を縮小する。
【0143】
例えば、
図7に示すように、CPU511は、上級会員のエンドユーザMMMにサービスを提供するために、第1管理ユニット部分コンテンツのデータ量を縮小して、1分間の第2管理ユニット部分コンテンツを生成する。すなわち、CPU511は、「XXX」のエッジ装置IDを有するエッジ装置2からアップロードされたコンテンツに基づいた第1管理ユニット部分コンテンツから、1分間の第2管理ユニット部分コンテンツを生成する。「XXX」のエッジ装置IDは、エンドユーザMMMに紐付けられている。
【0144】
また、CPU511は、トライアル会員のエンドユーザNNNにサービスを提供するために、第1管理ユニット部分コンテンツのデータ量を縮小して、10秒間の第2管理ユニット部分コンテンツを生成する。すなわち、CPU511は、「YYY」のエッジ装置IDを有するエッジ装置2からアップロードされたコンテンツに基づいた第1管理ユニット部分コンテンツから、10秒間の第2管理ユニット部分コンテンツを生成する。
【0145】
なお、第2管理ユニット部分コンテンツのデータ量は、第1管理ユニット部分コンテンツのデータ量よりも必ずしも縮小されている必要はなく、第1管理ユニット部分コンテンツのデータ量と同じでもよい。第2管理ユニット縮小基準及び第1管理ユニット縮小基準の両方が、1分間の映像時間である場合、第2管理ユニット部分コンテンツは第1管理ユニット部分コンテンツから縮小されず、第1管理ユニット部分コンテンツと同一のコンテンツになる。
【0146】
続いて、S240では、CPU511は、S230で生成した第2管理ユニット部分コンテンツを記憶部53に保存する。
続いて、S250では、CPU511は、エンドユーザの端末装置7からデータへのアクセスがあるか否か判定する。CPU511は、アクセスありと判定した場合は、S260の処理へ進み、アクセスなしと判定した場合は、S250の処理を繰り返し実行する。
【0147】
S260では、CPU511は、アクセスに付与されているエンドユーザIDに基づいて、データアクセスをしたエンドユーザを特定する。そして、CPU511は、データへアクセスをしたエンドユーザに対応する第2管理ユニット部分コンテンツに基づいて、対応する端末装置7へ端末用コンテンツ送信する。端末用コンテンツは、第2管理ユニット部分コンテンツと同一でもよいし、第2管理ユニット部分コンテンツを加工したコンテンツでもよい。なお、本実施形態において、第2管理ユニット部分コンテンツは、本開示のサービス部分コンテンツに相当する。
【0148】
<5.端末装置>
端末装置7は、端末アプリがインストールされる。端末アプリは、グラフィックユーザインタフェース(以下、GUI)が用いられ、サービスサーバ5からの通知を表示したり、車室内映像を再生したり、サービスサーバ5に車両制御を指示したりする機能を備える。
【0149】
端末アプリのGUIには、映像視聴画面、メニューボタン等が表示される。メニューボタンには、映像再生ボタン、車両制御ボタンが含まれる。
端末アプリは、不審者検知通知や喫煙検知通知などを受信すると、検知通知を受信した旨を示すアイコン等を端末装置7の表示画面に表示することに加えて、端末装置7に搭載された音響機器等を用いて、音声又は振動による報知を行ってもよい。
【0150】
端末アプリは、端末装置7がサービスサーバ5から映像アップ通知を受信すると、映像再生ボタンを有効にする。端末アプリは、有効になった映像再生ボタンが操作されると、映像視聴画面にて車室内映像を再生する。
【0151】
端末アプリは、車室内映像が再生されると、車両制御ボタンを有効にする。端末アプリは、有効になった車両制御ボタンが操作されると、サービスサーバ5に対して車両制御を指示する。実施可能な車両制御が複数存在する場合、車両制御の種類毎に車両制御ボタンが用意されてもよい。
【0152】
<6.動作>
モビリティIoTシステム100全体の動作を、
図18及び
図19のシーケンス図を参照して説明する。
【0153】
<6-1.通常時の動作>
図17に示すように、通常時には、エッジ装置2は、エッジ装置2が搭載された登録車両8の車両データをスケジュールに従って管理サーバ3へ繰り返し送信する。
【0154】
管理サーバ3のモビリティGW111は、受信した車両データをシャドウ114として蓄積すると共に、最新インデックス118を生成する。管理サーバ3のデータ管理部121は、最新インデックス118をデジタルツイン123として蓄積する。デジタルツイン123は、全てのエッジ搭載車両の識別情報及び位置情報を少なくとも含む。
【0155】
つまり、クラウド上の管理サーバ3には、エッジ装置2が搭載されたすべての車両の車両データが、シャドウ114及びデジタルツイン123として逐次更新されながら蓄積される。
【0156】
サービスサーバ5のデータ収集部61は、管理サーバ3が提供するデータ取得API146を利用して、不審者検知アプリA1を実行中の登録車両8の位置情報を繰り返し取得し、最新の位置情報を車両DB531に記憶する。
【0157】
なお、データ取得API146に入力されるデータ取得要求は、例えば、位置指定情報としてサービス提供範囲が設定され、時間指定情報として現時刻が設定され、取得情報として位置情報が設定される。そして、データ管理部121は、サービス指定範囲内に存在するすべての登録車両8のオブジェクトIDと現時刻とを指定するオブジェクトリストを生成する。そして、モビリティGW111は、オブジェクトリストに従ってシャドウ114から最新の位置情報を抽出して、サービスサーバ5に返送する。
【0158】
<6-2.イベント検出時の動作>
図19に示すように、エッジ装置2は、不審者検知アプリA1の実行を開始すると、取得装置222によるコンテンツの取得を開始する。エッジ装置2は、取得装置222により取得されたコンテンツに基づいて、不審者を検知すると、コンテンツのデータ量を車載機縮小基準で縮小して、車載機部分コンテンツを生成する。エッジ装置2は、生成した車載機部分コンテンツを管理サーバ3へアップロードする。
【0159】
管理サーバ3は、アップロードされた車載機部分コンテンツに対応するサービスユーザの種別を確認する。管理サーバ3は、確認したサービスユーザの種別に応じた第1管理ユニット縮小基準で、車載機部分コンテンツのデータ量を縮小して、第1管理ユニット部分コンテンツを生成し記憶部33に保存する。
【0160】
サービスサーバ5は、管理サーバ3のコンテンツを利用するため、管理サーバ3へ認証を要求する。管理サーバ3は、サービスサーバ5の認証処理を実行し、認証が成功すると、認証OKをサービスサーバ5へ送信する。サービスサーバ5は、認証OKを受信すると、管理サーバ3へコンテンツを要求する。管理サーバ3は、サービスサーバ5に対応するサービスユーザを確認する。管理サーバ3は、確認したサービスユーザに対応する第1管理ユニット部分コンテンツを、サービスサーバ5へ送信する。
【0161】
サービスサーバ5は、受信した第1管理ユニット部分コンテンツに対応するエンドユーザの種別を確認する。サービスサーバ5は、確認したエンドユーザの種別に応じた第2管理ユニット縮小基準で、第1管理ユニット部分コンテンツのデータ量を縮小して、第2管理ユニット部分コンテンツを生成して記憶部53に保存する。
【0162】
端末装置7は、サービスサーバ5からサービスを受けるため、サービスサーバ5のデータにアクセスする。サービスサーバ5は、端末装置7のエンドユーザに対応する第2管理ユニット部分コンテンツに基づいた端末用コンテンツ、端末装置7へ送信する。
【0163】
<7.効果>
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)エッジ装置2が車載機縮小基準でコンテンツのデータ量を縮小することにより、エッジ装置2と管理サーバ3との間での通信量を抑制することができる。また、管理サーバ3が、第1管理ユニット縮小基準でアップロードされた車載機部分コンテンツのデータ量を縮小して保存することにより、管理サーバ3が保存するデータ量を抑制し、且つ、管理サーバ3とサービスサーバ5の間での通信量を抑制することができる。サービスサーバ5が第2管理ユニット縮小基準で受信した第1管理ユニット部分コンテンツのデータ量を縮小して保存することにより、サービスサーバ5が保存するデータ量を抑制することができる。
【0164】
(2)サービスサーバ5は、エンドユーザのステータスが高くなるに従って、エンドユーザへのサービスに利用される第2管理ユニット部分コンテンツのデータ量を大きくする。これにより、サービスユーザは、ステータスの高いエンドユーザに、より質の高いサービスを提供することができる。
【0165】
(3)管理サーバ3は、第1管理ユニット部分コンテンツを提供するサービスユーザごとに、第1管理ユニット部分コンテンツの縮小度合を変えることができる。すなわち、管理サーバ3は、エンドユーザに提供されるサービスごとに、第1管理ユニット部分コンテンツの縮小度合を変えることができる。したがって、エンドユーザは、サービスユーザから適切なサービスを受けることができる。
【0166】
(4)同じ種類のサービスの提供を受けるエンドユーザのグループを複数のサブグループに分けることにより、管理サーバ3は、サブグループごとに、第1管理ユニット部分コンテンツの縮小度合を変えることができる。ひいては、サービスユーザは、エンドユーザにより適切なサービスを提供することができる。
【0167】
(5)コンテンツに映像が含まれている場合、映像時間の短縮、画質の低下、及びフレームの間引きのいずれかにより、コンテンツのデータ量を縮小することができる。
(6)管理サーバ3は、保存期間が設定期間を超えている第1管理ユニット部分コンテンツをデータベースから削除することにより、記憶部33に保存されるデータ量を抑制することができる。
【0168】
(7)管理サーバ3は、サービスサーバ5へ送信した送信回数が設定回数を超えている第1管理ユニット部分コンテンツをデータベースから削除することにより、記憶部33に保存されるデータ量を抑制することができる。
【0169】
(他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0170】
(a)上記実施形態では、管理サーバ3が車載機部分コンテンツのデータ量を縮小したが、管理サーバ3は、車載機部分コンテンツのデータ量を縮小しなくてもよい。すなわち、管理サーバ3は、第1管理ユニット部分コンテンツとして、車載機部分コンテンツを保存し且つサービスサーバ5へ送信してもよい。
【0171】
(b)上記実施形態では、サービスサーバ5が第1管理ユニット部分コンテンツのデータ量を縮小したが、サービスサーバ5は、第1管理ユニット部分コンテンツのデータ量を縮小しなくてもよい。すなわち、サービスサーバ5は、第2管理ユニット部分コンテンツとして、第1管理ユニット部分コンテンツを保存し且つ端末装置7へ送信してもよい。
【0172】
(c)上記実施形態では、管理サーバ3のCPU311は、保存期間が設定期間を超えた第1管理ユニット部分コンテンツ、又は、送信回数が設定回数を超えた第1管理ユニット部分コンテンツを記憶部33から削除していたが、サービスサーバ5のCPU511も同様に第2管理ユニット部分コンテンツを記憶部53から削除してもよい。すなわち、CPU511は、保存期間が設定期間を超えた第2管理ユニット部分コンテンツ、又は、送信回数が設定回数を超えた第2管理ユニット部分コンテンツを記憶部53から削除してもよい。
【0173】
(d)本開示に記載の制御部21,31,51及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部21,31,51及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部21,31,51及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。制御部21,31,51に含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0174】
(e)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0175】
(f)上述したモビリティシステムの他、当該モビリティシステムに含まれる車載装置、管理サーバ、及びサービスサーバの各々を機能させるための各種プログラム、これらのこのプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実体的記録媒体など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【0176】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
映像又は音声を含むコンテンツを取得する取得装置(222)を備える車両(8A,8B)に搭載された車載装置(2A,2B)と、前記車両を含む複数の車両に搭載された複数の車載装置からデータを収集して保存するように構成された管理サーバ(3,5A,5B)と、を備えるモビリティサービスシステム(100)であって、
前記車載装置は、
アプリケーションプログラムを実行するように構成された実行部(211,27)と、
前記実行部による前記アプリケーションプログラムの実行中に、前記アプリケーションプログラムに関連するイベントを検知するように構成されたイベント検知部(211,S10)と、
前記イベント検知部により前記イベントが検知された場合に、前記取得装置により取得されたコンテンツのデータ量を、前記アプリケーションプログラムに応じた車載機縮小基準で縮小して、車載機部分コンテンツを生成するように構成された車載機側縮小部(211,S20)と、
前記車載機側縮小部により生成された前記車載機部分コンテンツを前記管理サーバへアップロードするように構成されたアップロード部(211,S30)と、を備え、
前記管理サーバは、
前記アップロード部によりアップロードされた前記車載機部分コンテンツのデータ量を、前記車載装置に関連する情報に応じたサーバ縮小基準で縮小して、サーバ部分コンテンツを生成するように構成されたサーバ側縮小部(311,511,S120,S230)と、
前記サーバ側縮小部により生成された前記サーバ部分コンテンツに基づいて、前記アプリケーションプログラムに対応したサービスを利用するエンドユーザの端末装置(7A,7B)へ端末用コンテンツを送信するように構成された端末送信部(511,S260)と、を備える、
モビリティサービスシステム。
[項目2]
前記管理サーバ(3,5A,5B)は、第1管理ユニット(3)と、第2管理ユニット(5A,5B)と、を含み、
前記サーバ縮小基準は、複数の車載装置に関するグルーピングに応じて定められる第1管理ユニット縮小基準を含み、
前記第1管理ユニットは、
前記サーバ側縮小部に含まれた第1管理ユニット縮小部であって、前記アップロード部(211,S30)によりアップロードされた前記車載機部分コンテンツのデータ量を第1管理ユニット基準で縮小して、第1管理ユニット部分コンテンツを生成するように構成された第1管理ユニット縮小部(311,S120)と、
前記第1管理ユニット縮小部により生成された前記第1管理ユニット部分コンテンツを保存するように構成された記憶部(33)と、
前記第2管理ユニットからの要求に応じて、前記記憶部に記憶されている第1管理ユニット部分コンテンツのうち前記要求に対応する第1管理ユニット部分コンテンツを、前記第2管理ユニットへ送信するように構成された第1送信部(311,S150)と、を備え、
前記第2管理ユニットは、
前記第1送信部により送信された前記第1管理ユニット部分コンテンツを受信するように構成された受信部(511,S210)と、
前記端末送信部(511,S260)と、を備え、
前記端末送信部は、第1管理ユニット部分コンテンツに基づいて、前記端末装置へ前記端末用コンテンツを送信するように構成されている、
項目1に記載のモビリティサービスシステム。
[項目3]
前記管理サーバ(3,5A,5B)は、第1管理ユニット(3)と、第2管理ユニット(5A,5B)と、を含み、
前記サーバ縮小基準は、前記車載装置に関連する識別情報に応じて定められる第2管理ユニット基準を含み、
前記第1管理ユニットは、
前記アップロード部(211,S130)によりアップロードされた前記車載機部分コンテンツに基づいた第1管理ユニット部分コンテンツを保存するように構成された記憶部(33)と、
前記第2管理ユニットからの要求に応じて、前記記憶部に記憶されている第1管理ユニット部分コンテンツのうち前記要求に対応する第1管理ユニット部分コンテンツを、前記第2管理ユニットへ送信するように構成された第1送信部(311,S150)と、を備え、
前記第2管理ユニットは、
前記第1送信部により送信された前記第1管理ユニット部分コンテンツを受信するように構成された受信部(511,S210)と、
前記サーバ側縮小部に含まれる第2管理ユニット縮小部であって、前記受信部により受信された前記第1管理ユニット部分コンテンツのデータ量を第2管理ユニット基準で縮小して、第2管理ユニット部分コンテンツを生成するように構成された第2管理ユニット縮小部(511,S230)と、
前記端末送信部(511,S260)と、を備え、
前記端末送信部は、前記第2管理ユニット部分コンテンツに基づいて、前記端末装置へ前記端末用コンテンツを送信するように構成されている、
項目1に記載のモビリティサービスシステム。
[項目4]
前記サーバ縮小基準は、前記車載装置に関連する識別情報に応じて定められる第2管理ユニット縮小基準を含み、
前記第2管理ユニット(5A,5B)は、
前記サーバ側縮小部に含まれる第2管理ユニット縮小部であって、前記受信部(511,S210)により受信された前記第1管理ユニット部分コンテンツのデータ量を第2管理ユニット基準で縮小して、前記第2管理ユニット部分コンテンツを生成するように構成された第2管理ユニット縮小部(511,S230)を更に備え、
前記端末送信部は、前記第2管理ユニット部分コンテンツに基づいて、前記端末装置へ端末用コンテンツを送信するように構成されている、
項目2に記載のモビリティサービスシステム。
[項目5]
前記サーバ縮小基準は、複数の車載装置に関するグルーピングに応じて定められる第1管理ユニット縮小基準を含み、
前記第1管理ユニット(3)は、
前記サーバ側縮小部に含まれた第1管理ユニット縮小部であって、前記アップロード部(211,S130)によりアップロードされた前記車載機部分コンテンツのデータ量を第1管理ユニット基準で縮小して、前記第1管理ユニット部分コンテンツを生成するように構成された第1管理ユニット縮小部(311,S120)を更に備える、
項目3に記載のモビリティサービスシステム。
[項目6]
前記第2管理ユニット縮小部(511,S230)は、前記エンドユーザ又は前記車載装置又は前記車両のユーザの識別情報が高いステータスに対応している場合は、前記エンドユーザ又は前記車載装置又は前記車両のユーザの識別情報が低いステータスに対応している場合よりも、前記データの縮小量を小さくするように構成されている、
項目1~5のいずれか1項目に記載のモビリティサービスシステム。
[項目7]
前記グルーピングによる1つのグループは、1つのサービス事業者が前記第2管理ユニット(5A,5B)を介してサービスを提供する第2の数のエンドユーザが属している、
項目2、4、5、6のいずれか1項目に記載のモビリティサービスシステム。
[項目8]
前記グルーピングによる1つのグループは、複数のサブグループを含み、
前記第1管理ユニット縮小部(311,S120)は、前記複数のサブグループの各々毎に、前記データ量の縮小量を変えるように構成されている、
項目2、4、5、6のいずれか1項目に記載のモビリティサービスシステム。
[項目9]
前記コンテンツは映像を含み、
前記データ量の縮小は、映像時間の短縮、画質の低下、及びフレームの間引きのいずれかに相当する、
項目1~8のいずれか1項に記載のモビリティサービスシステム。
[項目10]
前記第1管理ユニット(3)は、
前記第1管理ユニット部分コンテンツを前記記憶部(33)に保存してから設定期間経過した場合に、前記記憶部から前記第1管理ユニット部分コンテンツを削除するように構成された削除部(311,S170)を更に備える、
項目1~9のいずれか1項に記載のモビリティサービスシステム。
[項目11]
前記第1管理ユニット(3)は、
前記第1送信部が前記第1管理ユニット部分コンテンツを前記第2管理ユニットへ送信した回数が、設定回数を超えた場合に、前記記憶部から前記第1管理ユニット部分コンテンツを削除するように構成された削除部(311)を更に備える、
項目1~10のいずれか1項に記載のモビリティサービスシステム。
[項目12]
映像又は音声を含むコンテンツを取得する取得装置(222)を備える車両(8A,8B)に搭載された車載装置(2A,2B)と、前記車両を含む複数の車両に搭載された複数の車載装置からデータを収集して保存するように構成された管理サーバ(3,5A,5B)と、を備えるモビリティサービスシステムが実行するデータ量の低減方法であって、
前記車載装置は、
アプリケーションプログラムを実行し、
前記アプリケーションプログラムの実行中に、前記アプリケーションプログラムに関連するイベントを検知し、
前記イベントを検知したことに応じて、前記取得装置により取得されたコンテンツのデータ量を、前記アプリケーションプログラムに応じた車載機縮小基準で縮小して、車載機部分コンテンツを生成し、
生成した前記車載機部分コンテンツを前記管理サーバへアップロードし、
前記管理サーバは、
アップロードされた前記車載機部分コンテンツのデータ量を、前記車載装置に関連する情報に応じたサーバ縮小基準で縮小して、サーバ部分コンテンツを生成し、
前記サーバ部分コンテンツを、前記アプリケーションプログラムに対応したサービスを利用するエンドユーザの端末装置(7)へ送信する、
データ量の低減方法。
【符号の説明】
【0177】
2,2A,2B…エッジ装置、3…管理サーバ、5,5A,5B…サービスサーバ、7,7A,7B…端末装置、8,8A,8B…登録車両、21,31,51…制御部、24,33,53…記憶部、211,311,511…CPU、222…取得装置。