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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001767
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】立体映像表示装置及び遊技機
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/35 20200101AFI20221226BHJP
   G03B 35/18 20210101ALI20221226BHJP
   H04N 13/302 20180101ALI20221226BHJP
   H04N 13/324 20180101ALI20221226BHJP
   H04N 13/243 20180101ALI20221226BHJP
【FI】
G02B30/35
G03B35/18
H04N13/302
H04N13/324
H04N13/243
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102690
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】591044614
【氏名又は名称】株式会社足立ライト工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(72)【発明者】
【氏名】平田 文邦
【テーマコード(参考)】
2H059
2H199
5C061
【Fターム(参考)】
2H059AB12
2H199BA15
2H199BA45
2H199BA49
2H199BA52
2H199BB17
2H199BB27
2H199BB56
2H199BB57
2H199BB60
2H199BB66
5C061AA06
5C061AA25
5C061AB04
5C061AB14
5C061AB16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】側面に配置された複数の光源から入射した光を透明パネルで反射することによって、観察者に視差のある画像を表示するとともに、複数の光源の光を混色することでカラーの立体的画像を表示させる立体映像表示装置を提供する。
【解決手段】本発明にかかる立体映像表示装置100は、透明パネル20と、透明パネル20の下側面又は上側面に配置された光源30と、透明パネル20の主面に形成され、光源からの光を反射する複数の反射面50と、を有し、視点位置が水平方向に等間隔にn点(n≧2)あると想定する場合、反射面50は、視点と定点とを通過する直線と透明パネルの主面と交差する位置にn個設けられ、定点位置に立体映像が視認可能となり、n個の反射面50をマトリックス状に配置して1画素を構成し、各反射面50は、画素内において視点ごとに予め定められた位置に配置されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明パネルと、
前記透明パネルの下側面又は上側面に配置された光源と、
前記透明パネルの主面に形成され、観察者の視点位置に対して光源からの光を反射する複数の反射面と、
を有し、
前記観察者の視点位置が水平方向に等間隔にn点(n≧2)あると想定する場合、前記反射面は、視点と定点とを通過する直線と前記透明パネルの主面と交差する位置にn個設けられ、前記光源からの光を反射することで観察者には定点位置に立体映像が視認可能となり、
n個の前記反射面を、マトリックス状に配置して1画素を構成し、
各反射面は、前記画素内において視点ごとに予め定められた位置に配置されていることを特徴とする立体映像表示装置。
【請求項2】
n個の前記反射面は、n台のカメラを観察者の移動範囲の想定した視点の位置に等間隔で配置し、すべてのカメラの注視点を透明パネルの中央(X,Y,Z=0,0,0)を原点とした状態で、表示したい被写体の撮影を行い、各定点から出射される光線の位置及び反射面の角度は、カメラの撮影画像とカメラの設置位置情報を基に算出されてなることを特徴とする請求項1に記載の立体映像表示装置。
【請求項3】
前記画素は、観察者に対して同じ定点を受光させる2つの前記反射面の組み合わせにおいて、それぞれの前記反射面を直線でつないだ場合の中点が、前記画素の中心に縦と横の長さが画素の半分である四角形があると想定した場合に、かかる四角形の内部に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の立体映像表示装置。
【請求項4】
前記画素内の反射面は、観察者に対して同じ定点を受光させる2つの前記反射面の組み合わせにおいて、それぞれの前記反射面を直線でつないだ場合の中点が、立体映像に応じて所定の動きをするように設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の立体映像表示装置。
【請求項5】
前記反射面は、反射面の面積を段階的に変更することで、輝度を階調調整していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の立体映像表示装置。
【請求項6】
透明パネルと、
前記透明パネルの上側面又は下側面に配置された異なる色を発光する少なくとも3つの光源と、
前記透明パネルの主面に形成され、観察者の視点位置に対して光源からの光を反射する複数の反射面と、
を有し、
前記観察者の視点が水平方向に等間隔でn点(n≧2)あると想定する場合、前記反射面は、視点と定点とを通過する直線と前記透明パネルの主面と交差する位置に、少なくとも3つの前記光源からの光をそれぞれ反射する反射面からなる反射面群がn個設けられ、前記光源からの光を反射することで観察者には定点位置に立体映像が視認可能となり、かつ少なくとも3つの前記光源の光線が視点に集合することでカラー画像として認識可能となり、
n個の前記反射面群を、マトリックス状に配置して1画素を構成し、
各反射面群は、前記画素内において、視点ごとに予め定められた位置に配置されていることを特徴とする立体映像表示装置。
【請求項7】
3つの前記光源は、それぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の色を発光する光源であることを特徴とする請求項6に記載の立体映像表示装置。
【請求項8】
3つの前記光源からの光を反射する反射面群は、反射面の面積を段階的に変更することで輝度を調整して混色することで発光色を決定していることを特徴とする請求項6又は7に記載の立体映像表示装置。
【請求項9】
前記反射面群は、それぞれの反射面の角度を保持した状態で結合して1つの反射面として形成されていることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の立体映像表示装置。
【請求項10】
前記光源は、さらに、白色(W)の光源を有してなり、前記反射面群は、赤(R)、緑(G)、青(B)及び白色(W)の色からの光をそれぞれ反射する反射面からなることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の立体映像表示装置。
【請求項11】
前記立体映像において隣接する異なる発光色の境界線は、無発光領域を有することを特徴とする請求項6から10のいずれか1項に記載の立体映像表示装置。
【請求項12】
前記透明パネルの光源が配置されている側面に隣接する側面に、光源が配置されており、
前記画素には、前記光源からの光を観察者に出射する反射面が形成されていることを特徴とする請求項6から11のいずれか1項に記載の立体映像表示装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の立体映像表示装置において、
さらに、前記透明パネルの背面側に、間隔を設けて画像を有する映像表示装置又は装飾物を備えていることを特徴とする立体映像表示装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の立体映像表示装置が備えられたことを特徴とする遊技機。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体映像表示装置及び遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
視差を利用して立体視やモーフィングの表示を行い、且つ背景を透かし見ることができる表示装置として、透明材料からなる表示パネルと、前記表示パネルの表面または内部に設けられたドット状の反射要素を構成要素とし、全体として特定の表示パターンを表示する要素群とを備え、前記要素群を、予め設定された複数の視点毎にそれぞれ設け、各視点について設けた前記要素群は、その視点に向けて視差を与えるための光学素子を前記表示パネルに別途配置することなく、光源からの光を反射し、その反射光によって前記要素群が表示する前記表示パターンは前記設定された視点で視認され、設定されない視点では視認されない表示装置が提案されている(特許文献1)。この特許文献1では、表示パネルと表示パターンの各定点の距離によって、反射要素の間隔が左右されてしまうという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献2】特開2016-18194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、反射面の分布密度が変化しても反射面の数を変えない配列方法を提案することによって、より奥行き感のある立体映像を表示することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明にかかる立体映像表示装置は、
透明パネルと、
前記透明パネルの下側面又は上側面に配置された光源と、
前記透明パネルの主面に形成され、観察者の視点位置に対して光源からの光を反射する複数の反射面と、
を有し、
前記観察者の視点位置が水平方向に等間隔にn点(n≧2)あると想定する場合、前記反射面は、視点と定点とを通過する直線と前記透明パネルの主面と交差する位置にn個設けられ、前記光源からの光を反射することで観察者には定点位置に立体映像が視認可能となり、
n個の前記反射面を、マトリックス状に配置して1画素を構成し、
各反射面は、前記画素内において視点ごとに予め定められた位置に配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明にかかる立体映像表示装置は、反射面n個で構成された集合体を1画素として透明パネルにマトリックス状に配置することによって、1画素中にそれぞれの視点分の反射面が確保されるので、定点の位置によって変動する反射面分布密度にかかわらず、立体画像を表示させることができる。
【0008】
また、本発明にかかる立体映像表示装置において、n個の前記反射面は、n台のカメラを観察者の移動範囲の想定した視点の位置に等間隔で配置し、すべてのカメラの注視点を透明パネルの中央(X,Y,Z=0,0,0)を原点とした状態で、表示したい被写体の撮影を行い、各定点から出射される光線の位置及び反射面の角度は、カメラの撮影画像とカメラの設置位置情報を基に算出されてなることを特徴とするものであってもよい。
【0009】
かかる構成を採用することによって、撮影画像を用いて反射面を算出することから、稜線や面の境界等を的確に捉えることができる。よって複数の重なり合ったオブジェクトや有機的形状等の複雑な形状に対しても立体映像を表示することができる。
【0010】
さらに、本発明にかかる立体映像表示装置において、前記画素は、観察者に対して同じ定点を受光させる2つの前記反射面の組み合わせにおいて、それぞれの前記反射面を直線でつないだ場合の中点が、前記画素の中心に縦と横の長さが画素の半分である四角形があると想定した場合に、かかる四角形の内部に配置されていることを特徴とするものであってもよい。
【0011】
かかる構成を採用することによって、視点移動による立体映像の移動(ふらつき)を最小限に抑えることができる。
【0012】
さらに、本発明にかかる立体映像表示装置において、前記画素内の反射面は、観察者に対して同じ定点を受光させる2つの前記反射面の組み合わせにおいて、それぞれの前記反射面を直線でつないだ場合の中点が、立体映像に応じて所定の動きをするように設けられていることを特徴とするものであってもよい。
【0013】
反射面をマトリックス状に配置することによって、視点移動により、立体映像の移動が発生する。そこで、このふらつきを利用して、立体映像を選択することによって、立体映像にアニメーションのような動きを与えることができる。
【0014】
さらに、本発明にかかる立体映像表示装置において、前記反射面は、反射面の面積を段階的に変更することで、輝度を階調調整していることを特徴とするものであってもよい。
【0015】
かかる構成を採用することによって、立体映像を表現する上で、スムーズな陰影を表現することができる。
【0016】
さらに、本発明は、透明パネルと、
前記透明パネルの上側面又は下側面に配置された異なる色を発光する少なくとも3つの光源と、
前記透明パネルの主面に形成され、観察者の視点位置に対して光源からの光を反射する複数の反射面と、
を有し、
前記観察者の視点が水平方向に等間隔でn点(n≧2)あると想定する場合、前記反射面は、視点と定点とを通過する直線と前記透明パネルの主面と交差する位置に、少なくとも3つの前記光源からの光をそれぞれ反射する反射面からなる反射面群がn個設けられ、前記光源からの光を反射することで観察者には定点位置に立体映像が視認可能となり、かつ少なくとも3つの前記光源の光線が視点に集合することでカラー画像として認識可能となり、
n個の前記反射面群を、マトリックス状に配置して1画素を構成し、
各反射面群は、前記画素内において、視点ごとに予め定められた位置に配置されていることを特徴とする立体映像表示装置を提供する。
【0017】
かかる構成を採用することによって、前述した効果を有しつつカラーの立体映像を表示することができる。
【0018】
さらに、本発明にかかる立体映像表示装置において、3つの前記光源は、それぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の色を発光する光源であることを特徴とするものであってもよい。
【0019】
3つの光源に光の三原色を使用することによって、より多くの色を表現することができるようになる。
【0020】
さらに、本発明にかかる立体映像表示装置において、3つの前記光源からの光を反射する反射面群は、反射面の面積を段階的に変更することで輝度を調整して混色することで発光色を決定していることを特徴とするものであってもよい。
【0021】
かかる構成を採用することによって、カラーを所定階調で表現することができる。また、反射面を一定に段階的面積で作製すればよくなるため、製造が容易となる。
【0022】
さらに、本発明にかかる立体映像表示装置において、前記反射面群は、それぞれの反射面の角度を保持した状態で結合して1つの反射面として形成されていることを特徴とするものであってもよい。
【0023】
かかる構成を採用することによって、カラーの立体映像において、解像度を落とさずに視点数を増やすことができる。
【0024】
さらに、本発明にかかる立体映像表示装置において、前記光源は、さらに、白色(W)の光源を有してなり、前記反射面群は、赤(R)、緑(G)、青(B)及び白色(W)の色からの光をそれぞれ反射する反射面からなることを特徴とするものであってもよい。
【0025】
白色光源を単独で追加することで、色数を増加させることができ、ハイライト等の白を鮮やかに発光させることができる。
【0026】
さらに、本発明にかかる立体映像表示装置において、前記立体映像において隣接する異なる発光色の境界線は、無発光領域を有することを特徴とするものであってもよい。
【0027】
かかる構成を採用することによって、ブラックマトリックス効果を得ることができ、色領域をくっきりと分けて表現することができる。
【0028】
さらに、本発明にかかる立体映像表示装置において、前記透明パネルの光源が配置されている側面に隣接する側面に、光源が配置されており、
前記画素には、前記光源からの光を観察者に出射する反射面が形成されていることを特徴とするものであってもよい。
【0029】
かかる構成を採用することによって、2つの異なる立体映像を表現することができ、それぞれの立体映像及びこれらの複合映像とを切り替えて表示することができる。
【0030】
さらに、本発明にかかる立体映像表示装置において、
前記透明パネルの背面側に、間隔を設けて画像を有する映像表示装置又は装飾物を備えていることを特徴とするものであってもよい。
【0031】
本発明の立体映像表示装置は、透明パネルが表示媒体であることから、透明パネルに表示された画像とともに、背面の画像、図柄や装飾物を同時に視認することも可能である。そのため、背面側の画像や図柄との両方の組み合わせによる表現を行うこともできる。
【0032】
さらに、本発明にかかる立体映像表示装置は、遊技機に取り付けて使用してもよい。
【0033】
遊技機に組み込むことによって、背面側に配置した液晶表示器からキャラクターが飛び出し、手前で宙に浮かんだような演出を行ったり、役物出現の際、エフェクトで役物を覆うような演出を行ったりすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、第1実施形態にかかる立体映像表示装置100の斜視図である。
図2図2は、第1実施形態にかかる立体映像表示装置100の側面図である。
図3図3は、第1実施形態にかかる立体映像表示装置100の透明パネル20に形成される反射面50の位置及び角度を説明するための説明図である。
図4図4は、第1実施形態にかかる立体映像表示装置100の透明パネル20に形成される反射面50の斜視図、正面図及び断面図である。
図5図5は、第1実施形態にかかる立体映像表示装置100において、定点と透明パネル20の距離の関係を説明する説明図である。
図6図6は、第1実施形態にかかる立体映像表示装置100において、定点と透明パネル20の距離の関係を説明する別の説明図である。
図7図7は、第1実施形態にかかる立体映像表示装置100において、透明パネル20に形成される画素70を示す正面図である。
図8図8は、第1実施形態にかかる立体映像表示装置100において、透明パネル20に形成される画素70に配置される反射面50を示す説明図である。
図9図9は、第1実施形態にかかる立体映像表示装置100において、透明パネル20に形成される画素70に配置される反射面50を示す説明図である。
図10図10は、第1実施形態にかかる立体映像表示装置100において、透明パネル20に形成される画素70で視認される位置を示す模式図である。
図11図11は、第1実施形態にかかる立体映像表示装置100において、透明パネル20に形成される画素70によって表示される映像の移動を示す模式図である。
図12図12は、第1実施形態にかかる立体映像表示装置100において、透明パネル20に形成される画素70内の反射面の配置を示す模式図である。
図13図13は、第1実施形態にかかる立体映像表示装置100において、透明パネル20に形成される画素70内の反射面の配置とアニメーションとの関係を示す模式図である。
図14図14は、第1実施形態にかかる立体映像表示装置100の反射面50から反射される輝度を調整する手段を示す図である。
図15図15は、第2実施形態にかかる立体映像表示装置200の斜視図である。
図16図16は、第2実施形態にかかる立体映像表示装置200の透明パネル20に形成される反射面50及び画素70を示す正面図である。
図17図17は、第2実施形態にかかる立体映像表示装置200において、色の決定方法を示す模式図である。
図18図18は、第2実施形態にかかる立体映像表示装置200において、透明パネル20に形成される反射面の配置例を示す正面図である。
図19図19は、第2実施形態にかかる立体映像表示装置200において、透明パネル20に形成される反射面の結合を示す斜視図である。
図20図20は、第2実施形態にかかる立体映像表示装置200において、ホワイトバランスを調整する手段を説明するための説明図である。
図21図21は、第2実施形態にかかる立体映像表示装置200において、白色の光源をさらに設けた状態を示す斜視図である。
図22図22は、第2実施形態にかかる立体映像表示装置200において、白色の光源をさらに設けた場合の反射面50の配置状態を示す説明図である。
図23図23は、第2実施形態にかかる立体映像表示装置200において、色の境界領域を示す図である。
図24図24は、第2実施形態にかかる立体映像表示装置200において、側面光源を設けた場合を説明する説明図である。
図25図25は、第2実施形態にかかる立体映像表示装置200において、側面光源を設けた場合の透明パネル20の正面図及び断面図である。
図26図26は、第2実施形態にかかる立体映像表示装置200において、側面光源を設けた場合の透明パネル20の画素70内の反射面を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
(第1実施形態)
以下、本発明にかかる立体映像表示装置100について、図面に沿って詳細に説明する。図1は、第1実施形態にかかる立体映像表示装置100を説明するための斜視図であり、図2は、側面図である。なお、以下の実施形態の説明において、x軸、y軸及びz軸とは、説明の便宜上、図1に示すように、x軸とは、透明パネル20に対して水平方向、y軸とは垂直方向、z軸とは、透明パネル20の主面に対して垂直な方向を指す。なお、以下、透明パネルの主面とは、透明パネルの裏面を指す。
【0036】
第1実施形態にかかる立体映像表示装置100は、図2に示すように、光が透過可能な樹脂からなる板状の透明パネル20と、この透明パネル20の主面に形成された複数の反射面50と、透明パネル20の下辺又は上辺に設けられた光源30と、を備えている。
【0037】
透明パネル20は、光が透過可能な高光透過性を有するガラス又は樹脂板が使用される。樹脂板としては、例えば、アクリル樹脂板、ポリカーボネイト樹脂板、PET樹脂板等を好適に使用することができる。もちろんこれら樹脂に限定するものではない。透明パネル20の主面(裏面)には複数の反射面50が形成されている(図2参照)。反射面50は、光源30からの光を正面側に反射する面を有する三角柱状の溝の一面で形成されている(図4参照)。光源30は、透明パネル20の上側面又は下側面に配置されており、光を透明パネル20内に出射する。
【0038】
まず、はじめに、第1実施形態にかかる立体映像表示装置100の表示原理について説明する。第1実施形態にかかる立体映像表示装置100は、表現する立体像のある点を定点とした場合、各定点(例えば、図1のP1、P2又はP3)から出射する全方向の光線の中から観察者に届く光線のみを抜粋し、その光線を透明パネル20の主面に作製された反射面50によって再現することで立体映像を映し出すものである。すなわち、任意の定点位置を認識させるためには、その定点から出射する光線と同等の光線が観察者に届く必要がある。そこで、透明パネル20の上辺又は下辺に配置された光源30から透明パネル20内に導光させた光があたかも定点から出射する光線として観察者へ出射するように、透明パネル20の主面に複数の反射面50が形成されている。
【0039】
観察者は、水平方向に移動する場合、その移動に伴って移動する視線に対して各定点からの光を視認できるようにする必要がある。例えば、図1に示すように、観察者が移動範囲Vを移動すると想定した場合には、1つの定点に対して想定した視点数分の出射方向の異なる光線が必要となる。すなわち、視点をnと想定した場合には、1つの定点に対してn方向の光線が必要となり、n個の反射面50が必要となる。このn個の反射面50の透明パネル20に対する位置及び反射面50の角度を特定するためには、図1に示すように、n台(図1においてはn=12)のカメラ(1~12)を観察者の移動範囲に沿って等間隔X1で配置し、立体像として表示したい被写体の撮影を行う。なお、カメラ(1~12)の間隔X1は、人間の両眼の距離である60mm~70mmを等分割した値とすることが好ましい。かかる距離とすることで、右眼及び左眼の両方が1~12のいずれかの視点となるからである。また、カメラ(1~12)から透明パネル20までの距離Eは、観察者から透明パネル20の主面(裏面)までの距離と同じ距離に設定する。すべてのカメラ(1~12)の注視点を透明パネル20の中央(X,Y,Z=0,0,0)の原点(図1のP2の位置)とし、各定点(図1では、例としてP1,P2,P3)から出射される光線の位置(XY座標)及び反射面50の角度が各カメラ(1~12)の撮影画像とカメラの設置位置情報を基に決定される。例えば、図1において、カメラ1の撮影画像からは、観察者位置1に出射する光線座標及び反射面50の角度情報を得ることができる。図3に示すように、定点P1を視点1から観察した場合、P1から出射される光線L1’L1を確認することになる。ただし、光線L1’は仮想的な光線であり、実際にはP1から出射されてはいない。そこで、光源からの導光K1を反射面位置h1で反射させ、視点1に向けて出射することで光線L1を発生させる。ここで、反射面位置h1の反射面50は、XY座標及び透明パネル20に対するθ1x、θ1yの値が必要となる。前述したように、カメラ位置から反射面位置h1の反射面50のXY座標及びθ1yの値を求めることができ、角度θ1xは、反射面位置h1の座標と視点1を結んだ直線(光線L1)と反射面位置h1を通るY軸に平行な線分の角度として求めることができる。例えば、定点P1(±x,±y,+z)の画像は、反射面位置h1で角度は(θ1x,θ1y)となる。同様にして、定点P2(0,0,0)は、反射面位置h2で角度は(θ2x,θ2y)、定点P3(±x,±y,-z)は、反射面位置h3で角度は(θ3x,θ3y)となる。こうして得られた値から、透明パネル20の主面(裏面)に図4Aに示すように、XY平面での角度θh1a、Z方向の角度θh1bからなる三角柱状の凹溝を形成することで、透明パネル20の表面側に近い面が反射面50となり、所定の方向に光を反射することができる。この反射面50は、図4B及び図4Cに示すように、反射角θh1x及び反射角θh1Yを調整することでθ1x及びθ1yの角度を設定する。これにより、光源からの光K1は、P1から出射されたかのような仮想的な光線L1として出射される。このように本実施形態にかかる反射面50の位置及び角度の取得方法によれば、撮影画像を用いることから、撮影した物質の稜線や面の境界を的確に捉えることができ、複数の重なりあったオブジェクトや有機的形状など複雑な形状に対しても立体視映像を提供することができる。
【0040】
次に、反射面50の分布について説明する。複数の反射面50について、図5に沿って、カメラ数12台(n=12)の場合を例にとって説明する。図5Aに示すように、定点Paに対応する反射面50を作製する場合、各カメラ(1~12)の撮影画像に基づき定点Paから出射するそれぞれ12本の光線に対応するようにそれぞれ12個の反射面50を作製する必要がある。観察者の両眼の間隔が65mmであった場合、例えば、カメラ5と9の距離が65mmでA点に観察者がいると想定した場合には、観察者は5と9の位置で光線を受光することになり、観察者は定点Paの位置を認識できる。次に、図5Bに示すように、定点Pbが定点Paと比較して透明パネル20の主面の近くにあった場合、反射面50の間隔は、狭くなっていくことになる。定点が透明パネル20の主面上(±x,±y,0)の場合には、1点に集中し、反射面1箇所から12方向に光線を出射することになる。このように、図6に示すように、定点P1の位置が透明パネル20の主面より後方(±x,±y,+z)に離れるほど、反射面50の間隔はX軸方向に広がり(図6A)、定点P2が透明パネル20の主面上にある場合には、反射面50の間隔がなくなり1点となり(図6B)、定点の位置が透明パネル20の主面よりも前方(±x,±y,-z)に出るほど、反射面50の間隔はX軸方向に広がることになる(図6C)。
【0041】
次に、反射面50の配列の構成について説明する。反射面50は、図7に示すように、カメラの台数nと同数の反射面50の集合体がマトリックス状に配置されたものを1画素70として、透明パネル20の主面に配置されている。1画素の反射面50の数(カメラの数)は、特に限定するものではないが、好ましくは、画素70の縦横のアスペクト比を1:1にするために、縦横同数、すなわち、n=m(m≧2の自然数)とするとよい。具体的な反射面50の配置について、カメラ数が9台(n=9)の場合を例として説明すると、図8に示すように、観察者の移動範囲をY=0,X=-65~+65,Z=-700(E=700)に設置したカメラ(1~9)から定点Paを撮影する。そして各カメラ(1~9)に写った定点Pa座標から透明パネル20の主面上のマトリックス配置された画素座標を特定し、該当する画素70に対してカメラ番号別に指定された場所に前述した反射面50の角度となるように反射面50を作製する。こうして、図8の拡大図で確認できるように、9つの反射面50が9つの異なる画素70内のカメラ番号別に指定された場所に分散して配置されることになる。なお、図9に示すように、定点Pb(0,0,0)が透明パネルの主面(原点)上にある場合には、9つの反射面50が1画素70に集中することになる。すなわち、1つの画素70に9つすべてのカメラ(1~9)の反射面50を形成することになる。なお、反射面50の大きさは特に限定するものではないが、100μmから200μmの円形内に配置されるように形成するとよい。また、ここでは9台のカメラと同数の9つの反射面の集合体がマトリックス状に配置されたものを1画素とし、画素の縦横のアスペクト比を1:1にするため縦横同数の3×3=9で構成される反射面としたが、これに限るものではない。カメラ台数を8台とするならば、アスペクト比1:1を保持して1つの反射面を空白とするブランク部としてもよいし、アスペクト比を変更するなど適宜変更可能である。
【0042】
こうして作製された立体映像表示装置100は、予め設定した観察者の移動範囲内においては、すべての位置において、観察者の両眼に視差のある画像を出射するため、立体的画像として視認することができる。本発明にかかる立体映像表示装置100は、透明パネル20を介して表示されるので背面側を視認することができる。そのため、背面に間隔を有して画像を表示する液晶等の立体映像表示装置又はキャラクター等の装飾物を配置することによって、背面の画像又は装飾物に対して投影されたかのような画像を表示させることができる。
【0043】
なお、1画素70内には、複数の反射面50が形成されているため、1画素70内の反射面数(カメラ台数)が増えてくると立体視される映像の位置に影響を与えることがある。例えば、図8の視点1,5から定点Paを見た場合、図10に示すように光線を受光する反射面は1と5である。同じ様に、視点2,6で見た場合には、光線を受光する反射面は2と6となる。すなわち、視点が移動する毎に反射面50の組み合わせがシフトしていくことになる。こうした場合に定点に挙動が発生することがある。具体的には、定点Pa(0,0,+z)を例にとって説明すると、観察者が反射面1からの光線と反射面5からの光線を受光した場合、観察者は、図10に示すように、定点をaの位置に捉えることになる。同様に、光線2と6であれば、bの位置といった具合に、順番に反射面50の組み合わせをシフトすると定点は、a→b→c→d→eと移動する。Y軸方向に注目するとaとeとでは、反射面1個分の差が生じる。これは観察者が1から9に視点移動した場合、定点が反射面1個分下に移動したことになる。次に、図11Aに示すように、原点位置の定点Pb(0,0,0)で視てみると、同様に、a→b→c→d→eと移動し、定点Pbは画素中心部よりX,Y方向に反射面0.5個分の移動が起きる。定点Pbは、どの方向から見ても同じ位置に見えることが理想であるが、反射面50のレイアウトによって定点の上下移動が発生してくる。特に視点移動がX軸上で行われる場合、X軸方向の軽微な立体映像移動は認識されづらいが、Y軸方向の移動は認識されやすいという問題がある。これは1画素70内の反射面数(カメラ台数)が増えてくると立体映像の位置に影響を与え易くなる。例えば、図11Bに示すように、反射面数を25にして反射面50を左上から順番に並べた場合のY軸方向に反射面4個分の移動が発生することになる。そこで、視点移動による立体映像の移動を最小限に抑えるために、組み合わせで決定した反射面50同士を直線で繋ぎ、その線分の中点に発生する定点を極力、画素70の中心付近に集中させるとよい。具体的には、観察者が受光する同じ定点を受光させる2つの反射面50の組み合わせにおいて、それぞれの反射面50を直線でつないだ場合の中点Mが、画素70の中心に縦と横の長さが画素70の半分である四角形があると想定した場合に、かかる四角形Fの内部に配置されるようにするとよい。例えば、反射面数(カメラ台数)が9の場合は図12Aのように並べることで四角形Fの内部に配置され、反射面数(カメラ台数)が16の場合は図12Bのように並べることで四角形Fの内部に配置され、反射面数(カメラ台数)が25の場合は図12Cのように並べることで四角形Fの内部に配置される。
【0044】
また、逆に定点が移動して見える現象を利用して、立体映像をアニメーションのように見せるようにしてもよい。例えば、立体映像の移動が、図13Aのように並び順を逆にした場合、立体映像の移動はジグザグと動きながら上昇していくように見えることになる。このような場合に、例えば、蜂の立体像とすることによって、蜂はジグザグに動きながら上昇して飛ぶように見せることができる。このようにアニメーションの動きに対して立体映像の軌道をあわせることで移動の違和感を軽減することができる。また、別の例では、図13Bに示すように、上昇下降する気球アニメーションを考慮した立体映像の軌道を表している。立体映像のアニメーションを基に反射面配列を決定していくことでスムーズな動きを得ることができる。
【0045】
さらに、立体像を表現する際に、図14に示すように、反射面50の反射面積を変更することによって、グレイスケールのように、陰影を有する立体映像を表示することができる。反射面50を等分割して反射面の面積を変更することで光の量を制御することができる。ハイライト部を100%とした場合、例えば、図14に示すように、反射面50を5分割することで6階調の輝度を表現することができる。
【0046】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態にかかる立体映像表示装置200について、図面に沿って詳細に説明する。図15は、第2実施形態にかかる立体映像表示装置200の斜視図であり、図16は、透明パネル20に形成される反射面50による画素70を示す図である。この第2実施形態にかかる立体映像表示装置200は、第1実施形態が単色であったのに対し、カラー映像である点が異なる。
【0047】
本発明にかかる立体映像表示装置200は、図15及び図16に示すように、透明パネル20の一つの側辺に設けられたそれぞれ異なる色を発光する独立した少なくとも3つの光源30r、30g、30bと、対応する3つの反射面51、52、53の組によって形成される反射面群55と、を備えている。光源30としては、好ましくは、光の三原色である赤(R)、緑(G)、青(B)の色を発光する独立した3つの光源を使用するとよい。三原色を使用することによって、カラー色を再現することができるからである。
【0048】
反射面50は、色別に赤(R)、緑(G)、青(B)それぞれに対応する3つの反射面による反射面群55を1組として、これらが視点数(カメラ数)の数と同一の数だけ組み合わされて画素70を形成している。したがって、1画素中の反射面50の数は、3×視点数となる。反射面50は、それぞれの光源30からの光を同じ視点へ出射するように角度設定(θ5x,θ5y)がされている点は、第1実施形態と同様である。具体的には、図15において視点5から定点P4を観察した場合、光線L5が受光される。光線L5は、赤色の光線L5r、緑色の光線L5g及び青色の光線L5bの集合光線である。すなわち、光源30rからの赤色導光を反射面群h5の光源R用の反射面h5rで反射して光線L5rとして視点5に向けて出射する。同様に、光源30g及び光源30bからの緑色導光及び青色導光も、同一の反射面群h5の光源G用反射面h5g及びh5bで反射して、緑色の光線L5g及び青色のL5bとして視点5に向けて出射する。このようにして、赤色の光線L5r、緑色の光線L5g及び青色の光線L5bは、視点5で光線L5として集合することでカラー画像として認識される。このように、カラー画像の場合は、単色と比較して、1視点あたりの反射面が光源の数だけ必要となる。
【0049】
次に、カラー立体映像を表示するための画素構成について5視点を例として、図16を参照して説明する。5視点の場合、1つの視点で3つの反射面50が必要となるので、3×5の15の反射面50で1つの画素を構成することになる。画素70内のそれぞれの反射面50の配置は特に限定するものではない。図16においては、それぞれの視点ごとの3つの反射面51、52、53からなる反射面群55を縦に5視点分並べて配置している。また、カラー立体映像の場合には、図18に示すように、画素アスペクト比を1:1にするために縦横数の反射面数を同数にしてもよいし、図16に示すように、ブランク部71を設けても良い。ブランク部71を設けることによって、隣接する色との混色を防止するブラックマトリックスの効果を期待できる。
【0050】
次に発光色の決定について説明する。光線は、それぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の光源(30r、30g、30b)からの光を反射する3つの反射面51、52、53で出射する光の輝度のバランスで色が決定される。例えば、それぞれの赤(R)用の反射面51、緑(G)用の反射面52、青(B)用の反射面53からなる発光色を各光源のオン・オフのみの組み合わせとした場合には、図17に示すように、レッド、グリーン、ブルー、イエロー、シアン、マゼンダ、ホワイト及びスケルトン(透明)の8色、すなわち、赤(2)× 緑(2)× 青(2)=8色(透明含む。)の表現が可能となる。色数をさらに増やすためには、各色の反射面50の反射面積を変更して輝度調整を行うことで達成することができる。例えば、図14に示すように、反射面50の面積を段階的に5分割した場合には、0%、20%、40%、60%、80%及び100%の6段階の輝度を出射することができる。したがって、赤(6)× 緑(6)× 青(6)=216色(透明含む。)の表現が可能となる。このように、分割数によって表現できる色の数を選択することができる。すなわち、各反射面50の反射面の面積の分割数をnとした場合には、(n+1)×(n+1)×(n+1)=(n+1)(n:自然数)の色数を表現することができる。
【0051】
こうして作製された立体映像表示装置200は、観察者からは複数の定点から構成される立体的画像として視認することができる。本発明にかかる立体映像表示装置200は、透明パネル20を介して表示されるので背面側を視認することができる。そのため、背面に間隔を有して画像を表示する液晶等の立体映像表示装置又はキャラクター等の装飾物を配置することによって、背面の画像又は装飾物に対して投影されたかのような画像を表示させることができる。
【0052】
第2実施形態において、光線の数は、反射面50の数でもあることから視点数が増えれば、1定点を構成する反射面も増えて1画素の面積が大きくなって結果的に立体映像の解像度が低下してしまうことになる。すなわち、図18に示すように、視点数12とした場合、反射面群55は、(3つの反射面)×12=36個の反射面50が必要となるため、1画素のサイズも大きくなり、単位面積あたりの画素の数が少なくなり、解像度が低下することになる。これを解決するために反射面50の結合処理を行うことができる。光源30からの3原色の光を反射する独立した反射面50を結合して、混色効果を高め、高密度化を可能にする。3視点のカラー反射面配置を例として説明する。図19Aに示すように、視点数3の場合、1画素は、3つ光源に対応する反射面51、52、53で形成される反射面群55が、視点ごとに3列配列されることになる。これら等間隔に並んだ各赤(R)、緑(G)、青(B)の反射面51、52、53は、それぞれ所定の長さ(輝度調整)及び角度(反射方向調整)を有している。これらの反射面の角度を保ちつつ3色の反射面51、52、53を反射面52を中心として結合すると、図19Bに示すように、折れ曲がった3本の反射面体56に結合することができる。こうして結合された反射面領域を図19Cに示すように、3分の1のサイズにすることで、視点数を3倍に増やすことができる。
【0053】
また、各光源(R,G,B)の3光源(30r,30g,30b)で白色を調光する場合は、下記のとおりである。調光方法は、いわゆるPWM(Pulse Width Modulation)方式を用いるとよい。すなわち、図20に示すように、白色を調光する際、各光源(R,G,B)をそれぞれ均一に光らせる基準エリアが必要となる。表示画像内に白色領域があれば、その面を基準エリアにして調光を行う。表示画像内に白色領域が存在しない場合は、透明パネルの下側中央に1箇所のTESTパターンT1、もしくは下側左右の角にそれぞれ1箇所の計2箇所にTESTパターン領域T2、T3を設ける。T1のTESTパターンは、下部中央にあることで(R,G,B)の3光源が均一に入射される。T2、T3のTESTパターンは、下側左右の角では各光源位置に差がでることからR光線、B光線の均一性が取れないので、左右2箇所での白色確認が必要となる。
【0054】
なお、第2実施形態において、光源30の色の数を3つとしているが、これに限定するものではなく、白色(W)や黄色(Y)等の光源30を追加してもよい。この場合は、図22Aに示すように、反射面群55が、赤(R)用の反射面51、緑(G)の反射面52及び青(B)用の反射面53に加え、白色(W)や黄色(Y)用の反射面54が追加され、4つの反射面50で反射面群55を構成する。
【0055】
このように、光源30の色の数を追加することによってより多くの色を表現することができる。例えば、図21に示すように、白色(W)光源30wを追加して光源の色を4色とし、それぞれの反射板の輝度調整を6段階とした場合、赤(6)× 緑(6)× 青(6)× 白色(6)=1296色を再現することができる。一般的に、光の3原色で白を表現するためには、赤(R)、緑(G)、青(B)の光量を等しくする必要があるがその調整が困難であり、白色を調光するために、図20に示したようなTESTパターン領域を設けて均一性を確認するといったことも必要なくなる。単色の白色を光源として追加することで、混じり気のない綺麗な白色を表現することができるようになる。これにより、ハイライトと明度の高い色を増やすことが可能になり、締まりのある映像表示が可能になる。また、パステルカラー色を追加することも可能になる。
【0056】
また、特定の色を強く表現したい場合は、強調したい色の反射面を増やすことで主調色の輝度を上げることができる。例えば、通常であれば、1反射面群内で赤色に光る反射面は1つであるが、図22Bに示すように、赤の反射面51を1反射面群55につき2箇所設けることで赤色を2倍の輝度にすることができる。このように、ある特定の色を主調色とする場合には、有効な方法となる。
【0057】
次に、色境界の処理方法について、3光源3視点の左側の視点1から見た場合を例として図23を用いて説明する。図23Aに示すように、例えば、青色領域BRと赤色領域RRが接する箇所、すなわち、色の境界BOでは、隣り合う発光色が影響して、色ムラが発生する場合がある。これは各光源(R,G,B)の反射面50を連続したマトリックス配置をすることで起きる混色が原因である。境界を意図的にぼかしたり、グラデーション効果を狙う場合は有効である。一方、くっきりと色領域を分けたい場合には、図23Bに示すように、青色領域BRと赤色領域RRの境界BOに無発光領域(反射面なしの領域)を設けることで混色を抑えることができる。また、無発光領域を設けることでブラックマトリックス効果が得られ、青色及び赤色の境界部BOの発色がよく見える。もちろん、この境界線の処理は、青及び赤に限ったことではなく、どの色の境界でも有効な処理である。
【0058】
さらに、本実施形態において、3つの光源30のある側面に隣接する側面に別途単色光源35を設けるものとしてもよい。側面に別途単色光源35を設け、単色光源用の反射面57を設けることで図24Aに示すように下側面又は上側面からの光源30で立体映像Aを表示し、図24Bに示すように隣接する側面、すなわち右側面また左側面からの光源35で立体映像Bを表示することで立体映像Bを表示でき、光源30及び単色光源35を両方点灯させることによって、立体映像A及び立体映像Bの複合映像とを切り替えて表示することができる。
【0059】
透明パネル20の下側面及び上側面からの光源30による立体映像Aの表示方法は、上述しているので省略する。側面の単色光源35からの光線は、図25に示すように、広角に広がるように光線(全反射の光線)が出射される。反射面57は、側面の単色光源用の光を正面側に反射するように形成されているが、光線の広がりθbは観察者に対しては横方向(X軸)に分布することから視点間で光のつながりが発生する可能性がある。結果、立体映像Bは立体映像Aよりボケた映像になる。そこで、立体映像Bには、このような現象を考慮した映像(雪、炎、霧等のエフェクト映像)にすることで、効果的な演出を行うことができる。
【0060】
側面光源35を設けた場合には、画素70内の反射面50、57の配置は、立体映像A用の領域50aと、立体映像B用の領域57aを用意する必要がある。図26に、4視点のカラー映像と4視点の単色立体映像の場合の反射面配置例が示されている。1画素70の内容を説明すると、立体映像Aは、各光源(R,G,B)の3つの反射面51、52、53で1視点となることから、3(反射面51,52,53)×4(視点数)=12の反射面50が必要となる。立体映像Bは、単色用の1つの反射面57が1視点となることから、4視点で1×4=4の反射面57が必要となる。4視点の場合には、立体映像A及びBの同時発光時には16の反射面50、57が必要となる。1画素を4×4の反射面50、57で形成することで、アスペクト比1:1とする。本実施形態では、立体映像A用の反射面群(RGB)を縦に配置し、同じ画素内に立体映像B用の反射面を配置している。なお、これが5視点の場合は、立体映像Aの3つの反射面群(RGB)×5+立体映像Bの5反射面=20反射面が必要となる。しかし、アスペクト比を1:1にするために、立体映像Aの反射面群(RGB)×5+立体映像Bの反射面の数を10として計25反射面とすると、立体映像Bを10視点とできるので、効率よく反射面を配置することができ、また、立体映像Bの視点数を増やすことで、エフェクト映像をより滑らかに表現することができる。なお、図26では各光源(R,G,B)の3つの反射面51、52、53を左右方向に配置しているが、上下方向に配置してもよい。この場合、単色用の反射面57はアスペクト比1:1とするために左右方向に配置することになる。要するに、図26で示した反射面の配列が時計回りに90度回転した状態であってもよい。このように、各光源(R,G,B)を上下方向に配置することで、図25に示した光線の広がりθbが、各光源(R,G,B)にも生じるため、バランスよく混色することで、左右方向に配置する場合と比較して輝度調整が滑らかに行われることがある。この点については、図26に限らず、第2実施形態にカラー映像として示した図面全般に言えることである。
【0061】
なお、第1実施形態から第2実施形態にかかる立体映像表示装置は、遊技機の演出用の立体映像表示装置など各種立体映像表示装置として使用することができる。パチンコ遊技機又は回胴式遊技機に組み込むことによって、背面側に配置した液晶表示器からキャラクターが飛び出し、手前で宙に浮かんだような演出を行ったり、役物出現の際、エフェクトで役物を覆うような演出を行ったりすることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
上述した実施の形態で示すように、遊技機の演出用の立体映像表示装置など各種表示装置として産業上利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
20…透明パネル、30…光源、30r…光源(赤)、30g…光源(緑)、30b…光源(青)、30w…光源(白)、35…単色光源、50…反射面、50a…立体映像Aの領域、51…反射面、52…反射面、53…反射面、54…反射面、55…反射面群、56…反射面体、57…反射面、57a…立体映像B用の領域、70…画素、71…ブランク部、100…立体映像表示装置、200…立体映像表示装置
図1
図2
図3
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図5
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